2019年01月
・熊谷市のプラスチック製品は燃されています。生ごみ、木製品、布類、革製品、発泡スチロール、木の枝などとともに週2回、回収される「燃えるごみ」の分類で熊谷衛生センター、江南清掃センター、深谷清掃センターで焼却されます。
次に資源の活用についてです。1年間に1000tもの松葉や枯れ枝が落ちてきているという調査結果があります。ボランティアの参加者数が急増し、集められる松葉や枯れ枝も増加し、処分費用が高額となり、松原の中に放置され、景観の低下や松くい虫(害虫)の温床となる問題がでてきました。そこで、これらを資源として活用するための検討を行ってきました。
- 松葉に関しては、たばこ農家が苗床としたり、油粕と混ぜて堆肥として活用されています。
- 枯れ枝に関しては、活用方法がなく、多額の費用をかけて処分をしていました。そこで、2011年からは木質ペレットに、2014年からは、企業と連携してフルボ酸を抽出しシャンプーに、2016年からは、里山で困っている竹に松葉を詰めて薪にして薪ストーブの燃料として活用、さらに、農業用の炭もつくりました。この時に焼き芋をつくって参加者にふるまうと、大変喜んでいただきました。この様に、色々と試してきましたが、「生産効率の問題」や「消費先の課題」もあり実用化には至っていません。
要約:虹の松原の衰退につながる松葉の堆積の対策として、松葉を屋上緑化の土壌代替材として利用することを試みた。保水性・軽量性を比較するために、「松葉」「松葉炭」「粉砕松葉」「粉砕松葉炭」「木炭」「マサ土」の6種類を用意した。保水性は芝生が無濯i既で、枯れない期間と可能蒸発最・蒸発散量の関係を調べることにより検証した。その結果、松葉、マサ土、松葉炭、粉砕松葉炭、水炭、粉砕松葉の順に枯れ、松葉以外はマサ土より保水性が高いことがわかった。 HYDRUS-2Dによるシミュレーションを行った結果も、完全には一致しなかったものの実験通りの順番に蒸発散比が減少し始めた。軽量性についてはマサ土以外で、飽和密度が約 1(g/cm3)と屋上緑化に利用できる数値であった。保水性・軽量性を考えると粉時松葉、粉砕松葉炭については屋上緑化の土壌代替材として利用できることがわかった。
要約:堆積松葉の有効利用法の一つとしての松葉炭の水質浄化能力を明らかにするため、備長炭および砂を比較対象として検討、考祭した。その結果、松葉炭のCOD[化学的酸素要求量]に対する浄化能力は備長炭と比べて低く、砂と同程度であり、さらに、微生物を付着させることで高い硝酸イオン除去能力を示すことが確認された。
摘要:近年、佐賀平野ではクリークの水質環境の悪化が顕著になっている。また、佐賀県内では松原の堆積松葉や水路に繁茂するホテイアオイの処理が問題となっている。本研究では、これらの課題を同時に解決する方法として、これらの植物を炭化物にし、それをクリーク水の浄化に利用することについて検討した。実験の結果、松葉炭、ホテイアオイ炭ともに、溶解性成分の溶出を施した場合、リン成分に対して高い浄化能力を示すことが明らかとなった。
現在、虹の松原のほとんどの堆積マツ葉は葉タバコ農家によって、温床や堆肥として利用されています。しかし、その葉タバコの生産量も減少傾向にあり、今後は他の用途についても検討することが急務となっています。
そこで、堆積マツ葉の有効利用の一つとして、マツ葉を炭化させた「松葉炭」の水質浄化剤や土壌改良材としての可能性について検討されています。
マツ葉炭の作り方 研究材料としての松葉炭を使用する場合は、炭化温度、炭化時間を一定にする必要がありますが、そうでない場合は簡単にたき火を利用して作ることができます。同じ方法で松かさも炭化でき、唐津市の東唐津小学校では環境教育の一環として、炭化した松かさで消臭剤も兼ねた置物を製作しており、生徒達に好評です。
佐賀大学の研究では一定の温度にした電気炉の中に、マツ葉を詰めた鉄製の缶(直径7.5㎝、高さ15㎝)に30分間入れて炭化させました。この時、炭化に伴って発生するガスを逃がすために缶に直径3~5㎜程度の穴をあけておくことが大切です。発生するガスによって蓋がはずれないように針金などでしばっておきます。
●伐採事故の現場写真・再発防止に公開(『つうたいの旅・パソコン初歩・リハビリのお役立ちブログ?』から)
●「伐倒技術 オープンフェースノッチ」(上村巧さんの「森林の安全作業情報」)
●「伐倒技術 受口と追口の位置と寸法」(上村巧さんの「森林の安全作業情報」)
●上村巧・岡安崇史・鹿 島潤・佐々木達也・岡勝・加利屋義広・井上英二「倒伏初期における追口高さが内部応力に与える影響」(『森林科学』24-1、2009年)
●「林業でいちばん基本的な木の倒し方「追い口切り」と、木が倒れるしくみ」
●「受け口どのへんにつくろうかなーと迷わないために、最初に追い口の高さを決める方法と考え方」
●「追い口切りより安全で確実な「追いヅル切り」」
●「「受け口方向」=「伐倒方向」ではないこともある」
●「「追い口の高さを低くする」ことのメリットは、年輪の影響を受けにくいこと」
(以上はがっちょさんの『きこりやろう(野郎)』から)
●災害事例研究№30 「かかり木を外すため浴びせ倒しを行ったところ二重のかかり木となったため、かかられた木を伐倒していたところ、2本のかかり木が落下し激突された」
(3)かかっている木の元玉切りは禁止
(4)かかっている木の肩担ぎは禁止
(5)かかられている木の枝切りは禁止
広葉樹は「裂け」に注意
裂けない伐り方①追いヅル伐り
裂けない伐り方②重心方向の横へ倒す
倒れようとする力をぎりぎりまで抑える
重心の見極めクサビを下げ振りに
現場の工夫いろいろ
●特集2 タイプ別伐倒図解 芯抜け・裂け上がりを防ぐ伐倒技術
コナラの伐倒 受け口の下切りで芯切りも済ませる 伐倒手順
重心の見極め方法
裂け上がりはこのように起こる
2本立ちのミズキ 裂け上がり防止のため芯切りして伐倒
4本立ちのイタヤカエデ 木の絡み方と重心を観察して伐倒
●特集3 木を読んで丁寧に伐倒
追いヅル切り①―裂け予防のために
追いヅル切り②低い位置で切り込む―退避時間を稼ぐために
追いヅル切りを利用した追い切り
木の繊維方向を読んで根張り切り
観察力―伐倒前の情報収集
用材として広葉樹を伐倒する場合の注意点
丁寧な仕事―カットラインをマークする
受けの下切りを斜め下から行うときのコツ
