2020年08月
7月28日、気候変動イニシアティブ(Japan Climate Initiative: JCI)は、「石炭火力」をテーマにウェビナー(オンラインセミナー)を開催しました。平田仁子さん(気候ネットワーク 国際ディレクター/ CAN Japan 代表)が講演「国内の石炭火力フェーズアウトの必要性」をしています。平田さんは日報ビジネス社発行の「低炭素社会実現」を目指す提言誌『地球温暖化』(隔月刊)に「平田仁子と読み解く、パリ協定後の気候変動対策」を2016年5月号から連載しています。最新号(2020年9月)は「第27回 変わる株主総会」で、この連載は全回を気候ネットワークの「【隔月刊 地球温暖化】平田仁子と読み解く、パリ協定後の気候変動対策」から読むことができます。
第27回 変わる株主総会(2020/09)第26回 「ゼロ」の意味を考えるとき(2020/7)
第25回 新型コロナウイルスは、気候変動対策にどのような意味をもたらすのか?(2020/5)
第24回 今年、各国の行動はどこまで引き上げられるのか?(2020/3)
第23回 2020年、パリ協定の本格始動~未来を決定づける10年へ (2020/1)
第22回 石炭火力の建設ラッシュ 本当に建てるの!? (2019/11)
第21回 子どもたちの訴えに応えられるのか 9月20〜27日は気候ウィーク (2019/9)
第20回 CCS・CCUへの危うい期待〜未来の選択肢になり得るのか (2019/7)
第19回 どうなる?日本の長期戦略〜脱炭素社会への「道すじ」の描き方 (2019/5)
第18回 仕事が変わる〜脱炭素社会への移行が伴う労働・雇用の移行 (2019/3)
第17回 COP24、パリ協定の実施指針に合意〜これからは本格実施ステージへ (2019/1)
第16回 これから10年の行動が地球の未来を左右する~IPCC特別報告が私たちに問いかけるもの~ (2018/11)
第15回 脱炭素社会を牽引する市民・NGO (2018/9)
第14回 脱炭素社会の実現に向けた長期戦略を描くとき (2018/7)
第13回 ダイベストメントはもう止まらない (2018/5)
第12回 気候変動対策をとらないと訴えられる? (2018/3)
第11回 COP23からマクロン・サミットへ (2018/1)
第10回 再エネ100%イニシアティブ「できる」「できない」の議論を乗り越えて (2017/11)
第9回 運用始まる「緑の気候基金(GCF)」 日本はどう役割を果たせるか (2017/9)
第8回 トランプ大統領にも止められないー率先して動き出す企業イニシアティブ (2017/7)
第7回 企業にとっての気候リスク〜リスクの情報開示が常識に! (2017/5)
第6回 日本はどこへ向かうのか〜迷走中、それとも逆走中? (2017/3)
第5回 それでも世界が動いていく〜トランプ・ショックを乗り越えて (2017/1)
第4回 祝!パリ協定発効〜世界はなぜこれほど早く動いたのか? (2016/11)
第3回 政策と市場の両方で加速する「脱石炭」の動き (2016/9)
第2回 パリ協定は2016年中に発効する!? (2016/7)
第1回 ポスト・パリ協定:脱炭素化へ向けた新時代の幕開け (2016/5)
市民の森保全クラブ、8月最終の定例活動日です。参加者は芦田さん、澤田さん、鳥取さん、細川さん、渡部さん、Hikizineの6名。市民の森林床の下草刈り、マスコット防腐剤塗り、C地区の物置付近の草刈りをしました。
※ハチに注意。救急箱にポイズンリムーバー、精製水、抗ヒスタミン軟膏があるか点検します。
ハチにご用心(2018年10月10日記事)
スズメバチに刺されたら流水で洗う(2014年8月8日記事)
※アシナガバチ類の巣の検索表
ミュージアムパーク茨城県自然博物館の資料ダウンロードの頁「飯沼川の自然を調べよう」から「昆虫調査プログラム (12~16中の15「アシナガバチ類の古巣を見つけよう(ハチの古巣から地域の自然度を調べる=地域の自然を知る)」
※アシナガバチの駆除方法(西宮市環境衛生課)
アシナガバチは、夜に殺虫剤を吹き付けることができれば駆除できます。
岩殿F地区の上段の草刈りをしました。朝日が当たらない内に刈れる範囲(ボッシュ林側)です。無名沼ロ号側は後日、日が当たっていない時間帯に刈ります。
F地区の上段は前回、5月31日に草刈りをしています。
この場所で最初に草刈りをしたのは2015年12月、里山再生ボランティア養成講座(公益財団法人サイサン環境保全基金助成事業)の刈払機の草刈り実習の時でした。2015年12月12日、13日、15日の記事にある岩殿C地区、F地区の写真を見ると、当時はアズマネザサとセイタカアワダチソウの大藪だったことが想い出されます。ここの草刈りはセイタカアワダチソウ群落の繁茂を抑え、草丈を低くすることを目標にして来ました。今回は30㎝程度で草刈りをしたので、10月中旬には昨年とは違う景観になっていることでしょう。どうなっているか楽しみです。2018年10月18日の写真もあります。セイタカアワダチソウの成長を草刈りによって抑制し続けると、優占種がどのように経年的に変化していくのか、草刈りとモニタリングを続けていきたいと思います(2018年10月15日の記事も参照)。
岩殿F地区のニワトコの樹皮をシカが食べたのではという記事(2019年2月5日)でニワトコがシカの採食植物なのか不嗜好性植物なのかとりあげていますが、今回の草刈りでオオバギボウシの葉が何ものかに食べられているのを発見しました。8月24日の記事にある「シカが食べる植物・食べない植物リスト」ではオオバギボウシは「鹿の大好物」になっていますが、シカが食べたのでしょうか?
