読書ノート

ニューツーリズムとは? 10月29日 

観光庁のHPに「ニューツーリズムの振興」(最終更新日:2016年3月11日)があって、「ニューツーリズムとは、従来の物見遊山的な観光旅行に対して、これまで観光資源としては気付かれていなかったような地域固有の資源を新たに活用し、体験型・交流型の要素を取り入れた旅行の形態です。活用する観光資源に応じて、エコツーリズム、グリーンツーリズム、ヘルスツーリズム、産業観光等が挙げられ、旅行商品化の際に地域の特性を活かしやすいことから、地域活性化につながるものと期待されています。/観光庁では、地域の特性を生かし、かつ多様化する旅行者のニーズに即した観光を提供するニューツーリズムの振興を図っています。」とあります。
国土交通省の外局として観光庁が発足したのは2008年10月です。2010年3月、観光庁観光産業課が発行したニューツーリズム旅行商品 創出・流通促進 ポイント集 2009年版」ではニューツーリズムのカテゴリー(テーマ)として、以下のものを例示しています(3~4頁)。

●産業観光 :<観光立国推進基本計画(2007年 6 月 29 日  閣議決定)>
 歴史的・文化的価値のある工場等やその遺構、機械器具、最先端の技術を備えた工場等を対象とした観光で、学びや体験を伴うものである。産業や技術の歴史や伝承すること、現場の技術に触れることは、当該産業等を生んだ文化を学ぶことであり、将来的な産業発展のためにも重要な要素である。

●エコツーリズム :<観光立国推進基本計画(2007年 6 月 29 日  閣議決定)>
    自然環境や歴史文化を対象とし、それらを損なうことなく、それらを体験し学ぶ観光のあり方であり、地域の自然環境やそれと密接に関連する風俗慣習等の生活文化に係る資源を持続的に保全しつつ、新たな観光需要を掘り起こすことにより、地域の社会・経済の健全な発展に寄与し、ひいては環境と経済を持続的に両立させていくことにつながるものである。ホエールウォッチングなど野生生物を観察するツアーや、植林や清掃など環境保全のために実際に貢献をするボランティア的ツアーなどが、これに当たる。
<エコツーリズム推進法  第二条 2 項(定義)>
  この法律において「エコツーリズム」とは、観光旅行者が、自然観光資源について知識を有する者から案内又は助言を受け、当該自然観光資源の保護に配慮しつつ当該自然観光資源と触れ合い、これに関する知識及び理解を深めるための活動をいう。

●グリーン・ツーリズム:<観光立国推進基本計画(2007年 6 月 29 日  閣議決定)>
  農山漁村地域において自然、文化、人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動であり、農作業体験や農産物加工体験、農林漁家民泊、さらには食育などがこれに当たる。
<農林水産省ホームページ  都市と農山漁村の共生・対流>
  グリーン・ツーリズムとは、山漁村地域において自然、文化、人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動。 農林漁業体験やその地域の自然や文化に触れ、地元の人々との交流を楽しむ旅。

●ヘルスツーリズム:<観光立国推進基本計画(2007年 6 月 29 日  閣議決定)>
  自然豊かな地域を訪れ、そこにある自然、温泉や身体に優しい料理を味わい、心身ともに癒され、健康を回復・増進・保持する新しい観光形態であり、医療に近いものからレジャーに近いものまで様々なものが含まれる。

●ロングステイ(長期滞在型観光):<観光立国推進基本計画(2007年 6 月 29 日  閣議決定)>
長期滞在型観光は、団塊世代の大量退職時代を迎え国内旅行需要拡大や地域の活性化の起爆剤として期待されるものであるとともに、旅行者にとっては地域とのより深い交流により豊かな生活を実現するものである。

●文化観光: <観光立国推進基本計画(2007年 6 月 29 日  閣議決定)>
日本の歴史、伝統といった文化的な要素に対する知的欲求を満たすことを目的とする観光である。
その背景には、①旅行の個人化と共に、旅行者ニーズも“十人十色”さらには“一人十色”と言われるほど多様化し、さらには成熟化によって、旅行者はより本物を求めるようになっている。多様な旅行者ニーズに対して、一律の規格の旅行商品ではそれらのニーズを満たすことは難しく、「多品種・小ロット」と言われる、きめの細かい旅行商品の提供が求められている。②地域に根付いた「自然」「歴史・伝統」「産業」「生活文化」等、これまで旅行の対象として認識されなかった地域資源が新たな観光、旅行の目的となってきている。地域の側では、地域の再生や活性化を観光を通じて取り組もうとする流れが全国で生まれている。③地域に根ざし、地域ならではの資源や文化を護り育てようとする取組みや、観光により地域を活性化しようとする取組みの中で、地域ぐるみで新しい地域に密着した旅行商品の創出が問われている(3頁)があります。
高度経済成長期の新幹線や高速道路網の整備、ジャンボジェット機の就航など、大量輸送機関の発達によって可能となった旅行の大衆化(マスツーリズム)、旅行会社が企画するパッケージツアー(募集型企画旅行)を利用して集団で、観光地をつまみ食いして、効率的にまわるおしきせの旅行(オールドツーリズム)から、個人の興味やペースに合わせた旅行へと、観光嗜好が変化してきたことが「体験型」、「交流型」のニューツーリズムを生み出しているということでしょう。

※ツーリズムのライフサイクル(尾家建夫「ニューツーリズムの概要と現状分析及び展望」『SRI』(財)静岡総合研究機構、第101号、2010年8月、4頁)
図ニューツーリズムの概要と現状分析及び展望20120818-172804-4454

※日本人の旅行の変遷(中根裕「土木観光への期待」『土木学会誌』99-6、2014年、13頁
図A(土木観光)

※旅行のニーズの変化(同上)
図B(土木観光)

井手英策『財政から読みとく日本社会』 10月26日

井手英策・宇野重規・坂井 豊貴・松沢裕作『大人のための社会科 …未来を語るために』(有斐閣、2017年9月)を読んで、その後財政社会学者の井出さんの著作を何冊か読みました。
ウェブサービスにパラ活ラボ提供の「ノイズレスサーチ」(http://pasokatu.com/nsearch#gsc.tab=0)があって、グーグルのカスタム検索機能を利用して、NAVERまとめ等まとめサイトやアマゾン、楽天市場など通販サイト、Yahoo知恵袋などQ&Aサイトなど不要な情報が多いサイトを検索結果から除外して表示します。通常の検索では埋もれている情報を見つけるのに便利です。ノイズレスサーチで「分断社会・日本」を検索してみてください。なぜ日本社会は分断されているのか、その処方箋、分断を超える突破口はどこにあるのかなど、井手さんの回答がわかります。

『財政から読みとく日本社会 …君たちの未来のために』(岩波ジュニア新書848、2017年3月)
はじめに

第1章 財政のレンズをとおして社会を透視しよう
 必要が生み出した財政/社会を映し出す鏡としての財政/特徴その一 小さくて信用されない政府/特徴その二 かたよった社会保障/特徴その三 公共投資が大好きな日本/特徴その四 農業に関心をうしなった国民?/特徴その五 教育への投資が少ない/特徴その六 税金は安いのに痛みは大きい/特徴その七 融通がきかない予算/社会をつくりながら社会を知る

第2章 小さな政府はどのようにつくられたか
 政府が小さいということ/望ましい大きさを決めることのむつかしさ/インフレーションが生んだ「総額に気をつかう財政」/生き残った戦争中のことば/「勤労国家」と「自己責任の財政」/貯金をエンジンとした日本経済/低成長と公共事業の急増/ 「総額に気をつかう財政」とシーリング予算/自助・共助・公助の社会/なぜ財政は変わらなかったのか/経済の長期停滞と財政危機

第3章 成長しなければ不安になる社会
 社会保険ってなに?/現金給付と現物給付がまざった社会保険/日本の医療と介護/お父さんやお母さんたちの苦労/家族への現金給付への反対/家族を大事にする/貧弱な障がい者給付/障がいの問題は自分の問題だ/生活保護とうたがう気持ち/勤労国家と僕たちの社会保障制度/小さな政府をささえる条件が消える

第4章 公共投資にたよった日本社会の限界
 荒廃から立ちなおるための公共投資/農業経営の効率化への動き/公共投資が公共投資を呼ぶ/公共投資と人の動き/コミュニティがささえた小さな政府/公共投資と族議員政治/族議員政治の根っこにあった日本社会の分断/公共投資の激減と建設業の衰退/農業も衰退した/公共投資の削減が生み出す新しいコスト/公共投資にたよらない社会を考える

第5章 柔軟で厚みのある社会をささえる教育
 少なすぎる日本の公的教育支出/生活が苦しくなり、子どもをあきらめる/おかしな教育の格差/なぜ公的な支出が少ないのか/奨学金問題/教育と経済成長/貧しくなった日本人/就学前教育の重要性/国際的な日本経済の地位/教育よりも経済が大事な日本人/よりよい社会のための教育

第6章 税の痛みが大きな社会をつくりかえる
 増税のむつかしい国/毎年のようにくりかえされた所得減税/増税でサービスを改善する経験がなかった日本人/大きく変わった社会/余裕をなくしてしまった日本人/社会保障・税一体改革の意味/お年寄りも困っている/ 「袋だたきの政治」/人間を信頼できない社会と自己責任/税制と民主主義

第7章 「君たち」が「君たちの次の世代」とつながるために
 「勤労国家」によるみごとな統治/経済成長という土台がくずれる/逆回転をはじめた「勤労国家」/相手を仲間ではなく他人と思う社会/小田原市の小さな物語/「何がちがうか」ではなく「何が同じか」を考える/ 「私」と「私たち」のちがい/現物給付をみんなに配る/「だれもが受益者」という財政戦略/格差が大きくならないか/現金給付と現物給付の決定的なちがい/重税国家ではない/経済の時代から人間の時代へ

あとがき


宮内泰介『歩く、見る、聞く 人びとの自然再生』 10月25日

宮内泰介さんの『歩く、見る、聞く 人びとの自然再生』(岩波新書1647、2017年)の目次です。

第1章 自然とは何だろうか?――人間との相互作用
1 生活の場から
岩のりの採集/何のために、誰のために自然を守るのか
2 ヨシ原という自然から考える
北上川河口のヨシ原は、どう生まれたか/地域住民のヨシ原利用/生物多様性を支えるヨシ原/攪乱
3 日本列島の自然の歴史
森は少なかった/草地の減少/落葉広葉樹や草原は、なぜ残ったのか/人間の活動が作り出した多様性
4 自然とは何だろうか
自然保護の考え方の変遷/生物多様性/里山保全という考え方/生態系サービスという考え方/自然とは何だろうか
5 半栽培
「半栽培」という考え方/多様な事例/三つの半栽培/半栽培のダイナミズム/竹林の変遷
6 伝統的知識
自然保護は、ときに住民への抑圧になる/自然保護難民/伝統的な生態学的知識

第2章 コモンズ――地域みんなで自然にかかわるしくみ
1 自然と社会組織
磯物と契約講/海の資源と地域組織/山の資源 ススキ
2 コモンズと「所有」
コモンズとは何か/「コモンズの悲劇」?/コモンズはどのように生まれるのか/誰のものか/フットパス/所有とは何だろうか
3 なぜ「集団的」なのか
歴史から来る「集団」のかかわり/みんなが納得できる柔軟な資源管理/コモンズの効用
4 災害とコモンズ
東日本大震災/合意形成とコミュニティ
コモンズの効用
 なぜ資源管理は地域で集団的におこなったほうがよいのか、なぜ人びとはそれを選択してきたのか、これまで見てきたコモンズの「効用」を整理してみよう。
 第一に、当事者たち自身によるルールによって適切な資源管理が可能になる。
 第二に、当事者たち自身によるルールなので、地域の事情に応じた細かで柔軟なルール作りや利益の分配ができる。平等への配慮、弱者への配慮など、地域の価値観を反映した資源利用が可能になる。
 第三に、当事者たち自身によってルールを決めるので、その決め方も含めて地域の中での「納得」をもたらす。たとえそれで何らかの不利益をこうむることがあったとしても、その正当性は維持される。
 第四に、個人や世帯を超えた地域全体の財産維持、地域全体の利益に資することができる。その際、個人・世帯の利益と地域全体の利益との間のバランスのとり方も、各地域の事情に合わせる形でできる。
 このように、地域みんなで自然にかかわることは、適切な資源管理であるだけでなく、複合的な意味合いをもっている。……(104~105頁)

第3章 合意は可能なのか――多様な価値の中でのしくみづくり
1 現代のコモンズ
ある都市の森林保全活動/都市部でのコモンズの実践/市民による森づくり/スペイン 干潟のコモンズ
2 順応的管理と「正しさ」をめぐる問題
何重もの不確実性/順応的管理とは何か/自然再生事業始まる/順応的管理の失敗/「正しさ」をめぐる争い/誰がかかわるべきか/どのような価値を重んじるのか/誰がどう承認するのか/世界は多様な価値に満ちている
3 多様な合意形成の形
むずかしい「合意形成」/ワークショップという技法/ワークショップの実践/無作為抽出された市民による討議/ハイブリッド型市民討議/合意とはいったい何だろうか/「合意」を広く考えてみる
4 順応的なガバナンスへ
柔軟性や順応性をもったモデル/複数のゴール/試行錯誤を保証する

第4章 実践 人と自然を聞く
1 聞くといういとなみ
奄美での聞き取りから/数値化による自然把握/「ppmに気をつけろ」/聞く/ふれあい調査/聞き書きをする/女川集落の日々/聞き書きの効用/物語が生まれる
2 物語を組み直す
感受性をみがく/歩く、調べる/外部者の役割

