岩殿満喫クラブ 岩殿 Day by Day

市民の森保全クラブ Think Holistically, Conduct Eco-friendly Actions Locally

2019年01月

温室栽培のカボチャ 1月31日

道の駅ごかにある農産物直売所わだい万菜で温室栽培のカボチャを販売していました。
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1個1,700円が最高値です。

第3回市民環境会議視察研修 1月31日

一般家庭から週一回、所定のゴミ集積所(クリーンステーション)に出される「プラスチック類」は2種類(プラマーク付のプラ①とプラマークなしのプラ②)です。今日はプラ①(プラスチック製容器包装物)資源化の行方を訪ねてをテーマに、市内集積所から運搬回収された「プラスチック類」を一時保管する西本宿不燃物等埋立地と栃木県下野市の西坪山工業団地にあるリサイクル事業者(再生処理事業者)ウィズペットボトルリサイクル株式会社栃木工場を見学しました。栃木工場では西本宿からトラックで搬出されてきたゴミ袋を破いて中身を抜き出し、異物を取り除いてリサイクルできるものとできないものとを選別し、圧縮・梱包した「ベール品」を一時保管する中間処理工場です。ベール品は品質調査が実施されます。
その後リサイクルできるものは、(財)日本容器包装リサイクル協会のリサイクル事業者(委託再商品化事業者)に引き渡されます。17年度は株式会社青南商事によって材料リサイクルされ、18年度は新日鐵住金株式会社に引取られてコークス炉化学原料化されています。これらのリサイクル製品製造事業者を再商品化製品利用事業者ともいいます。
栃木工場で刎ねられたもの(残渣)は東松山市に返送され、クリーンセンターで焼却処理されます。刎ねられるプラスチック類はプラマークがついていないもの汚れの付着しているものです。

西本宿不燃物等埋立地(ペットボトルはここで中間処理されています)
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分類別収集・処理フロー図2017年度プラスチック類の処理状況

ウィズペットボトルリサイクル株式会社栃木工場
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プラ残渣と異物としてはねられるもの
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埼玉県プラスチック類分別収集実施済み市町村
プラスチック類分別収集実施済み市町村

熊谷市のゴミ分別一覧表
・熊谷市のプラスチック製品は燃されています。生ごみ、木製品、布類、革製品、発泡スチロール、木の枝などとともに週2回、回収される「燃えるごみ」の分類で熊谷衛生センター江南清掃センター深谷清掃センターで焼却されます。
・熊谷市ではマークのある飲料・食料用ペットボトルは「燃えないもの」の分類で、「カン、ビン、ペットボトル(以上資源物)、不燃ごみ(小型の金属製品・家電製品、ガラス類、せともの類など)と同様、水曜日に順番回収されています。分別収集されたカン、ビン、ペットボトルは大里広域クリーンセンター(管理運営:大里広域市町村圏組合)で処理されています。ペットボトルは、日本容器包装リサイクル協会への引渡処理と大里広域市町村圏組合が民間事業者と直接契約しての引渡処理を行っています。


ラビットアイ系の剪定 1月30日

今日はラビットアイ系のブルーベリー30本の剪定をしました。ラビットアイ系はハイブッシュ系よりも丈が高く枝が込み合っているので、昨日よりもさらに大胆に間引きました。株元から出て来たサッカー(吸枝)も剪定し、かなりすっきりとしたボリュームになりました。
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ハイブッシュ系の枝の剪定 1月29日

ハイブッシュ系ブルーベリーの枝の剪定をしました。何冊かの本をテキストにして、迷いながらエイヤッとハサミで切りました。
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三本さんと遅い昼食をCAFE BLUEPIECE でとり、デザートにプリンを頂きました。

コナラを伐採 1月29日

ちご沢ブルーベリー園でもシイタケを栽培をしてみることにして、岩殿D地区でコナラを2本伐採しました。
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田んぼの荒起こし 1月29日

先週の児沢の2枚の田んぼに続いて、今日も平賀さん、片桐さんの奮闘で岩殿A地区・B地区の5枚の田んぼの荒起こしができました。ありがとうございます。
岩殿A地区
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岩殿B地区
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児沢の田んぼ
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今年は豊作で、たくさん収穫できるといいですね。

虹の松原の落葉・落枝の利用② 1月28日

虹の松原の落葉・落枝の利用について、峰達郎唐津市長は2018年4月13日の第18回国連本部経済社会理事会でので次のようにのべています。(市長スピーチ内部資料「虹の松原保全の取り組みについて」。2000年に採択されたミレニアム開発目標並びに2015年に制定された持続可能な開発目標(SDGs)の目標15「緑の豊かさを守ろう」に関する報告の一部です。)
次に資源の活用についてです。1年間に1000tもの松葉や枯れ枝が落ちてきているという調査結果があります。ボランティアの参加者数が急増し、集められる松葉や枯れ枝も増加し、処分費用が高額となり、松原の中に放置され、景観の低下や松くい虫(害虫)の温床となる問題がでてきました。そこで、これらを資源として活用するための検討を行ってきました。
  • 松葉に関しては、たばこ農家が苗床としたり、油粕と混ぜて堆肥として活用されています。
  • 枯れ枝に関しては、活用方法がなく、多額の費用をかけて処分をしていました。そこで、2011年からは木質ペレットに、2014年からは、企業と連携してフルボ酸を抽出しシャンプーに、2016年からは、里山で困っている竹に松葉を詰めて薪にして薪ストーブの燃料として活用、さらに、農業用の炭もつくりました。この時に焼き芋をつくって参加者にふるまうと、大変喜んでいただきました。この様に、色々と試してきましたが、「生産効率の問題」や「消費先の課題」もあり実用化には至っていません。
タバコ農家による虹の松原の落葉堆肥利用については、「虹の松原の落葉・落枝の利用①」(1月25日記事)で紹介しています。

フルボ酸シャンプー
国土防災技術株式会社日本フルボ酸総合研究所で、集めた松葉を商品として再利用する試みとして「虹の松原フルボ酸プロジェクト」(虹松プロジェクト)を立ち上げ、松葉堆肥から植物にミネラルを補給する役目を担っているフルボ酸という物質を抽出し、シャンプーとトリートメントが商品開発しています。虹の松原REPROTE(リプロテ)というブランドです。

松葉炭を水質浄化剤や土壌改良材に
松葉を炭化して松炭を作り利用することについては、田中明さんの研究があります。
●真鍋将一・田中明「松葉の高効利用による屋上緑化に関する研究」(佐賀大学海浜台地生物環境研究センター『Coastal Bioenvironment』4巻、2005年)
要約:虹の松原の衰退につながる松葉の堆積の対策として、松葉を屋上緑化の土壌代替材として利用することを試みた。保水性・軽量性を比較するために、「松葉」「松葉炭」「粉砕松葉」「粉砕松葉炭」「木炭」「マサ土」の6種類を用意した。保水性は芝生が無濯i既で、枯れない期間と可能蒸発最・蒸発散量の関係を調べることにより検証した。その結果、松葉、マサ土、松葉炭、粉砕松葉炭、水炭、粉砕松葉の順に枯れ、松葉以外はマサ土より保水性が高いことがわかった。 HYDRUS-2Dによるシミュレーションを行った結果も、完全には一致しなかったものの実験通りの順番に蒸発散比が減少し始めた。軽量性についてはマサ土以外で、飽和密度が約 1(g/cm3)と屋上緑化に利用できる数値であった。保水性・軽量性を考えると粉時松葉、粉砕松葉炭については屋上緑化の土壌代替材として利用できることがわかった。
●田中明・西村智恵「松葉炭による水質浄化機能」(佐賀大学海浜台地生物環境研究センター『Coastal Bioenvironment』6巻、2005年 )
要約:堆積松葉の有効利用法の一つとしての松葉炭の水質浄化能力を明らかにするため、備長炭および砂を比較対象として検討、考祭した。その結果、松葉炭のCOD[化学的酸素要求量]に対する浄化能力は備長炭と比べて低く、砂と同程度であり、さらに、微生物を付着させることで高い硝酸イオン除去能力を示すことが確認された。

●宮村美保・原口智和・加藤 治・田中明「松葉およびホテイアオイの炭化物を用いたクリーク水の浄化」(『佐賀大学農学部彙報』第93号、2008)
摘要:近年、佐賀平野ではクリークの水質環境の悪化が顕著になっている。また、佐賀県内では松原の堆積松葉や水路に繁茂するホテイアオイの処理が問題となっている。本研究では、これらの課題を同時に解決する方法として、これらの植物を炭化物にし、それをクリーク水の浄化に利用することについて検討した。実験の結果、松葉炭、ホテイアオイ炭ともに、溶解性成分の溶出を施した場合、リン成分に対して高い浄化能力を示すことが明らかとなった。

●田中明「廃材材料の使用」(中田勇喜・岡田穣編著『海岸林との共生 海岸林に親しみ、海岸林に学び、海岸林を守ろう!』山形大学出版会、2011年)86~87頁。
現在、虹の松原のほとんどの堆積マツ葉は葉タバコ農家によって、温床や堆肥として利用されています。しかし、その葉タバコの生産量も減少傾向にあり、今後は他の用途についても検討することが急務となっています。
そこで、堆積マツ葉の有効利用の一つとして、マツ葉を炭化させた「松葉炭」の水質浄化剤や土壌改良材としての可能性について検討されています。
マツ葉炭の作り方 研究材料としての松葉炭を使用する場合は、炭化温度、炭化時間を一定にする必要がありますが、そうでない場合は簡単にたき火を利用して作ることができます。同じ方法で松かさも炭化でき、唐津市の東唐津小学校では環境教育の一環として、炭化した松かさで消臭剤も兼ねた置物を製作しており、生徒達に好評です。
佐賀大学の研究では一定の温度にした電気炉の中に、マツ葉を詰めた鉄製の缶(直径7.5㎝、高さ15㎝)に30分間入れて炭化させました。この時、炭化に伴って発生するガスを逃がすために缶に直径3~5㎜程度の穴をあけておくことが大切です。発生するガスによって蓋がはずれないように針金などでしばっておきます。

伐倒作業、芯腐れ木、裂け上がり、掛かり木 1月27日

市民の森保全クラブの定例作業日。参加者は、芦田さん、新井さん、金子さん、草間さん、澤田さん、細川さん、鷲巣さん、渡部さん、Hikizineの9名、昼食後は4名です。作業エリア南向き斜面のコナラの伐採をしました。
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午前中の1本は、倒してみると芯に腐れが入った木で、ツルが効かずに予想より早く倒れました。

※「芯腐れの受け口」(でき杉さんの『出来杉計画』から)

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午後の作業では伐倒木が縦に裂け、さらに掛かり木になりました。次回、チルホールで牽引して外ずそうということにしました。

伐倒木が縦に裂ける Barber chair
●災害事例研究№38 「伐倒作業中の材が裂け、激突された
伐採事故の現場写真・再発防止に公開(『つうたいの旅・パソコン初歩・リハビリのお役立ちブログ?』から)
●「伐倒技術 オープンフェースノッチ」(上村巧さんの「森林の安全作業情報」)
●「伐倒技術 受口と追口の位置と寸法」(上村巧さんの「森林の安全作業情報」)
●上村巧・岡安崇史・鹿 島潤・佐々木達也・岡勝・加利屋義広・井上英二「倒伏初期における追口高さが内部応力に与える影響」(『森林科学』24-1、2009年)

●「林業でいちばん基本的な木の倒し方「追い口切り」と、木が倒れるしくみ
●「受け口どのへんにつくろうかなーと迷わないために、最初に追い口の高さを決める方法と考え方
●「追い口切りより安全で確実な「追いヅル切り」
●「「受け口方向」=「伐倒方向」ではないこともある
●「「追い口の高さを低くする」ことのメリットは、年輪の影響を受けにくいこと
  (以上はがっちょさんの『きこりやろう(野郎)』から)

掛かり木処理
  (災害事例は林業・木材製造業労働災害防止協会HPの「災害事例研究」から)
(1)かかられている木の伐木の禁止
(2)投げ倒し(あびせ倒し)は禁止
(3)かかっている木の元玉切りは禁止
(4)かかっている木の肩担ぎは禁止
(5)かかられている木の枝切りは禁止
※2018年12月22日の記事「保全作業の安全確保」にある事故事例データベース、27日の記事「「林業に新規参入する労働者に係る労働災害防止対策推進事業」報告書目次」にあるテキスト類もダウンロードして自己研修してください。

ドラム缶焼却炉で落葉、刈草、木っ端類を燃してみました。鉄棒など使って加工したロストルを追加すればより効率的に燃せそうです。火の始末は格段に楽になりました。
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1月29日、ドラム缶を移動して灰を出しました。

『林業現場人 道具と技』Vol.9  特集 広葉樹の伐倒を極める(全林協、2013年)特集 広葉樹の伐倒を極める
●特集1 こうすれば裂けない! 広葉樹の伐り方・ツボ公開
  広葉樹は「裂け」に注意
 裂けない伐り方①追いヅル伐り
 裂けない伐り方②重心方向の横へ倒す
 倒れようとする力をぎりぎりまで抑える
 重心の見極めクサビを下げ振りに
 現場の工夫いろいろ
●特集2 タイプ別伐倒図解 芯抜け・裂け上がりを防ぐ伐倒技術
コナラの伐倒 受け口の下切りで芯切りも済ませる 伐倒手順
 重心の見極め方法
 裂け上がりはこのように起こる
 2本立ちのミズキ 裂け上がり防止のため芯切りして伐倒
 4本立ちのイタヤカエデ 木の絡み方と重心を観察して伐倒
●特集3 木を読んで丁寧に伐倒
追いヅル切り①―裂け予防のために
 追いヅル切り②低い位置で切り込む―退避時間を稼ぐために
 追いヅル切りを利用した追い切り
 木の繊維方向を読んで根張り切り
 観察力―伐倒前の情報収集
 用材として広葉樹を伐倒する場合の注意点
 丁寧な仕事―カットラインをマークする
 受けの下切りを斜め下から行うときのコツ
●特集4 安全位置への伐倒コントロール
●特集5 林内作業車のウインチで引き倒す キノコ原木の伐倒
●特集6 広葉樹巨木・銘木の伐倒術―受け口・追い口のコツ

オイスカ「海岸林再生プロジェクト10ヵ年計画」報告会 1月26日

埼玉会館で開催された公益財団法人オイスカ主催の「海岸林再生プロジェクト10ヵ年計画」報告会に参加しました。
日本の森林の現状と森林生態系を活用した防災・減災
~東日本大震災復興支援 海岸林再生プロジェクト報告会 in さいたま~
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さいたま市長清水勇人さんの挨拶、太田猛彦さん「日本の森林の現状と森林生態系を活用した防災・減災」、小林省太さん「元新聞記者の目から見た東日本大震災復興支援 海岸林再生プロジェクト」の講演がありました。


  (林野庁全5回、2011.05.21~2012.01.25)

※東日本大震災に係る海岸防災林の再生に関する検討会

※太田猛彦さんのホームページ『もっと豊かな森・役に立つ森を創ろう!