虹の松原は国有林であるから、西九州たばこ耕作組合玄海支所は森林管理署との間で毎年、松原250ha中180haにおいて一定分量の松葉の採集契約を結んでおり、その中でゾーニングによって同耕作組合所属の各地区での利用が行われている。各地区にゾーニング配分された区域での松葉採集方法は地区ごとに異なっており、呼子町、唐津市、肥前町の各地区では所属する葉タバコ栽培農家全員、あるいはその中の一定メンバーによる共間作業による採集が行われている。また、個人での採集作業も少なくない。ともに年末、年始の休みを削つての忙しい作業である。


タバコ農家による松葉の利用
25年ほど前から、虹の松原では全面積230haのうち180haの松葉が 唐津市周辺のタバコ農家によって収集され利用されている。
その方法は以下のとおりである。
まず12月頃に松葉を収集しやすくするために除草しておく。次に1月頃に松葉を採取する(写真)。採取後1年間は苗床(子床)として使用し(写真2略)、その後1年かけて堆肥化して土壌改良材として利用している。
時々 ボランテイア活動で松葉かきをしてたまった松葉を収集に行くこともあるが、多忙な時は行けないこともある。
苗床は20~25℃程度にする必要があるので、電熱線を利用することもあるが、松葉で苗床を作ると、昼間の太陽からの輻射熱を吸収、蓄熱して、夜間の温度の低下を防ぐ作用によって、適温に保つことができる。
次年度は、苗床から松葉を出し、それに油かすや草、カヤ、アシ、麦わら、常緑樹の落ち葉などを混ぜて、発酵させて堆肥を作る(このとき40℃近くになることもある)。
ゴルフ場の松葉には芝も混じっているので、発酵がすすむが、これだけでは良い堆肥はできないので、油かすや牛糞を加えると3ヶ月早く、良い堆肥ができる。
注1.松葉1トンにつき油粕を20kg入れて、水を加える。ビニールシートをかけて15回ほど切り返すと良い堆肥が早くできる。
注2.松葉を利用するようになる以前は、カヤ、わら、ヨシなどを刈り取って、使用していたが、採取場所も少なくなったために、今は安定的に採取できる松葉を利用している。
注3.松葉に何も加えずに3年間自然条件下に置いたものは肥土(ラン栽培に適している)として利用している。
注4.地表面に樹木、草、こけなどがあると、松葉かきが困難であるので、松葉だけが砂地に堆積していれば、容易に採取できる。また 一カ所に収集してあれば、非常に助かるとのことであった。
注5.松葉のC/N比は50~60あり、炭素成分が多く、堆肥になるのが遅い、また松葉でつくった堆肥は酸性であるので、注意すること。
目的
三保の松原は、富士山が世界文化遺産として登録された中に含まれた景勝地です。その景観をなす約5万本の松の保全には、将来にわたっても大きな課題となっています。落ちた枯れ松葉の清掃も松の生育には必要な作業でありボランティアなどの協力により実施しておりますが、落ち葉の収集にも大変な労力を費やしているのが現状です。収集された松葉を処理し地域で活用できれば、収集作業の労力軽減にも役立ち、地域の環境にも貢献できるものと考え、松葉の再利用の一つとして堆肥化させて肥料として利用する方法も報告されているので、三保の松原で実証することにしました。
※『三保の松原の松葉を有効利用した環境保全への取り組み』概要報告書成果
■松葉堆肥の作成方法
市販の回転型コンポスターを用いて、乾燥松葉3~7kgに対して1kgの堆肥化促進剤を加え、2ヶ月間撹拌しながら生ごみ類(乾燥松葉の1~10倍程度)を入れて、その後1ヶ月間熟成させることで、AとBの二種類の堆肥を作製しました。(A:羽衣ホテル生ごみ、B:一般家庭生ごみ) なお、堆肥化時の注意点として、
- コンポスターを屋外に設置するため、気温が低下する冬季は、発酵速度が低下するため、熟成期間をより長くする必要がある。
- 堆肥化終了時前の降雨により水分量が多くなった場合には、使用前に適度に乾燥させる。
- 使用前に、pH(6~8)とEC値※(5mS/cm以下)をチェックする。 (※EC値とは、堆肥に含まれるイオンの量)
■松葉堆肥の使用方法
コマツナを用いて幼植物試験を行ったところ、今回作製した松葉堆肥AとBは、容積割合で40%も施用してもコマツナの発芽率、生育並びに葉色が抑制されることなく、むしろ育成と葉色が対照よりも優れる傾向が認められ、良質な堆肥であることが確かめられました。今回作製した松葉堆肥AとBを容積割合で20%土壌に混入した場合、それぞれ農地10a当たりの投入量は現物重で約1.2tと約0.9tとなりました。豚糞堆肥の施用上限値は、畑作物や野菜で10a当たり2~2.5tです。また、堆肥に使用する生ごみの種類により科学的な性質が異なることや、作製する時期により腐熟度が異なる点を考えると、松葉堆肥の投入量は、現物1~2t程度とするのが妥当であると思われます。なお、実際に農地に投入する場合には、松葉の大部分がその形状を保っているので、少量ずつ使用し、農作業に支障を与えないかを含めて、適正な使用量を決めるのが望ましいです。
・マニュアル本の制作
②学校教育活動
・小中学校の教育プログラム導入による若い世代の関心向上
③堆肥化活動
・松葉堆肥づくりとできた堆肥の地域での活用(花壇・農地)
※NPO法人循環生活研究所理事長たいら由以子さんの「暮らしと松林をつなげる松葉堆肥のすすめ」が『グリーン・エージ』523号(日本緑化センター2017年7月)に掲載されています。

煙樹ヶ浜松葉堆肥ブランド研究会
煙樹ヶ浜の松葉堆肥で育ったブランド作物。 黒潮からの風と太陽をいっぱいに育った煙樹ヶ浜の松葉。 この松葉(落ち葉)を集めて堆肥化し、キュウリやトマト、いちごの栽培に利用し「松」ブランドとして出荷している。 松葉かきによる松林の保全と地域の農作物のブランド化による地域農業の活性化を目指している。
こうした取組は、これまで不用物として放置されていた松葉が循環型資源として活用されるだけでなく、松葉かきによる松林の環境保全や周辺の防災対策のほか、松葉かき作業を通じた住民交流や農家の活性化等、多面的な効果がもたらされています。
しかし、年々農作物の生産拡大を図ってきている一方で、この取組を安定的なものとするには、さらに販路を広げることが必要不可欠となってきます。このため、近時、美浜町では、ブランド価値向上による販売促進を目指し、「まつりん&ぼっくりん」という愛称の煙樹ヶ浜松林イメージキャラクターを作成し、農作物のパッケージへのシール貼付や、大阪、名古屋等の県外イベントに着ぐるみで参加するなど、積極的な広報活動が行われているところです。 こうした PR 効果が表れ、今後、一層の活性化に繋がることが期待されます。
「一部地域ではバイオマス発電に利用されている。たばこ農家の苗床や、川の浄化に少量使われている。燃料としては早く燃え尽きてしまい、堆肥としても使いづらく、事業規模では成立していない」と聞きました。調べてみると、、思っていた以上に事例だけはたくさんありました!!
