2016年06月
埼玉県グリーン・ツーリズム推進協議会第9回定時総会が埼玉トヨペット(株)本社会議室で開かれ、本年度の事業計画が決まりました。

埼玉県の補助事業を活用した①「彩の国グリーン・ツーリズム推進のつどい2016」を大里農林振興センター管内(熊谷市、深谷市、寄居町)で開催、②実践者向けセミナーとして「空き家の活用策(農家民宿、農家レストラン、体験施設など)」と「実践地視察ツアー」を実施、自主事業として③情報発信機能強化支援事業の3つです。
情報発信機能強化支援事業
今年度の役員は齋藤章一会長、毛塚宏理事長、小川清一副理事長、山本正史事務局長、理事・監事10名です。
総会後の意見交換会の話題提供として、埼玉県農業ビジネス課の本年度事業(予算見積調書)の内、農山村への移住促進ワンストップ体制整備事業、高齢者農園整備促進検討事業などが紹介されました。
埼玉県農山村への移住促進ワンストップ体制整備事業
東京都内に移住相談窓口を設置し、地域の魅力や移住に関する情報を発信するとともに、相談員が移住希望者の意向を整理しながら埼玉県の紹介や市町村とのマッチングを行うことで、埼玉県の農山村への移住を促進する。

高齢者農園整備促進検討事業
農地の利用拡大のターゲットとして、高齢者の生きがいと健康づくりに着目し、高齢者が利用しやすい市民農園の整備促進に向けてのマッチングをモデル的に実施するとともに、整備にあたっての手法を検討する。
ポータルサイト「グリーン・ツーリズム埼玉」
埼玉県グリーン・ツーリズム情報ポータルサイト「グリーン・ツーリズム埼玉」は、「観光農園」や「体験農園」「農産物直売所」「体験ができる宿泊施設」などの施設情報のほか、農業体験などのイベント情報を御紹介するサイトです。

埼玉県の補助事業を活用した①「彩の国グリーン・ツーリズム推進のつどい2016」を大里農林振興センター管内(熊谷市、深谷市、寄居町)で開催、②実践者向けセミナーとして「空き家の活用策(農家民宿、農家レストラン、体験施設など)」と「実践地視察ツアー」を実施、自主事業として③情報発信機能強化支援事業の3つです。
情報発信機能強化支援事業
■目的j:実践者の情報発信機能の強化を支援するとともに、実践者のネットワーク化を促進します。埼玉県グリーンツーリズム推進協議会のHPは昨年6月から更新されていません。担当理事として、野原進一さん、山本事務局長とともにHPをリニューアル、まず理事・会員に原稿を依頼しつつ、HP更新体制を作っていきます。
■内容:埼玉型ツーリズムの新たなコンセプト「彩の国・ちょ田舎さいたま:里ツーリズム」を訴求するため、既存の本協議会のホームページとフェイスブックを更新するとともに、本協議会独自に「(仮
称)里ツーリズム通信」を発行(現場レポーターを公募し、レポートを発信)
今年度の役員は齋藤章一会長、毛塚宏理事長、小川清一副理事長、山本正史事務局長、理事・監事10名です。
総会後の意見交換会の話題提供として、埼玉県農業ビジネス課の本年度事業(予算見積調書)の内、農山村への移住促進ワンストップ体制整備事業、高齢者農園整備促進検討事業などが紹介されました。
埼玉県農山村への移住促進ワンストップ体制整備事業
東京都内に移住相談窓口を設置し、地域の魅力や移住に関する情報を発信するとともに、相談員が移住希望者の意向を整理しながら埼玉県の紹介や市町村とのマッチングを行うことで、埼玉県の農山村への移住を促進する。