今日は日が変わる頃から雨雲が発生し、午前6時までに鳩山町役場4㎜、鳩山アメダス3㎜、白山中学校10㎜、松山第2小学校9㎜の累加雨量がありました。雨量が違うのは雨雲が小さかったせいでしょう。地面が湿気ったのでオオブタクサが抜きやすくなっていて、岩殿G地区と入山沼堰堤で合わせて150本ほど抜き取りました。G地区のオギ群落内には3m位の高さに伸びているものもありましたが、前回は6月7日に抜き取っていたので本数はずっと減っていました。
G地区ではセイタカアワダチソウも抜きました。
F地区のボッシュ林側にはヤブミョウガが咲いています。
昨夕から岩殿C地区の休耕中の田んぼの草刈りをはじめました。


昨日午後7時過ぎ、日が落ちて真っ暗になった農道でシカ2頭に遭遇しました。目撃は2回目です。岩殿地区一帯でも実効的なイノシシ・シカ対策を本気で考え実施しなければならない時が迫っきているようです(→2019年2月5日の記事、2018年10月22日の記事)。
※シカが食べる植物、食べない植物
長野県南佐久郡南牧村にある八ヶ岳高原海ノ口自然郷オーナー会のブログに掲載されている記事「いよいよ夏本番!、鹿が食べない植物・食べる植物……」(2014年7月29日)。自然郷自生種をリストアップしたのだそうです。市民の森と周辺に自生しているものがたくさんありますね。
◆シカが食べる 植物(シカの食害対策が必要なもの)アオスズラン、アキノキリンソウ(あまり食べないが、でも食べる)、アズマギク、イブキボウフウ、ヤブジラミ、ウメバチソウ、オオウバユリ(鹿の大好物)、オカトラノオ、オキナグサ(鹿の大好物)、オミナエシ(鹿の大好物)、カラマツソウ、カワラナデシコ、オオバギボウシ(鹿の大好物)、コバギボウシ(鹿の大好物)、クガイソウ(鹿の大好物)、クサボケ(鹿の大好物)、クサボタン(鹿の大好物)、クサレダマ、クルマユリ(鹿の大好物)、クロユリ(鹿の大好物)、コオニユリ(鹿の大好物)、コミヤマカタバミ、サラシナショウマ、シモツケ、シモツケソウ、ショウジョウバカマ、シラヤマギク、センブリ、ソバナ(鹿の大好物)、タカネバラ(鹿の大好物)、タチツボスミレ、タマガワホトトギス(鹿の大好物)、タムラソウ(鹿の大好物)、チゴユリ、チダケサシ類、ツバメオモト(鹿の大好物)、ツボスミレ、ツリガネニンジン(鹿の大好物)、トモエシオガマ(鹿の大好物)、ニガナ、ノコンギク(鹿の大好物)、ヒロハノマンテマ、フウロ類(グンナイフウロ、アサマフウロ、ハクサンフウロ、タチフウロ、など)、フシグロセンノウ(鹿の大好物)、ホソバノキソチドリ、マイヅルソウ(ウサギにも食べられる)、マツムシソウ(鹿の大好物)、ミヤマエンレイソウ(鹿の大好物)、ミヤマハンショウヅル、ヤナギタンポポ、 ヤナギラン(鹿の大好物)、 ヤマアヤメ、ヒオウギアヤメ、ヤマシャクヤク、シロバナヤマシャクヤク、 ヤマユリ(鹿の大好物)、ユウガギク(鹿の大好物)、ユウスゲ、ニッコウキスゲ、リンドウ、ワレモコウ(鹿の大好物)
◆基本的には シカが食べない植物 ( シカの食害をあまり被らないもの )
アカバナ、アザミ(フジアザミ、ノアザミ、ノハラアザミ、タイアザミなど。時々食べられている)、イカリソウ、イケマ、イチヤクソウ類、イブキジャコウソウ、シロバナイブキジャコウソウ、イワカガミ(ウサギには食べられている)、イワニガナ(別名:ジシバリ)、ウサギギク、ウスユキソウ(時々食べられる)、ヤマハハコ(時々食べられる)、ウツボグサ、オオヤマフスマ(別名:ヒメタガソデソウ)、オトギリソウ、シナノオトギリ、コケオトギリ、オサバグサ、キオン、キケマン、キジムシロ、キリンソウ、キンポウゲ、キンミズヒキ、ミズヒキソウ、クサフジ、クモキリソウ、クリンソウ、クルマバナ、イヌゴマ、クワガタソウ、ケブカツルカコソウ、コウリンカ、サクラソウ、ササバギンラン、サワギキョウ、サワギク(別名:ボロギク)、サンリンソウ、シラタマノキ、シャクナゲ、スズラン(実際には食べられている。しかし、食べたらシカは死ぬ)、センボンヤリ、ダイコンソウ、チダケサシ、ハナチダケ、ツマトリソウ(時々は食べられている)、ツリフネソウ、キツリフネ、トリカブト(時々食べられている)、ノコギリソウ、ハナイカリ(時々食べられている)、ハルリンドウ、ヒメイチゲ、ベニバナイチヤクソウ、ホタルサイコ、マムシグサ類(ヒロハテンナンショウ、コウライテンナンショウ)、マルバダケブキ、ミツバツチグリ、ミツバツツジ、ミヤマモジズリ、ヤブレガサ、ヤマオダマキ(時々食べられている)、ヤマホタルブクロ(時々食べられている)、ヤマラッキョウ、ラショウモンカズラ、ルイヨウボタン、レイジンソウ、レンゲツツジ
岩殿E地区の草刈りが終わりました。
ワレモコウ(バラ科)が咲いています。
2017年8月1日の記事にも書いているマメコガネについて。上の写真のようにマメコガネの食害が目立ちます。地面に近いところの葉を食べられていませんし、近くには被害のないワレモコウもあって局所的です。この写真にはマメコガネは写っていませんが、成虫の発生時期は6月~10月の年1回、寿命は2週間ほど。昼行性で、日ざしが強い時間帯に群がるようにいるのは葉の摂食だけでなく生殖と関わっているのでしょう。夜間は葉上にはいません。マメコガネは日本在来種です。英語では「Japanese Beetle (日本のコガネムシ)」といって、日本からアメリカに侵入したのは1910~20年頃で、果樹などの樹木の害虫として甚大な被害をもたらしました(シンジェンタ「虫害ポケットブックオンライン版」)。
