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環境基本計画市民推進委員会

江守正多「コロナと気候変動、その共通点と相違点」③ 6月26日

みんな電力株式会社が運営するウェブサイト『ENECT(エネクト)』の「ひと(PEOPLE INTERVIEW))」に掲載されている江守正多さんと上田マリノさんの対話「コロナと気候変動、その共通点と相違点」(全3回)。第3回は2020年4月22日公開されました。
「これまで長く気候変動問題に関わってきた経験から、闇雲に不特定多数に問題を啓蒙するよりも、強い意志を持って動く3.5%の人々の可能性に辿り着かれたという江守先生。そういった思考の根底には、仮にコロナ騒動が世界を席巻しようが、その間だけ期せずして数%のCO2排出抑制が実現しようが、時間が限られている中、地球が危機に瀕しているという厳然たる事実はそのままそこにあるということがあります。再生可能エネルギーへの転換は、純粋にポジティブに社会をアップデートするもの。そしてリーマンショックでも実際に減った世界のCO2排出量は2%以下だったのが、今回のコロナ禍では年内で約8%下がると試算されています[世界エネ需要、20年は過去最大の減少幅に CO2排出も=IEA (ロイター[Reuters]2020年4月30日)]。ただそれは、世界各地でこれだけ経済を止めた結果であって、それが復活した時、社会はいったいどうなるか。問題は、ではそれをどう理解して、私たちがそこに関わることで、地球の破綻をどう抑止できるのか。」
 コロナで緊急事態宣言になったわけですが、それは非常にショッキングなことでした。でも同時に一方で、気候変動に関してもしばらく前から「非常事態宣言」が出ています。多くの海外の自治体、イギリスの議会まで含めて、日本でもいくつかの自治体が「気候非常事態」ということを宣言していました。
 国会議員も超党派で、「気候非常事態宣言を目指す議員連盟」ができて[2020年2月20日]、動き始めた矢先でした。問題は、その気候とコロナの「非常事態」はどう似ていて、何が違うのか?(笑)
 まずコロナの場合は、接触削減で医療システムを守ることを最優先課題としています。そのために「非常事態なので、お店は休んで、飲食店も20時まで」といった強硬措置がなされました。さらに財源のある東京のような自治体からは協力金も出て、「補償金を払うから、申し訳ないけど止めて」ということが起きています。
 気候についてそれと似ていることがあるかということで、石炭火力のことを考えました。今、日本の石炭火力の発電所新設問題が世界から批判され、それがようやく国内でも人々に少しずつ知られるようになってきました。この件は、僕は補償金を払ってでも止めるべきではないかと思います。
 いままでの常識で、しかも気候が非常事態でなければ、[石炭火力]投資を始めちゃって止めると大損だから「じゃあ建てて」となります。でも今は「非常事態なので、申し訳ないけど止めてください」と。ただ「その代わり、国が一部補償しますよ」と。
 これが一つ、非常事態下にあることの、わかりやすい例なんじゃないかと思うんです。
 ドイツは2038年までの脱石炭を決めて、石炭業界に補償金を支払うそうです。「これで変わってください」、「産業転換してください」ということです。そういうのが、本当なら気候非常事態を受けて起きなければいけないことなんだと思います。
 日本は今コロナの緊急事態をきっかけとして、社会において「ある課題を最優先させるということはどういうこと」か、そしてそれが「気候変動の場合、何をしなければいけないのか」ということを学ばなければなりません。それは我慢でなくて、「システムを変える判断において気候そのものの優先順位が上がる」という、そういうことなんじゃないかと思っています。
 僕は、気候変動に興味を持つためには、まず「対策=我慢」みたいなイメージを払拭することが大切な気がしています。
 ある国際的な社会調査で、世界平均で約2/3の人が「気候変動対策は生活の質を向上させる機会」と認識しているという結果があります。対して、日本人は約2/3が「生活の質に対する脅威である」と答えています。日本人はなぜか、気候変動対策は「我慢」だし、「コストがかかる」し、「便利さや快適さを諦めなければいけない」と捉えているんです。何よりまず、そのイメージを変えなくちゃいけないと思っています。
 それはもっとポジティブで、社会をアップデートするものであり、しかも日本がもし脱化石燃料ということを最終的に達成できた暁には、化石燃料の輸入に払ってきたお金が全部国内でまわるようになる。そういった大きな経済的なメリットもあるわけです。ただ、もちろん途中で投資は必要で、その時に誰が得する損するといった問題は出てきます。
 でもこれは最終的には、しごく前向きな「社会のアップデートである」と。
 そういう「我慢じゃない」という認識を広めることで、潜在的に気候変動に本質的な関心が持てるような方々に、もっとこの話に入ってきてもらいやすくなるということが、起きないといけない気がしています。
 今はまだ、気候変動の問題に関心がある人でも、「自分はすごく我慢します。だから皆さんも我慢しなさい」という感じの方々がいらっしゃるわけです。
 僕は環境省の管轄下にある研究所にいるわけですが、環境省はいわゆる「国民運動」という、10数年前に京都議定書が始まってクールビズが流行りだした頃から、環境省が普及啓発をして、国民一人一人に「できることで協力して欲しい」というメッセージを出してきて今にいたります
 それがある意味でうまくいってしまった。だから僕たちは、環境問題とは「一人一人が生活の中で気をつけること」という風に理解してしまっているのかもしれません。
 しかし本当は、そこには環境省が管轄していない、大きな「エネルギーの問題」があります。そこは経産省の管轄です。環境省は「気候変動対策として、皆さんエネルギーのチョイスをしましょう」ということを言わないんです。
 だから、学校での教育も、「こまめに電気を消しましょう」という話に終始しがちでした。それはそれでいいんですが、それだけで終わってしまうことがこれまで多かったんじゃないかなと思います。
上田 私はずっと、環境省が出してるCOOL CHOICEに「電気は再エネを選びましょう」というのがあればいいと思っていたし、できる時は提案もしてきました。それが今、「あ、だからないんだ」ってわかりました(笑)。
江守 だって、本来それは一番の大事なチョイスですよね。
 あとは、本当は「政治のチョイス」ってことを言いたいんですが、それは役所は当然そんなこと言えないので(笑)。だから僕も、それは個人の立場で発言する時に言うようにしています。

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江守正多「コロナと気候変動、その共通点と相違点」② 6月26日

みんな電力株式会社が運営するウェブサイト『ENECT(エネクト)』の「ひと(PEOPLE INTERVIEW))」に掲載されている江守正多さんと上田マリノさんの対話「コロナと気候変動、その共通点と相違点」(全3回)。第2回は2020年4月22日公開されました。
「コロナ対策である「接触削減」や「ステイホーム」の根底にあるのは、「我慢」という姿勢。しかし気候変動対策の本質はそうではないはず。CO2排出をより抑制することの理解で大切なのは、それがとても「前向きな社会システムのアップデート」にあること。ではそれには、広くあらゆる人に問題について語りかけることが有効なのか、または狙いを定め、ピンポイントの啓蒙活動が必要か。」以下は江守さんの発言部分から引用(アンダーラインは引用者)。
 最近BBCやガーディアンで紹介された論文[FUTURE By David Robson 14th May 2019]で、「社会の3.5%の人が参加すると、ムーヴメントは成功する」、「社会を変えることができる」というものがあります。
 逆に言うと問題は、「どうやって本質的な関心を持つ人を社会の中で3.5%つくるか」ということなのです。みんながちょっとずつ関心を持ち、ちょっとずつ省エネしたりプラスチックを使わないようにしても、この問題は本質的に解決されません。
 「本質的な関心を持つ人」というのは、例えば「気候変動が本当に、自分や大切な人の生命に関わるような脅威である」とすごく思った人。あるいは、「気候変動は将来世代や途上国の人々を、その人たちが全然CO2を出していないのにすごく苦しめるから、倫理的に許せない」と強く思った人。または、「気候変動を何とかするため、脱炭素化のためなら人生を賭けてその仕事をしよう」と思った人という、とにかく強烈なコミットメントを気候変動に持てる人口が3.5%になれば、社会は変わるんじゃないかと思うんです。
 例えばアメリカを見ていると、環境に特にアンテナを立てて強い発信をしているレオナルド・ディカプリオみたいな人がいます。またはイギリスでも、エクスティンクション・リベリオン[Extinction Rebellion、略称:XR]のデモで著名人が逮捕されたり、欧米ではそういうことがあります。でもそれは日本にはない。政治家も、そこまで強い関心を持っている方というのは、いるかどうかもわからない。
 環境NGOにそういう人はいますが、そもそも社会にあまり存在を知られていないし、知られていたとしても「自分とは関係のない、極端な考えの人たち」という風に思われてしまうんじゃないかということで、日本ではあまり広がっていません。
 去年はスウェーデンのグレタさんが広く知られましたが、学生のムーヴメントが起きて、世界で約700万人がグローバル・ストライキに参加したといいます。そのうちドイツでは百数十万人が参加したとのことで、それはドイツ人口の2%に近くて、3.5%も視野に入ってきます。
 対して日本では、参加者は5000人でした。全然足りてない(笑)。
 ですから3.5%の人たちがもし関心を持つと、政治システムに働きかけるでしょうし、経済システムに対しても然りで、そのことで制度やシステムが変わるでしょう。そうすると残りの96.5%の人たちは、別にそんなことに関心を持たなくても、仕組みが変わっちゃったので、もう勝手にC02を減らすしかなくなります。
 すべての電力会社が再エネ100%になれば、再エネを使う以外はなくなります。車も電気自動車しか売っていなければそれを買うことになるし、家を建てようと思ってZEH[ゼロ・エネルギー・ハウス]しかなければ、ZEHを建てることになります。
 そして、そういう社会システムにするために積極的に後押しをする、「本質的な興味を持った人」がある程度必要ということです。最近僕は、じゃあ「そこを目指すべきじゃないか」ということを考えています。
気候変動の話は単に「クリーンなエネルギーを使おう」でもなく、本質的な変化のためには、むしろそれとは関係のない。
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江守正多「コロナと気候変動、その共通点と相違点」① 6月26日

みんな電力株式会社が運営するウェブサイト『ENECT(エネクト)』の「ひと(PEOPLE INTERVIEW))」に掲載されている江守正多さんと上田マリノさんの対話「コロナと気候変動、その共通点と相違点」(全3回)。第1回は2020年4月22日公開されました。
「「気候変動対策の本質は、今コロナでやっている自粛やステイホームのような我慢ではない。」それよりも、積極的に活動して「脱炭素社会への移行をどう実現するか?」という、しごくポジティブな思考と姿勢が大切」。以下は江守さんの発言部分から引用(アンダーラインは引用者)。
 気候変動の場合は、あるポイントを超えると世界の破滅が一気に起きるわけではなく、少なくとも今のところ現象は散発的です。ある年はある場所で大雨だったり、別の場所では大干ばつ、森林火災などが起きていますが、一つ一つはその場所にとってのイベントです。もちろんそれらを総体的に見れば、かつては起こりえなかった頻度や激しさであることが見えてくるんですが、まだ全体的な激しさはジワジワと高まってきている状況です。
 つまり気候変動は、今回のコロナほどにはわかりやすくない。もちろん異常気象が直撃した場所ではそれはそれは悲惨なことになっているんですが、それが自分のところにない限りは他人事でいられる。ただそれがいつ自分のところにくるか、その可能性は高まっているし、世界全体を俯瞰して見ても増えていると。
 コロナは世界で一気にきたし、気をつけないと自分や自分の家族が本当に死んでしまうかもしれないという話なので、言い方は変かもしれませんが、「よりわかりやすい」という感じはしてます。
 コロナに関して「気候変動自体が直接的に影響を与えて起きたか」というと、そこは現時点ではわかっていないし、たぶん、そうは言えないと思います。もちろん間接的に、気候変動によって起きた生態系破壊みたいなことが、ウイルスが出てきた原因の一部であるかもしれません。でも、少なくとも僕にはそれはわかっていません。
 それよりももっと根っこのところで関係があるというか、人間活動による生態系破壊やグローバル経済といったものと、気候変動を起こしている、直接的にそれは化石燃料の燃焼なわけですが、それを止められない世界の経済システムというものがあります。
 前提の認識として、それらは同じものです。その意味において、コロナと気候変動の問題には共通項があります。
 その次に、私たちに「何ができる?」、「アクションを起こして意味があるのか?」ということがあります。それに関しては、コロナと気候変動で似ているところと違うところがあると思っています。
 まずコロナに関しては「個人の行動変容」ということが、問題全体において決定的な役目を果たします。それは今、「接触機会の8割削減」ということが言われるわけですが、個人が「出歩かない」、「人に会わない」、「人と近くで喋らない」、「手を洗う」、「消毒をする」ということを一人一人がやるということが、この問題を当面封じ込めることにおいて決定的に大切です。そしてそのために店を閉めないとならないし、じゃあ「補償はどうするんだ?」ということが議論になっています。
 そことの比較で考えると、気候変動で個人が当面できることというのは、コロナの接触削減に当たるものがCO2排出削減になります。それは自分の生活の中で、なるべくCO2を出さないようにするのは、個人の立場でできることだし、今までもそこを意識して行動してくださった方々はそれなりにいらっしゃったはずです。
 それはもちろん素晴らしいことなんですが、実は気候変動の場合の「生活からCO2の排出削減をする行動」というのは、コロナにおける接触削減ほど本質的な重要性を持たないんじゃないかと思うんです。つまり、気候変動の場合は「あと30年で世界の排出量を実質ゼロにしないといけない」という話なので、自分たちが行動の中で多少気をつけてエネルギーを使う量を減らしても、正直そんなに変わりません
 2009年のリーマンショックでも相当経済が縮小したと言いはしましたが、CO2の排出量は2%くらいしか減りませんでした。今だってものすごくみんなが経済活動を止めて、「半分くらいはCO2が減ってるんじゃないか」と思いがちですが、家にいても電気は使います。そしてスーパーに物を運ぶため、Amazonの倉庫へもトラックは走ってますし、電車は空でも動いているわけです。ですから、実はエネルギーを使う活動はそんなに減っていないと思います。
 となると「活動の縮小」は、残念ながら本質的な「気候変動を止める」ところまでの効果は持ちません。そこだけに頼るわけにはいかない。そこが、コロナとの大きな違いでもあると思います。
 気候変動の場合は、そこを超えて、まさにこれはみんな電力さんの事業とも大きく関わることになる部分と思いますが、最終的には「再エネ100%の社会を目指す」と。それには「人々がどんなに活動をしてもCO2が出ない」という、社会を「そういったエネルギーシステムに変えてしまう」、そこを目指しているわけです。
 個人としても、そこをめがけて考えて行動していくのが、これから非常に重要なことだと思っています。それは、自分が人知れず省エネをやって、自分は頑張ったので、「もうあとは偉い人に任せます」ということでは決してないんです。
 つまり、社会の中で化石燃料が減って再エネが増えるのを、どう「個人として後押し」できるのか。その発想で個人もアクションをしていくことが、今後とても重要です。
 気候変動の文脈で、我々が目指しているのは「脱炭素社会」であり、電力も交通も最終的に全部が脱炭素エネルギーになればいいと思っています。その状態はコロナに置き換えると、治療薬とかワクチンが開発されて普及した状態に相当するんじゃないかと思います。
 つまり、今は我慢をしてるけど、最終的には「治療薬とワクチンが開発されて、この状態を克服する」ことが出口なわけです。その点において、コロナの場合は「今我慢すること」がすごく大事であると。
 それに対して、気候変動の場合は「脱炭素社会になる」という明確な出口があります。みんなでそれを目指すことはもちろん大事で、でもその時に「我慢」はあまり本質的ではない。むしろ積極的に活動して、「脱炭素社会への移行をどう実現するか?」ということがとても重要になってきます。
 僕がここをすごく強調するのは、コロナ対応はすごく我慢、自粛する社会的ムードになっています。それでCO2も減っているとなると、「もっと我慢すれば温暖化も止まるのか?」という発想になるかもしれない。でも、その考え方は危険です。その発想では結局、「コロナでこれだけ我慢して、その後に温暖化のことなんて、もう考えるのも嫌だ」という風に、多くの人はなってしまうように思えます。
 そうではない。
 「気候変動対策の本質は、今コロナでやっているような我慢ではありませんよ」と。それはもっと前向きな話であって、新しいエネルギーシステムとか交通システムと、食料や都市のシステムに社会をアップデートしていく。それを「どう、みんなで実現できるか考えましょう」と。だからそこが我慢ではなく、しごく前向きでポジティブなのが、気候変動の話なんです。
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最終確認 地球温暖化は本当なんですよね? 6月23日

『世界』2020年5月号に掲載されている江守正多[えもりせいた]さんの「最終確認 地球温暖化は本当なんですよね? 疑うのはこれで終わりにしよう」を読みました。以下の項目に答えています(聞き手=編集部・渕上皓一朗さん)。
 1 「温暖化」という現象は、本当にあるのですか?
     2019年までの世界平均気温の推定
 過去2000年の世界平均気温は、木の年輪などをもとにした代替データからの復元によって、ある程度推定できます(図2[上図]が最新の推定値をグラフにしたものです)。最後の150年間に、著しい気温上昇がありますね。
 しばしば言われる「中世の温暖期」、14世紀~19世紀の「小氷期」(ミニ氷河期)も、確かにグラフから見て取ることができますが、いずれも以外と小さいことがわかります。いまは明らかに過去にない異常な上昇を見せています。

 2 「温暖化」は温室効果ガスのせい?
 
 3 「温暖化」はよくあること?

 4 気温が原因でCO2が結果?

 5 CO2だけが悪者なのでしょうか?

 6 異常気象は気候変動のせいなのでしょうか?

 7 温暖化についてわからないことがあるのですか?
ー日本における懐疑論は、2000年代に盛り上がり、原発事故でいったん沈静化したのち、近年の「グレタ・ショック」で再燃している印象があります。その間、IPCCは、「二酸化炭素が気温上昇の主な原因である」かどうかについて、第3次報告書(2001年)において「可能性が高い」(66%以上)だった評価を、「可能性が極めて高い」(95%以上)に上方修正しています。この間、どのような研究の進展があったのでしょうか。
 基本的には、30年前に第1次報告書(1990年)で言われたことが徐々に、より確かになってきた、ということだと理解しています。その意味で、何か基本的なところでで新たな発見があったとか、そういうことではありません。
 ではなぜ確度が上がったかといえば、先ほど言った人工衛星のような観測技術や、シミュレーションのためのコンピュータの発展もありますが、なにより30年刊で実際に温暖化のプロセスが進行したことが非常に大きいですね。その間に取られたデータによって、議論の確実性がより高まっていきました。

ーつまり、懐疑論について議論する段階はとうに終わっているということですね。では、このテーマについて未解明の事項はもはやない、ということでしょうか?
 いえ、むしろ、新たに喫緊の課題が持ち上がっています。
 それが近年特に話題になっている、いわゆる「テッピング・エレメント」という現象です。温度上昇がある臨界点を超えたとき、仮にその後上昇を止めたとしても、変化の進行を止めることができないような現象で、いま非常に懸念されています。[中略]
 …[一度大規模に始まってしまうと、もう後戻りできない不安定なモードに突入]…それが本当に起こるのか、起こるとすれば何℃で起こるか、起こったらどういう現象が起こるか、非常に大きな研究課題です。
 さらには、それらの現象が相互に連鎖する可能性も懸念されています。一つのスィッチが入ったら、それによる変化が次のスィッチを入れてしまい、負の変化が連鎖して止まらなくなってしまうかもしれない。「ホットハウス・アース」とよばれ、注目されています。
 もうひとつ、喫緊の課題とされているのが「カーボン・バジェット」(炭素予算)です。平均気温の上昇幅を1.5℃で抑えるためには、どれほど温室効果ガスの排出が許容されるのか。
 今回のIPCC特別報告書では「2050年頃にはCO2排出量を実質ゼロにしなくてはならない」としていますが、いまだ推計値にはかなりの幅があります。この確度をどの程度上げ、それをどのように具体的に政策に落とし込むか、今後の研究にかかっています。

……科学的成果の何をどこまで信用すればよいのか、専門家でないわれわれ市民には、つねに難しい判断を突き付けられる。これは、未曾有の感染症流行に直面しているいままさに、切実な問題としてわれわれにふりかかっている。科学者と市民のあるべき関係について考えるうえで、温暖化懐疑論に対する研究者たちの数十年にわたる誠実な対話の姿勢から学ぶべきことは大きい。……(聞き手=編集部・渕上皓一朗)
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※YouTube【20分でわかる!温暖化のホント】地球温暖化のリアル圧縮版①[国立環境研究所動画チャンネル]地球温暖化をテーマに、江守正多(国立環境研究所地球環境研究センター副センター長)が、中高生にもよくわかるように解説する全3回シリーズの初回。第1回は「地球温暖化のウソ?ホント?」をテーマに、温暖化にまつわるよくある疑問について、クイズ形式で、わかりやすくお話しします。2020年3月に生配信した「【ともだちに話したくなる!地球温暖化のリアル】第1回 地球温暖化のウソ?ホント?」から、解説部分をぎゅっと20分に圧縮したダイジェスト版です。全編字幕つきで、より見やすくなりました。地球温暖化の基本を短時間で理解するのにおすすめです。


※YouTube【ともだちに話したくなる!地球温暖化のリアル】第1回 地球温暖化のウソ?ホント?[国立環境研究所動画チャンネル]地球温暖化をテーマに、江守正多(地球環境研究センター副センター長)によるトーク【ともだちに話したくなる!地球温暖化のリアル】を生放送します。日時:2020年3月13日(金)15時~15時40分くらいまで全3回のうち、第1回「地球温暖化のウソ?ホント?」をお届けします。特に中学生、高校生がよくわかるようにお話しします。もちろん、それ以外の方のご視聴も歓迎します。


※YouTube【ともだちに話したくなる!地球温暖化のリアル】第2回 温暖化ってヤバいの?[国立環境研究所動画チャンネル]江守正多(地球環境研究センター副センター長)によるトーク【ともだちに話したくなる!地球温暖化のリアル】(全3回)のうち、第2回「温暖化ってヤバいの?」を生放送します。日時:2020年3月18日(水)15時~15時40分くらいまで


※YouTube【ともだちに話したくなる!地球温暖化のリアル】[国立環境研究所動画チャンネル]江守正多(地球環境研究センター副センター長)によるトーク【ともだちに話したくなる!地球温暖化のリアル】(全3回)の、第3回「じゃあ、どうしたらいいの?」を生放送します。日時:2020年3月23日(月)15時~15時40分くらいまで


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江守正多「組織的な温暖化懐疑論・否定論にご用心」(掲載誌 : 国際環境経済研究所HP内「オピニオン」 (2020))
英語圏における組織的な温暖化懐疑論・否定論
 人間活動を原因とする地球温暖化、気候変動をめぐっては、その科学や政策を妨害するための組織的な懐疑論・否定論のプロパガンダ活動が、英語圏を中心に活発に行われてきたことが知られている。
 米国の科学史家ナオミ・オレスケスらによる「世界を騙し続ける科学者たち」(原題:Merchants of Doubt) にその実態が詳しく記されている。タバコ、オゾンホール、地球温暖化といった問題に共通して、規制を妨害する側の戦略は、科学への疑いを作り出し、人々に「科学がまだ論争状態にある」と思わせることだ(manufactured controversy) 。そこでは、規制を嫌う企業が保守系シンクタンクに出資し、そこに繋がりを持った非主流派の科学者が懐疑論・否定論を展開し、保守系メディアがそれを社会に拡散している。
 他にも社会科学者がこの問題について実態解明を進めており、2015年にNature Climate Changeに掲載された論文 では、懐疑論・否定論の多くはエクソン・モービルとコーク・ファミリー財団という化石燃料企業やその関連組織が中心となって広められていることがネットワーク分析により明らかになっている。
 化石燃料企業の経営の視点から見れば、温室効果ガスの排出規制等が政策として導入されれば収益に著しい損失をもたらすのだから、それを妨害するためであればプロパガンダ活動に相当の出資をしても見合うというのが「合理的な」判断かもしれない。
 しかし、気候変動の危機の認識が社会において主流となってきた現在では、そのような妨害活動の実態を暴かれることが、企業にとって大きなレピュテーションリスクや訴訟リスクとして跳ね返ることになり、損得勘定は以前と変わってきているだろう。エクソン・モービルは、1970年代から人間活動による温暖化を科学的に理解していたにもかかわらず、対外的には温暖化は不確かという立場をとり続けてきたことが明らかになり、複数の訴訟を起こされている。
日本における懐疑論・否定論
 筆者は2007-2009年ごろの地球温暖化が社会的関心を集めた時期に、温暖化懐疑論・否定論とずいぶん議論する機会をもった。筆者の当時からの認識としては、日本国内において英語圏の資本による組織的な懐疑論・否定論プロパガンダの影響は小さいと思っていた。
 日本では、懐疑論・否定論に同調的な産業界寄りの論客がたまに現れるものの、エネルギー産業や鉄鋼業などの企業も、組織としては気候変動の科学をIPCCに基づき理解しようと努めており、規制に対抗するにしても、科学論争ではなく政策論争を争点としているようにみえた。
 これまでに筆者が議論した懐疑論・否定論の論客(多くは気候科学以外を専門とする大学教授) も、英語圏の懐疑論・否定論をよく引用するものの、筆者個人の印象では、英語圏の資本による組織的なプロパガンダとはつながっていないようにみえた。
GWPFの記事を組織的に紹介?」「内容はどこがおかしいのか?」「IPCC「1.5℃報告書」の欠陥?」(略)

懐疑論・否定論のリスク
 温暖化懐疑論・否定論は主流の科学との議論に勝つ必要はなく、「なにやら論争状態にあるらしい」と世間に思わせることができれば成功なのであるから、それに反論する活動に比べると圧倒的にノーリスクで有利な、「言ったもん勝ち」の面がある。
 一方、世間がそのようなプロパガンダ活動の存在を知れば、ある組織がその活動に関わっていると世間から見られることは、組織の評判を毀損するレピュテーションリスクになるだろう。懐疑論・否定論を見る側も、見せる側も、そのことをよく理解してほしいと思う。
 最後に、この記事を寄稿させてくださったIEEI[国際環境経済研究所]のオープンな姿勢に敬意を表し、心より感謝を申し上げる。

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※『下野新聞SOON』(Shimotsuke Original Online News)の特集「気候変貌 とちぎ・適応への模索」第6部 次世代への(下)に掲載された「江守正多氏に聞く 温暖化世界と危機感の差」です。
 世界の平均気温は産業革命以降、すでに1度温暖化し、いまも上昇を続けている。持続可能な社会を次世代に引き継ぐために、私たちは気候変動とどう向き合えばよいのだろう。国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の評価報告書の主執筆者を務める国立環境研究所地球環境研究センターの江守正多(えもりせいた)副センター長に話を聞いた。
 2015年に国連で採択された地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」では、「世界平均気温の上昇を産業化以前と比べて2度より十分低く抑え、さらに1.5度未満に抑える努力を追求する」という長期目標が合意されている。
 昨年10月には、上昇幅を1.5度に抑えた場合の影響などをまとめた国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の特別報告書が公表された。気候変動による悪影響のリスクは、1.5度温暖化した世界では現時点よりも顕著に大きくなり、2度ならさらに大きくなることなどが書かれている。これを受け、世界では「やはり1.5度で止めるべきだ」という議論がかなり盛り上がっていると感じている。
 現時点で、世界の平均気温はすでに1度上昇している。1.5度未満で止めようと考えると、産業革命以降、もう3分の2まで来てしまった。そして残り3分の1は、今のペースで温暖化が進めば、あと20年前後で到達する。
 それが、私たちの現在地を示している。
  
 1度の温暖化による悪影響や、1.5度でどのくらいひどくなるかについて、まだ日本国内ではそれほど深刻には捉えられていないかもしれない。
 だが、大きな被害が出ているのは、対応力が限られる途上国の人たち。特に干ばつが食糧危機をもたらすような乾燥地域の国々、海面上昇や高潮の影響が生活基盤を脅かすような沿岸域、あるいは小さい島国の人たちにとっては、かなり深刻だ。
 こうした国々の他にも、世界では人類とその文明にとって危機的な状況が迫っているという認識を持つような人たちが増えてきている。中でも非常に大きなグループが若者たちだ。
 学校を休んで気候変動対策を求める「学校ストライキ」が世界中で起きている。今年の3月15日には約150万人が参加し、5月24日にも世界規模でのアクションがあった。
 例えば2050年に気温上昇が1.5度を超え、自然災害や生態系の破壊、さらに社会的な混乱が本当に深刻になった時に、彼らは40代ぐらい。社会の真ん中でそうした状況を受け止めなければならない世代が本気で心配しているということだ。
 彼らは今、政治的な発言権がないため、学校を休むという、ちょっと極端なことをやって注目を集めながら、自分たちの声を大人たちに聞かせようとしている。
 これは、現在の世界における危機の認識としては象徴的な出来事だ。
 温暖化を1.5度未満に抑えるためには、世界の二酸化炭素(CO2)の排出量を今世紀半ばに「正味ゼロ」(人間活動による排出と吸収の差し引きゼロ)にするというのが目安になる。IPCCの「1.5度特別報告書」が出る前、先進諸国は「50年に1990年比80%以上削減」などといった長期目標を掲げていた。
 しかし、特別報告書が出て、英仏などが50年に正味ゼロを目指そうと議論を始めた。「80%削減」でもぎりぎりだったはずなのに、どうすればそれが可能になるのだろうか。
 英語で「think(シンク) outside(アウトサイド) the(ザ) box(ボックス)」という言い方がある。箱の外を考えるという意味だが、「80%削減」を議論するとき、暗黙に置いている前提があったはずだ。
 でも「正味ゼロ」が必要だとの議論になると、おそらく暗黙の前提の方が変化する。常識が変わるということだ。いまの常識で考えると不可能に見えるが、常識が変われば可能かもしれない。世界では、そのように考える人がだんだんと増えている。
  
 日本国内でも昨年の記録的な猛暑や西日本豪雨、非常に強い台風の上陸などで大きな被害が出た。
 ある気象災害が、その年に、その場所で起きたことは偶然と言えるが、気候変動が進めば、そうした災害が長期的に増えていくことは必然だ。
 実際に起きた大雨の例で見ると、もし温暖化していなければ大気中の水蒸気はもっと少ないので、そこまでの雨量にならなかったはずだ。その意味では、日本でも温暖化の影響の一部を私たちは見ていると考えてよいだろう。
 だが、昨年の報道などを見ていても、異常気象は非常に大きな話題にはなったが、「だから温暖化を止めましょう」という話はあまり盛り上がらなかったように思う。
 世界との危機感の差に関して、もし日本に特殊性があるとすれば、よく指摘されるのは「3・11」だ。東日本大震災があり、原発と放射能や、地震のリスクが日本人にとって非常に重く認識され、地球温暖化問題は後回しになってしまった面があるのかもしれない。
 ただ、気候変動に向き合う世界の潮流にぴんときていないと、ビジネス上の危機という問題も起きてくる。
 世界では気候変動対策を真剣にやらない産業には、投資が集まらないようになってきている。国際ルールや常識がどんどん変わっていく中で、ある時、世界の空気を読み、対策を取らざるを得なくなった時、これまで建ててしまった石炭火力発電所みたいな施設が、投資が回収できない「座礁資産」になるなどのリスクが出てきてしまう。
 現状は、無意識ではあっても変えたくない勢力と変えていきたい勢力がせめぎ合っている感じがする。
 脱炭素社会へ変えたいと考えている企業や自治体などでつくるネットワーク「気候変動イニシアティブ」など、いろんな団体の人たちが政府にアクションを求め、自分たちで成功の実例を作って、広めていく役割が期待される。でも、周りが止まっていれば、それで間に合うかは分からない。
 もたもたしていると、海外で脱炭素のイノベーション(技術革新)のようなことが起きて、それが日本の産業を破壊するような事態になる可能性もある。気候変動対策の重要性を、ビジネス面からもしっかりと考える時期に来ている。
  
 一方、適応に関しては昨年、とても象徴的だと感じたことがあった。
 全国の小中学校の教室に熱中症対策でエアコンを入れることになったという出来事だ。かつては夏は暑くても我慢して勉強して、夏休みに休めばいいじゃないか、という考え方だった。
 気候が変わることで、社会の常識が変わる。そう強く実感した。
 そんなふうに気候の変化をしっかり認識し、対応すること。そして予見し、備えることが、極めて重要である。
【ズーム】IPCC「1.5度特別報告書」 IPCCが昨年[2018]10月に公表した。現状では2040年前後に産業革命以降の世界平均気温の上昇幅が1.5度に達するとし、1.5度に抑えた場合と、2度になった場合との影響の比較も提示した。1.5度なら海面の上昇幅は2度に比べ約10センチ抑えられ、影響を受ける人は1千万人少ないと推定。サンゴ礁は1.5度なら70~90%、2度なら99%以上消失する恐れがあるなどと示した。
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※小西雅子(WWFジャパン[世界自然保護基金])「IPCC「1.5度特別報告書」COP24に向けて」(2018年11月20日)
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鼎信次郎「今世紀の排出が1000年先の未来を決める?! —ティッピングとは何か?」 6月20日

鼎信次郎さんの「今世紀の排出が1000年先の未来を決める?! —ティッピングとは何か?」。2016年11月21日東京大学伊藤国際学術センター伊藤謝恩ホールで行われた環境省環境研究総合推進費戦略的研究開発プロジェクトS-10公開シンポジウム『地球温暖化対策の長期目標を考える-パリ協定の「1.5°C」、「2°C」目標にどう向き合うか?』発表資料です。

 鼎信次郎

地球温暖化による様々なリスク
 鼎信次郎_01

ティッピングポイント(TP)とは?
 それまで小さく変化していたある物事が、突然急激に変化する時点を意味する。

ティッピングポイント(TP)とは?
 鼎信次郎_02
 地球温暖化研究では、地球の気候を構成する要素に質的かつ急速な変化が生じさせるしきい値(気温など)を指す。

ティッピングエレメント(TE)とは?
 鼎信次郎_03
 TE:TPを超えたときに発生しうる地球の気候システムを構成する要素。

ティッピングエレメントの発現可能性は?