   (安井至さんのHP『市民のための環境学ガイド』2015.11.22記事)

虹の松原の落葉・落枝の利用① 1月25日

佐賀県唐津市の虹の松原は三保の松原(静岡市清水区)、気比の松原(福井県敦賀市)とともに、日本三大松原の一つに数えられています。長さが4.5km、幅が500m前後、226haもの広大な面積を持つ松林で、松の本数は約100万本にも及びます。電気やガスの普及以前には家庭用の燃料などとし て利用するために頻繁に松葉かきが行われていましたが、その必要がなくなるとともに松葉は放置されるようになり、2005年頃には厚さ30~40㎝の腐植層を形成して松 の生育に悪影響を与えるようになりました。松葉や枯れ枝の年間落下量は1㏊当たり5トン、全体で1000トンという概算もあります。
現在、松ぼっくり・枯れ枝拾い・松葉かき・除草などの作業をおこなうことにより、白砂青松の環境を取り戻そうという松原再生活動が広がり、集められる松葉や枯れ枝も増加しています。そこでこれらをゴミとして片づけるのではなく資源として活用できないかということで、様々な利用方法が試めされ、実施されるようになりました。
虹松原クリーン大作戦(佐賀県・唐津市)松葉かきチラシ(福井県・気比松原)

松葉の利用
「さまざまな落ち葉を堆肥に利用していますが、マツなどの針葉樹の葉はできるだけ混入しないように」している植物園もあり、「松葉は C/N 比50~60と炭素成分が多く、堆肥になるのが遅い上に、松葉で作った堆肥は酸性であるため注意して用いなければならないので、一般的な堆肥として使うのには不向きである」といわれていますが、唐津市では、たばこ農家が苗床としたり、油粕と混ぜて堆肥として活用しています。唐津市は全国葉たばこ販売代金上位7位、佐賀県の葉たばこ栽培農家数、栽培面積の9割強の実績(2014年)がある葉たばこ栽培の盛んなところで、葉たばこ農家が堆肥として使う松葉の調達先の大半は虹の松原からです。

※小林恒夫「東松浦半島(上場台地)における葉タバコ栽培用堆厩肥原料の構成と流通」(佐賀大学海浜台地生物環境研究センター(現在は佐賀大学農学部附属アグリ創生教育研究センター)『Coastal bioenvironment』7、2006年)
虹の松原は国有林であるから、西九州たばこ耕作組合玄海支所は森林管理署との間で毎年、松原250ha中180haにおいて一定分量の松葉の採集契約を結んでおり、その中でゾーニングによって同耕作組合所属の各地区での利用が行われている。各地区にゾーニング配分された区域での松葉採集方法は地区ごとに異なっており、呼子町、唐津市、肥前町の各地区では所属する葉タバコ栽培農家全員、あるいはその中の一定メンバーによる共間作業による採集が行われている。また、個人での採集作業も少なくない。ともに年末、年始の休みを削つての忙しい作業である。
堆肥原料使用たばこ農家数地区別堆肥原料使用状況

松葉の調達先松葉採集作業様式
表1~3にある市町村(呼子町・唐津市・鎮西町・玄海町・肥前町)は、玄海町を除いて1市3町で合併し、2005年1月から唐津市となりました。

※「農業との連携による松原保全-堆積松葉の利用-」(『虹の松原七不思議の会』)
タバコ農家による松葉の利用
 25年ほど前から、虹の松原では全面積230haのうち180haの松葉が 唐津市周辺のタバコ農家によって収集され利用されている。
 その方法は以下のとおりである。
 まず12月頃に松葉を収集しやすくするために除草しておく。次に1月頃に松葉を採取する(写真)。採取後1年間は苗床(子床)として使用し(写真2略)、その後1年かけて堆肥化して土壌改良材として利用している。
タバコ農家の松葉採取
 時々 ボランテイア活動で松葉かきをしてたまった松葉を収集に行くこともあるが、多忙な時は行けないこともある。
 苗床は20~25℃程度にする必要があるので、電熱線を利用することもあるが、松葉で苗床を作ると、昼間の太陽からの輻射熱を吸収、蓄熱して、夜間の温度の低下を防ぐ作用によって、適温に保つことができる。
 次年度は、苗床から松葉を出し、それに油かすや草、カヤ、アシ、麦わら、常緑樹の落ち葉などを混ぜて、発酵させて堆肥を作る(このとき40℃近くになることもある)。
 ゴルフ場の松葉には芝も混じっているので、発酵がすすむが、これだけでは良い堆肥はできないので、油かすや牛糞を加えると3ヶ月早く、良い堆肥ができる。

注1.松葉1トンにつき油粕を20kg入れて、水を加える。ビニールシートをかけて15回ほど切り返すと良い堆肥が早くできる。
注2.松葉を利用するようになる以前は、カヤ、わら、ヨシなどを刈り取って、使用していたが、採取場所も少なくなったために、今は安定的に採取できる松葉を利用している。
注3.松葉に何も加えずに3年間自然条件下に置いたものは肥土(ラン栽培に適している)として利用している。
注4.地表面に樹木、草、こけなどがあると、松葉かきが困難であるので、松葉だけが砂地に堆積していれば、容易に採取できる。また 一カ所に収集してあれば、非常に助かるとのことであった。
注5.松葉のC/N比は50~60あり、炭素成分が多く、堆肥になるのが遅い、また松葉でつくった堆肥は酸性であるので、注意すること。

コンポスターで松葉処理 1月24日

静岡市清水区の三保の松原の松葉を利用してコンポスターで堆肥をつくる取り組みです。静岡市産学交流センターB-nest(ビネスト)産学連携事業2013年度の『地域課題に係る産学共同研究委託事業』です。

三保の松原の松葉を有効利用した環境保全への取り組み
NPO法人三保の松原羽衣村×静岡大学農学部森田明雄教授の産学協同研究
松葉の利用法の 1 つとして、堆肥化させて肥料として利用する方法が各地で行われていますが、この研究は三保の松原の松葉を原料にして市販の回転式コンポスターで松葉堆肥をつくる実証研究です。(以下は研究成果よりテキスト部分を掲載。写真・表・グラフなどは省略しているので、詳細はダウンロードして確かめて下さい。)

目的

三保の松原は、富士山が世界文化遺産として登録された中に含まれた景勝地です。その景観をなす約5万本の松の保全には、将来にわたっても大きな課題となっています。落ちた枯れ松葉の清掃も松の生育には必要な作業でありボランティアなどの協力により実施しておりますが、落ち葉の収集にも大変な労力を費やしているのが現状です。収集された松葉を処理し地域で活用できれば、収集作業の労力軽減にも役立ち、地域の環境にも貢献できるものと考え、松葉の再利用の一つとして堆肥化させて肥料として利用する方法も報告されているので、三保の松原で実証することにしました。


成果

松葉堆肥の作成方法

市販の回転型コンポスターを用いて、乾燥松葉3~7kgに対して1kgの堆肥化促進剤を加え、2ヶ月間撹拌しながら生ごみ類(乾燥松葉の1~10倍程度)を入れて、その後1ヶ月間熟成させることで、AとBの二種類の堆肥を作製しました。(A:羽衣ホテル生ごみ、B:一般家庭生ごみ) なお、堆肥化時の注意点として、

  1. コンポスターを屋外に設置するため、気温が低下する冬季は、発酵速度が低下するため、熟成期間をより長くする必要がある。
  2. 堆肥化終了時前の降雨により水分量が多くなった場合には、使用前に適度に乾燥させる。
  3. 使用前に、pH(6~8)とEC値(5mS/cm以下)をチェックする。 (EC値とは、堆肥に含まれるイオンの量)
miho_photo1堆肥の化学性(乾燥松葉・松葉堆肥AとB堆肥の品質推奨基準)



松葉堆肥の使用方法

コマツナを用いて幼植物試験を行ったところ、今回作製した松葉堆肥AとBは、容積割合で40%も施用してもコマツナの発芽率、生育並びに葉色が抑制されることなく、むしろ育成と葉色が対照よりも優れる傾向が認められ、良質な堆肥であることが確かめられました。今回作製した松葉堆肥AとBを容積割合で20%土壌に混入した場合、それぞれ農地10a当たりの投入量は現物重で約1.2tと約0.9tとなりました。豚糞堆肥の施用上限値は、畑作物や野菜で10a当たり2~2.5tです。また、堆肥に使用する生ごみの種類により科学的な性質が異なることや、作製する時期により腐熟度が異なる点を考えると、松葉堆肥の投入量は、現物1~2t程度とするのが妥当であると思われます。なお、実際に農地に投入する場合には、松葉の大部分がその形状を保っているので、少量ずつ使用し、農作業に支障を与えないかを含めて、適正な使用量を決めるのが望ましいです。

『三保の松原の松葉を有効利用した環境保全への取り組み』概要報告書

毛塚の田んぼの草刈り 1月23日

毛塚にある休耕田の草刈りをしました。先日のドラム缶のお礼です。越辺川左岸の低地の田んぼで1反(1000㎡)位の広さです。
夕方、作業終了
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正午、昼食で作業中断
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19日(4日前)の田んぼ
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北側に小田原神社があります。

福岡市・NPO・市民による松葉の堆肥づくり事業 1月22日

福岡市の『暮らしと松林をつなげる「松葉の堆肥づくり」事業』は福岡市農林水産局森林・林政課とNPO 法人循環生活研究所が協働し、松葉の堆肥づくりを通じて地域住民が松林に対する興味・関心を高め、積極的に松林保全活動を行うことのできる仕組みをつくる事を目的とした事業です。2014年度に事業採択され、15年度から3ヵ年実施されました。
事業目標として
①地域普及活動
・ワークショップ開催等による住民の関心向上
・マニュアル本の制作
②学校教育活動
・小中学校の教育プログラム導入による若い世代の関心向上
③堆肥化活動
・松葉堆肥づくりとできた堆肥の地域での活用(花壇・農地)
・堆肥の有効性の実証実験
をあげています。
 NPO と市の役割分担は、
福岡市
・情報提供
・広報および普及活動
・関係機関との連絡調整 等
NPO
・松葉の堆肥化、作成指導
・イベントの開催、活動 PR
・他団体との情報交換、連携 等
事業内容、成果等は、松葉の堆肥づくり事業実行委員会の各年度の事業の進捗状況資料でたしかめられます。→『暮らしと松林をつなげる「松葉の堆肥づくり」事業について』(2017年度2016年度2015年度
奈多と三苫(みとま)の松林再生作戦(福岡市)松葉を燃料にごはんを炊こう松葉堆肥のつくり方教室とタマネギ植え

2018年5月には松葉堆肥の作り方や堆肥を使った農作物 の育て方などをまとめた『松葉の堆肥づくりマニュアル』が作成されました。
松葉の堆肥づくりマニュアル(プレスリリース)松葉の堆肥づくりマニュアル表紙

松葉堆肥成分表

※NPO法人循環生活研究所理事長たいら由以子さんの「暮らしと松林をつなげる松葉堆肥のすすめ」が『グリーン・エージ』523号(日本緑化センター2017年7月)に掲載されています。
松葉堆肥で松林と野菜と私たちを健康に(循環生活研究所)