おわりにかえて 小さな物語から、人と自然の未来へ
小さな物語を大事にする/小さな社会からの自然再生

あとがき
主要参考文献

中村智幸『イワナをもっと増やしたい』 9月7日

中村智幸さんの『イワナをもっと増やしたい 「幻の魚」を守り、育て、利用する新しい方法』(フライの雑誌社、2007年12月)の目次です。

 第1章 不思議な魚、イワナ
 第2章 「幻の魚」イワナのプロフィール
 第3章 イワナ研究のフィールドワーク
 第4章 イワナの姿かたちは川や支流ごとに違う
 第5章 謎多きイワナの暮らし(1) 年齢の調べ方、成長、成熟、寿命
 第6章 謎多きイワナの暮らし(2) イワナはいつ、どれくらい移動するのか
 第7章 天然のイワナを守る
 第8章 イワナの種川を残し、守る
 第9章 イワナが産卵床をつくる場所の条件とは何か
 第10章 イワナの人工産卵場のつくり方
 第11章 イワナを守りつつ利用する新しい方法―イワナとヒトの未来
 おわりに
第7章~第11章は、
 第7章 天然のイワナを守る
  それぞれの川固有のイワナを保護する
  「聞き取り調査法」で天然魚の生息分布を推定する
  鬼怒川支流での天然魚の聞き取り調査例
  天然魚は支流の滝や堰堤上流の狭い範囲に生息している 養殖魚を放流すると天然のイワナがいなくなる
  なぜ天然魚を残さなくてはいけないのか?
  漁業法で定められた増殖義務が安易な放流につながった
  放流だけが魚の増殖ではない。漁場管理こそが重要
  保護水面に指定すれば天然魚を守れるか
  今となれば、あえて魚道をつくらないほうがいい堰堤もある
  天然魚が生息している水域の堰堤には、魚道を付ける
  遺伝子解析によって天然魚かどうか判別できそうだ
  遺伝子解析の具体的な手順とは
  できるだけ多くの川で天然魚の分布を調査したほうがよい

 第8章 イワナの種川を残し、守る
  イワナの産卵床は支流に多い
  たくさんのイワナが支流に産卵のために遡上する
  なぜイワナは支流で産卵するのか
  これまで「種川の条件」に関する研究は行われてこなかった
  イワナが産卵遡上する支流の環境条件とは
  産卵床は本流の遡上阻害物の下流に流入する支流や、遡上できる距離が長い支流ほど多い
  イワナの産卵保護のための河川管理方法
  釣り人や漁協にも、できることがある
  「産卵数の多い支流」より「繁殖に適した支流」の条件探しが大切
  禁漁にすると本当にイワナは増えるのか?
  禁漁河川で5年にわたり個体数を調査した
  そして、イワナは、増えた

 第9章 イワナが産卵床をつくる場所の条件とは何か
  産卵場所の細かい環境条件を調べる
  イワナとヤマメでは産卵場所の条件が少し違う
  ヤマメにくらべてイワナはいろいろな場所で産卵できる

 第10章 イワナの人工産卵場のつくり方
  魚の増殖方法は大きく三つ
  なぜ人工産卵場を造成するのか?
  はじめての造成実験
  人工産卵場の造成はそれほどむずかしくない
  造成した人工産卵場で多くのイワナが産卵した
  そして、産みつけられた卵はふ化した
  人工産卵場の造成技術の改良はじめての造成から10年が経過
  人工産卵場をつくるのに適した川の条件がある
  人工産卵場のつくり方の実際
  人工産卵場の耐久性、周囲の景観との調和
  人工産卵場造成のハウ・ツービデオがある
  河川管理者の許可は必要か?
  造成費用はいくらかかるのか?
  一か所あたりの造成費用は31,500円から 42,000円
  もっと安く造成する方法がある
  人工産卵場の増殖効果と、養殖イワナとの金銭的比較
  人工産卵場には天然魚や野生魚の産卵を助ける働きがある
  人工産卵場の造成は子どもの環境教育にも役立つ
  人工産卵場の造成はあくまで「次善の策」にすぎない

 第11章 イワナを守りつつ利用する新しい方法 イワナとヒトの未来
  川をゾーニングして、イワナを守りつつ、釣りを楽しむ
  新しいゾーニングを提案します
  川を釣りで高度利用する具体例のあれこれ
  放流方法の違いによるゾーニング
  群馬県の上野村漁協さんのゾーニング管理
  長野県の志賀高原漁協さんのゾーニング管理
  イワナを、守り、増やし、釣りに利用する方法は、たくさんある
  水源の森林を保全している漁協さんもいる

日本魚類学会自然保護委員会(HP) 開催したシンポジウム

工事用重機によるウグイの人工産卵場造成(埼玉県HP)

群馬県水産試験場『水試だより』45号(群馬県HP)
  【特集】放射性セシウムが群馬県に生息する魚類に与えた影響
  【水産行政から】温水性魚類を中心とした人工産卵床のつくり方
  【人工産卵床の主な長所と短所】
    【コイ・フナ、ウグイの人工産卵床のつくり方および留意点】
    【人工産卵床のつくる際の注意点】

※「日本で鯉放流が問題であるという事実がようやく大手マスコミで報道される」(『緩いロゴスblog』2017.05.18)

※「オイカワの産卵床造成と保護」(『入間漁協の活動報告』2016.07.17)

※「魚類資源保護のための石倉設置」(『岩殿満喫クラブ 岩殿 Day by Day』2016.05.17)

※「すみ場地図を基礎にしておこなう生態系保全の方式」(1)、(2)、(3) 
   櫻井善雄さん『水辺の環境学④ 新しい段階へ』紹介
    『岩殿満喫クラブ 岩殿 Day by Day』(2016.07.31)

※「槻川をきれいにする会 保育園児がウグイを放流(更新) 2011年6月
※「嵐山釣友会「釣り大会」 1953年9月」(『菅谷村【現嵐山町】報道』37号、1953年9月)
※「嵐山釣友会「釣り大会」 1954年9月」(『菅谷村【現嵐山町】報道』50号、1954年9月)
    『GO! GO! 嵐山3 嵐山ふるさと塾・チーム嵐山

高橋清孝『よみがえる魚たち』目次 8月28日

いきなり田んぼの水がなくなってしまう田んぼの畦からの漏水。アメリカザリガニやモグラ、ネズミなどによる掘削穴が原因で、見つけ次第、穴埋めしています。アメリカザリガニをトラップ(籠)で捕獲して、数を減らそうと計画していますが、高橋清孝『よみがえる魚たち』 (恒星社厚生閣、2017年6月)の第2章第3節アメリカザリガニの侵入を読んでみました。

 高橋清孝『よみがえる魚たち』(恒星社厚生閣、2017年6月)
1 章 淡水魚を取り巻く情勢
 1-1 絶滅のおそれのある淡水魚の現状と全国で展開する保護活動(小林 光・半沢裕子)
 1-2 絶滅のおそれのある野生生物種の現状と保全戦略(徳田裕之)

2 章 減少原因と対策
 2-1 開発による生息環境の破壊(高橋清孝)
 2-2 侵略的外来種の侵入
  2-2-1 オオクチバスの影響と対策(藤本泰文)
  2-2-2 ブルーギルの影響と対策(芦澤 淳・藤本泰文)

 2-3 アメリカザリガニの侵入
  2-3-1 アメリカザリガニの生活史 ―繁殖生態を中心に―(川井唯史)
   1. 生活史と繁殖周期
   2. 繁殖生態の特徴
   3. 繁殖生態から見た蔓延の理由

  2-3-2 アメリカザリガニが生態系に与える影響 ―浅い湖沼を中心として―(西川 潮)
   1. はじめに
   2. 湖沼食物網におけるアメリカザリガニの生態的地位
   3. 浅い湖沼の安定状態とその変化
   4. 侵入魚駆除の落とし穴

  2-3-3 アメリカザリガニの影響と対策 ―水生植物への影響と対策および効果―(森 晃)
   1. はじめに
   2. 水生植物のもつ生態学的機能
   3. アメリカザリガニの影響
   4. 伊豆沼・内沼における沈水植物保全とアメリカザリガニの対策
    1) 保護柵を用いた対策
    2) 埋土種子を用いた対策

  2-3-4 アメリカザリガニが水生昆虫類に及ぼす影響と対策およびその効果(西原昇吾・苅部治紀)
   1. はじめに
   2. アメリカザリガニが水生昆虫に及ぼす影響
   3. アメリガザリガニの駆除とその効果
    1) 千葉県のシャープゲンゴロウモドキ
    2) 石川県や岩手県の水生昆虫
    3) ベッコウトンボやオオモノサシトンボ
    4) 水田の水生昆虫の事例
   4. 今後に向けて

  2-3-5 アメリカザリガニによる魚類への影響―ゼニタナゴ,シナイモツゴ,メダカなど希少魚の繁殖が脅かされている―(高橋清孝・長谷川政智・久保田龍二・藤本泰文)
   1. はじめに
   2. アメリガザリガニの大繁殖によりゼニタナゴが全滅(中核ため池の事例)
    1) タガイはなぜ減少したのだろうか
    2) なぜタガイは下段池で全滅し、上段池では全滅しなかったのか?
   3. 池干し後にタガイとゼニタナゴが激減(C池の事例)
   4. アメリカザリガニ駆除後にシナイモツゴとミナミメダカが急増(中核ため池の事例)
   5. まとめ

  2-3-6 効果的なアメリカザリガニ防除技術の開発 ―トラップで低密度化を実現―(高橋清孝・長谷川政智・浅野 功・芦澤 淳・安住芳朗・久保田龍二)
   1. はじめに
   2. 効果的なトラップと使い方
    1) 市販トラップの性能比較
    2) 効果的な誘引餌
    3) トラップの設置間隔
   3. 連続捕獲装置を開発し省力化を実現
    1) 装置の仕組み
    2) 装置の設置間隔
    3) 実証実験

  2-3-7 アメリカザリガニの繁殖阻止を目指す捕獲方法の検討(高橋清孝・長谷川政智・西原昇吾・苅部治紀・林 紀男)
   1. 小型幼体とふ化稚仔を抱えた雌の捕獲
    1) しばづけとさで網すくい採りで小型幼体を捕獲する
    2) 小型定置網で稚ザリガニを抱えた雌を捕獲する
   2. 成熟親の捕獲と拡散防止
    1) 見つけ採り
    2) 巣穴に生息する雌雄ペアを捕獲する
    3) 浅所で塩ビ管や竹筒で捕獲する
    4) 池干しに伴う移動拡散を阻止する
   3. 池沼の冬期低水位管理によるアメリカザリガニ低密度化
   4. アメリカザリガニを防除して地域の生態系を復元

 2-4 その他の外来種の侵入
  2-4-1 ウシガエルの影響と対策(佐藤良平・西原昇吾)
  2-4-2 ミシシッピアカミミガメによる影響と対策(片岡友美)
  2-4-3 宮城県に侵入した外来淡水エビのカワリヌマエビ属(長谷川政智)
 2-5 東日本大震災の教訓 ―支えあって大災害を乗り越える―(高橋清孝)

3 章 地域ぐるみで全滅の危機を乗り越えたシナイモツゴの郷
 3-1 繰り返し発生した全滅の危機(高橋清孝)
 3-2 淡水魚を守る戦略と戦術
  3-2-1 魚類学的保全単位としての超個体群 ―遺伝的多様性を維持してきた淡水魚の戦略に学ぶ―(細谷和海)
  3-2-2 シナイモツゴ郷の会の戦略(高橋清孝)

4章 シナイモツゴの郷の取り組みと成果
 4-1 だれでもできる自然再生技術を開発し市民参加を実現
  4-1-1 だれでもできるシナイモツゴの人工ふ化(坂本 啓・高橋清孝)
  4-1-2 だれでもできるシナイモツゴとゼニタナゴ稚魚の飼育(高橋清孝・久保田龍二)
  4-1-3 だれでもできるグリーンウォーター ―植物プランクトンをペットボトルで簡単培養―(丹野 充)
 4-2 シナイモツゴ里親たちの活躍
  4-2-1 地域ぐるみの活動と里親活動による後継者の育成(二宮景喜)
  4-2-2 里親小学校子どもたちの取り組み
   4-2-2-1 命をつないで ―シナイモツゴの里親活動をとおして―(飯塚 昇)
   4-2-2-2 シナイモツゴの里親として(那須 孝)
   4-2-2-3 シナイモツゴと環境教育(佐々木洋一)
   4-2-2-4 里親小学校の取り組みと教育(加藤英紀)
   4-2-2-5 津波被害を乗り越え継続した里親活動(渋谷雄二郎)
   4-2-2-6 総合的な学習の時間で取り組む「シナイモツゴ」の教材価値を考える ―3 年生と6 年生の実践を通して―(浦川裕之)
  4-2-3 飼育保存と保全啓発を目指す水族館の取り組み(松本憲治)
 4-3 シナイモツゴ郷の米認証制度でため池を守る農業者を支援
  4-3-1 自然再生の側面から ―ため池を守る農業者を支援する体制づくり―(高橋清孝)
  4-3-2 中山間地域農業存続の側面から ―シナイモツゴ郷の米と地元住民の取り組み―(吉田千代志・菅井 博・佐藤弘樹)
 4-4 遺伝的多様性を維持しながら生息池拡大を実現―シナイモツゴおよびゼニタナゴ移植個体群の遺伝的多様性調査―(池田 実)
 4-5 地域ぐるみで後継者を育成(大崎市産業政策課)

5 章 よみがえる魚たち
 5-1 ため池と流域河川でよみがえった魚たち(高橋清孝)

まとめ ―魚でにぎわう水辺の自然をいつまでも―(高橋清孝)
poster
千葉県生物多様性センター
 『ストップザリガニ!』ポスター
 アメリカザリガニの及ぼす影響
 アメリカザリガニは生態系に大きな被害をもたらしています!(教員向け補足資料)

農研機構
 アメリカザリガニの畦畔掘削による漏水の実態と対策技術(若杉晃介、藤森新作、北川 巌)

※『農業および園芸』88巻8号(2013年8月)
 アメリカザリガニによる水田漏水の実態と対策(若杉晃介)

奥野良之助『生態学から見た人と社会』 8月15日

雨が降り続くので野良仕事を休んで水口憲哉[みずぐちけんや]さんの『魔魚狩り ブラックバスはなぜ殺されるのか』(フライの雑誌社、2005年)、『反生態学 魚と水と人を見つめて』(どうぶつ社、1986年)、『釣りと魚の科学』(産報、1974年)を読みました。その中で奥野良之助[おくのりょうのすけ]さんの『生態学入門 その歴史と現状批判』(創元社、1978年)を知り、金沢大学退職にあたり出版された『生態学から見た人と社会 学問と研究についての9話』(創元社、1997年)を読みました。

     奥野良之助『生態学から見た人と社会 学問と研究についての9話』目次
第1話 内心忸怩 負い目について
 沖縄への負い目 私の戦争協力 戦災孤児 点訳奉仕と学生運動 生態学 学生運動と生態学の挫折 須磨水族館で 生態学批判 負い目の効用

第2話 自己満足 評価について
 「日本生物学会」 「日本生物学会」設立趣意書 自分の評価と他人の評価 自己点検・自己評価 《学生の生活指導》 敗戦のショック 評価の基準 自分の物差し ダーウィンは「猛烈社員」だった

