市民の森保全クラブ活動日。参加者は江原さん、金子さん、鳥取さん、新倉さん、細川さん、渡部さん、Hikizoneの7名。
3月17日の根返りしたヤマザクラを玉切り(K-1)
K:「市民の森」里山保全協定エリア(東松山市・市民の森保全クラブ)
皆伐・更新エリアの下刈り
※日本森林技術協会『低密度植栽技術の導入に向けた調査委託事業報告書』(林野庁、2019年)204頁
※日本森林技術協会『スギ・ヒノキ・カラマツにおける低密度植栽のための技術指針』(林野庁、2020年)12頁
スギ丸太の皮むき
市民の森保全クラブ活動日。参加者は新井さん、江原さん、金子さん、木庭さん、鳥取さん、新倉さん、細川さん、丸山さん、鷲巣さん、渡部さん、Hikizineの11名。3~5日に雨や雪が降りました。降水量は岩殿C地区で50㎜ほどです。
[蒸気圧?⇒「富士山の山頂でご飯がおいしく炊けないのはなぜ?」(『リケラボ』2024年10月28日記事)]
2月末に干上がっていた無名沼ロ号にも水が溜まっています。
この間のナラ枯れ枯死木伐採により、キノコのホダ木置き場に直射日光がさすようになったのでホダ木を移動し、一部に遮光ネットをかけました。
21年1~3月に皆伐し、11月に拾ってきたどんぐりを直播きした皆伐・更新エリアの篠刈りをしました。
亀山章編『雑木林の植生管理~その生態と共生の技術~』(ソフトサイエンス社、1996年)松田こずえ「第2章第7節 コナラの種生態」(69~77頁)
7-4 林床における実生の生き残り
林床に落下するドングリの数は年によってまちまちであるが、それらはどのような運命をたどるのだろうか。ドングリは貯蔵養分に富むのでネズミ、リス、鳥などの動物の格好の食料となる。落下したドングリのほとんどがそれらの動物に持ち去られ、芽生えとして確立するものはごく少数である。しかし一方で、動物によって貯蔵されたドングリがそのまま忘れられて実生が成立してくる場合もある。捕食者が種子散布者として機能していると考えられる。それらの大型の捕食者の数は林の周囲の環境に影響されるが、筆者の調べた都市近郊の残存林では大型の捕食者による被害は小さかった。代わりにドングリの内部に寄生する昆虫類やカビなどによって、定着する以前に死亡するドングリが多かった。これは捕食者の間で相補的な関係があることを示すのかもしれない。
動物に食われることなく確立できた実生は独立栄養の段階に入る。この時期に実生が生き残るか否かは何に左右されるのだろうか。筆者の調べた雑木林では、ある年に成立した実生は4年後におよそ60%に減少した。調査を始める前には下草刈りや落葉かきなどの手入れが行き届いていたために低木層は疎で、8月に相対照度は平均で4%程度であった。死亡した個体は生き残った個体に比べて、最初の実生高がより小さく、生育場所の相対照度はより低く、また葉の被食率はより大きいという傾向が認められた。成長の悪い個体は毎年1つのシュート(1本の茎と数枚の葉よりなる)を積み重ねていくのみで、その結果1本の幹をもつだけであるが(図6、Aタイプ)、幾分元気な個体では、分枝して複数のシュートを形成する。林外の明るい所で生育したコナラの実生の場合には、枝の頂点の芽からでたシュートが他の芽からでたシュートよりも太く長く成長して上へ上へと伸びていくのだが、暗い林床では主幹と側枝の区別がはっきりしなくなり、各々の枝が横方向に広がる傾向が強くなる。結果として各々の葉が上の葉の陰になることなく、より多くの光を受けられるようになる(図6、B、BSタイプ)。分枝した個体では5年目で高さ約30㎝、分枝しない個体では約20㎝に達した。
一方、放置後に時間が経って低木層が繁茂した雑木林で行われた調査では、実生が成立後3年のうちに全滅した。低木層を除去した場合には実生の生存率が上昇する。また、放置後しばらく経ち、地上10㎝の相対照度が3%位の林床では、成長は非常に悪いが5年生くらいまでの実生は比較的多く見られる。林縁から林内に向かって、明るさの傾度にそって実生の成立状態を調査した例では、林内で林床の相対照度が5%を下回る地点でも、㎡当たり数本の10~20年生の稚樹が生育していた。これらのことから、雑木林の林床で照度が3~5%程度であれば少なくとも数年間は実生の生き残りが可能のようである。それらの実生は、なんらかの原因で林冠が空いて光条件が好転した場合、次世代の林冠木となる可能性を持っている。林齢が高くなり萌芽力が衰えてしまった雑木林では、このような前生稚樹によって更新を図ることも考えられよう。(74~75頁)