昔は主に燃料として活用されていたそうですが、現在は燃料としてだけではなく、松野菜・松酒・松葉茶・サイダーといった食料・飲料品からシャンプー・薬といった日用品にまで本当に幅広く活用されているのです。他にも松脂(マツヤニ)の成分から、粘着剤、香料、滑り止め、紙の添加物にまで使用されています。
ちなみに、松野菜は和歌山県美浜町で作られているもので、マツの枯れ葉と籾殻が発酵されてできた、松堆肥から栽培されたトマト、キュウリ、イチゴなどのことを指しています。このように、一部地域ではマツは堆肥としても活用されているのですね。一方、松葉茶やサイダーは、マツを香料として使用されています。
驚いたことに、海外でもいろいろな国で使われているのです。例えば、韓国の松餅(ソンピョン)と言われる、マツの香りのついた蒸し餅は、お盆の時期に食べる風習のあるお菓子だそうです。他にも、フランスではマツヤニ入りのキャンディーが販売されています。フランスでは昔から、マツヤニには肺の浄化作用がある事が知られているそうです。(A)
マツの落ち葉の有効活用方法の主な使い道として、燃料・肥料が挙げられます。実は、マツの落ち葉は昔から人々の生活の暮らしに身近なものなのですよ~。ガスや灯油が普及する1940年代~1950年代の半ば頃までは、薪や炭が庶民の暮らしを支えていました。特に松の落ち葉は火がつきやすく、かまどや風呂の焚きつけに重宝されていました。固めて縄で縛った松葉を売り歩く商売もあった程だそうです。現在では、家庭からかまどが消えつつありますが、夏の京都の風物詩、五山の送り火には松の薪と松葉が使われているそうです。他にも、陶磁器を焼き上げる登り窯としても使われています。マツは、他の木材と比較しても単位重量当りの燃焼熱量が高いんですね~。
他にも、マツの落ち葉が燃料・肥料として有効活用されている事例があります。例えば以前の記事でもご紹介した、松野菜です。松野菜は和歌山県美浜町で作られているもので、マツの枯れ葉と籾殻が発酵されてできた、松堆肥から栽培され、松トマト、松キュウリと呼ばれています。煙樹ヶ浜松葉堆肥ブランド研究会事務局は、「松葉は環境にも優しいバイオマス資源であり、その堆肥を撒いた土壌は通気性、保水性に優れ、植物の根に良好な環境を作り出す」と述べています。他にも、ガーデニングなどでよく使用されている、クロマツペレットが挙げられます。クロマツペレットは熱量が高く、灰分1パーセント以下の燃料用として非常に優れた特徴があるそうです。(B)
マツ枯れ被害木の発見と伐倒の徹底、さらに倒したマツ枯れ被害木を放置しないで、チップ化、薬剤撒布や燻蒸処理などを徹底することが松枯れ被害を減らしていくことにつながります。

※肥料と堆肥の新常識 野菜はアミノ酸を吸収できる(『やさい畑』2016秋号、14~15頁)
肥料の常識を変えるアミノ酸
エネルギーロス少なく野菜が生長できる
悪天候や病害虫に負けない野菜になる
おいしく、栄養価の高い野菜になる
アミノ酸で多收、高品質が実現
※肥料と堆肥の大誤解(『やさい畑』2016秋号、16~21頁)
その1 堆肥は完熟堆肥がいい?
未熟な堆肥はもちろん論外
完熟堆肥では土壌病害虫を抑えきれない
完熟の一歩手前が理想の堆肥
その2 有機質肥料は化学肥料より効きが遅い?
発酵済みなら化学肥料同様、早く効く
味だけでなく、収量や品質も向上させる
有機質肥料ならではの効用も
有機物を発酵させると、さまざまな整理活性物質(生体の生理活動に何らかの作用をする物質)ができます。発酵に関わる微生物の種類によっては、ビタミンやホルモンなどの増殖や植物の生長を促す物質や、土壌病原菌などを抑制する抗菌物質(抗生物質)をつくります。これらの機能性物質は、微生物が関わってはじめてつくられるもので、化学肥料を用いた栽培では得られません。その3 ボカシ肥だけ施しておけばよい?
ボカシ肥のみでは4~5年で頭打ちに
頭打ちの主原因は苦土(マグネシウム)不足
不足のミネラルは補給が必要
石灰も肥料だと認識しよう
苦土石灰・カキ殻石灰・貝化石
※肥料と堆肥が生まれ変わる万能納豆液
※場所も時間もとらない土中堆肥速熟法
※市販の有機質肥料をパワーアップ アミノ酸肥料簡単製造法
※極上の液肥「カル酢」をつくる(以上『やさい畑』2016秋号、21~29頁)
※まとめ 中熟堆肥を用い、ミネラルとアミノ酸を適切に施す(『やさい畑』2016秋号、30~31頁)
有機栽培に用いる3つの資材とその働き
中熟堆肥、アミノ酸、ミネラル
経験や勘に頼らず科学的な施肥設計を
※種類別肥料ガイド(『やさい畑』2017秋号、13~30頁)
じっくりと長く効く有機質肥料・油粕(元肥に)
分解が早く微量要素も多い・魚かす(元肥、追肥に)
効き目が早く追肥にも使える・発酵鶏ふん(元肥、追肥に)
長期間じわじわと効くリン酸肥料・骨粉(元肥に)
すぐに効くカリ肥料・草木灰(元肥、追肥に)
緩やかに長く効く・IB入り化成(元肥、追肥に)
時間差で効く・被覆肥料入配合肥料(元肥、追肥に)
速効性と緩効性を併せ持つ・有機配合肥料(元肥、追肥に)
すぐに効く窒素肥料・硫安(硫酸アンモニウム)(元肥、追肥に)
即効性のリン酸肥料・過リン酸石灰(過石)(元肥に)
イモ類に向く即効性のカリ肥料・硫酸カリ(硫加)(元肥、追肥に)
超速効で簡単に施せる・液体肥料(追肥に)
じつは「肥料」ではない活力剤
窒素、リン酸、カリなどの肥料成分を一定以上含むものだけが、肥料として販売できる
肥料を食事だとしたら、活力剤はサプリメント
簡単につくれて野菜がすぐ吸収できる・ボカシ肥
植物を畑で育てて土に還す・緑肥
※堆肥づくりのための落ち葉図鑑(『やさい畑』2017秋号、54~58頁)
半年程度で堆肥になるもの
モモ、ウメ、ケヤキ、ナンキンハゼ、アジサイ、ハナミズキ、クリ、ブドウ、カエデの仲間
半年から1年で堆肥にできるもの
イチョウ、キンモクセイ、ビワ、ツバキ、サクラ、カキ、シイの仲間、クスノキ
堆肥化に1年以上かかるもの
カラマツ、スギ、タケ・ササ類、マツ
マツ 分解速度:かなり遅い(1~2年)
油脂を多く含み葉の組織も堅いので、単独で堆肥にするには時間がかかる。和歌山県美浜町では、松葉に石灰窒素入の籾殻を加えて堆肥化し、キュウリやトマト、イチゴに使用して「松」を関したブランド名で特産化を図っている。ほかにも生ごみや窒素分を多く含む副資材を使用して発酵を促すようにすると、早く堆肥になりやすい。松葉をマルチに使用すると雑草抑制効果があるとされる。また、畑の水はけと通気の改善のために溝を掘るさいは、排水溝に松葉を入れておくと、何年も効果を保つことができる。
腐植しない樹脂製のもので、ホームセンターで入手できる、籾殻を入れるメッシュの袋を使う
堆肥づくりのカギは水と空気にあり
落ち葉100ℓに、米ぬか5ℓ、水は材料の50~60%
袋の上下を返して中身をときどき動かすほかは、たいへんな作業はない
※堆肥が畑を健康にする 堆肥の7大効能(『やさい畑』2018秋号、14~15頁)
①補肥力の向上、②団粒構造の形成、③中量(マグネシウム、カルシウム、硫黄)、微量(鉄、マンガン、ホウ素、亜鉛など)要素の供給、④リンの有効化、⑤地温上昇効果、⑥土壌微生物の健全化、⑦(微生物増殖による)肥料供給の増大
※理想の堆肥の条件とは 炭素と窒素の黄金比は10~25(『やさい畑』2018秋号、16~17頁)
自然界を循環する物質、微生物と堆肥の役割、理想の炭素率(C/N比)は一汁三菜の食事と同じ