ティッピングポイントを超える可能性があるティッピングエレメント
 ・北極海夏季海氷の消失
 ・アルプス氷河の消失
 ・サンゴ礁の白化
 ・グリーンランドと南極氷床の融解

北極海夏季海氷の消失
 通常は、北極海では毎年、春から夏にかけて海氷が縮小し、9月に最小になった後、再び冬にかけて海氷が拡大するという変化を繰り返している

●北極海夏季海氷の消失
 ・2040年代、 A1Bシナリオ(+1~2°C上昇)で夏季の海氷は、カナダとグリーンランド北岸沿いにのみ残る。

アルプス氷河の消失
 ・B1シナリオ(+2°C上昇)で、 2060年代までにアルプス氷河はほぼ消失する予測。

サンゴ礁の白化
 ・1.5°C・2.0°C上昇の場合どちらでもサンゴ礁の多くが白化
 ・サンゴへのストレス(海面上昇・ENSOイベントや熱帯低気圧の増加・外来種の増加など)は未考慮

グリーンランド氷床と南極氷床
 氷河:重力によって長期間に渡り緩やかに動く氷塊
 氷床:大陸規模(5万km2以上)の氷河

海面上昇と各要素の寄与

•2081~2100年における海面上昇量の予測:+0.26~0.82 [m] *1986-2005年を基準
 ・~2100年では海面上昇寄与は,熱膨張>(山岳)氷河>グリーンランド氷床>南極氷床
 ・2100年を超えた予測では,グリーンランド氷床の寄与が大きくなる可能性がある

グリーンランド氷床のティッピングポイント

大規模な海面上昇による影響(東京湾周辺)
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海面上昇でどこが浸水するの?
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 グリーンランド氷床が全融解し、7m海面上昇した場合(関東~東海地方)

海面上昇でどこが浸水するの?
 グリーンランド氷床が全融解し、 7m海面上昇した場合(関西~九州)

グリーンランド氷床と北極海夏季の海氷が、2100年までにそれぞれのティッピングポイントを超える確率はどの位なのだろうか?

2通りの目標気温(1.5°C, 2.0°C)と追加政策なし[BAU]の計3つのシナリオに対して,グリーンランド氷床と北極海夏季海氷が,2100年までにティッピングポイントを超える確率を推定

ティッピングポイントを超える確率
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本プロジェクト(ICA-RUS)で研究対象としているティッピングエレメント
 ・西南極氷床の安定性
 ・北大西洋熱塩循環と貧酸素水域の拡大
 ・メタンハイドレートの分解

西南極氷床の安定性

北大西洋熱塩循環と貧酸素水域の拡大
 ・温暖化により海洋中の酸素は1000年かけて30%程度減少すると簡易気候モデルが予測。
 ・表層、亜表層では水温変化の影響で酸素が減少
   → 酸素呼吸をする魚介類などが好む環境でなくなることで、生物生息域等に影響

【数千年~数万年スケールのティッピングエレメント】メタンハイドレートの分解
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 メタンハイドレートとは・・・低温かつ高圧の条件下でメタン分子が水分子に囲まれた氷状の化石燃料。次世代のエネルギーとして期待されている

【数千年~数万年スケールのティッピングエレメント】メタンハイドレートの分解
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 Q:酸化により海水中の溶存酸素が減少するが、どのくらいか?
 A:魚等が生息出来ない貧酸素域の拡大
 メタンハイドレート2600GtC(現在)から800GtCへ減少
 ・その放出により貧酸素域が拡大(北太平洋1000m深付近)
 ・大気CO2が200ppm程度上昇の可能性

本日のまとめ
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 ・地球温暖化による様々なリスクとして、ティッピングポイント・ティッピングエレメントを紹介。
 ・パリ合意の気温幅でも発現する可能性があるティッピングエレメント(北極海夏季海氷の消失、アルプス氷河の消失、サンゴ礁の白化、グリーンランドと南極氷床の融解)がある。
 ・何かしら気候変動政策(パリ合意など)をとらないと、発現可能性がかなり高くなるティッピングエレメントも存在。
 ・ただし、かなり不確実性が高く、まだまだ発展途上の研究であるため、科学的な根拠をつかむ研究が今後も必要。世界の温暖化研究へ寄与。


レントン、ロックストローム「気候のティッピングポイント 危険すぎる賭け」 6月19日

『世界』2020年5月号、100~105頁に掲載されているティモシー・レントン、ヨハン・ロックストローム 他「気候のティッピングポイント 危険すぎる賭け」は『Nature(2019年11月27日付)』に掲載された
Timothy M. Lenton,Johan Rockström,Owen Gaffney,Stefan Rahmstorf,Katherine Richardson,Will Steffen &Hans Joachim Schellnhuber「Climate tipping points — too risky to bet against The growing threat of abrupt and irreversible climate changes must compel political and economic action on emissions」の抄訳です。

気候のティッピングポイント 危険すぎる賭け
限界点が差し迫っている
 政治家や経済学者、そして一部の自然科学者の中には、地球システムが「ティッピングポイント」(地球の気候に不可避的な変化を起こす「臨界点」)に達する確率は低く、考えられないことだと信じてやまない人たちがいる。彼らは、アマゾンの熱帯雨林や西南極の氷床が消えてしまうような事態は、まず起きないと信じ込んでいるのだ。
 しかし今、このような出来事は彼らの想定よりはるかに「起こり得る」という証拠が、次々とあがっている。地球システムの変化が連鎖的に起こり、複数がティッピングポイントを超えれば、世界に長期間で不可避的な変化がもたらされることになる。
 そこで私たちは、地球システムがティッピングポイントを超える証拠をまとめ、我々が今もつ知識とのギャップをを確認し、どのようにすればこれらの出来事を止められるのか提言しようと決めた。人々がティッピングポイントについてより深く考えをめぐらせるようになれば、私たちの惑星に緊急事態が差し迫っていることに、多くの人が気づくはずだ。(100~101頁)
このままでは3℃上昇する
 ティッピングポイントの概念は、「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)で、20年前に導入された。
 当時は、温暖化で世界の平均気温が産業革命以前より5℃以上上昇した時にだけ、気候システムの「広範囲の乱れ」が、ティッピングポイントに達するととらえられていた。ところが、IPCCによる最新の二本の報告書(「1.5℃特別報告書2」2018年9月、「海洋と雪氷圏の気候変動に関する特別報告書」2019年9月)では、1℃~2℃の上昇でティッピングポイントを超えてしまう可能性が警告されている。
 2015年のパリ協定で、各国は世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃よる下回るようにするという目標を掲げた。しかし、現時点で約束されている温室効果ガスの排出削減を各国がもし実行したとしても、平均気温は最低でも3℃上昇するとみられている。気候上昇は1.5℃で抑えなければならず、これには緊急的な対応が必要だ。(101頁)
●氷床の崩壊

●生物圏の崩壊
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A:アマゾン熱帯雨林(頻繁な干ばつ)、B:北極海の海氷(面積の縮小)、C:大西洋の循環(速度低下)、D:北方林(森林火災の増加、害虫の乱れ)、F:サンゴ礁(広範囲の死滅)、G:グリーンランドの氷床(融解の加速)、H:永久凍土(融解)、I:西南極の氷床(融解の加速)、J:ウィルクス盆地(東南極氷床の融解)
地球規模のカスケイド効果
私たちが危惧する最も危機的事態は、地球がてぃっぴんぐぽいんとのカスケイド(ティッピングポイントが雪崩のように連続して発生すること)に近づくことだ。様々な地球システムが連鎖的にティッピングポイントを超えて崩壊すれば、世界は「ホットハウス・アース(温室地球)」状態になりかねない。(104頁)
Act now さあ、行動しよう
 臨界点の現状をみるだけで、私たちがいかに、地球という惑星の緊急事態に直面しているかということがわかる。ティッピングポイントを回避するために私たちに許された時間は、すでにゼロに向かって縮小していると言っても過言ではない。
 研究者らは、炭素排出量をゼロにできるのは短くても30年後だと言っている。危機的状況にあることは明らかだ。ティッピングポイントが起こることを、もしかしたら私たちは、すでにコントロールすることができない状態にあるのかもしれない。
 しかし唯一の救いは、ティッピングポイントを超えることによる損害の蓄積の割合は、まだある程度、私たちのコントロール下にあるかもしれないということだ。(105頁)

 気候問題に関して、かつて考えられていたよりも多い「ティッピングポイント(転換点)」に、わたしたちは近づきつつある──。こうした内容の論説を、ある科学者のグループが『Nature』に11月末に寄稿した。地球温暖化に歯止めをかけるためにわたしたちが実行すべきことは明確だが、もはや時間は限られてきている。
 社会正義について語る際に、ティッピングポイント(転換点)とは素晴らしいものである。例えば、ティッピングポイントとなる判例は世論を変える。
 ところがティッピングポイントは、生物種には破滅をもたらしかねない。事実、環境の激変は生物の個体数を危機的状況に追いやっている。気候変動の場合、科学者が視野に入れるようになったティッピングポイント、すなわち地球の気候に不可逆的な変化を起こす臨界点は、ひとつだけではなく数多くあるのだ。
 気候問題に関してかつて考えられていたよりも多い「9つのティッピングポイント」に、わたしたちは近づきつつある。さらにはそうしたティッピングポイントがもたらす影響に、わたしたちがすでに気づき始めている──。こうした内容の論説を、ある科学者のグループが『Nature』に11月末に寄稿した。
 「気候の不可逆的な変化を防ぐために残されている時間は、もはやゼロになったと言っても過言ではないに。それにもかかわらず、温室効果ガスの排出量実質ゼロを達成するまでの時間は「短くても30年はかかる」と研究者らは書いている。「わたしたちはそうした変化の発生を、もう止められないのかもしれない」というのだ。
 それでもわたしたちは、まだ被害を減らすために行動できる。わたしたちがとらなければならない方策はかつてなく明確だが、時間が尽きかけている。
 「半世紀後、わたしたちはいまの状況をどんなふうに振り返るのでしょうか。もっと持続可能性のある健やかな未来を何世代にもわたって築けたはずだったと悔やむのでしょうか」と、エクセター大学グローバルシステム研究所所長のティム・レントンは言う。「埋蔵量に限りがある化石燃料を使い続けることや、世界の終わりを受け入れるような行動はやめるべきです」
気候のティッピングポイントは、大きく3つカテゴリーに分類される
 1)氷 2)陸地 3)海

●個別の要素が相互に影響し、深刻さを増す
 このような複数のティッピングポイントは、別個に存在するわけではない。その多くは、互いに影響し、深刻さの度合いを増していく。
 その相互に関連する特徴から考えると、ティッピングポイントのモデル化は必然的に憶測を立てることになる。というのも気候変動の極めて複雑なシステムを完璧に捉えるのはとても無理だからだ。このためティッピングポイントのモデル化は、予測に不確実性を持ち込むことになる。
 従って、すべての研究者がティッピングポイントという考え方をとっているわけではない。ティッピングポイントという表現は、ふたつの世界を分けるある特定の数値すなわち閾値を示唆している。しかし実際には、閾値の前後がいつになるのか、必ずしも常に明確ではない。
最も重大なティッピングポイント
 「ティッピングポイントが生じつつあるらしい、ティッピングポイントは本当にあるらしいといった説の根拠はかなり信憑性が高いものです。このため正直な話、この説はなぜわたしたちがともに行動しなければならないのか、気候変動の解決のためにできることをしなければならないのかについての、もうひとつの極めて重大な理由になります」とパーストル[カーネギー気候ガヴァナンス・イニシアチヴのエグゼクティヴディレクター、ヤーノシュ・パーストル]は語る。
 「この『Nature』の記事には、なぜ本当の危機が、本当の緊急事態がいまここで発生しているのかについて、非常に多くのもっともな理由がまとめられています」
 とはいえ、まだ望みはある。早急に二酸化炭素排出の大幅な削減ができれば、海水面の上昇は遅くなる。世界中で、特にアマゾンで、森林伐採をやめなければならない。こうしたことが、文明社会を長期的に健全に保つ鍵となる。
 またティッピングポイントは必ずしも災難の兆候とは限らない。「社会領域では、ティッピングポイントが社会の発達につながっている場合も多いのです」とレントンは説明する。「例えば、再生可能エネルギー技術や電気自動車を採用する動きが加速しているのを、いまわたしたちは現実に目にしていると言えます」
 人々は目覚めつつあり、グレタ・トゥーンベリは日ごとに勢いを増す環境運動の先頭に立っている。政治家や資本家が気候変動という大惨事を加速させても、わたしたちのなかでより思慮深い人々は、気候変動の問題は変えられると考えている。その考えが、恐らく最も重大なティッピングポイントなのだろう。
ティッピングポイント、ティッピングエレメントとは?
   →鼎信次郎「今世紀の排出が1000年先の未来を決める?! —ティッピングとは何か?」6月20日記事

『市民版環境白書グリーンウォッチ』(2017~2020年版) 6月15日

市民版環境白書『グリーンウォッチ』(グリーン連合編)の2017年版、2018年版、2019年版、2020年版の目次です。各年版ともグリーン連合のWebサイトからダウンロードできます。
グリーン連合は「日本各地で、様々な環境活動に携わる多くの仲間とつながり、これまで積み重ねてきて経験と英知を結集し、危機的状況にある地球環境を保全し持続可能で豊かな社会構築に向けた大きなうねりを日本社会に巻き起こすために2015年6月5日に設立された環境NGO・NPO・市民団体の全国ネットワーク」です。埼玉県では「NPO法人環境ネットワーク埼玉」、「NPO法人さやま環境市民ネットワーク」、「埼玉西部・土と水と空気を守る会」が会員です。

  市民版環境白書2020グリーンウォッチ

はじめに
漫画「グリーン・ウォッチ」2020
第1章 脱炭素社会に向けた最近の動向
第1節 「気候変動」から「気候危機」問題へ
 1.気候行動サミットとCOP25
 2.日本政府の遅れた対応と自治体の動き
 3.若者たちの動き
第2節 持続可能な再生可能エネルギー100%社会の実現
 1.再生可能エネルギーの導入はどこまで進んだか?
 2.動き出した再生可能エネルギー100%への取組
 3.再生可能エネルギー本格導入とFIT制度見直しの課題
 4.バイオマス発電と持続可能性
第2章 生物多様性、そして森林の危機
第1節 IPBESの活動、成果とその日本への示唆
 1.IPBESの概要
 2.IPBESの主なアセスメントからの主要なメッセージ
 3.IPBESアセスメントからのメッセージを受けて市民にできること
 4.IPBES成果の政策活用に向けた動き
第2節 世界の森林と私たち
 1.森林はなぜ減少しているのか?
 2.森林が減少することの生物多様性への影響
 3.森林が果たす気候変動抑制の効果
 4.私たちの行動が森林を守る
【コラム】2019年のアマゾン森林火災騒動
第3章 化学物質
第1節 環境ホルモン(内分泌かく乱化学物質)の脅威に改めてどう対処すべきか
 1.内分泌かく乱化学物質とは?――従来の毒性学の常識が当てはまらない
 2.肥満・糖尿病や心臓病の原因との指摘も
 3.内分泌かく乱化学物質の社会的コストはGDPの1.2~2.3パーセントにも
 4.EUにおける内分泌かく乱化学物質の規制の動向
 5.日本における内分泌かく乱化学物質の規制の現状と課題
 6.日本政府への提言
第2節 環境省「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」の進捗状況と今後の課題
 1.エコチル調査とは何か
 2.エコチル調査の背景と中心仮説
 3.エコチル調査の進捗状況
 4.エコチル調査でわかったこと
 5.今後の課題
第4章 東京電力福島第一原発事故後の状況
第1節 蓄積する課題にどう向き合うか(廃炉、放射性廃棄物の量と行方)
 1.福島第一原発の廃炉の現状と課題(トリチウム水海洋放出問題を含む)
 2.除染廃棄物の中間貯蔵施設の運用開始と問題点
 3.台風・大雨の影響(第一原発と広域環境)
 4.福島第一原発の廃炉をめぐる諸課題に私たちはどう向き合えばよいのか
第2節 福島の住民のその後
 1.甲状腺がん「数十倍多く発生」
 2.隠された初期被ばく
 3.帰還政策の現状
参考 欧州における環境NGOの位置づけと公的資金
 1.環境団体は環境政策のパートナー
 2.EUのLIFEプログラム
 3.ドイツの環境団体助成
 4.日本への示唆
活動報告 グリーン連合 この一年の活動実績
報告1.地域でのワークショップの開催
 1-1 埼玉ワークショップ報告
 1-2 岐阜におけるシンポジウム
報告2.環境省との意見交換会
報告3.地球環境基金との意見交換会
報告4.小泉進次郎環境大臣への要望書
会員名簿
編集委員会・執筆者
市民版環境白書2020グリーンウォッチ_01市民版環境白書2020グリーンウォッチ_02市民版環境白書2020グリーンウォッチ_03市民版環境白書2020グリーンウォッチ_04

市民版環境白書2020グリーンウォッチ_05市民版環境白書2020グリーンウォッチ_06市民版環境白書2020グリーンウォッチ_07市民版環境白書2020グリーンウォッチ_08

  green_watch2019S

序 2019年度グリーン・ウォッチの目的
第1章 脱炭素社会に向けた最近の動向
第1節 気候変動問題
 1.パリ協定以降の世界の動向とCOP24
 2.後手になる日本政府の対応と企業・金融界の動き
 3.変化の兆しが見え始めた石炭火力発電所新規建設問題
第2節 再生可能エネルギー
 1.再エネ100%に向けた世界の動きと日本の課題
 2.再エネ開発での合意形成・持続可能性の課題と解決策
第3節 地球温暖化対策の決め手 カーボンプライシング
 1.カーボンプライシングとは何か
 2.なぜカーボンプライシングか~現状の温暖化対策税だけでは不十分
 3.カーボンプライシングを取り巻く国内の状況
 4.諸外国の導入状況とその効果
 5.炭素税収入の活用方法
 6.グリーン連合の提案
第2章 顕在化してきた新たな危機
第1節 プラスチック問題
 1.人類は「プラスチック」にどう向き合えばよいのか?
 2.プラスチック資源循環を巡る世界の動き
 3.プラスチック問題に関する国内の動き
 【漫画】「グリーン・ウォッチ」2019
第2節 気象災害と防災
 1.風水害が相次いだ2018年
 2.2018年の夏は猛暑に
 3.地球温暖化は極端気象を増加させる
 4.データが示す地球環境の変化
 5.激甚化する災害から生き残るためには
 6.日本は災害に対する国際貢献を
第3節 いまだに続く福島原発事故の災害
 1.汚染水の海洋放出問題
 2.除染土再生利用・埋立方針について
 3.チェルノブイリの経験から福島の今を考える
 【コラム】「たらちね」震災後に開設した放射能測定所とクリニック
第3章 国内外の先進的な動き
第1節 国内の動き
 1.市民協働事業提案制度
 2.山形県遊佐町の少年町長・少年議員公選事業
第2節 データ不正問題は何が間違った結果なのか?
 1.政府の政策判断の質の問題がデータ不正を生む
 2.データ不正の原因は何か
 3.基本的な情報公開を欠いていた技能実習生データと裁量労働制データ
 4.統計調査では当然の基礎情報が公開されていなかった毎月勤労統計
 5.市民社会は何を求めるべきか
第3節 ドイツの州レベルにおける環境NGO/NPOに対する助成制度
第4節 座談会 日本の環境NPOへの支援の現状と課題
 1.環境NPO/NGOの存在意義は何か
 2.グリーン連合として、共通課題への取組を進める活動報告
     グリーン連合のこの一年の活動実績
 1.4つの地域でのワークショップの開催
 2.環境省との意見交換会
 3.地球環境基金との意見交換会
 4.要望書の提出
会員名簿
編集委員会・執筆者
  GW2018s2

はじめに
第1章 主要な環境政策のレビュー
第1節 気候変動問題
 1.気候変動対策とエネルギー基本計画
 2.石炭火力発電所をめぐる諸問題
 3.気候変動適応策
第2節 再生可能エネルギー
 1.再エネ100%への現状と課題
 2.電力自由化(電力システム改革)の現状と課題
 3.一次産業振興と地域活性化への期待
 4.社会的合意形成の重要性
第3節 廃棄物
 1.ペットボトルの問題点と対策
 2.レジ袋の無料配布全面中止に向けて
 【コラム】サーキュラー・エコノミーがもたらす国際的な潮流と日本の持続可能な経済成長への道
第4節 化学物質
 1.精子減少の衝撃-環境ホルモン問題は終わっていなかった!!
 2.危ない健康食品
第5節 気候変動と第一次産業
 1.農業
 2.林業
 3.水産業
第2章 放射性物質と如何に付き合っていくか
第1節 福島の現状と健康問題
 1.環境への影響
 2.避難と帰還
 3.子どもたちの甲状腺がん
第2節 放射性廃棄物の現状と原発再稼働問題
 1.福島原発廃炉の進捗状況
 2.事故由来廃棄物
 3.高レベル放射性廃棄物について
 4.「もんじゅ」の廃炉と核燃料サイクル
 5.再稼働問題と廃炉
 【コラム】核ごみプロセスをフェアに!~自治体アンケートを実施
第3節 私たちは放射性物質とどう付き合っていけばよいのか~放射能汚染防止法の制定~
 1.放射性物質の公害関係法適用除外
 2.公害法適用除外による問題状況
 3.権利なき原発事故被災者
 4.放射能汚染防止法制定運動が目指すもの
 5.脱原発問題と直面する再稼動への影響
 6.法整備運動の現在と展望
 【漫画】「グリーン・ウォッチ」2018
第3章 私たちはどんな社会を目指すのか
第1節 持続可能な社会についての大きな流れ
第2節 いくつかの提案
 1.国内のNPO(市民組織)からの提案例
 2.研究機関や政府機関からの提案例
第3節 私たちの未来はみんなで作ろう
第4章 国内外の注目すべき動き
 1.自動車業界「脱炭素化」へ急発進
 2.省エネ住宅をめぐる状況
 3.SDGsの動き
 4.欧州における環境NGOに対する公的資金助成
会員名簿
編集委員会・執筆者

  GW2017Full

はじめに
第1章 なぜ、地球環境を優先的に保全しなければならないのか
第1節 地球環境悪化の背景
 1.世界人口の増加
 2.人間活動の拡大がもたらす環境の悪化
第2節 環境保全に優先的に取り組まなければならない理由
 1.私たちの生命、暮らし、社会経済活動の基盤である環境が、いよいよ危ない
 2.時間的余裕がなくなった
 3.将来世代への責務
 4.途上国に対する先進国としての責務
 5.日本の取り組みの遅れが著しい
第3節「パリ協定」後の社会に向けて
 1. 「パリ協定」の意義とは何か~化石燃料から脱却し、脱炭素社会へ
 2.「環境」概念の拡大と困難な課題への挑戦
第2章 6年が経過した福島
第1節 東京電力福島第一原子力発電所事故の被害者は今
 1.福島の人々の今は
 2.進む避難指示の解除
 3.帰還しても高齢者だけの村に
 4.追いつめられる避難者たち
 5.福島の子どもたちの甲状腺がん184人に
第2節 東京電力福島第一原子力発電所の廃炉問題と安全性確保
 1.廃炉へのロードマップと進まぬ作業
 2.指定廃棄物(低レベル)の処理問題
 3.進行する福島第一原発事故損害賠償費用の国民転嫁
 4.除染廃棄物の再利用問題
第3節 東京電力福島第一原子力発電所事故と情報
 1.福島第一原発事故と情報
 2.県民健康調査をめぐる情報と責任
 3.正しく情報が伝わるためには情報を伝える側の信頼性が条件
 コラム 福島 ブックレット紹介
 「福島 10の教訓-原発災害から人びとを守るために」
第3章 主要な環境政策のレビュー
第1節  気候変動問題
 1.「パリ協定」発効と日本の対応
 2.長期低排出開発戦略の策定に向けて
 3.カーボンプライシング
 4.日本の温室効果ガス排出の現状
 5.気候変動対策を踏まえたモントリオール議定書の改正
第2節 再生可能エネルギーと電力自由化
 1.進みはじめた再生可能エネルギーへの転換
 2.再生可能エネルギーへの転換の課題
 3.100%再生可能エネルギーをめざすには
第3節 廃棄物
 1.循環型社会へ向けて、EPR(拡大生産者責任)の確立と3R推進
 2.マイクロプラスチック問題
 3.廃棄物の越境移動
第4節 化学物質
 1.暮らしの中の「農薬」
 2.ニオイブームの落し穴
 3.消費者向け製品中の有害化学物質管理
第5節 生物多様性
 1.日本はなぜ名古屋議定書批准が遅れたのか?
 2.なぜ種の保存法では種を守ることができないのか?
 3.日本のサンゴ礁の危機
第6節 森林破壊
 1.熱帯林破壊とパーム油
 2.合法木材制度の課題 ~グリーン購入法からクリーンウッド法へ
 3.木質バイオマスと森林破壊の国内外の動向
コラム 漫画「グリーン・ウォッチ」2017
トピックス -国内外の注目すべき動き
 1.沖縄の基地と環境汚染
 2.地域からエンパワーメント ~富山から伊勢志摩まで、G7を振り返る~
 3.低炭素・資源循環・自然共生が統合された持続可能性地域構築   ~滋賀県東近江市~
 4.国内外の企業の動向
 5.テロと気候変動問題と不正義
会員名簿
編集委員会・執筆者