マメコガネの生態・防除法などについては
(『日本農業新聞』2013年5月8日)
(Life Lab)
(暮らしーの)
岩殿E地区の下半分、セイタカアワダチソウの群落の刈り取りをしました。
8月中旬の刈り取りで今後、どの程度、セイタカアワダチソウの成長が抑制されるでしょうか(開花する時期の遅れや花序の小型化など)←「セイタカアワダチソウの分布拡大成功仮説」(2018年10月27日記事)、「草地の植生管理の手法」(2018年10月24日記事)。2019年9月21日と今年は5月20日に刈っています。今回、草丈が一様に揃い、低くなってきていると感じました。
今日は関東を中心に猛烈な暑さとなり、14:42に群馬県伊勢崎市、14:31に桐生市で40.5℃(歴代13位、8月11位)、13:49に鳩山町で40.2℃を観測しました。日本全国で40℃以上を記録するのは去年8月15日に新潟県寺泊で40.6℃を観測して以来。関東で40℃を超えるのは、2018年7月23日に熊谷で日本歴代最高の41.1℃を観測して以来。
今日の最高気温(8月11日)
埼玉県のアメダス実況、日最高・最低気温(8月11日)
※江守正多「豪雨も猛暑も、地球温暖化が進む限り増え続けるという現実に目を向けよう」
(Yahoo!ニュース 2018.07.24 18:04)
(Yahoo!ニュース 2018.07.24 18:04)
●なぜ「地球温暖化は人間のせいである」といえるのか
●異常気象の増加は地球温暖化のせいか
●地球温暖化が続く限り、豪雨も猛暑も増え続ける
●異常気象の増加は地球温暖化のせいか
●地球温暖化が続く限り、豪雨も猛暑も増え続ける
※江守正多「豪雨も猛暑も、地球温暖化が進む限り増え続けるという現実に目を向けよう(続編:ではどうすればよいか)」
(Yahoo!ニュース 2018.08.06 07:01)
●大規模水害への防災にともなう社会的難問
●気候変動適応法の下で自治体レベルの議論を
●日本人は「脱炭素」の必要性を実感できるか
●「脱炭素」を前向きに志すとき
(Yahoo!ニュース 2018.08.06 07:01)
●大規模水害への防災にともなう社会的難問
●気候変動適応法の下で自治体レベルの議論を
●日本人は「脱炭素」の必要性を実感できるか
●「脱炭素」を前向きに志すとき
※江守正多「豪雨は温暖化のせいか?せいではないか?問題(豪雨報道を検証する)」
(Yahoo!ニュース 2020.07.20 07:00)
1. 「豪雨が地球温暖化の影響だ」とはどういう意味か?
(Yahoo!ニュース 2020.07.20 07:00)
1. 「豪雨が地球温暖化の影響だ」とはどういう意味か?
[傾向・一因]:近年の大雨の増加傾向は、地球温暖化が少なくとも一因だ
[傾向・主因]:近年の大雨の増加傾向は、地球温暖化が主な原因だ
[今回・一因]:今回の大雨は、地球温暖化が少なくとも一因だ
[今回・主因]:今回の大雨は、地球温暖化が主な原因だ
2. 命題の真偽
3. 報道では何と言っていたか
4. 温暖化のせいか、せいでないかは、なぜもめるのか?
●付録1. 大雨の増加傾向は本当にあるか?
●付録2. 水蒸気が増えると降水量が増えるといえるか?
●付録3. 日本の水害死者数は減り続けているか?
[傾向・一因]:近年の大雨の増加傾向は、地球温暖化が少なくとも一因だ
これは科学的に妥当だ。気温の上昇傾向により水蒸気も増加傾向にある。それが、大雨が増加していることの少なくとも一因であることは間違いない。
[傾向・主因]:近年の大雨の増加傾向は、地球温暖化が主な原因だ
これは現時点でいえないだろう。降水量の変化は自然変動が大きい、つまり、気圧・風パターンの発生の仕方が非常にランダムなので、実際のデータから地球温暖化の効果を取り出すのが難しい。
[今回・一因]:今回の大雨は、地球温暖化が少なくとも一因だ
これも筆者の考えでは妥当である。仮に温暖化していないときにまったく同じ気圧・風パターンが発生したら、水蒸気が少ない分だけ雨量が少なかったのは間違いない。この意味において、地球温暖化は今回の大雨の少なくとも一因といえる。
[今回・主因]:今回の大雨は、地球温暖化が主な原因だ
これはいえないとしておこう。今回の大雨の主な原因は気圧・風パターンやそれに影響を与えた海面水温パターン(インド洋の高温など)であるというのが普通だろう。
まとめると、増加傾向についても一回のイベントについても、地球温暖化が一因というのは妥当で、主因とはいえない、というのが筆者の見解である。
3. 報道では何と言っていたか
近年の気象災害の激甚化は地球温暖化が一因とされています。(令和2年版 環境白書)と書いてあり、安心した。
4. 温暖化のせいか、せいでないかは、なぜもめるのか?
「温暖化のせいではない」に同調しがちな人には、ぜひそのリスクを一度よく考えて頂けたらと思う。
●付録1. 大雨の増加傾向は本当にあるか?
●付録2. 水蒸気が増えると降水量が増えるといえるか?
●付録3. 日本の水害死者数は減り続けているか?