和歌山県美浜町の松野菜 1月21日

和歌山県日高郡美浜町には面積79ha、延長4.6km、最大林帯幅500mと近畿最大規模の「煙樹ヶ浜海岸林」[えんじゅがはまかいがんりん]があり、背後に広がる御坊平野を潮害や風害から守ってきました。松の枯葉はかつて、かまどや風呂の焚きつけに使用されていましたが、電化製品などの普及により使用されなくなり、地面に積もって松の生育を妨げるゴミとなっていました。そこで、「何かに使えないだろうか?」、「松葉を堆肥にしたら…」ということで、2006年、松の枯葉を堆肥にして野菜を栽培する取組みをはじめました。翌年には松葉堆肥が完成。野菜の発芽実験に合格後、キュウリの栽培を行い、試行錯誤を重ねた結果、松葉堆肥で育った初の「松野菜」となる「松キュウリ」が完成しました。2008年には「松トマト」、11年には「松イチゴ」の栽培、販売も始まり、「松」ブランドの農産物が広がりました。
2009年には「森林バイオマス利用」という付加価値を持った地域農産物のブランド化、認知度の向上を目指して「煙樹ヶ浜松葉堆肥ブランド研究会」が設立されました。研究会では「松野菜」の成分分析や残留農薬検査を行って品質保持に貢献するとともに、松葉堆肥の原料となる松葉の確保(海岸林の広葉樹を伐採して松葉掃きができる松原をつくる)、松葉かきに使う備品の整備、作業効率化、PR活動など幅広い活動を行っています。
煙樹ヶ浜の松キュウリ
「松野菜」の栽培に使用する松葉は、毎年2月の第2日曜日の「松の日」前後に周辺住民や地元小学生が中心となって松葉かきをして集められます。その後、6月に1回目の切り返し、翌年1月に2回目の切り返しをして、籾殻、石灰窒素を混ぜて発酵をすすめ、6月頃、1年半かけた松葉堆肥が完成します。

松キュウリ・松トマト・松いちご(日本観光振興協会『観るナビ』)
煙樹ヶ浜松葉堆肥ブランド研究会
煙樹ヶ浜の松葉堆肥で育ったブランド作物。 黒潮からの風と太陽をいっぱいに育った煙樹ヶ浜の松葉。 この松葉(落ち葉)を集めて堆肥化し、キュウリやトマト、いちごの栽培に利用し「松」ブランドとして出荷している。 松葉かきによる松林の保全と地域の農作物のブランド化による地域農業の活性化を目指している。

 ●松林の保全から始まった「松野菜」プロジェクト
 ●「松葉堆肥」ができるまで
 ●「松野菜」ブランドを県外へも積極的にPR
 ●今後の展望は、販路拡大とプロジェクトの安定化

 (近畿財務局和歌山財務事務所地域トピックス 地方活性化に向けた取り組み事例46 2012.06.28)
 1.はじめに
 2.地域活性化に向けた取り組み
 3.さらなる発展に向けて
こうした取組は、これまで不用物として放置されていた松葉が循環型資源として活用されるだけでなく、松葉かきによる松林の環境保全や周辺の防災対策のほか、松葉かき作業を通じた住民交流や農家の活性化等、多面的な効果がもたらされています。
しかし、年々農作物の生産拡大を図ってきている一方で、この取組を安定的なものとするには、さらに販路を広げることが必要不可欠となってきます。このため、近時、美浜町では、ブランド価値向上による販売促進を目指し、「まつりん&ぼっくりん」という愛称の煙樹ヶ浜松林イメージキャラクターを作成し、農作物のパッケージへのシール貼付や、大阪、名古屋等の県外イベントに着ぐるみで参加するなど、積極的な広報活動が行われているところです。 こうした PR 効果が表れ、今後、一層の活性化に繋がることが期待されます。

松葉の使い道 1月20日

市民の森のアカマツ林保全・再生活動をになう市民ボランティアの輪をどのようにして広げていくのか、あれこれと学んでいます。
海岸林再生プロジェクト』のサイトの「活動ブログ」に「将来のマツの可能性」(A) 、「 〃 part2」(B)があって、松葉の利活用の事例についてまとめてありました。
 マツ材とは別の使われ方
「一部地域ではバイオマス発電に利用されている。たばこ農家の苗床や、川の浄化に少量使われている。燃料としては早く燃え尽きてしまい、堆肥としても使いづらく、事業規模では成立していない」と聞きました。
調べてみると、、思っていた以上に事例だけはたくさんありました!!
昔は主に燃料として活用されていたそうですが、現在は燃料としてだけではなく、松野菜・松酒・松葉茶・サイダーといった食料・飲料品からシャンプー・薬といった日用品にまで本当に幅広く活用されているのです。他にも松脂(マツヤニ)の成分から、粘着剤、香料、滑り止め、紙の添加物にまで使用されています。
ちなみに、松野菜は和歌山県美浜町で作られているもので、マツの枯れ葉と籾殻が発酵されてできた、松堆肥から栽培されたトマト、キュウリ、イチゴなどのことを指しています。このように、一部地域ではマツは堆肥としても活用されているのですね。一方、松葉茶やサイダーは、マツを香料として使用されています。
驚いたことに、海外でもいろいろな国で使われているのです。例えば、韓国の松餅(ソンピョン)と言われる、マツの香りのついた蒸し餅は、お盆の時期に食べる風習のあるお菓子だそうです。他にも、フランスではマツヤニ入りのキャンディーが販売されています。フランスでは昔から、マツヤニには肺の浄化作用がある事が知られているそうです。(A)
 落ち葉を燃料・肥料としてつかう
マツの落ち葉の有効活用方法の主な使い道として、燃料・肥料が挙げられます。実は、マツの落ち葉は昔から人々の生活の暮らしに身近なものなのですよ~。ガスや灯油が普及する1940年代~1950年代の半ば頃までは、薪や炭が庶民の暮らしを支えていました。特に松の落ち葉は火がつきやすく、かまどや風呂の焚きつけに重宝されていました。固めて縄で縛った松葉を売り歩く商売もあった程だそうです。現在では、家庭からかまどが消えつつありますが、夏の京都の風物詩、五山の送り火には松の薪と松葉が使われているそうです。他にも、陶磁器を焼き上げる登り窯としても使われています。マツは、他の木材と比較しても単位重量当りの燃焼熱量が高いんですね~。
他にも、マツの落ち葉が燃料・肥料として有効活用されている事例があります。例えば以前の記事でもご紹介した、松野菜です。松野菜は和歌山県美浜町で作られているもので、マツの枯れ葉と籾殻が発酵されてできた、松堆肥から栽培され、松トマト、松キュウリと呼ばれています。煙樹ヶ浜松葉堆肥ブランド研究会事務局は、「松葉は環境にも優しいバイオマス資源であり、その堆肥を撒いた土壌は通気性、保水性に優れ、植物の根に良好な環境を作り出す」と述べています。他にも、ガーデニングなどでよく使用されている、クロマツペレットが挙げられます。クロマツペレットは熱量が高く、灰分1パーセント以下の燃料用として非常に優れた特徴があるそうです。(B)
松葉堆肥で育てた和歌山県日高郡美浜町の『松野菜』については別稿で紹介します。
※「松葉酒」(ブログ『


はじめての鉋
』から)

※「松葉サイダーを作った」(安田陽介さんのブログ『大文字山を食べる』から)
※「松餅(ソンピョン)」(『cookpad』から)

ドラム缶でかまどをつくる 1月19日

児沢で近所の方からドラム缶をいただけたので、グラインダーで縦割りにして岩殿に運びました。三本さん、ありがとうございます。
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金子さんの情報提供で、今日はカインズ鶴ヶ島店資材館に出かけて、200Lの再生ドラム缶(5980円)を2缶購入しました。焚き口やロストル等を加工して「ドラム缶かまど」を作れば、バーベキュー、焼き芋、ピザなどいろいろと楽しめそうです。
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アカマツ枯損木のチェック 1月18日

市民の森のマツで2016年1月以降枯死しているものがどのくらいあるのか、試に調べてみました。③の地点から東側のマツ(I715~I875の161本とJ183~J265の83本、合計244本)で地上から姿を消しているもの地上に倒れているもの(枯死or風倒木)と、枝に緑の葉が全くないものを枯れているとしました。

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今回は尾根の園路沿いのアカマツだけ調べましたが、729、730、732、734、741、748、825、828、841、843、846(11本)と187、190、262(3本)、合わせて14本がこの3年間に枯れています。

市民の森で実施されているアカマツ防除の基本方針は健全木への薬剤処理(予防)マツ枯れ被害木の伐倒駆除により松枯れを僅害に誘導するということです。
マツ枯れ被害木の発見と伐倒の徹底、さらに倒したマツ枯れ被害木を放置しないで、チップ化、薬剤撒布や燻蒸処理などを徹底することが松枯れ被害を減らしていくことにつながります。
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松くい虫対策(東松山市都市公園内樹林地等管理指針)
松食い虫対策(東松山市都市公園内樹林地等管理指針)

今日も雑炊・焼き芋 1月17日

須田ゼミ3年生の18年度最後のゼミです。昨日と同じ様にで雑炊と焼き芋を作って食べました。今日はご飯を鍋に入れる前に水で洗ったので、さっぱりした感じのものができましたが、塩気が足りなかったようです。
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雑炊・焼き芋 1月16日

18年度の須田ゼミ4年生の最後のゼミで、雑炊と焼き芋をカマドを二つ使ってつくりました。炊いたご飯を水で洗って表面のぬめりを取り、具材と煮込んだものが雑炊だそうです。今回は洗わないで、そのまま鍋で煮て、とろっとしたおじや風に仕上げました。落ち葉で焼いた焼き芋も市販のものとは一味違った味で好評でした。今日は岩殿D地区のオギを刈り取りました。
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『やさい畑』の「肥料・堆肥」特集号から 1月15日

JAグループ家の光協会発行『やさい畑』は毎年秋号で肥料特集をしています。この3年間では、「2016年秋号特集 すごい肥料&堆肥」、「2017年秋号特集 めざせ!肥料の達人」、「2018年秋号特集 理想の堆肥」がありました。
岩殿満喫クラブ&市民の森保全クラブでは、市民の森の作業エリアに堆肥箱を設置してコナラ落ち葉の堆肥づくりを行い、できあがった堆肥を耕作放棄地を再生した畑に入れて、サツマイモを栽培し、収穫したサツマイモを落ち葉掃きイベントで焼き芋にして参加者に提供するという活動を行っています。
また大東大須田ゼミの畑でも落ち葉堆肥を利用した「岩殿ドングリかぼちゃ」(白皮栗かぼちゃ・坊っちゃんカボチャ等)の栽培を試行中です。17年度にはイベント参加者に1個づつ配ることができました。これ以外にも岩殿の落ち葉堆肥を使って栽培した野菜が提供できないか検討しています。

肥料と堆肥の新常識 野菜はアミノ酸を吸収できる(『やさい畑』2016秋号、14~15頁)
  肥料の常識を変えるアミノ酸
  エネルギーロス少なく野菜が生長できる
  悪天候や病害虫に負けない野菜になる
  おいしく、栄養価の高い野菜になる
  アミノ酸で多收、高品質が実現

肥料と堆肥の大誤解(『やさい畑』2016秋号、16~21頁)
 その1 堆肥は完熟堆肥がいい?
  未熟な堆肥はもちろん論外
  完熟堆肥では土壌病害虫を抑えきれない
  完熟の一歩手前が理想の堆肥
 その2 有機質肥料は化学肥料より効きが遅い?
  発酵済みなら化学肥料同様、早く効く
  味だけでなく、収量や品質も向上させる
  有機質肥料ならではの効用も
有機物を発酵させると、さまざまな整理活性物質(生体の生理活動に何らかの作用をする物質)ができます。発酵に関わる微生物の種類によっては、ビタミンやホルモンなどの増殖や植物の生長を促す物質や、土壌病原菌などを抑制する抗菌物質(抗生物質)をつくります。これらの機能性物質は、微生物が関わってはじめてつくられるもので、化学肥料を用いた栽培では得られません。
 その3 ボカシ肥だけ施しておけばよい?
  ボカシ肥のみでは4~5年で頭打ちに
  頭打ちの主原因は苦土(マグネシウム)不足
  不足のミネラルは補給が必要
   石灰も肥料だと認識しよう
    苦土石灰・カキ殻石灰・貝化石

肥料と堆肥が生まれ変わる万能納豆液
場所も時間もとらない土中堆肥速熟法
市販の有機質肥料をパワーアップ アミノ酸肥料簡単製造法
極上の液肥「カル酢」をつくる(以上『やさい畑』2016秋号、21~29頁)

まとめ 中熟堆肥を用い、ミネラルとアミノ酸を適切に施す(『やさい畑』2016秋号、30~31頁)
 有機栽培に用いる3つの資材とその働き
  中熟堆肥、アミノ酸、ミネラル
 経験や勘に頼らず科学的な施肥設計を