土壌を豊かにし長く緩やかに効く落ち葉堆肥 炭素率38、肥料成分N0.4・P0.2・K0.4
土壌改良と有機への転換には必須バーク堆肥 炭素率55、肥料成分N0.6・P0.3・K0.8
すぐ効く、よく効く鶏ふん堆肥 炭素率6、肥料成分N3.8・P2.7・K2.5
効果がたちまち実感できる豚ぷん堆肥 炭素率16、肥料成分N1.9・P1.3・K1.9
繊維質に富み土壌改良に最適馬ふん堆肥 炭素率15、肥料成分N1.8・P1.2・K1.7
バランスのよさが持ち味牛ふん堆肥 炭素率24、肥料成分N1.0・P0.8・K1.7
※堆肥の効果を高める有機資材(『やさい畑』2018秋号、18~22頁)
植物由来の資材
・米ぬか 炭素率25、肥料成分N2.2・P3.2・K1.6
・木質チップ 炭素率700、肥料成分N0.05・P0.03・K0.26
・籾殻くん炭 炭素率184、肥料成分N0.22・P0.08・K0.02
・菜種油粕 炭素率8、肥料成分N5.1・P1.8・K1.4
・大豆かす 炭素率7、肥料成分N6.1・P0.7・K2.4
動物由来の資材
・魚かす 炭素率4、肥料成分N7.7・P5.4・K1.2
・カキ殻石灰 炭素率3、肥料成分N0.17・P0.19・K0.08
・骨粉 炭素率5、肥料成分N4.1・P7.6・K0.4
堆肥になる雑草
・カラスノエンドウ 炭素率18、肥料成分N2.5・P0.2・K2.1
・クズ 炭素率27、肥料成分N1.8・P0.2・K2.2
・ヨモギ 炭素率23、肥料成分N2.0・P0.3・K1.5
・スギナ 炭素率8、肥料成分N4.5・P0.2・K3.9
・ヤブカラシ 炭素率8、肥料成分N5.6・P0.2・K3.6
・アカツメグサ 炭素率27、肥料成分N1.9・P0.1・K2.0
・ススキ 炭素率32、肥料成分N1.5・P0.2・K0.7
ススキ 炭素、ケイ素が多く分解は遅いが、茎の長さとかたさを生かし、わらマルチのような使い方が向く。空気をよく含むので、保温効果大。ちなみに、生息域が近いセイタカアワダチソウは炭素率120で、肥料効果は乏しい。※詰めて埋めるだけ 土のう袋でつくる落ち葉堆肥(『やさい畑』2018秋号、30~32頁)
狭い畑でつくれる 簡単!手間入らず
土のう袋1枚で始められる
・仕込み編(11月~)
①落ち葉を集める
②油粕、米ぬかを加える
水はたっぷりと加える
米ぬかと油粕を混ぜていく
③2月まで地上に保管
まとめて積んで発酵を進める
・熟成編
①土に埋める(3月)
②地中で熟成させる(4~翌2月)
③完成した堆肥を掘り上げる(翌3月)
※都立園芸高校やさい畑実験部「肥料の種類で野菜の味が変わるか調べてみよう」(『やさい畑』2018秋号、67~71頁)
実験方法:有機質肥料と化学肥料で小カブとホウレンソウを栽培して比較
実験結果:有機質肥料のほうが大きく育った
生食は化学肥料、加熱は有機質肥料に軍配
・肥料の違いが食味や食感に影響する・アミノ酸の多い有機質肥料では、セルロースがしっかりつくられ、かたくかんじられる・有機質肥料にはさまざまな成分が含まれている・生の小カブで化学肥料のほうがおいしいと感じられたのは、雑味やアクとなる物質がすくなかったからかもしれない・ホウレンソウは生ではあまり差がなかったが、ゆでると断然、有機質肥料の方がおいしくなった・ゆでてアクが抜けると、糖やアミノ酸が際だって、有機質肥料のほうがおいしいと感じられた
1.はじめに
河川法の改正で「河川環境の整備と保全」が追加される(1997年)。
河川法改正20年 多自然川づくり推進委員会の提言「持続性ある実践的多自然川づくりに向けて」がとりまとめられる(2017年6月)。
2.多自然川づくり
・1990年、多自然型川づくりが始まる
・2006年、「多自然川づくり基本指針」通知
①河川環境の目標設定
②具体的技術と調査から維持管理までの取り組み過程
③人材育成と普及啓発
④持続可能な多自然川づくり
⑤日本の河川環境の将来像の想定
提言に示された課題への対応方針は、多自然川づくりを進める上での、具体的な手法を提示するというよりは、大きな方向性を示す形をとっている。このような形をとっていることが、多自然川づくり、ひいては河川環境の整備と保全を考える上での難しさを示している。
3.河川環境の整備と保全のこれから
(1)河川環境は流域の空間スケールと長期の時間スケールでも見る
河川環境の整備・保全を検討する際には、河川のみでなく周辺環境も含めて適切な時空間スケールで状況を評価し、河川環境変化の駆動力をしっかりと見極めた上で整備・保全の実施へとつなげる必要がある。(2)多元的な河川環境評価に向けたデータ利用
河川環境の評価を試みる場合、比較的指標化しやすい物理的環境要素だけでも、河道形状、流況、水質、流砂のように多元的で、これらの組み合わせは無数にある。さらに、生物的環境要素(動植物相、生態系)は、指標化できたとしても定量化が困難な場合が多い。これらのことから、河川環境に関しては、目標設定どころか、評価自体が容易なことではない。このため、河川環境の評価手法の向上が強く望まれる。……(3)治水事業こそ河川環境整備の機会
河道形状、流況、水質、流砂といった河川環境を規定する物理的環境要素は、治水のための河川整備や管理においてもその設定が重要となる要素である。治水上安全な川にするための河道改修や治水施設の整備は、物理的環境要素の改変を伴うことが多いため、河川環境の整備や保全と対立するものと捉えられがちである。しかし、改修後の河道状況が、環境面においても好ましいもので、なおかつ維持管理労力が少なくてすめば、最適な環境整備になる。……河川の周辺環境も含めて、治水のための河川整備は、環境整備につなげることが可能である。
4.おわりに
治水安全度の向上のために今後も河川改修が進められるが、その際には河川ごとに、中長期的な視点から、河川環境整備・保全に資するとともに維持管理が容易な改修方法を順応的に確立していくことで、「多自然川づくり基本方針」が目指す河川管理が可能となるだろう。
○「実践・現場視点」常に現場視点で考え、河川環境の整備と保全を現場で徹底し、順応的に挑戦し続けるべきであること
○「持続性・将来性」日常的な河川管理の中で様々な工夫を凝らして河川環境の整備と保全を徹底し、地域社会との関わりを深めていくこと
実践・現場視点:いかに現場で多自然川づくりを進め、定着させていくのかを、常に「現場視点」で考え、河川環境の整備と保全が現場で徹底されるようにすることが重要。あわせて、自然環境には不確実性があるため、得られた結果を貴重な知見・経験として次の取り組みに活かしていくことが重要であり、そのための課題解決に向けて順応的に挑戦し続けるべき。

(1)前回提言への対応状況
(2)河川環境のマクロ評価
(1)目標の設定
(2)技術と取り組み過程
(3)人材の育成・普及啓発
(4)持続可能な多自然川づくり
(5)日本の河川環境の将来像
(1)目標の設定
①環境目標設定の手法確立と実践展開
各河川の河川環境の目標設定に向けて、まずは、河川生態系の観点について、「良好な状態にある生物の生育、生息、繁殖環境を保全するとともに、そのような状態に無い河川の環境についてはできる限り向上させる」という目標設定の考え方を基本として、河川の環境を評価する手法を具体化する。②生態系ネットワーク形成の推進
(2)技術の向上・一連の取り組み過程の徹底
①多自然川づくりの技術的なレベルアップ
②多自然川づくりの一連の取り組み過程の徹底