第3話 有学無知 知識について
 入れものと中身の関係を示す方程式 「権威」になると 後天性精神免疫不全症候群 知ることと理解すること 好奇心の起源

第4話 効率万能 無駄について
 談合賛成・規制緩和反対 大学にも競争原理導入 無駄の効用 「ネットワーク・ニュース」 限りなき無駄の再生産

第5話 環境破壊 真偽について
 人間にはなぜ尻尾がないか 1970年の公害問題 公害の救世主・生態学者 環境の主体 環境破壊の「科学的」防止法 公害の輸出 環境破壊の根本的解決法

第6話 体制変革 進化について
 進化と進歩 適応放散 生活場所の取り合い 適応の光と影 特殊化と一般化 陸上での進化 適応放散と体制変革 適応放散の行き着く先 次の時代を担う先祖 進化とは ダーウィンの「進化論」

第7話 適者生存 適応について
 『種の起原』との出会い チャールズ・ダーウィン ダーウィンの目的 生物の変異と生存競争 適応の説明 自然の経済とそのなかの場所 場所をめぐる生存競争 体制変革をどう見たか 大進化の機構 人間社会の競争は 動物と人間の違い

第8話 優勝劣敗 差別について
 DNAの拒否 能力差別 マルサスの『人口の原理』 マルサスの貧民差別 ダーウィンは…… ダーウィンとマルサスの類似点 優勝劣敗という神話

第9話 無学有知 学問について
 研究教育の場 サンフィッシュの喧嘩 研究競争 研究の近代工業化 学問と研究 人間社会との関係 国民のニーズ 内心忸怩の大切さ

あとがき

※ネットで見つけた記事
 奥野良之助先生のこと(『桟敷よし子さんを追っかけて・・プロジェクトJ』)

 おとくな夏(『梅香堂日記』)

 奥野良之助「金沢城のヒキガエル」の進化論批判(『mmpoloの日記』)

 金沢城のヒキガエル(『(続)さて何処へ行かう風が吹く』)

『川を活かした体験型学習プログラム』 7月31日

『小学生が川を安全に楽しく、学び遊べる 川を活かした体験型学習プログラム』(企画・編集 財団法人 河川環境管理財団 監修 体験型学習プログラムの開発に関する研究会)。東京書籍から2011年2月にA4・223頁、2,200円で発売されていますが、公益財団法人河川財団のサイトから無料でダウンロードできます。

はじめに
水辺体験学習と育成される力(角屋重樹)
体験学習としての川の魅力(金沢緑)

各教科に関連した川を活かした体験学習の実践例
・北上川のうつりかわり(改修の歴史とわたしたちのくらし)を調べよう(宮城県石巻市立飯野川第二小学校)
・「きれいな水はどこからくるの?」~川の水質調べ~(栃木県宇都宮市立城東小学校)
・渡良瀬川を活用した3年間の体験活動の取り組み事例(群馬県邑楽町立中野東小学校)
・「サケがおおきくなるまで」の発展学習として、サケの放流東京都足立区立鹿浜小学校)
・「流れる水のはたらき」を調べる(東京都調布市立布田小学校)
・多摩川での学年に応じた自然体験活動(東京都大田区立嶺町小学校)
・黒須田川を探検し、素晴らしさを伝える活動(神奈川県横浜市立大道小学校)
・カワゲラウオッチングを中心とした川に学ぶ体験活動の推進(岐阜県山県市立桜尾小学校)
・マイハザードマップづくり(兵庫県豊岡市立小坂小学校)
・生き物フレンズの活動(広島県海田町立海田東小学校)
・七歩川再生プロジェクト~きれいな川を取り戻そう~(大分県大分市立下郡小学校)

川を活かした体験型学習プログラム
1.川や水を感じる
 1-1  川や水辺の安全講座(室内講習編)
 1-2  川や水辺の安全講座(実技編)
 1-3  川を流れよう
 1-4  Eボートに乗ろう
 1-5  カヌーに乗ろう
 1-6  Dボートをつくって乗ろう
 1-7  遊びを探そう
2.川や水辺の環境を調べる
 2-1  諸感覚をつかい水質を調べよう
 2-2  川の生物から水質を調べよう
 2-3  科学的に水質を調べよう
 2-4  川の流れの速さを調べよう
 2-5  石や砂を調べよう
 2-6  模型から水の流れを学ぼう
 2-7  ゴミの分布を調べよう
3.川や水辺の生き物を調べる
 3-1  底生生物を捕まえよう
 3-2  魚を捕まえよう
 3-3  陸上昆虫を捕まえよう
 3-4  鳥を観察しよう
 3-5  植物を観察しよう
 3-6  生き物の分布を考えよう
 3-7  ホタルを飼育してみよう
4.環境保全・改善について
 4-1  ビオトープを活用しよう
 4-2  川にやさしいリサイクル
 4-3  水をきれいにしよう
 4-4  下水処理場を見学しよう
5.洪水の怖さや防災について
 5-1  洪水の怖さを学ぼう
 5-2  地域の川の洪水の歴史を学ぼう
 5-3  治水施設について学ぼう
 5-4  水防について学ぼう
 5-5  ハザードマップをつくろう
6.川と地域の歴史や文化について
 6-1  川でのイベントに参加しよう
 6-2  生活と川との結びつきを調べよう

巻末資料

『観光ガイド事業入門 立ち上げ、経営から「まちづくり」まで』 7月11日

藤崎達也『観光ガイド事業入門 立ち上げ、経営から「まちづくり」まで』(学芸出版社、2012年3月)を読みました。

『観光ガイド事業入門』目次
はじめに
Ⅰ 地域の魅力を伝える―ガイドという仕事
  1 知床での自然ガイドサービス誕生の経緯
  2 流氷ウォークの誕生
  3 シペル(シレトコ先住民族エコツーリズム研究会)の誕生
  4 田野畑村「番屋エコツーリズム」の誕生
Ⅱ 組織づくり
  1 組織づくりのタイプ
    *行政、観光協会、商工会といった組織が中心となっているケース
    *個別の民間企業が中心となっているケース
    *趣味やボランティアのグループが始めるケース
  2 組織づくりの要点
    *事業は人なり!
    *ガイド組織の法人化
  3 ガイド事業の経営
    *ガイド事業経営の様々な指標
    *競合他社の考え方
    *補助金や助成金などの考え方
Ⅲ マーケティングの基本―企画・商品化(Product)
    *ガイド事業における「マーケティングの4P」
  1 企画・商品化への基本姿勢
  2 企画
    *専門性の排除
    *手ぶらの原則
    *不快を快適に
    *ギャップの演出
    *エッジを効かせる
    *売られやすさ
    *誘導やコントロールの発想の排除
  3 商品化
    *ラインアップ
    *ブランド
    *商品ライフサイクル
Ⅳ マーケティングの基本―価格(Price)
  1 ビジネスとして事業の継続をめざす場合
    *価格の決め方
    *保険料について
  2 ボランティアガイド主体で事業の継続をめざす場合
Ⅴ マーケティングの基本―広報・宣伝(Promotion)
  1 インターネット
    *結局、文字が重要
   *Q&Aからコンテンツを拡充
   *写真やデザイン、色などで訴求
  2 プレスリリース
  3 日常的な広報担当者とのコミュニケーション
  4 チラシやパンフレットの作製
Ⅵ マーケティングの基本―流通経路(Place)
  1 旅行会社
  2 オプション
  3 ホテルなどの宿泊施設
  4 インターネットの個人予約
Ⅶ ガイドの育成
  1 ガイドに向いているキャラクター
   *物知り旅人タイプ
   *地域に惚れ込んでいるタイプ
   *接客業が好きなタイプ
  2 ガイドに向いていないキャラクター
   *コミュニケーションが苦手なタイプ
   *思想の強いタイプ
  3 ガイドの育成プログラム
Ⅷ リスクマネジメント
  1 リスクマネジメントの基本的な考え方
  2 リスクマネジメントの実際
   *緊急連絡フローの作成
   *ドライスーツなどの安全装備
   *救命処置法の習得・定期的な訓練・資格の更新
   *流氷上、雪上、林床内等、様々なシチュエーションでの訓練
   *スタッフノート等を通してヒヤリハットの共有
   *リスクマネジメント担当者の設置とMFA[MEDIC First Aid]インストラクター資格取得
   *誓約書・保険
Ⅸ まち巡りガイドなどへの応用
   *観光は夢を叶える産業
  1 ガイド業はコンシェルジュでありホスト・ホステスである
  2 まち巡りガイドはまちを巡ることにこだわらない
  3 旅行会社や地元のバス会社などと共同企画をしてブラッシュアップを
  4 まち巡りガイドといえども重要なリスクマネジメント
  5 小さなガイド団体向けの戦略―広域連携
Ⅹ 観光地におけるガイドプログラム発展のための環境整備
   *ガイドツアーとまちづくり
  1 人出の変化に対応すること
  2 町並みや風景の変化に対応すること
  3 自然保護への対応
  4 サービスの変化への対応
  5 行政サイドの施策をPRするスポークスマンの設置
   *自然保護地域における利用規制やルールなどの広報
   *自然素材の消費の回避
   *民間サイドと行政サイドの中間的な立場
   *宣伝マンの交代による新陳代謝の活性化
   *企業スポンサードなど連携の模索
おわりに

『地域ぐるみグリーン・ツーリズム運営のてびき』 7月1日

昨日、埼玉県グリーン・ツーリズム推進協議会の理事会がありました。帰宅後、都市農山漁村交流活性化機構企画編集『地域ぐるみグリーン・ツーリズム運営のてびき 都市と農山漁村の共生・対流 』(農山漁村文化協会、2002年)を再読しました。目次を紹介しておきます。
 地域ぐるみグリーン・ツーリズム運営のてびき―都市と農山漁村の共生・対流

第1部 みんなが注目 日本のグリーン・ツーリズム
 
第1章 グリーン・ツーリズムがめざすもの
  1 グリーン・ツーリズムって、何だろう
  2 こんなことを実現したい

 第2章 グリーン・ツーリズムのいろいろなタイプ
  1 都市近郊日帰り型
  2 週末滞在型
  3 交流型
  4 体験資源こだわり型
  5 民間によるグリーン・ツーリズム

 第3章 どのような受入れ方があるか
  1 個人農林漁家による受入れ
  2 集落などの限定地域による共同受入れ
  3 有志グループによる共同受入れ
  4 行政・第三セクターなどによる受入れ
  5 市町村全域での受入れ
  6 民間事業・企業による受入れ
  7 地域ぐるみグリーン・ツーリズムを

 第4章 成功のポイントを事例に学ぶ
  1 体験メニューが豊富な有志グループによる受入れ
  2 集落の力を結集した共同受入れ
  3 ネットワークが利点の公社・団体と地域との共同受入れ
  4 対応力が高い市町村全域での受入れ

第2部 グリーン・ツーリズムの実現に向けて
 第1章 活動のための基盤づくり
  1 地域住民に呼びかける
  2 研究会や推進協議会をつくる
  3 テストイベントとは

 第2章 受入れのための組織づくり
  1 小グループで受け入れる場合
  2 地区の共同事業として受け入れる場合
  3 公社・JA・JRなどと 地域とが連携する場合
  4 行政の主導によって地域ぐるみで受け入れる場合

第3部 グリーン・ツーリズム運営のノウハウ
 第1章 体験メニューをつくる
  1 体験メニューと料金の設定
  2 標準的な月別体験コースを設定しよう
  3 長期間受入れでの体験メニュー
  4 楽しく安全な体験のために

 第2章 地域の人づくりと対応の工夫
  1 誰がまとめ役・体験指導者になるのか
  2 人材を育成する
  3 こんな対応が喜ばれる
  4 さまざまなタイプのリーダー

 第3章 宣伝(情報発信)をどうするか
  1 観光とは違うグリーン・ツーリズムの宣伝
  2 何を使ってどうアピールするか
  3 類型別の宣伝方法

 第4章 広がるグリーン・ツーリズム
  1 地元の農産物やみやげ品を販売する
  2 地域の食材を使った農村レストランを開く
  3 古い民具や地域の素材を再評価する

  参考 グリーン・ツーリズム関連の法制度
 

『どうする?どうなる!外来生物』 5月18日

小田原市の入生田にある神奈川県立生命の星・地球博物館を見学し、『どうする?どうなる! 外来生物 とりもどそう 私たちの原風景』(A4版128頁、1,000円 発行:2014年7月)を購入しました。
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 『どうする?どうなる!外来生物 とりもどそう私たちの原風景』目次(PDF
口絵 身近な外来生物図鑑

第1章 外来生物総論
 外来生物ってなんだろう?
 外来生物をめぐる法律
 水辺は外来生物だらけ
 奥山にも外来生物がいる
 バラスト水問題
 身近な外来哺乳類
 ここはどこの国?日本の空を舞う外来鳥類
 遠くからやってきた爬虫類と両生類
 身近な外来魚
 身近な外来昆虫
 カタツムリのなかまの導入種
 博物館周辺の身近な外来雑草
 タケノコは外来生物!?
 淡水魚の安易?な放流
 ペット昆虫にご用心

第2章  外来生物が引き起こすさまざまな問題
 沖縄の外来水生動物の現状
 小笠原の外来種問題
 ニホンザルを脅かす外来サルたち
 オオサンショウウオの現状
 淡水魚の遺伝的撹乱
 国内導入による遺伝的撹乱~ホタルの問題~

第3章  外来生物対策の現場から
 外来種の駆除とその副作用
 アライグマ根絶計画~神奈川県の根絶対策~
 富士山麓に定着したカナダガンの対策
 侵略的外来種ウシガエルが水生生物に及ぼす影響と排除の効果
 バス駆除への取り組みとその成果、問題点
 侵略的外来種アメリカザリガニの駆除

第4章  外来生物の新たな知見
 外来鳥類ワカケホンセイインコ
 愛知県で最近定着した外来種-タイワンタケクマバチ、ムネアカハラビロカマキリ、ムシャクロツバメシジミ-
 止まらない侵入 ニューフェイスたち~リュウキュウベニイトトンボの関東への定着~
 国内外来種としてのカブトムシ~よく知られた昆虫が引き起こす問題~
 名も無き渡航者“(ピロピガ)”
 るろうに、アリ
 まだまだ増える?園芸由来の外来植物たち
 木になるナスビ!? -侵略を始めたナスの大王-
 スーパー外来植物!?  ナガミヒナゲシ
 進化しつつあるアノールトカゲ~形態学的にみる外来種~
 ブタクサ・オオブタクサ・ブタクサハムシの侵入から見えてくる植物と天敵の進化プロセス
 カエルツボカビ

第5章 とりもどそう私たちの原風景
 外来生物と学校教育
  学校と外来生物
  教材としての外来生物
  授業の中での外来生物…外来生物教材の有効性
  外来生物教材の問題点
  外来生物教材のこれから
 どこをめざす?私たちの自然
 外来生物の関連情報