高齢者農園整備促進検討事業
農地の利用拡大のターゲットとして、高齢者の生きがいと健康づくりに着目し、高齢者が利用しやすい市民農園の整備促進に向けてのマッチングをモデル的に実施するとともに、整備にあたっての手法を検討する。
ポータルサイト「グリーン・ツーリズム埼玉」
埼玉県グリーン・ツーリズム情報ポータルサイト「グリーン・ツーリズム埼玉」は、「観光農園」や「体験農園」「農産物直売所」「体験ができる宿泊施設」などの施設情報のほか、農業体験などのイベント情報を御紹介するサイトです。
火曜日から雨が予報されているので、須田さん、院生の菊池さん、片桐さんで午後から麦刈りと足踏み脱穀機で脱穀をしました。昨年は6月11日のゼミの時間に作業ができてにぎやかでしたが、今回は講義やバイトで学生の都合がつかず残念でした。



※カテゴリー「麦刈り」の記事



※カテゴリー「麦刈り」の記事
市民の森保全クラブの鷲巣さんが支援してくれて、岩殿A地区の下の田んぼの草取りを片桐さんとしました。刈払機を改良した田んぼの草取り機「アイガモン」を用意していたのですが、小さい田んぼなので手でしたほうが早いと道具を使わずに作業を開始しました。鷲巣さんが馴れた手つきで草をとり、それにつられて作業がはかどり、短時間で終了できました。



予想よりずっと早く終了したので、児沢に移動して下の田んぼの除草もしました。


いずれの田んぼもコナギがはびこっていた田んぼです。鷲巣さん、ありがとうございました。また、助っ人をお願いします。
岩殿A地区の池の水位を上げた結果、池と物置の間が泥濘ってしまいました。スレート瓦をしいて当面、しのいでみることにしました。




予想よりずっと早く終了したので、児沢に移動して下の田んぼの除草もしました。


いずれの田んぼもコナギがはびこっていた田んぼです。鷲巣さん、ありがとうございました。また、助っ人をお願いします。
岩殿A地区の池の水位を上げた結果、池と物置の間が泥濘ってしまいました。スレート瓦をしいて当面、しのいでみることにしました。

国立環境研究所の公開シンポジウム2016『守るべき未来と「環境」の今~地球・生物・循環・安全・社会の半歩先を語ろう~』に参加しました。会場は港区の芝公園・増上寺近くのメルパルクホールで、489名の参加者がありました。

講演1 三枝信子「地球をめぐる温室効果ガス—どこでどれだけ減らせるか?—」
講演2 角谷拓「生物分布の変化を予測し保全に活かす」
講演3 鈴木規之「環境における安全とはなにか?」
講演4 大原利眞「東日本大震災後の災害環境研究で学んだこと、そしてこれから」
講演5 田崎智宏「実践!地域のリサイクルシステムを構築する」
講演6 松橋啓介「社会の持続可能性と個人の幸福」
大原利眞さん「東日本大震災後の災害環境研究で学んだこと、そしてこれから」




















※デジブック『被災地の環境回復と創生のための災害環境研究Q&A 2015』
「災害研究サマリー2014 被災地の環境回復と創生のために」(PDF)
田崎智宏さん「実践!地域のリサイクルシステムを構築する」
※自治体職員など実務者向けガイド
「物語で理解するバイオマス活用の進め方 ~分別・リサイクルから利用まで~」

講演1 三枝信子「地球をめぐる温室効果ガス—どこでどれだけ減らせるか?—」
講演2 角谷拓「生物分布の変化を予測し保全に活かす」
講演3 鈴木規之「環境における安全とはなにか?」
講演4 大原利眞「東日本大震災後の災害環境研究で学んだこと、そしてこれから」
講演5 田崎智宏「実践!地域のリサイクルシステムを構築する」
講演6 松橋啓介「社会の持続可能性と個人の幸福」
大原利眞さん「東日本大震災後の災害環境研究で学んだこと、そしてこれから」




