③多自然川づくりが河川生態系へもたらす変化の把握
④多様な分野の学識者等との連携推進
⑤技術等の開発
(3)人材の育成・普及啓発
①人材の育成
②多自然川づくりアドバイザーの養成
③多自然川づくりの普及・啓発
多自然川づくりが地域で広く認知され、地域の将来にとって大切な価値を生むものであると理解され、社会から求められるものとなることが重要である。そのために、多自然川づくりの基本的な考え方や治水・環境両面の役割と効果について、広く一般の市民に浸透させるためのわかりやすい説明を工夫し、発信する内容や対象などに応じ、現地における表示なども含め、様々な手段を用いて周知を図る。(4)日常的な環境への取り組みの徹底
川をフィールドとして活動している市民団体等と連携し、市民が継続的に川に親しみを持ち、生き物と触れ合い、地域の歴史や文化を含めた川そのものや川の景観等について学び、理解した上で、市民目線で多自然川づくりに積極的に関わっていくための河川環境教育やその普及・啓発を推進する。
また、次世代を担う子供たちが川により親しめるよう、河川環境教育の一環として、子供自らが川の自然を調査・研究し、その優れた成果を表彰するなど、子供のやる気を上手に引き出すための仕組みを構築する。
①河川管理における環境への適切な取り組みの着実な実施
②戦略的な多自然川づくり
(5)持続可能な川づくりのための地域連携の強化
①地域社会が支える川づくり
②流域住民と一体となった生態系ネットワーク形成
(6)変化を踏まえた将来の河川像の検討
①気候変動や人口減少などの河川を取り巻く状況の変化等の分析
②100年後を見据えた人と河川の持続的な関わりのあり方の検討
○第1回委員会配布資料5-1川と人との関わりの歴史
○第1回委員会配布資料5-2多自然川づくりに関するこれまでの取組み状況
○第1回委員会配布資料5-3-1多自然川づくりの具体事例(その1)
○第1回委員会配布資料5-3-2多自然川づくりの具体事例(その2)
○第2回委員会配布資料1多自然川づくりの変遷
○第3回委員会配布資料1-1河川環境に関する施策等の変遷
議事録もおもしろいですが、上掲の配布資料を読めば、多自然川づくりについて理解が深まります。

日本は国土が狭く地形が急峻です。その上、梅雨、秋雨、台風などによって大量の雨が降ります。近年ではゲリラ的豪雨による災害が多発しています。昔から里山で暮らす人々は住み分けをしてきました。裏山の森林は、炭を焼いたり、落ち葉を集める場所でした。また、森は水を育む重要な場所だから、裏山を大切に守りながら暮らしてきたわけです。時代が変わり、森林は手入れされなくなりましたが、裏山が水を育む場所として重要なのは今も変わりません。そうした森を伐採し山を切り崩す環境破壊型ソーラー建設に対し、全国各地で反対運動が起こっています。
・大規模な森林伐採により環境への影響が大きい。・保水力の低下に伴い下流域では斜面崩壊、水害、土石流などの危険性が高まる。・計画地の下では湧水や地下水を水道水源として利用している場合が多く影響が懸念される。また、計画地周辺から流れる水を利用して米作りを行っている人も多く、影響が心配される。・発電した電気は近くでは使用されずに、大消費地に送電されることが多い。(送電ロスが大きい。地産地消とならない。)・事業者は東京など大都市圏に本社のある企業が多く、ファンドの多くは海外を含め外部からの資本である。
いつまでも着工せずにパネルの価格が低下するのを待っている案件についても申請時の買取価格が維持されていた。(2017年4月から変更)同一敷地内での計画を50kW未満に分割して申請することが認められていた。(2014年4月以降の申請から禁止)
・全量買取制度の問題ドイツ、スペイン、イギリスでは、買取対象となる事業の規模を細かく、頻繁に見直している。(5メガ、10メガを基準としてきた)ドイツでは、森林を伐採した場合には、その6倍の面積に植林することを義務付けている。イタリアでは、自家消費が多い事業者や公的団体に優遇した価格(5%増)を設定している。日本のFIT制度は太陽光バブルを誘発し、全国各地でソーラー開発が環境問題となっている。
・事業認定の問題他人の土地に対して本人の許可も無く勝手に申請し設備認定が受けられる。一度事業認定を受けた権利(ID番号)が転売されるケースも多い。関係自治体は事業認定取得後でなければ情報が得られない。FIT法は特別措置法でつくられているので最上位の法律となり地方公共団体の条例などで規制できない。
・基本的な問題として全発電量に占める太陽光発電の割合は5.7%(2017年)である。(ISEP推計)たった5.7%でこれだけ環境問題が発生することを考えると、日本では、これ以上太陽光発電を増やすことには無理があると考えざるを得ない。
高い買取固定価格は、一般消費者から徴収された再エネ賦課金によって賄われている。このお金は、地元地域の経済循環には寄与することなく、殆どが海外を含む地域外の事業者・投資家へと流出している。
標準家庭の一ヶ月の賦課金額(電力使用量が300kWh)2016年→675円(2.25円/1kWh 買取費用2兆3000億円)2017年→792円(2.64円/1kWh 買取費用2兆7045億円)2018年→870円(2.90円/1kWh 買取費用3兆1000億円になると想定)2030年→経産省は買取費用が当初の想定を1兆円ほど上回り4.7兆円に膨らむと試算している。電力多消費事業者(鉄鋼業界など)に対しては再エネ賦課金の8割が減免されている。
地方から→都市へ再生可能エネルギーは地域資源のはずである。本来ならば自家消費(オフグリット化)を優先し、余剰分で地域の電力(コミュニティパワー)をまかなう形で電力の地域自給を目指すのが理想であるが、その方向には進んでいない。逆に太陽光発電の普及が地方の自然環境を破壊する結果となっている。これは原発の仕組みと同じである。再エネは送電ロス分にも賦課金が掛けられている(太陽光発電施設の出口に設置されたメーターにより電力量が計算されているため)この送電ロス分も消費者が負担しなければならない。
2. 戦略的環境アセスメントの導入について
5. 事後調査の実施及び報告書の作成について
●さらなるFIT法改正を求める経産省への要請書 (案)2019.01.15
2. 国民負担の抑制について
添付資料

◆らいてうの家に営利事業の「太陽光発電」は似合わない!
らいてうが愛し、私たちが守ってきた国立公園あずまや高原の自然と歴史・文化が、目の前の「太陽光発電」計画で失われようとしています。
わたしたちは事業責任者のHJアセット・マネジメント社に計画の白紙撤回を要求するとともに、この計画について上田市と長野県に対しては厳正に審査することを、国立公園内の事業に許認可権限を持つ環境省に対しては許可しないことを要請したいと思います。……
- らいてうの家の目の前に建設される「ソーラーパネル」の林立は、上信越高原国立公園における自然の景観と環境を破壊し、らいてうの家訪問者をはじめ、住民や観光客のいこいの場を台無しにするものです。
- 現地は標高1,450mを超える高地で12月から4月初旬までは雪に閉ざされる低温地帯かつ登山道に面する急傾斜地です。パネル設置によって土地の保水力が失われ、下流地域にまで水害が及ぶ恐れがあります。
- ここは日本百名山で知られる四阿山登山路に面し、1300年の歴史を持つ山家神社奥社への参道でもあります。らいてうをはじめ60年前にこの土地を求めた人びとも「大切な土地」として手つかずの自然を守ってきました。こうした先人たちの歴史と文化を無視するものです。