■コラム
 河原も外来種でいっぱい
 アメリカザリガニとウシガエルの日本への導入の背景
 東京港海上公園の昆虫たち
 こんなところでも外来種?
 止まらない侵入:セミまで定着

 岩殿満喫クラブは児沢で子どもたちの田んぼ体験活動を支援しています。子どもたちに人気のある生きものは、メダカやアメリカザリガニですが、メダカは昨年春から田んぼの水路、ビオトープ池から姿を消してしまいました。メダカ愛好者が増え、メダカが農産物直売所などでも簡単に買えるようになって、メダカを売って商売にしているのかなと思える人たちが、児沢の水路や池でメダカを一網打尽にしていましたが、いなくなった原因が採集による「持ちだし」によるものなのか、生育環境の変化によるものなのか不明です。

 『どうする?どうなる! 外来生物』の一寸木肇さん執筆「外来生物と学校教育」(122~124頁)では、学校教育で教材となる動植物には、①観察や実験がしやすいこと、②児童が親しみやすいこと、③安全であること、④栽培や飼育がしやすいもの、⑤大量に手に入れやすいこと、⑥できる限り日本全国の学校で利用可能なことがあげられています。かつてのフナやトノサマガエルに変わって、「優れた教材」性があるゆえに、教科書でアメリカザリガニが取り上げられるようになった所以が書かれています。5年生の「動物の誕生」で扱われているメダカが生き残れる環境は少なくなってしまい、メダカに変る適当な教材がなかったために、ヒメダカや他地域のメダカが生きもの教材として利用されるようになってきたこと、最近になってようやく「生物多様性」の視点から「遺伝子の多様性」を守ることの重要性が気づかれて、「国内外来種」(「国内帰化種」、「分布を乱された在来種」)の問題が注目されるようになり、「飼育しているものは絶対に放流しないこと」と注意書きを入れている教科書もあることなども書かれています。

 児沢の田んぼのメダカは近くの小学生の生きもの探しや東京からきたこどもたちの田んぼの学校で「自宅で育てて観察する」ために持ち帰られて来ました。今年も田んぼの学校の季節となり、いなくなってしまったメダカをどうしたものか思案しています。

富永一夫・永井祐子『NPOの後継者』 4月18日

富永一夫『多摩ニュータウン発 市民ベンチャー NPO「ぽんぽこ」 』(NHK出版、2000年)富永一夫・中庭光彦『市民ベンチャーNPOの底力―まちを変えた「ぽんぽこ」の挑戦』(水曜社、2004年)、富永一夫・中庭光彦『市民ベンチャーNPOの底力―まちを変えた「ぽんぽこ」の挑戦』増補新版(水曜社、2012年)に続いて、富永一夫・永井祐子『NPOの後継者 僕らが主役になれる場所』(水曜社、2015年)を読みました。
   はじめに
第1章 NPOの後継を育む
  プロローグ
 第一世代が土台をつくる
  経済的に自立できる「事業型NPO」をつくろう
  自然館の管理・運営業務を受託する
  専門家を迎え、長池公園の指定管理者となる
  生きがい就労のお父さん世代と、パートのお母さん世代
 次世代の学びを考える
  20代の若者がやってきた
  NPOも富永も「ピンピンコロリ」で上等だ!
  もうひとり若者が来てしまった!
  新川塾を始めよう!
  第二世代は新しいタイプのリーダーがいい?
  地獄の中で生まれたロマンス
  過去の歩みに秘められた意味を学ぶ
  役職を与えて自覚を持たせる
  人間界に興味を示さない自然オタク
  やる気が本物か、試してみよう
  まさかの大臣賞で、風向きが変わった
  若者が先生となって、新しい仲間に教える
 未知なるステージへ
  新たなる挑戦
  異業種からの転職組を採用する
  新卒の若者を採用する
  若者が5人になった
  東部地区公園指定管理が現実に
  地域の人と共に学ぶ「プロジェクト由[ゆう]」
  自分たちの手で地域データをまとめる
  理論の学びと日々の実務が成長させた
第2章 私たちの学んだNPOフュージョン長池
 NPOとは何かを学ぶ
  NPOの法人格が、社会的信用につながる
  「使命」を軸に、社会的利益を最優先にする
 外部との協働の仕方を学ぶ
  ネットワークを活用して多様なニーズに応える
  関係性をつないで価値を生み出す
  ボランティアの「やりたい」を実現する
  障がい者福祉団体との協働
  フレキシブルな労働力を活用する
  他人の自己実現を応援する
 組織における人間関係の考え方を学ぶ
  サーバント・リーダーシップ
  職員自身の自己実現を叶える
第3章 NPOの未来を語る―若者たちの夢
 公園管理という仕事にかける夢 大沢敦
  東部地区公園について
  長池公園について
  NPOフュージョン長池について
 総合型地域スポーツクラブを実現したい 富永哲夫
  自分にできることは何か?
  夢の実現に向けて
 多摩丘陵のトコロジストを目指して 小林健人
  地域住民の「郷土愛・自然を楽しむ心」を呼び戻すこと
  子どもたちに「自然とのふれあい」の場を創出し続けること
  誰もが気軽に足を運べる公園環境を模索し続けること
 八王子東部地域を世界に発信したい 田所蕎
  地域のお世話係になる
  地域のコーディネーターになる
  Think globally,Act locally 世界規模で考えながら、地域活動
 漠然とした思いを明確な夢に 柳田拓也
  八王子市へ
  八王子市東部地区公園の指定管理者へ
  私の今の思い
 特別寄稿 小さな里山からの発想 由木歩いて見えてきたもの 岡田航
  由木へ
  「自然との関わり」に関心を抱いた大学時代
  堀之内で里山を考える
  由木の里山の環境史
  由木の里山のこれから まとめにかえて
第4章 贈る言葉
 5人の若者たちへ 新川雅之
  富永さんとの出会い
  5人の若者との出会い
  感謝の気持ちと心からのエール
 若者らしい豊かなアイディアを 内野秀重
   おわりに
  個性を肯定して「思い」を伝える ライター 永井祐子
  「たぬきの見た夢」PART3 「To be happy」で行こう! 富永一夫
  私の願い 御舩哲

富永一夫・中庭光彦『NPOの底力』 4月11日

富永一夫・中庭光彦[なかにわ]さんの『市民ベンチャーNPOの底力―まちを変えた「ぽんぽこ」の挑戦』(水曜社、2004年、増補新版2012年)を初版、増補新版合わせて読みました。増補新版は第9章が追加され、判型が大きくなっています。富永一夫『多摩ニュータウン発 市民ベンチャー NPO「ぽんぽこ」 』(NHK出版、2000年)の続編です。

富永一夫・中庭光彦『市民ベンチャーNPOの底力―まちを変えた「ぽんぽこ」の挑戦』増補新版目次
増補版のまえがき

初版のまえがき

第1章 NPOはまちを変える ~ 長池ネイチャーセンター万華鏡
 長池ネイチャーセンターの一日/人をつなぐ営業マン/阿部さんの場合/NPOは空気 ー 「長池ぽんぽこ祭り」の場合/NPOが土台となったまちづくりとは/人がつながると生まれる新たな〈公〉
 多摩ニュータウン/市民事業は〈人組み〉が大事/「ぽんぽこ」とは?

第2章 なぜNPO法人をつくったのか
 地域活動の原点  - 未完成を完成に変える興奮/メールでお父さんが地域に戻ってきた/右手にNPO、左手にインターネット/会社を辞めてNPO設立へ/暮らしを支援しよう/多摩ニュータウン生活圏へ活動が広がる
 NPOは、出入り自由の、人のつながり/多摩ニュータウンという高級長屋集落/昔もいた地域の営業マン

第3章 NPOがまちの通信インフラを呼び込む ~ 高支隊の試み
 『ぽんぽこかわら版』に高支隊[こうしたい]登場/団地で高速インターネットは可能か?/大手企業の参入/インターネットで生中継だ
 NPOは住民ニーズに応える開発研究所

第4章 住まいは自らつくり管理する ~ 夢見隊と住見隊の残した種
 コーポラティブ住宅をNPOがつくる/コーポラティブ住宅とは/夢は膨らむワークショップ/「自立して家をつくる」ということ/プロジェクトの方向性を大転換/建築は素人、コミュニケーションはプロ/住まいと暮らしを手に入れる/住宅の管理・メンテナンスも自分たちで

第5章 NPOの評価に挑戦
 NPO会計とボランティア評価/元手を生かしてボランティア時間を増やそう/NPOの判断基準がわかってきたかも
 地域NPOには、成長の段階がある/自分たちで守ることが結局は長続きする

第6章 まちの施設は自分たちで管理する ~ 小山内裏公園[おやまだいり]指定管理者への挑戦
 市民のための公園を、誰が管理する?/迷いと決断/いつもの予想外/NPOがまちの公園の管理者になる意味/現地説明会への参加/「人と緑の回廊計画」

第7章 自分たちのまちは自分たちで調べる ~ 多摩ニュータウンの実態調査
 内閣官房からの風/NPOだからできる調査をしよう/多摩ニュータウンの生活実態を調べろ/見えた!多摩ニュータウンの生活実態/住民が調べるからこそ、まちが変わる

第8章 人をつなぐ、元手をためる ~ ソーシャル・キャピタルのつくりかた
 人という元手をつなげることで発展してきた?/なぜ人をつなぐのか ~ 元手とはなにか/まずは、つなげ、つなげ/地域における〈交通整理〉/中立的なまとめ役に必要なこと/心の行儀

第9章[増補] 指定管理者となって ~ フュージョン長池公園の管理・運営(富永一夫)
 指定管理者になれた理由/フュージョン長池公園の活動を支えるもの/協働というネットワーク/今後の課題

初版のあとがき
 たぬきが見た夢PART-2(富永一夫)/きりんのつぶやき(中庭光彦)

増補版あとがき
 きりんのつぶやきPART-2(中庭光彦
  「つながり」の開発者/移動を支援する「つながり」開発は可能か?

増補版のあとがきにかえて  NPOフュージョン長池のその後(富永一夫)
 問:長池ネイチャーセンターは、その後、どうなっていますか。
 問:高支隊・こうしたい(高度情報化支援事業)は、どうなっていますか。
 問:夢見隊・ゆめみたい(夢の住まいづくり支援事業)は、どうなっていますか。
 問:高支隊や夢見隊が、継続できていないのはもったいないですか。
 問:フュージョン研究所ってなんですか。
 問:多摩NPOセンター(多摩市)の管理・運営業務とはなんですか。
 問:その他にも新規にされたことがありますか。
  暮らしと住まい相談センターを開設しました。/ニュータウン人縁卓会議も行いました。/長池伝説の自費出版をしました。/はちおうじ志民塾(事務局:八王子市)を支援しています。/エイビットスクエア(民間の地域密着型人材育成センター)の開発支援をしました。/人材活性化研究会(事務局:総務省)への協力もしています。
 問:約12年あまりの間に、たくさんの事業をされたわけですが、何か特徴的に学ばれたことがありますか。
 問:では、その複雑な経営資源を用いて実現するための組織は、どんなものでしょうか。
 問:NPOフュージョン長池の経営評価は、どうするのでしょうか。
  収支計算書評価/行政評価/来園者満足度評価/ボランティア時間評価/寄贈品評価/物々交換評価/協働評価
 問:NPOフュージョン長池の後継者はどうしましか。
 問:最後に、富永さんはこれからどうされますか。

絶対平和宣言(種村玄碩 1965年) 4月7日 

坂東23番札所正福寺(茨城県笠間市)に立てられている石碑です。
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絶対平和宣言
一、戦争は人類最高の罪悪 最大の不幸 悲劇なり
二、人間が人間を殺すという 理由 理論 権利はない
三、人命尊重 生命あっての人生なり
  世界は一つ これが世界平和だ
  一九六五年       玄碩[ゲンセキ]
  人間と自然の戦いは
     永遠に続くのだ
地震 津波 豪雨 豪雪 洪水 水難 海難 交通
災害 公害 人間を不幸にする病気 病原の研究等
々 自然との闘いに徹せよ 之等の戦いに資本を廻
せ 総ての機械文明は自然戦争に利用せよ
自然科学の研究目標は 自然の制御に在り
人文科学の研究目標は 社会福祉という 人類愛に
徹せよ 一人の落伍者も あってはならない
人間が殺し合う戦争の即時停止 一切の人殺し道具
武器の製造禁止 所有禁止 原爆禁止
犠牲と言う思想を抹殺せよ 一人の生命も犠牲にし
てはならない
健全娯楽 スポーツの普及 土地住宅の所有 老後
の保証 宇宙開発という 人類の夢も育てよ
人命尊重 人間の生命は地球より重い これでこそ
人間が万物の霊長の資格の座に着けるのだ
学者よ 思想家 宗教家 教育者よ奮起せよ
若者よ 青年よ 母親も立て!
 世界の願い 絶対平和!!
  昭和五十五年七月吉日        
     人命尊重    種村製薬株式会社
             取締役社長 薬剤師
                   種村玄碩
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※種村玄碩さんはどのような方だったのでしょう。種村製薬は筑波山のガマの油(陣中油)の製造元です。

富永一夫『NPO「ぽんぽこ」』 4月1日

富永一夫さんの『多摩ニュータウン発 市民ベンチャー NPO「ぽんぽこ」 』(NHK出版、2000年)を読みました。
序章 はじめに

第1章 地域に帰ってきたお父さん~身近なコミュニティ活動とNPO
 会社に辞表を出す/NPOって何?/移り住んだ街、多摩ニュータウン・長池地区/せせらぎ北団地の役員活動/専門委員会の確立からコミュニティ委員会へ

第2章 人との出会いから生まれたもの~地域活動のFUSION(融合)
 地域情報誌『FUSION見附ヶ丘』の登場/見附ヶ丘地域の情報交換が始まる/見附ヶ丘地域情報交換会から見附ヶ丘連絡協議会へ/夏休み最後の日曜日、せせらぎ北団地のアニメ上映会/たぬきたちとの出会い/「多摩ニュータウンタイムズ」の横倉舜三さんとの出会い/『平成狸合戦ぽんぽこ』の高畑監督との出会い/コミュニティ活動の広がり/せせらぎ北団地の住宅管理問題/地域情報誌『FUSION見附ヶ丘』の存続