※デジブック『被災地の環境回復と創生のための災害環境研究Q&A 2015』
「災害研究サマリー2014 被災地の環境回復と創生のために」(PDF)
田崎智宏さん「実践!地域のリサイクルシステムを構築する」
※自治体職員など実務者向けガイド
「物語で理解するバイオマス活用の進め方 ~分別・リサイクルから利用まで~」
10時から東松山市環境基本計画市民推進委員会主催「市民環境会議 ~広がる活動、新しい仲間~ 」が市役所総合会館4階ホールで開催されました。環境保全課の伊藤課長が東松山市環境基本計画について、役割、第1次計画策定の背景、経過・市民アンケート、主な事業、計画のポイントである協働、第2次計画の策定(2011年4月)・市民環境会議、こども環境会議、基本理念(自然と人が支えあう「いのち」輝く、笑顔つながるまちづくり=笑顔プラン」)、市民プロジェクト、市の施策などについて発表しました。


スクリーンで市民プロジェクト登録団体それぞれに活動を鑑賞した後、今年度新規登録3団体(一般社団法人 ひき住まいる、考える市民の会、Ten ツリークライミング自然楽校)の発表がありました。
ひき住まいるの発表から



2011年に策定された第2次環境基本計画も6年目を迎えました。市民・事業者・行政の協働による環境まちづくりの一助となるよう、「市民の森保全クラブ」、「岩殿満喫クラブ」の事業を進めていきます。
※当ブログ「岩殿 Day by Day」掲載のこれまで(2015年~)の市民環境会議記事


スクリーンで市民プロジェクト登録団体それぞれに活動を鑑賞した後、今年度新規登録3団体(一般社団法人 ひき住まいる、考える市民の会、Ten ツリークライミング自然楽校)の発表がありました。
ひき住まいるの発表から



2011年に策定された第2次環境基本計画も6年目を迎えました。市民・事業者・行政の協働による環境まちづくりの一助となるよう、「市民の森保全クラブ」、「岩殿満喫クラブ」の事業を進めていきます。
※当ブログ「岩殿 Day by Day」掲載のこれまで(2015年~)の市民環境会議記事
たまたま手にした「岩沢散策マップ」の表紙にあった「外ノ沢(そでのさわ)の棚田」の写真にひかれて車を走らせましたがどこから入るのか分からず、行き着きませんでした。このあたりでは棚田のことを「だんだんたっぽ」と親しみをこめて呼ぶそうです。


外ノ沢の近くの小土山(こづちやま)の田んぼの写真です。




岩沢には「岩沢アチコタネーゼ」という地域住民活動団体があり、地域活性化・地域支援の企画実行、住民主体・住民提案型の地域づくりを目指して様々なイベント・プロジェクトを立ち上げています。

ホームページやフェイスブックで会の活動を知り、グーグルマップで棚田の場所も確認したので、再度、探訪し。農家レストラン「より処 山紫」で食事をしたいと思っています。


外ノ沢の近くの小土山(こづちやま)の田んぼの写真です。




岩沢には「岩沢アチコタネーゼ」という地域住民活動団体があり、地域活性化・地域支援の企画実行、住民主体・住民提案型の地域づくりを目指して様々なイベント・プロジェクトを立ち上げています。

ホームページやフェイスブックで会の活動を知り、グーグルマップで棚田の場所も確認したので、再度、探訪し。農家レストラン「より処 山紫」で食事をしたいと思っています。
小千谷市塩殿甲にある「おじやクラインガルテンふれあいの里」に立ち寄りました。関越自動車道越後川口ICから車で約5分のところにあります。






おじやクラインガルテンふれあいの里には「ラウベ」と呼ばれる宿泊施設付きの農園(滞在型農園)と日帰り型農園があります。


滞在型農園 区画数/30区画、年間利用料/396,000円。主な設備/ラウベ延べ床面積40平方メートル。キッチン、バス、トイレ、ロフト、エアコン、農機具収納スペース付き。光回線インターネット接続可能。ラウベは高床式で基礎の部分は農機具の収納や、自動車の駐車スペースとして利用できる。畑/200平方メートル。年間利用料の他に、水道光熱費(利用者負担・口座引き落とし)が別途必要。
日帰り型農園 区画数/84区画、一区画あたり面積/50平方メートル(5×10メートル)。年間利用料/9,600円。附帯施設/管理棟、駐車場。
有料サービス 農機具の貸出し、ふれあいの里管理組合が行う作業代行など。
料金(1時間当たり):各種作業代行1,000円
トラクターで畑を耕す作業3,000円、除雪機でのラウベ前の除雪作業3,000円
草刈機・チェーンソー・動力噴霧器・発電機など燃料を使用する機械400円
小型耕運機の貸出し500円。
近くにある中部北陸自然道の沢山ポケットパークから眺望は絶景でした。信濃川の左岸になります。