種類別肥料ガイド(『やさい畑』2017秋号、13~30頁)
 じっくりと長く効く有機質肥料・油粕(元肥に)
 分解が早く微量要素も多い・魚かす(元肥、追肥に)
 効き目が早く追肥にも使える・発酵鶏ふん(元肥、追肥に)
 長期間じわじわと効くリン酸肥料・骨粉(元肥に)
 すぐに効くカリ肥料・草木灰(元肥、追肥に)
 緩やかに長く効く・IB入り化成(元肥、追肥に)
 時間差で効く・被覆肥料入配合肥料(元肥、追肥に)
 速効性と緩効性を併せ持つ・有機配合肥料(元肥、追肥に)
 すぐに効く窒素肥料・硫安(硫酸アンモニウム)(元肥、追肥に)
 即効性のリン酸肥料・過リン酸石灰(過石)(元肥に)
 イモ類に向く即効性のカリ肥料・硫酸カリ(硫加)(元肥、追肥に)
 超速効で簡単に施せる・液体肥料(追肥に)
 じつは「肥料」ではない活力剤
  窒素、リン酸、カリなどの肥料成分を一定以上含むものだけが、肥料として販売できる
  肥料を食事だとしたら、活力剤はサプリメント
 簡単につくれて野菜がすぐ吸収できる・ボカシ肥
 植物を畑で育てて土に還す・緑肥

堆肥づくりのための落ち葉図鑑(『やさい畑』2017秋号、54~58頁)
 半年程度で堆肥になるもの
  モモ、ウメ、ケヤキ、ナンキンハゼ、アジサイ、ハナミズキ、クリ、ブドウ、カエデの仲間
 半年から1年で堆肥にできるもの
  イチョウ、キンモクセイ、ビワ、ツバキ、サクラ、カキ、シイの仲間、クスノキ
 堆肥化に1年以上かかるもの
  カラマツ、スギ、タケ・ササ類、マツ  
マツ 分解速度:かなり遅い(1~2年)
油脂を多く含み葉の組織も堅いので、単独で堆肥にするには時間がかかる。和歌山県美浜町では、松葉に石灰窒素入の籾殻を加えて堆肥化し、キュウリやトマト、イチゴに使用して「松」を関したブランド名で特産化を図っている。ほかにも生ごみや窒素分を多く含む副資材を使用して発酵を促すようにすると、早く堆肥になりやすい。
松葉をマルチに使用すると雑草抑制効果があるとされる。また、畑の水はけと通気の改善のために溝を掘るさいは、排水溝に松葉を入れておくと、何年も効果を保つことができる。
庭先でもできる 省スペース落ち葉堆肥のつくり方(『やさい畑』2017秋号、59頁)
 腐植しない樹脂製のもので、ホームセンターで入手できる、籾殻を入れるメッシュの袋を使う
 堆肥づくりのカギは水と空気にあり
  落ち葉100ℓに、米ぬか5ℓ、水は材料の50~60%
  (ぬらした落ち葉1つかみをぎゅっと握って、指の間からわずかに水分がしみ出してくる程度)
  袋の上下を返して中身をときどき動かすほかは、たいへんな作業はない

堆肥が畑を健康にする 堆肥の7大効能(『やさい畑』2018秋号、14~15頁)
①補肥力の向上、②団粒構造の形成、③中量(マグネシウム、カルシウム、硫黄)、微量(鉄、マンガン、ホウ素、亜鉛など)要素の供給、④リンの有効化、⑤地温上昇効果、⑥土壌微生物の健全化、⑦(微生物増殖による)肥料供給の増大

理想の堆肥の条件とは 炭素と窒素の黄金比は10~25(『やさい畑』2018秋号、16~17頁)
自然界を循環する物質、微生物と堆肥の役割、理想の炭素率(C/N比)は一汁三菜の食事と同じ
 土壌を豊かにし長く緩やかに効く落ち葉堆肥 炭素率38、肥料成分N0.4・P0.2・K0.4
 土壌改良と有機への転換には必須バーク堆肥 炭素率55、肥料成分N0.6・P0.3・K0.8
 すぐ効く、よく効く鶏ふん堆肥 炭素率6、肥料成分N3.8・P2.7・K2.5
 効果がたちまち実感できる豚ぷん堆肥 炭素率16、肥料成分N1.9・P1.3・K1.9
 繊維質に富み土壌改良に最適馬ふん堆肥 炭素率15、肥料成分N1.8・P1.2・K1.7
 バランスのよさが持ち味牛ふん堆肥 炭素率24、肥料成分N1.0・P0.8・K1.7

堆肥の効果を高める有機資材(『やさい畑』2018秋号、18~22頁)
 植物由来の資材
 ・米ぬか 炭素率25、肥料成分N2.2・P3.2・K1.6
 ・木質チップ 炭素率700、肥料成分N0.05・P0.03・K0.26
 ・籾殻くん炭 炭素率184、肥料成分N0.22・P0.08・K0.02
 ・菜種油粕 炭素率8、肥料成分N5.1・P1.8・K1.4
 ・大豆かす 炭素率7、肥料成分N6.1・P0.7・K2.4
 動物由来の資材
 ・魚かす 炭素率4、肥料成分N7.7・P5.4・K1.2
 ・カキ殻石灰 炭素率3、肥料成分N0.17・P0.19・K0.08
 ・骨粉 炭素率5、肥料成分N4.1・P7.6・K0.4
 堆肥になる雑草
 ・カラスノエンドウ 炭素率18、肥料成分N2.5・P0.2・K2.1
 ・クズ 炭素率27、肥料成分N1.8・P0.2・K2.2
 ・ヨモギ 炭素率23、肥料成分N2.0・P0.3・K1.5
 ・スギナ 炭素率8、肥料成分N4.5・P0.2・K3.9
 ・ヤブカラシ 炭素率8、肥料成分N5.6・P0.2・K3.6
 ・アカツメグサ 炭素率27、肥料成分N1.9・P0.1・K2.0
 ・ススキ 炭素率32、肥料成分N1.5・P0.2・K0.7
ススキ 炭素、ケイ素が多く分解は遅いが、茎の長さとかたさを生かし、わらマルチのような使い方が向く。空気をよく含むので、保温効果大。ちなみに、生息域が近いセイタカアワダチソウは炭素率120で、肥料効果は乏しい。
詰めて埋めるだけ 土のう袋でつくる落ち葉堆肥(『やさい畑』2018秋号、30~32頁)
  狭い畑でつくれる 簡単!手間入らず
  土のう袋1枚で始められる
 ・仕込み編(11月~)
  ①落ち葉を集める
  ②油粕、米ぬかを加える
    水はたっぷりと加える
    米ぬかと油粕を混ぜていく
  ③2月まで地上に保管
    まとめて積んで発酵を進める
 ・熟成編
  ①土に埋める(3月)
  ②地中で熟成させる(4~翌2月)
  ③完成した堆肥を掘り上げる(翌3月)

都立園芸高校やさい畑実験部「肥料の種類で野菜の味が変わるか調べてみよう」(『やさい畑』2018秋号、67~71頁)
 実験方法:有機質肥料と化学肥料で小カブとホウレンソウを栽培して比較
 実験結果:有機質肥料のほうが大きく育った
 生食は化学肥料、加熱は有機質肥料に軍配
・肥料の違いが食味や食感に影響する
・アミノ酸の多い有機質肥料では、セルロースがしっかりつくられ、かたくかんじられる
・有機質肥料にはさまざまな成分が含まれている
・生の小カブで化学肥料のほうがおいしいと感じられたのは、雑味やアクとなる物質がすくなかったからかもしれない
・ホウレンソウは生ではあまり差がなかったが、ゆでると断然、有機質肥料の方がおいしくなった
・ゆでてアクが抜けると、糖やアミノ酸が際だって、有機質肥料のほうがおいしいと感じられた

堆肥箱に落葉を追加 1月14日

市民の森保全クラブ作業エリアの堆肥箱に、ネットに詰めてあった落葉を足しました。堆肥箱7箱でネット10袋分です。
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※備忘録
・作業エリアにある堆肥箱の大きさは2種類あり、1間×1間の大きさのものには大文字、1間×半間には小文字のアルファベットをふります(斜面下東側から西側の5箱はA、b、c、D、E、斜面上の尾根の園路に近い2箱はF、G)。
・昨年12月、落ち葉掃き&焼き芋イベント(16日23日)準備で、b、c、Eは箱の中の落葉堆肥を全て取り出し、F、Gは新設しました。
・A、Dの2箱については2017年産落ち葉堆肥の上に、18年産の落ち葉をイベント時に積み込んでいます。

保全作業区切り地点にポールを立てる 1月13日

11日の定例活動日の市民の森保全クラブ作業エリア拡大範囲について話し合いをふまえて、作業範囲の区切り地点にポール(①~④)を立ててみました。これまでのコナラ林の保全・更新による里山再生に加えて、拡大エリアでは新たに松枯れ対策として、アカマツ林の再生を目標とした作業を実施する計画で準備をすすめています。松山という地名が昔からあった東松山市で、松枯れ被害で市民の森のアカマツ林が消滅するというような事態は避けなければなりません。

●作業エリア想定図
 拡大作業エリア想定図
尾根を通る園路の⑤~③-①の範囲の南向き斜面(アカマツ&コナラ林)全面。
①~④で囲まれた南向きの斜面部分は、尾根に沿ったアカマツ林エリアと、斜面下部の岩殿C地区と接する部分、無名沼イ号周辺との2エリアで、当面、作業をすすめる。無理なく安全に作業をすすめることを優先し、急斜面での市民の森保全クラブ単独作業は当面見あわせる。
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「持続性ある実践的多自然川づくりに向けて」提言(2017) 1月12日

12月8日に見学したエコプロ2018国土交通省国土技術政策総合研究所(NILIM)のブースで入手した『国総研レポート2018』に河川研究部長・天野邦彦さんの「河川環境の整備と保全のこれから」が掲載されていて、1997年に河川法が改正されて20年が過ぎ、2017年6月に河川法改正20年 多自然川づくり推進委員会提言持続性ある実践的多自然川づくりに向けてがとりまとめられたことを知り,、『提言』を国交省HPからダウンロードして読んでみました。

天野邦彦「河川環境の整備と保全のこれから」
1.はじめに
河川法の改正で「河川環境の整備と保全」が追加される(1997年)。
河川法改正20年 多自然川づくり推進委員会の提言「持続性ある実践的多自然川づくりに向けて」がとりまとめられる(2017年6月)。

2.多自然川づくり
・1990年、多自然型川づくりが始まる
・2006年、「多自然川づくり基本指針」通知
「多自然川づくり」は、「河川全体の自然の営みを視野に入れ、地域の暮らしや歴史・文化との調和にも配慮し、河川が本来有している生物の生息・生育・繁殖環境及び多様な河川景観を保全・創出するために、河川管理を行うこと」と定義。
・今回の「提言」では、多自然川づくりの5課題と対応方針を提示
 ①河川環境の目標設定
 ②具体的技術と調査から維持管理までの取り組み過程
 ③人材育成と普及啓発
 ④持続可能な多自然川づくり
 ⑤日本の河川環境の将来像の想定
提言に示された課題への対応方針は、多自然川づくりを進める上での、具体的な手法を提示するというよりは、大きな方向性を示す形をとっている。このような形をとっていることが、多自然川づくり、ひいては河川環境の整備と保全を考える上での難しさを示している。

3.河川環境の整備と保全のこれから
(1)河川環境は流域の空間スケールと長期の時間スケールでも見る
河川環境の整備・保全を検討する際には、河川のみでなく周辺環境も含めて適切な時空間スケールで状況を評価し、河川環境変化の駆動力をしっかりと見極めた上で整備・保全の実施へとつなげる必要がある。
(2)多元的な河川環境評価に向けたデータ利用
河川環境の評価を試みる場合、比較的指標化しやすい物理的環境要素だけでも、河道形状、流況、水質、流砂のように多元的で、これらの組み合わせは無数にある。さらに、生物的環境要素(動植物相、生態系)は、指標化できたとしても定量化が困難な場合が多い。これらのことから、河川環境に関しては、目標設定どころか、評価自体が容易なことではない。このため、河川環境の評価手法の向上が強く望まれる。……
(3)治水事業こそ河川環境整備の機会
河道形状、流況、水質、流砂といった河川環境を規定する物理的環境要素は、治水のための河川整備や管理においてもその設定が重要となる要素である。治水上安全な川にするための河道改修や治水施設の整備は、物理的環境要素の改変を伴うことが多いため、河川環境の整備や保全と対立するものと捉えられがちである。しかし、改修後の河道状況が、環境面においても好ましいもので、なおかつ維持管理労力が少なくてすめば、最適な環境整備になる。……河川の周辺環境も含めて、治水のための河川整備は、環境整備につなげることが可能である。

4.おわりに
治水安全度の向上のために今後も河川改修が進められるが、その際には河川ごとに、中長期的な視点から、河川環境整備・保全に資するとともに維持管理が容易な改修方法を順応的に確立していくことで、「多自然川づくり基本方針」が目指す河川管理が可能となるだろう。

国土交通省では、2016年12月に委員会(学識委員:山岸哲(委員長)、池内幸司、高村典子、谷田一三、辻本哲郎、中村太士、百武ひろ子)を設置し、生物の生息・生育・繁殖環境と多様な河川景観の保全・創出を行う「多自然川づくり」のこれまでの成果等をレビューし、今後の方向性について5回の委員会で検討し、17年6月「提言」がとりまとめられた。今後はこの提言を踏まえ、河川環境の整備と保全のため「持続性ある実践的な多自然川づくり」を推進する。