2020年版「環境・循環型社会・生物多様性白書(環境白書)」 6月13日

6月12日、2020年版「環境・循環型社会・生物多様性白書(環境白書)」が閣議決定されました(本文PDF概要PDF)。「災害頻発の恐れ/「気候危機宣言」/環境省 環境省は12日、地球温暖化によって、今後、豪雨災害などのさらなる頻発化・激甚化が予測されるとして「気候危機宣言」を出した。同日閣議決定した2020年版環境白書で初めて「気候危機」という言葉も明記した。/オーストラリアでの大規模な山火事や欧州の記録的な熱波、台風19号による大きな被害など気象災害が相次いでいる。これらは地球温暖化と関係するとみられ、白書は「気候危機」と表現して強調した。/家庭で消費されるものが生産時に排出する温室効果ガスが国内排出量の約6割に達することも指摘し、生活の脱炭素化も求めた。エネルギーの地産地消や食品ロスの削減などライフスタイルの転換事例も紹介している。」(『朝日新聞』夕刊 2020/06/12)
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気象災害の頻発を予測、環境省が「気候危機宣言」(朝日新聞デジタル)
 地球温暖化に伴う豪雨や熱中症などのリスクが危機的状況にあるとして、小泉進次郎環境相は6月12日、記者会見で「気候危機宣言をしたい」と述べた。環境省単独の宣言で、他省庁や自治体、企業と危機感を共有し、温暖化対策を強化することを目指す。(福岡範行)
 この日閣議決定した2020年版「環境・循環型社会・生物多様性白書(環境白書)」でも初めて「気候危機」に言及した。
 小泉氏は、深刻な気象災害について「解決には経済を持続可能なものにする社会変革が不可欠だ」と強調。新型コロナウイルスによる社会経済活動の自粛で、温暖化を引き起こす二酸化炭素(CO2)の排出量が減ったことを念頭に、「経済再開でCO2排出がリバウンド(再増加)してはならないという危機感が宣言につながった」と説明した。
 宣言に伴う新たな具体策は示さず、「政府全体が危機感を高め、取り組みを強化することにつなげたい」とした。
 「気候危機」の著書がある山本良一・東京大名誉教授(環境経営学)は「宣言は良いこと。ただ、世界はもっと早く進んでいる。欧米の自治体などはCO2排出を実質ゼロにする計画を続々と出している」と指摘した。
 4月にインターネットで「#気候も危機」と訴えた若者グループ「Fridays For Future(未来のための金曜日)」のメンバー奥野華子さん(18)は「宣言を歓迎します。各省庁と連携して未来を守る具体的な行動を期待します」とコメントした。

環境白書2020では、気候変動の影響とみられる災害が激化していることから、人類を含む全ての生き物の生存基盤を揺るがす「気候危機」が起きていると強調しています。
地球温暖化が進展すると気象災害のリスクは更に高まると予想されています。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書をはじめ科学者たちにより繰り返し警鐘が鳴らされています。また、2019年だけでも欧州をはじめ世界で記録的な熱波を経験するととともに、我が国でも令和元年房総半島台風、令和元年東日本台風等の激甚な気象災害に見舞われました。このような深刻な気象災害は、気候変動の緩和や気候変動に適応する社会の必要性を私たちに突き付けています。世界の主要なリーダーたちの間でもリスクとしての認識が高まっています。また草の根レベルでも海外を中心に若者による気候変動への対策を求めるデモや、自治体等が「気候危機」を宣言する動きが広がるなど、今や私たちは「気候危機」とも言える時代に生きています。環境問題は気候変動だけではありません。海洋プラスチックごみ問題や生物多様性の損失なども深刻です。気候変動、海洋プラスチックごみ、生物多様性の損失といった今日の環境問題は、それぞれの課題が独立して存在するのではなく、相互に深く関連しています。そしてこれらの問題は今の私たちの経済・社会システムとも密接に関わっています。(『環境白書』はじめに 3頁)
(3)気候非常事態宣言の広がり
海外の都市を中心に気候非常事態を宣言する動きも広がっています。2016年12月に宣言をしたオーストラリアのメルボルンにあるデアビン市を皮切りに、世界各地で国、自治体、大学等が気候変動への危機感を示し、緊急行動を呼びかける「気候非常事態宣言」を行う取組が広がっています。世界各地での気候非常事態宣言の取りまとめを行っているClimate Emergency Declaration and Mobilisation in Actionによれば、2020年4月2日時点で28か国の1,482の自治体等(8億2,000万人の人口規模に相当)が宣言しています。なお、このうち、我が国の自治体は、2020年3月18時点で長崎県壱岐市など15自治体となっています。
(4)「気候変動」から「気候危機」へ
気候変動問題は、私たち一人一人、この星に生きる全ての生き物にとって避けることのできない、緊喫の課題です。先に述べたように世界の平均気温は既に約1℃上昇したとされています。近年の気象災害の激甚化は地球温暖化が一因とされています。今も排出され続けている温室効果ガスの増加によって、今後、豪雨災害等の更なる頻発化・激甚化などが予測されており、将来世代にわたる影響が強く懸念されます。こうした状況は、もはや単なる「気候変動」ではなく、私たち人類や全ての生き物にとっての生存基盤を揺るがす「気候危機」とも言われています。(『環境白書』第1章 20頁)
コラム 気候変動問題に関する若者の動き(『環境白書』第1章 21頁)
環境白書2020

「地球環境の危機への対応のためには、地球環境に係る課題を同時解決し、環境・経済・社会の統合的向上を図る「環境・生命文明社会」が実現できるよう、経済・社会システムや日常生活の在り方を大きく変えること(=社会変革)が不可欠」です。
第4節気候変動をはじめとする環境問題の危機にどのように対応していくか(『環境白書』第1章 35~36頁)
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サプライチェーン排出量、スコープ1・2・3 6月11日

山本良一さんの「気候非常事態宣言-自治体に何ができるか」(『世界』2020年6月号、188頁)の「他の温室効果ガスの温暖化への寄与は等価の二酸化炭素量に置き換えて議論する」(→温室効果ガス係数)と「二酸化炭素排出量をスコープ1、2、3に分けて評価する」(→サプライチェーン排出量)についての追加資料です。

温室効果ガスの特徴・地球温暖化係数全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト)
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サプライチェーン排出量
サプライチェーンとは、原料調達・製造・物流・販売・廃棄等、一連の流れ全体をいい、そこから発生する温室効果ガス排出量をサプライチェーン排出量と呼んでいます。サプライチェーン排出量はScope1、Scope2、Scope3から構成されています。
・環境省『サプライチェーン排出量算定の考え方』(環境省地球環境局地球温暖化対策課、2017年11月発行)
燃料や電力などの使用に伴う自社の温室効果ガス排出量をScope1排出量(直接排出)、Scope2排出量(間接排出)といいます。Scope1、2排出量を対象とした報告制度なども後押しとなり、我が国におけるScope1、2排出量の算定や削減努力は進展してきています。他方、昨今、自社が関係する排出量の更なる削減を目指してScope1、2以外の排出量である「Scope3排出量」が注目されるようになってきています。(1頁)
Scope3はさらに、15カテゴリに分類されます。(2頁)
   scope
国内の企業のScope1、2排出量の総和は、日本における企業活動の排出量の総和に該当します。一方でサプライチェーン排出量の総和は同じ排出源が企業Aと企業Bに含まれるなどサプライチェーン上の活動が重複してカウントされることがありうるため、日本全体の排出量にはならないことから、違和感を覚える方もいるかもしれません。サプライチェーン排出量は各企業の原料調達や廃棄物削減、使用段階の省エネ等、Scope1、2の外側での削減活動を評価できることから、各企業のサプライチェーン上の活動に焦点を当てて評価する手法と言うことができます。これにより、各企業はScope1、2だけではなく、企業活動全体について、排出量削減の取組を実施し、より多くの削減が可能となります。(3頁)
サプライチェーン排出量はその対象範囲が広く、明確な算定基準が定まっていないため、対象範囲を網羅した正確な算定を行うことは容易ではありません。また、排出量を算定する際には、算定対象範囲の決め方や範囲からの除外の考え方、算定ロジックの組立て方等、様々な点で事業者の判断や考え方が求められることになります。しかしながら、それらの判断について、公表された排出量関連資料や文献等から推し量ることは難しく、その適切性を確保することもまた容易ではありません。そのような状況を受けて、信頼性の高い取組であることを第三者に担保してもらうために、検証を受検する企業は年々増加してきている状況です。(21頁)

サプライチェーン排出量削減のイメージ
  (環境省ウェブサイト「グリーン・バリューチェーンプラットフォーム」から)
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  ・サプライチェーン排出量概要(PDF)

   1.サプライチェーン排出量とは?(PDF)
   2.なぜサプライチェーン排出量を算定するのか?(PDF)

・環境省『物語でわかるサプライチェーン排出量算定』(環境省地球環境局地球温暖化対策課、2016年3月発行)

※環境省「地方公共団体実行計画策定・実施支援サイト
地方公共団体は「地球温暖化対策の推進に関する法律」(1997年法律第117号)に基づき実行計画を策定することになっていて、その計画は大きく分けると「事務事業編」と「区域施策編」に分かれている。「事務事業編」は、地方公共団体が行っている仕事によって、排出される温室効果ガスを減らすための計画。計画的に公共施設等での省エネ等を進めて温室効果ガスを減らすことで、地球温暖化を防止するためのもの。「区域施策編」は、地域住民や事業者がメインとなる取組を定めたもの。地域の自然的社会的特性を踏まえた取組によって、新たな事業や産業の創出などの地域づくりの推進にもつながるから、低炭素なまちづくりの核となる計画である。地球温暖化対策には地方公共団体、地域住民、事業者等の関連する人々が協力をしなければならないので「事務事業編」も「区域施策編」もどちらも重要。
 ・事務事業編(マニュアル・ツール類)
 ・区域施策編(マニュアル・ツール類

新潟市地球温暖化対策実行計画(地域推進版)概要版)(本編)[2020年3月]

新潟市一般廃棄物処理基本計画概要版)(本編)[2020年3月]


山本良一「気候非常事態宣言-自治体に何ができるか」 6月11日

山本良一「気候非常事態宣言-自治体に何ができるか」(『世界』2020年6月号184~191頁、岩波書店)を読みました。『世界』6月号の特集2「大恐慌とグリーン・ニューディール」にあります。
 気候変動と新しい感染症には、いくつかの共通点が存在する。
 どちらも人類の経済活動と環境破壊に起因していること、国境に関係なく不都合な結果がグローバルにもたらされること、平等に作用するはずに思えて実際には格差社会の中で不平等な作用をもたらすこと、そして対策が容易ではなく、新たな処方箋を必要としていること。
 気候変動とコロナ大恐慌に、どのような対策が求められているのか。
 金融緩和や旅行代補助、商品券といった処方箋の数々は、感染症対策への布マスク2枚と同じく、もはや有効な手段を現政府が構想できないことの証明でしかない。
 グリーン・ニューディールこそ、検討の俎上にあげなければならない。
 これは、我々の側のショック・ドクトリンである。

山本良一「気候非常事態宣言-自治体に何ができるか」
 世界ですすむ気候非常事態宣言

 国内の気候非常事態宣言の展開
 国内自治体のCED[「気候非常事態宣言」(Climate Emergency Declaration)]には、社会動員についてどのようなことが書かれているのであろうか。宣言文には今後の取り組みの方向が示されており、詳細な気候動員計画はその後に作成される。……
 他の世界の自治体は気候非常事態宣言でいつ頃までにカーボンニュートラルを目指しているのであろうか。
 ここで念のためカーボンニュートラルという用語について説明しておきたい。カーボンニュートラル(carbon neutral、炭素中立)とは、排出する二酸化炭素と吸収される二酸化炭素を同じ量にして環境中の炭素循環に対して中立になることを意味している。二酸化炭素排出実質ゼロも同じことを表現している。注意しなければならないのは温室効果ガスには様々な種類[温室効果ガス・地球温暖化係数(Wikipedia)]があり、その中で二酸化炭素の排出量が最大であるため一般に二酸化炭素について議論を進めるのが慣例となっていることだ。他の温室効果ガスの温暖化への寄与は等価の二酸化炭素量に置き換えて議論するのが普通である。したがってカーボンニュートラルと言う時、二酸化炭素以外の温室効果ガス排出も実質ゼロにすることを前提にしている。そういう意味では気候中立[climate neutral]と言った方が正確である。
 さらに自治体(あるいは事業者)の二酸化炭素排出量を評価する場合にはスコープ1、スコープ2、スコープ3に分けて評価されることである。スコープ1とは直接排出で自治体自らの温室効果ガスの排出量である。スコープ2は間接排出で他社から供給された電気、熱、蒸気等の使用に伴う排出量である。スコープ3はそれ以外の間接排出である。
 自治体がカーボンニュートラルの目標を達成するには、まずスコープ1の排出量を実質ゼロにし、次にスコープ2の排出量を実質ゼロにするというように進むはずである。スコープ3には自治体が使用する製品(サービス)の生産と消費に伴う排出量が含まれる。そうなると例えば“文明”の基礎材料である鉄やセメントのライフサイクルでの二酸化炭素排出量も考慮しなければならないことになる。現在の技術では鉄やセメントの生産からどうしても二酸化炭素が排出されてしまい、これをゼロにするには革新的イノベーションが必要である。革新的イノベーションは産業や国家の役割で、自治体は通常スコープ1,2の排出量を問題にしている。……
 CEDは気候危機に立ち向かうための市民の意識を高め、自治体の政治的決意表明として重要であるが、実際にどのような社会動員行動を取るかがさらに重要である。その中でもカーボンニュートラル目標年をどこに設定するかがその眼目である。……

 国内自治体の気候非常事態宣言の中身

 個人の行動変容を
 一方、気候危機を突破するためにのCEDについては、長期戦を覚悟しなければならない。各自治体、各国がカーボンニュートラルを2050年までに達成したとしても大気中に蓄積した温室効果ガスにより地球温暖化はその後も続き、その様々な影響は各方面に現れてくるからである。カーボンニュートラルからカーボンネガティブへ、大気中のCO2を除去することへと進み、そして同時に人類全体として適応を進めなければならないのである。……

気候非常事態宣言をした日本の自治体CEDAMIA(Climate Emergency Declaration and Mobilisation in Action、気候非常事態宣言と動員)サイトから]

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みなさんは「気候変動影響への適応」や「適応策」という言葉を聞いたことがありますか?
気候変動の影響は、私たちのくらしの様々なところに既に現れています。気温上昇による農作物への影響や、過去の観測を上回るような短時間強雨、台風の大型化などによる自然災害、熱中症搬送者数の増加といった健康への影響などなど。
これまで広く知られてきた「緩和策」と呼ばれる、温室効果ガスの排出量を減らす努力などに加えて、これからの時代は、すでに起こりつつある気候変動の影響への「適応策」を施していくことが重要になってくるのです。

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地域気候変動適応計画一覧[A-PLATサイト]

山本良一『気候危機』(岩波ブックレット)(→当ブログの5月27日記事
 気候非常事態宣言(CED)、宣言したことだけで終わることのないようしたいですね。

山本良一『気候危機』 5月27日

山本良一『気候危機』(岩波ブックレット1016、2020年1月)を読みました。

気候変動から気候危機へ――。スウェーデンの一五歳の少女の訴えが世界の若者を動かし、世界各地の自治体や国も次々に「気候非常事態」を宣言し始めた。平均気温上昇を一・五℃以内に抑えることは可能か。パリ協定の本格始動を機に、科学者の立場から問題の本質と最新の科学の知見を押さえつつ、我々はいま何をすべきかを説く。
同書表紙帯から
気候崩壊、文明崩壊を防ぐための時間的猶予はゼロに近づいている
スウェーデンの1少女の訴えが若者たちを動かし、世界各地に自治体や国も続々と「気候非常事態宣言」を発し始めた。
▼現在の気候危機は、人間活動が原因の温暖化ガスの大量排出が主原因であること。
▼地球温暖化により、熱波、豪雨、干ばつなどの極端気象の増加、激化が起こっていること。
▼世界の平均気温の上昇を工業化以前と比べて1.5℃未満に抑えなければならないこと。
▼早ければ2030年、遅くとも2050年までに、カーボンニュートラルな社会を実現させること。

山本良一『気候危機』目次
はじめに
 2018年8月からの1年は、世界を揺るがした1年であった。8月20日に15歳の少女グレタ・トゥンベリがスウェーデンの国会前で気候危機の根本的な解決を求めて1人でストライキを始めたことから、それは始まった。当時、各国の地方自治体の中には「気候非常事態宣言」(Climate Emergency Declaration = CED)を議決していたところもあったが、その数は限られていた。ところが、極端な気象の頻発と続々と公表される気候危機や環境危機に関する報告書に背中を押されて、気候ストライキをする若者と気候非常事態宣言をする自治体の数は爆発的に拡大していったのである。これはまさに「革命」と呼ぶに値する。
……「気候非常事態宣言」は「火事だ!」という警報に相当する。地球には脱出口はなく、人間活動起源の温暖化ガスによる地球温暖化はたとえ排出量をゼロにしても1000年は継続することを考えると、ただちに全員で排出量を削減し(消火)、すでに現れ始めている極端な気象現象に対応しなければならない。/筆者は2018年12月に”気候非常事態を宣言し、動員計画を立案せよ”という解説をまとめ、世界の気候非常事態宣言運動を日本に紹介した。……

第1章 革命前夜1――温暖化の科学と文明の持続可能性
 温暖化の科学の基本
 温暖化は人為起源の温暖化ガスによって生じる
 放射強制力
 CO2をどれくらい削減しなければならないのか
 地球温暖化国際交渉の歴史
 IPCCの1.5℃特別報告書
 近代文明の持続不可能性
 アントロポセン(Anthropocene,人新世)
 人類の生命維持システム
 ドーナツ経済の定量的検討
 科学者の人類への警告

第2章 革命前夜2――極端気象と気候変動
 2018年の気候-世界気象機関の報告書
 フューチャー・アースの10の洞察
 2019年の気候
 極端気象と気候変動-要因分析(EA)とは
 極端気象の要因分析の最近の成果
 要因分析の信頼性
 日本の極端気象に対するEA
 気候工学(ジオエンジニアリング)の可能性と問題点
 環境と気候は非常事態なのか
 科学的知見をどのように利用するか

第3章 革命勃発-気候ストライキ始まる
 グレタのダボス会議でのスピーチ[2019年1月]
 気候ストライキに対する科学者の支持表明

第4章 自治体や国家が動く――気候非常事態を宣言し動員計画を立案する
 CED[気候非常事態宣言]の歴史
 カナダにおける気候非常事態宣言
 アメリカにおける気候非常事態宣言
 オーストラリアにおける気候非常事態宣言
 英国における気候非常事態宣言
 国家の気候非常事態宣言
 気候非常事態宣言の拡大
 遅れている日本の対応
 気候非常事態宣言の最新動向
 2019年9月という画期
 グレタの"How dare you"スピーチ [2019年9月23日]
 壱岐市の気候非常事態宣言

あとがき

【資料編】
日本学術会議会長談話 「地球温暖化」への取組に関する緊急メッセージ[2019年9月19日]
1 人類生存の基礎をもたらしうる「地球温暖化」は確実に進行しています。
2 「地球温暖化」抑制のための国際・国内の連携強化を迅速に進めねばなりません。
3 「地球温暖化」抑制には人類の生存基盤としての大気保全と水・エネルギー・食料の総合的管理が必要です。
4 陸域・海洋の生態系は人類を含む生命圏維持の前提であり、生態系の保全は「地球温暖化」抑制にも重要な役割を果たしています。
5 将来世代のための新しい政治・社会システムへの変革は、早急に必要です。
気候非常事態宣言(壱岐市) [2019年9月25日]
1 気候変動の非常事態に関する市民への周知啓発に努め、全市民が、家庭生活、社会生活、産業活動において、省エネルギーの推進と併せて、Reduce(リデュース・ごみの排出抑制)、Reuse(リユース・再利用)、Recycle(リサイクル・再資源化)を徹底するとともに、消費活動におけるRefuse(リフューズ・ごみの発生回避)にも積極的に取り組むように働きかけます。特に、海洋汚染の原因となるプラスチックごみについて、4Rの徹底に取り組みます。
2 2050年までに、市内で利用するエネルギーを、化石燃料から、太陽光や風力などの地域資源に由来する再生可能エネルギーに完全移行できるよう、民間企業などとの連携した取組をさらに加速させます。
3 森林の適正な管理により、温室効果ガスの排出抑制に取り組むとともに、森林、里山、河川、海の良好な自然循環を実現します。
4 日本政府や他の地方自治体に、「気候非常事態宣言」についての連携を広く呼びかけます。
気候非常事態宣言に関する決議(鎌倉市議会)  [2019年10月4日]
1 「気候危機」が迫っている実態を全力で市民に周知する。
2 温室効果ガスのゼロエミッションを達成することを目標とする。
3 気候変動の「緩和」と「適応」、「エシカル消費」の推進策を立案、実施する。
4 各行政機関・関係諸団体等と連携した取り組みを市民とともに広げる。

※「鎌倉市、日本で2番目の気候非常事態宣言!
(環境メールニュース2019.10.09エダヒロ・ライブラリーイーズ未来共創フォーラムから)
気候非常事態宣言は、特に形式が決まっているわけではありませんが、大きく2つの部分から構成することが多いようです。
(1)気候危機の現状認識、および其の認識が科学に基づいていること
(2)自分たちの自治体が取り組むこと(3~5つぐらいが多いようです)
壱岐市や鎌倉市の例を見ていただいてもわかるように、簡潔に、現状認識+非常事態であること+自分たちの取り組みを宣言するというものです。
世界ではすでに1000を超える自治体が気候非常事態宣言を出しています。日本でも多くの自治体が気候非常事態宣言を出し、自治体としてできることを進めつつ、住民や他の自治体にも行動を呼びかける動きが拡がることを強く願っています。
「前例」がでてきたので、働きかけもしやすくなってきたと思います。このメールニュースの内容などもよかったら使っていただき、世の中の動きと他の自治体の動きを伝えて、宣言を出すよう、ぜひご自分の自治体にも働きかけてください!

「鎌倉市紀行非常事態宣言」(2020年2月7日)の表明について(鎌倉市HP)
「鎌倉市気候非常事態宣言」を表明します
気候変動に起因する異常気象により、今、地球は危機的な状況にあります。このような危機に対し、本市では、第3次総合計画第4期基本計画実施計画において、気候変動対策としての側面にも注力し、重要な5つの視点のうち2つを「レジリエンスのまち」、「環境負荷低減のまち」としています。
市は、気候変動の危機に、組織一丸となり、横断的に取り組むことを明確にし、ここに「鎌倉市気候非常事態宣言」を表明します。

  鎌倉市気候非常事態宣言(PDF:318KB) 
今、地球はかつてないほどの危機に瀕しています。
世界各地で、猛暑、干ばつ、集中豪雨や超大型台風等の異常気象による甚大な被害が発生し、私たち人類の生命を脅かしています。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書によると、気候システムの温暖化は疑う余地がないこと、自然的要因だけでなく人間による影響が近年の温暖化の支配的な要因であった可能性が極めて高いこと、気候変動はすべての大陸と海洋にわたり、自然及び人間社会に影響を与えていること、温室効果ガスの継続的な排出は、更なる温暖化と気候システムの全ての要素に長期にわたる変化をもたらし、それにより、人々や生態系にとって深刻で広範囲にわたる影響を生じる可能性が高まるとされています。
この危機に対処するため、世界では「脱炭素」社会を目指した動きが加速しています。

この地球に生きるものは、誰も気候変動の影響から逃れることはできません。しかし、未来の地球のためにできることがあります。
地球の危機、人類の危機を救うことができるのは、私たち一人ひとりの行動です。

本市は、SDGs未来都市として、地球温暖化による気候変動の対策に注力して持続可能な社会を実現するため、ここに気候非常事態であることを宣言します。

1 気候危機の現状について市民や事業者と情報を共有し、協働して全力で気候変動対策に取り組みます。
2 2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにすることを目指します。
3 市民の命を守るため、気候変動の適応策として風水害対策等を強化します。

みらいの地球のために脱炭素を目指す「緩和策」と今ある危機に対応する「適応策」を進めます。
             令和2年(2020年)2月7日 鎌倉市長 松尾崇

ひとりひとりの行動で、地球の未来を守りましょう!
★シャワーはこまめに止めましょう
→シャワーは1分間に12リットルの水が流れます
★何でも流しに捨てず、水を汚さない工夫をしましょう
→食べ残しや食器に付いた食べカスなどをそのまま流すことは海や川の水質汚濁の原因になります
★省エネ運転を心がけましょう。ちょっとした気づかいが、ガソリンの節約や二酸化炭素の排出抑制につながります
→エコドライブのすすめ!
★レジ袋は受け取らず、買い物袋を持ち歩く習慣をつけましょう
→レジ袋を全く受け取らないと1年間で3.36kgのレジ袋を節約できます
★ごみの分別出しを徹底し、資源化できるようにしましょう
→ごみの分け方・出し方

本書全体の主題である「気候危機」と「気候の非常事態」についてのわたしの意見。
人間社会の持続可能性のためにも、気候変化をちいさくくいとめるためにも、人間社会の生産・消費活動を、これまであたりまえだったものから、ちがったものに変えていく必要がある。これまでの「通常」(いわゆるbusiness as usual)のままつづけてはいけないという意味で、「非常」なのかもしれない。
しかし、emergencyというのはうまくないと思う。とくに日本語表現を「緊急」とするとまずいと思う。気候変化対策は、さきのばしにしてはいけない(30年後を待たず、ことしからとりかかるべき)という意味では「緊急」と言ってもよいのだが、各個人にとって、一生あるいは一世代の時間規模でつづける必要があることであり、「緊急」の態勢をはてしなくつづけようとすると無理が生じると思うのだ。「非常」ならば、時間規模を限定することばがないので、「緊急」よりはよい。しかし、「非常事態」というと、なにかひとつの種類の危険を避けることに集中するべきでほかのことは軽視してもよい、という感覚になりがちだと思う。たとえば、感染症の緊急事態だと、プラスチックなどの使い捨てはむしろ奨励されがちだ。また、環境の緊急事態を理由として人権が弾圧されるおそれもある。気候の緊急事態として人びとの関心を集中させると、ほかの環境要素が軽視されるおそれがある。たとえば、二酸化炭素を排出しない太陽光発電をふやすために自然生態系を破壊するようなことが奨励されるおそれがある。
このように考えて、わたしは、いまの状況を「気候の非常事態」だというのはまずいと思う。「地球環境の非常事態」のほうが相対的にはよいが、これも自分では使いたくない。他方、「気候の危機(crisis)」だというのは(気候自身が危機にあるのではなく、人間社会が気候との相互作用のせいで危機におちいっているという意味がわかっていれば)使える表現だと思う。(ただし「地球温暖化」と言ってきたものごとを「気候危機」と単純に言いかえればよいというものではない。)


ナオミ・クライン『これがすべてを変える』(下) 3月30日

カナダのジャーナリスト、ナオミ・クライン著『This Changes Everything: Capitalism vs. The Climate』(2014)の全訳、日本語版です。訳者は幾島幸子さん、荒井雅子さんです。(上)(下)2巻で639頁あります(岩波書店、2017年)。

ナオミ・クライン『これがすべてを変える 資本主義 vs. 気候変動』下巻目次
第7章 救世主はいない -環境にやさしい億万長者は人類を救わない-
 億万長者と破れた夢 
 約束ではなく、単なる「意思表示」
 風前の灯のアース・チャレンジ
 規制回避のための戦略?