件の記事では、防災能力の向上により日本の水害による死者数は大幅に減少してきたことを強調している。
これはもちろん過去には正しいが、示しているグラフは2001年までである。死者数の減少は近年下げ止まっており、2004年には200人を超える死者、2011年と2014年には100人を超える死者が出ている。2018年の西日本豪雨でも死者は200人を超えた。
防災インフラが整備された先進国であるはずの日本において、未だに100人を超える水害死者が出ることが防災関係者に危機感をもたらしてきた。先日、国土交通省の委員会から発表された「気候変動を踏まえた水災害対策のあり方について」では、「施設能力を超過する洪水が発生することを前提に」した水災害対策の転換が謳われている。
この文脈において、「これからもインフラが守ってくれる」と受け取れるような過度に楽観的なメッセージを発することは不適切と思われる。
※社会資本整備審議会「気候変動を踏まえた水災害対策のあり方について~あらゆる関係者が流域全体で行う持続可能な「流域治水」への転換~」答申概要資料(2020年7月)
市民の森保全クラブの定例作業日です。参加者は芦田さん、新井さん、金子さん、木庭さん、澤田さん、鳥取さん、細川さん、鷲巣さん、渡部さん、Hikizineの10名です。
渡部さんがマスコットを作ってきてくれました。尾根の道の登り口に置いてあります。愛称を募集します。
旧エリア南向斜面の林床の下刈りをしました。雨天や現場の状態が悪いので7月10日、17日、26日、31日と4回連続で作業を中止したので久しぶりの再会で話がはずみました。
江守正多さんの「石炭火力からの卒業がやっぱり日本でも合理的である5つの理由」(Yahooニュース 2020.07.13 06:00)です。
7月3日以来、経済産業省がエネルギー政策の転換を思わせる方針を次々に打ち出している。旧式の石炭火力発電所の大部分を2030年までに休廃止、再エネ拡大のために送電網の利用ルールを見直し、また、政府の方針として石炭火力の輸出支援を厳格化、といった具合だ。2018年に定められた第5次エネルギー基本計画を具体化しているだけだというが、筆者には潮目の変化のように感じられる。1. 脱炭素は待ったなし
気候変動対策の緊急性の認識が世界で高まり、CO2排出量の大きい石炭火力への風当たりが強くなっている。ほとんどの先進国が脱石炭に向かう中で、日本政府が石炭火力を維持する姿勢は世界から強い批判にさらされてきた。
日本の言い分は、日本には国内資源が乏しい、面積に比して人口密度が高くエネルギー需要が大きい、隣国とつながる送電網が無い、といった理由でエネルギー安定供給のための火力発電、とりわけ資源調達の容易な石炭火力をある程度維持したいということだろう。
環境NGOなどはこれを言い訳と見ており、今回の方針に対しても批判的な姿勢を崩していないが、筆者はある程度もっともな言い分だと思っている。しかし、それでも遠からぬうちに日本も石炭火力を卒業するのが合理的だと思う。筆者はエネルギーの専門家ではないので技術や経済の詳細な議論には立ち入らず、大局的な観点からその理由を5つ述べたい。
2. 世界が脱炭素した暁には日本は「勝ち組」
やはり昨年発表されたノルウェー等の研究者による論文で、世界のエネルギー転換による(つまり、いつの日か世界のエネルギーが化石燃料から再エネに完全に置き替わった場合の)各国の地政学的な損得を分析したものがある。
その結果によると、日本は明らかな「脱炭素勝ち組」なのだ。資源量のみに注目した場合、人口密度に比して再エネ資源がそれほど豊富ではないので評価は中程度になるが、貿易への影響を考慮するとぐっと評価が上がる。化石燃料輸入のために国外に流出していた年間20兆円前後が国内で回るようになるのだから当然だ。国内秩序の安定性を考慮に入れるとさらに評価が上がる。
国益を考えるならば、日本は全力で世界の脱炭素化を目指すのが合理的なのである。
3. 日本の再エネポテンシャルは十分にある
そんなことをいっても、日本国内の再エネで日本のエネルギー需要がまかなえないと仕方がないじゃないかと思うだろうが、どうやらその点は大丈夫である。
環境省による最新の調査によれば、日本の再エネ導入ポテンシャルは年間発電電力量にして73,000億kWh、そのうち経済性を考慮した導入可能量は26,000億kWh程度と見積もられている。その内訳は洋上風力が6割、陸上風力と太陽光が各2割程度である。この導入可能量は日本の現在の消費電力量の2倍以上であり、熱量換算すると9.4エクサジュールで、最終エネルギー消費量の13エクサジュールにせまる数字である。
日本の再エネポテンシャル(発電電力量)。環境省資料より。
つまり、単純計算では、日本の電力をすべて再エネでまかなうことは十分に可能である。火力発電も原発も必要ない。さらに、技術進歩等により経済性が少し改善されれば、燃料等を含む一次エネルギー全体を再エネでまかなうことも視野に入るといえるだろう。
もちろんこれが可能になるためには、送電網の増強や、需給バランスを確保するための蓄電設備やデマンドレスポンス(需要側の調整)などへの投資や制度整備が必要なので、すぐにできると言っているのではない。究極的に(といっても30年で、できればもっと早く)これを目指すという話である。
ここで、メガソーラーの自然破壊などの心配も出てくると思うが、環境アセスメントも廃棄費用の積み立ても義務化されたので、乱開発は是正されるだろう。
4. 石炭火力でもうかりますか?