- 「自然とともに生きる」ことをめざしてきたらいてうの家の基本理念と存立基盤をおびやかすものです。
2017年9月 特定非営利活動法人 平塚らいてうの会 会長 米田佐代子
らいてうの家の真向かいに南面傾斜の草地があり、隣接ホテルの所有地ながら借景としては申し分のない風景で、夜そこに寝転ぶと満天の星が一望できる、すてきな場所だったのですが、8月早々突然「この土地(およびそこから続くおよそ20,000平方メートルの土地)を買い取り、太陽光発電所を設置する」という業者が現われたのです。太陽光発電は「自然エネルギー」というので、個人だけでなく、山林や遊休農地などをつかってソーラーパネルの大群を設置発電、電力会社に「売電」する事業が大流行しています。「原発じゃないからいいでしょう」と思われそうですが、それにしても風景は一変、ここにやってくるウグイスやカッコウ、アカゲラ、そして有名なわたり蝶のアサギマダラもやってくる自然豊かなこの地の環境も激変するかもしれない。真っ黒なソーラーパネルがずらりと林立する光景は、どう考えてもらいてうの家にふさわしいとは言えません。
●02「「難題」続報 らいてうの家のすぐ前に「太陽光発電設置」の立て看板!」(2016.08.08)
●03「らいてうの家存立の危機―「太陽光発電所」で風雲急を告げるあずまや高原」(2016.08.11)
●04「「らいてうの家」の存立をおびやかす「太陽光発電」に反対!」(2016.08.21)
●05「らいてうの家「環境破壊の太陽光発電」反対!の声」(2016.08.21)
●06「続「らいてうの家」太陽光発電計画反対の声―1日で全国から」(2016.08.22)
●07「ラフカディオ・ハーン『怪談』の「青柳のはなし」とらいてうの家の太陽光発電問題」(2016.08.26)
●08「らいてうの家「太陽光発電」問題で目が回っています。」(2016.09.17)
●09「「あずまや高原太陽光発電問題」事業者説明会(9.22)に出席しました」(2016.09.24)
●10「12日朝のフジテレビ「とくダネ」で「太陽光パネルの被害」放送」(2016.12.12)
●12「上田市の「太陽光発電ガイドライン」案パブコメ募集」(2017.02.12)
●14「上田市らいてうの家「太陽光発電」問題が国会(参院環境委員会)で取り上げられました。」(2017.03.10)
●15「『THE BIG ISSUE』と「太陽光発電」問題」(2017.04.10)
●16「らいてうの家の近くで「雪のため倒壊した太陽光パネル」」(2017.05.01)
●19「「太陽光発電とらいてうの家」再考」(2017.08.08)
●20「「ジュゴン裁判」と「らいてうの家太陽光発電」問題の接点―「歴史的文化的環境」という視点から」(2017.08.28)
●21「9月26日らいてうの家太陽光発電問題で「地域づくり工房」と「アセス意見交換会」」(2017.09.27)
●22「「らいてうの家 太陽光発電計画白紙撤回」署名が続々!」(2017.11.30)
●23「らいてうの家「太陽光発電」自主簡易アセス」にらいてうの会から意見書」(2017.12.13)
内容は、各地で太陽光発電設備設置をめぐって「反対運動」が起り、該当地域の市町村や県などが対応に追われているというものですが、その焦点がサブタイトルに「アセス義務化 事業の停滞も」とあるように、自治体が「独自の条例などで、環境アセスメントを義務付ける」ところが出てきたことをあげて、「手続きが煩雑で手間がかかるため、太陽光発電の普及自体を妨げる心配もある」という論調になっていることです。「国のエネルギー基本計画では、16年度に15%だった再生可能エネルギーの割合を、30年度には22~24%に高めるとしている。中でも太陽光が先行して普及しており、土地の有効利用の観点でも利点が多いとされている」とあります。ある事業者の声として「(負担が大きいので)アセスが必要なところでは事業はしない」という意見も載せています。これはどうみても「国の政策である太陽光発電を推進するうえで、環境アセスは普及を遅らせるおそれがある」と言っているのと同じではないでしょうか。国が法的規制もキチンとせず、野放し状態で太陽光発電を推進、沸き起こった住民の反対に、やむなく自治体が「ガイドライン」や「条例」で地域の環境破壊を抑えようとしているのに、これは「アセスなどやって業者をチェックしないほうがいい」と言わんばかりです。
●25「千葉県多古町訪問―ソーラーパネルを見に行きました。」(2018.04.24)
●26「九電が「太陽光発電の出力制御(つまり発電停止)」とは何事ぞ」(2018.10.13)
内容を全部紹介できないので、感想を言います。 第一に、ここでの問題提起は、メガソーラー反対だけでなく、そもそも日本でいま展開されている「太陽光発電」そのものが「日本の国土の自然、生活環境に適合するのか」という問題提起をはらんでいるようにわたしには思われたことです。そこから出てくる第二の点は、ではわたしたちが望む原発やCO2削減をめざす電力はどうやって生み出せばいいのか、という問題。これらを含めて第三にメガソーラーを止めさせ、小規模ソーラーや水力、バイオマスなどによる発電で「地域の生活を地域で生み出す」あるいは「ソーラーシェアリング」のような太陽光発電と農業振興を結びつける方策が生みだされたとしても、それで大企業を含む電力需要全体が賄えるのか、という疑問です。(中略)
「太陽光発電は、ほんとうに推進すべき自然エネルギーか?」「たとえメガソーラーに限定して反対するとしても、原発や火力発電ではない電力を創出するにはどうしらいいか?」「小規模発電というかんがえかたは賛成できる面もあるが、これで生活電力はまかなえるとしても大企業の電力をどうやって確保するのか?」―これらの疑問を抱えて帰宅しましたが、その後ほぼ同じときに同じ長野県の飯田で「第10回市民・地域協同発電所 全国フォーラムin飯田」(10月5-7日)が開かれたことを知りました。


※全国メガソーラー問題シンポジウム(茅野市民館、2018.10.08)(YouTube)
基調講演 :高田宏臣「現代土木の限界と災害、大地環境の仕組みから、メガソーラーの問題を診る」、梶山正三「メガソーラーをやっつけろ!~闘う住民のための十訓~」、佐久祐司「FI T法の何が問題か」等の講演資料は、『全国メガソーラー問題シンポジウム』の「報告 」タブからダウンロードできます。
※上田市民エネルギー・FoE Japan共催『ソーラー開発問題と市民・地域エネルギーを考える公開勉強会』(上田市中央公民館、2016.09.23)
・茅野恒秀「全国、長野県の自然エネルギー開発問題の概要」
・長野県環境部「太陽光発電を適正に推進するための市町村対応マニュア ル」(2016.06)
・上田市「開発規制ガイドライン」
・藤川まゆみ(NPO法人上田市民エネルギー)「上田市発全国発信 市民共同設置「相乗りくん」の可能性」
・吉田明子(FoE Japan)「電力自由化、私たちの選択」
地域の足もとから、持続可能な自立共生社会を目指して
●環境新聞連載:「再生可能エネルギーと地域再生」より、10回目
●環境新聞連載:「再生可能エネルギーと地域再生」より、11回目

●安田陽「再生可能エネルギーがもたらす便益とは」
便益という概念の不在
我々のシステムは完璧だろうか?