第8章 太陽光を遮る -汚染問題の解決法は……汚染?-
 「ゾッとすること」への準備
 うまく行かないはずなどない
 気候変動のように、火山も分け隔てする
 歴史は教え、警告する
 ショック・ドクトリンとしての地球工学
 地球という怪物
 本当にプランAを試したのか?
 宇宙飛行士の視点


第三部 何かを始める
第9章 「抵抗地帯」(ブロケディア)-気候正義の新たな戦士-
 ようこそ、「抵抗地帯」(ブロケディア)へ
 「クライメート・チェンジ作戦」
 世界が犠牲区域に
 敵地で身動きならない
 BP[旧ブリティッシュ・ペトロリアム]への不信
 大事故の教訓
 予防原則の復活

第10章 愛がこの場所を救う -民主主義、投資撤退、これまでの勝利-
 愛と水をめぐって
 ここまでの勝利
 化石燃料からの脱却 -ダイベストメント[投資撤退]運動
 民主主義の危機
 化石化した民主主義を越えて

第11章 ほかにどんな援軍が? -先住民の権利、世界を守る力-
 最後の防衛線
 力対権利
 「条約を守れ」
 選択肢の欠如

第12章 空を共有する -大気という共有資産(コモンズ)、気候債務の返済-
 太陽が顔を出す
 投資撤退だけでなく、再投資を
 地元の債務から地球規模での債務の返済へ
 バランスを変える

第13章 命を再生する権利 -採掘から再興へ-
 水中の流産
 「年取った男たちの住む世界」
 「中は空っぽ」
 温暖化する世界で姿を消す幼い者たち
 休息期間
 命の復活

終章 跳躍の年 -不可能を成し遂げるために残されたぎりぎりの時間-
 やり残された解放の仕事
 突然、誰もが

訳者あとがき

原注

索引
訳者あとがき
 本書は出版直後から大きな反響を呼んでベストセラーになり、すでに二五以上の言語に翻訳されている。『ニューヨークタイムズ・ブックレビュー』は「あふれんばかりの熱意と重大性をもつ本書は、論評が不可能なほどだ。……『沈黙の春』以来、地球環境に関してこれほど重要で議論を呼ぶ本は存在しなかった」と評し、インドの作家アルンダティ・ロイは「ナオミ・クラインは今日の最大かつ最も差し迫った問題に、その鋭く強靱、かつきめ細かな知性をもって取り組んでいる。……彼女は今日の世界で最もインスピレーションに富んだ政治思想家の一人だ」と評している。
  タイトルのThis Changes Everythingには二つの意味がある。ひとつは、私たちが今のままの生活を続けていけば、気候変動がこの世界の「すべてを変えてしまう」というネガティブな意味。そしてもうひとつは、それを回避するためには、「すべてを変える」ほど根源的な変革が必要だというポジティブな意味である。本書は、九七%の科学者が認めている気候変動という事象がまさに〝今、ここにある〟危機だという認識に立ったうえで、この問題の根本原因が成長神話にがんじがらめになった資本主義のシステムにこそあり、それを解決するには現行の経済システムとそれを支えているイデオロギーを根底から変える以外に方法はない、という結論を導き出している。(625~626頁)

 本書の前半(第一部・第二部)では、なぜここまで気候変動対策が遅れをとってしまったのかについての詳細にわたる検証が行われると同時に、気候変動を否定する右派の会議や、人工的に気候システムに介入して温暖化を緩和するという地球工学の専門家の会議への潜入ルポもあり、また化石燃料脱却をブチ上げる起業家ブランソンの言行不一致や、環境保護を掲げながら化石燃料企業と結託する大規模環境保護団体の偽善も暴かれる。まさにジャーナリストとしての面目躍如である。

 だが圧巻はむしろ後半、第三部以降であろう。気候変動対策を先送りし、問題を深刻化させてきた規制緩和型資本主義システムの暗部を、これでもかとあぶり出す前半の悲観的なトーンから一転して、ここでは化石燃料を基盤にした経済・社会のあり方そのものにノーを突きつける草の根抵抗運動が世界各地で展開し、拡大しつつあることを、これまた綿密な現地取材に基づき、希望の兆しとして報告している。近年、北米を中心にブームになっているオイルサンド採掘やフラッキング(水圧破砕)による天然ガス・石油の抽出は、従来の化石燃料採掘にも増して温室効果ガスを多く排出し、有毒物質による環境汚染の危険も大きい。自国カナダでの先住民を中心とする抵抗運動をはじめ、北米各地で化石燃料経済からの脱却を求めてパイプライン建設やオイルサンド掘削リグ用の巨大装置の輸送、採掘された石炭を輸出するためのターミナル建設などを実力で阻止するために闘う地域住民の姿が共感をもって描かれると同時に、これらの運動が点ではなく、SNSなどを通じて相互に結びついてネットワークを形成し、化石燃料企業にとって大きな脅威となりつつあることも強調されている。また掘削現場での闘い以外にも、化石燃料企業から投資を撤退するダイベストメント運動が急速に広がっていることも明るい材料のひとつとして取り上げられている。(626~627頁)

  (レイバーネット日本『週刊本の発見』第28回、2017年10月26日掲載)
 本書の最も重要な論点は、地球温暖化の危機が、同時に歴史的なチャンスにもなりうるという主張にある。これまで私たちは、経済成長こそ、人類を貧困から解放し、幸福をもたらす万能薬だと説明されてきた。だが、新自由主義の暴走の果てに到達したのは、少数の人々が富を独占する格差社会と、投機マネーによるバブル経済、そして地球温暖化による破滅の危機である。この悪循環を断ち切るためには、もう一度、市場に対する規制を強化すると同時に、巨額の公共投資(地球のためのマーシャル・プラン)を通じて、再生可能エネルギーを基盤とする定常経済へと移行しなければならない。そしてそれは「石器時代への回帰」を意味するのではなく、むしろ人々の生活の質を向上させ、南北格差を是正し、民主主義を土台から再構築するチャンスにもなりうるというのである。
 一般に成長神話や消費主義に囚われた現代人にとって、ポスト資本主義の未来を想像するよりも、「世界の終わり」を想像する方がたやすいと言われる。だがもし私たちが、一人の人間として、あるいは、子供をもつ親として、未来への責任を果たそうとするならば、いまこそ批判的想像力を発揮し、もう一つの世界の実現に向けて動きださなければならない。反グローバリゼーション運動の論客からクライメイト・ジャスティス運動の旗手へと成長したナオミ・クラインの渾身のメッセージである。

ナオミ・クライン『これがすべてを変える』(上) 3月29日

カナダのジャーナリスト、ナオミ・クライン著『This Changes Everything: Capitalism vs. The Climate』(2014)の全訳、日本語版です。訳者は幾島幸子さん、荒井雅子さんで(上)(下)2巻で639頁あります(岩波書店、2017年)。

Climate change isn’t just another issue to be neatly filed between taxes and health care. It’s an alarm that calls us to fix an economic system that is already failing us in many ways. Klein meticulously builds the case for how massively reducing our greenhouse emissions is our best chance to simultaneously reduce gaping inequalities, re-imagine our broken democracies, and rebuild our gutted local economies. She exposes the ideological desperation of the climate-change deniers, the messianic delusions of the would-be geoengineers, and the tragic defeatism of too many mainstream green initiatives. And she demonstrates precisely why the market has not—and cannot—fix the climate crisis but will instead make things worse, with ever more extreme and ecologically damaging extraction methods, accompanied by rampant disaster capitalism.
 
Klein argues that the changes to our relationship with nature and one another that are required to respond to the climate crisis humanely should not be viewed as grim penance, but rather as a kind of gift—a catalyst to transform broken economic and cultural priorities and to heal long-festering historical wounds. And she documents the inspiring movements that have already begun this process: communities that are not just refusing to be sites of further fossil fuel extraction but are building the next, regeneration-based economies right now.
 
Forget everything you think you know about global warming. It’s not about carbon—it’s about capitalism. The most profound threat to humanity is the war our economic model is waging against life on earth. Yet we can seize this existential crisis to transform our failed economic system into something radically better.
 
Klein exposes the myths that are clouding the climate debate. We have been told the market will save us, when in fact the addiction to profit and growth is digging us in deeper every day. We have been told it’s impossible to get off fossil fuels when in fact we know exactly how to do it—it just requires breaking every rule in the “free-market” playbook: reining in corporate power, rebuilding local economies, and reclaiming our democracies.
 
We have also been told that humanity is too greedy and selfish to rise to this challenge. In fact, all around the world, the fight for the next economy and against reckless extraction is already succeeding in ways both surprising and inspiring.
 
Can we pull off these changes in time? Nothing is certain. Nothing except that climate change changes everything. And for a very brief time, the nature of that change is still up to us.
 
Either we leap—or we sink.
 

ナオミ・クライン『これがすべてを変える 資本主義 vs. 気候変動』上巻目次
序章 気候変動によってすべてが変わる
 民衆によるショック
 最悪のタイミング
 エネルギーだけの問題ではない
 否定からの脱却

第一部 最悪のタイミング
第1章 右派は正しい(ライト・イズ・ライト)-気候変動にはらまれた大変革のパワー
 受け入れられない真実
 カネにまつわる話
 プランB -温暖化する世界で金を儲けろ
 ゾッとするほど冷たい世界
 保守派への迎合
 世界観の闘い

第2章 ホットマネー -自由市場原理主義はいかにして地球の温暖化を促進したか-
 気候より商売優先
 壁が崩壊し、排出量は上昇する
 貿易と気候 -二つの孤立
 安い労働力と汚いエネルギーのパッケージ取引
 自ら墓穴を掘る運動
 拡大から安定へ
 思いやりのある経済を育て、思いやりのない経済を縮小する

第3章 民間から公共へ -新しい経済への移行を阻むイデオロギー的障害を克服する-
 公的領域の再建と刷新
 汚染者負担

第4章 計画と禁止 -見えない手を叩き、運動を起こす-
 雇用創出のための計画
 電力/権力(パワー)のための計画
 あのドイツの奇跡について……
 「ノー」の言い方を忘れない
 「問題」ではなく枠組み

第5章 採取/搾取主義を超えて -内なる気候変動否定派と対峙する-
 究極の採取/搾取主義的関係
 左派の採取/搾取主義
 聞き逃されてきたいくつかの警告


第二部 魔術的思考
第6章 根(ルーツ)ではなく実(フルーツ)-大企業と大規模環境保護団体(ビッグ・グリーン)の破滅的な一体化-
 環境法の黄金時代
 一九八〇年代の急転換
 ビジネスと手を組む環境保護運動
 消費者パワーで解決?
 フラッキングと燃える橋
 汚染の取引

原注
塚原東吾さん(神戸大学教授)書評『週刊読書人』ウェブ
   週刊読書人掲載:2017年11月24日(第3216号)
 驚異の元凶は何か
「環境正義運動」が目指すもの 
 温暖化による危機を多面的に描き出す

   朝⽇新聞掲載:2017年10月15日
 「これがすべてを変える」書評 経済のあり方根本から新しく

太田猛彦「日本の森の変遷-荒廃から復活へ」 2月19日

2月16日の東松山市環境学習会で紹介された『全国植樹祭70周年記念写真集』(国土緑化推進機構、2019年)の巻末にある太田猛彦さんの解説「日本の森の変遷-荒廃から復活へ」(54~56頁)を読みました。全国植樹祭は1950年奈良県で「植樹行事並びに国土緑化大会」として開催され、1959年、第10回大会が埼玉県で実施されています。1970年、福島県で開かれた第21回大会から現在の名称に変更されました。全国植樹祭の前身は1934年に始まった「愛林日植樹行事」(Wikipedia)です。
 日本は高温多雨の夏を持つ温帯の島国
  豊かで多様な森に育まれた縄文文明
 日本はユーラシア大陸の東岸に横たわる南北約3000 km の弧状列島である。しかも世界地図を広げてみればわかるように、四季が明瞭な温帯には日本のような大きな島は極めて少ない。すなわち、海の影響を受ける島々は熱帯や亜熱帯、寒帯には多いが温帯には日本列島とイギリスの2島、ニュージーランドの2島ぐらいしかない。
 さらに日本列島とイギリス二島は大陸の近くに位置しその影響も受けるが、影響の受け方は全く異なり、大陸の東岸はモンスーン気候で夏季に降雨が多く、冬季は乾燥する。一方大陸の西岸は西岸海洋性気候で、夏は乾燥気味であり、冬に雨が多い。つまり日本は熱帯雨林のような高温多雨の夏を持つ世界で唯一の温帯の島国であり、そのような気候が日本の豊かな森を育んでいる。その上「冬は乾燥する 」と言っても、シベリアからの北西季節風と日本海を北上する暖流の影響で日本海側は降水量が多く、それは降雪となって日本の森林を一層多様にしている。
 日本人は縄文時代の昔からそのような森に支えられた豊かな自然を利用して暮らしてきた。この時代の列島にはドングリやクリが実る落葉広葉樹の森が広がっていたため、縄文人は基本的に食糧に困ることはなく、しかも煮炊きを可能にする縄文式土器の発明によって利用できる食材の幅を広げることができたため、農耕を受け入れることがなくても豊かな生活を送ることができた。例えば 、縄文時代の遺跡として有名な三内丸山の定住集落は1700年ほど続いたと言われるが、そこでは春は山菜採り、夏は漁労、秋は木の実の採集、冬は狩猟などにより豊かな食料を得、集落の中心には木材を使った祭祀用の施設を建造していた。しかし森が大きく傷つくことはなく、自然と共生した「持続可能な社会」が展開されていたと言える。農耕の始まりを研究したジャレド・ダイアモンドは日本の縄文文明を「森を利用した最も豊かな狩猟採集民族文明」と評価している。
 稲作の伝来とともに森林は劣化
  江戸時代は「森林荒廃の時代」
 しかし縄文時代に稲作が伝来すると、日本の森林はその後大きく変化していった。すなわち、縄文時代後期には豆類などを栽培する簡単な農業は始まり、居住地の周りの森林が変化し始めたが、水田稲作は連作は可能で、病虫害も畑作より軽微な上、何よりも単位面積当たりの収穫量が多く、したがって人口収容力も大きく、一方で用水確保のために集団生活が必要であり、集落が発達した。その結果、集落や農地の開発による森林の消失のほか、食料以外の資源は燃料も含めてほとんどが林産物であったため、いわゆる里地・里山システムを基本とする稲作農耕社会が成立するとともに集落の周りの森林の劣化も始まった。
 やがて飛鳥・奈良時代以降に次々と古代都市が成立すると、建築資材等木材の本格的使用が始まって大量の木材が伐採され、畿内を中心に本来の豊かな天然林はやせ地でも育つマツ林に変わるなど森林の劣化が進行した。また、それが原因で洪水や土砂災害がたびたび発生した。そこで森林を保護するため、例えば天武天皇は676年に飛鳥川上流に禁伐令を発している。そして、10世紀末には田上山など畿内各地に荒廃山地(はげ山)が出現するようになった。
 その後室町時代頃になると、各種産業の発達による人口の増加によって地方でも城郭や都市の建設が盛んになり、燃料用や資材用の木材需要が増加した。そのため森林の劣化も全国に広がっていった。またこの時代になると、製塩業、製鉄業、窯業等に必要な産業用燃料材の需要が増加して、森林の劣化がいっそう進んだ。さらに戦国時代以降、戦国大名は江戸時代の各藩によって水田の開発がいっそう進み、江戸時代中期には100万人が暮らす巨大都市江戸を要する人口3000万人の稲作農耕社会が成立した。当時の日本は世界人口の4~5%を占める人口大国であり、その人口を支えたのが稲作農業と森林を中心とする自然資源だった。しかしその頃、森林資源は既に逼迫しており、各地にはげ山が広がるとともに、里地・里山システムにかかわる入会地での村落間の境界争いや村落内での資源の奪い合い、あるいは水争いが頻発した。
 一方で、森林の消失(裸地化)や劣化は山地での土砂崩壊や平地での洪水氾濫を引き起こし、それらは災害となってたびたび人々を襲った。江戸時代は「森林荒廃の時代」ということができるだろう。以降、日本の国土は20世紀前半まで、山地で土砂が生産され続け、それが河川に流出し続け、海岸に土砂を供給し続ける国土となった。幕府は土砂留工事や砂溜工事を進めるとともに、熊沢蕃山ら儒学者からの治山治水の進言を受け入れて、例えば1666年の「諸国山川掟」のような、要所での伐採禁止や植林の奨励を布告した。また幕府や各藩は今日の保安林制度につながる留山や留木の制度を制定し、海岸では飛砂害防止のために砂防林を造成した。
 当時の山地・森林の様子は、例えば歌川広重の浮世絵「東海道五十三次」を見れば一目瞭然である。どの図版にも鬱蒼とした豊かな森は描かれていない。遠景の山はどの図版でも木々がまばらである一方で東海道名物の「松並木」や山腹の松が繰り返し描かれている。土壌が貧弱で他の樹木は生育できない荒れ地や砂地でもマツはよく育つ。「白砂青松」とよく言われるが、養分が少ない海岸の砂地にはマツしか生えない。つまり江戸時代の山も基本的にはこの写真集に掲載されている古い写真のような状態で、マツしか生えないほど貧弱だったのだ。

 治水三法を制定した明治政府
  乱伐は昭和の終戦直後まで続いた
 明治時代に入ると近代産業が勃興し、人口が急増し、都市が発達したが、この時期、産業用燃料はいまだ薪炭に頼っていた。そのため、建設資材や燃料材確保の必要性から森林伐採への圧力がいっそう強まった。その結果として、明治中期は日本の森林が歴史上最も劣化・荒廃していた時期と推定される。そのため明治政府はいわゆる治水三法を制定して河川では河川法に基づく洪水氾濫防止のための連続堤工事を開始するとともに、森林法の保安林制度に基づく治山事業や砂防法に基づく砂防事業によって荒廃山地での植林を精力的に行った。しかし近代的治山治水事業が始まっても国民の大部分は依然として森林に頼る農民であり、戦争の半世紀もあって里山の荒廃地はあまり回復しなかった。この写真集の大半の写真はこの頃の里山の状況を示している。
 一方、古代以来の都の造営や城郭、社寺の建設で必要な大径木は江戸時代には全国の奥山に探し求めるまでに減少したようだが、通常使われる木材もすでに江戸時代には品薄だった。そのため各地に人工林業も始まったが、大部分は天然林から伐り出された。さらに明治時代以降は近代化のための資材としての木材の需要が増大し、昭和時代に入ると森林鉄道の普及もあって奥山で本格的な伐採が始まった。加えて大戦中及び終戦直後の混乱した時代には、木材は唯一の自前の資源として文字通り乱伐された。全国植樹祭はこうした状況の中で昭和25年[1950]に始まったのである。

 「拡大造林」を経て「森林飽和」へ
  変わらぬ植樹活動の大切さ
 以来70年。この間、奥山では列島改造~高度経済成長期に木材需要を満たすための大規模な森林伐採があり、その跡地には「拡大造林」と称してスギやヒノキ、カラマツなどが植えられた。その後外材の輸入自由化や火災防止のための木質建材の使用制限もあって国産材の需要が減少したため奥山での伐採圧力は低下した。一方里山では治山・砂防事業の成果がようやく現れ始めたのに加え、燃料や肥料が森林バイオマスから化石燃料や化学肥料に転換されて薪炭林や農用林が不要となったため森林が回復し始めた。こうして昭和時代末期から平成時代を通して日本の森林は奥山でも里山でもその蓄積を増加させ、「森林飽和」と呼べるほどに復活した。その背景には全国植樹祭を中心とした緑化運動や国民参加の森づくりによる緑化の呼びかけも大きく影響していると思われる。
 一方この時代には広葉樹の復活を望む声も広がるとともに、かつての里山を保存する活動も盛んになった。この傾向は全国植樹祭の植栽樹種の選択にも表れ、1970年代からモミジやサクラ類、トチノキなど各種の広葉樹の植林が見られるようになり、1990年代に入ってからは広葉樹が大勢を占めるようになった。これは森林の全般的な成長と林業の不振の一方で1990年代以降は生物多様性保全の重要性が広く知られるようになって、多様な森づくりが好まれるようになった結果とみられる。 [以下略]
※久那村(秩父市)の治山工事施行地(完了後、1938年)(同書31頁)
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※山本悟さんの「知っておきたい日本の植林史」(同書20頁)
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東松山市環境学習会第1回 2月16日

東松山市と環境基本計画市民推進委員会では、市民の皆さんに協働による環境まちづくり活動や環境問題への認識を深めていただくことを目的に、環境学習会を企画しています。今日は『森林飽和』、『ダムと緑のダム』の著者、太田猛彦さんを講師に「日本の森林の現状を知り、今後の保全のあり方を考える」をテーマに実施し、多くの参加者がありました。
次回、3月8日(日曜日)は勝浦信幸さんを講師に「協働による持続可能なまちづくり」を予定しています(10~12時、総合会館3階304会議室)。

日本の森林の現状を知り、今後の保全のあり方を考える
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現在の森を知るためには、かつての森の姿を知ってほしい
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治水三法(1896年河川法、97年砂防法、森林法)
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林業基本法(1964年)、森林・林業基本法(2001年)
計画的な治山・治水事業に社会の変貌(燃料革命、肥料革命等)により人々が森から離れ、里地・里山システムが終焉。森林は400年ぶりの緑を回復したが、放置され荒廃はすすむ。
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日本学術会議答申、森林の多面的機能
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地球環境問題の出現
 土地と水の利用の問題→生物多様性喪失
 地下資源利用の問題→廃棄物問題・地球温暖化(エネルギー問題)
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新しい森林の原理(2004年)と持続可能な森林管理と地域の木材の利活用
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(2014年7月29日に行われたウッドマイルズフォーラム2014での太田さんのスライドの一部を引用)

学習会後半部分で取りあげられていたプラネタリー・バウンダリ、SDGs、ESG等については別記事を準備中です。
 

虫明功臣、太田猛彦監修『ダムと緑のダム』 2月15日

虫明功臣、太田猛彦監修『ダムと緑のダム 凶暴化するする水災害に挑む流域マネジメント』(日経BP、2019年12月)です。台風19号の集中豪雨で市民の森のボッシュ林エリアの0次谷(明瞭な流路をもたない谷頭の集水地形)と石坂の森見晴らしの丘下では小規模な表層崩壊が起きていたこと(2019年10月26日記事12月23日記事)を頭に置いて、市民の森の森林管理について考えながら読み終えました。
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ダムと緑のダム 凶暴化するする水災害に挑む流域マネジメント』目次
はじめに(虫明功臣[むしあけかつみ]、太田猛彦)

第1章「緑のダム」が決壊した(井山聡)
 2017年九州北部豪雨災害の爪痕
  豪雨で孤立した集落
  1942年の観測開始以来最大の雨
  東京ドーム約9個分の土砂と流木の流出
  洪水、土砂、流木を防いだ ダム
  2018年西日本豪雨での最悪夢
  連年の豪雨災害
  山林崩壊のメカニズム
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 近年、特に頻発する土砂・流木災害
  森林が豊かな地域でも多発の恐れ
  全て砂防堰堤での対策は現実的でない

第2章森林における治水・利水機能とその限界(高橋定雄)
 緑のダムの限界
  大洪水ではピーク流量の低減を期待できず
  渇水時には貯水ダムの代わりにならず
  日本学術会議の見解
  森林施業による治水・利水対策の限界
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 川辺川ダムにおける緑のダム論争
  緑のダム論争の経緯と論点
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  森林の保水力についての共同検証(現地試験)
  健全な流域水循環系の構築に不可欠な森林の保全・整備

第3章急峻な国土に生きる(小山内信智)
 山は動く
  3つの土砂災害
  過去30年でどんどん増える土砂災害
 森林(植生)の土砂流出抑制効果と限界
  森林(植生)の土砂流出抑制機能
  近年の土砂災害の実態
  緑の落とし穴?
 土砂・立木災害にどう立ち向かうか
  第二次世界対戦後の日本の土砂災害対策
  ソフト対策の進展とその課題
  土砂移動現象にほぼ必ず含まれる流木

第4章森林政策を考える(太田猛彦)
 日本の森林の劣化と回復
  「世界で唯一」の森で暮らした縄文人
  稲作の伝来と森林の劣化
  江戸時代は山地荒廃の時代
  日本の森林が史上最も劣化・荒廃した明治中期
  戦後社会では森林の蓄積が増加
  林業の経済政策を優先した林業基本法
  地球環境時代の到来と森林・林業基本法
  竹林の繁茂や花粉症のまん延などの新たな問題
   表層崩壊の激減と土石流の変化
 一方、森林の復活による最も大きな影響は、山地における侵食様式の変化でした。すなわち、主にはげ山や林間の裸地、山間の耕地で発生する表面侵食は、ヒノキの人工林などで未間伐な部分やシカの食害で林床植生が消滅した部分を除くと 、ほとんど起こらなくなりました。また表層崩壊は、斜面表層の1、2メートル程度の風化土壌層が地表面から浸透する降雨の作用や地震の震動で崩れるもので、はげ山や幼齢林地で発生することが多いのですが、壮齢林では樹木の根系の作用によって発生し難くなるため、平成時代には目に見えて減少しました。
 土石流も発生形態が変化しているように見えます。森林が劣化していた時代に起こった豪雨による土石流の大部分は、1次谷(常時表流水がある最上流の谷)内の数個の表層崩壊が集合して発生していました。一方、森林が回復した平成時代に入ると、谷頭などで単独に発生した表層崩壊が土石流化する場合が多くなりました。豪雨の規模の増大化によって 、大量の水が山腹から流出して崩壊土砂に加わるようになり、小崩壊でも土石流化する場合が多く見られるようになった結果と推測されます。このような理由によって、表層崩壊が減ったにもかかわらず、土石流の発生はそれほど減少していないようです。
 こうした状況は山地での流木の発生に大きく影響しています。すなわち、山地での流木の発生の大部分は、表層崩壊地の立木が崩壊土砂とともに流出することにより発生するので、先述した土石流の発生様式の変化とは、「 表層崩壊は必ず流木を発生させる」と考えた方がよくなったことを意味します。(114頁)
  森林の充実で河川も海岸も変貌
  森林は水源涵養機能を十分に発揮
 森林の多面的機能と森林・林業
  森林・林業基本法と森林の多面的機能
  国連のミレニアム生態系評価とほぼ一致する「森林の原理」
 森林・林業基本法の制定に関連して日本学術会議は01年に、当時の農林水産大臣の諮問に応じて「地球環境・人間生活にかかわる農業及び森林の多面的な機能の評価等について」を答申しました(図5)。
 このうち「森林の原理」は、詳しくは「森林と人間の関係に関する『森林の原理』」というもので、環境、文化、物質利用の3つのサブ原理から成り、「多面的な機能の種類」の①~⑤、⑥と⑦、⑧がそれぞれほぼ対応します。さらにこれらは国連のミレニアム生態系評価で04年に提案された「生態系サービス( 生態系によって人類に提供される資源と公益的な影響)」の調節サービス、文化サービス、供給サービスとほぼ一致しています。森林の適切な管理とは物質生産機能(林産物供給機能)とその他の環境保全機能等とを共にバランスよく発揮させることといえます。
 また、上記の各機能を議論する際に忘れてならないのは「森林の多面的機能の特徴」の指摘です。特にそれぞれの機能を単独に取り上げて議論する場合に出てきた結論で、直ちに森林の存在そのものに評価を下すことは避ける必要があります。例えば、流木災害の原因になるからといって、渓流の周りの森林を除去することは、渓流生態系を保全する森林の機能を犯すことになり、森林の機能の多面性を正しく評価していないことになります。(119~120頁)
図5 日本学術会議が答申した森林の多面的機能
2.森林の原理:森林(植生)の最も基本的なはたらきは、自然環境の構成要素としての働きである(環境原理)。しかし、人々が身近な森を利用し、生活を向上させてきたことも自明であり、昔から森は目いっぱい 利用された(物質利用原理)。さらに、かつての森の民・日本人にとって、森が日本の精神・文化、すなわち日本人の心に影響を与えたこともまた当然と言える(文化原理)。
3.森林の多面的な機能の種類と意味:最も根源的な森林の機能として、人類そのものが森林を舞台とした生物進化の所産であることの意味まで含む①生物多様性保全機能がある。森林の本質である環境保全機能としては②地球環境保全機能、③土砂災害防止機能/土壌保全機能、④水源涵養機能、⑤快適環境形成機能がある。日本人の心にかかわるものとしては、⑥保健・レクリエーション機能、⑦文化機能がある。さらに 、⑧物質生産機能(林産物供給機能)は森林の本質的機能であるが、その利用は環境保全機能等とトレードオフの関係にあり、異質の原理に基づく機能といえる。
4.森林の多面的な機能の特徴:森林は極めて多様な機能を持つが、ここの機能には限界がある。森林の多面的機能は総合的に発揮されるとき最も強力なものとなる。さらに森林の多面的機能は、他の環境の要素との複合を発揮や、重複発揮性、階層性等の特徴を持つ。

  7つの機能からみる現代の森林問題
……01年の日本学術会議による答申で詳説しており、本書でも特に関係が深いのは、「③土砂災害防止機能/土壌保全機能」と「④水源涵養機能」です。この2つを詳しく解説します。
 山地災害の中で最も深刻なのは土砂災害です。落葉落枝層(A0層)や林床植生が健全な森林では、豪雨があってもほぼその全量を地中に浸透させて地表流を発生させず、表面侵食を確実に防止することが重要です。しかし、伐採により地表がかく乱された場合や林床植生がシカの食害を受けた林地、あるいは間伐されず林床が裸地化したヒノキ林などでは地表流が発生して表面侵食が起こってしまいます。
 地表から浸透水による間隙水圧の増加や地震の慣性力によって風化土壌層が崩れる表面崩壊は、森林が成長するとその樹木の根系の先端が基盤岩やその弱風化層に食い込む「杭効果」や、隣接木の根系同士が絡み合う「ネット効果」によって大幅に減らすことができます。また、土石流は表層崩壊による崩落土砂に表流水や地下水が加わって発生することが多いので 、森林は表層崩壊を減少させることによって土石流の発生も減らせることになります。
 しかしながら森林には、基盤岩そのものや厚い堆積土層が崩れる深層崩壊の発生、さらには地すべりの発生を防止する効果はほとんど認められません。また表層崩壊であっても豪雨の規模が極端に大きい場合や震度7クラスの地震の直撃に対しては防止軽減効果にも限界があります。
 一方、森林が劣化して裸地化した山地斜面と比較して健全な森林山地が水源涵養機能を発揮する最大の理由は、落葉落枝層(A0層)や林床植生が豊かな”健全な”森林土壌層が雨水を地中に浸透させて、裸地斜面で発生する地表流を流速の遅い地中 流に変えることにあります。すなわち地表流が地中流に変わると、山地斜面に降った雨が河川に流出するまでの時間が長くなり、洪水流出ハイドログラフのピーク流量が低下し、ピーク流量発生までの時間が遅くなり、さらには減衰部が緩やかになります。主に健全な森林土壌が発揮するこの機能を森林の洪水緩和機能と呼んでいます。そして、河川流出におけるこの変化は直接流出成分の一部が基底流出成分に変わることを意味し、水資源貯留効果を発揮することにつながります。あるいは洪水流出として無駄に海洋に排出される流量をゆっくり流出させて水利用の機会を増やすことにもなります。これは見方を変えると、流量を調節しているということもできます。
 さらに、健全な森林に到達した雨水は森林土壌を通過し河川に流出する間に土壌のろ過作用や緩衝作用、土壌鉱物や基盤岩からのミネラルの添加、飽和帯での脱窒作用などを受けて水質が改善され、あるいは清澄なまま維持されます。これは水質浄化機能といわれています。
 一方で極端な渇水が発生すると森林は蒸散作用によって通常は河川に流出するはずの水分を消費するので渇水流量を低下させてしまうことも知られています。また、成長した森林は遮断蒸発と蒸散作用の両方で大量の水を消費するので、この場合は伐採や間伐により主に樹冠の葉量を制限することが水資源利用上有利です。(122~124頁)
  現代の林業問題
 持続可能な社会と今後の森林管理
  SDGsと親和性が高い森林・林業
  新たな森林管理システム
  市町村に配分する新しい税制「森林環境税」
  森林認証制度で適切なチェックを
 山地災害対策と災害に強い森づくり
  保安制度と治山事業
  3つの流木の発生源
 流木の大部分は、①「表層崩壊と呼ばれる山腹崩壊地から流出流出する流木」です。 具体的には35~40度程度の急勾配の山腹斜面、特に0次谷(常時表流水がある谷の上部に位置する集水地形)と呼ばれる凹型斜面で表層崩壊が発生し、さらに崩壊土砂が流動化して土石流となった時、大量の流木が渓流に流出します。
 そして発生した土石流の運動エネルギーが大きい場合は、②「山脚部や古い土石流堆積地、掃流堆積地)が侵食されて、その上に成立したいわゆる渓畔林も流木化」します。その後、流木の大部分は通常は土砂とともに渓流の下流部に堆積しますが、一部は土石流と共に下流河川に流出します。
……さらに、③「谷底低地や小河川沿いの低平地の渓畔・河畔、あるいは氾濫した洪水流の進路上の樹木が押し流されて流木化」したものが加わります。(137~138頁)
 ここで①について、森林と崩壊と流木発生の関係に関する基本的知識を3つ挙げておきます。
 第1は、山崩れには山腹斜面上の風化土壌層が崩壊する「表層崩壊」と厚い堆積土層や基盤岩から崩れる「深層崩壊」があり、豪雨による崩壊のほとんどが表層崩壊です。また、表層崩壊は花こう岩系や堆積岩系(特に新第三紀層)のち地質の山地に多発する傾向がありますさらに前述したように、豪雨による表層崩壊は急斜面だけでなく、水が集まりやすい0次谷に発生しやすい性質があります。
 第2は、森林は「根系の働き」と「風化土壌層中の効果的な排水システム」によって表層崩壊を抑制します。このうち根系の働きについては、根が基盤岩の弱風下層や割れ目に食い込む杭効果と、隣接する樹木の側根同士が絡み合うネット効果があり、両者によって表層崩壊を起こりにくくしています。また効率的な排水システムとは土壌中に浸透してきた雨水が風化土壌層の底部(基盤岩の表面)に発達したパイプ状の水みちを通して効率的に排水される機構を指し、これによって土壌中で水圧が高まるのを防ぎ、崩壊を抑制しています(図9)。しかしながら17年の九州北部豪雨のように、豪雨の規模が強大だと崩壊に至る場合もあり、森林の働きには限界があることもしっかり受け止める必要があります。
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 第3は、流木は主に表層崩壊によって発生するということです。切り捨て間伐材などのリ林地残材や伐採後搬出前の材が豪雨によって直接流出する懸念が指摘されていますが、崩壊土砂や土石流に巻き込まれて流出することはまれにあるにせよ、通常はこれらの材を押し流すほどの水深を持つ流れが山腹斜面上に発生するとは考えられません。
 一方、温暖化によって、表層崩壊が発生するような豪雨がある場合、山腹や谷の上部から大量の流出水が加わって崩落土砂が土石流化する事例が多くなっており、今後はいったん表層崩壊が発生すれば、ほとんどの崩壊地から流木が渓流にまで流出してくると予想されます。(139~140頁)
  山地・渓流における流木災害軽減対策
  山腹斜面では表層崩壊をできるだけ抑制
 山腹斜面では、表層崩壊をできる限り抑制する対策が望まれます。ただし、急斜面で多発する特性を考えれば、①[発生し流下する土砂や流木そのものへの対策]の施設による対策は限定的にならざるを得ません。それでも特に危険な急斜面や凹型斜面では、これまでより強化した斜面安定対策(山腹土留工など)を実施する必要があるでしょう。また0次谷下部などでは谷止工を設置し、崩壊土砂の流動化、土石流化を防ぐ必要があります。
 一方②[流木が出にくい森づくり]の災害に強い森づくりでは、人工林であっても広葉樹林であっても、密度管理により根系・下層植生の発達した林木で構成される森林を、息長く育てる森づくりを進めていくことが基本となります。特に0次台の斜面や40度を超える急斜面では、現在そこがどんな林相であっても「非皆伐」とし、密度管理とギャップへの補植によって強靭な森林に改良していく方が良いと思います。(142頁)
  渓流の上・中流部では渓床・渓岸の浸食を防ぐ治山施設を
  渓流下流部では流木捕捉に期待
  災害に強い森づくりとは
 ここで災害に強い森づくりについてまとめておきます。
 災害に強い森づくりの基本は0次谷であっても渓岸であっても、強靭な根系を持ち、下層植生の発達した大径木で構成される森林を、時間をかけて育成していくことです。樹種の違いに配慮するよりも、より大径木化することを優先する方が重要であると思います。つまり、針葉樹人工林であっても広葉樹林であっても現在の森林を間伐する(場合によっては補植も行う)ことによる密度管理等によって、より高齢の森林へ導くことを第一に考えるべきです。人工林の場合、伐採・新植から20~30年後以降を想定し、劣勢木が自然に淘汰されることを考慮すると、たとえ間伐が多少遅れていても、樹種を変更するために伐採するよりも健全な森林に改良していく方がはるかに重要です。繰り返しになりますが、流木の出にくい森づくりの基本は現存の森林をとにかく長期的に維持して、できる限り高齢で、健全な大径の林木が存在するように林相を改良していくことだと思います。
 なお、木材生産の観点からは0次谷や渓岸堆積地はスギ林の適地です。非皆伐さらには禁伐が必要な0次谷内やけ渓岸の数メートルの範囲内の林木を除けば、製材可能な程度の大径木生産は差し支えないと思われます。 (144~145頁)
  不可欠な警戒・避難体制