経産省の方針では高効率の石炭火力は維持、拡大するといわれており、環境NGOはこの点を特に批判している。しかし、石炭火力を新設しようとする事業者がどんなふうに経済的な合理性を見込んでいるのかが、筆者にはわからない。再エネのコストはどんどん安くなっており、世界の多くの地域(英国のシンクタンクCarbon Trackerの報告によれば日本も含む)で既に新設の石炭火力よりも新設の再エネの方が安い。この傾向は今後さらに拡大していくだろう。また、再エネが増えるほど、火力発電は出力制御をしなければいけなくなるので、稼働率が落ちて収益性が下がる。

本格的なカーボンプライシング(炭素税や排出権取引)が日本でも導入されれば、石炭火力のコストはさらに上がる。すぐに導入されるかはわからないが、10~20年にわたって導入されないと想定する事業者はさすがに楽観的すぎるだろう。CCSを後付けできればカーボンプライシングはかからないが、もちろんCCSのコストがかかる。5. やがて常識が変わるだろう
もしも筆者が石炭火力を計画中の事業者の立場であったならば、全力で引き返す判断をするだろう。既に投資してしまった額によっては辛い判断になるかもしれないが。
……やがて技術的にも経済的にも脱炭素が可能だと誰もが思うようになり、CO2を出さずにエネルギーを作ることが世界の常識になる時代が来るだろう。そのときの新しい常識から現在をみると、「あの頃はひどいことをしていた」と評価されるにちがいない。特に、脱炭素の選択肢があるのを知りながら、CO2を多く排出するインフラを新たに作ることは、きわめて悪質な行為として後世の人たちから厳しい倫理的な批判にさらされるだろう。
※石井徹「見えてきた石炭の「終わりの始まり」 感謝しつつ別れたい」
(朝日新聞GLOBE+ 2017.10.01)
(朝日新聞GLOBE+ 2017.10.01)
石炭は嫌いじゃなかった。小学生だった1960年代、冬場になると、当番はみんなより早く登校して、教室のだるまストーブに火をつけた。なかなか火がつかないが、赤々とした炎は「エネルギーの塊」を感じさせた。だがそんな石炭の時代も、終わりが見えかけてきた。さて、どう石炭と別れよう。
身の回りの燃料は石油やガスに替わり、石炭を手にする機会はなくなった。57歳の私は、石炭に触れた最後の世代ではないかと思う。ただ、目の前から消えたからと言って、石炭の時代が終わったわけじゃない。世界ではいまも主要なエネルギーの一つだし、日本ですら、電気の3割は石炭が担っている。
ところが、その石炭にもついに終わりの兆しが見えてきた。地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)を大量に出すことが理由だ。流れは2015年のパリ協定で決定的になった。
簡単じゃないことは分かっている。けれど、どうせ別れるなら、きっぱりと別れたい。
●インド 石炭電力が余り出した
●イギリス 産業革命からの卒業
●ドイツ 別れるには時間がかかる
●イギリス 産業革命からの卒業
●ドイツ 別れるには時間がかかる
●時代に逆行、依存強める日本●念入りに準備をして別れよう
日本では石炭の時代はすでに終わったと思っている人は多いが、とんでもない。国内の石炭消費量は、2度の石油ショック以降再び増加に転じ、2015年は1960年代の倍以上の約1億9000万トンになっている。6割が発電などで4割が鉄鋼関連で使われている。99%以上がオーストラリアなどからの輸入で、世界3位の輸入大国だ。
日本経済の変わり身の早さには、ある意味で感心する。戦後の増産政策で、国内には50年代に1000以上の炭鉱があり、45万人以上が働いていた。
それが、海外炭が安いと見るや、軸足を移す。70年には国内炭との割合が逆転。国際競争力がないという理由で合理化の嵐が吹き荒れ、閉山が相次いだ。現在残る炭鉱は、北海道の坑内掘りの1炭鉱と、露天掘りの7炭鉱だけだ。
しかも、閉山は突然だった。82年10月に閉山した北海道夕張市の北炭夕張新鉱の閉山発表は1カ月半前だった。約2000人の従業員は全員解雇された。97年3月に閉山した福岡県大牟田市の三井三池炭鉱も1カ月半前で、1200人の全従業員が解雇された。閉山の決定から実施までに10年をかけて
準備を進めたドイツの炭鉱との違いを感じざるを得ない。
事実上財政破綻(はたん)した北海道夕張市の鈴木直道市長(36)が「産炭地はどこも苦しんでいる。国策でやってきたことなのだから、もっと国のサポートがあってもいい」とぼやくのも分かる。
世界が石炭と別れようと動き出している中で、国内炭をあっさり見切った日本は石炭火力発電に固執している。福島原発事故後、建設計画が相次いでいるのだ。環境NGOの調査では、2012年以降、全国で49基(計2300万キロワット)が計画された。4基は事業リスクなどを理由に中止を決めたが、まだ相当数が生きている。
日本には、エネルギー構造を化石燃料から自然エネルギーに変えていくための強い政策がない。電力会社や産業界は、自分たちの力が及ばない自然エネルギーのような小規模分散型電源より、原発や火力発電のような大規模集中型電源が根本的に好きなのだ。
海外の石炭への投融資についても、各国が控える動きを見せている中で、日本は「高効率石炭火力発電技術で世界の温暖化防止に貢献する」という姿勢を変えていない。世界自然保護基金(WWF)などの調査では、07~14年の国際的な石炭関連事業(採掘、発電など)への公的金融機関による投融資額は、日本が1位だった。
「化石燃料時代の終わり」を示したパリ協定には、すべての国が合意した。唯一の超大国である米国の大統領が離脱を表明しても、協定が揺らぐ兆しはない。◆石炭とは ◆石炭から逃げる投資 ◆温暖化の現状
今回の取材で改めて思い知ったのは、エネルギーの主役はコストが決めるということだ。自然エネルギーのコストは、火力や原子力を下回るようになった。今後はさらに安くなっていくだろう。温暖化や原発のリスクを第一の理由に、世界が脱炭素へと動いているわけではない。自然エネルギーが安くなったから、一斉に走り出したのだ。