外部コスト、またの名を、隠れたコスト
再び、再エネの便益とはなにか
倫理と経済学
結びに:地域経済への貢献
※『日本経済新聞』連載「やさしい経済学」電子版
安田陽「地域分散型エネルギーと地産地消」
(1) エネルギー自治の時代 2019/1/4
(2) 電力の「鎖国」は非効率 2019/1/7
(3)蓄電池設置は高コストに 2019/1/8
(4)安易な防災目的、負の遺産にも 2019/1/9
※京都大学大学院再生可能エネルギー経済学講座
安田陽「エビデンスベースなエネルギー論争のために」
●中山琢夫「再エネが農村地域にもたらす経済的な力」
持続可能な地域の発展に向けて
地域付加価値分析とは
岡山県西粟倉村における事例と分析
(1)小水力発電所
(2)バイオマス熱供給事業
まとめ
※中山琢夫「生態系サービスの市場化をとおした中山間地域経済の自立についての研究」
●田中信一郎「地域を元気にする再エネ -長野県の事例からー 」
地域主導型を促進する再エネ普及方針
地域主導型を促進する政策
地域主導型の事例
おひさま進歩エネルギー株式会社(飯田市)
上田市民エネルギー(上田市)
まめってぇ鬼無里/自然エネルギー信州ネット(長野市)
再エネ100%地域を目指して
[まとめ]
(1)持続可能な地域を目指すことの地域全体での理解の深化
(2)人口減少を見据えてのインフラの長期的・効率的な利用
(3)国内外の先進的な知見の積極導入とネットワーク化
※地域政策デザインオフィス掲載メディア
※田中信一郎「エネルギーで地域経済を創生する」
●丸山康司「再生可能エネルギーの導入と地域の合意形成 -課題と実践ー 」
再生可能エネルギーのもたらす社会的課題
再生可能エネルギー利用における個と全体の緊張
〈被害〉の曖昧さと合意の可能性
社会的摩擦を招きやすい日本の現状
合意形成を促す社会的仕組み
社会の豊かさを実現するために
※丸山康司「環境影響評価法を巡る最近の動向」
●山下紀明「地域で太陽光発電を進めるために地域トラブル事例から学ぶ」
急速に拡大する太陽光発電
太陽光の地域トラブル事例の全体像
メディアでの地域トラブル報道状況
全国自治体アンケートから見る地域トラブル
国および地方自治体の制度の概況
具体的な事例と教訓
諏訪市・茅野市にまたがる地域トラブル
富士見町での「冷静な撤退」
長野県の制度的対応
伊東市での地域トラブルの行方
中小規模事業の地域トラブル
ソーラーシェアリングへの懸念
地域の受容性を高める地域主導型再エネ事業
福島・冨岡復興ソーラー
新潟・「おらって」の官民協働ソーラー
広がるご当地エネルギー
教訓を活かす
地域トラブル事例からの教訓
地域トラブルを減らしていくために
※山下紀明「メガソーラー開発に伴うトラブル事例と制度的対応策について」
(環境エネルギー政策研究所ISEP 2016.03.01)
1. 問題関心メガソーラー事業の急拡大顕在化するトラブル2. 既往研究3. トラブル事例の整理トラブルの理由トラブルの発生地域開発主体の所在地トラブル事例の事業規模その後の経過4. トラブル事例への政策的対応具体的な対応事例4つの制度的対応策①今後の開発計画に対し、既存の景観条例や自然保護条例を改定または新設し、メガソーラーの開発を直接的に抑制する規制的手法
②環境アセスメント条例の改定を通して、一定規模以上のメガソーラーの建設に対する調査や住民説明会の開催を義務付ける手続的義務による手法
③条例の制定やガイドラインの設置などにより数 MW 以下のメガソーラーの建設予定を事前に届出を義務付ける手続的義務による手法
④事業者との協定や交渉を通じて開発の影響を軽減する、代替措置を講ずる、住民との丁寧な合意形成を促すなど、行政指導を通じた自主的手法国、地域の双方からの予防的アプローチの必要性トラブル対策だけでなく、望ましいあり方への議論を5. まとめ
●千葉恒久「ドイツの風力発電を支える計画制度」
風車をどこに立てるのか
地元住民の受容
※千葉恒久「欧州における地域・市民主導の低炭素社会づくり ~なぜ市民が主役なのか?」(2015年2月10日講演)
●市川大悟「再生可能エネルギー普及に、なぜ、いまゾーニングが必要か?」
国内でも取り組みの兆し、いま注目されるゾーニングとは
ゾーニングが必要となる理由
トラブルが散見されるなか急増する再エネ計画
環境アセスメントでの対応の難しさ
ゾーニング普及への課題
結びに
※市川大悟「自然エネルギー100%を実現する「要」 − 環境配慮の大切さについて考える」(自然エネルギー100%プラットフォーム)
※WWFジャパン 気候変動・エネルギーグループ「自治体で進める地域協同でのゾーニングのすすめ ―地域環境と調和した 自然エネルギーの普及に向けて」(2017年11月)
はじめに
第1章 ゾーニングとはなにか?
1-1 ゾーニングについて
1-2 ゾーニングの国内外事例
1-3 国内のゾーニングに向けた動き
第2 章 なぜいまゾーニングなのか?
2-1 再生可能エネルギーへの期待
2-2 期待される再エネ普及の規模感
2-3 普及にともなう地域課題
2-4 ゾーニングの必要性
第3 章 ゾーニングの実例紹介
プロセス 1 検討体制の構築
プロセス 2 協定書の締結
プロセス 3 ゾーニングの進め方の検討[手法検討]
プロセス 4 ゾーニングの実検討[影響項目の設定]
プロセス 5 ゾーニングの実検討[各項目の評価]
プロセス 6 ゾーニングの実検討[最終評価]
プロセス 7 公表方法の検討
第4 章 今後の課題
1 本ゾーニングにおける課題点
2 ゾーニングの各地での普及の課題
おわりに
脚注・参考文献
※『滝川薫の未来日記』
※『ドイツ・フライブルク市から地球環境を考える 村上敦』



●「第1回 太陽光発電の落とし穴」2018/09/15
集中豪雨で設備の損壊事故が続発し、ずさんな開発で住民とのトラブルが相次ぐ。大量導入が進む太陽光発電で何が起きているのか。
不十分な立地規制 災害に弱い設備も/安全に配慮欠くと民事訴訟で敗訴も/発電事業者の多くが電気安全の認識欠く
豪雨で太陽光パネル崩落 タイナビ電力「タイナビ姫路発電所」/地盤ごと崩落 DMM.com「姫路藤原発電所」/太陽光発電が突出して拡大 -再生可能エネルギーの累積導入量-/出力規模に応じて規制が異なる -太陽光発電設備に関する保安規制の状況/さくが設置されていない小規模発電所(山梨県笛吹市)/最大40度の急斜面に設置された太陽光発電所(山梨県甲州市)/件数で50キロワット未満が大半 -太陽光発電設備の導入状況(2017年12月末)/将来、放置・不法投棄のおそれも -産廃・リサイクル費用を確保している太陽光発電事業者の割合
長野・山梨現地ルポ 森が伐られ突然の着工 乱開発が住民を脅かす
造林の届出で伐採 裏で発電所建設を準備/手続きを経ずに着工 住民の怒りが爆発/FIT法違反の数々 規制強化の流れに/住民とのトラブルを招いた開発 長野県富士見町/小規模ソーラー乱立で“電柱銀座に” 山梨県北杜市/改正FIT事業法違反の施設があちこちに(山梨県北杜市) さくなし/さく標識なし/さくなし(ロープ不可)
INTERVIEW 「法違反には厳正に対処する」(経済産業省新エネルギー課長)
●「第2回 シャープ製パネルで相次ぐ火災事故の深層」2018/09/22
火災多発の背景には、設計不良があると専門家は指摘する。しかしシャープは「原因が特定できない」とし、製品リコールに否定的だ。
積水ハウスが施工した屋根材一体型で表面化/メーカー任せにせず安全対策の実行を
シャープ製品で火災事故報告が目立つ -住宅用太陽電池モジュールに関連した火災事故情報-/数センチ被さっていただけだが…
専門家に聞く シャープ製火災多発の技術的背景
火災を多発させる3つの複合要因/屋根材一体型が建物への延焼を招く シャープ製が出火する3つの要因/はんだ緩みを機に激しく発熱 -太陽電池セルの拡大図-
●「第3回 表面化し始めた品質保証問題 根拠が薄い長期性能保証」2018/10/06
太陽光発電所で初期不良問題が相次いで表面化。パネルメーカーの長期性能保証はセールストークの色彩が強く、根拠が不十分だ。
容易でない無償交換 メーカー任せが裏目に/長期信頼性を欠いた部材が広く使用される
2割以上で目視により不具合を確認 -太陽電池モジュールの部位別不具合現象- セルの接続不良/バックシートの亀裂/出力低下にはさまざまな要因がある -結晶シリコン太陽電池モジュールの稼働期間と出力低下要因の関係-/「長期信頼性」と「設計および製造プロセス」が低い傾向
安全を軽んじた普及の弊害
発電効率やコストを最優先
太陽光パネル用語解説
パワーコンディショナー/太陽電池モジュール/太陽電池セル/インターコネクター/バックシート/バイパス回路
※「太陽光発電事業の環境保全対策に関する自治体の取組事例集」(環境省、2016年4月)
※『太陽光発電所を売却するためのWEBマガジン』


松枯れは線虫と昆虫が共同して引き起こす病気です。その仕組みは以下の通りです(冒頭の番号は下図と対応しています)。
1)5~7月にマツノマダラカミキリ成虫がマツノザイセンチュウ(線虫)を体内に入れて(主に気管の中)前年に枯れたマツから脱出。
2)カミキリ成虫は生きたマツの枝をかじって栄養摂取。この傷から線虫が樹体内に侵入。
3)侵入後、線虫はマツの樹脂道(ヤニの通り道)を通って樹体全体に広がり、マツの細胞から栄養を摂取。線虫の活動にともなって、水(木部樹液)の通路である仮道管から水分が抜けて無くなり、樹液が上昇できなくなる。感染後1〜2ヶ月で、水不足のため葉が変色し、樹幹内で線虫が増殖。
4)カミキリ成虫は枯死したマツが放つ匂いに引かれ、枯損マツの樹幹に産卵。10日ほどで孵化して幼虫になる。
5)夏から秋にかけてマツ林で枯損が目立つようになる。
6)カミキリ幼虫は枯死したマツの樹皮下を食害して成長。
7)十分に食べた幼虫は材内にもぐり、蛹室を作り、翌年春に蛹になる。
8)材内にいた線虫は蛹室に集まり、カミキリ成虫の気門(空気を取り入れるために体表にある穴)に入り込み、カミキリとともに材の外へと旅立つ。
松枯れを引き起こすマツノザイセンチュウは北アメリカから侵入した侵入生物で市民の森に植林されたアメリカ原産のテーダマツは抵抗性が強いが、日本の在来種のアカマツは致命的に弱い。マツノマダラカミキリは日本在来の昆虫であるが、マツノザイセンチュウが侵入する以前は枯木や枯枝が少なかったので、マツノマダラカミキリの繁殖できる資源が少なく、虫の密度が低かった。マツノザイセンチュウが侵入後、マツノマダラカミキリがマツノザイセンチュウと結びづき、枯れ木が増えたため、繁殖を妨げるものがなくなり、爆発的に増える条件が整った。放置すれば被害は広がるのみ。マツ林を守るには人間による制御が必要!!