『田舎暮らしの本』(2016年10月号)口絵 47都道府県絶景案内8に『山本山高原から望む 小千谷のおいしさの源」として紹介されています。 信濃川、河岸段丘、越後三山、絶景です








おじやクラインガルテンふれあいの里には「ラウベ」と呼ばれる宿泊施設付きの農園(滞在型農園)と日帰り型農園があります。


滞在型農園 区画数/30区画、年間利用料/396,000円。主な設備/ラウベ延べ床面積40平方メートル。キッチン、バス、トイレ、ロフト、エアコン、農機具収納スペース付き。光回線インターネット接続可能。ラウベは高床式で基礎の部分は農機具の収納や、自動車の駐車スペースとして利用できる。畑/200平方メートル。年間利用料の他に、水道光熱費(利用者負担・口座引き落とし)が別途必要。
日帰り型農園 区画数/84区画、一区画あたり面積/50平方メートル(5×10メートル)。年間利用料/9,600円。附帯施設/管理棟、駐車場。
有料サービス 農機具の貸出し、ふれあいの里管理組合が行う作業代行など。
料金(1時間当たり):各種作業代行1,000円
トラクターで畑を耕す作業3,000円、除雪機でのラウベ前の除雪作業3,000円
草刈機・チェーンソー・動力噴霧器・発電機など燃料を使用する機械400円
小型耕運機の貸出し500円。
近くにある中部北陸自然道の沢山ポケットパークから眺望は絶景でした。信濃川の左岸になります。



『田舎暮らしの本』(2016年10月号)口絵 47都道府県絶景案内8に『山本山高原から望む 小千谷のおいしさの源」として紹介されています。 信濃川、河岸段丘、越後三山、絶景です


新潟・中越地方は全国有数の地滑り地帯です。長岡市山古志地区には水を張った棚田(養鯉池)が続いていました。



6月17日に撮影した写真です。2004年10月23日に発生した中越地震から11年8ヶ月たちました。地震発生時の人口は2,167人、翌年、長岡市と合併し、今年6月1日現在の人口は1067人です(『ガバナンス』2016年7月号、144頁)。
対談:棚田と米と文化財(田村善次郎+真島俊一)から