化石燃料との別れは不可避だ。であれば、仕事がなくなる人たちのことも考えて、各国の状況に応じた準備を急ぐべきだろう。
心配なのは、日本だ。国内炭鉱の閉山の時と同じように、ぎりぎりまで別れないそぶりを見せていて、急に態度を変えるのではないか。そうなると、これまでの化石燃料への投資を回収することが難しくなり、出遅れた日本経済は大きな打撃を被ることにならないか。
どうせ別れるのだから、きっちりと準備して、これまで世話になったことに感謝して別れたい。後腐れや恨みっこは、なしで。
JCIウェビナー「石炭火力を考える」(7月28日)の2本の講演の後のパネルディスカッションと質疑です。YOUTUBEでの開始時間を入れておきます。
JCIウェビナー「石炭火力を考える」
(2020年7月28日 zoomウェビナーおよびYouTubeライブ配信 10:30~12:00)
4.パネルディスカッション
高村ゆかり 東京大学未来ビジョン研究センター教授
平田仁子 気候ネットワーク国際ディレクター/CAN Japan 代表
大野輝之 自然エネルギー財団常務理事
5.質疑応答(司会:田中健)
高村ゆかり 東京大学未来ビジョン研究センター教授
平田仁子 気候ネットワーク国際ディレクター/CAN Japan 代表
大野輝之 自然エネルギー財団常務理事
5.質疑応答(司会:田中健)
4. パネルディスカッション 46:35~1:17:03
●高村ゆかり 48:10~57:19 1:04:10~1:10:53
●平田仁子 57:30~1:01:53 1:11:25~1:15:22
●大野輝之 1:01:55~1:01:30 1:15:22~1:17:03
5.質疑 1:17:05~1:40:54
●脱石炭で生じる問題 平田仁子 1:18:22~1:22:55
●再エネを普及していく上での課題 滝澤元 1:23:05~
●日本政府が石炭火力に固執する理由 高村ゆかり 1:24:41~1:28:50
●再エネの価格 大野輝之 1:28:57~1:30:50
●まとめの質問:様々な意見を政策に反映するには? 1:31:00
平田 1:31:50~1:34:14
瀧澤 1:34:20~1:35:06
高村 1:35:10~1:38:28
大野 1:38:36~1:40:17
●高村ゆかり 48:10~57:19 1:04:10~1:10:53
●平田仁子 57:30~1:01:53 1:11:25~1:15:22
●大野輝之 1:01:55~1:01:30 1:15:22~1:17:03
5.質疑 1:17:05~1:40:54
●脱石炭で生じる問題 平田仁子 1:18:22~1:22:55
●再エネを普及していく上での課題 滝澤元 1:23:05~
●日本政府が石炭火力に固執する理由 高村ゆかり 1:24:41~1:28:50
●再エネの価格 大野輝之 1:28:57~1:30:50
●まとめの質問:様々な意見を政策に反映するには? 1:31:00
平田 1:31:50~1:34:14
瀧澤 1:34:20~1:35:06
高村 1:35:10~1:38:28
大野 1:38:36~1:40:17
JCIウェビナー「石炭火力を考える」(7月28日)の講演②「石炭火力輸出の中止と自然エネルギー支援への転換が必要な4つの理由」(瀧澤元 自然エネルギー財団 上級研究員)です。資料スライドと、YOUTUBEでの開始時間を入れておきます。
●2020年 動き出したが、不十分な日本の脱石炭火力 29:21~
2/18 小泉環境大臣、石炭火力輸出の見直し表明
2/12 自然エネルギー財団 「日本の石炭火力輸出政策5つの誤謬」発表
4/1 環境省、石炭火力輸出ファクト検討会発足4/21 自然エネルギー財団 「アジアで進む脱石炭火力の動き」環境省ファクト検討会へ提出
5/14 環境省「石炭火力輸出ファクト集」取りまとめ
5/21 経産省「インフラ海外展開懇談会」中間取りまとめ
7/3 梶山経産大臣、国内非効率石炭火力の削減を表明
7/9 経協インフラ戦略会議、石炭火力”原則”輸出しない
【インフラ輸出戦略】「我が国が相手国のエネルギーを取り巻く状況・課題や脱炭素化に向けた方針を知悉(ちしつ)していない国に対しては、政府としての支援を行わないことを原則とする」➡現在進行中のプロジェクトや”高効率”と位置付ける石炭火力の輸出は継続
7/9 自然エネルギー財団 「石炭火力輸出の完全な中止と自然エネルギー支援への転換を」公表
[7/22「石炭火力輸出の中止と自然エネルギー支援への転換が必要な4つの理由」(自然エネルギー財団)] 7月22日

●石炭火力輸出の完全な中止と自然エネルギービジネスへの転換が必要な4つの理由 31:34~
1 「日本の石炭火力発電効率は世界でトップ」という主張は、もはや通用しない
■ 経産省報告書、環境省検討会への電力会社提出資料でも、石炭火力輸出政策の最大の根拠だった「日本の石炭火力発電効率は世界でトップ」という主張が、もはや通用しないことが明確に。
■ 鈴木外務副大臣は「日本が生産をしている1段再熱のUSCよりも、中国のみで生産できている2段再熱のUSCのほうが効率がよく、費用的にも日本のものに比べて高くはないという記述がある。もし、この記述が本当だとすれば、日本の技術が優れているという輸出の前提が変わってしまう」との見解を表明(環境省検討会第3回発言)
2 「石炭火力と脱炭素化の両立」の非現実性
■ 経産省報告書が提唱するIGCC、CCSなどの「脱炭素化」技術は、削減効果が小さく、高コスト、技術も未確立。事業者自身の資料によっても、現在の輸出プロジェクトに利用できるものではないことが明らか。
3 東南アジアには自然エネルギー開発、送電網整備など大きなビジネスチャンスが存在
■ 東南アジアには、電力需要を満たすために十分以上の大きな自然エネルギーポテンシャルがある。
■ 太陽光などの発電コストは急速に低下し、石炭火力に対して価格競争力を有するようになっている。
■ 既にインドシナ半島には国際送電網が存在。島しょ部でも建設・計画が進む。その促進こそインフラ輸出のビジネス機会。
4 多くの企業・金融機関が既に石炭から自然エネビジネスへの転換を進めている