第5章これからのダムに求められる役割(安田吾郎)
 ダムの目的と機能
   ダム では目的別に使用権を設定
   九州北部豪雨で治水効果を発揮したダム
  ダムが満杯になると洪水調節機能は喪失
  予備放流と事前放流~洪水調節容量を自主的に増やす操作~
  通常より洪水時の放流量を絞り込む特別防災操作
  他の洪水対策と比べたダムの特徴
 日本と海外のダムの変遷
  世界一のダム大国だった日本
  目的が農業、上工水から発電、治水へ
  ダム大国は日本から米国そして中国へ
  第1次世界大戦後にダム建設の進展期を迎えた日本
  戦前の治水ダム整備の遅れのツケを戦後払わされた日本
  日本の成長を支えたダムによる都市用水の供給
  ダム完成ラッシュの時期から最近までのダム整備の動向
  発電面を中心としてダムを見直す最近の米国の動き
  日本も本格的なダム再生の時代に突入
 日本のダム課題と対応
  地域の分断と人口流出の問題
  河床低下や海岸侵食とダムの持続性の問題
  ダム下流の流量の平滑化に伴う問題
  ダム湖でアオコなどの富栄養化現象が発生
  魚類等の移動ルートの分断の問題
  異常洪水の際のダムの限界
  ダム放流に関するリスクコミュニケーション
  水需要が伸びない中でのダムの役割
  ダムの安全性神話
  生物生態系への影響軽減
 意外と知られていないダムの機能
  可変型装置としてのダム
  生物の生息場としてのダム
  流木災害や大規模土石流を抑止するダム
 気候変動時代におけるダムの役割
  増えている豪雨災害のリスク
  将来はさらに洪水リスクが増加
  増加する気候変動リスクへの対応策

 コラム
  米国が世界一の大国になった事情
  オリンピック後の水資源確保対策により救われた首都圏

第6章 ダムと森林の連携(虫明功臣)
 ダムと森林の連携による価値創造
  ダムと森林の機能の関係性
  ダムと森林の連携によって生じるメリット
  流域マネジメントの枠組みによる連携
 これまでの流域マネジメント
  流域マネジメントの先駆け:熊沢蕃山の治山・治水
  ダム水没地域の再建・振興を目指す水源地域対策特別措置法
  水源地研究会の提言
  120のダムで策定した 水源地域ビジョン
  流域マネジメントを推奨する水循環基本法の制定
  流域水循環計画への認定事例
 ダムと森林が連携した流域マネジメントの実現
  新たな森林・林業行政とダム水源施策の連携
  効果的な流域マネジメントを実現する体制の構築

おわりに(虫明功臣、太田猛彦)

執筆者




太田猛彦『森林飽和 国土の変貌を考える』 2月15日

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太田猛彦『森林飽和 国土の変貌を考える』目次

まえがき

第1章 海辺の林は何を語るか-津波と飛砂
  1 津波被害の実態
    林がそっくりなくなった
    マツも「被災者」
    倒れた木と倒れなかった木
    津波にも耐えたマツ
  2 津波を「減災」したマツ林
    マツ林には”実績”があった
    津波を弱め、遅らせる
    なぜ海岸林の再生が必要なのか
  3 なぜ海岸にはマツがあるのか
    笑顔にマツあり
    ”人工の森”をめぐる疑問
    砂浜の砂はどこから来たか

第2章 はげ山だらけの日本-「里山」の原風景
  1 日本の野山はどう姿をしていたか
    これが日本の山なのか?
    江戸の絵師が描く
    里山ブームの盲点
  2 石油以前、人は何に頼って生きていたか
    森しか資源のない社会
    理想の農村
  3 里山とは荒地である
    知られざる実態
    資源を管理する
    収穫を待ち望む
    里山生態系は荒地生態系?

第3章 森はどう破壊されたか-収奪の日本史
  1 劣化の始まり
    前史時代の森林利用
    古代の荒廃
    マツはいつ定着したか
    都の近辺で大伐採  
    領主の支配が及ぶ
    森が人里を離れる
    建築材を求めて全国へ
    里山の収奪が進む
  2 産業による荒廃の加速
    「塩木」となる
    製鉄のための炭となる
    焼き物のための燃料となる
  3 山を治めて水を治める
    3倍増した人口
    里山の疲弊
    思わぬ副作用
    山地荒廃への対策
    海岸林の発明
    なぜクロマツだったのか?
    地質によって荒れ方も変わる
    土壌とは何か
    木を植え続ける努力

第4章 なぜ緑が回復したのか-悲願と忘却
  1 荒廃が底を打つ
     劣化のピークは明治
    浚渫から堤防へ-治水3法の成立
    治山と砂防は本来ひとつである
  2 回復が緒につく
    災害の激増
    森林再生の夢
    海岸林の近代的造成とは
  3 見放される森
    エネルギーと肥料が変わった
    林業の衰退で木が育つ?
    森林は二酸化炭素を減らすのか
    劣化と回復を理解するモデル
    やがて新しき荒廃

第5章 いま何が起きているのか-森林増加の副作用
  1 土砂災害の変質
  土砂災害の呼び名いろいろ
     img-200215195535-002img-200215195535-0001
    なぜ崩れるのか
    表層崩壊と深層崩壊の違い
    地すべりとは何か
    土石流とは何か
  2 山崩れの絶対的減少
    かつて頻発した表層崩壊
    表面侵食が消滅した
    表層崩壊も減少、しかし消滅せず
    荒廃の時代は終わった
    流木は木が増えた証拠
  3 深層崩壊
    専門用語が定着した
    対策はあるのか
  4 水資源の減少
    森は水を貯めるのか
    流出を遅らせる力
    天然林志向を問う
    森は水を使う
    同じ雨は二度と降らない
    森を伐採して水が増える
  肝心の渇水時に水を増やさない
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    激甚災害は必ず起きる
  5 河床の低下
    砂利採取とダムの影響は?
    森の影響を見落とすな
    生態系への影響
    川はどうなるのか
  6 海岸の変貌
    海岸線の後退
    ”犯人探し”
    いくつかの「証拠」
    国土環境の危機

第6章 国土管理の新パラダイム-迫られる発想の転換
  1 ”国土”を考える背景
    国土の特徴を一文でつかむ
    プレートを読む
    気候を読む
  2 新しい森をつくる
    荒れ果てる里山
    人工林の荒廃、天然林の放置
    究極の花粉症対策とは
   森林の原理とは何か
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  里山は選んで残せ
 最後に、読者に身近な里山の将来について付言したい。往事の里山の再生がきわめて困難なことはすでに明らかであろう。人手をかけて森を徹底的に収奪しなければならないからである。割り切って、里山を稲作農耕森林社会の時代の文化財と考え、地域を限定し、森林ボランティアなどの力を借りて、”収奪”を試み、 かつての里山の姿を維持するほかない。
 近年、里山を保存しようという運動がさかんである。私も関東ローム層の台地の崖の斜面林や多摩丘陵その他の里山を保存するグループをいくつか知っている。どこでも保存活動に熱心なリーダーがいて頭が下がる。そして”間伐”が大切と考え抜き伐りなどの手入れに汗をかいている。しかし、一般の人にとって樹齢50年を超えた木を伐ることは難しく、また「もったいなくて伐る気になれない」という。しかし、かつての里山にそれほど大きな木はなかった。20年も経てば待ちかねて伐採し、利用していたのである。つまり、間伐をしても大きな木が残っているなら、 それは往事の里山の姿とはほど遠いことになる。かつての里山では、落葉や下草はおろか、灌木や高木の若芽まで刈り取っていた。だからこそ毎年春植物が咲き、清々しい里山が見られたのである。里山の保存がいかに困難であるかがわかるであろう。したがって、保存する里山を厳選し、一部に限定したうえで、昔の姿に戻し、それを維持するしかないのである。
 残りは「現代」の里山としての環境林、保健林、レクリエーション林、教育林などとして維持していくことになろう。しかしこの場合も、 管理はかなり難しい。その理由は、それぞれの目的にふさわしい森林を維持するためには、程度の差はあれ植生遷移の進行を止める”継続的な管理”が必要だからである。その管理方法に関しては多くの団体から有用な指導書が発行される時代になっている。しかし、このような使い道が見出せない場合、里山の森をどうすればよいのだろうか。
 私は最近、低炭素社会が叫ばれる中で、里山の森であっても生物多様性を保存した木材生産林として役立つ道を探るべきだと主張している。里山の森は地味も豊かで樹木の成長も早く、また道路に近いので伐採・搬出が容易である。管理次第で十分人々の好む広葉樹林同様の機能を発揮させられる 。ただしこのことを真に身に納得してもらうためには、先ほど述べた「新しい森林の原理」の中味をもう一度確認する必要があるだろう。(238~239頁)

  3 土砂管理の重要性
    異常現象にどう立ち向かうか?
    生物多様性を守るには
    山崩れを起こす
  4 海岸林の再生
    海岸林が浮き彫りにした国土の変貌
    海辺に広葉樹を植えるのか?

参考文献

あとがき


レイチェル・イグノトフスキー『プラネットアース イラストで学ぶ生態系のしくみ』 2月6日

レイチェル・イグノトフスキー『プラネットアース イラストで学ぶ生態系のしくみ』(創元社、2019年12月)を読みました。小学校5年生以上で習う主な漢字にルビをふってあるということですが、高等学校の「生物基礎」級の内容です。バイオーム(生物群系)地図の理解が第一歩でしょうか?
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プラネットアース イラストで学ぶ生態系のしくみ』目次
 はじめに
 生態学の構成レベル
 バイオーム地図
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 生態系とは何か
 エネルギーの流れ
 生物の分類
 生物どうしのかかわり合い
 健全な生態系
 遷移
 微小生態系
 顕微鏡で見た生態系

 北アメリカ大陸
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  セコイアの森
  北部グレートプレーンズ
  フロリダのマングローブ湿原
  モハーヴェ砂漠

 南アメリカ大陸
   img-200206210152-0003
  アマゾン熱帯雨林
  アタカマ砂漠
  パンパ
  熱帯アンデス

 ヨーロッパ
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  ブリテン諸島の湿原
  地中海沿岸
  アルプス

 アジア
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  北東シベリアのタイガ
  インドシナ半島のマングローブ
  東モンゴルのステップ
  ヒマラヤ山脈

 アフリカ大陸
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  コンゴの熱帯雨林
  アフリカのサバンナ
  サハラ砂漠
  ケープ半島

 オーストラレイシア
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  オーストラリアのサバンナ
  タスマニアの温帯雨林
  グレートバリアリーフ

 極地方の氷床
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  北極圏
  南極のツンドラ

 水圏の生態系
  外洋
  深海
  河川
  湖沼

 自然の循環
  炭素の循環
  窒素の循環
  リンの循環
  水の循環
  植物

 人類と地球
  農場
  都市
  人類が自然に与えた影響
  気候変動
  地球を守るために

 用語集
 参考資料
 感謝のことば
 著者について
 索引

※NHKのEテレ(毎週火曜日午後2:40〜3:00)で放送している『NHK高校講座・生物基礎』の第32回「世界のバイオーム①〜気候と生物の適応〜」(講師:宇田川麻由さん)、第33回「世界のバイオーム②〜さまざまなバイオーム〜」(講師:宇田川麻由さん)、第34回「日本のバイオーム」(講師:市石博さん)、第35回「生態系でのエネルギーと物質の流れ」(講師:関口伸一さん)の各回ページには「動画」、「文字と画像で見る」、「学習メモ」(PDF)、「理解度チェック」があり、至れり尽くせりです。
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※darie1228さんの『高校生物をまとめてみる
    1.森林の構造、2.光合成曲線、3.生産構造図、4.植生の遷移
  【生物基礎】第4章植生の多様性と分布(バイオーム)
    1.世界のバイオーム、2.日本のバイオーム、3.ラウンケルの生活形
  【生物基礎】第5章生態系とその保全(炭素の循環・窒素の循環)
    1.生態系、2.炭素の循環、3.窒素の循環、4.物質収支
  【生物基礎】第5章生態系とその保全(環境問題)
    1.地球温暖化、2.富栄養化、3.生物濃縮、4.自然浄化、5.外来生物

太陽光発電の環境配慮ガイドライン(案)パブコメ 1月21日

2月5日追記)小川町プリムローズゴルフ場跡地(約86ヘクタール)にメガソーラー(発電設備容量 39,600kW)が計画されており、2020年1月18日には業者により環境影響調査計画書の説明会が開催されました。NPOおがわ町自然エネルギーファームは業者に対して意見書提出(2月21日まで)を呼びかけています

太陽電池発電事業の環境への影響が生じる事例の増加が顕在化している状況を踏まえ、2020年4月1日から大規模な太陽電池発電事業については環境影響評価法(平成9年法律第81号。以下「法」という。)の対象事業として追加されています。また、2019年4月の中央環境審議会答申「太陽光発電に係る環境影響評価のあり方について(答申)」において、法や環境影響評価条例の対象ともならないような小規模の事業であっても、環境に配慮し地域との共生を図ることが重要である場合があることから、必要に応じてガイドライン等による自主的で簡易な取組を促すべきとされています。
 これを受けて環境省では、法や環境影響評価条例の対象にならない規模の事業について、発電事業者を始め、太陽光発電施設の設置・運営に関わる様々な立場の方により、適切な環境配慮が講じられ、環境と調和した形での太陽光発電事業の実施が確保されることを目的としたガイドライン(案)を作成しました。

 小規模出力事業とはおおむね出力50㎾未満の事業
環境影響評価法や環境影響評価条例の対象とならない、より規模の⼩さい事業⽤太陽光発電施設の設置に際して、発電事業者、設計者、施⼯者、販売店等の関係主体が、地域に受け⼊れられる太陽光発電施設の設置・運⽤に取り組むための、環境配慮の取組を促すものとして作成
環境配慮ガイドラインチェックシート【小規模出力版】(案)環境配慮ガイドラインチェックシート【小規模出力版】(案)_01環境配慮ガイドラインチェックシート【小規模出力版】(案)_02

太陽光発電のトラブル事例
2.3太陽光発電のトラブル事例(10~12頁)
(1)トラブル事例太陽光発電に関するトラブルについては、平成27年度[2015年度]新エネルギー等導入促進基礎調査(再生可能エネルギーの長期安定自立化に向けた調査)や平成28年度新エネルギー等導入促進基礎調査(太陽光発電事業者のための事業計画策定ガイドラインの整備に向けた調査)で定義されたように、「安全性に関するトラブル」、「維持管理に関するトラブル」、「地域共生に関するトラブル」、「廃棄・リサイクルに関するトラブル」に分類される。(「廃棄・リサイクルに関するトラブル」については2.6FIT期間終了後の課題にて説明する)
ア)安全性に関するトラブル
発電設備の安全性に関するトラブル事例として、電気設備の事故、特に焼損事故や、台風等の強風に伴う太陽電池モジュールの飛散や架台の損壊等が生じている。平成27年度新エネルギー等導入促進基礎調査(再生可能エネルギーの長期安定自立化に向けた調査)では、地上設置型太陽光発電設備においてキュービクルや接続箱において火災が生じた事例(図2.6)や、強風によりモジュール飛散が生じている複数の事例(図2.5)を紹介している。
イ)維持管理に関するトラブル
太陽光発電を長期安定的に継続するためには、発電設備の性能低下や運転停止といった設備の不具合、発電設備の破損等に起因する第三者への被害を未然に防ぐため、発電設備の定期的な巡視や点検の実施が重要である。しかしながら、メンテナンス等の不足により、モジュール不具合等による発電電力量の低下やPCSの運転停止といったトラブルが報告されている。トラブルの原因としては設備の初期不良や施工不良の他、鳥獣害によるモジュール破損(図2.6)や、草木の成長による発電量低下・発電設備の破損(図2.7)という事例も見られる。対策にはモジュールやケーブルの定期的な目視点検の他、柵・塀の設置も検討が必要である。
ウ)地域共生に関するトラブル地域共生に関するトラブルについては、周辺への雨水や土砂の流出、地すべり等の防災上問題の他、景観問題や地域住民による反対運動など、立地・事業計画の段階で地方自治体や地域住民への説明・コミュニケーションが不十分であったことに起因するトラブルも多く見られるようになってきている(図2.8)。特に投資商品として流通する発電設備については、発電事業者自身が現地を確認しないことも想定されるため、地域共生に関するトラブルが起こりやすいと考えられる。

ア)設計・施工段階での不具合(23~24頁)
太陽光発電の多くは、FIT制度の開始後に導入されたものであるが、あまりにも短期間に導入が進んだため、各種ガイドラインの制定や、技術者の育成等が間に合わないまま、設計・施工されてしまった案件が多い。もちろん、優良事業者によって適正に設計・施工されている案件も多数存在するが、中には、急傾斜地など危険な場所への設置や、単管パイプによる架台の施工など、安全性について懸念がある案件も多数報告されている(図2.23)。
このように、設計・施工段階から問題を抱えている案件は、適正に保守点検を実施したとしてもトラブルが発生する可能性が高い。また、設計・施工状況を確認しようと思っても、正確な竣工図等が準備されておらず、コスト・時間のかかる検査が必要となる等、保守点検事業者にとっても、設計・施工段階での問題有無が確認できない案件に対し、保守点検サービスを提供することは大きなリスクとなる。実際、発電事業者から保守点検の依頼があったとしても、前述のように設計・施工段階での問題を確認できない状況の場合、保守点検事業者からサービス提供を断るケースも発生している。

ウ)土木に関する問題(30頁)
図2.13で示したように、設計・施工段階と保守点検段階の双方に関連するトラブルとして土地造成に関するトラブルがあげられる。設計・施工段階で地耐力等を緻密に計算していたとしても、地下水の流れや植栽の根付きなど想定が難しいケースが多いとのコメントが保守点検事業者からあった(表2-7)。

廃棄・リサイクルに関するトラブル
(3)放置・不法投棄への懸念(34頁)
発電事業者が適切な廃棄・リサイクル計画の策定、費用確保ができなかった場合、発電設備が放置・不法投棄されることが懸念されている。設置形態や設置場所の保有形態を考えると、特に自己所有地に設置される発電設備について、発電設備が放置される懸念が高いのではないかと想定されている(図2.35)。自己所有地に設置される場合、事業を終了した発電設備を有価物とするか、廃棄物とするか判断が難しいため、行政処分等で強制的な撤去等が可能かについては更に検討が必要である。ただし、適切な処理を実施せず、発電設備が放置された場合は、架台の倒壊やモジュールからの漏電、有害物質の漏洩等、地域住民の暮らしに危険を及ぼす可能性も考えられるため、事業終了した設備を確実な廃棄・リサイクルへと促す方策について、このような実態を踏まえた上で、経済産業省、環境省をはじめとした関係省庁と検討を進めなければいけない。

太陽光発電設備の景観コントロールに関する論点
5-3.太陽光発電設備の景観コントロールに関する論点の整理(80頁)
第1は、太陽光発電設備の立地に関する論点である。わが国では、再生可能エネルギー導入施策の推進によって、2012年以降に全国で一気に太陽光発電設備の立地や計画が進んだ。この結果、これまで太陽光発電設備の立地を全く想定していなかったエリアの景観に大きな変化が生じたり、大きな影響を受けることが想定されるエリアでは、住民等の反対運動などに発展した。
第2は、太陽光発電設備の景観影響の緩和に関する論点である。太陽光発電設備を実際に設置する際に、景観シミュレーションを実施したり、設置方法を工夫したりすることによって、景観に対する影響はある程度緩和できていた。
第3は、太陽光発電設備に関する住民・行政・事業者間の協議・調整に関する論点である。関係者間での協議が円滑に進まない場合、あるいは必要な協議がなされなかった場合、トラブルが生じやすかった。
第4は、景観法に基づく景観コントロールの実効性に対する認識に関する論点である。景観法に基づく景観コントロールの特性についての理解が進んでいないために、行政担当者や住民が景観計画や景観条例に基づく太陽光発電設備の景観誘導の実効性に対して疑義を抱いている状況が把握された。
第5は、都道府県と市町村等との連携に関する論点であり、1つは現状では広域景観の形成において、都道府県のような広域自治体単位で一体的に推進することが困難であること、もう1つは景観行政に対する知識・経験が豊富なスタッフが不足しており、小規模自治体では開発許可が必要なレベル以上の大規模な太陽光発電設備の設置においては、事業者との協議や景観影響の緩和策の検討等のプロセスに、広域自治体による支援が求められていることである。

論点1:新たに景観面の留意が必要な立地(81頁)
政府の再生可能エネルギーの導入推進施策によって、とくに2012年以降に全国で太陽光発電設備の設置が急速に進んだ。この結果、これまで太陽光発電設備の設置が想定されていなかった場所でも太陽光発電設備の設置や計画がなされることにより、住民等とのトラブルが生じているケースがあった。これらは従来の景観計画・条例等では景観面の課題の発生が想定されていなかったエリアである場合が多く、中でもとくに景観への影響が大きく、課題となっている特徴的な立地パターンが、沿道景観、広域景観、里山景観の3つであった。
沿道景観
駅周辺や観光地など、徒歩の観光客が多く通る沿道の景観や、良好な眺望を重要な資源としている観光道路沿いに太陽光発電設備が設置されることによって、景観の連続性が失われたり、背景となる自然景観への眺望が阻害されたりするケース。
広域景観
メガソーラーのような大規模な太陽光発電設備が設置されることによって、当該設備が立地している自治体だけでなく、広域の幹線道路や隣接自治体からの中景及び遠景に影響を及ぼしているケース。大規模な太陽光発電設備が存在することによって、自然景観の連続性が分断され違和感を生じている。
里山景観
これまで自治体の景観計画等で、景観上特に重要な地域等には位置づけられてこなかった里山など(都市計画区域外のケースも多い)が、大規模に造成されて太陽光発電設備が設置されることによって、周辺住民が日常的に接していた景観が激変する場合。なお、里山に大規模に立地するケースでは、下流域への土砂崩れや洪水等からの安全性の確保が不可欠であり、太陽光発電設備の設置によって直接的に影響を受けると考えられる範囲が広く、更には生態系などの地域の自然環境全体への影響に対する危惧等も大きいため、大規模な反対運動に展開しやすい。

論点3:住民・行政・事業者間の協議・調整の円滑な実施(83頁)
太陽光発電設備の設置が何らかのトラブルに発展しているケースでは、いずれも協議のプロセスにおいてトラブルを抱えていた。協議が不調となっているのは、住民と事業者、事業者と行政、住民と行政などいずれの組み合わせもあった。円滑な協議は景観に関するトラブルを抑制し、良好な景観を形成するうえで不可欠であると言える。
住民間における合意形成が困難なケース
別荘地などにおいて新住民と旧住民の双方が利害関係者となっている場合、地域の内部で合意形成が困難なケースがある。その場合、住民と行政や住民と事業者間についても建設的な協議が成立しにくくなる傾向が見られるため、住民間の協議方法の工夫が必要である。
住民が事業者の協議に応じないケース
住民が、太陽光発電設備が迷惑施設であるという認識を持ったり、事業者が住民の意見に十分に対応せず、住民との協議が形骸化している場合、住民が協議の実効性に疑問を持ち、協議に応じなくなることがある。
行政と事業者の協議時間が不足しているケース
住民と事業者間で十分な合意形成が出来ていない段階で事業者が景観法に基づく届出をした場合、30日以内に助言や勧告を行うことが時間的に困難であると行政側が認識し、必要な協議が十分に実施出来なくなる場合がある。また、90日間の協議延長制度については、前例がないために行政担当者は活用を躊躇していた。
行政が協議内容を把握できないケース
事業者が地元自治会や地権者と個別に交渉して合意形成を行った場合、協議内容について行政が把握できない。とくに里山等の大規模な太陽光発電設備の立地においては、下流域に対する安全面や環境面での影響も大きく、太陽光発電設備の設置による影響が地元自治会の範囲を超えて生じるため、行政が協議内容を把握できていないと調整が困難になる。


普及が進むにつれ増大する「軋轢」
一方、導入が進むことで、逆に普及を難しくする新たな課題も認識されるようになりました。自然エネルギー設備を送電線に接続できない、いわゆる系統線の「空容量ゼロ問題」[6]などがその代表例ですが、もう1つあまり認識がされていない、大きな問題が存在します。開発にともなう「地域との軋轢」です。
FITでの買取価格の低下や、系統接続の費用が増大するなかで、採算性が取れるよう自然エネルギー事業の開発規模が大きくなっていること。加えて、開発が進むほどに、開発容易な場所が減少していることなどが原因となり、地域の自然や社会環境に負担をかけてしまい、住民との間で軋轢が生じる結果になっているものと考えられます。

もし、今後もこのような事象が増えてしまえば、環境問題(温暖化問題)への切り札であるはずの自然エネルギーも、むしろ環境問題を引き起こす原因と認識され、そのさらなる普及にストップがかからないとも限りません。

こうしたリスクは杞憂ではありません。すでにその片鱗をうかがわせているためです。例えば、風力発電の紛争に関する先行研究では、総事業の約4割がこうした地域からの理解を得られないことによる反対を経験したとの報告があります[7]。太陽光についても、やはり大型事業で同様の事象が発生しているとの報告がなされています[8]。

とはいえ、温暖化の進行で受ける影響を考えれば、導入は避けては通れません。自然エネルギー100%という、大きな目標を実現していくためにも、今後の開発は、事業者が地域の納得を得られるような、十分な環境配慮を伴うものとしていかなければなりません。

[6]上記と同様の資料3では、2016年末時点での、FIT制度以降の太陽光(住宅用+非住宅用)の累計が3,201万kW、風力で64.2万kWとなっている。ここではFIT開始である2012年7月~12月も1年として、2016年末までを計5年間として、等価換算した。なお、実際には風力等は建設に長期間を有するため、導入済み数に表れない計画がこれとは別にあることに注意。
[7]畦地啓太・堀周太郎・錦澤滋雄・村山武彦(2014)「風力発電事業の計画段階における環境紛争の発生要因」『エネルギー・資源学会論文誌』35(2)
[8]山下紀明(2016)「研究報告メガソーラー開発に伴うトラブル事例と制度的対応策について」 ISEPウェブサイト
環境配慮のあり方について
それでは、具体的には、どのように環境配慮を実現していけばよいのでしょうか?じつはすでに、これに対する答えのひとつとなる取り組みが各地でスタートしています。「ゾーニング」と呼ばれる適地評価のプロセスです。
ゾーニングの役割(市川大悟)