提言は、大きく2つの視点からとりまとめられている。
○「実践・現場視点」常に現場視点で考え、河川環境の整備と保全を現場で徹底し、順応的に挑戦し続けるべきであること
○「持続性・将来性」日常的な河川管理の中で様々な工夫を凝らして河川環境の整備と保全を徹底し、地域社会との関わりを深めていくこと

この2つの視点をもとに、以下の7項目について対応方針が示された。①目標の設定、②技術の向上・一連の取り組み過程の徹底、③人材の育成・普及啓発、④日常的な環境への取り組みの徹底、⑤持続可能な川づくりのための地域連携の強化、⑥変化を踏まえた将来の河川像の検討、⑦国際社会への貢献。

2006年の多自然川づくり基本指針により、多自然川づくりは普遍的な川づくりであるとして全国に展開され、様々な取り組みがこの10年で拡大してきたが、その一方で、整理すべき課題も多く存在
実践・現場視点:いかに現場で多自然川づくりを進め、定着させていくのかを、常に「現場視点」で考え、河川環境の整備と保全が現場で徹底されるようにすることが重要。あわせて、自然環境には不確実性があるため、得られた結果を貴重な知見・経験として次の取り組みに活かしていくことが重要であり、そのための課題解決に向けて順応的に挑戦し続けるべき。
「持続性ある実践的多自然川づくりに向けて」実践・現場視点

持続性・将来性:日常的な河川管理の中で、まずは自然の営力を活用した効率的な管理を第一に考え、これのみによることができない場合に、様々な工夫を凝らした河川環境の整備と保全を徹底していくことが重要。加えて、将来へ向けた持続性を高めるために、地域社会との関わりを深め、更には、気候変動などの河川の環境を取り巻く将来的な変化も見据えつつ、日本の原風景である美しい川を引き継いでいくための、川と人との持続的な関わりのあり方について検討を続けるべき。
「持続性ある実践的多自然川づくりに向けて」持続性・将来性

目次
1.はじめに

2.多自然川づくりの現状
 (1)前回提言への対応状況
 (2)河川環境のマクロ評価

3.多自然川づくりの課題
 (1)目標の設定
 (2)技術と取り組み過程
 (3)人材の育成・普及啓発
 (4)持続可能な多自然川づくり
 (5)日本の河川環境の将来像

4.対応方針
 (1)目標の設定
  ①環境目標設定の手法確立と実践展開
 各河川の河川環境の目標設定に向けて、まずは、河川生態系の観点について、「良好な状態にある生物の生育、生息、繁殖環境を保全するとともに、そのような状態に無い河川の環境についてはできる限り向上させる」という目標設定の考え方を基本として、河川の環境を評価する手法を具体化する。
  ②生態系ネットワーク形成の推進
 (2)技術の向上・一連の取り組み過程の徹底
  ①多自然川づくりの技術的なレベルアップ
  ②多自然川づくりの一連の取り組み過程の徹底
  ③多自然川づくりが河川生態系へもたらす変化の把握
  ④多様な分野の学識者等との連携推進
  ⑤技術等の開発
 (3)人材の育成・普及啓発
  ①人材の育成
  ②多自然川づくりアドバイザーの養成
  ③多自然川づくりの普及・啓発
 多自然川づくりが地域で広く認知され、地域の将来にとって大切な価値を生むものであると理解され、社会から求められるものとなることが重要である。そのために、多自然川づくりの基本的な考え方や治水・環境両面の役割と効果について、広く一般の市民に浸透させるためのわかりやすい説明を工夫し、発信する内容や対象などに応じ、現地における表示なども含め、様々な手段を用いて周知を図る。
 川をフィールドとして活動している市民団体等と連携し、市民が継続的に川に親しみを持ち、生き物と触れ合い、地域の歴史や文化を含めた川そのものや川の景観等について学び、理解した上で、市民目線で多自然川づくりに積極的に関わっていくための河川環境教育やその普及・啓発を推進する。
 また、次世代を担う子供たちが川により親しめるよう、河川環境教育の一環として、子供自らが川の自然を調査・研究し、その優れた成果を表彰するなど、子供のやる気を上手に引き出すための仕組みを構築する。
 (4)日常的な環境への取り組みの徹底
  ①河川管理における環境への適切な取り組みの着実な実施
  ②戦略的な多自然川づくり
 (5)持続可能な川づくりのための地域連携の強化
  ①地域社会が支える川づくり
  ②流域住民と一体となった生態系ネットワーク形成
 (6)変化を踏まえた将来の河川像の検討
  ①気候変動や人口減少などの河川を取り巻く状況の変化等の分析
  ②100年後を見据えた人と河川の持続的な関わりのあり方の検討

別紙 河川環境に関する施策等の変遷

伐採作業を始める 1月11日

2019年最初の作業日です。参加者は、芦田さん、片桐さん、金子さん、細川さん、鷲巣さん、渡部さん、Hikizineの7名でした。チェンソーを使う作業を始め、今日はコナラ1本を伐採しました。幹の太さ34㎝、年輪がきちんと読めませんでしたが樹齢60年位です。
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夜はやるき茶屋高坂店で新年会を行い、12名が参加しました。

全国メガソーラー問題中央集会(1月14日) 1月10日

2019年1月14日(月)13:00~(開場:12:00)、なかのZERO 大ホールで「国メガソーラー問題中央集会~自然と調和し、地域と共生する再生可能エネルギーを考えるが開かれます。
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太陽光発電の問題点について(2018.12.19)
日本の風土と暮らしについて
 日本は国土が狭く地形が急峻です。その上、梅雨、秋雨、台風などによって大量の雨が降ります。近年ではゲリラ的豪雨による災害が多発しています。昔から里山で暮らす人々は住み分けをしてきました。裏山の森林は、炭を焼いたり、落ち葉を集める場所でした。また、森は水を育む重要な場所だから、裏山を大切に守りながら暮らしてきたわけです。時代が変わり、森林は手入れされなくなりましたが、裏山が水を育む場所として重要なのは今も変わりません。そうした森を伐採し山を切り崩す環境破壊型ソーラー建設に対し、全国各地で反対運動が起こっています。

多くのメガソーラー建設に共通している問題点
・大規模な森林伐採により環境への影響が大きい。
・保水力の低下に伴い下流域では斜面崩壊、水害、土石流などの危険性が高まる。
・計画地の下では湧水や地下水を水道水源として利用している場合が多く影響が懸念される。また、計画地周辺から流れる水を利用して米作りを行っている人も多く、影響が心配される。
・発電した電気は近くでは使用されずに、大消費地に送電されることが多い。(送電ロスが大きい。地産地消とならない。)
・事業者は東京など大都市圏に本社のある企業が多く、ファンドの多くは海外を含め外部からの資本である。

■太陽光発電における制度的な問題点
 FIT制度の欠陥
いつまでも着工せずにパネルの価格が低下するのを待っている案件についても申請時の買取価格が維持されていた。(2017年4月から変更)
同一敷地内での計画を50kW未満に分割して申請することが認められていた。(2014年4月以降の申請から禁止)

全量買取制度の問題
ドイツ、スペイン、イギリスでは、買取対象となる事業の規模を細かく、頻繁に見直している。(5メガ、10メガを基準としてきた)
ドイツでは、森林を伐採した場合には、その6倍の面積に植林することを義務付けている。
イタリアでは、自家消費が多い事業者や公的団体に優遇した価格(5%増)を設定している。
日本のFIT制度は太陽光バブルを誘発し、全国各地でソーラー開発が環境問題となっている。

事業認定の問題
他人の土地に対して本人の許可も無く勝手に申請し設備認定が受けられる。
一度事業認定を受けた権利(ID番号)が転売されるケースも多い。
関係自治体は事業認定取得後でなければ情報が得られない。
FIT法は特別措置法でつくられているので最上位の法律となり地方公共団体の条例などで規制できない。

基本的な問題として
全発電量に占める太陽光発電の割合は5.7%(2017年)である。(ISEP推計)たった5.7%でこれだけ環境問題が発生することを考えると、日本では、これ以上太陽光発電を増やすことには無理があると考えざるを得ない。

 お金の流れ
高い買取固定価格は、一般消費者から徴収された再エネ賦課金によって賄われている。このお金は、地元地域の経済循環には寄与することなく、殆どが海外を含む地域外の事業者・投資家へと流出している。
標準家庭の一ヶ月の賦課金額(電力使用量が300kWh)
2016年→675円(2.25円/1kWh 買取費用2兆3000億円)
2017年→792円(2.64円/1kWh 買取費用2兆7045億円)
2018年→870円(2.90円/1kWh 買取費用3兆1000億円になると想定)
2030年→経産省は買取費用が当初の想定を1兆円ほど上回り4.7兆円に膨らむと試算している。
電力多消費事業者(鉄鋼業界など)に対しては再エネ賦課金の8割が減免されている。

 電気の流れ
地方から→都市へ
再生可能エネルギーは地域資源のはずである。
本来ならば自家消費(オフグリット化)を優先し、余剰分で地域の電力(コミュニティパワー)をまかなう形で電力の地域自給を目指すのが理想であるが、その方向には進んでいない。
逆に太陽光発電の普及が地方の自然環境を破壊する結果となっている。これは原発の仕組みと同じである。
再エネは送電ロス分にも賦課金が掛けられている(太陽光発電施設の出口に設置されたメーターにより電力量が計算されているため)この送電ロス分も消費者が負担しなければならない。
太陽光発電施設を環境影響評価の対象とする事に関する環境省への要請書(案)2019.01.15
はじめに
 FIT法(固定価格買取制度)によって全国各地でメガソーラー(1MW以上の出力を持つ太陽光
発電施設)の建設ラッシュが始まりました。FIT法が導入された当初は、再生可能エネルギーの普及により脱原発社会の実現が可能になると期待が高まりましたが、現状では、景観を乱すだけでなく、今までにない大規模な土地造成・森林伐採による環境悪化、水源への影響、災害誘発など、さまざまな問題が浮き彫りになり、危機感を持った人々が全国各地で反対の声をあげる住民運動を展開しています。
 法規制を整備する間も無く国策としてスタートし、推進されているソーラー事業ですが、このまま何も手立てを講じることもなく放置すれば、私たちの生命を守ってきた自然環境と平穏な暮らしが、ソーラー事業によって奪われる可能性があり、エネルギー施策が今後批判を浴びることになりかねません。自然と調和し、地域と共生する再生可能エネルギーの実現と持続可能な社会を構築するため以下の内容で要請書を提出します。
 記
 1. 太陽光発電施設を環境影響評価の対象とする際の規模要件について
 現在、太陽光発電施設を環境アセスの対象としている県は長野県(2016.1~、2017.9配慮書追加)、山形県(2017.10~配慮書を含む)、大分県(2018.1~配慮書を含む)の3県です。また、面開発の一種として太陽光発電施設もアセスの対象になり得る都道府県が29府県あります。さらにいくつかの県が太陽光発電施設を環境アセスの対象とするための検討を開始しています。太陽光発電施設を環境アセスの対象としている3つの県の規模要件は、長野県が第1種事業50ha以上、第2種事業20ha。(添付資料1)山形県が普通地域50ha以上、特別地域20ha以上。(添付資料2)大分県が、第1種、第2種共に20ha以上。(添付資料3)となっています。
 それに対し、現在環境省が検討を始めている「太陽光発電施設等に係る環境影響評価の基本的考え方に関する検討委員会」で示されている規模要件は、第1種事業100haです。(添付資料4
第1種事業に対する規模要件が100haでは、ほとんどの計画がアセスの対象から外れてしまい、現在全国各地で問題となっている環境破壊型太陽光発電の問題を解決することには繋がりません。
 よって、現在太陽光発電施設を環境アセスの対象としている、長野県、山形県、大分県と同じく、最低でも第1種事業については適用を50ha以上とし、第2種事業については、20ha以上を基本とし、たとえ事業規模が小さくても関係自治体の首長もしくは議会から要望がある計画に対しては全て環境影響評価の対象とすることを求めます。また、資源エネルギー庁の太陽光発電に関する事業計画ガイドライン(添付資料5)には、「事業計画作成の初期段階から地域住民と適切なコミュニケーションを図るとともに、地域住民に十分配慮して事業を実施するように努めること。 地域住民とのコミュニケーションを図るに当たり、配慮すべき地域住民の範囲や、 説明会の開催や戸別訪問など具体的なコミュニケーションの方法について、自治体と相談するように努めること。環境アセスメント手続の必要がない規模の発電設備の設置計画についても自治体と相談の上、事業の概要や環境・景観への影響等につ いて、地域住民への説明会を開催するなど、事業について理解を得られるように努めること。」と記載されています。 
 よって、小規模な太陽光発電施設に対しては、ガイドラインや自由アセスで対応するのではなく、第2種事業の判定(スクリーニング)において、関係自治体から説明会の対象として指定された行政自治区または自治会より要請がある場合には、事業規模に関係なく環境影響評価の対象となる制度にすることを求めます。
 なお、環境への影響は、開発面積の大きさに比例して増大するので、規模要件は出力(kW)ではなく、面積(ha)で規定することを求めます。