小千谷市錦鯉の里で撮影



6月17日に撮影した写真です。2004年10月23日に発生した中越地震から11年8ヶ月たちました。地震発生時の人口は2,167人、翌年、長岡市と合併し、今年6月1日現在の人口は1067人です(『ガバナンス』2016年7月号、144頁)。
対談:棚田と米と文化財(田村善次郎+真島俊一)から
(真島)……棚田は棚田だけを単純に見ていてはわかりません。棚田が村全体にとってどういうふうに必要であったかを理解していないと、棚田のことはわからない。例えば、周りに落葉林や竹林があるのはなぜか、その意味がわからないと、棚田を理解したことにはならないわけです。今となっては村の竹林を誰が植えたか忘れられているが、竹の再生力は見事で、食用やたくさんの民具の材料になる。棚田へ水を引く樋、稲のハザ木、ザル、ミノなどの農具になる。村の周りにある樹林に何一つ無用なものはないのです。こうした棚田の村全体の構造は、時間をかけないとなかなか見えてこない。
村全体を見ていく一方で、技術的に見ていくことも必要です。棚田はたくさんの部分の集積であるからです。…【石垣、土坡】…もう一つ棚田を技術的に調べるうえで重要なことは、水をどう使っているかということです。それも調べる。
そうやって次々に調べていくと、どうやら棚田というのは一気にできたものではなくて、少しずつ土地の条件に合わせて、可能な限り時代の技術でつくり続けてきた。その重なりを今、僕たちは見ているのだということがわかってきます。(百の知恵双書001『棚田の謎 千枚田はどうしてできたのか』(田村善次郎・TEM研究所、CM出版発行、農文協発売、2003年)69~170頁)
(田村)……千枚田といわれるようなかなり規模の大きい棚田は全部いっぺんにできたわけではないですから、やはり拓きやすい、水の得やすいところから始めて、ある時期にかなり集中的に労力を投入して、水利を整理して広げて言ったのでしょう。あまり細かく調べてはいないけれども、新潟の山古志はおもしろいところですね。長岡市、小千谷市は錦鯉の生産が盛んなところです。錦鯉が初めて出現したのは19世紀前半(江戸時代の文化・文政のころ)、新潟県の二十村郷(にじゅうむらごう。長岡市太田、山古志、小千谷市東山、川口町北部の一帯)で、食用として飼われていた鯉に突然変異で色のついた「変わりもの」が現れたのが最初といわれています。その後、研究と改良が重ねられ、 現在のような見事な観賞魚となりました。
(真島)あそこはすごい千枚田ですね。
(田村)棚田ばっかりでね。水の湧くところは、山のいちばん上でなくて、ちょっと下がったところですね。そこに横穴を掘って、ちょろちょろ流れる水を小さい池をつくっていったん溜めてから下の田んぼに配る方法が多いようです。おそらく最初は横穴も何もなくて、水の湧くところに、少し何枚かつくっていたのだと思います。それを少しずつ増やしていったのでしょうね。……
山古志の田んぼを見たときに、最初はそういうふうにして、みんなシコシコつくっていって、その集積が千枚田の風景なんだろうと思いました。その後、横穴を掘って水路を引き、池に溜めてという、ある程度組織的な拓き方をする時期が訪れたのでしょう。
(真島)水の湧くところというのは、山の中腹ですね。いちばん上には湧かない。いちばん下に湧くところもあるけれど、それでは田んぼをつくれない。
(田村)だから、棚田の場合は水の湧くところから下に拓いていったものが、比較的多いのではないかという感じがしますね。(『同上』171頁)

小千谷市錦鯉の里で撮影
児沢の上の奥の田んぼの畦シートと畦の間にいました。田んぼの教室の生きもの観察で、こども達が目を輝かせるのは、アメリカザリガニ、ドジョウ、メダカや、ヤゴ、オタマジャクシを見つけた時です。まっかちんが田んぼを救うという記事が日経ビジネスオンライン(2014年6月27日)にありますが、アメリカザリガニには子どもを田んぼに引き寄せる大きな力があります。(マッカチンとはアメリカザリガニのこと。日本の固有種のザリガニ(ニホンザリガニ)は、現在、北海道と北東北にのみ分布する。関東地方にいる茶色や黄土色のものも皆アメリカザリガニです。)

田んぼの日常管理では、アメリカザリガニは畦に穴を掘って田んぼの漏水を引き起こす厄介者です。ふさいでもふさいでも穴が開けられ、そこから田んぼの水が水路に漏れ出しています。
若杉晃介さんの論文「アメリカザリガニによる水田漏水の実態と対策」(『農業および園芸』88巻・ 8号、2014年2月、養賢堂)の結言によると、