従来は、事業者が主となって事業の立地場所を選定してきましたが、これを、事業計画の内容が具体的に固まる前の段階に、地域の住民や行政、有識者などが中心となって検討し、自分達の地域で、開発を受け入れられる場所、そうでない場所を仕分けて、公表するプロセスを言います。地域環境をよく知り、そこに住まう人達が話し合うことで、環境負荷の少ない、地元が納得できる持続可能な開発に誘導することができると考えられています。

現在、県レベルでは青森県、岩手県、宮城県など、市町村レベルでは10近くの基礎自治体が策定済み、あるいは取り組みを進めています。2018年3月20日に、環境省から自治体向けに取組みのためのマニュアルが配布されたこともあり、今後はさらに各地で広がっていくことが期待されています[9]。

今後、自然エネルギー100%という大きなチャンレジを乗り越えていくためにも、さらに多くの地域にこうした環境配慮を伴った開発を促せるような取り組みが広がることが望まれます。

[9]環境省報道発表(2018年3月20日)

太陽光発電事業者と住民とのトラブル
再エネで発電した電気をあらかじめ決められた値段で買い取る「固定価格買取制度(FIT)」が2012年に創設されて以降、日本各地でたくさんの再エネ発電事業者が誕生しました。太陽光発電については、FIT開始の前から住宅やビルの太陽光パネル設置が進んでいましたが、FITが始まった後では、野原や山などにずらりと並ぶ太陽光パネルを見ることも増えてきました。
そうした中で、地域住民とトラブルになる太陽光発電設備が現れています。
そもそも、太陽光発電事業に使う土地や周辺環境に関する調査、あるいは土地の選定や開発などにあたっては、
・土砂災害の防止
・土砂流出の防止
・水害の防止
・水資源の保護
・植生(ある地域で生育している植物の集団)の保護
・希少野生動植物の個体および生息・生育環境の保全
・周辺の景観との調和
など、さまざまなことに配慮する必要があります。また、太陽光パネルに反射する光が地域住民の住環境に影響をおよぼさないように配慮することも重要です。
太陽光発電事業の実施にあたって、もし、このような適切な配慮がされなかった場合、周辺への雨水や土砂の流出、地すべりなどを発生させるおそれがあります。そうなれば、発電設備が破損するだけでなく、周辺に被害があれば、その賠償責任が発電事業者に生じることもあります。
残念ながら、新しく太陽光発電事業に参入した再エネ事業者の中には、専門的な知識が不足している事業者もいて、そのため、防災や環境の面で不安をもった地域住民と事業者の関係が悪化するなど、問題が生じているのです。

地域との関係の構築
トラブルを回避するために、まず何よりも欠かせないのは、地域住民とのコミュニケーションをはかることです。
もちろん、自治体の条例などもふくめた関係法令を守ることは必須です。もし違反があれば、FIT認定が取り消される可能性があります。ただし、たとえ法令や条例を守り、適切な土地開発をおこなったとしても、事業者が住民に事前に周知することなく開発を進めると、地域との関係を悪化させることがあります。実際に、地域住民の理解が得られずに計画の修正・撤回をおこなうこととなったケースや、訴訟に発展したケースもあります。
そこで、2017年4月に施行された「改正FIT法」(「FIT法改正で私たちの生活はどうなる?」参照)にもとづく発電事業者向けの「事業計画策定ガイドライン」では、地域住民とコミュニケーションをはかることが、事業者の努力義務として新たに定められました。コミュニケーションをおこたっていると認められる場合には、必要に応じて指導がおこなわれます。

ガイドラインでは、発電事業の計画を作成する初期段階から、地域住民に対して、一方的な説明だけに終わらないような適切なコミュニケーションをはかるとともに、地域住民にじゅうぶん配慮して事業を実施するよう努めることが求められています。事業について地域の理解を得るには、説明会を開催することが効果的で、「配慮すべき地域住民」の範囲、説明会や戸別訪問など具体的なコミュニケーションの方法については、自治体と相談することをすすめています。
現在のガイドラインで、地域住民とのコミュニケーションが「努力義務」とされていることについては、「義務化すべき」との声もあがっています。ただ、地域住民とのコミュニケーションのありかたは一律ではなく、各ケースや地域の特性に応じた、きめこまやかな対応を必要とするものです。もし国が一律に義務化すれば、「説明会をおこなったか否か」などの形式的な要件を基準に、義務が果たされたかどうかを判断することになってしまう恐れがあります。そこで、現状では、地域住民とのコミュニケーションを「義務化」するのではなく、地域の事情に応じてつくられた条例を遵守するように義務付けることで、地域の問題に対応できると考えています。

大切な再エネだからこそ住民に配慮しトラブルをふせぐ
「地域との共生」は、事業の開発段階だけの問題ではありません。発電設備の運転を開始したあとも、適切に設備を管理し、地域へ配慮することが求められます。たとえば、防災や設備の安全、環境保全、景観保全などに関する対策が、計画どおり適切に実施されているか、事業者はいつも確認することが必要です。また、周辺環境や地域住民に対して危険がおよんだり、生活環境をそこなったりすることがないよう管理する必要もあります。
さらに、事業の終了時には、発電設備の撤去や処分をおこなわなければなりません。2040年頃には、FITの適用が終わった太陽光発電施設から大量の太陽光パネルの廃棄物が出ることが予想されており、放置や不法投棄の懸念ももたれています。

日高市太陽光発電設備の適正な設置等に関する条例 1月20日

日高市では昨年(2019年)8月、「日高市太陽光発電設備の適正な設置等に関する条例」を制定しました。太陽光発電設備の設置を規制する条令は埼玉県内初です。
日高市議会は昨年(2019年)6月定例会で、市内高麗本郷の山林約15ヘクタールに民間事業者が設置を計画している大規模な太陽光発電施設について、議会として反対の意思を示す「大規模太陽光発電施設の建設に対する反対決議」、国に対し太陽光発電施設の設置に関する法規制を求める「太陽光発電施設の設置に対する法整備等を求める意見書」を可決。8月22日の臨時会で、災害防止や環境・景観の保全を目的(第8条)に、市が提出した太陽光発電の大規模施設の建設を規制する条例案が全会一致で可決され、即日施行されました。事業区域が0.1ヘクタール以上、総発電出力が50キロワット以上の施設に適用(第3条)。事業者は事前に届け出て、市長の同意を得ることを義務づけられ、太陽光発電事業を抑制すべき「特定保護区域」が指定され、その区域では「市長は同意しない」としています。罰則はありませんが、従わない事業者は住所などが公表(第17条)されます。
市はメガソーラー(大規模太陽光発電施設)が計画されていた高麗本郷地区の山林を特定保護区域に指定、建設を差し止める法的拘束力はありませんが、事業者はより一層慎重な地元への対応が求められます。

※条例・規則・要綱:条例は地方公共団体がその事務について、議会の議決によって制定する法規。規則は地方公共団体の長等がその権限に属する事務について制定する法規。一方、要綱は行政機関内部における内規であって、法規としての性質をもたない。

※2019年6月26日、日高市議会定例会最終日に賛成多数で可決された「大規模太陽光発電施設の建設に対する反対決議」と全員一致で可決された「太陽光発電施設の設置に対する法整備等を求める意見書」は以下の通り(『文化新聞』 BUNKA ONLINE NEWS 2019年7月3日号より)
  大規模太陽光発電施設の建設に対する反対決議
 現在、日高市大字高麗本郷字市原地区にTKMデベロップメント株式会社が計画している大規模太陽光発電施設の建設について、以下のように判断する。

 ①建設予定地は、国道299号北側に位置する山の南斜面、面積は約15ヘクタールで東京ドーム約3個分に相当する。この建設によって緑のダムと言われる森林は伐採され、水源かん養機能が失われ、集中豪雨による土砂災害や水害の危険性が飛躍的に高まる。このことが建設予定地の下流域に住む市民の生命に対する重大な脅威となる。
 ②太陽光発電事業は参入障壁が低く、さまざまな事業者が取り組み、事業主体の変更も行われやすい状況にある。発電事業が終了した場合もしくは事業継続が困難になった場合においては、太陽光発電の設備が放置されたり、原状回復されないといった懸念がある。
 ③建設予定地には、埼玉県希少野生動植物種の指定を受けているアカハライモリや埼玉県レッドデータブックに掲載されている絶滅危惧種のトウキョウサンショウウオなどの希少動物並びにオオキジノオ、アリドオシなどの希少植物が生息している。大規模太陽光発電施設の建設工事が始まれば、これらの希少生物の行き場が無くなり、日高市の貴重な財産を失うことになる。

 日高市の財産である日和田山や巾着田を含む高麗地域の景観や周辺の生活環境を守り、防災並びに自然保護および自然調和に万全を期すことが必要である。このことから、今後、地域住民の理解が得られないまま大規模太陽光発電施設の建設が行われることになれば、日高市議会としてはこれを看過できるものではなく、大規模太陽光発電設備設置事業の規制等を含む対策に関する条例の制定等に全力で取り組む所存である。
 よって、日高市議会は大規模太陽光発電施設の建設に対し反対する。

  太陽光発電施設の設置に対する法整備等を求める意見書
 太陽光発電は、温室効果ガスを排出せず、資源枯渇のおそれが無い再生エネルギー源で、地球温暖化の防止や新たなエネルギー源として期待されている。特に平成24年[1912年]7月の固定価格買取制度(FIT法)がスタートして以来、再生可能エネルギーの普及が進み、中でも太陽光発電施設は急増している。また、埼玉県は快晴日数が全国一という特徴からか、本市においても太陽光発電施設が増加し、今後もさらに増えることが見込まれている。
 しかし、一方で、太陽光発電施設が住宅地に近接する遊休農地や水源かん養機能を持つ山林に設置され、周辺環境との不調和や景観の阻害、生態系や河川への影響が懸念されている。さらに傾斜地や土地改変された場所への設置は、土砂災害に対する危険性が高まり、地域住民との間でトラブルとなっている。
 このため本市は、「日高市太陽光発電施設の設置に関するガイドライン」その他関係法令に基づき事業者への指導を行っているが、直接的な設置規制を行えないことから、対応に苦慮しているのが実情である。
 よって、太陽光発電事業が地域社会にあって住民と共生し、将来にわたり安定した事業運営がなされるために、国においては次の事項を早急に講じられるよう要望するものである。

 ①太陽光発電施設について、地域の景観維持、環境保全及び防災の観点から適正な設置がなされるよう、立地の規制等に係る法整備等の所要の措置を行うこと。
 ②太陽光発電施設の安全性を確保するための設計基準や施行管理基準を整備すること。
 ③発電事業が終了した場合や事業者が経営破綻した場合に、パネル等の撤去及び処分が適切かつ確実に行われる仕組みを整備すること。
 ④関係法令違反による場合は、事業者に対し、FIT法に基づく事業計画の認定取消しの措置を早急に行うこと。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

高麗郷を乱開発から守るために

太陽光発電・メガソーラーに関わる当ブログ記事
「森林を脅かす太陽光発電を考える」講演会に参加①(2018.12.02)
 


 
 
 

市民環境会議『生物多様性とは』 1月19日

東松山市環境基本計画市民推進委員会『市民環境会議』が総合会館で開かれました。「生物多様性とは ~人と自然が共生する世界の実現に向けて~」というテーマで、(公財)日本生態系協会環境政策部長青木進さんの講演です。
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講演で取りあげられていた埼玉県「生物多様性保全戦略」(2018年2月)、環境省自然環境局「生物多様性地域戦略の策定手引き」(2014年3月)、地域生物多様性保全戦略の策定や、日高市「太陽光発電設備の適正な設置等に関する条例」(2019年8月)、太陽光発電設備設置適正化問題等、市民推進委員会で意見交換していければと思いました。

J・ロックストローム『小さな地球の大きな世界』 12月27日

ヨハン・ロックストローム、マティアス・クルム『小さな地球の大きな世界 ープラネタリー・バウンダリーと持続可能な開発 ー 』(原著は2015年発行。監修:武内和彦、石井菜穂子、訳:谷淳也、森秀行 ほか。丸善出版、2018年)。プラネタリー・バウンダリー(地球の限界)は、2015年に国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)の基礎となった概念。著者のロックストローム博士はこの概念を主導する科学者グループのリーダーです。

プラネタリー・バウンダリー(地球の限界)とは?
人間の活動が地球システムに及ぼす影響を客観的に評価する方法の一つに、地球の限界(プラネタリー・バウンダリー)という考え方があります。地球の限界は、人間が地球システムの機能に9種類の変化を引き起こしているという考え方に基づいています。この9種類の変化とは、①生物圏の一体化(生態系と生物多様性の破壊)、②気候変動、③海洋酸性化、④土地利用変化、⑤持続可能でない淡水利用、⑥生物地球化学的循環の妨げ(窒素とリンの生物圏への流入)、⑦大気エアロゾルの変化、⑧新規化学物質による汚染、⑨成層圏オゾンの破壊です。これらの項目について、人間が安全に活動できる範囲内にとどまれば、人間社会は発展し、繁栄できますが、境界を越えることがあれば、人間が依存する自然資源に対して回復不可能な変化が引き起こされます。
生物地球化学的循環、生物圏の一体性、土地利用変化、気候変動については、人間が地球に与えている影響とそれに伴うリスクが既に顕在化しており、人間が安全に活動できる範囲を越えるレベルに達していると分析されています。
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(2017年版『環境・循環型社会・生物多様性白書』第1部・第1章地球環境の限界と持続可能な開発目標(SDGs)第1節持続可能な開発を目指した国際的合意 -SDGsを中核とする2030アジェンダ-)

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小さな地球の大きな世界 プラネタリー・バウンダリーと持続可能な開発』目次
序文 変革への協力関係
 生き方への二つのアプローチ
 新しい物語

重大な10のメッセージ
 1.目を開こう
 2.危機は地球規模で差し迫っている
 3.すべては密接につながっている
 4.予期せぬことが起こる
 5.プラネタリー・バウンダリーを尊重する
 6.発想をグローバルに転換する
 7.地球の残された美しさを保全する
 8.私たちは状況を変えることができる
 9.技術革新を解き放つ
 10.大事なことを最初にする

第一部 偉大なる挑戦
 第1章 新たな苦難の時代
  人新世にようこそ
  すべてが互いにつながっている
  地球を守る緩衝材

 第2章 プラネタリー・バウンダリー
  九つプラネタリー・バウンダリー
  プラネタリー・バウンダリーの現状
  ここからどこへ向かうのか?

 第3章 大きなしっぺ返し
  南極大陸:弱々しい兄貴分?
  地球からのメッセージ……「支払期限」
  崖っぷちの生物多様性
  サンゴ礁:気候変動における「炭鉱のカナリア」
  青天の霹靂?

 第4章 あらゆるものがピークに
  水圧破砕による石油・天然ガス採掘の問題
  リンのピーク
  何のピークも恐れなくてもよい世界

第二部 考え方の大きな変革
 第5章 死んだ地球ではビジネスなどできない
  問題の兆し
  地球が世界の経済を支えている
  狼、樹木、そしてマルハナバチ
  CSRはもう死語だ
  新しい物語

 第6章 技術革新を解き放つ
  技術革新の新しい波
  世界のエネルギー・システムを脱炭素化する
  すべての人のための持続可能な食料生産の増強
  循環経済への変革
  回復力のある都市の構造
  持続可能な交通手段
  想像力を解き放つ
  政策的手段
 この新たなパラダイム、すなわち、安定的で回復力のある地球とともに発展する世界のコミュニティを作るために、革新や技術、協働、そして普遍的な価値が結び付くというパラダイムを作るのに必要なものは何だろうか?そのために、私たちは以下の領域で、包括的な政策手段を構想している。

 1.地球上の安全な機能空間を世界的に規制すること:生物多様性の損失率をゼロとし地球温暖化を2℃以内にとどめることなど、世界の発展のための科学に基づく地球の持続可能性に関する基準に基づいて規制すること。
 2.地球に残された生物物理学的な余地空間を公平に分け合う方法について世界的に合意すること:鄭玄のある地球上の炭素排出量の配分、土地利用の配分、窒素とリン排出量の配分、また淡水利用量の配分に関する責任を分担すること、および残された重要な森林システムの保全や生物多様性の損失を食い止めるのに合意することを含む。
 3.世界的な炭素価格制度を導入すること:二酸化炭素1トンあたり少なくとも50ユーロ(60米ドル)が必要。
 4.政策的手段とガバナンスのあり方に幅広い多様性を許容すること:提携や誓約、市民運動、アクティビズムなどの「ボトム・アップ」の活動が、世界の国々や地域のガバナンスや組織的な統合など「トップ・ダウン」の取り組みと組んで発展すること。
 5.「GDPを超えて」成長と進歩に関する新しい基準を定義すること:進歩を測る新たな指標と環境志向の経済発展の概念を基礎にして構築する。
 6.対応能力の開発に莫大な投資をすること:世界の途上国への自由な技術移転と「第二の機械時代」を本格化するのに必要な大きな投資資金を含む。(153頁)

第三部 持続的な解決策
 第7章 環境に対する責任の再考
  新しいゲームのルール
  新しい緑の色合い
  計測することの重用性
  グローバル・コモンズに別れを

 第8章 両面戦略
  パワー・アップ
  新しい緑の革命 三つの課題
  青い大理石
  賢い投資

 第9章 自然からの解決策
  ウジを好きになる
  展望と解決策をつなげる
  実効性を確保するために

あとがき 新たなプレイ・フィールド

写真に関する補足情報
主要な出典および参考文献
著者紹介
謝辞
※監修者・武内和彦さんの本書紹介から(『UTokyo BiblioPlaza』HP)
地球に限界があることを指摘したのではない。プラネタリー・バウンダリーの範囲内でこそ、持続可能な経済や社会の成長と繁栄が保障されうるとの提案

ロックストロームらがプラネタリー・バウンダリーの概念を提唱した目的は、単に人間活動の加速化が地球システムの限界を超えるリスクを増大させていることに警告を発することにとどまるものではない。そうした限界を十分把握したうえで、人間活動をいかに回復力があり安定した生物物理的な「安全な機能空間」に収れんさせていくか、という新しい方向性を導こうとしているのである。この考え方は、かつてローマクラブが提唱した「成長の限界」とは一線を画している。むしろ、プラネタリー・バウンダリーの範囲内でこそ、持続可能な経済や社会の成長と繁栄が保障されうるとの提案である。この考え方は、国連が採択した2030年までの持続可能な開発目標 (SDGs) の捉え方にも大きな影響を与えている。すなわち、環境に関する目標の達成が、社会や経済に関する目標を達成するための大前提となるとの考え方である。


東武台ほたるを育む会活動エリア見学 11月20日

東武台自治会館裏の山林下の水路を清流化し、夏にホタルが舞う光景を目指して2012年から活動を継続している東武台ほたるを育む会の篠田さんの案内で、400坪の斜面林を見学しました。ギボウシ園やシュンラン園や散策路が整備されていました。
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環境基本計画市民アンケート調査票⑤「環境」の範囲 9月13日

第1次・2次東松山市環境基本計画においては、「東松山市美しく住みよい環境づくり基本条例」(1996年12月18日、条令第16号)の第4条(市の責務)の10項目を環境の範囲としています。
 ①緑地、河川、地下水、土壌等からなる自然環境の保全
 ②野生生物の保全、生態系の保護その他生物の多様性の確保
 ③公害の防止
 ④都市の緑化、水辺等の自然環境の適正な整備
 ⑤良好な景観及び歴史的、文化的遺産の保全
 ⑥生活環境の保全
 ⑦環境の保全に関する学習及び実践活動への積極的な支援
 ⑧資源の有効利用並びに廃棄物の減量化及び適正な処理
 ⑨地球の温暖化の防止、オゾン層の保護等の地球環境の保全
 ⑩その他、環境への負荷の低減

第1次環境基本計画(1999年4月策定)では、この範囲で「市民生活に係わる環境要素として5つの側面を対象」としています(10頁)。①人の健康・安全に関する環境、②自然環境、③快適環境、④資源・エネルギー環境、⑤環境への取り組みの5分野です。
「第3章 東松山市の環境の現況」で5分野の項目と参照されているアンケート結果を知ることができます。今回、第3次環境基本計画策定に当たってアンケート項目を調整すれば、20年前の調査と比較できます。

①人の健康・安全に関する環境(27頁)
 典型7公害(大気汚染、水質汚濁、騒音、震動、悪臭、土壌汚染、地盤沈下)
  大気汚染(20頁)
   空気のきれいさについてのアンケート結果(30頁)
  水質汚濁(30頁)
  騒音・震動(35頁)
   騒音に関するアンケート結果 自宅周辺の静けさ、騒音の原因(37頁)
  悪臭(38頁)
   悪臭に関するアンケート結果 自宅周辺の嫌な臭い、悪臭の原因(38頁)
  地盤沈下(39頁)
  土壌汚染(40頁)
  ダイオキシン問題(40頁)
 まちの安全性
 有害化学物質
 食の安全性
   身近な環境問題についてのアンケート結果(3つまで選択42頁)

②自然環境(43頁)
 本市の自然(43頁)
 現在残っている自然
 野生生物の生息空間
   東松山市で見られる身近な生き物(鳥類、神戸地区植物)45~46頁
   身近に見られる生物(ホタル、カブトムシ、オニヤンマ)についてのアンケート結果(47頁)
 市民の自然に対する意識(48頁)
   自然に対する市民の意識についてのアンケート結果
    市の現在の自然環境、将来の自然環境(48頁)

③快適環境(50頁)
 公園・緑地と歩行空間(50頁)
   公園や遊歩道に関するアンケート結果(51頁)
    あなたの家の近所に公園がありますか(1つ選択)
    散歩が楽しめるような緑が豊かでゆとりのある道路はありますか(1つ選択)
 親水空間(52頁)
 文化財(52頁)
 景観(53頁)
   街並みについてのアンケート結果(53頁)
    ご近所の街並みや家並みの美しさについて(1つ選択)

④資源・エネルギー環境(54頁)
 地球環境問題(55頁)
   地球環境問題に関するアンケート結果(55頁)
    地球環境問題の中で関心の高いもの(3つまで選択)
    地球温暖化の解決のために重要だと思う取り組み(1つ選択)
  オゾン層の破戒(56頁)
  地球温暖化(57頁)
 ごみ問題(58頁)
   ごみ問題に関するアンケート結果(59頁)
    ごみの資源化に伴い焼却や埋め立て処理よりもごみ処理経費がかかることについて
    ごみの問題に対処するための努力(1つ選択)
 水利用(60頁)
 エネルギー利用(60頁)

⑤環境への取り組み(61頁)
 環境保全に向けて行うべきこと(62頁)
   環境保全に向けて行うべきことアンケート結果(62頁)
    環境保全を行う上で優先して行うべきこと(3つまで選択)
 環境を今より良くするために重要なこと(63頁)
    環境を今より良くするために重要なこと(2つまで選択)アンケート結果
 環境に関連する市民活動(64頁)
    環境の取り組みへの参加方法(複数選択)アンケート結果
 事業者の認識(65頁)

第2次環境基本計画(2011年4月策定)では「東松山市美しく住みよい環境づくり基本条例の項目を計画の環境の範囲として定義する」(3頁)として、①自然環境の保全、②生物多様性の確保、③公害の防止、④都市環境の整備、⑤景観、歴史・文化遺産の保全、⑥生活環境の保全、⑦環境学習・実践活動、⑧ごみ減量・リサイクル、⑨地球環境の保全、⑩環境負荷の低減をあげています。市民アンケート調査は実施されていません。

環境基本計画市民アンケート調査票④住みごこち調査 9月12日

現在住んでいる場所に今後も住み続けたいかという質問です。
熊谷市の「まちづくり市民アンケート~指標の現状値と施策の重要度を把握するために~」(熊谷市総合政策部企画課、2019年)では次のとおりです。
 
 住みごこちについてうかがいます
 問1 熊谷市の住みごこちはいかがですか。1つ選んで番号に○をつけてください。
  住みやすい どちらかといえば住みやすい ふつう
  あまり住みやすくない 住みにくい わからない

 問2 熊谷市にこれからも住み続けたいと思いますか。1つ選んで番号に○をつけてください。
  住み続けたい できれば住み続けたい ふつう
  できればよそに移りたい すぐにでもよそに移りたい わからない

 問2-1 よそに移りたいと思う理由は何ですか。2つまで選んで番号に○をつけてください。
  生活環境が悪いから
  自然環境が悪いから
  交通の便が悪いから
  通勤・通学に不便だから
  教育環境が悪いから
  人間関係がよくないから
  友人・知人・親戚が少ないから
  イメージがよくないから
  スポーツ・文化施設が少ないから
  医療・福祉施設が少ないから
  その他

環境基本計画市民アンケート調査票③身近な環境の満足度・重要度 9月11日

身近な環境(住んでいる周りの環境、居住地周辺)に対する満足度と(今後の)その対策(施策)の重要度についての質問です。
回答を集計して、重要度・満足度を<重要度高・満足度高>【重点維持分野】、<重要度高・満足度低>【重点改善分野】、<重要度低・満足度高>【維持分野】、<重要度低・満足度低>【検討分野】の4つに分類し、各施策の重要度および満足度の現状値を相対的に評価して座標上で明らかにする「CSグラフ」(Customer Satisfaction)を作成します。
市民アンケートでは標本誤差が必ず生じるので、信頼できる調査結果を確保するために必要な調査票の回収数が必要です。4月1日時点の住民基本台帳人口(18 歳以上)の総数を母数として標本誤差を±2.5%として算出した場合、アンケートの回収数がそれ以下では統計資料として信頼できません。東松山市の2019年4月1日の人口は日本人87924人、外国人2283人、合計90207人です。算出式を見つけて何枚回収することが必要になるか計算して下さい。

志木市
 問2  住居周辺の環境に関して、現状の満足度と今後の重要度
  18項目各々4段階評価
  1 空気のきれいさ
  2 川の水のきれいさ
  3 雑木林等の緑との親しみ
  4 農地や里地との親しみ
  5 生き物とのふれあいや共生
  6 水辺との親しみ
  7 地震・水害等による防災対策の整備
  8 街並みの美しさ
  9 ごみの分別
  10 歴史的・文化的雰囲気
  11 景色のよいところがある
  12 散歩や歩いて移動しやすい
  13 市民が環境やまちづくりに積極的に参加する市民力の高さ
  14 子育てのしやすさ
  15 公園・緑地の身近さ
  16 文化・スポーツ施設の整備のよさ
  17 図書館の利用のしやすさ
  18 公共交通の便の良さ

鴻巣市
 問5  身近な環境の満足度
  18項目各々5段階評価
  1 空気のきれいさ(排気ガス、ばい煙など)
  2 空気のにおい(工場、畜舎などからの悪臭)
  3 まちの静けさ(騒音、振動など)
  4 川や水路の水のきれいさ
  5 水辺とのふれあい、親しみやすさ
  6 緑とのふれあい、親しみやすさ
  7 生き物(野鳥、昆虫など)とのふれあい
  8 農業や土とのふれあい
  9 公園や広場の環境、利用しやすさ
  10 まわりの景色や街並みの美しさ
  11 まちの清潔さやきれいさ(ごみの散乱など)
  12 耕作放棄地や空き地の管理状況
  13 自然災害(水害など)からの安全性
  14 有害化学物質(大気や水質など)からの安全性
  15 放射性物質からの安全性
  16 公共交通(バス、電車)の便利さ
  17 自転車の利用しやすさ
  18 食料や日常用品などの買い物のしやすさ
  満足
  やや満足
  どちらともいえない
  やや不満
  不満

 問6  将来の鴻巣市がどのような環境のまちであったらよいか
  14項目から上位5つまで選択
  1 きれいな空気が保たれているまち
  2 子どもたちが安心して遊べる緑や水辺のあるまち
  3 不法投棄やポイ捨てのないモラルの高いまち
  4 バスなど公共交通が便利で車に頼らないまち
  5 自転車利用や歩いて暮らせる「まち歩き」が楽しいまち
  6 鴻巣の自然や文化・景観を守り育てる美しいまち
  7 魚などが生息するきれいな川や水辺があるまち
  8 地域の農産物が流通する地産地消のまち
  9 工場や住宅地にも緑や花がいっぱいのまち
  19 農地や屋敷林・河畔林が残る緑豊かなまち
  11 環境教育や環境保全活動が進められているまち
  12 地域清掃などコミュニティ活動が盛んなまち
  13 自然エネルギーなどを利用するクリーンエネルギーのまち
  14 資源の再利用やリサイクルが進む資源循環のまち

深谷市
 環境への関心について
 問3  居住地周辺の環境についてどう感じるか
  10項目各々5段階評価・その他記入
  1 空気のさわやかさ(大気、臭気)
  2 川や湖沼のきれいさ
  3 自然と水辺とのふれあい
  4 ポイ捨てや不法投棄されたごみの少なさ(廃棄物)
  5 生活環境の静けさ(騒音・振動)
  6 自然環境としての緑の多さ(豊かな森林・植物等の自然)
  7 まちの緑の多さ(街路樹、公園の豊かさ)
  8 いきものとのふれあい(鳥や昆虫、及び在来生物の豊かさ)
  9 史跡・文化財などの多さ(歴史・文化)
  10 環境教育や活動参加の機会の多さ(環境への関心の高さ)

 問4  居住地周辺の環境について何が重要か
  12項目から特に重要なものを3つまで選択・その他記入
  1 空気のさわやかさ
  2 川や湖沼の水のきれいさ
  3 良好な自然の水辺環境
  4 ごみの少なさ
  5 環境の静けさ
  6 自然の緑の多さ
  7 まちの緑の多さ(公園等)
  8 豊かないきものとのふれあい
  9 歴史・文化との接しやすさ
  10 環境活動への関心の高さ
  11 国道やバス、鉄道などの公共交通の便利さ
  12 特になし
  13 その他