 2. 戦略的環境アセスメントの導入について
 戦略的環境アセスメントの導入については、戦略的環境アセスメント総合研究会において長年に渡り議論が行われ、その結果を踏まえ平成19年3月に戦略的環境アセスメント総合研究会報告書が提出されています。(添付資料6
 この報告書の前文の最後には次のように記載されています。「我々は、本ガイドラインに基づいて各計画に応じたシステムが早急に導入され、各計画に適切な環境配慮が組み込まれることにより、持続可能な社会の構築への新たな歩みが加速されることを期待するものである。」
 国に先がけて太陽光発電施設を環境アセスの対象とした長野県、山形県、大分県の3県は全て、この戦略的環境アセスメント総合研究会報告書が提示した戦略的環境アセスメントのガイドラインに沿って、配慮書の審査手続きが第1種事業と第2種事業の両方に導入されています。
 今回、太陽光発電施設等に係る環境影響評価の基本的考え方に関する検討委員会で検討されている環境影響評価においても、配慮書の手続きを第1種事業と第2種事業の両方に導入することを求めます。
 その上で対象の計画が以下の2つの条件に当てはまる場合には、配慮書の段階で事業の中止を促すことを求めます。
・計画地の近くに住宅地が存在し、ソーラーパネルの反射が住宅地に影響する場合。
・調整池を常時流水のある河道内に設置する場合。
理由としては、常時流水のある河道内に調整池を設置した場合には、水量の調節をして欲しくない計画地以外の集水域から流下する水についても水量調節が行われてしまうことなどがあります。
 開発調整池とは本来、開発により生ずる雨水排水増を適正量に緩和し、泥土を沈殿させて濁水などを河川を含む開発下流域に流しださないことを目的に設置されるものです。しかし、調整池を増水禍や汚濁を与えてはならない河道内に設定した場合には、調整池本来の機能を果たす事にはなりません。
 よって、河道内以外の場所に調整池を設置出来ない計画については、計画を中止するべきです。

 3. 環境影響評価法と条例の関係について
 環境影響評価法と地方公共団体が条例で定めた環境影響評価の手続きが重複した場合には、事業者の負担を軽減するため重複を避け、国が定める環境影響評価の方を優先し実施することになっています。(添付資料7)しかし、地方公共団体によっては、太陽光発電事業を国が定める環境影響評価法よりも厳格な規定によって環境影響評価の対象に加え審査している場合もあります。つまり、国が定める環境影響評価が選択されることによって、地方公共団体が条例で定めた環境影響評価を実施した場合に比べて環境への影響が増大してしまう可能性があります。
 よって、環境影響評価法と地方公共団体が条例で定めた環境影響評価の手続きが重複した場合には、その選択権を地方公共団体に委ねる必要があります。 

 4. 評価の手法について
 日本の環境影響評価の手続では、「評価」は事業者自らが行い、「評価」に対して住民や行政側が意見を述べることは出来ない仕組みとなっていますが、これは制度的な欠陥です。
 よって、準備書の審査で提出された意見を踏まえ事業者以外の第三者的機関が評価を行うように制度の改正を求めます。

 5. 事後調査の実施及び報告書の作成について
 事業開始後に行う「事後調査の実施」及び「報告書の作成」の手続きにおいては、太陽光発電パネルの廃棄について調査と報告を行うよう義務付けることを求めます。
 また、事業終了後には計画地から太陽光発電パネルが完全に撤去されることと、適正に廃棄されることを担保する仕組みが必要です。
 参考までに、平成30年11月1日開催の「第4回太陽光発電施設等に係る環境影響評価の基本的考え方に関する検討会」において、山田委員が次のように意見を述べています。

【山田委員】 7の廃棄物等のところです。
最近、産廃の処分業者さんとお話しすることがあって聞いたのですけれども、今、かなりの業者さんが太陽光パネルの受け入れはとめているそうです。その理由の一つが、これは製品によって違うらしいのですけれども、有害物質が入っているものがあり、それがどれかはわからないというのが一点で、もう一点は、これは基盤を外してしまえばそういうことはないのですが、つけたまま廃棄されると通電して火災の原因になるということです。 この2点で今は受け入れをとめているところが相当数あるということを聞きました。
それで、環境影響評価においても、この2点については予測なのか保全措置なのかどちらに記載しておいたほうがいいと思います。つまり、使っているパネルの含有物質情報、 それからもう一つは適正な処理の方法という2点についての環境配慮を記述しておいたほうが将来的によろしいかなと思います。あともう一点は、この間のヒアリングで、供用中に大体何枚ぐらい常に壊れますかと聞いても誰も答えられなかったのですが、やはり供用期間中にどれぐらい廃棄されるかという廃棄率みたいなものを、故障関数とかもあるので何とか見積もって示しておく必要があるのではないかなと思いました。私も具体的にどうやって見積もったらいいかはわからないですけれども、また評価のためにはある程度の経験が必要なのかもしれませんが、やはりそういうのも必要だと思います。以上です。(添付資料8

 上記5項目の要請を実現するため必要に応じて速やかに環境影響評価法の改正を行うことを求め
ます。 以上

 添付資料
1. 太陽光発電施設を環境影響評価の対象とする際の規模要件について
 添付資料5「事業計画策定ガイドライン (太陽光発電) 」(資源エネルギー庁)

2. 戦略的環境アセスメントの導入について

3. 環境影響評価法と条例の関係について
 添付資料7「環境アセスメントのあらまし」(環境省、2018年10月改定)

4. 評価の手法について

5. 事後調査の実施及び報告書の作成について

さらなるFIT法改正を求める経産省への要請書 (案)2019.01.15
はじめに
 東日本で起きた未曾有の大震災以来、次世代を担うエネルギー電源として大きな期待をもって迎えられた再生可能エネルギーが今、大きな転機を迎えようとしています。
FIT法が施行されると共に、再生可能エネルギー事業へ新規参入する事業者は激増しました。その中でも比較的設備の設置が簡単である太陽光発電は、担い手を失った手つかずの山林などを広範囲に伐採し、大掛かりな造成工事によって山を削り取り、谷を埋め立て、一面をパネルで埋め尽くすといった想定外の太陽光発電所計画を次々に生み出すような事態を招きました。
本来なら、再生可能エネルギーとして期待されるはずの太陽光発電事業によって私たちの地域が脅かされようとしています。大切に育まれてきた自然や文化、日常生活までもがある日突如として踏みにじられ、工事によって環境破壊や大災害を誘発しかねない事例が各地で多発しています。説明や同意の義務をまったく果たさないまま強行に工事を開始し、地域住民と衝突するような事例も後を絶ちません。さらには、再エネ賦課金が電気料金を押し上げ、国民負担が年ごとに増大していくことも危惧されます。
 地域と共生できない事業をなくし、国民負担を軽減するため以下のようにさらなる法改正を求めます。

 
1. 地域との共生について
 2017年4月1日施行の改正FIT法において、認定時に土地利用や安全性に関する他法令(条例を含む。)の遵守を求めること。関係法令に違反した事案について、改善命令を行い、認定取消を行うことができること。が盛り込まれたが、地域との共生を考えた場合、これではまだ十分な改正とは言えない状態です。
 資源エネルギー庁のホームページにおいて、平成28年10月より運用している「不適切案件に関する情報提供フォーム」へは、2018年8月末までに延べ223件の通報が寄せられています。このうち自治体からは24件の通報があり、その大半は法令違反、条例違反及び地元との調整に関するものです。(添付資料1
 条例を含む関係法令に違反した悪質な事業を無くし、地域との共生を図るために、以下のように法改正を求めます。
①認定について
関係する地方公共団体(注1)の条例を含む関係法令を遵守し、同意を得ることとする。
②未稼働案件について
関係する地方公共団体(注1)の首長または議会から条例を含む関係法令に違反しているとする申請があった場合には認定取消しとする。
③稼働中の案件について
関係する地方公共団体(注1)の条例を含む関係法令に違反した場合には認定取消しとする。
(注1):計画地が所在する市町村並びに都道府県に加え、計画地を集水域とする河川が存在する市町村及び都道府県を関係する地方公共団体と定義する。 

2. 国民負担の抑制について
 2018年の賦課金(国民負担)の総額は、2.4兆円で、電気料金に占める賦課金の割合は、産業用・業務用で16%、家庭用で11%に増大しています。
 また、FIT制度に伴う国民負担を、再エネ比率を10%から15%に増加させるのに要した負担単価と総額で内外比較してみると、日本の国民負担単価は2.25円/kWh、総額1.8兆円/年に対し、ドイツは、国民負担単価0.63円/kWh、総額3,307億円/年、イギリスは、国民負担単価0.28円/kWh、総額962億円/年と、日本の国民負担が大幅に高いことがわかります。
 認定価格の高い2012年(40円)、2013年(36円)、2014年(32円)の3年間に認定を取得し、まだ稼働していない未稼働案件は合計で23,515万kWあり、今後この案件が稼働し出すと国民負担が更に増大することになります。(添付資料2
 事業用太陽光発電のシステム費用は認定時に比べ運転開始の時期が遅れた場合には遅れるほどコストが低減しています。よって、買取価格の決定は認定時ではなく運転開始時とすべきです。また、過去に認定を受けたまま稼働していない未稼働案件についても運転開始時の買取価格に変更するよう法改正を求めます。 以上

 添付資料
 添付資料1「再生可能エネルギーの地域共生に向けた取組みについて」(資源エネルギー庁再生可能エネルギー推進室長杉山佳弘、2018.10.30)

 添付資料2「既認定案件による国民負担の抑制に向けた対応」(資源エネルギー庁、2018.10.15)

「らいてうの家」前の太陽光発電施設建設計画(2016年~) 1月9日

長野県上田市真田町にある「らいてうの家」の前に計画された太陽光発電施設。NPO法人平塚らいてうの会代表米田佐代子さんのブログ『米田佐代子の「森のやまんば日記」』 の記事から追ってみました。
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らいてうの家に営利事業の「太陽光発電」は似合わない!

らいてうが愛し、私たちが守ってきた国立公園あずまや高原の自然と歴史・文化が、目の前の「太陽光発電」計画で失われようとしています。

わたしたちは事業責任者のHJアセット・マネジメント社に計画の白紙撤回を要求するとともに、この計画について上田市と長野県に対しては厳正に審査することを、国立公園内の事業に許認可権限を持つ環境省に対しては許可しないことを要請したいと思います。……

  1. らいてうの家の目の前に建設される「ソーラーパネル」の林立は、上信越高原国立公園における自然の景観と環境を破壊し、らいてうの家訪問者をはじめ、住民や観光客のいこいの場を台無しにするものです。
  2. 現地は標高1,450mを超える高地で12月から4月初旬までは雪に閉ざされる低温地帯かつ登山道に面する急傾斜地です。パネル設置によって土地の保水力が失われ、下流地域にまで水害が及ぶ恐れがあります。
  3. ここは日本百名山で知られる四阿山登山路に面し、1300年の歴史を持つ山家神社奥社への参道でもあります。らいてうをはじめ60年前にこの土地を求めた人びとも「大切な土地」として手つかずの自然を守ってきました。こうした先人たちの歴史と文化を無視するものです。
  4. 「自然とともに生きる」ことをめざしてきたらいてうの家の基本理念と存立基盤をおびやかすものです。

  2017年9月  特定非営利活動法人 平塚らいてうの会 会長 米田佐代子


らいてうの家の真向かいに南面傾斜の草地があり、隣接ホテルの所有地ながら借景としては申し分のない風景で、夜そこに寝転ぶと満天の星が一望できる、すてきな場所だったのですが、8月早々突然「この土地(およびそこから続くおよそ20,000平方メートルの土地)を買い取り、太陽光発電所を設置する」という業者が現われたのです。太陽光発電は「自然エネルギー」というので、個人だけでなく、山林や遊休農地などをつかってソーラーパネルの大群を設置発電、電力会社に「売電」する事業が大流行しています。「原発じゃないからいいでしょう」と思われそうですが、それにしても風景は一変、ここにやってくるウグイスやカッコウ、アカゲラ、そして有名なわたり蝶のアサギマダラもやってくる自然豊かなこの地の環境も激変するかもしれない。真っ黒なソーラーパネルがずらりと林立する光景は、どう考えてもらいてうの家にふさわしいとは言えません。
内容は、各地で太陽光発電設備設置をめぐって「反対運動」が起り、該当地域の市町村や県などが対応に追われているというものですが、その焦点がサブタイトルに「アセス義務化 事業の停滞も」とあるように、自治体が「独自の条例などで、環境アセスメントを義務付ける」ところが出てきたことをあげて、「手続きが煩雑で手間がかかるため、太陽光発電の普及自体を妨げる心配もある」という論調になっていることです。「国のエネルギー基本計画では、16年度に15%だった再生可能エネルギーの割合を、30年度には22~24%に高めるとしている。中でも太陽光が先行して普及しており、土地の有効利用の観点でも利点が多いとされている」とあります。ある事業者の声として「(負担が大きいので)アセスが必要なところでは事業はしない」という意見も載せています。
これはどうみても「国の政策である太陽光発電を推進するうえで、環境アセスは普及を遅らせるおそれがある」と言っているのと同じではないでしょうか。国が法的規制もキチンとせず、野放し状態で太陽光発電を推進、沸き起こった住民の反対に、やむなく自治体が「ガイドライン」や「条例」で地域の環境破壊を抑えようとしているのに、これは「アセスなどやって業者をチェックしないほうがいい」と言わんばかりです。
内容を全部紹介できないので、感想を言います。 第一に、ここでの問題提起は、メガソーラー反対だけでなく、そもそも日本でいま展開されている「太陽光発電」そのものが「日本の国土の自然、生活環境に適合するのか」という問題提起をはらんでいるようにわたしには思われたことです。そこから出てくる第二の点は、ではわたしたちが望む原発やCO2削減をめざす電力はどうやって生み出せばいいのか、という問題。これらを含めて第三にメガソーラーを止めさせ、小規模ソーラーや水力、バイオマスなどによる発電で「地域の生活を地域で生み出す」あるいは「ソーラーシェアリング」のような太陽光発電と農業振興を結びつける方策が生みだされたとしても、それで大企業を含む電力需要全体が賄えるのか、という疑問です。(中略)
「太陽光発電は、ほんとうに推進すべき自然エネルギーか?」「たとえメガソーラーに限定して反対するとしても、原発や火力発電ではない電力を創出するにはどうしらいいか?」「小規模発電というかんがえかたは賛成できる面もあるが、これで生活電力はまかなえるとしても大企業の電力をどうやって確保するのか?」―これらの疑問を抱えて帰宅しましたが、その後ほぼ同じときに同じ長野県の飯田で「第10回市民・地域協同発電所 全国フォーラムin飯田」(10月5-7日)が開かれたことを知りました。
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全国メガソーラー問題シンポジウム(茅野市民館、2018.10.08)(YouTube
基調講演 :高田宏臣「現代土木の限界と災害、大地環境の仕組みから、メガソーラーの問題を診る」、梶山正三「メガソーラーをやっつけろ!~闘う住民のための十訓~」、
佐久祐司「FI T法の何が問題か」等の講演資料は、『全国メガソーラー問題シンポジウム』の「報告 」タブからダウンロードできます。