第3章 時代の風にあと押しされて~インターネットが生み出すパワー
 第二回見附ヶ丘フェスティバル/30周年を迎えた多摩ニュータウン/コミュニティサーバって何?/牧場のおっさんとの出会い/せせらぎ北団地の長期修繕計画と、とことん懇談会/公団と住民の新しい関係/地域情報誌『FUSION見附ヶ丘』から『FUSION長池』へ/地域情報誌『FUSION長池』として再スタート(1998年5月、19号)/PCレスキュー隊の誕生/ポンポコネットから生まれた出来事/長池公園の里山活動/日常化するFUSIONの活動

第4章 ぽんぽこな“こころ”に法人格をもたせよう~NPOフュージョン長池の設立に向けて
 コミュニティ・ビジネスを研究する人たちとの出会い/NPOを意識しはじめる/化けに化けるぽんぽこネット/NPOの設立準備を始める/理事の就任/さようなら、地域情報誌『FUSION長池』ぽんぽこホームページの誕生とコラムマスターたち

第5章 ボランティアとビジネスのはざまで~認証手続きと事業活動の模索
 地域へ帰ろう/NPOフュージョン長池設立総会/NPOフュージョン長池の認証申請書を提出/事務局体制を考える/牛乳いりませんか事件?/環境問題の権威、わが街を視察/事業計画の模索/地域情報誌『NPO FUSION長池 ぽんぽこかわら版』の誕生/小泉栄一さん逝去/納涼拡大理事会/子育て支援事業ーNPOで保育所/長池小学校の夏季連続講座ー40日連続開放に挑戦/マスコミの注目/事業活動の模索は続く

第6章 市民ベンチャーとしてのNPO~暮らしの支援事業がスタート
 特定非営利活動に係る事業と収益事業/NPOフュージョン長池 認証申請の取り下げ/NPOの認証 再申請/事務局体制の芽/暮らしの情報センター/住宅管理支援事業/住見隊の活動/ネイチャーセンターの火事/ようやくNPOとして認証される/事務局の体制づくり/新たなプロジェクトの始動/地に足の着いたボランティアワーク/さまざまなパートナーシップ/これからの事業の可能性からたぬきの夢/

終章 たぬきの見た夢

多摩ニュータウンに移り住んで~あとがきにかえて

付表 NPOフュージョン長池年表
※富永一夫・中庭光彦『市民ベンチャーNPOの底力―まちを変えた「ぽんぽこ」の挑戦』(水曜社、2004年、増補新版2012年)、富永一夫・永井祐子『NPOの後継者 僕らが主役になれる場所』(水曜社、2015年)


2個で105円(内税)の豆腐 3月27日

ベイシアなめがわモール店で3月26日に買った2個パック(135g×2個)の豆腐です。
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旨味 町田食品
木綿
富士山の伏流水使用
まろやかでコクがあり
おいしい豆腐

便利な135g×2個

1パック105円(内税)の豆腐 →38.9円(100グラムあたり)
名称:木綿豆腐
原材料名:大豆(遺伝子組み換えでない)
 植物性油脂[消泡剤?]
 凝固剤
内容量:135グラム×2個
賞味期限:17.04.02
保存方法:要冷蔵(1℃~10℃)
 開封後はお早めにお召し上がりください。
販売者:町田食品株式会社MF3
 静岡県富士市久沢269-1
お客様相談室:℡0120ー71ー30…
受付時間:AM8:30~PM5:30
http://www.machida-shokuhin.co.jp/
プラ:フィルム 容器

ダイズの豆知識 町田食品の目線で見た「大豆」(町田食品HPより)
世界の大豆事情を一言で・・・
 日本や中国を始め、東アジアの国々では、古来から大豆を直接或いは味噌や醤油などの加工品として食べてきました。重要なタンパク質源としての栄養学的な意味もあり、これらの国々では大豆の栽培も盛んで、一時期、大豆は中国の重要な輸出品でもありました。
 一方、欧米では大豆を食べるという習慣はなく、栽培も行われてきませんでした。しかし、大豆に豊富に含まれるタンパク質と油分に注目したアメリカでは、食用油の原料(搾油用と言います)或いは高タンパク質飼料の原料として、1829年から大豆栽培が行われるようになりました。
 ご存知のように、アメリカの農業は日本と比較すると格段に大規模で行われていますので、その価格的な優位性もあり、1940年頃にはアメリカの大豆は輸出産物として位置づけられるようになりました。そして、大豆の経済的な価値を認めた南米の国々(ブラジルとアルゼンチン)が1970年代から大豆の本格的生産に参入し、世界における大豆の需要と供給地図は様変わりしました。2002年には、中国が世界で一番大豆を輸入する国になりましたが、この一例を見てもその変化の大きさが分かると思います。

主流となっている輸入大豆
 日本で消費される大豆の95%以上が輸入品であるといわれており、国別で輸入量を比較すると①アメリカ、②ブラジル、③カナダ、④中国の順になるようです。ただ、ブラジル産の大豆は搾油用が殆どであるため、豆腐を含め食用に適した大豆となるとアメリカとカナダが主体となり、町田食品でもアメリカ産とカナダ産の大豆を使用しています。
 アメリカでは、大豆は食用油の原料として栽培が開始されたため、多くの大豆が食用大豆(豆腐や納豆に加工して直接食べることが出来る大豆のこと)としての品質を満たしていませんでした。一方、インディアナ、オハイオ、ミシガンの3州の一部で栽培されていた黄大豆が他州の大豆よりもタンパク質や糖質含量が高く、食用大豆として利用できることが分かり、「産地指定大豆」としてのIOM(インディアナ、オハイオ、ミシガンを意味する)大豆が1960年代に確立しました。
 その後、豆腐や納豆などの用途別に特化した品種が開発され、栽培面積が普及していきましたが、これらの大豆を「バラエティー大豆」と呼んでいます。Variety(バラエティー)という単語には、品種・亜種という意味がありますので、「油を採るための大豆ではない特殊な品種」と理解すれば分かりやすいのではないでしょうか。尚、豆腐用としてはVINTON81(ビントン81)やBEESON(ビーソン)等が知られています。
 代表的な油糧原料である菜種の生産が世界No.1であるカナダでは、アメリカやブラジルと異なり油糧原料として大豆を栽培する意味があまりなく、実際の栽培も積極的とは言えませんでした。ところが、寒冷なカナダの気候に適する品種が開発されたことや、日本向け等に大豆が高値で取引されることもあり、1980年頃から徐々に生産量が増大し、拡大傾向が現在も継続しています。
 ケベック州でも一部栽培が行われていますが、栽培地区はオンタリオ州の五大湖周辺に局在していると言っても過言ではありません。世界地図を見れば分かるとおり、栽培地域は緯度的に北海道とほぼ同じであり、気候にも類似性があるため、かなり以前より北海道産大豆の種子を持ち込み、現地の気候風土等に合うよう品種改良(交配による)が行われ性質と似た大豆が得られています。品質向上に前向きであることから、カナダ産大豆の評価は近年特に高まっています。

数ある国産大豆
 日本では、大豆の栽培の歴史が大変長く、また食文化を担う重要な作物として位置付けられていましたので、様々な品種が日本各地でその気候風土に適するように改良されてきました。その為、産地品種銘柄だけでも110種類、生産量が少ない品種も含めると400種を越える多数の品種が栽培されていると言われています。(産地品種銘柄:「新潟県産コシヒカリ」の様に、特定の産地で生産された品種の品質が、他の産地で生産されたものと異なるため 、産地や品種を特定して表示できる国の制度)
 品種の違いは、色や粒の大きさなど外見上の違いにも現れます。黄色の大豆が一番多く栽培されていますが、丹波の黒大豆、岡山の紅大豆、東北地方の青大豆など、地域特産の大豆を並べてみるとその違いの大きさが分かります。この様な外見上の違いの他に、含まれる成分にも品種の違いが色濃く現れてきます。この事は、同じ国産大豆であっても加工品である豆腐の原料として適した品種とそうでない品種があることを示すものでもあります。
 豆腐の原料として適している国産大豆といえば、フクユタカ、エンレイ、タチナガハ等が高い評価を得ています。町田食品では、フクユタカ以外に北海道産の大豆も原料として使用しています。
 尚、国産大豆の自給率が6%未満であるとして殊更国産大豆の希少価値を謳ったり、自給率の増加を主張する企業・団体がありますが、輸入大豆の多くは搾油用であるため、食用大豆に限れば自給率は22%位あると推定されています。
町田食品のこだわり(町田食品HPより)
   富士山の伏流水使用

   大豆について
     大豆へのこだわり
 多くの豆腐製造者が、良い豆腐作りには国産大豆が欠かせないと主張しています。しかしながら、国産大豆には多くの品種が存在し、全ての国産大豆が豆腐作りに適しているとは限らず、その品種の成分特性等を見極めた上で用いる必要があると考えます。また、同じ大豆の品種であっても、栽培年度や地域更には栽培方法により大豆の品質は影響を受けるため、大豆の品質を的確に把握し、大豆を適切に選ぶ過程や、大豆の良さを引き出す製法に変えていく必要があると考えます。
 その為には、豆腐の品質に影響を与える成分を明らかにする必要があります。大豆タンパク質の構成や糖質の含量などの大豆の成分と豆腐の品質については、ある程度の関連性が分かっています。しかしながら、詳細な点につきましては現時点においても分かっていない部分も多く、町田食品では大豆の品質に関する調査・研究を継続していきます。
 納豆に使用する大豆であれば、大豆の色や粒の大きさ等、見た目で品質を評価できる場合がありますが、豆腐の場合は大豆の見た目は重要ではなく、大豆に含まれる主要成分であるタンパク質、脂質、糖質の多少が加工適性に大きく影響を与えます。大豆タンパク質と一口に言いますが、均質なものではなく様々な種類のタンパク質の集合体です。この中で、豆腐の品質に大きく影響を与えるタンパク質とそうではないタンパク質があることが分かっていますので、この点を見極めながら豆腐造りに適した大豆を選んでいます。
     大豆の選定条件
 今の市場では「国産大豆」「国産大豆使用」と表示した商品が人気を博しているようです。しかし、品種による違い、栽培された地域の違いや気候の変動、生産者の手間のかけ方、更には大豆の保管方法による違いによって大豆の品質は大きく変化し、出来る豆腐の品質にも影響を与えます。この事は輸入大豆にも言え、「国産大豆」という一種のブランドイメージに惑わされること無く、如何に美味しくて高品質な豆腐ができるかという視点から原料となる大豆の品質を見極めることが大変重要になります。
 町田食品では、タンパク質含量などの一般的な成分分析の他に、
①発芽率
②遺伝子組み換え検査
③可溶性糖類(ショ糖、ガラクトオリゴ糖)含量
④構成タンパク質の分析
を行っています。これらの結果を踏まえた上、小テスト製造を行って加工特性や豆腐の味を確認して最終的な大豆の選定を行っています。

 尚、各分析項目により、下記の事が分かります。
①発芽率:保存状態が悪いと大豆が発芽しなくなり、豆腐がうまくできなくなります。
②遺伝子組み換え検査:遺伝子組み換えの大豆が混入しているか否かが分かります。
③可溶性糖類含量:豆腐の甘味を左右するショ糖類の含量を知ることが出来ます。
④構成タンパク質の分析:シッカリした豆腐が出来るか否かの目安となります。
    町田食品で使用してる大豆
 国産大豆
  フクユタカ 三重県産
  名前の由来:北九州地区における栽培に適し(「福岡」の「フク」で、北九州地区を代表させたそうです)、子実が豊満(この部分を「ユタカ」と表現)で品質が良好であることを期して命名されたそうです。
  ポイント:豆腐用として高い評価を得るフクユタカではありますが、同じフクユタカであっても、産地や生産農家の手間の掛け方によって品質に違いが生まれてきます。町田食品では、九州地区のフクユタカを含め様々な地域のフクユタカを検討した結果、生産者の顔が見え、生産管理体制の整った三重県産のフクユタカの品質に惚れました。

★ フクユタカの産地  三重県松阪市
 町田食品では国産大豆を何種か使用しております。その中で、タンパク質含量が高く豆腐の食感がシッカリしたものになることから豆腐用の品種として定評のある「フクユタカ」は、三重県松阪市にある生産者に契約栽培してもらっています。
 伊勢湾に面する三重県は古くから海産物の産地として知られていると同時に、お茶の生産高全国3位でその他米・麦・モロヘイヤなどの、農産物の生産も盛んです。伊勢湾から少し内陸部に入った松阪市は肉牛の有名ブランド「松阪牛」で知られ、農畜産物の生産で大変質の高い技術を有する地域です。
★ 契約栽培農場  株式会社グレイン鈴木さん
 町田食品の契約先である株式会社 グレイン鈴木(代表取締役 鈴木亨 氏) は、三重県松阪市にて140ヘクタールを超える農地で大豆を専門に生産しており、元代表の鈴木均 氏と共に若い力を集結し現在7名で運営されています。 町田食品では、生産者の方々の大豆生産に対する真摯な姿勢を高く評価し、フクユタカの栽培をお願いしております。
 トラクター12台・コンバイン4台を保有し、更に耕地の拡大を計画している精力的な姿勢だけでなく、大豆の品質向上にも取り組まれている様子を実際に拝見し、「グレイン鈴木さんのフクユタカを使うことで高品質の豆腐が間違いなくできる!」と確信することができました。

  トヨムスメ 北海道産
  名前の由来:多収で豊作をもたらす願いと、白目大粒主力品種「トヨスズ」の後継であることを示す「トヨ」と、「種皮色が黄白で濁りが無く、皺や裂皮も少ない様」を若い女性の肌に見立てた表現「ムスメ」を合わせて命名されたようです。尚、北海道の大豆品種では、同様の理由で名前に「コマチ」「ヒメ」が付く品種が少なからずあります。
  ポイント:従来、北海道大豆はタンパク質含有量が若干少ない為、「絹ごし豆腐」「木綿豆腐」等のいわゆるカット豆腐には不向きであるとされ、甘みの好まれる「寄せ豆腐」「おぼろ豆腐」等のやわらかくスプーンなどで召し上がる商品に多く利用されてまいりました。町田食品では「トヨムスメ」のふくよかな甘みと本来の豆腐の持つ食感を併せ持った「絹ごし豆腐」「木綿豆腐」を商品化することに成功しました。
 輸入大豆
  ジュピター カナダ産
  名前の由来:種子など農業の関連商品を供給する国際企業Syngenta社が、冷涼な気候に適合し、多くの土壌で安定的に栽培が可能となるように改良を行った豆腐・味噌用の品種です。
  ポイント:近年大豆栽培に力を入れてきたケベック州(モントリオール市付近)にて契約栽培されたものを使用しています。弊社の使用している北海道産大豆と同等の品質を持ち、生産農家から弊社に届くまでの全ての過程が、担当者の顔の見える形で把握できるシステムであることから、品質と安全・安心の両面から自信を持って採用しました。
   設備・製造工程