春日部市
 春日部市の環境について
 問10  身のまわりの環境について、満足度とその対策の優先度について
  15項目について、満足度各々5段階評価、優先度各々4段階評価
  1 水のきれいさ(川、地下水など)
  2 水辺の景観
  3 空気のきれいさ(工場からのばい煙、悪臭など)
  4 自動車の排気ガスの有無
  5 野焼きの有無
  6 騒音・振動(自動車や工場など)の有無
  7 ごみの不法投棄の有無
  8 空き缶、吸いがらなどのポイ捨ての有無
  9 リサイクル(資源循環)の推進
  10 緑の豊かさ(農地や樹林地など)
  11 生き物の種類の豊かさ(野鳥や昆虫など)
  12 まちなかの公園や自然の豊かさ
  13 まちなかの景観(屋外看板や広告)
  14 環境について学ぶ場や情報を得る場
  15 環境活動を一緒に行える仲間

北本市
 問5  最も大切に感じる北本市の環境について
  11項目から3つまで選択・その他記入
  1 買い物や交通の利便性
  2 市内に残る雑木林などの身近な自然
  3 蒲桜や荒川沿いの桜並木など
  4 市内の公園・街路樹・社寺林等の緑
  5 近所の人とのコミュニティ
  6 荒川と河川敷の自然や風景
  7 史跡や文化財等の歴史的・文化的環境
  8 まとまりある市街地や街並み
  9 市街地周辺のまとまりある農地や田園風景
  10 市内を流れる用水や水路
  11 その他

 問6  環境や環境保全への取り組みの変化について
 (1)ここ数年の市域の環境の変化
  14項目各々6択
  1 雑木林や水辺などの自然
  2 昆虫や野鳥など身近な生き物とのふれあい
  3 農地や田園景観
  4 公園や緑道・街路樹などの緑
  5 文化財等の歴史的・文化的環境とのふれあい
  6 空気のきれいさ
  7 水路や河川の水質
  8 身近な場所での音
  9 身近な場所でのにおい
  10 歩道の整備など散策やまち歩きのしやすさ
  11 自転車の利用しやすさ
  12 公共交通機関利用の利便さ
  13 家の周りや道路でのごみの散乱
  14 林や水辺、農地でのごみの散乱や不法投棄
  良くなった
  少し良くなった
  変わらない
  少し悪くなった
  悪くなった
  わからない
 (2)東日本大震災後の節電など省エネや環境保全への取り組みの変化について
  4項目各々6択
  1 家庭での節電など、省エネの取り組み
  2 マイカー利用時でのエコドライブの取り組み
  3 地域での環境保全活動や環境学習への参加
  4 節電など、他への働きかけ
  一層取り組むようになった
  震災時の取り組みを継続している
  震災前後で変わらない
  震災前の取り組みに戻った
  取り組まなかった
  わからない

 問9  まちづくりに向け優先すべき取り組み
  17項目・その他記入
  1 雑木林の保全と整備(管理
  2 自然豊かな水辺の保全と創造
  3 農地の保全
  4 自然に親しめる公園の整備
  5 市街地や住宅地の緑化の推進
  6 道路の緑化の推進
  7 野生生物の保護
  8 外来生物対策の推進
  9 鳥獣被害対策の推進
  10 歴史的・文化的環境の保全
  11 都市景観の創造
  12 土壌汚染の防止
  13 空気のきれいさの確保・維持
  14 水のきれいさの確保・維持
  15 化学物質からの安全確保
  16 騒音・振動、悪臭の防止
  17 環境教育・学習
  18 その他

 第1次環境基本計画策定のために、1997年9月に東松山市で実施したアンケート
  無作為抽出した東松山市在住の市民2006名(1331通、回収率66.4%)
   家の近所の環境、東松山市全体の環境、ごみ問題
   最近の環境問題、環境保全のための取り組み
  小中学校の小学5年生と中学2年生2293名(1998通、回収率87.1%)
   家の近所の環境、東松山市全体の環境、ごみ問題
   環境保全のための取り組み
  市内の事業者320社(158通、回収率49.4%)
   事業所で行っている環境への取り組み、今後の環境への取り組み

環境基本計画市民アンケート調査票②回答者の属性 9月10日

市民アンケートでは、まず回答者の属性を尋ねています。

志木市 問1 3項目
年齢(7区分):20歳代~80歳代以上
居住年数(市内、4区分):5年未満~20年以上
居住地域(7区分)

鴻巣市 問1 6項目
 性別(3区分)
 年代(7区分):18~19歳~70歳以上
 家族構成(6区分):一人暮らし、夫婦のみ、親子2世代(18歳未満の子)、親子2世代(18歳以上の子)、親子、孫3世代、その他
 居住地域(10区分)
 居住歴(市内、7区分):1年未満~30年以上
 職業(9区分):農業、商工業(自営業)、会社員、公務員・教員、パート・アルバイト、専業主婦・主夫、学生、無職、その他


深谷市 5項目
 居住地区(12区分)
 性別(2区分)
 年齢(7区分):10歳代~70歳以上
 職業(9区分):会社員、公務員、農業、自営業(農業以外)、家事専業、アルバイトやパート、学生、無職、その他
 居住年数(市内、5区分):5年未満~20年以上

春日部市 問1~問7 7項目 問14 9項目
 性別(3区分)
 年齢(8区分):10歳代~80歳以上
 住居の形態(6区分):一戸建て(持ち家)、一戸建て(借家)、社宅・寮、分譲マンション、賃貸マンション・アパート、その他
 家族の人数(4区分):1人、2人、3~5人、6人以上
 居住年数(5区分):5年未満~30年以上
 居住地区(7区分)
 職業(9区分):会社員・団体職員、公務員、自営業、農業、専業主婦(主夫)、学生、非常勤・パート・アルバイト、無職、その他
 省エネ製品・システムの導入状況:
  1 住宅用太陽光発電システム
  2 住宅用ソーラーシステム(太陽熱利用による給湯、冷暖房)
  3 気密性の高い窓・サッシなど
  4 断熱性や気密性の高い断熱材など(屋根や壁面)
  5 エコジョーズ、エコウィル、エコキュートなど、効率の良い給湯機
  6 電力消費や待機電力の少ない家電製品
  7 LEDなどの高効率な照明
  8 排出ガスが少なく燃費の良い自動車(PHVや電気自動車を含む)
  9 屋上緑化や壁面緑化、緑のカーテンなど


北本市 問1、問2 6項目
 性別(3区分)
 年代(8区分):20歳未満~80歳代以上
 家族構成(6区分):単身、夫婦のみ、親子2世代(子18歳未満)、親子2世代(子18歳以上)、親子、孫3世代、その他
 居住地域(8区分)
 住居の種類(4区分):一戸建て(持家)、集合住宅(持家・分譲等)、一戸建て(賃貸、社宅等)、 集合住宅(賃貸、社宅等)
 自家用自動車の所有状況について(4区分):所有していない~3台以上
 

環境基本計画市民アンケート調査票①質問 9月9日 

東松山市では第3次環境基本計画策定に向けて具体的な作業が始まっています。近年、環境基本計画を改定した埼玉県内5市(志木市、鴻巣市、深谷市、春日部市、北本市)の市民アンケート調査票から質問を書き出してみました。志木市は環境基本計画(2019年3月)資料篇7「志木市の環境に関する市民意識調査結果」、他市は各市のアンケート調査結果報告書を利用しました。深谷市も回答者の属性(居住地区、性別、年代、職業、居住年数)について質問していますが、調査票では質問の扱いにしていません(質問番号0番でしょうか)。
質問数が増えれば回答にかかる時間が増えますが、目安はどの程度なのでしょう。調査票の回収率は30.1%~45.4%です。

志木市
 問1  回答者の属性
 問2  住居周辺の環境に関して、現状の満足度と今後の重要度
 問3  環境に関する日常的な取り組みの実施状況
 問4  志木市の環境づくりにあたって大切であると思うこと
 問5  志木市内で自然を感じ、心が安まる場所

鴻巣市
 問1  回答者自身や家庭のこと
 問2  家庭での省エネルギー・自然エネルギー設備の導入状況について
 問3  日常生活での環境に配慮した取り組み(行動)状況について
 問4  身のまわり(小学校区くらいの範囲)の生きものについて
 問5  身近な環境の満足度
 問6  将来の鴻巣市がどのような環境のまちであったらよいか
 問7  鴻巣市の環境をよくしていく取り組みについて
 問8  環境保全に係る活動への参加について
 問9  参加したいと思う環境学習や環境保全活動
 問10  鴻巣市環境基本計画や市の環境に係る情報などについて

深谷市
 深谷市環境基本計画の認知度について
  問1  環境基本計画を知っているか
  問2  環境基本計画の4目標の進捗度評価
 環境への関心について
  問3  居住地周辺の環境についてどう感じるか
  問4  居住地周辺の環境について何が重要か
  問5  どのような環境問題に関心があるか
 環境保全の取り組みに関する意識について
  問6  自身の日常生活が周辺の環境に与える影響について
  問7  2016年11月に発効した「パリ協定」を知っているか
  問8  「パリ協定」の目標達成に向けて最も重要と考えられる取り組みは
  問9  環境保全ために日頃から心掛けている取り組み
  問10  地域の清掃、緑化等の環境保全に関する活動に、参加・協力したことはあるか
  問11  今後、環境保全に関する活動に参加・協力するか
  問12  環境情報を知らせるほうほうとして何がよいか
  問13  東日本大震災以降、環境の保全に対する意識に変化があったか
  問14  震災後、環境保全にかんするどのような活動に変化があったか
  問15  環境保全の取り組み評価についてどう判断するか
  問16  深谷市で後世に残したい自然環境や歴史的文化財、または改善してほしい場所と理由
  問17  深谷市の環境保全を推進していくため、市がどのような取組を進めていくことが望ましいか

春日部市
  問1~問7  回答者の属性
 普段の環境活動について
  問8  環境に関する普段の取り組み
  問9  環境に係わる活動に参加の有無
 春日部市の環境について
  問10  身のまわりの環境について、満足度とその対策の優先度について
  問11  環境問題を解決するためには、誰の責任や努力が必要か
 地球温暖化対策への取り組みについて
  問12  東日本大震災の前後で節電などの省エネ行動についての変化の有無
  問13  大震災後も取り組んでいない理由(or減った理由)
  問14  省エネ製品・システムの導入状況
 春日部市の環境への取り組みについて
  問15  春日部市が進めている環境に関する取り組みの認知度

北本市
  問1  回答者の属性
  問2  自家用自動車の所有状況について
  問3  省エネや自然エネルギー設備の導入状況
  問4  北本市環境基本計画について
  問5  最も大切に感じる北本市の環境について
  問6  環境や環境保全への取り組みの変化について
  (1)ここ数年の市域の環境の変化
  (2)東日本大震災後の節電など省エネや環境保全への取り組みの変化について
  問7  日常生活での環境に配慮した取り組みについて
  (1)エネルギーを大切に使うために
  (2)水資源を大切に使うための取り組み状況
  (3)ごみの減量化・資源化のための取り組み状況
  (4)まちの美化や生態系の保護のために
 北本市の環境を良くしていく取り組みついて
  問8  北本の雑木林に対する考え
  (1)民有林からなる雑木林に対する考え
  (2)雑木林を残していくために必要だと思うこと
  問9  まちづくりに向け優先すべき取り組み
  問10  地球温暖化対策に向けて優先する必要がある取り組み

次は質問の中身を検討してみます。

緑風ネットワーク21例会案内ハガキ(2002年7月) 8月19日

2002年7月23日の消印がある17年前のハガキが出てきました。緑風ネットワーク21の7月例会のお知らせです。
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東松山市環境保全課の講演で、演題は「環境都市宣言(大きく進む環境施策)」です。
ホタルの里設置、環境都市宣言、東松山環境パートナーシップ会議(東松山市長と環境団体がパートナーシップ契約をむすび、環境フェアー・市民憲章フェアーへの協力、事業支援などの実施)の設置など他市に先駆けて、さまざまな新機軸を打ち出しており、その先進性は市民団体、他市からも高い評価を得ております。
とありますが、現在当たり前だと思っているものがどのようにして始まり、どのような歴史をたどってきたのか、第3次東松山市環境基本計画策定にあたり振り返ってみたいと思いました。

緑風ネットワーク21(1995年~2003年)はNPO法人まちづくり楽会の前身。
1995年
緑風ネットワーク21発足。
1996年
文部省 女性の社会参加を推進する特別事業に参加。
東松山女性のネットワーク発足。
1997年
国際家政学会、プレコングレマをサポート。
1998年
公園調査。市内各所、三鷹市など訪問。
1999年
公園調査。公園シンポジウムの開催。
「子どもの遊び場検証」
2000年
公園シンポジウムの開催。
「公園を調べればそのマチが見えてくる」
児童文学「天の園」記念碑建設に係わる。
天の園フェスティバル第一回参加。
2001年
公園調査「舞岡公園訪問レポート」発行。
「秋津村訪問レポート」発行。
リバーレンジャー養成講座3回開催。
2002年
「学社融合訪問レポート」発行。
東松山環境フェアへの出展。
NPO法人化へ向けて学習・検討を始める。
2003年
NPO法人認証を受ける。
緑風ネットワーク21を発展的解散し、NPO法人まちづくり楽会となる。 

まちづくり楽会とはHPから)
まちづくり楽会は2003年埼玉県の認証をうけた特定非営利活動法人
前身は緑風ネットワーク21で都市公園・男女共生参画をテーマにまちづくりと、住民参画に関わる事業をほぼ十年間続けてきました。

法人化以降

1.まちづくりに関わる情報発信・IT事業
当市で開催する歩けの国際大会スリーでーマーチの公認ホームページの運営など

2.市民農園の運営・市民農園野良とみんなの彩園
有機農業、生ゴミ堆肥化のグループも参加運営しています。

3.大規模農家・風と土の館・野田の運営とエコサロン野田の運営

様々なイベント、風と土の館野田フェスタや、障害者や、子供たちのための自然体験などのプログラムと、体験サポート。
この施設を、様々な活動グループ、絵画、グラスアート、仏像彫刻、陶芸、朗読劇が利用している。風と土の館・野田フェスタは五月の連休、牡丹祭りあわせて、これらの人たちの作品展と、エコサロン野田ライブハウスにして、洋楽・歌謡・民謡・朗読劇・手品のショーも行われる。

付設のエコサロン野田は、埼玉県の元気なまちづくり助成資金の導入され、納屋がリニューアルされ現在ライブハウス、ギャラリー、自然体験の施設として利用されています。

これらの活動をベースに、様々な思いと、得意技を生かして、緩やかなつながりを醸成しながら、まちづくりについて考えています。


『環境首都コンテスト-地域から日本を変える7つの提案-』⑩ 8月18日

環境首都コンテスト全国ネットワーク+財団法人ハイライフ研究所編『環境首都コンテスト-地域から日本を変える7つの提案-』(学芸出版社、2009年)の巻末の220頁~222頁に『持続可能な地域社会をつくる 日本の環境首都コンテスト』概要、223頁に謝辞があります。
『持続可能な地域社会をつくる 日本の環境首都コンテスト』概要
 ■日本の環境首都コンテストの目的
 ■日本の環境首都コンテストの仕組み
 ■質問票
 ■コンテストの表彰
 ■報告書と先進事例集
 ■環境首都コンテストの影響
 ■環境首都コンテスト全国ネットワークの取り組み
 ■主催者について
日本の環境首都コンテストは、ドイツで実施された「環境首都コンテスト」をモデルとし、市民(NGO)の視点からの環境自治体づくり支援およびNGOと自治体さらには自治体間の環境問題に関する情報の相互交換の促進を目的とし、2001年度〜2010年度まで10年連続で開催されました。その成果は環境首都創造NGO全国ネットワークのサイトの「日本の環境首都コンテスト」の頁から各項目にリンクをたどれば読むことができます。

またサイトの政策活動パッケージ検索システムを利用すれば、気候変動防止の地球規模の環境問題の解決と、持続可能な社会を地域から実現することを目指した、エネルギー分野における自治体政策と住民活動の具体化事例(ひとつひとつの事例を「モジュール」と呼ぶ)を読むことができます。
先進事例集掲載事例一覧」、「政策・活動パッケージ」、さらに「ベストプラクティスの一覧」から絞り込み検索もお勧めです。例えば、「東松山市」で検索すると「環境まちづくりパートナーとの協働」、「環境まちづくり情報誌『風の根通信』」、「生態系も地域コミュニティも再生するホタルの里づくり事業」の事例(モジュール)を見ることができます。

『環境首都コンテスト-地域から日本を変える7つの提案-』⑨ 8月17日

環境首都コンテスト全国ネットワーク+財団法人ハイライフ研究所編『環境首都コンテスト-地域から日本を変える7つの提案-』(学芸出版社、2009年)の第3章「脱温暖化と持続可能な地域社会づくり」の目次です。

3章 脱温暖化と持続可能な地域社会づくり
 (1)地球温暖化は私たちに何をもたらすのか
  ◈食べ物が危ない
  ◈水が危ない
  ◈健康が危ない
  ◈地球温暖化は日本にとって大きな脅威

 (2)気候変動・地球温暖化問題の根源的解決は、持続可能な社会づくり
  ◈温暖化のほんとうの原因
  ◈コマメではだめ
  ◈科学技術に頼る危険性
  ◈個々努力から社会システムの変革に-持続可能な社会へ

 (3)地域からの脱温暖化をすすめるポイント
  ◈二酸化炭素排出量90%減の社会ビジョン
  ◈環境と経済、雇用との結びつき-ドイツと日本の違い

 (4)地域からの脱温暖化施策
  ◈地域のエネルギー政策
  ◈地域からの交通政策の転換
  ◈自転車とバスのまち〈ミュンスター市〉
  ◈まちづくりと路面電車〈フライブルク〉

 (5)人類の岐路~地域からの変革



『環境首都コンテスト-地域から日本を変える7つの提案-』⑧ 8月16日

環境首都コンテスト全国ネットワーク+財団法人ハイライフ研究所編『環境首都コンテスト-地域から日本を変える7つの提案-』(学芸出版社、2009年)の第2章「持続可能な社会をつくる7つの提案」第7節の目次です。先進事例として東松山市のホタルの里づくりが取りあげられています。

7節 率先例をつくりだす〜成果が人々に希望と行動する勇気を与える
  7.1 学校をまるごとビオトープに〈所沢市〉
   (1)武蔵野の風景が学校に
   (2)【成功の背景】学校・専門家・地域がともに作業

  7.2 ホタルをシンボルとした地域づくり〈東松山市〉
   (1)ハードな「公園」づくりからソフトな「仕組み」づくりへの方向転換
   (2)【成功の背景】手間ひま惜しまず、つながること、継続すること

  7.3 時間をかけた丁寧な合意形成〈三島市〉
   (1)「せせらぎと緑あふれる庭園のような街をみんなでつくろう!」
   (2)【成功の背景】住民参画でまちが変わっていく

  7.4 「環境こだわり米」を給食に〈高島市〉
   (1)子どもたちのために
   (2)【成功の背景】農家自らが力をつける場を提供

  7.5 飲み物から見直すライフスタイル
   (1)公共施設から自販機撤廃〈豊田市〉
   (2)【成功の背景】各種団体の協力を得て~62%が「不便を感じない」
   (3)市職員が水筒持参〈岡崎市〉
   (4)【成功の背景】年4回の採点

  7.6 全市で「ごみを燃やさないまち」へ〈日田市〉
   (1)ダイオキシンの値にショックをうけて
   (2)【成功の背景】全市で取り組む姿勢

  7.7 風を活かす〈京丹後市〉
   (1)小さなエネルギー革命
   (2)【成功の背景】初動期に力を入れる

  7.8 あるがままの自然、食、生活文化を体験〈諸塚村〉
   (1)林業の村全体をフィールドにした多様なプラン
   (2)【成功の背景】「無理しない」こと

  7.9 事例から見えてくること

  まとめ

『環境首都コンテスト-地域から日本を変える7つの提案-』⑦ 8月15日

環境首都コンテスト全国ネットワーク+財団法人ハイライフ研究所編『環境首都コンテスト-地域から日本を変える7つの提案-』(学芸出版社、2009年)の第2章「持続可能な社会をつくる7つの提案」第6節の目次です。

6節 行政を総合化する~縦割り弊害を除去し、施策の総合化を図る
  6.1 予算も支持者も増やす行政の総合化〈北九州市〉
   (1)徹底した住民参加によるグランド・デザインの策定からスタートした総合化
   (2)総合化を狙い、環境行政推進を牽引する「環境首都推進室」
   (3)環境事業を推進するための予算獲得の仕組みづくり
    ①ごみの25%削減を達成させた家庭ごみ収集制度の改定
    ②成果を元にCO2 50%削減の数値目標を掲げる低炭素社会の提示

  6.2 施策の総合化〈多治見市〉
   (1)すべての事業を総合計画で管理
   (2)政策形成ヒアリングとは
   (3)環境影響評価
   (4)用水路改修が総合的な目的事業へ~さらに住民主体事業にも
   (5)政策形成ヒアリングによる環境配慮
   (6)政策形成ヒアリング、環境影響評価の効果

  6.3 環境首都づくりに専任の副市長をおく〈安城市〉

  まとめ

『環境首都コンテスト-地域から日本を変える7つの提案-』⑥ 8月14日

環境首都コンテスト全国ネットワーク+財団法人ハイライフ研究所編『環境首都コンテスト-地域から日本を変える7つの提案-』(学芸出版社、2009年)の第2章「持続可能な社会をつくる7つの提案」第5節の目次です。

5節 パートナーシップを深める~参画と対話を自治体運営の基礎にすえる
  5.1 住民参加で育ちあうまち〈高畠町〉
   (1)全国に広がる「笑エネキャンペーン」
    ①特色は多様な人の動きとリピーターの多さ
    ②相乗効果を生み出す住民委員会
   (2)やる気を育てる環境アドバイザー制度
   (3)学校と協働ですすめる環境学習
   (4)人も育てながら燃費の改善~エコドライブ講習会

  5.2 住民自治への大きな一歩
   (1)住民が理解できる予算説明書の発行〈新城市〉
   (2)住民によるプロセスを重視した自治基本条例素案の策定〈大和市〉
   (3)地域課題の解決や住民参加を促す自治基本条例

  5.3 本質を踏まえた協働事業
   (1)住民と自治体が協働でつくった市民プラン〈三鷹市〉
   (2)環境基本計画策定と実施、環境基本条例制定における協働〈津山市〉
    ①画に描いた餅
    ②計画策定への主体的参加
    ③計画策定のプロセス
    ④環境基本条例案も市民提案
    ⑤2つのパートナーシップ
    ⑥実施段階もパートナーシップ
   (3)協働事業提案制度
    ①話し合いを重ねる協働事業提案制度
    ②複数年度の事業提案制度

  5.4 住民が住民活動を支援する
   (1)税金を住民活動に活かす仕組み〈市川市〉

  5.5 日本の直接民主主義
   (1)農村に受け継がれてきた住民自治の仕組み〈佐那河内村〉
   (2)地区の活動をつなぐ「諸塚方式」公民館活動〈諸塚村〉

  5.6 パートナーシップを成功させるために
   (1)パートナーシップの要件
    ①違いを活かす
    ②対等であること
    ③活動目的の合意と共有化
    ④信頼感と緊張感のある関係であることと情報開示

  まとめ

『環境首都コンテスト-地域から日本を変える7つの提案-』④ 8月12日

環境首都コンテスト全国ネットワーク+財団法人ハイライフ研究所編『環境首都コンテスト-地域から日本を変える7つの提案-』(学芸出版社、2009年)の第2章「持続可能な社会をつくる7つの提案」第3節の目次です。

3節 戦略的に事業を組立てる~将来像実現の道筋を明確にし、実行する
  3.1 水俣市の戦略
   (1)再生の5つのプロセス
    ①第1段階-水俣病患者の救済
    ②第2段階-もやい直し
    ③第3段階-未来の共有
    ④第4段階-行動
    ⑤第5段階-環境産業育成の取り組み
   (2)戦略の3つの特徴

  3.2 「子どもの食育」事業にみる施策の戦略〈水俣・芦北地域〉
   (1)事業の概要
   (2)ステップ1/「食育連携会議」の設置による「めざす姿」の確認と共有
   (3)ステップ2/食育推進計画の策定による「明確なプロセス」の確認と共有
   (4)ステップ3・4/地域で活躍するグループやNPOとの連携・協働
   (5)ステップ5/持続可能な地域社会の実現を見据えての課題

  3.3 日本一の「地下水都市」の水戦略〈熊本市〉
   (1)「まちづくり戦略計画」におけるリーディングプロジェクトとしての明確な位置づけ
   (2)水文化の保存・継承-都市ブランドの創造プラン
   (3)多様な政策手法の組み合わせによる多面的な施策・事業の展開
    ①地域の水の風土と文化を登録・顕彰するための「熊本水遺産登録制度」
    ②くまもと「水」検定制度-全国初の水をテーマにした「ご当地検定」
   (4)周辺/流域市町村との広域的な連携による健全な水循環を再構築するための取り組み

  3.4 ステークホルダーの参加・参画による施策・事業の進行管理と多面的な評価
   (1)評価の視点…進行管理・評価はだれが、なんのために行なうのか
   (2)住民主体の環境基本計画の進行管理と評価〈ニセコ町〉
    ①戦略上重要な環境白書〈環境報告書〉
    ②なぜ、ニセコ町で実現できたか

※くまもと「水」検定

※(北海道)ニセコ町環境白書

※ニセコ町環境基本計画基本行動目標


『環境首都コンテスト-地域から日本を変える7つの提案-』③ 8月11日

環境首都コンテスト全国ネットワーク+財団法人ハイライフ研究所編『環境首都コンテスト-地域から日本を変える7つの提案-』(学芸出版社、2009年)の第2章「持続可能な社会をつくる7つの提案」第2節の目次です。

2節 地域の将来像を描く~持続可能で豊かな将来像を描く
  2.1 ビジョンとは何か
   (1)最も持続可能な社会に近いと評価された国〈スウェーデン〉
   (2)ビジョンがもたらしたもの
   (3)日本のビジョンの現状と課題
    ①あるべき姿が、地域特性を踏まえ、明快になっているか
    ②「環境・経済・社会」を相乗的に高めようとしているか

  2.2 地域が目指す社会や経済の姿を明快にしたビジョン
   (1)地域特性を取り入れ、あるべき姿を具体的に描いたビジョン
   (2)分野別に、あるべき姿を描いたビジョン
   (3)まちの目指す社会像を明確に示した宣言や計画

  2.3 「環境・経済・社会」を相乗的に高めることを謳ったビジョン
   (1)「環境・経済・社会」をともに高めることを謳ったグランド・デザイン
   (2)すべての施策に環境の視点を取り入れることを定めた総合計画

  2.4 ビジョンの実効性向上のための工夫
   (1)リーディングプロジェクト
   (2)推進体制
   (3)指標化、数値化

  2.5 ビジョンがもたらすもの
   (1)本当に実施すべきことを選択し、優先順位をつけることができる
   (2)続けることができる
   (3)達成度を測ることができる

  まとめ

※(愛知県)

※(愛知県)碧南市環境基本計画

『環境首都コンテスト-地域から日本を変える7つの提案-』② 8月11日

環境首都コンテスト全国ネットワーク+財団法人ハイライフ研究所編『環境首都コンテスト-地域から日本を変える7つの提案-』(学芸出版社、2009年)の第2章「持続可能な社会をつくる7つの提案」第1節の目次です。

1節 人を活かす、創る~地域公共人材、意識を変え、まちを育む
  1.1 首長のリーダーシップ
   (1) まちのめざす姿を明らかにする
   (2) 住民・職員とのコミュニケーションを深め信頼関係をつくる
   (3) 地域課題を明確にし、解決策を自ら実行
   (4) 多様な主体、住民参画の地域づくり
    ①全員プレーヤーのまちづくり
    ②地域内分権で住民を主体者に

  1.2 職員の意識を変える仕組み
   (1)システムで意識を変える〈遊佐町〉
    ①窓口で最初に応対するのは課長
    ②住民の生活実態にあったセクションへ
    ③職員をまちづくりの担い手に
   (2)徹底した現場主義〈飯田市〉
    ①行政職員がコーディネーター
    ②現場を知って創造する
   (3)「農」がつなげる循環のまち〈池田町〉
    ①ボランティア活動に参加する職員
    ②資源再生アタック100運動
   (4)職員の主体性を引き出す本質的な行革〈尼崎市〉
    ①職員の声を直接聞く
    ②職員の自信と誇り、コミュニケーション能力
    ③即決で業務への問題意識を喚起
   (5)職員力アップがパートナーシップを促進する〈長崎市〉

  1.3 住民が主体のまちづくり
   (1)真の住民自治をめざして〈遊佐町〉
    ①少年町長・少年議会
    ②主体者づくりのための仕掛け
   (2)地域の力を高める人材育成〈飯田市〉
    ①統合的アプローチ
    ②ムトスの精神-地育力と公民館活動
    ③議会主導の自治基本条例制定
   (3)地域のお宝大辞典〈水俣市〉
   (4)学びながら自ら事業を立案する講座〈岡谷市〉
   (5)人づくりの複合教育施設〈志木市〉

  まとめ


『環境首都コンテスト-地域から日本を変える7つの提案-』① 8月10日

東松山市(第3次)環境基本計画策定に向けてプランづくりにかかわるあれこれを読書しています。環境首都コンテスト全国ネットワーク+財団法人ハイライフ研究所編『環境首都コンテスト-地域から日本を変える7つの提案-』(学芸出版社、2009年)は座右におきたい1冊です。