上田市民エネルギー・FoE Japan共催『ソーラー開発問題と市民・地域エネルギーを考える公開勉強会(上田市中央公民館、2016.09.23)
・茅野恒秀「全国、長野県の自然エネルギー開発問題の概要
・長野県環境部「太陽光発電を適正に推進するための市町村対応マニュア ル」(2016.06)
・上田市「開発規制ガイドライン
 ・藤川まゆみ(NPO法人上田市民エネルギー)「上田市発全国発信 市民共同設置「相乗りくん」の可能性
・吉田明子(FoE Japan)「電力自由化、私たちの選択

※追加資料(2019.01.15)※
サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル
   地域の足もとから、持続可能な自立共生社会を目指して
  ●環境新聞連載:「再生可能エネルギーと地域再生」より、10回目
    「上田市の再生可能エネルギーと地域づくり(1)」(2017.03.17)
  ●環境新聞連載:「再生可能エネルギーと地域再生」より、11回目

『科学』2018年10月号特集「再エネ:地域社会の再生へ」 1月8日

『科学』88巻10号(岩波書店、2018年10月)は、「再エネ:地域社会の再生」が特集されていました。
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安田陽「再生可能エネルギーがもたらす便益とは」
  便益という概念の不在
  我々のシステムは完璧だろうか?
  外部コスト、またの名を、隠れたコスト
  再び、再エネの便益とはなにか
  倫理と経済学
  結びに:地域経済への貢献

※『日本経済新聞』連載「やさしい経済学」電子版
 安田陽「地域分散型エネルギーと地産地消」
 (1) エネルギー自治の時代 2019/1/4
 (2) 電力の「鎖国」は非効率 2019/1/7
 (3)蓄電池設置は高コストに 2019/1/8
 (4)安易な防災目的、負の遺産にも  2019/1/9

京都大学大学院再生可能エネルギー経済学講座
 安田陽「エビデンスベースなエネルギー論争のために

中山琢夫「再エネが農村地域にもたらす経済的な力」
  持続可能な地域の発展に向けて
  地域付加価値分析とは
  岡山県西粟倉村における事例と分析
   (1)小水力発電所
   (2)バイオマス熱供給事業
  まとめ

※中山琢夫「生態系サービスの市場化をとおした中山間地域経済の自立についての研究

田中信一郎「地域を元気にする再エネ -長野県の事例からー 」
  地域主導型を促進する再エネ普及方針
  地域主導型を促進する政策
  地域主導型の事例
   おひさま進歩エネルギー株式会社(飯田市)
   上田市民エネルギー(上田市)
   まめってぇ鬼無里/自然エネルギー信州ネット(長野市)
  再エネ100%地域を目指して
  [まとめ]
   (1)持続可能な地域を目指すことの地域全体での理解の深化
   (2)人口減少を見据えてのインフラの長期的・効率的な利用
   (3)国内外の先進的な知見の積極導入とネットワーク化

地域政策デザインオフィス掲載メディア

※田中信一郎「エネルギーで地域経済を創生する

丸山康司「再生可能エネルギーの導入と地域の合意形成 -課題と実践ー 」
  再生可能エネルギーのもたらす社会的課題
  再生可能エネルギー利用における個と全体の緊張
  〈被害〉の曖昧さと合意の可能性
  社会的摩擦を招きやすい日本の現状
  合意形成を促す社会的仕組み
  社会の豊かさを実現するために

※丸山康司「環境影響評価法を巡る最近の動向

山下紀明「地域で太陽光発電を進めるために地域トラブル事例から学ぶ
  急速に拡大する太陽光発電
  太陽光の地域トラブル事例の全体像
   メディアでの地域トラブル報道状況
   全国自治体アンケートから見る地域トラブル
   国および地方自治体の制度の概況
  具体的な事例と教訓
   諏訪市・茅野市にまたがる地域トラブル
   富士見町での「冷静な撤退」
   長野県の制度的対応
   伊東市での地域トラブルの行方
   中小規模事業の地域トラブル
   ソーラーシェアリングへの懸念
  地域の受容性を高める地域主導型再エネ事業
   福島・冨岡復興ソーラー
   新潟・「おらって」の官民協働ソーラー
   広がるご当地エネルギー
  教訓を活かす
   地域トラブル事例からの教訓
   地域トラブルを減らしていくために

※山下紀明「メガソーラー開発に伴うトラブル事例と制度的対応策について
      (環境エネルギー政策研究所ISEP 2016.03.01)
 1. 問題関心
  メガソーラー事業の急拡大
  顕在化するトラブル
 2. 既往研究
 3. トラブル事例の整理
  トラブルの理由
  トラブルの発生地域
  開発主体の所在地
  トラブル事例の事業規模
  その後の経過
 4. トラブル事例への政策的対応
  具体的な対応事例
  4つの制度的対応策
①今後の開発計画に対し、既存の景観条例や自然保護条例を改定または新設し、メガソーラーの開発を直接的に抑制する規制的手法
②環境アセスメント条例の改定を通して、一定規模以上のメガソーラーの建設に対する調査や住民説明会の開催を義務付ける手続的義務による手法
③条例の制定やガイドラインの設置などにより数 MW 以下のメガソーラーの建設予定を事前に届出を義務付ける手続的義務による手法
④事業者との協定や交渉を通じて開発の影響を軽減する、代替措置を講ずる、住民との丁寧な合意形成を促すなど、行政指導を通じた自主的手法
  国、地域の双方からの予防的アプローチの必要性
  トラブル対策だけでなく、望ましいあり方への議論を
 5. まとめ

千葉恒久「ドイツの風力発電を支える計画制度」
  風車をどこに立てるのか
  地元住民の受容

※千葉恒久「欧州における地域・市民主導の低炭素社会づくり ~なぜ市民が主役なのか?」(2015年2月10日講演

市川大悟「再生可能エネルギー普及に、なぜ、いまゾーニングが必要か?」
  国内でも取り組みの兆し、いま注目されるゾーニングとは
  ゾーニングが必要となる理由
   トラブルが散見されるなか急増する再エネ計画
   環境アセスメントでの対応の難しさ
  ゾーニング普及への課題
  結びに

※市川大悟「自然エネルギー100%を実現する「要」 − 環境配慮の大切さについて考える」(自然エネルギー100%プラットフォーム

※WWFジャパン 気候変動・エネルギーグループ「自治体で進める地域協同でのゾーニングのすすめ ―地域環境と調和した 自然エネルギーの普及に向けて」(2017年11月)
はじめに
第1章 ゾーニングとはなにか?
 1-1 ゾーニングについて
 1-2 ゾーニングの国内外事例
 1-3 国内のゾーニングに向けた動き
第2 章 なぜいまゾーニングなのか?
 2-1 再生可能エネルギーへの期待
 2-2 期待される再エネ普及の規模感
 2-3 普及にともなう地域課題
 2-4 ゾーニングの必要性
第3 章 ゾーニングの実例紹介
 プロセス 1 検討体制の構築
 プロセス 2 協定書の締結
 プロセス 3 ゾーニングの進め方の検討[手法検討]
 プロセス 4 ゾーニングの実検討[影響項目の設定]
 プロセス 5 ゾーニングの実検討[各項目の評価]
 プロセス 6 ゾーニングの実検討[最終評価]
 プロセス 7 公表方法の検討
第4 章 今後の課題
 1 本ゾーニングにおける課題点
 2 ゾーニングの各地での普及の課題
おわりに
脚注・参考文献
※追加資料(2019.01.15)※
※『100%再生可能エネルギー地域のブログ』(滝川薫・田代かおる・近江まどか・池田憲昭・村上敦)ヨーロッパの各国、ドイツ、スイス、オーストリア、デンマーク、イタリアにおける再生可能エネルギー(新エネルギー、自然エネルギー)によって自立を目指す地域や自治体を紹介した本をより詳細に知るためのページ
※『滝川薫の未来日記
※『ドイツ・フライブルク市から地球環境を考える 村上敦

太陽光発電主力電源化に暗雲 1月7日

2018年9~10月に『週刊東洋経済』に3回連載された「主力電源化に暗雲」(岡田広行)を読みました。昨年12月2日の記事「森林を脅かす太陽光発電を考える」講演会に参加①「〃」②に関わるものです。
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●「第1回 太陽光発電の落とし穴」2018/09/15
集中豪雨で設備の損壊事故が続発し、ずさんな開発で住民とのトラブルが相次ぐ。大量導入が進む太陽光発電で何が起きているのか。

不十分な立地規制 災害に弱い設備も/安全に配慮欠くと民事訴訟で敗訴も/発電事業者の多くが電気安全の認識欠く
豪雨で太陽光パネル崩落 タイナビ電力「タイナビ姫路発電所」/地盤ごと崩落 DMM.com「姫路藤原発電所」/太陽光発電が突出して拡大 -再生可能エネルギーの累積導入量-/出力規模に応じて規制が異なる -太陽光発電設備に関する保安規制の状況/さくが設置されていない小規模発電所(山梨県笛吹市)/最大40度の急斜面に設置された太陽光発電所(山梨県甲州市)/件数で50キロワット未満が大半 -太陽光発電設備の導入状況(2017年12月末)/将来、放置・不法投棄のおそれも -産廃・リサイクル費用を確保している太陽光発電事業者の割合

長野・山梨現地ルポ 森が伐られ突然の着工 乱開発が住民を脅かす
造林の届出で伐採 裏で発電所建設を準備/手続きを経ずに着工 住民の怒りが爆発/FIT法違反の数々 規制強化の流れに/住民とのトラブルを招いた開発 長野県富士見町/小規模ソーラー乱立で“電柱銀座に” 山梨県北杜市/改正FIT事業法違反の施設があちこちに(山梨県北杜市) さくなし/さく標識なし/さくなし(ロープ不可)

INTERVIEW 「法違反には厳正に対処する」(経済産業省新エネルギー課長)

●「第2回 シャープ製パネルで相次ぐ火災事故の深層」2018/09/22
火災多発の背景には、設計不良があると専門家は指摘する。しかしシャープは「原因が特定できない」とし、製品リコールに否定的だ。

積水ハウスが施工した屋根材一体型で表面化/メーカー任せにせず安全対策の実行を
シャープ製品で火災事故報告が目立つ -住宅用太陽電池モジュールに関連した火災事故情報-/数センチ被さっていただけだが…

専門家に聞く シャープ製火災多発の技術的背景
火災を多発させる3つの複合要因/屋根材一体型が建物への延焼を招く シャープ製が出火する3つの要因/はんだ緩みを機に激しく発熱 -太陽電池セルの拡大図-

●「第3回 表面化し始めた品質保証問題 根拠が薄い長期性能保証」2018/10/06
太陽光発電所で初期不良問題が相次いで表面化。パネルメーカーの長期性能保証はセールストークの色彩が強く、根拠が不十分だ。

容易でない無償交換 メーカー任せが裏目に/長期信頼性を欠いた部材が広く使用される
2割以上で目視により不具合を確認 -太陽電池モジュールの部位別不具合現象- セルの接続不良/バックシートの亀裂/出力低下にはさまざまな要因がある -結晶シリコン太陽電池モジュールの稼働期間と出力低下要因の関係-/「長期信頼性」と「設計および製造プロセス」が低い傾向

安全を軽んじた普及の弊害
発電効率やコストを最優先

太陽光パネル用語解説
パワーコンディショナー/太陽電池モジュール/太陽電池セル/インターコネクター/バックシート/バイパス回路

※※追加資料※※
  (アゴラ研究所『GEPR』記事)