『自伐型林業と生態系サービス機能』シンポジウム 3月14日

早稲田大学戸山キャンパス38号館で開催されたNPO法人自伐型林業推進協会主催の公開シンポジウム『自伐型林業と生態系サービス機能』に参加しました。生態学研究者とのコラボレーションで参加者は120人と盛会でした。
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※配布された新聞記事
 月尾嘉男さん「林業を再生する自伐方式」(『電気新聞』2016年3月2日)
 「木質バイオマス 見えてきた光と影」(『日本農業新聞』2015年12月21日) 

【企画者】: 松田裕之(横浜国立大学・教授)、中村浩二(金沢大学・名誉教授)
【発表】
 ・「本シンポの趣旨と経緯」中村浩二(金沢大学・名誉教授)

 ・「自伐型林業の目標と課題」中嶋健造(自伐型林業推進協会・代表理事)
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【講演】
 1「自伐型林業による茶炭の産地化構想」大野長一郎(大野製炭工場・代表)

 2「自伐型林業の多様性と持続可能な林業への展望」大澤一岳(東京大学・協力研究員/和歌山県林業振興課)

 3「日本の森林・林業政策における生態系サービス機能の位置付け」藤野正也(京都大学・特定研究員)

 4「持続的な広葉樹利用による地域の再生」清和研二(東北大学・教授)

 5「自伐型林業施業による林相変化と虫害の関係」福沢朋子(東京農工大学・博士課程)

【主催】NPO法人自伐型林業推進協会 【共催】W-BRIDGE 【協力】公益財団法人日本財団【後援】林野庁

※自伐型林業とは
 自伐型林業推進協会「自伐型林業で世界をリードする森林大国日本へ」(ソーシャルイノベーター日本財団プレゼン資料、2016年)

※ジャンゼン- コンネル仮説とは
清和研二「広葉樹林化に科学的根拠はあるのか? ―温帯林の種多様性維持メカニズムに照らして―」(『森林科学』59日本森林学会、2010年)より
広葉樹林化に科学的根拠はあるのか?森林科学59_ページ_1広葉樹林化に科学的根拠はあるのか?森林科学59_ページ_2

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※ジャンセン・コンネル仮説(ウィキペディアより)

森林生態系において親木となる成木からの距離が短いほど、その成木の種子や、実生にとって天敵となる特異的な病原菌・捕食者が多くなる。そのため実生や種子の死亡率が高くなり同種の樹木の更新が妨げられる。病原菌や捕食者の数は成木からの距離に反して減少するが、一方で種子散布数も成木からの距離に比例して減少する。 そのため成木の真下においては同種の更新が妨げられることで他の樹種が生育する余地が生まれ、そのことが多様性を確立する要因の一つになっていると考えられる。

蔦谷栄一『オーガニックなイタリア 農村見聞録』 2月25日

蔦谷栄一『オーガニックなイタリア 農村見聞録 -地域への誇り高き国に学ぶ』(家の光協会、2006年8月)を読みました。
オーガニックなイタリア

蔦谷栄一『オーガニックなイタリア 農村見聞録 -地域への誇り高き国に学ぶ』目次
 はじめに
第1章 イタリア農業の概要
 多様性と地域性に富む国土/地域によって異なる農業/EUの中では小規模経営/起きつつあるCAP[EU共通農業政策]との距離/コラム:マサノブ・フクオカ

第2章 有機農業の歴史・現状・制度等
 1 有機農業の歴史と現状
 1970年前後から取り組み開始/1990年代後半に大きな伸び/ヨーロッパ最大の有機栽培面積/島嶼部と中北部に集中する有機栽培/量販店での取り扱いシェア増加/高い輸出の割合/認証

 2 有機農業に関する法律・制度
 EU共通農業政策が基本/環境支払いの中に位置づけられる有機農業/水質汚染に端を発するEUの農業環境政策ウエートが高まる農業環境政策/EU共通部分と各国規定とに分かれる農業環境プログラム/農家経営を支える直接支払い/コラム:夜遅くまでの集会

第3章 有機農業取り組みの現場
 1 生産・加工の現場から
  水田耕作 有機稲作と不耕起水田のビオトープ
    ピエモンテ州テヌータ・コロンバーラ
 ヨーロッパ有数の水田稲作地帯/味覚のプロである父親と環境にこだわる息子/いい環境がいい米を作る/エコロジー網、エコロジーの回廊を形成/収量ではなく品質で勝負/あわてず急がずゆっくりと

  野菜 在来種・自家採種による多品種少量生産
    ピエモンテ州ロルト・デル・ピアン・ボスコ
 大規模面積での多品種少量生産/有機そして在来種へのこだわり/直売・小売店志向と加工/必ずしも付加価値が実現できていない有機栽培

  ブドウ・ワイン 直接販売能力に見合った適正規模経営
    ピエモンテ州マリオ・トレッリ
 手作業時代のワイン製造施設を展示/有機栽培の裾野に広がるエココンパティビレ/グローバル化で広がる病害虫/規模拡大よりも品質重視/必要なEUからの支援

  モツァラチーズ 消費者との交流が育む手づくりの味
    カンパーニャ州テヌータ・ヴァンヌーロ
 あくまで手づくりにこだわった最高のモツァレラチーズ/有機畜産による水牛飼養/消費者との交流を軸にした多様な展開

  畜産・加工 安全性重視と家伝のレシピ
    ピエモンテ州カッシーナ・サヴォイアルダ
 スローフード運動で再評価を得た黄金の魚ティンカ/自然・生理を無視した近代畜産/家伝のレシピからつくられる極上の味/持続的循環型生活の大切さ

 2 流通・販売・認証の現場から
  1 流通・販売
   地域性を活かした農業と情報開示・文化伝承
    ピエモンテ州カッシーナ・デル・コルナーレ
 日本に学んで宅配を開始した小さな販売農協/農的志向は自分探しの旅/消費者への徹底した情報開示/地域の伝統を発掘し伝える活動

   有機とフェア・トレードへのこだわり
    エミリア・ロマーニャ州コナピ
 理念に「倫理的に」/あくまで生産者の立場で/厳格な管理から生み出されるハチミツ/有機が基本/フェア・トレードへのこだわり

  2 認証
   消費を伸ばし有機農業の拡大をめざす
    エミリア・ロマーニャ州CCPB
 有機認証機関の概要とCCPB/拡大余地が大きい有機農業/最大シェアを握る生協と増加する学校給食での利用/環境、自然と有機農業/コラム:旦那と奥さんとはどちらが強い

第4章 地域づくり、地域農業の現場

  “良心”の貫徹を目指すスローシティー
    リグーリア州レーヴァント
 リゾート地からスローシティーへ/スローシティーとレーヴァントプロジェクト/“自由市民の市長たち/地域資源の再発見とアイデンティティの確認から/目指すは“良心”ツーリズム/交通システム:中心街からの車排除/ゴミ処理:分別の推進とゴミ箱のある風景の改善/エネルギー:景観を損なう太陽光パネル/農業:自らの“良心”をもって選択を/子どもを育てることを通じて大人が成長/最大のプロジェクト:マンジャルンガ/日本へのメッセージ「自由な人間から出発を」

  地域農業と福祉に体をはる逞しき協同組合
    シチリア州ビータ・ビオ・グループ
 マフィアの土地を有機農業による地域農業の土地に/カーサ・ディ・ジョーヴァニ(Casa dei Giovanni)/サッコ(Sacco)/ロ・グラッソ(Lo Grasso)/ノエ(Noe)/ビータ・ビオ(Vita Bio)
  マフィアに立ち向かう若者たちの社会的協同組合
    シチリア州プラーチド・リッツォット
 マフィアの地で有機農業への取り組み/高品質ワインでVQPRD認証獲得/社会奉仕するボーイスカウトたち/いまでも恐れられているマフィア/反マフィア集会と我慢強いイタリア人

  有機農業と農村起業で過疎地帯を蘇らせた農業協同組合
    マルケ州アルチェ・ネロ
 「有機農業の伝道者」ジーノ・ジロロモーニ氏の地域へのこだわり/アルチェ・ネロの多様な活動/行動する哲学者/兼業収入と助成金んが支える中山間地農業

  伝統の味を守る地域組織
    ピエモンテ州チェルヴェーレネギ出荷協議会
 マチスの絵のような風景/地域組織で支えるチェルヴェーレネギ/コラム:夏休みのパーティー

第5章 アグリツーリズモの現場

  “ザ・実力者”が展開するアグリツーリズモと水牛経営
    カンパーニャ州セリアーノ
 南部よいとこ/年間7、8000人もの宿泊客/景観がすばらしい条件不利地域/有機農業よりはエココンパティビレ[減農薬減化学肥料栽培]

  そこにあるものを楽しむスローな旅“お泊まり村”
    リグーリア州レーヴァント
 アグリツーリズモを中心とした多様な施設/マンジャルンガの道とアグリツーリズモ/発展途上のアグリツーリズモ

  レストランも評判のアグリホテル
    ピエモンテ州スル・ピアーノ
 田舎暮らしを丸ごと体験できるアグリホテル/生きた農民の知恵と経験/市場がリードする地産地消/コラム:46年ぶりのアコーディオン

第6章 イタリア農業・農村と日本

  1 有機農業をはじめとする環境保全型農業とその政策
 EU支援によるイタリアの農業環境政策/わが国の農業環境政策の推移と現状/増加しない有機栽培と輸入品依存の有機ブーム/必要な政策支援の強化[……付加価値の実現を困難化しているのは、消費者の低価格志向の影響が大きい。アンケート調査等では、価格が2、3割高くても安全な食品・農産物を購入する、としている消費者が過半を占める結果となっているものが多いが、実際の消費者の購買行動はむしろ安全性よりも低価格志向を優占している向きが強く、行動レベルでは逆転して低価格を優占する消費者のほうが多い、というのが実態であると考えられる。消費者のさらなる理解を獲得していくことが不可欠である。……]

  2 地域性を生かす
 地域性重視と“EU化”への反対/わが国への示唆に富むイタリア農業
  3 経営の多角化
 川下重視から開かれる消費者とのコミュニケーション/地産地消推進と都市農業の見直し、兼業農家の再評価
  4 協同組織とその存在意義
 多様な形態をもって発展してきたイタリアの協同組合/小さいことをよしとするイタリアの農協組織/改革を求められている日本の農協組織[地域農業の確立・部会組織の活性化・販売事業の強化・CSR・ガバナンス]/コラム:スローフードなファーストフード

 おわりに 地域への誇り高き国に学ぶこと
 EUの中でも独自の道を行くイタリア/家族・地域へのこだわりと自由な精神/求められる信念・こだわり

 あとがき

 参考文献・資料
※蔦谷栄一「イタリアの有機農業,そして地域社会農業 -ローカルからのグローバル化への対抗-」(『農林金融』2004年11月号)要旨
1 イタリアの有機栽培面積比率は約8%で,世界で4番目,有機栽培面積ではヨーロッパで最大である。
2  90年代後半,年率で10%強もの伸びを示し,世界的に注目を集めてきたが,01年をピークに有機栽培面積は減少に転じている。
3 これは97年から5年間にわたってEUが有機農業への転換を支援し,特に島嶼部に手厚く設計されたことが大きく影響している。
4 イタリアの有機農業は,約3割を有機食品の輸出が占めていること,大規模層,若い層での取組みが多いことなどの特徴を有する。
5 こうしたなかで,現場では有機認証に要する手間や認証料負担,マニュアル的認証に対する不満が強い。
6 有機生産者は,直売も手がけており,在来種へのこだわり,歴史・文化・伝統を重視するものが多い。有機農業は一つの栽培方法や単なるマーケティング対応にとどまらず,地域社会農業的色彩を強く帯びた活動のなかに位置づけて考えられよう。
7 イタリアは国家統一が1861年になってやっと達成されたが,職人,家族経営,中小企業を大事にし,地域・歴史・文化を重視する風土が根強く,イタリア農業でもこうした考えが根強い。
8 EUのなかでもドイツ,フランス等と違って,我が国ではほとんど知られていないイタリア農業ではあるが,相互交流を促進していくとともに連携を強化し,地域性・多様性重視によってWTO体制下でのグローバル化,モノカルチャー化の進行に対抗していくことが望まれる。

高橋一也『古来種野菜を食べてください。』 2月24日

高橋一也『古来種野菜を食べてください。』(晶文社、2016年11月)。

ボトムアップで施行されたアメリカやヨーロッパの有機認証制度VSトップダウンで認証された日本の認証制度(56~57頁)

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高橋一也『古来種野菜を食べてください。』目次
 はじめに

 第1章 種が大事だと言い続ける!
  *僕の日常は食のことでずっとさわがしい(独立前)
  *僕の中の「種」となる土台に向き合うことをはじめた(独立後)
  *世界のオーガニック、日本のオーガニック
  *LOVE SEED!とはwarmerwarmerの独自基準のマークです

 第2章 最初に伝えておきたいことが、いくつかあって
  *僕の意識がすべて正しいわけではないけど、あなたはどう思う?
  *F1種の野菜のこと
  *固定種・在来種の野菜が衰退したいくつかの理由
  *僕が懸念していること

 第3章 僕の仕事は野菜の流通、そのすべてだ その1
  *流通、それを語るその前に
  *固定種・在来種の野菜を「流通の乗せ方」という視点で三つに分ける
  *僕の仕事は流通だ その1 マーケット「種市」
  *僕の仕事は流通だ その2 ワタリウム美術館でのマーケット
  *僕の仕事は流通だ その3 warmerwarmerの古来種野菜セット
  *これだって流通だ! 農家さんと企業をつなげること
  *新規就農される方へ

 第4章 種について僕たちが知らなかったこと
  *僕たちは、四〇年前から続いている断続的な流れの中にいる
  *そして僕は、古来種野菜という造語をつくった
  *「野」の「菜」の「種」は旅をする
  *種はどのように定着するの?
  *端境期という時期がある
  *日本が世界に誇る多様性

 第5章 種まく農家と美味しい関係
  *美味しい関係って?
  *農家さんと僕
  *ある農家/野菜との出会いがすべてを変えた
     長崎県雲仙市の種採り農家、岩崎政利さんとの出逢い
  *僕には野菜の師匠がいる
  *それは在来野菜からのギフトだった

 第6章 僕の仕事は野菜の流通、そのすべてだ その2
  *東京に地方の野菜を集める理由
  *再生プロジェクトを成功させる方法
  *百貨店で在来野菜の販売がスタートした
  *伊勢丹新宿本店との取り組みのいくつか
  