環境首都コンテスト-地域から日本を変える7つの提案-』第1章目次
1章 地域からの変革
 (1) 持続可能な社会を地域からつくる
  ◈人類社会-最大の課題
  ◈持続可能な社会は地域から
  ◈地域を基盤にする理由、その2
  ◈持続可能な開発、社会とは
 (2) 住みたくんるまちとしての「環境首都」
  ◈環境首都とはどんな町〈エッカーンフェルデ市〉
  ◈住みたくなるまち-環境首都に共通するもの
  ◈ドイツの環境首都コンテスト
  ◈日本の環境首都コンテスト-先進事例
  ◈持続可能な社会をつくる7つのポイントの提案
1 人を活かす、創る
 地域の公共をより良くするリーダー、コーディネーターが各セクターにいること、そのような人を創出していくこと
2 地域の将来像を描く
 地域特性を生かした持続可能で豊かな地域の将来像を多様な参画を得ながら描くこと
3 戦略的に事業を組立てる
 将来像を実現するための道筋が、総合計画、環境基本計画などで明確に示され、実行と評価に住民参加の仕組みがあること
4 環境、経済、社会を合わせる
 環境、経済、社会の3要素を合わせた相乗効果の得られる事業、活動を考案し優先すること
5 パートナーシップを深める
 参画と対話を自治体運営の基礎にすえ、その仕組みをつくること
6 行政を総合化する
 行政組織の縦割り弊害を除去し、総合的な施策立案と実施体制をつくること
7 率先例をつくりだす
 多くの人々が実際に行動に移すために、人々に希望と勇気を与える成果事例をつくりだすこと

「環境まちづくりパートナーとの協働」を読む② 8月5日


 環境基本計画の改定 ①基本的な枠組み
環境まちづくりパートナーとの協働18環境まちづくりパートナーとの協働19環境まちづくりパートナーとの協働20

 環境基本計画の改定 ②中心となる考え方
  ①YES I CAN, YES WE CAN
  ②身近なモデル(手本)をまずつくり、他の地域へ展開
  ③立派な冊子はつくらない
環境まちづくりパートナーとの協働21環境まちづくりパートナーとの協働22

環境まちづくりパートナーとの協働23環境まちづくりパートナーとの協働24

 環境基本計画の改定 ③検討の進め方
  市民主体の検討と市として検討の2本立て
環境まちづくりパートナーとの協働25環境まちづくりパートナーとの協働26

 市民主体の検討
  市民策定委員会 市民環境会議
  くらし 自然再生 しくみ・まなび
環境まちづくりパートナーとの協働27

 市民環境会議・部会
環境まちづくりパートナーとの協働28環境まちづくりパートナーとの協働29

 市民策定会議と行政(環境蚕業部環境保全課)協働
  市民環境会議・こども環境会議
環境まちづくりパートナーとの協働30環境まちづくりパートナーとの協働31環境まちづくりパートナーとの協働32

 市としての検討
  ①市として実施すべき取り組みの検討
  ②地域の様々な団体や事業者の自ら行う取り組みを集める
  ③モデル地区での地元学の展開
環境まちづくりパートナーとの協働33環境まちづくりパートナーとの協働34

 実効性の担保
  地域ぐるみでの進行管理
環境まちづくりパートナーとの協働35

 環境基本計画のあらまし
環境まちづくりパートナーとの協働36

 プロジェクトの理念
環境まちづくりパートナーとの協働37

 取組方針
環境まちづくりパートナーとの協働(松本浩一)_ページ_38 []


「環境まちづくりパートナーとの協働」を読む① 8月4日 

8月4日、環境基本計画(第三次)市民策定委員会プレ会議が総合会館で開かれました。
現在の環境基本計画(第二次)は2009年5月に環境基本計画市民策定委員会が設置され、11年3月に策定されたものです。第二次環境基本計画はどのようにして策定されたのか、市民の取り組みはどのようなものだったのか知りたいと思ってきましたが、格好の資料を見つけたので紹介します。松本浩一さん(東松山環境市民の会)の「環境まちづくりパートナーとの協働」は、2010年11月18日、熊本県水俣市で開催された『環境首都コンテスト 全国フォーラム in 水俣』の「地域から日本を変える! 自治体 環境先進事例 交流会」での発表資料(38頁・PDF)です(動画もあります)。
翌12月9日に東京都新宿区で開催された『環境首都コンテスト関東地区交流会2010』では中島和則さん(東松山市役所環境保全課)の同名の報告「環境まちづくりパートナーとの協働」があり、資料(98頁・PDF)、動画を見ることができますが、今回は松本さんの資料から掲載します。

松本浩一「環境まちづくりパートナーとの協働」
環境まちづくりパートナーとの協働01

 東松山市の特徴
  昭和31年当時の土地利用
  現在の自然環境マップ

 東松山市の将来像
  第三次総合振興計画(1996年~2005年)
    丘陵と緑と澄みきった青空につつまれた田園文化都市
  第四次基本構想(2006年~2015年)
    安心できる暮らしと豊かな自然を大切にしよう
環境まちづくりパートナーとの協働05
 ※[第五次東松山市総合計画(2016年~2025年)]
   まちづくりの基本理念
    みんなが笑顔 チャンスあふれる 安心で安全なまちづくり
   10年後の将来像
    住みたい、働きたい、訪れたい、元気と希望に出会えるち 東松山

 条令・計画の策定
  埼玉県・東松山市
環境まちづくりパートナーとの協働06

 環境行政推進のパターン
環境まちづくりパートナーとの協働07

 東松山市の場合も…
  ①「東松山市美しく住みよい環境づくり基本条例」の制定(1996年12月)、施行(97年4月)
  ②「東松山市環境基本計画」[第1次]の策定(1999年3月)
  ③市民版行動計画策定(2000年3月)
  [環境フェアの開催(2000年10月)]
  [ISO14001認証取得(2000年12月)]
  ④事業者版行動計画策定(2001年3月)
環境まちづくりパートナーとの協働08

 計画を作成し、関係者に配布しただけでは、何も始まらない
環境まちづくりパートナーとの協働09

 協働のルール:「協定」の締結
  環境まちづくりパートナーシップ協定を環境市民団体と締結(2001年9月)[環境市民団体11団体]
環境まちづくりパートナーとの協働10

 協働による普及啓発 それでも広がらない取り組み
環境まちづくりパートナーとの協働11

 環境まちづくり宣言の制定
  環境まちづくり宣言を制定(2003年6月議決)
環境まちづくりパートナーとの協働12環境まちづくりパートナーとの協働13

 つながりを基本とする具体的なプロジェクトの展開
  新たな環境まちづくりパートナーシップ協定の締結(2007年7月)[10年4月環境市民団体42団体]
環境まちづくりパートナーとの協働14

  [ホタルの里の拠点整備を環境まちづくりのモデル事業として推進(2003年4月~)
  [二酸化炭素排出抑制等普及啓発(キャンペーン)事業の実施(2004年11月)]
  [松山第一小学校に出力160㎾の太陽光発電設備の設置(2005年10月)]
  [地域省エネルギービジョンを制定(2006年2月)]
  [主要市施設を対象としたESCO事業導入可能性調査の実施(2007年4月)]

 具体的なプロジェクトを通じたパートナーシップの拡大
  環境NPO法人による中間支援業務
環境まちづくりパートナーとの協働15

 具体的なプロジェクト
  ホタルの里づくり
  電動アシスト自転車利用推進事業
  廃食油回収リサイクル事業
  里山保全活動
  生ごみ資源化研究会
  地球温暖化防止活動の推進
  アダプトプログラム等の美化清掃活動
環境まちづくりパートナーとの協働16

 協働による具体的プロジェクトを新たな環境基本計画にフィードバック
環境まちづくりパートナーとの協働17

「環境まちづくりパートナーとの協働」を読む②につづく

環境学習会2019(第2回) 2月17日

環境基本計画市民推進委員会主催環境学習会2019第2回『高齢者の支え合いと農のあるまちづくり~我が地域の福祉と環境を考えつつ』が開催されました。報告団体は殿山共同農場きずな、高野宏雄代表、片桐傅さん、古谷直道さんが報告しました。会場の市役所総合会館303会議室は満員の盛況でした。
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配付資料『殿山共同農場のお話し』
 1.私たちの思い
 2.共同農場の活動概要
 3.点検すべき事項
  (1)農ある街
  (2)自分が住む地域への思い
  (3)協同労働の協同組合
  (4)殿山共同農場の「共同」
  (5)高齢者が「共同する」ということ
 4.共同農場の展望
 5.当面の選択
 6.第2次東松山環境基本計画の視点から
 7.参考情報

3.点検すべき事項、4.共同農場の展望での「殿山共同農場での共同」と「協同組合の協同」の違い、高齢者の「共同」と若者(~50・60代)の「協同」、「殿山共同元気の会」と「殿山協同農場」との協力・連帯によるCSA(地域に支えられる農業)による「農ある街づくり」等の議論は、非常に有益なもので、勉強になりました。配付資料を入手して熟読することをお勧めします。

※富沢賢治「協同労働という働き方」(労働調査協議会『労働調査』2009年9月号)


第3回市民環境会議視察研修 1月31日

一般家庭から週一回、所定のゴミ集積所(クリーンステーション)に出される「プラスチック類」は2種類(プラマーク付のプラ①とプラマークなしのプラ②)です。今日はプラ①(プラスチック製容器包装物)資源化の行方を訪ねてをテーマに、市内集積所から運搬回収された「プラスチック類」を一時保管する西本宿不燃物等埋立地と栃木県下野市の西坪山工業団地にあるリサイクル事業者(再生処理事業者)ウィズペットボトルリサイクル株式会社栃木工場を見学しました。栃木工場では西本宿からトラックで搬出されてきたゴミ袋を破いて中身を抜き出し、異物を取り除いてリサイクルできるものとできないものとを選別し、圧縮・梱包した「ベール品」を一時保管する中間処理工場です。ベール品は品質調査が実施されます。
その後リサイクルできるものは、(財)日本容器包装リサイクル協会のリサイクル事業者(委託再商品化事業者)に引き渡されます。17年度は株式会社青南商事によって材料リサイクルされ、18年度は新日鐵住金株式会社に引取られてコークス炉化学原料化されています。これらのリサイクル製品製造事業者を再商品化製品利用事業者ともいいます。
栃木工場で刎ねられたもの(残渣)は東松山市に返送され、クリーンセンターで焼却処理されます。刎ねられるプラスチック類はプラマークがついていないもの汚れの付着しているものです。

西本宿不燃物等埋立地(ペットボトルはここで中間処理されています)
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分類別収集・処理フロー図2017年度プラスチック類の処理状況

ウィズペットボトルリサイクル株式会社栃木工場
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プラ残渣と異物としてはねられるもの
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埼玉県プラスチック類分別収集実施済み市町村
プラスチック類分別収集実施済み市町村

熊谷市のゴミ分別一覧表
・熊谷市のプラスチック製品は燃されています。生ごみ、木製品、布類、革製品、発泡スチロール、木の枝などとともに週2回、回収される「燃えるごみ」の分類で熊谷衛生センター江南清掃センター深谷清掃センターで焼却されます。
・熊谷市ではマークのある飲料・食料用ペットボトルは「燃えないもの」の分類で、「カン、ビン、ペットボトル(以上資源物)、不燃ごみ(小型の金属製品・家電製品、ガラス類、せともの類など)と同様、水曜日に順番回収されています。分別収集されたカン、ビン、ペットボトルは大里広域クリーンセンター(管理運営:大里広域市町村圏組合)で処理されています。ペットボトルは、日本容器包装リサイクル協会への引渡処理と大里広域市町村圏組合が民間事業者と直接契約しての引渡処理を行っています。


石坂産業三富今昔村大人の社会科見学コース 12月15日

東松山市環境基本計画市民推進委員会の視察研修で三芳町上富の石坂産業の廃材リサイクルプラントと三富今昔村を見学(大人の社会科見学コース)しました。
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※石坂産業廃棄物搬入・製品購入ガイドブック(https://ishizaka-group.co.jp/assessment/からダウンロード)
田中優さん「ゴミ問題の本当のこと(2013.2.1)」(田中優さんメルマガ 第685号、2018.12.6発行に再up)
※「学ぼう産廃 産廃知識」(日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)のHP)
※「分野別のご案内」(東京都環境局HP)
※「知っておきたい埼玉の環境」(埼玉県環境科学国際センターHP)

エコプロ2018に参加 12月8日

江東区有明の東京ビッグサイト(国際展示場)で12月6日から開かれているエコプロ2018見学会に参加しました。東松山市からは小学生親子と乗り合わせてバス一台52名が参加しました。
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太平洋セメントのブースでは原料工程・焼成工程での総合廃棄物リサイクル(マテリアル&サーマルリサイクル)システムについて学びました。
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ミキサー車型えんぴつ削り 車体を持って少し後に引き手を離すとゼンマイで走ります(プルバックカー)。

埼玉県、企業・団体、地権者の3者による「埼玉県森林づくり協定」締結による森林[もり]づくり(2006年~)フィールドマップ(34事例)
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ボッシュりん(東松山市民の森内8.0ha、2007年~)(ボッシュ株式会社)
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森林保全業務委託契約による保全活動+体験活動(ボッシュりん)
「森林保全活動により自然豊かな森林を従業員や家族が学び親しみ、森林の大切さを体験学習できる森林活動「ボッシュりん」を運営していきます。」

※太平洋セメントの『CSRレポート2018』の「社会とのコミュニケーション」には、「当社の行動指針の中には「広く社会とのコミュニケーションを行います。」と定めています。国内外の各拠点において、事業活動を行うのみならず、地域コミュニティのニーズに対して、太平洋セメントグループの事業特性を活かした様々な参画を行い、地域とともに持続的な成長を目指しています。」とあり、地域環境保全テーマに「森林や地域の自然保護活動」があり、「苗木の植樹、間伐等の森林保全活動への参加。地域の農地保全活動の支援。森林組合とのパートナーズ協定締結。地域の希少動植物保護活動」事例があげられている(64頁)。

ドングリウォッチング下見 11月13日

森林インストラクターの二宮さん、坂田さんと18日のイベント『ドングリウォッチング』の下見をしました。
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市民の森でドングリウォッチング(11月18日) 11月10日

11月18日(日曜日)、ドングリウォッチングを市民の森で実施します。参加費1人500円。ドングリ茶、ドングリクッキーの試食、参加児童は、3.5倍、6倍、13倍の観察ルーペを持ち帰れます。

ドングリチラシ
市民環境会議 市民の森でドングリウォッチング
主催:東松山市・環境基本計画市民推進委員会
担当団体:岩殿満喫クラブ・市民の森保全クラブ

市民環境会議 6月17日

自然と人が支えあう「いのち」輝く笑顔つながるまちづくり「市民環境会議」が市役所総合会館で開かれ、村山史世さんの講演「第3次東松山市環境基本計画と2030アジェンダ・SDGsを連結させるヒント?」がありました。
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おでん
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2030アジェンダ・SDGsを自分事化するためのワークシート

村山史世・相場史寛「2030アジェンダ・SDGsを自分事化するためのツールの開発」
                    (『日本環境教育学会関東支部年報』No.12、2018年3月)
①左端のおでん種に「あなたの関心ある課題や現状」を書き込む。
②真ん中のおでん種には円状にSDGsのゴールのアイコンが配置されている。このうち①の「関心ある課題や現状」に関連する複数のアイコンに〇をつける。〇をつけたアイコンで関連性があるものを線で結び、関係性を可視化する。
③下の皿に、「課題解決のための手段やパートナー、戦略」を書く。
④右端に「目指す将来ビジョン」をでっちあげる。
目指す将来ビジョンは、一時的にでっちあげても構わない。ビジョンは、状況に応じて立ち現れる生成的なものであり、時間・場所・環境に応じて変化する。だからこそビジョンは、絶え間ない問い直しと検証が必要である。このように、ビジョンは変化するものであるが、後で検証できるようにその時々のビジョンを書き留めることは重要である。また、この個人のビジョンは、他者や他の主体との対話によって共有ビジョンを構築するときにも、活動・行動を通じて自らの、および他の主体と共有・共創しているビジョンを書き直す時にも有用である。

環境学習会・おもいやり経済システム~電力会社のサードウェーブ~ 3月11日

環境基本計画市民推進委員会主催「環境学習会2018」が市役所総合会館3階会議室でありました。「思いやり経済システム~電力会社のサードウェーブ~」をテーマに、講師はHappyEnergy株式会社最高執行責任者(COO)・西本良行さんでした。講演後の質疑では、「地域新電力」についての議論もありました。
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※所沢市:地域新電力設立へ『毎日新聞』2017年11月14日
所沢市は13日、再生可能エネルギーによる県内初の地域新電力会社「所沢新電力(仮称)」をJFEエンジニアリング、飯能信用金庫、所沢商工会議所と共同で来年5月に設立すると発表した。自治体が出資する地域新電力は各地で設立されているが、県内では初。同10月には市内の公共施設への電力供給を始める予定だ。【清藤天】
所沢市は13日、再生可能エネルギーによる県内初の地域新電力会社「所沢新電力(仮称)」をJFEエンジニアリング、飯能信用金庫、所沢商工会議所と共同で来年5月に設立すると発表した。自治体が出資する地域新電力は各地で設立されているが、県内では初。同10月には市内の公共施設への電力供給を始める予定だ。【清藤天】
所沢市は13日、再生可能エネルギーによる県内初の地域新電力会社「所沢新電力(仮称)」をJFEエンジニアリング、飯能信用金庫、所沢商工会議所と共同で来年5月に設立すると発表した。自治体が出資する地域新電力は各地で設立されているが、県内では初。同10月には市内の公共施設への電力供給を始める予定だ。【清藤天】
※埼玉県秩父市、4月に地域新電力会社を設立『日本経済新聞』2018年2月8日

 埼玉県秩父市は地域を限って電力を供給する「地域新電力会社」を4月に設立する。市内の発電事業者から電力を買い取り、公共施設に電力を供給する事業を2019年4月までに開始する。太陽光など再生可能エネルギーの普及を促すと共に、事業収益を地域活性化に役立てる狙いもある。 

 新会社の仮称は「秩父市新電力」で、資本金は約2000万円。市が50%以上出資し、地域新電力事業を支援しているみやまパワーHD(福岡県みやま市)や地元金融機関なども資本参加する予定だ。 

 みやまパワーHDはみやま市と共同で地域新電力会社を立ち上げた実績があり、秩父市の新会社でも運営ノウハウなどを提供する。市は1月末、同社と新会社の設立準備に向けて協定を結んだ。 

 新会社は太陽光などを使って発電している市内の事業者と契約し、日本卸電力取引所を通じて電力を調達。市内にある100を超す公共施設に電力を供給する。現在、公共施設の電力需要を調査している。 

 公共施設向けの事業が軌道に乗れば、企業や家庭向けにもサービスを広げる方針。将来は市内だけでなく、秩父地域1市4町から成る「ちちぶ定住自立圏」での事業展開も検討する。 

 市内にはごみ処理の際のエネルギーを利用した発電施設のほか、水力や太陽光による発電施設もある。現在、これらの施設でつくられた電力の大半は市外の電力会社や企業に売電されているが、市は地域新電力事業によって、エネルギーの「地産地消」を目指す。「市外に支払っていた電気使用料金を地域内で循環させ、地域経済の活性化につなげる」(環境立市推進課)狙いだ。 

 地域新電力の多くは電力需要の予測をコンサルティング会社などに外注している例が多いが、新会社はみやまパワーHDから予測システムを導入し、自前で需給を管理できるようにする。 

 電力事業で得た収益は地域の課題解決に活用する。高齢者の買い物代行サービスなど、社会問題を解決する事業を展開する方針だ。 

 電力の小売り全面自由化を受け、各地で自治体が出資する地域新電力会社の設立が相次いでいる。埼玉県内では所沢市が会社を設立する計画を示している。

※みやま市出資の新電力に黄信号『産経ニュース』2017年12月8日

 福岡県みやま市と民間企業が出資して平成27年に設立した電力小売り企業「みやまスマートエネルギー」(みやまSE、磯部達社長)が、債務超過の状態に陥っていることが7日、分かった。さらに労働基準監督署から、9件もの是正勧告を受けていた。「エネルギーの地産地消」をうたい、自治体新電力の草分けとして注目される同社の行き先に、早くも黄信号が灯っている。 (高瀬真由子)

                   ◇

 同日の市議会一般質問で、末吉達二郎市議が問題を指摘した。

 市議会に提出された資料などによると、同社の最終赤字は27年度が1700万円、28年度は1800万円。2年連続の赤字で、累積赤字は3500万円となり、資本金2千万円を上回る状態に陥った。

 大口顧客の獲得が計画通りに進まなかったことなどから、売上高が伸びなかったという。これまでの市側の議会答弁などによると、28年度の売上高目標は26億円だったが、実績は7億円だった。

 末吉氏は「会社を解散した場合、(市による)1100万円の出資が消える。三セクであり、負債の一部を市が負担することも考えられる。市長には重大な責任がある」と追及した。

 西原親市長は答弁で「この会社は年齢がたてばたつほど、どんどん黒字になる。心配しなくて結構です。債務超過は許容範囲だ」と強調した。

 市側は、29年度は最終黒字を見込み、30年度中にも、累積赤字はほぼ解消できると説明する。

 また市議会では、同社が10月、大牟田労働基準監督署から、労働環境改善に関して9件の是正勧告、3件の指導を受けたことが明らかになった。労働基準法に基づく労使協定を結ばないまま、時間外労働をさせていたという。同社には現在57人の従業員がいる。

 こうした問題に関し、市長の議会での答弁は、感情的になった。

 問題を指摘する末吉氏に対し、西原氏は「全国に(電力の)地産地消を広げようと、(磯部)社長が全国を飛び回っている。それに対し、不満分子が10人くらいおる。あなたは10人の意見を聞いて一生懸命になっている」と述べた。

 末吉氏は「労働管理の正常化など、建設的なことを協議していたはずだ」と批判した。

 市議会側はこれらの問題ついて、今後も追及する構えをみせる。

 ◆民業圧迫

 みやまSEは資本金2千万円のうち、市が55%、民間企業の「みやまパワーHD(旧・九州スマートコミュニティ)」が40%、筑邦銀行が5%出資する。

 28年に始まった電力小売り全面自由化で、家庭向け電力販売に参入した。これまでに3800件の契約者を獲得。電力は市内の太陽光発電施設や、卸売市場などから調達。一般社団法人「低炭素投資促進機構」からの交付金もあって、九州電力より割安で販売する。

 みやまSEは、自治体が行う「新電力」として、メディアにも多く登場した。福岡県八女市や鹿児島県肝付町に誕生した電力会社にも、電力を供給する。

 ただ、電力全面自由化から1年8カ月。不採算を理由に、電力事業から撤退する業者も現れた。

 電力事業は薄利多売であり、契約者を多く獲得する必要がある。顧客獲得には大手電力会社をはじめ他社との競争が待ち構える。みやまSEの先行きは険しい。さらに、市場原理から離れた中で事業を展開する同社に対し、「民業圧迫」との批判もある。

村谷 敬=村谷法務行政書士事務所・所長「地域新電力が挫折する理由~地産地消や地域貢献の徹底がカギ」(『日経エネルギーNext』2018年1月19日

失敗しない地域新電力の作り方(その4)シュタットヴェルケを知ろう
     (『パワーシェアリング電力コラム連載・地域新電力第19回、2017年12月13日)
 いきなり、ちょっと脱線します。
私は、数年前からドイツのシュタットヴェルケを紹介していますが、最近になってやっと日本でもこの言葉が市民権を得てきたように思います。ところが、その中身についてはまだまだあまり知られていません。一番困るのは、ドイツのシュタットヴェルケと最近設立が聞かれるようになった日本の自治体新電力とを混同してしまうことです。
【中略】
 一方で、日本の自治体新電力は、たとえ自治体が50%以上の資本を有していても、基本的にはお客さんゼロ(仮に自治体の全施設を供給先に出来ても地域全体では一部)からスタートしますし、発電施設などのインフラはほとんど持っていないのが当たり前で、配電網はありません。これらの差は驚くほど大きく、まずはこの2つは全く別物と考えるべきなのです。
 ということで、自治体主導で新電力を立ち上げる時は、十分に気を付けなければならないことがあります。簡単に言えば、慌てないことです。
 どういうことかと言うと、すぐにシュタットヴェルケになろうとしないことです。前述した通り、ドイツのシュタットヴェルケはインフラや顧客などのベースがしっかりしています。だからこそ、電力などのエネルギー事業の余剰金を赤字の交通などの事業に回せるのです。最初はよちよち歩きの自治体新電力に多くを求めると、あっという間に事業採算性を失ってしまいます。ですから、まずは電力供給事業にしっかり取り組んで新電力の基盤を作ることです。その後で、ゆっくり市民サービスなどに取り組めばいいのです。
【中略】
 これを書いているのは12月10日(2017年)の日曜日です。日曜日に仕事をするのは、私も良くないと思いつつ、まあ、その話は置いておきましょう。さて、おととい、ある新聞が、日本で最も有名な自治体新電力「みやまスマートエネルギー」の経営危機について書きました。その新聞は、再生エネなど新しいエネルギー地産地消の動きに後ろ向きのメディアですが、記事の根拠はみやま市議会でのやり取りなので、内容はほぼ間違いないでしょう。
結論から言うと、みやまスマートエネルギーが二年連続で赤字となり、資本金を超える借金で債務超過の状態だという事です。この業界(新電力業界??ってあるのでしょうか)では知らない人がいない自治体新電力なので、あっという間に話が広がっています。良くあるパターンで、自治体新電力やまとめて新電力自体は危ないというような流れにならないか心配もあります。
 それを回避するためには、なぜそんな状態になったかということを知る必要があります。記事によると債務超過の主たる原因は、予想した売り上げに到達しなかったこととなっています。私から見ると、あまりに大きい固定費のせいではないかと思われます。昨年度の売り上げがわずか数億円の会社に60名近い社員がいるというのは疑問です。小売電気事業は薄利多売のビジネスです。また、需給管理を自前でやることにこだわるのも固定費を増やす原因に見えます。
 当事者ではないので想像の域を出ませんが、このコラムで書いたように、リスクを最小限にするということの重要性を再度認識したニュースでした。
地域から流出するエネルギー費はいったいいくらなのか
                            (同上連載第10回、2017年7月26日)
  ◎環境省の地域経済循環分析自動作成ツール環境省HP「地域経済循環分析」
                ツールのダウンロード、マニュアル、サンプル(岩手県久慈市)

環境学習会・市民参加による里山林の保全・管理を考える 2月18日

環境基本計画市民推進委員会主催「環境学習会2018」が市役所総合会館3階会議室でありました。「市民参加による里山林の保全・管理を考える」をテーマに、講師は島田和則さん(国立研究開発法人森林研究・整備機構 森林総合研究所 多摩森林科学園)です。
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※『都市近郊林管理の考え方 -市民参加のための手引き-』(独立行政法人森林総合研究所 多摩森林科学館、2015年3月)

※『里山に入る前に考えること -行政およびボランティア等による整備活動のために-』(森林総合研究所、2009年3月)

※『東京都保全地域 保全活動ガイドライン =東京の自然環境を次世代に伝えるために=』(東京都環境局 自然環境部 緑環境課、2014年3月)→東京都環境局の「保全活動ガイドライン」の頁からダウンロードして下さい

※『雑木林の保全管理と活用に関するマニュアル ~さいたま緑の森博物館を事例として~』(埼玉県、2016年3月改訂版)

※「自然環境の観点からの二次林の分析」(環境省) 分布状況、成立過程、放置した場合の変化、生物多様性への影響

※雑木林の萌芽更新をしている都立小宮公園(八王子市大谷町・暁町2丁目、21.3㏊)、『小宮公園ガイドマネジメントプラン』(東京都建設局、2015年3月)

※UTR不動産さんのブログのカテゴリ「八王子の公園」の記事一覧から第10話:小宮公園(八王子市大谷町・暁町)
小宮公園-1|「雑木林ホール」 
小宮公園-2|「バリアフリールートで花の迷路へ」
小宮公園-3|「しろはらの小道から大谷弁天池へ」
小宮公園-4|「木道を通ってひよどり沢へ」
小宮公園-5|「ひよどり山へ通じる小道」
小宮公園-6|「雑木林を抜けて草地広場へ」
※岡田航(おかだわたる)「「里山」概念の誕生と変容過程の林業政策史」(『林業経済研究』63巻1号)
抄録:元来,「里山」は地域社会の中で地理区分を表す用語として使用されてきたが,戦後復興の際,防災と森林資源の安定利用を図る過程で政策用語としての「里山」が登場した。1950年代,森林資源の高度利用が目指されると,農用林として使用されてきた「里山」は低位生産力地帯であるとされ,林業基本法制定の際の議論では「里山」における論争が行われた。1960年代末には逆に農用林が利用されないことが問題視され,農政も含めた総合利用のための施策として「里山再開発事業」が行われた。他方,林学の研究者の間では,1970年代以降社会文化的な要素も含んで人と「里山」との関わり合いの意味を捉える考え方が登場し,自然保護運動からは,二次的自然環境保全の重要さを訴えるための旗印として「里山」が積極的に用いられた。他方林業政策では,森林の多面的機能の観点から「里山」の意義を再考しようとする諸調査が行われるが,1990年以後は自然保護分野で「里山」が頻用されていくのとは対照的に,林業政策(森林・林業政策)においては次第に影が薄い用語となっていった。
かつて、「里山」という用語は森林生態学の四手井綱英氏が造語したという説(「この語はただ山里を逆にしただけで、村里に近いという意味として、誰にでもわかるだろう、そんな考えから、林学でよく用いる「農用林」を「里山」と呼ぼうと提案した……」)があったが、今日では「里山」は江戸時代の林政史料にしばしば登場していることがわかっている。

環境学習会2018 第1回 1月21日

東松山市役所総合会館で開かれた環境学習会2018(第1回)「埼玉県の中心にあるまち、やきとりのまち?」に参加しました。講師はTURNS記者・矢野航(やのわたる)さんです。303会議室は参加者で満席でした。
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まず、徳島県佐那河内村(さなごうち)、岐阜県郡上市山形県鶴岡市福島県二本松市の住民のまちづくりの事例が紹介されました。地域活性化、まちづくりには住民参加、楽しさが必要です。

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東松山市については、TURNSのサイトの矢野さんの記事「埼玉県の中心にあるまち、やきとりのまち?」をご覧ください。
次の学習会は2月18日(日曜日)『市民参加による里山林の保全・管理を考える』(島田和則さん、森林総合研究所多摩森林科学園主任研究員)です。
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