※「太陽光発電事業の環境保全対策に関する自治体の取組事例集」(環境省、2016年4月)

※『太陽光発電所を売却するためのWEBマガジン

ブルーベリー園西側の林の下刈り 1月6日

今日もブルーベリー園西側の杉林の下刈りをしました。昨年刈ったシラカシやゴンズイなどの蘖(ひこばえ)を根元から再度伐採しました。昨年刈り残した灌木も何本か伐採し、大きいものは枝落としをしてチェンソーで玉切りしました。
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枯れたスギも1本伐採しました。直径21㎝で戦後に植林されたものだろうと思っていましたが、樹齢は90年を越していることがわかりました。児沢家の母屋が建てられた頃です。木の成長が遅かった時期は年輪幅が1㎜以下です。
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背負式刈払機修理とブルーベリー園西側の林の下刈り 1月5日

12月30日に続いて、ブルーベリー園西側の杉林の下刈り・灌木の伐採を背負い式の刈払機とノコギリでしました。ブルーベリー園の今年最初の作業です。お昼はアナゴ釜飯をコンロで炊き、豆腐と野菜のみそ汁、サツマイモを蒸かして関口さんも一緒に食べました。
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背負式刈払機のプライミングボディの交換
刈払機はエンジンを掛ける前にプライマリーポンプ (プライマーポンプ、プライミングポンプ)のゴム(プライミングボディ)を数回押して燃料(混合油)を気化器に送りこみます。背負式の刈払機はプライミングボディが劣化し、ゴムを押すと燃料が漏れるので使っていませんでしたが、本日、ビバホームでプライミングボディを購入して部品交換し、エンジンをかけて使えるようになりました。三本さんありがとうございました。
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※「草刈機(刈払機)の修理方法」(石川大さんの『山里の素人農業』から)

市民の森作業エリアのマツの本数(2016年1月) 1月4日

2016年1月、市民の森のアカマツには松枯れ防止のために樹幹注入剤注入が実施されました。その際、樹幹注入剤を使用したアカマツには、調査年月日、施工年月日、樹木番号、胸高直径、薬剤本数を記入したシートが貼りつけられました。
IMG_4457●市民の森施設平面図1600×1200

市民の森の岩殿物見山駐車場から地球観測センター向かって舗装された園路を歩いて行くと、途中で入山沼にに向かう尾根の園路がわかれます。この地点に地区ナンバーI1番のマツがあります。さらに入山沼に向かう尾根の園路をすすんでベンチがある地点(地図A地点)に到着すると、尾根の園路北向き斜面にはJ1番、清澄ゴルフ場が下に見える西向き斜面にはJ266番、J267番(Jの末番)、南向き斜面にはI185番のマツがあります。そこで、2016年1月現在で中央園路からこの地点までのI地区(東向き斜面)には185本のマツがあり、この地点から始まるJ地区には267本のマツがあったことがわかります。
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B地点は園路の階段が終わった場所で、ここにはI633番、J164番のマツがあります。
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5の数字がふられた赤いプラ杭があるのがC地点です。ここから東側が市民の森保全クラブの作業エリアです。杭付近にはI858番からのマツがあります。北向き斜面のJ262番は所在不明。A地点からC地点の間のマツの本数(この間は尾根にアカマツ、斜面にはテーダマツが多い)は園路沿いと南向斜面(I)には673本(I866を足して)、北向き斜面と北に突き出た尾根部分(J)には261本、尾根と南北斜面には、934本のマツがあったことがわかります。
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さらに尾根の園路をすすんで四阿からカーブして作業道に下りて行きます。そこがD地点でI872~874番、I875番、J265番のマツがあります。J263番は上の四阿のそば、J264番は下りカーブ途中にありました。
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まとめると、市民の森保全クラブの作業エリアには2016年1月の時点で、南向斜面にはI858~75番(I866番はエリア外)の17本、北向き斜面にはJ262~265番の4本、合わせて21本のアカマツ(エリア内にはテーダマツはない)があったことがわかります。現在は、南北斜面とも伐採等でアカマツの本数はさらに減っており、作業エリアについてはコナラが他種を圧倒する「ドングリの森」であることを示しています。

2016年1月時点でA地点から作業道に下りていくまでの範囲にマツが955本あったことがマツにふられた通し番号の合計から知ることができましたが、その本数の多さに改めて驚かされます。2000年4月に市民の森が都市緑地として公開された時点で、市民の森全域に「松約9000本」あったと言われていますが、この数もハッタリではなさそうです。

マツ枯れの仕組みと防除③ 1月3日

森林被害対策シリーズ  No.1 「松くい虫」の防除戦略  マツ材線虫病の機構と防除』(独立行政法人 森林総合研究所、2006年)を再読しました。市民の森保全クラブ会員必読です。

松枯れは線虫と昆虫が共同して引き起こす病気です。その仕組みは以下の通りです(冒頭の番号は下図と対応しています)。
1)5~7月にマツノマダラカミキリ成虫がマツノザイセンチュウ(線虫)を体内に入れて(主に気管の中)前年に枯れたマツから脱出。
2)カミキリ成虫は生きたマツの枝をかじって栄養摂取。この傷から線虫が樹体内に侵入。
3)侵入後、線虫はマツの樹脂道(ヤニの通り道)を通って樹体全体に広がり、マツの細胞から栄養を摂取。線虫の活動にともなって、水(木部樹液)の通路である仮道管から水分が抜けて無くなり、樹液が上昇できなくなる。感染後1〜2ヶ月で、水不足のため葉が変色し、樹幹内で線虫が増殖。  
4)カミキリ成虫は枯死したマツが放つ匂いに引かれ、枯損マツの樹幹に産卵。10日ほどで孵化して幼虫になる。
5)夏から秋にかけてマツ林で枯損が目立つようになる。
6)カミキリ幼虫は枯死したマツの樹皮下を食害して成長。
7)十分に食べた幼虫は材内にもぐり、蛹室を作り、翌年春に蛹になる。
8)材内にいた線虫は蛹室に集まり、カミキリ成虫の気門(空気を取り入れるために体表にある穴)に入り込み、カミキリとともに材の外へと旅立つ。
松枯れの仕組み

  松枯れを防除しなければマツ林は消滅
松枯れを引き起こすマツノザイセンチュウは北アメリカから侵入した侵入生物で市民の森に植林されたアメリカ原産のテーダマツは抵抗性が強いが、日本の在来種のアカマツは致命的に弱い。マツノマダラカミキリは日本在来の昆虫であるが、マツノザイセンチュウが侵入する以前は枯木や枯枝が少なかったので、マツノマダラカミキリの繁殖できる資源が少なく、虫の密度が低かった。マツノザイセンチュウが侵入後、マツノマダラカミキリがマツノザイセンチュウと結びづき、枯れ木が増えたため、繁殖を妨げるものがなくなり、爆発的に増える条件が整った。放置すれば被害は広がるのみ。マツ林を守るには人間による制御が必要!!


  マツ枯れ防除の基本戦略
   ①マツノマダラカミキリまたはマツノザイセンチュウを絶滅させる
これが可能なのは、島嶼など、周囲から隔離された場所だけです。鹿児島県沖永良部島で実証例があります。周辺に被害マツ林がある場合やマツ枯損木の移動(持ち込み)が考えられる場所では、不可能
   ②マツ林を抵抗性の強い品種に変換する
抵抗性家系でも感染して枯れることはあるものの、苗木を積極的に植栽すると将来の被害を減らすことができる
   ③マツノマダラカミキリの増殖率を抑える
天敵として、菌類、センチュウ、クモ、ダニ、昆虫、鳥類など多くが知られていますが、マツノマダラカミキリの数をコンスタントに制御できる有効な天敵は見つかっていない
   ④予防散布や伐倒駆除を継続することにより微害を維持する
被害量が少ない場合、微害に維持するための費用はそれほど多くかからない。狭い地域ならば予算的にも、防除労力、枯損木探査の確実性等からみても可能

現状では④の方法、また条件の整った場所では①が実現可能。②は長期的な防除費用や薬剤の使用を減らせる点で今後はより重要になると考えられる。③についてはいまのところ有効な方法はない。[「マツノマダラカミキリを振動で寄せ付けない方法」が③でしょうか]

  防除手順の実際
   微害(林野庁では枯損率が1%以下の場合を指す)を維持する
   手順1:「保全するマツ林」の決定
   手順2:現在の被害量を微害に誘導
   手順3:微害の維持
    ①周辺マツ林の樹種転換
    ②保全するマツ林における徹底的な駆除
     ●すべての枯損木を見つける
     ●見つけた枯損木は、すべて駆除対象とする
     ●駆除対象の枯損木からマツノマダラカミキリをすべて殺虫
    ③保全するマツ林の成立本数の確保
     予防散布だけで被害がゼロになった例はない
予防散布と伐倒駆除(薬剤散布)の組み合わせだけでは被害量を減らせることは難しく、枯損木の焼却やチップ化による特別伐倒駆除との併用が被害を減少させるにあたって効果的

  個別防除法 ①予防散布

  個別防除法 ②伐倒木の処理
   焼却
   破砕(チップ化)
   燻蒸
   薬剤処理

  個別防除法 ③効果を上げるには
   枯損木の見落とし対策
   駆除残し対策
   駆除率を上げる

  戦略を実行する手順
   実施前
   1年目-5年
   5年目以降
   周辺マツ林の取り扱いの重要性

  防除の成功例


マツ枯れの仕組みと防除② 1月2日

神戸大学大学院農学研究科黒田慶子教授の『マツの材線虫病』。

松食い虫や松枯れと呼ばれる現象の実体は、マツ材線虫病という伝染病である。北米からの侵入病害で、日本原産のアカマツ・クロマツは感受性が高く、感染すると大半が枯れる。過去の記録から、1905年に長崎で起こった集団枯死が最初の被害と推定されている。マツノザイセンチュウが病原体であることを徳重と清原(1971)が発見し、それから30年以上の研究を経て、発病および萎凋のメカニズムは、かなり細部まで説明できるようになった。近年では、抵抗性のアカマツやクロマツが選抜され、苗木の生産が行われている。しかし、「発病メカニズムは全然わかっていない」という誤解や、「線虫が枯らしているのではない」と、強く主張される場合が依然としてあり、防除推進の妨げともなっている。
発病のメカニズムについて基本的な事柄が理解されていれば、マツ枯れの防除はより効果的に実行できる。また、薬剤使用についても正確な判断が可能となる。
線虫はマツの柔細胞類の内容物を酵素分解して吸収するが、発病前の早い段階では摂食によって壊死[えし]する細胞はごく僅かであり、マツの組織を食い荒らして枯らすのではない。
「気体による通道阻害」が明らかになるまで、枯損理由は「線虫や松ヤニが仮道管や樹脂道に詰まるため」と説明されていた。まだこの説で説明されている事例がある。
 なお、材線虫病で枯れたマツの材に糸状菌類(カビ)が繁殖しているため、糸状菌を萎凋の原因とする説もあったが、糸状菌類単独でマツ枯れを起こすという説は否定された。
  感染から枯死までのプロセス 仮道管の排水
感染から枯死までのプロセス

なお、毒素で枯れるという説もあるが、樹木の細胞を多量に壊死させ枯死に至らせる毒性物質は発見されていない。「未知の物質」程度の意味合いで「毒素」という言葉が用いられて、誤解をまねくことがある。
  抵抗性のマツ
   1)抵抗性種の特徴
病原線虫とのつきあいがたった100年間という日本産のアカマツやクロマツは感受性が非常に高く、接種実験では70~90%が枯れる。一方、北米原産のテーダマツやストローブマツは抵抗性が高く、感受性により枯れる率が低い。ただし、100%枯れないわけではない。テーダマツでは、線虫はマツ組織に感染(侵入)できるが、樹幹内での移動は不活発で、増殖できない。仮道管の排水現象は局部的に起こるが、樹液流動は持続するので枯れにくいという結果が出ている。抵抗性発現のメカニズムとしては、線虫の移動阻害と増殖阻害の二つが考えられる。線虫の活動を妨げるような化学物質が組織に含まれている可能性はあるが、まだ検出されていない。
   抵抗性マツの利用に関する今後の課題
マツは10年生ぐらい成長するとマツ材線虫病に罹病しやすくなる。植栽地で罹病率調査を実施する必要があるが、単なる「枯死率調査」ではなく、材線虫病による枯死かどうか確認しなければ、有用なデータとはならない。
※池田武文「キャビテーションとエンボリズム ―渇きのシグナル―
    (シリーズ 森をはかる その8 『森林科学』24巻、1998年10月)

   樹木をめぐる水移動とキャビテーション[空洞現象]
樹木をめぐる水移動とキャビテーションの検出
   エンボリズム[通道(通導)阻害]の形成メカニズム
エンボリズムの形成メカニズム

※黒田宏之「マツ枯損防止のための新戦略構築」(『木材研究・資料』第35号、1999年)
    材線虫病に対するマツの抵抗性
材線虫病に対するマツの抵抗性
     抵抗性の強さ A>B>C>D
     アカマツC クロマツD テーダマツA

元日の岩殿田んぼ 2019年

あけましておめでとうございます!!
岩殿満喫クラブの活動は6年目になります。今年もよろしくお願いします。
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※元日の岩殿田んぼ写真:2014年15年16年17年18年
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