マツ枯れ防除の基本戦略
①マツノマダラカミキリまたはマツノザイセンチュウを絶滅させる
これが可能なのは、島嶼など、周囲から隔離された場所だけです。鹿児島県沖永良部島で実証例があります。周辺に被害マツ林がある場合やマツ枯損木の移動(持ち込み)が考えられる場所では、不可能②マツ林を抵抗性の強い品種に変換する
抵抗性家系でも感染して枯れることはあるものの、苗木を積極的に植栽すると将来の被害を減らすことができる③マツノマダラカミキリの増殖率を抑える
天敵として、菌類、センチュウ、クモ、ダニ、昆虫、鳥類など多くが知られていますが、マツノマダラカミキリの数をコンスタントに制御できる有効な天敵は見つかっていない④予防散布や伐倒駆除を継続することにより微害を維持する
被害量が少ない場合、微害に維持するための費用はそれほど多くかからない。狭い地域ならば予算的にも、防除労力、枯損木探査の確実性等からみても可能
現状では④の方法、また条件の整った場所では①が実現可能。②は長期的な防除費用や薬剤の使用を減らせる点で今後はより重要になると考えられる。③についてはいまのところ有効な方法はない。[「マツノマダラカミキリを振動で寄せ付けない方法」が③でしょうか]
微害(林野庁では枯損率が1%以下の場合を指す)を維持する
手順1:「保全するマツ林」の決定
手順2:現在の被害量を微害に誘導
手順3:微害の維持
①周辺マツ林の樹種転換
②保全するマツ林における徹底的な駆除
●すべての枯損木を見つける
●見つけた枯損木は、すべて駆除対象とする
●駆除対象の枯損木からマツノマダラカミキリをすべて殺虫
③保全するマツ林の成立本数の確保
予防散布だけで被害がゼロになった例はない
予防散布と伐倒駆除(薬剤散布)の組み合わせだけでは被害量を減らせることは難しく、枯損木の焼却やチップ化による特別伐倒駆除との併用が被害を減少させるにあたって効果的
個別防除法 ①予防散布
個別防除法 ②伐倒木の処理
焼却
破砕(チップ化)
燻蒸
薬剤処理
枯損木の見落とし対策
駆除残し対策
駆除率を上げる
実施前
1年目-5年
5年目以降
周辺マツ林の取り扱いの重要性
1.マツ材線虫病とは:基礎編
京都のアカマツを守る
2.線虫が感染するとなぜ枯れるのか
3.水分通導が止まる原因
4.抵抗性とは?
5.抵抗性マツを植える
※黒田慶子「マツ枯れのメカニズムと抵抗性マツの特性」
発病と萎凋[いちょう]枯死のメカニズムの解明
松食い虫や松枯れと呼ばれる現象の実体は、マツ材線虫病という伝染病である。北米からの侵入病害で、日本原産のアカマツ・クロマツは感受性が高く、感染すると大半が枯れる。過去の記録から、1905年に長崎で起こった集団枯死が最初の被害と推定されている。マツノザイセンチュウが病原体であることを徳重と清原(1971)が発見し、それから30年以上の研究を経て、発病および萎凋のメカニズムは、かなり細部まで説明できるようになった。近年では、抵抗性のアカマツやクロマツが選抜され、苗木の生産が行われている。しかし、「発病メカニズムは全然わかっていない」という誤解や、「線虫が枯らしているのではない」と、強く主張される場合が依然としてあり、防除推進の妨げともなっている。
発病のメカニズムについて基本的な事柄が理解されていれば、マツ枯れの防除はより効果的に実行できる。また、薬剤使用についても正確な判断が可能となる。
線虫はマツの柔細胞類の内容物を酵素分解して吸収するが、発病前の早い段階では摂食によって壊死[えし]する細胞はごく僅かであり、マツの組織を食い荒らして枯らすのではない。
「気体による通道阻害」が明らかになるまで、枯損理由は「線虫や松ヤニが仮道管や樹脂道に詰まるため」と説明されていた。まだこの説で説明されている事例がある。感染から枯死までのプロセス 仮道管の排水
なお、材線虫病で枯れたマツの材に糸状菌類(カビ)が繁殖しているため、糸状菌を萎凋の原因とする説もあったが、糸状菌類単独でマツ枯れを起こすという説は否定された。
なお、毒素で枯れるという説もあるが、樹木の細胞を多量に壊死させ枯死に至らせる毒性物質は発見されていない。「未知の物質」程度の意味合いで「毒素」という言葉が用いられて、誤解をまねくことがある。
1)抵抗性種の特徴
病原線虫とのつきあいがたった100年間という日本産のアカマツやクロマツは感受性が非常に高く、接種実験では70~90%が枯れる。一方、北米原産のテーダマツやストローブマツは抵抗性が高く、感受性により枯れる率が低い。ただし、100%枯れないわけではない。テーダマツでは、線虫はマツ組織に感染(侵入)できるが、樹幹内での移動は不活発で、増殖できない。仮道管の排水現象は局部的に起こるが、樹液流動は持続するので枯れにくいという結果が出ている。抵抗性発現のメカニズムとしては、線虫の移動阻害と増殖阻害の二つが考えられる。線虫の活動を妨げるような化学物質が組織に含まれている可能性はあるが、まだ検出されていない。抵抗性マツの利用に関する今後の課題
マツは10年生ぐらい成長するとマツ材線虫病に罹病しやすくなる。植栽地で罹病率調査を実施する必要があるが、単なる「枯死率調査」ではなく、材線虫病による枯死かどうか確認しなければ、有用なデータとはならない。※池田武文「キャビテーションとエンボリズム ―渇きのシグナル― 」