赤尾は、都幾川と越辺川との合流する東松山市早俣の対岸(越辺川右岸)です。
1920年(大正9)生まれの男性からの聞きとりから。子どもの頃、大正から昭和初めの回想です。

めんこ 坂戸市の民俗2 赤尾の民俗 1993年 304頁~305頁 執筆:榎本直樹さん
 丸いメンコが多かった。義経などの武者の絵が多かったが、漫画のような絵のものもあった。みな、木のミカン箱いっぱいに入れて、「おれは100枚持ってるぞ」などと、枚数を競いあった。
 メンコには、相手のメンコをひっくり返すともらえるというものと、アオリダシといって、円の枠の中から相手のメンコを出すともらえるというものとがあった。アオリダシの場合、自分の打ったメンコが枠から出てしまうと、それは枠内に置かれて、だれのものでもなくなってしまった。
 メンコでは、上にはおった着物で風を起こして、相手のメンコを動かした。そのため、メンコを始めるときには、わざわざ家へ帰ってハンテンを着てきた。体が温まって汗が出てきても、ハンテンを着たまま、かまわずに続けたものだった。
 小学三年生くらいになると、子守りをさせられるので、コモリバンテンを持っていた。わざわざこれを着てメンコをする子もいたが、「こすい、こすい(ずるい)」「それは、なしにすべえ」などと言われて、着てはいけないものとされることが多かった。
     アオリダシ
     子守り半纏、背負い半纏、おぶい半纏、ねんねこ半纏