市民の森保全クラブの活動日は3月も毎週2回、日曜日・金曜日とします。今日の参加者は江原さん、金子さん、木谷さん、木庭さん、佐々木さん、鳥取さん、新倉さん、細川さん、丸山さん、Hikizineと斉藤さん(坂戸市)の10名でした。
江原さん、細川さんが北側斜面の下刈り、木庭さん、斉藤さん、新倉さん、丸山さんが南側斜面(皆伐・更新エリア)でコナラ稚樹を覆って被圧しているアズマネザサや低木性樹種を除去する刈り出し作業を鎌を使って行いました。
※「北側」の役割
『横浜市森づくりガイドライン』(横浜市環境創造局みどりアップ推進課、2013年3月)105頁
『横浜市森づくりガイドライン』(横浜市環境創造局みどりアップ推進課、2013年3月)105頁
北側斜面は日当たりが悪く、植物の生育には不適であると思われがちですが、土壌中の埋土種子が良好な状態で保全されており、植生の復元に高いポテンシャルをもっていることも多いほか、樹木一本の単位でも、直射日光があたらず温度変化の少ない北側を好む生物が多くなっています。
落葉の中で越冬する昆虫などは樹木の北側の根元を利用することから、落ち葉かきの際に、北側の根元周りの落ち葉をかき残すなどの配慮があるとよいでしょう。また、巣箱を設置する際も、北側に設置することで巣箱内の温度上昇を防ぎ、好適な環境を創出できます。
◇放置された伐採跡地には、多くの種類の樹木稚樹やササ、草本植物が生育し、激しい生存競争を繰り広げています。この競争の中で、被圧によって枯れていく有用樹種の稚樹も少なくありません。このような群落で有用樹種を育成するため、その生育を阻害するものを除去することを「稚樹の刈出し」といいます。(14頁)◇稚樹の刈出しは、天然更新した稚樹と雑草木とが競合している更新初期に行う作業です。その目的は、実生で更新した有用樹種の稚樹の生存率を高くすることとその成長を促進することにあります。
◇稚樹の刈出しは、有用樹種の稚樹が雑草木の被圧により衰弱しないうち(更新後あまり年数が経過しないうち)に行います。
◇手鎌を用いて、有用樹種の稚樹を被圧する雑草木を刈り払います。(6頁)
G地区のマルバヤナギの伐採、玉切りは金子さん、木谷さん、佐々木さん、鳥取さんでしました。
2月28日に切り残した双幹のGー6と新たにG-8、G-9を伐採しました。
G-6
G-9
市民の森保全クラブ2月最終活動日。参加者は新井さん、江原さん、片桐さん、金子さん、木谷さん、木庭さん、鳥取さん、細川さん、丸山さん、鷲巣さん、渡部さん、Hikizineの12名。この間、金子さんが作っていた薪棚が完成し、屋根をのせました。ワラビ園の川津桜が咲き始めました。
片桐さん、鷲巣さんは土水路の泥上げ、C地区奥の片付けをしました。
G-6(伐根の長辺60㎝)
G-7(抜根の長辺65㎝)
※佐藤徳次「ヤナギ類」((川島町ふるさと史料館『川島の植物』13~18頁、1989年)。岐阜県羽島郡川島町川島町は現在は合併して各務原市。
ヤナギの分類は次の様な理由で非常に難解である。
①花の時期と葉のある時期が別で、両方あることが少ないから、花の時期は下の落葉しか見ることができない。
②葉の成長段階により形が異なる。従って若葉では種の同定が困難である。
③葉の形は種による違いが少なく、また同一種・同一株でも形の変異が多い。
④葉が対生の種も完全な対生でなく、枝により互生になる場合もある。
⑤花の構造が簡単だから、種による花の各部の違いも微妙である。
⑥雌雄異株だから両方の花を調べなければならない。
⑦雑種が出きやすく、どの種か判断に迷うことがある。
⑧過去に研究された文献が少なく、花を詳細に画いた図鑑等も少ない。(13~14頁)
アカメヤナギ 別名マルバヤナギとも呼ぶ。アカメヤナギの名は、花屋では別の栽培種であるフリソデヤナギのことをいうので、マルバヤナギのほうが間違わなくて良い。しかし葉形は変異が多く、長い葉もあるのでその点ではこの名[マルバヤナギ]は不適当である。系統分類的に他種と縁の遠いものである。おしべが5~6本あるのが特徴で、花期が一番遅い。その頃には若葉も見られ托葉が大きい。この点はボケの葉に似るので、学名[属名+種名(動物学:種名。植物学:種小名しゅしょうめい]の示種名にはその意味を示す。川原のどこにでもあるが、3~4月上旬は花も葉もないので見逃しやすい。下に落ちている落葉で見分ける。(18頁)[ ]内は引用者※アカメヤナギ(マルバヤナギ):ヤナギ科ヤナギ属
学名:Salix chaenomeloides Kimura(1938)
ヤナギ科:Salicaceae ラテン古名「Salix」=ケルト語のsal「近い」+lis「水」に由来
種小名Chaebimeles「ボケ属」+oides「似の」。円形の托葉がボケのそれに似ている
命名者:木村有香(ありか)(1900-1996)
