武蔵村山市議会議員清水彩子さんの議会報告(令和3年12月議会 一般質問「ナラ枯れの樹木の被害について」)と「ナラ枯れ樹木の調査経過等について」(武蔵村山市の公園等ナラ枯れ調査2021年3月31日現在、西武・狭山丘陵パートナーズのナラ枯れ調査、その他のナラ枯れ等について)を読んで、大南一丁目児童遊園、西大南樹林公園、大南公園のナラ枯れの様子を見て、市役所で資料をもらってきました。東京都環境局自然環境部緑環境課「ナラ枯れについて」(2021年6月17日)、大房直登・船木匡志・丹星河「狭山丘陵の都立公園におけるナラ枯れ被害と地域連携による取組」(日本緑化センター『グリーン・エージ』49巻1号、2022年1月)、『ナラ枯れ被害対策マニュアル』(日本森林技術協会、2012年3月版)です。このマニュアルは改訂版(2015年3月版)がでています(⇒①、②、③)。
大南一丁目児童遊園
大南公園
その後、武蔵村山市のHPに「ナラ枯れ対策をしています」(更新日時:2022年8月18日)を見落としていたことに気がつきました。ナラ枯れ対策として武蔵村山市では、①伐採(枯れて倒木の恐れがある被害樹木は、伐採)、②ネット巻き(すでに潜入しているカシナガが他の木に拡散したり、他の木から潜入してきたりしないよう、根元からネットを巻き、伐採後の切り口からもフラスが発生したので切り株もネットで覆う)、③薬剤注入(ナラ菌の増殖を防ぐ薬剤を注入)をしています。
令和2年度末[2021年3月]の時点のナラ枯れの樹木の本数は、大南公園4本と野山北公園5本の計9本の感染が確認されました。このため、令和3年[2021年]6月には、倒木の危険性がある7本のナラ枯れ樹木の伐採を実施いたしました。
令和3年度では、現時点において、大南公園で13本、野山北公園3本、西大南樹林公園で11本、大南一丁目児童遊園の2本の合計29本の感染を確認しているところでございます。
現在、西大南樹林公園では、コナラ11本にナラ枯れの症状が確認されているため、樹木の根から3メートルから4メートルの高さまで網目4ミリのネットで覆い、ナラ枯れの拡大防止を行っております。
また、今後、樹木の状況等を確認しながら、ナラ枯れの原因である昆虫やナラ菌の蔓延を防ぐ薬剤の使用も検討しているところでございます。
現在、市では薬剤による駆除は行っておりませんが、倒木の危険性のある樹木を伐採し、伐採後速やかに処理を行うことにより駆除を行っており、樹木に潜入している昆虫の拡散防止に努めております。
なお、国の補助金につきましては、森林整備計画による森林区域に限定されているため、その活用には至っておりません。
市では、ナラ枯れ被害に遭った樹木につきまして、その生育状況等について、公園パトロールを通じ頻繁に確認をしているところでございます。その中で、樹木の状態から枯れたことが確認されたものについては、倒木の危険性があるため、伐採を行い対応しております。伐採した樹木は、樹木に潜入している昆虫の拡散防止のため、飛散防止策を取った上で速やかに搬出し、破砕処理を行います。
なお、伐採から処分までは、市の職員ではなかなか対応が難しいため、業者に委託をして対応しております。
令和3年度に実施いたしました伐採、処分の委託料で申し上げますと、伐採本数は2施設7本で、税込みで306万7350円でございます。
なお、費用につきましては、伐採箇所の立地条件等によって変動いたしますが、樹木1本当たり約44万円の費用を要している状況でございます。
昆虫が潜入している生存木につきましては、職員による経過観察を2か月に1回程度行っております。調査内容は、目視で木くずであるフラスの発生状況を確認、葉の枯れ状況、小枝等の落下状況等を調査しております。
また、できる限り樹木を残すため、今後、樹木の状況等を確認しながら、ナラ枯れの原因である昆虫やナラ菌の蔓延を防ぐ薬剤の使用も検討しているところでございます。
現在、市で検討しておりますナラ枯れ対策に使用する薬剤としましては、既にカシノナガキクイムシの潜入が確認されている樹木に殺虫殺菌剤を注入し、潜入している昆虫の駆除とナラ菌の殺菌を行うものでございます。
また、ナラ枯れ感染の予防策として、まだ被害に遭っていない健全木にあらかじめ殺菌剤を注入しておくことによって、カシノナガキクイムシの潜入があったとしても、ナラ菌の繁殖を抑える薬剤もございますことから、必要に応じその使用も検討していきたいと考えております。
本市には、都立の野山北・六道山公園や伊奈平の海道緑地などがあるため、ナラ枯れ対策につきましては、東京都との連携が不可欠でございます。そのため、常に情報交換を行い、倒木のおそれがあるなど市民や利用者等に危険が及ぶ箇所につきましては、速やかに伐採の依頼をするなどの連携を行っているところでございます。
市長答弁でもお答えしましたとおり、伐採により公園の緑が失われることのないよう適宜植樹などを行ってまいりたいと考えております。
なお、植樹する樹木につきましては、公園内の木の種類などのバランスを考えるとともに、その後の剪定などを考慮し、対応してまいりたいと考えております。
現在、狭山丘陵における民地のナラ枯れについて詳細な調査は行っていないため、個人所有者への伐採の勧奨や補助は考えておりませんが、所有者の方からナラ枯れの御相談がございましたら、近隣の状況、市の対応方法などを教示し、支援を行ってまいりたいと考えております。