 第7章 未来への種をまく
  *子どもたちに伝えたいこと
  *食のはぐくみかた 在来野菜の味覚

 エピローグ 
 おわりに

山崎不二夫編『農家のための土壌改良』(1956年)目次 2月21日

季刊『地域』28号(農山漁村文化協会、2017年)は、農家の土木・基礎講座 ~みんなで挑む「むらの強靱化」を特集しています。『図解 手づくり施工の農村環境整 水路補修から木道、木柵、花壇、休憩所まで』(農山漁村文化協会、2013年)という本もありますが、60年前の農山漁村文化協会発行の本を読んでみました。巻末の「附録・農家でできるかんたんな工事の手引」のペントナイトは、岩殿入山・児沢地区の谷津の耕作放棄地を再生した谷津田の水まわり、畦畔からの水漏れ対策に使えそうです。

山崎不二夫編「農家のための土壌改良」(農山漁村文化協会、1956年7月初版、11月第2版、226頁)目次
Ⅰ 土地改良とはどういうことか
 第1章 土地改良とは
  1 土地改良を必要とする耕地
  2 土地改良の二つのねらい
  3 農業の発展と土地改良
  4 土地改良で農家経営を高めるには
 第2章 土地改良事業の現状
  1 土地改良事業の進歩
  2 大きな土地改良事業の例
   1 豊川農業水利事業
   2 阿賀野川排水事業
  3 土地改良事業と農家の立場
Ⅱ 水田の改良
 第1章 かんがい
  1 かんがいとはどんなことか
  2 用水量とはなにか
  3 水の中にどんな物質が含まれているか
  4 イネの育ちに必要な水温
  5 用水の不足をなくすには
 第2章 水田の改良 床締と客土
  1 イネは土がつくる
  2 土とはどんなものか
  3 よい水田の土
  4 わるい水田の土
  5 床締
  6 客土
   1 どんな場合に客土するのか
   2 客土の方法
   3 客土の実例
 第3章 排水
  1 排水とはどういうことか
  2 排水不良の原因と排水の方法
  3 暗渠排水
   1 地下水はなぜ下るか
   2 計画の立て方
   3 暗渠のうめ方
   4 維持と管理
   5 暗渠排水の効果とその後の栽培方法
 第4章 水田の改良と経営の改善
  1 いままでの品種や肥料のやり方をかえよう
  2 経営を多角化しよう
  3 農機具を整備し、作業を共同化しよう
Ⅲ 畑の改良
 第1章 畑地でかんがいをすすめるために
  1 日本で畑地かんがいがすすまなかったわけ
  2 いろいろな目的の畑地かんがいの効果
   1 旱害防止のためのかんがい
   2 地温調節のための畑地かんがい
   3 土地改善のためのかんがい
  3 畑地かんがいの本当のあり方
  4 畑地かんがいと栽培の改善
   1 かんがい栽培に適したオカボの品種
   2 肥料のやり方はどうすればよいか
   3 作物の組合せを工夫しよう
 第2章 畑地かんがいのやり方
  1 作物に必要な水の量とその時期
   1 水はいつ、どれだけかけるのか
   2 作物にはどの位の水がいるか
   3 かんがいの時期と水量
   4 何日おきにかんがいするのか
  2 水のかけ方
   1 畦間かんがい
   2 溢流かんがい
   3 散水かんがい
  3 水源とその利用のし方
   1 川の水を利用する場合
   2 溜池による場合
   3 地下水の利用
   4 水源施設費について
  4 水の管理はどのようにやればよいか
 第3章 畑の土の保全
  1 土は年々なくなっていく
  2 土はどのようなときに浸食されるか
   1 畑の浸食は土の性質によってどう変わるか
   2 土の浸食は土地の勾配によって変ってくる
   3 浸食は雨の降り方によっても変る
   4 畑の状態によって浸食はどう変るか
  3 土の浸食から畑を守るには
   1 作物をどう作付けたらよいか
   2 等高線耕作
   3 輪作体系の確立 とくに帯状耕作について
   4 段々畑のつくり方
 第4章 畑の土の改良
  1 畑の酸性を改良するには
  2 アルカリ性の土を改良するには
  3 リンサンの欠乏とその改良
  4 マンガンの欠乏とその改良
Ⅳ 耕地整理
 第1章 耕地整理をすすめるために
 第2章 耕地整理のやり方
  1 どんな大きさの区画が一番便利か
  2 水路や道路はどのように配置するか
  3 集団苗代をつくろう
  4 傾斜地でも耕地整理はできる
  5 耕地を集団させよう
  6 工事がすんだあとの換地処分とは
  7 耕地整理と経営の合理化
Ⅴ 土地改良の手続
 第1章 土地改良法と土地改良事業のあらまし
  1 土地改良はすべて土地改良法にもとずいて行われる
  2 土地改良事業のあらまし
 第2章 土地改良事業の手続と費用
  1 大規模土地改良事業の手続
  2 小規模土地改良事業の手続
  3 土地改良事業の具体的なすすめ方
  4 とくに注意しなければならないこと
  5 土地改良の費用
附録 農家でできるかんたんな工事の手引
 1 ペントナイトの使い方
  1 ペントナイトとはどんなものか
  2 漏水田の改良法
  3 効果
  4 漏水防止後の問題
 2 農家コンクリート工事の施工
  1 基礎の作り方
  2 薄く広く打つ工事
  3 立ち上がりを打つ工事
  4 材料と経費
  5 コンクリート工事の要点
 3 工事に必要な測量
  1 水路や畦畔の丁張りの作り方
   2 多少のでこぼこある広い土地を一定勾配でならす場合の杭打ち
※土地改良事業の事例として、川越市南古谷や吉川市木売の事業が紹介されています。

井出留美『賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか』 2月2日

朝日新聞夕刊(2017年1月24日)環境面『賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか』(幻冬舎新書432、2016年10月)が紹介されています。
朝日新聞夕刊(20170124)

 本来は食べられるのに捨てられてしまう食品が、日本では年間632万トンも発生している。「食品ロス」と呼ばれ、問題となっている。「賞味期限のウソ」は、劣化が比較的遅い食品に表示される「賞味期限」に焦点をあて、食品ロスが生まれる背景を解説する。
 賞味期限はおいしさを保つ期限であり、過ぎてもその食品がすログイン前の続きぐに食べられなくなるわけではない。しかし、業界の慣習などで期限前に店頭から撤去され捨てられるケースがある。ロスを減らすために、わたしたちはどう行動すればいいのかも提案している。
 井出留美著。幻冬舎刊。780円(税別)
※井出留美『賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか』目次は、「3分の1ルール(納入期限・販売期限・賞味期限) 12月24日」にあります。

井出留美オフィシャルサイトoffice3.11(HP)

※NHKBS1経済フロントライン「食品ロスをなくせ!」(2016年6月11日)

※NHKおはよう日本「食品ロスを減らせ」( 2016年6月24日)

※NHKBS1経済フロントライン「相次ぐ“食品回収”の裏で何が?」(2016年12月3日)

※NHKおはよう日本「なぜ?“異物混入”で相次ぐ食品回収」(2016年12月12日)

『技術者のための魚道ガイドライン』(コロナ社) 1月3日

NPO法人 北海道魚道研究会 編・安田陽一著『技術者のための魚道ガイドライン 魚道構造と周辺の流れからわかること』(コロナ社、2011年10月)

【目次】
1. 魚道整備における基本事項
 1.1 魚道整備前に必要な情報・内容
 1.2 魚道設計・施工の考え方
  1.2.1 魚道設計をするときの考え方
  1.2.2 魚道整備の施工の考え方
 1.3 魚道整備後の評価の方法
2. 魚道の施工上の留意事項
 2.1 仮設工事
 2.2 工事現場周辺の河川環境への配慮
 2.3 埋め戻しの留意点
3. 魚道施工後の調査・検証
 3.1 魚道下流側での環境確認
 3.2 魚道内の水理環境の確認
 3.3 魚道周辺の水理環境の確認
 3.4 魚道以外からの降河環境の確認
 3.5 魚道を利用する魚種の確認
 3.6 洪水後の魚道および魚道周辺の状況把握
 3.7 魚道維持・管理環境の把握
4. 既存の魚道のポイント
 4.1 魚道形式・魚道構造
  4.1.1 プール式魚道
   〔1〕プール式矩形断面型魚道
   〔2〕アイスハーバー型魚道 
   〔3〕バーチカルスロット式魚道
   〔4〕ハーフコーン型魚道
   〔5〕傾斜隔壁型魚道
   〔6〕人工岩(擬岩ブロック)による魚道
   〔7〕コンクリートブロック型魚道
   〔8〕台形断面型魚道
  4.1.2 水路式魚道・ストリーム型魚道
   〔1〕デニール式魚道
   〔2〕舟通し型魚道
   〔3〕ブロック式魚道
  4.1.3 自然石を利用した魚道
   〔1〕自然渓流型魚道
   〔2〕アーチ式魚道
   〔3〕粗石ブロック型魚道
   〔4〕階段状魚道
   〔5〕その他の魚道
 4.2 魚道設置形式
  4.2.1 引き込み型魚道
  4.2.2 張り出し型魚道
  4.2.3 張り出し,引き込み構造の中間型魚道
  4.2.4 折り返し型魚道
  4.2.5 バイパス式魚道
  4.2.6 らせん型魚道
 4.3 魚道周辺設備・魚道附帯設備
  4.3.1 スクリーン
  4.3.2 余水吐き・オリフィス板・流入口
  4.3.3 水制工
  4.3.4 流量制御施設
 〈参考資料〉
  1. 魚道の構造
  2. 魚道構造・魚道形式
5. 魚道新設のためのガイドライン
 5.1 事前調査の内容
  5.1.1 既設の河川横断工作物周辺の河川流況
   〔1〕通常時の流況
   〔2〕洪水時の流況
  5.1.2 河川横断工作物周辺の河床形態
   〔1〕河川横断工作物周辺の河床の縦横断勾配
   〔2〕河川横断工作物周辺の河床物質・状況
  5.1.3 河川の水質・濁り
   〔1〕渇水時の水質
   〔2〕平水時の水質・濁り
   〔3〕豊水時(融雪時を含む)の濁り
  5.1.4 水生生物の生態環境調査
   〔1〕対象河川に生息する水生生物
   〔2〕水生生物の生息環境
   〔3〕水生生物の産卵環境
   〔4〕水生生物の移動環境
  5.1.5 河川周辺の環境
   〔1〕魚道設置予定地周辺の土砂生産源の有無
   〔2〕魚道設置予定地周辺の渓畔林,河畔林の分布状況
   〔3〕魚道設置予定地周辺の人工構造物の実態調査
  5.1.6 魚道整備の価値判断
   〔1〕魚道整備の必要性がないと判断できる場合
   〔2〕魚道整備の必要性があると判断できる場合
 5.2 魚道設計に必要な情報
  5.2.1 魚道設置位置
  5.2.2 魚道形式の選択
  5.2.3 魚道規模(魚道幅,魚道長)
  5.2.4 魚道内への流入量
  5.2.5 魚道流入口・魚道流出口
   〔1〕魚道流入口での配慮事項
   〔2〕魚道流出口での配慮事項
  5.2.6 魚道側壁および導流壁
   〔1〕側壁の配慮事項
   〔2〕導流壁の配慮事項
  5.2.7 降河対策
   〔1〕魚道内の対策
   〔2〕魚道外の対策
  5.2.8 新設の河川横断工作物周辺の流況の推定
   〔1〕通常時の流況
   〔2〕洪水時の流況
  5.2.9 迷入対策
  5.2.10 魚道の維持管理施設
 魚道新設設計フローチャート
6. 魚道改良のためのガイドライン
 6.1 事前調査の内容
  6.1.1 魚道が設置された河川横断工作物周辺の流況
   〔1〕通常時の流況
   〔2〕洪水時の流況
  6.1.2 河川横断工作物周辺の河床形態
  6.1.3 河川の水質・濁り
  6.1.4 水生生物の生態環境調査
  6.1.5 河川周辺の環境
  6.1.6 魚道改良整備の価値判断
 6.2 魚道設計に必要な情報
  6.2.1 魚道設置位置
  6.2.2 魚道形式の選択
  6.2.3 魚道規模(魚道幅,魚道長)
  6.2.4 魚道内への流入量
  6.2.5 魚道流入口・魚道流出口
   〔1〕魚道流入口での配慮事項
   〔2〕魚道流出口での配慮事項
  6.2.6 魚道側壁および導流壁
   〔1〕側壁の配慮事項
   〔2〕導流壁の配慮事項
  6.2.7 降河対策,洪水流の減勢対策,迷入対策
  6.2.8 魚道の維持管理施設
 魚道改良設計フローチャート
引用・参考文献
索引

本書で用いたおもな用語の説明
◆稚魚 (略)
魚道流出口魚道流入口
 これまでの魚道に関する文献の多くは、魚道の下流端を「(魚道)入口」、上流端を「(魚道)出口」としている。しかしながら、これはあくまでも魚類などの遡上行動を前提とした呼び方であろうと考える。本書では、魚類などの降河対策をも重視して相当な紙幅を割いている。降河魚を対象とした場合は、従来からの名称とは逆の表記となってきわめて不都合である。このため、本書では「水の流れ」を基本にして、従来からの魚道入口を魚道流出口、従来からの魚道出口を魚道流入口と表現している。
◆礫 (略)
◆改良、改善
 本書では、構造を良くする場合は改良、環境(状態)を良くする場合は改善と表現している。
◆島嶼部 (略)

※農林水産省農村振興局整備部設計課監修『「頭首工」の魚道設計指針 よりよき設計のために』(公益社団法人 農業農村工学会発行、2014年3月)では、魚道上り口魚道下り口
1.3 魚道の定義
 魚道とは、魚類等の移動に支障があるような場合、移動を容易にするために造られた施設の総称であり、魚道本体(魚道上り口(のぼりぐち)から下り口(おりぐち)まで及び附帯施設から構成される。
 なお、魚道上り口とは遡上する魚類等の入口、すなわち魚道の下流端のことであり、魚道下り口とは降下する魚類等の入口で魚道の最上流端のことである。(1頁)
矢来堰・中山堰・出丸堰見学 11月26日

里山保全と森林資源の活用(5) 12月30日

里山保全と森林資源の活用(黒田慶子)
 里やまへの郷愁
 本来の里山管理は農業の一部
 森林の形成と資源利用の歴史
 人が使わなくなって起こった植生変化と樹木の伝染病
 野生動物の増加と森林被害
 将来を見据えた里山管理とは
 神戸大学農学部での「実践農学」(森づくりグループ)の取り組み
 森づくりグループの演習の内容と成果
 里やまの管理を再開するための地域への提案