田んぼの日常管理では、アメリカザリガニは畦に穴を掘って田んぼの漏水を引き起こす厄介者です。ふさいでもふさいでも穴が開けられ、そこから田んぼの水が水路に漏れ出しています。
若杉晃介さんの論文「アメリカザリガニによる水田漏水の実態と対策」(『農業および園芸』88巻・ 8号、2014年2月、養賢堂)の結言によると、
6.1 アメリカザリガニの掘削についてとあり、「一般的に行われている畦塗りや畦シート埋設ではアメリカザリガニの掘削による漏水は防ぐことができない」ようです。アメリカザリガニによる漏水対策技術として3つあげられています。
現地踏査や水槽実験、ライシメータ実験から、アメリカザリガニの棲管掘削について以下のことが明らかになった。
① アメリカザリガニの掘削穴(棲管)は田面に対して垂直方向に掘削される。
② 畦畔際の掘削穴が排水路まで貫通すると漏水は著しく多くなり、さらに洗堀されることでより大きな穴となる。
③ 畦畔際の掘削穴でなくても耕盤層よりも深くなることで漏水が大きくなる。
④ 湛水していな状態での土壌硬度が20kg/cm2程度においても、アメリカザリガニは湛水条件下 では穴を掘削することが可能である。
⑤ 現地踏査では掘削穴は最深で100cmとなり、平均でも25cm程度になった。
⑥ l週間程度で約50cmの掘削穴を掘ることが可能である。
⑦ アメリカザリガニの掘削能力から、一般的に行われている畦塗りや畦シート埋設ではアメリカザ リガニの掘削による漏水は防ぐことができない。
⑧ 水田の水位(地下水位)に応じて掘削穴の深さが変化する。
⑨ 中干しや間断濯慨を行うことで掘削穴が増加し、地下水位が低くなるとより深い掘削穴となる。
6. 2 アメリカザリガニによる漏水対策技術について90㎝の畦シートを入れることや、水田の地下水位コントロールシステムを導入することは無理なので、当面、根気よく田んぼの漏水箇所を埋めながら、アメリカザリガニの個体数削減に努力していくほかなさそうです。
(1 )畦シートの埋設
アメリカザリガニの掘削能力から、一般的に用いられている30cm幅の畦シートでは防ぐことはできない。そこで、畦畔からの漏水対策技術として、90cm幅の畦シートを排水路側にパックホーで掘削し、田面から70cm、畦畔に20cm埋設することで、畦畔から排水路に掘削される穴からの漏水を防ぐ 。アメリカザリガニの掘削は地下1m程度までの掘削が確認されているが、地下70cmまで対策することで、現地ほ場踏査で確認した全303個の掘削穴の約98%に対応することができる。
(2)水田の地下水位コントロール
アメリカザリガニの掘削穴は畦畔際でなくても耕盤層よりも深くなることで漏水が多くなる。また、地下水位が低くなると共に掘削穴も深くなることから、水田の地下水位をコントロールすることで掘削穴の深さを制御する。
一般的な暗渠排水整備の水閑(暗渠排水管の出口)は開閉しか出来ないため、中干しなどで地下排水を行うと、暗渠管埋設深である-60~-80cmまで地下水位が下がってしまう。そこで、暗渠管の出口に立ち上がり管を設けるサイフォン式暗渠(井上ら、1994)にすることで、暗渠の水閑を聞けても過度な地下水位の低下を防ぐことができる。
また、近年は湛水深~地下水位まで任意の水位をコントロール可能な地下水位制御システムが開発されている(若杉ら、2009)。
本システムは水口側と水尻側にそれぞれ水位をコントロールすることができる装置が備わっており、水稲作付け時は水管理労力の軽労化や転作時では湿害と干ばつの回避などによる安定多収が期待できるシステムである。
なお、本システムの導入にはコストが掛かることから、圃場整備事業などの公共事業による導入が望ましい。
(3)個体数の削減
アメリカザリガニは特定外来種には指定されていないが、水田内において多くの問題を引き起こす生物である。水田漏水はそのうちの一つであるが、これらの問題を解決するにはアメリカザリガニの個体数を減らすことが重要である。通年湛水したビオトープでは異常な個体数の生息が確認されたが、このような良好な越冬地があることで、港銃期に田に移動して生息する可能性が高い。まずはこのようなアメリカザリガニが繁殖する場所を設けないこと、または過密して生息する時期を選んで駆除することによって個体数を削減することが重要である。 【図・写真は略】
QRコード
記事検索
最新記事
カテゴリ別アーカイブ
月別アーカイブ
タグクラウド