命名の由来:新葉が赤いことによる
[杉並の自然学 > 植物:メニュー > アカメヤナギから]種小名Chaebimeles「ボケ属」+oides「似の」。円形の托葉がボケのそれに似ている
命名者:木村有香(ありか)(1900-1996)
命名の由来:新葉が赤いことによる
※東北大学まなび情報誌『まなぶひと』54(2019年5月号、4~5頁)
特集:ヤナギ科標本コレクション 木村有香 ヤナギ・柳・楊? 標本作成にこめたもの
梅まつりが各地で開催されています。600本以上の紅梅・白梅がある桐生市南公園でクビアカツヤカミキリの産卵防止・成虫拡散阻止策としてネットが巻いてあるウメの木を多数あり、群馬県東毛地域で被害が拡大しているのを実感しました。


※特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」が県内に拡大 『高崎新聞』(2024年10月17日)から
新たに8市町村で確認 群馬県は令和6年のクビアカツヤカミキリによる被害状況について、10月16日に発表した。……群馬県は平成29年度からクビアカツヤカミキリの県内被害状況調査を実施している。今年度の調査期間は4月1日~8月31日。
令和6年度の被害本数は1万508 本で、増加率は対前年比1.37倍となった。北毛などの8市町村で新たに発見され、被害は24市町村に拡大した。東毛5市町で被害樹木の本数が減少、中部、西部地域で増加した。北毛は5年度の発生地域から距離があり、県では車両等に付着して拡散した可能性もあるとしている。被害本数が多いのは太田市2847本(対前年度352本増)、館林市1399本(6本減)、伊勢崎市1348本(1100本増)、桐生市1308本(744本増)となっており、県内の被害樹木はサクラが88%となっている。
高崎市の被害本数は164本(92本増)で、内訳はサクラ65本、ウメ1本、モモ44本、スモモ54本。市内では令和2年[2020]度から被害樹木が確認されている。……高崎市では、榛名地域で生産者と連携した地域ぐるみの取り組みを実施し、被害の抑制に取り組んでいる。
※桜を食い荒らすクビアカツヤカミキリ、被害拡大し倒木や人身被害も…トラックに乗って生息域拡大か(『読売新聞オンライン』2024/12/01 00:30)から
……県自然環境課によると、今年度の被害本数は24市町村で1万508本(前年度比2851本増)で、初めて1万本を超えた。太田市が2847本と最も多く、館林市が1399本、伊勢崎市が1348本と続いた。今年度は沼田市やみなかみ町、富岡市など8市町村でも初めて被害が確認された。東毛地域から生息域が広がっていることについて、同課は成虫がトラックなどで運ばれた可能性が高いとみる。被害の9割近くは桜で、桜の名所として知られる沼田市の沼田公園でも7月に成虫が見つかった。※足利市はクビアカツヤカミキリの防除対策に関する動画4本を作製・公開しています。
被害の拡大防止と駆除推進のため、県は22年、県民がクビアカツヤカミキリの発見場所や被害状況を投稿する専用サイト「ぐんまクビアカネット」の運用を始めた。活動する時期にサイトに発見場所などを入力すると地図に虫のイラストが表示され、県職員らが被害確認に活用する。投稿数は、22年度の87件から24年度は395件に増えた。
今年度は自治体職員や市民向けに、被害木への薬剤注入方法などの講習会も計7回開催。大泉町では7月に駆除イベントが開かれ、成虫70匹を駆除した。県は市町村に防除費用の半額を補助しており、自然環境課は「クビアカネットへの投稿増加など、関心は高まっている。引き続き市町村と連携して対策を進める」としている。(飯田尚人)
※カクレミノ(ウコギ科)の稚樹
3つに裂ける葉と裂けない葉が混じっていて、樹高が5mを超えるような成木ではほとんどが不分裂葉、幼木では切れ込みが深い葉が多く、時には2裂や5裂の葉も見られるなど、葉の形に変異が多い。林将之『葉で見わける樹木』増補改訂版(小学館、2010年)204頁


……高橋(1997)はカクレミノの葉の形態と照度の関係を研究し、広卵形の葉は葉の密度が大きい陽葉であり、相対照度が30%以下になると掌状に分かれた葉が多くなり、掌状の葉は葉の密度が小さく、光補償点の低い陰葉である結果を導き出している。※高橋和成(1997) カクレミノの異形葉に見られる環境適応.岡山朝日研究紀要、No.18 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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