●1 競争力を失った日本の石炭火力プロジェクト 32:16~
●2 「石炭火力と脱炭素化の両立」の非現実性①IGCC 33:59~
●2 「石炭火力と脱炭素化の両立」の非現実性②CCS 36:16~
●3 東南アジアの自然エネルギービジネスの大きな可能性 太陽光・風力のコスト低下 38:25~

●3 東南アジアの自然エネルギービジネスの大きな可能性①開発ポテンシャル 40:27~
●3 東南アジアの持続可能な未来 ■東南アジアの未来3つのシナリオ:日本はどの未来を支援するのか 41:50~
•「世界エネルギー見通し2019(WEO2019)」は、東南アジアの「現状政策(CPS)」、「公表政策(SPS)」、「持続可能政策(SDS)」の3つのシナリオを描く。
•石炭火力発電量は、現在より現状政策で3倍、公表政策でも2倍になる。
•公表政策でも、2040年までの設備容量の増加は、自然エネルギー電源が石炭火力の2倍程度。しかし、このシナリオでも、エネルギー起源CO2は、60%増加する。•日本が、世界の気候変動対策に貢献するためには、パリ協定に整合する持続可能政策に沿った電源開発を支援すべき。
●4 多くの企業・金融機関が既に石炭から自然エネビジネスへの転換を進めている 43:15
■環境省検討会に提出された各企業の資料からは、金融機関、商社は脱石炭の方向に舵を切っており、電力会社も、石炭火力の必要性は言いつつ東南アジアでは新規開発を予定していないことが明らかになった。
■ごく一部の企業以外、日本のビジネスは脱炭素への選択を行っている。
●石炭火力輸出の中止と自然エネルギー支援への転換が必要な理由まとめ 45:15~46:25
1. 日本政府はパリ協定にコミットしており、「世界の脱炭素化を牽引するとの決意の下、高い志と脱炭素化のための取組を積極的に推進していく姿勢を力強く内外に示」すとしています(パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略)。
したがって、政府のインフラ輸出戦略もパリ協定の実現に向けた戦略と整合的であることが必要です。
2. 経産省報告書は、IEAの公表政策シナリオに依拠して「2040年には、化石燃料発電の割合は相対的に減少するが、例えばアジア太平洋地域では依然5割を占めることが見込まれ」るとし、これを石炭火力支援を継続する理由としています。
しかし、公表政策シナリオでは、2040年の東南アジアのエネルギー起源CO2排出量は2018年より60%も増加してしまい、パリ協定の目標と整合しません。公表政策シナリオを前提として日本のインフラ輸出戦略を決めるのでは、パリ協定に対する政府のコミットメントと矛盾してしまいます。
3. 石炭火力輸出を合理化する最大の根拠であった「日本の石炭火力発電効率は世界でトップ」という主張が根拠を失う一方で、東南アジアにおける自然エネルギー開発、送電網整備には、大きなビジネスチャンスが存在しています。
4. 環境省検討会においても、経産省報告書においても、多くの日本企業が自然エネルギー拡大とその関連ビジネスに積極的に乗り出していることが示されています。
5. 世界の気候変動対策に貢献するためにも、日本のビジネス展開の促進のためにも、「インフラ輸出戦略」を見直し、石炭火力輸出政策を完全に中止し、自然エネルギービジネス支援に転換すべき時です。
JCIウェビナー「石炭火力を考える」(7月28日)の講演①「国内の石炭火力フェーズアウトの必要性」 (平田仁子 気候ネットワーク国際ディレクター/CAN Japan 代表)です。資料スライドと、YOUTUBEでの開始時間を入れておきます。
講演1 平田仁子「国内の石炭火力フェーズアウトの必要性」 資料PDF 8:37~[YouTube]
●気候危機の回避に求められること パリ協定との整合性(1) 2050年ネットゼロ 9:18~ 9:39~
●気候危機の回避に求められること パリ協定との整合性(2) 石炭火力の利用抑制 9:35~ 9:38~ 10:38~
●これからの経済再生策が決定的に重要 9:36~ 12:27~
●発電電力量の推移 13:42~
●2012年以降の石炭火力発電所の新増設 多数の石炭火力発電所が建設・運転開始している 14:38~
●廃止計画を持たない日本 石炭火力の発電容量が急増している 16:01~
●日本の石炭火力発電に関する対策・政策はG7で最低ランキング 16:29~
●[化石賞] 17:35~
●国の石炭火力政策① ー東日本大震災後 18:28~
石炭火力発電の開発へのゴーサイン●国の石炭火力政策② 19:28~
エネルギー基本計画での位置付けと、それとの整合を図る施策●電気事業者の供給計画とりまとめ 20:48~
2029年に石炭火力37%にまで増えてしまう●経済産業省 石炭火力の抑制:非効率石炭休廃止(100基・9割) 21:38~
●“非効率石炭火力の9割(100基)休廃止”の意味 22:15~
古いものは閉じるが、新しいものは今後も延命方針基数で9割・100基は大きく思えるが設備容量ではわずか2まる割減
●Climate Action 2019 23:21~
各国の行動を引き上げを要請 ●国連気候行動サミット2019(UN Climate Action Summit 2019)
●目標を立て毎年計画的に削減 23:51~
「2030年石炭火力フェーズアウト」の道筋が不可欠●「2030年石炭火力フェーズアウト」の実現に向けた市民・NGOの動き 24:36~
●今、求められること ー政策 25:13~
• 2030年目標(エネルギーミックス)の見直し• 「2050年CO2ネットゼロ」とともに石炭火力全廃を目標として掲げ、パリ協定との整合性を図ること
• ロードマップ策定と政策対応
• 既存発電の全廃への道筋を策定すること
• 新規計画の中止
• エネルギー転換を進める政策を経済再生の軸に
• カーボン・プライシング(経済的手法)• 再生可能エネルギー大幅拡大策(優先再生可能エネルギー大幅拡大策(優先給電・系統強化・市場設計))
●日本に求められることー需要側 26:19~27:55
• パリ協定の目標と整合させるビジョン・戦略と計画策定• TCFDの勧告に沿ったリスク把握とシナリオ分析
• 電力の脱炭素化の行動実践
• 目標設定
• イニシアティブ参加・コミットメント
• 電力購入基準設定
• 再エネ導入・自家消費
• 政策・社会への波及への貢献
• 取り組み共有
• 対話
• 支援
• 政策要請

※IGES気候変動統合チーム「ネット・ゼロという世界 -2050年 日本(試案)」定量的データで描き出す脱炭素社会の姿[公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)サイト 20200604]
本報告書は、日本において、どのようにネット・ゼロ社会の実現を図るのかということについて、問題提起を行うことをねらいとしている。第1章では、目標年として2050年を掲げ、ネット・ゼロ社会におけるエネルギー需要の動向を中心に定量的な分析を試みた。その結果、広範な社会変化を伴いながらネット・ゼロ社会を実現していくトランジションシナリオでは、ネット・ゼロの達成時には、CO2貯留に関するリスクの低減、及び化石燃料依存脱却によるエネルギー・セキュリティー向上に大きく貢献することが示された。第2章では、トランジションシナリオにおける社会全体の変化を都市と地域、暮らし、産業、適応という観点から展望した。第3章では、ネット・ゼロ社会に向けた主要な課題や論点を概観した。
※TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)[環境省サイト]
気候変動イニシアティブ(Japan Climate Initiative: JCI)は7月28日、「石炭火力を考える」をテーマに、ウェビナー(オンラインセミナー)を開催しました。ウェビナーでは2本の講演(国内・国外の石炭火力の動向について)とディスカッション、質疑応答が行われました。zoomウェビナーとYouTubeでライブ配信で600名が参加したそうです。
1.開会あいさつ(気候変動イニシアティブ(JCI)代表末吉竹二郎)
2.講演1「国内の石炭火力フェーズアウトの必要性」(平田仁子)
5.質疑応答(zoomのQ&A機能を利用)
司会:田中健(WWFジャパン 気候・エネルギーグループ)
日本は、CO2排出量の大きい石炭火力発電について、国内での新増設を進めるとともに、東南アジアなどの海外への輸出を支援し続けており、国際的にも大きな批判が寄せられてきました。プログラム
7月3日、梶山経済産業大臣は、国内の「非効率な石炭火力発電を2030年までにフェードアウトする」という方針を公表しました。しかしこれは、「高効率」と称する石炭火力を、2030年時点で30GW以上も温存するものだという批判が寄せられています。
また、石炭火力の輸出については、7月9日に政府が発表した新たなインフラ輸出戦略の中で、「支援しないことを原則とする」と定められました。しかし、支援の要件は厳格化された一方で、進行中プロジェクトの支援は継続されるとともに、いまだ新規の輸出を可能とする含みは残されています。
1.開会あいさつ(気候変動イニシアティブ(JCI)代表末吉竹二郎)
2.講演1「国内の石炭火力フェーズアウトの必要性」(平田仁子)
3.講演2「石炭火力輸出の中止と自然エネルギー支援への転換が必要な4つの理由」(滝澤元)
4.パネルディスカッション(高村ゆかり・平田仁子・大野輝之)5.質疑応答(zoomのQ&A機能を利用)
司会:田中健(WWFジャパン 気候・エネルギーグループ)
YOUTUBE(1:40:54)
『週刊東洋経済』(8月1日号)は「脱炭素待ったなし」の特集です。
特集:脱炭素 待ったなし目次地球温暖化の影響から自然災害が深刻化しています。そこに新型コロナウイルスが直撃。人々の移動が止まり石油需要が低迷し、多くのエネルギー企業が危機に瀕しています。
その一方で再生可能エネルギーシフトが世界主要国における経済復興政策の中心として浮上。日本でも非効率石炭火力発電所の停止など、踏み込んだ政策が動き出しました。
「脱炭素」に向けた規制はどこまで進んだのか。これから、どこまで強化されるのか。企業が意思決定を行ううえで不可欠な情報を盛り込んだ特集をお届けします。
Part1 石油の終焉
世界で相次ぐ巨額損失と破綻 石油・ガス企業の瀬戸際
「技術覇権争いで 日本は存在感保て」日本エネルギー経済研究所専務理事・首席研究員小山堅IHSマークイット副会長ダニエル・ヤーギン
「エネルギー問題の世界的権威が警鐘 創造的破壊に備えよ」
コロナ禍と原油価格急落で経済が苦境に 不安定化する産油国政治
独仏はEV購入に100万円以上補助 政策頼みのEVシフト
Part2 脱炭素化への奮闘
重い腰を上げた日本政府 「非効率石炭」退場の衝撃グリーンリカバリーに向け世界が動く コロナ禍を脱炭素で克服丸紅 電力・インフラグループCEO横田善明
不況対策に内燃機関車への補助金はない ドイツ人の強い環境意識
再エネ大量導入や森林破壊ゼロへ動き出す 日本企業・ESGの本気度
イオン、セブンーイレブンの挑戦 再エネ店舗は普及するか
ヤマト運輸 独社製のEVを首都圏で約100台稼働
「発電コストが下がれば “電気使い放題”も」
CO2大量排出産業の宿命 鉄鋼が挑む脱炭素の壁
Part3 前進する再エネ
ついに日本も導入目標を策定 動き始めた洋上風力
「日本政府の目標設定に期待」MHIヴェスタス アジア太平洋地域リージョナルマネジャー山田正人
脱炭素の切り札となりうるか 水素とアンモニアに脚光
欧州が野心的な水素戦略に着手した 日本の30倍の導入目標を掲げ投資を促す
「現実味乏しい電源構成 実態に即した見直しを」国際大学大学院教授橘川武郎
強靱で環境性に優れたエネルギー 東電と東ガスが真っ向勝負
「水力と洋上風力を柱に 数兆円の投資を実施へ」東京電力リニューアブルパワー社長文挾誠一
「日本企業も脱炭素に本腰 電力に投資呼び込む必要」日本経済団体連合会会長中西宏明
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