里やまの管理を再開するための地域への提案

 広葉樹は針葉樹よりも比重が高く、直径が20㎝を超えて太くなると人手では動かせない重さになる。また、萌芽は若い切株からは出やすいが高齢樹になるほど出にくくなる。小面積の皆伐で日光が地面に届くようになると萌芽の生育が良くなるので、里山林の管理においては、「伐採と若返り」が最重要課題である。しかしながら、日本の森林の3割を占める里山全域の管理再開はほぼ不可能であろう。……このような現状から、人が入って管理しやすい場所や災害リスクが高い場所から管理を再開する必要があるだろう。また、子孫に里山を残したいかどうかなど、所有者の価値観の問題でもある。
 西日本の低標高地にある放置里山林は、今後常緑中低木が主体の貧相な森林になることが明らかになってきた。しかし「それでも構わない」という選択もある。災害リスクの低い場所は放置しても困らないかもしれない。今回1度だけ税金を投入して整備しても、次世代の住民が15~30年後に何もしないで放置するなら、またナラ枯れが発生するなど、荒廃していく。山林として持続的に管理できる体制が作れないのであれば、発想を転換して、今ある樹木を伐ってしまったら森林に戻さないという選択もある。果樹、山菜園、花木や景色を楽しむ場所など、「これなら管理できる」という形態に変えることを推奨したい。(伊藤一幸編著『エシカルな農業』108~109頁)
市民の森保全クラブでも里やまとして持続的に管理できる体制づくりは大きな課題です。

里山保全と森林資源の活用(4) 12月30日

里山保全と森林資源の活用(黒田慶子)
 里やまへの郷愁
 本来の里山管理は農業の一部
 森林の形成と資源利用の歴史
 人が使わなくなって起こった植生変化と樹木の伝染病
 野生動物の増加と森林被害
 将来を見据えた里山管理とは
 神戸大学農学部での「実践農学」(森づくりグループ)の取り組み
 森づくりグループの演習の内容と成果
 里やまの管理を再開するための地域への提案

将来を見据えた里山管理とは

 里山は荒れてきたから整備が必要という意識が、社会的に強まっている。しかしながら、里山を管理して資源を使った世代は80歳を超える方々で、その技術の伝承がほぼ途絶えた。若い世代は、行政も里山所有者も里山管理には無縁であり、そのために残念なことが起こっている。つまり「やってはいけない整備方法」の普及である。……伐採後の萌芽更新を待たずに、クヌギの若木を植え付けるような例がある。
 各地で進む行政主導あるいはNPOやボランティアによる里山整備の多くは「公園型整備」で、人が散策して気持ちの良い林、見て美しい林を目標にしている。下草刈りや細い樹木の抜き切りをして大木は伐らずに残される。また「生物多様性を高める」ことを重視した広葉樹の植樹も人気である。これらは資源として利用していた里山林とはまったく異なる管理方法であり、整備後10年、20年後のことを考えていない点が大きな問題で、ナラ枯れ被害を増やす原因ともなっている。ナラ類の大木の多い森林、間伐(抜き切り)して風通しが良い森林、生木の伐採木が放置された森林では、媒介昆虫であるカシノナガキクイムシが多数飛来し、枯死被害を増やす。獣害防止に行われる帯状伐採でも、大木を伐らずに残した場所や伐採木を放置した場所でナラ枯れが発生している。獣害防止という目的であっても、森林の生態や病虫害に関する知識が必要な事例である。完全に勘違いの里山整備活動の代表例は、「散策路の整備」や「東屋の設置」が主目的で、樹木の管理は「道づくりの邪魔になる木を伐る」という計画であろう。ボランティアは趣味の活動ではないので、活動の結果には責任が伴う。基礎的な知識を得た上での活動が望まれる。
 里山を継続的に管理するには、市町村の行政担当者による指導と様々な団体の交通整理が大変重要である。長期計画のないイベント的整備では「楽しさ」や「清掃のイメージ」が強く、伐採された樹木は「産業廃棄物」(ゴミ)として税金を使って焼却されることが多い。整備目的が不明確であれば、「森林の樹木は再生可能な資源」という認識が薄くなる。資源利用を考えずに管理作業を進めるのは本末転倒である。「伐採-資源利用-森林再生」のどれかを実施するのではなく、森林の持続性を確保するための一連の作業であるととらえたい。
「伐採-資源利用-森林再生」のサイクルでの資源利用。市民の森保全クラブの課題です。

 数年前から林野庁による里山整備の補助金が利用しやすい形になってきている。つまり、資源利用と若齢林の再生を念頭に置いた伐採計画が可能になった。素人では伐採できなかった大径木に公的資金を投入することができ、「公園的でない」管理ができることになったのである。補助金の申請は地方自治体を通じて行うため、行政の担当者自身が里山整備についての知識を蓄積し、指導できることが重要になる。目的が合った行動ができていないボランティアは放置しないで活動団体協議会の設置やセミナー・実習の開催など、知識や技術レベルを上げるための仕組みが必要である。……(伊藤一幸編著『エシカルな農業』99~102頁)

林野庁の森林・山村多面的機能発揮対策交付金
背景・課題
森林・林業を支える山村において、過疎化等の進行に伴い、地域住民と森林との関わりが希薄化し、森林の手入れが行われなくなったことで、竹の侵入等による里山林の荒廃が進行しているため、森林の有する多面的機能の発揮が難しくなっています。

森林の多面的機能を持続的に発揮させていくためには、山村地域の住民が協力して里山林等の保全管理や森林資源の利活用を実施していく体制を整えることが不可欠です。

このため、平成25年度から森林・山村多面的機能発揮対策交付金を交付します。


事業内容
地域住民が中心となった民間協働組織(活動組織)が実施する、地域の森林の保全管理等の取組に対し、一定の費用を国が支援します。なお、交付金の申請にあたっては、都道府県単位に設立される地域協議会に申し込みをしてください。

 ア.地域環境保全タイプ
     ・集落周辺の里山林を維持するための景観保全・整備活動、集落周辺での鳥獣被害の防止活動、風倒木や枯損木の除去、集積、処理
     ・侵入竹の伐採・除去活動や利用に向けた取組

 イ.森林資源利用タイプ
     ・里山林の広葉樹等未利用資源を収集し、木質バイオマス、炭焼き、しいたけ原木等として利用する活動や伝統工芸品の原料として活用

 ウ.森林機能強化タイプ(平成27年度より新設)
     ・事業の円滑な実施に必要な路網や歩道の補修・機能強化、鳥獣被害防止施設の改良等

 エ.教育・研修活動タイプ(平成27年度より新設)

     ・森林を利用した環境教育や研修活動

 オ.機材及び資材の整備
     ・上記ア、イ及びウの実施のために必要な機材、資材及び施設の整備


里山保全と森林資源の活用(3) 12月30日

里山保全と森林資源の活用(黒田慶子)
 里やまへの郷愁
 本来の里山管理は農業の一部
 森林の形成と資源利用の歴史
 人が使わなくなって起こった植生変化と樹木の伝染病
 野生動物の増加と森林被害
 将来を見据えた里山管理とは
 神戸大学農学部での「実践農学」(森づくりグループ)の取り組み
 森づくりグループの演習の内容と成果
 里やまの管理を再開するための地域への提案

人が使わなくなって起こった植生変化と樹木の伝染病
 森林の管理は、①用途に合わせて、②健康に持続することを重視し、数十年以上先を想定して行うものであって、動植物の種数が多いことや、眺めて美しいことが本来の管理目的ではない。むしろ、十分な管理の結果として生物多様性が高まることが知られている。
 スギやヒノキなどの針葉樹人工林は木材生産が目的で、収穫時期を想定して間伐し、材質が良くなるように管理する。一方、里山二次林は昔は薪生産に都合のよい管理が行われてきた。②の健康に持続させる手法としては伝統的なやり方が一番安全であるが、①の用途は1950年代以降の燃料革命のために消滅し、管理の目標がなくなったので、今では所有者自身が里山林に入ることはほとんどなくなった。里山の大半は放置されたために大木が多くなり、中低木やタケ類の繁茂によって人が踏み込めないヤブになっている。さらにアカマツとナラ類は伝染病で次々に枯死している。……
 マツ枯れは1970年代頃から被害が増えて兵庫県下でアカマツ林の多くは壊滅的な状況である。病原体の媒介甲虫であるマツノマダラカミキリの殺虫が被害軽減には最も重要で、枯れ木が燃料に使われた時代(50年ほど前)は焼却で林内のカミキリが殺虫できた。しかし近年は枯死木が放置されるので、殺虫剤の散布なしにはマツ林を持続させることができない。マツタケ山として兵庫県では赤松林を大事にしてきたはずであるが、現実には効果のある防除は実施されていない。里山整備の際に赤松林の再生を目標にする例が増えているが、地掻きなどの伝統的な管理方法では枯死は防げない伝染病に関する知識と防除予算の継続的投入が必要となることを認識してほしい。
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 1990年代からブナ科樹木萎縮病(ナラ枯れ)という伝染病が増加した。兵庫県下では、神戸市や篠山市を含む広域で集団枯死被害が続いている。この病気の媒介者であるカシノナガキクイムシは直径10㎝以上の木で繁殖が可能になり、老大木から先に枯れる。各地の里山には昔のような若齢のナラ林はなく、大半が50年生以上で直径が50㎝前後の大木の多い林である。大径木の集団枯死が起こるため、森林の植生が急激に変化する。次項で紹介する学生の演習で植生調査をした結果、ナラ類が枯れた後は常緑広葉樹で暗い場所でも生育できるヒサカキやソヨゴ(陰樹)が多数生え、高木になる落葉広葉樹(陽樹)の芽生えはまったく育たない。常緑の中低木中心の極めて貧相な森林になることが判明した。ナラ類が枯れてもまだ林床が暗く、太陽光が足りないためである。「森林には回復力があって、放っておけばまた元に戻る」と思われがちだが、そこには勘違いがある。……(伊藤一幸編著『エシカルな農業』96~98頁)
※市民の森作業エリアのコナラも樹齢40~50歳代です。市民の森における東松山市のマツ枯れ対策の記事
 マツの枯損木の伐倒 2015年2月3日
 伐倒したアカマツの薬剤処理 2015年2月23日
 松枯れ防止のために樹幹注入剤を使用 2016年1月29日


里山保全と森林資源の活用(2) 12月30日

里山保全と森林資源の活用(黒田慶子)
 里やまへの郷愁
 本来の里山管理は農業の一部
 森林の形成と資源利用の歴史
 人が使わなくなって起こった植生変化と樹木の伝染病
 野生動物の増加と森林被害
 将来を見据えた里山管理とは
 神戸大学農学部での「実践農学」(森づくりグループ)の取り組み
 森づくりグループの演習の内容と成果
 里やまの管理を再開するための地域への提案

森林の形成と資源利用の歴史
 森林が自然に形成されるには長い時間がかかる。草原から始まって、極相林と呼ばれる最終段階の森林までの遷移には数百年かかるといわれている。人間がその途中で伐採すると、遷移が泊まったり、違う方向に進む。……
 自然に形成された森林(初代の林)を人が伐って薪や炭に利用すると、広葉樹の一部は切株から芽が出てそれが樹木に育ち、この手法を用いた森林再生は萌芽更新(または“ぼうが”)と呼ばれる。特にナラ・カシ類、シイ類などドングリのなる樹種は萌芽能力が非常に高い。昔から薪炭林にはコナラ、アベマキ、クヌギがよく使われており、適宜植栽されてきたと推測される。萌芽は、切株の養分も利用して1年0.5~1m伸長するが、ドングリからの芽生えでは数年かかって20㎝程度しか伸びず、しかも生き残る株が少ないので効率が悪い。このような樹種による特性を経験的に把握して、昔から薪炭林は萌芽更新により次世代の森林を育てていた。一家族あたり年に1反(約0.1㏊)程度の面積を一斉に伐採(皆伐)し、再生した林を15~30年の間隔で伐採してまた燃料に使うという、非常に効率的な「資源循環」を行っていた。定期伐採により遷移が止まり、クヌギやコナラを主体とする落葉広葉樹林として維持される。コナラやクヌギなど陽樹の生育には十分な日照が必要で、他の樹木が上層に茂った所では育たない。そのため、萌芽再生を促すには、一定面積の樹木を皆伐する必要がある。このような樹木の特性(光や水の要求度)を、昔の農民は十分に知って管理していた。生活や収入に関わる重要な技術だったからである。
岩殿C地区のクヌギと市民の森作業エリアのコナラの切株からの萌芽、ドングリからの芽生え(実生)の1年間の伸長を比べると納得できます。
 さて、森林の伐採や落ち葉採取が過酷な場合は、土壌の肥料成分が減るが、その貧栄養土壌でも育つことができる樹木がアカマツである。……アカマツ林は江戸時代以降、関西に広く分布しており兵庫県も例外ではなかった。
 マツ林も森林の植生推移が人為的に停止した状態である。燃料だけでなく、マツ材(アカマツの梁)やマツヤニなどの資源として重要であった。マツ類は痩せ地でも育ち、治山に適しているので、明治以降の六甲山の治山事業ではクロマツとアカマツが植林されてきた。しかし、今はマツ材線虫病(マツ枯れ)という外来の伝染病によってアカマツ林は急激に減ってしまった。また、マツ林の資源利用がなくなって林床に落ち葉が積もり、土壌が富栄養化した。そのためマツが枯れた後は広葉樹が育ちやすい環境となり、ナラ類やカシ類のほか、ソヨゴなどの常緑中低木が優先する林に変化する傾向がある。ここで注意すべきは店は、土壌の富栄養化によってマツが枯れるのではなく、伝染病で枯れた後に広葉樹が生育することである。病害の遷移への影響はこれまで注目されてこなかったが、実は自然の遷移よりもはるかに急激に、10~20年で植生が大きく変化するため、森林生態系に大きな影響を与えている。(伊藤一幸編著『エシカルな農業』92~95頁)
市民の森作業エリアでは尾根沿いにアカマツ林がありますが、伐採跡地には次世代のアカマツは育っていません。

里山保全と森林資源の活用(1) 12月30日

伊藤一幸編著『エシカルな農業 未来のために今すべきこと 神戸大学と兵庫県の取り組み』(誠文堂新光社、2016年10月)第1部地域農業の発展のための神戸大学の取り組み、7里山保全と森林資源の活用(黒田慶子)を市民の森保全クラブの活動と作業エリアを念頭に置いて読みました。筆者の黒田慶子さんは、神戸大学大学院農学研究科資源生命科学専攻応用植物学講座森林資源学研究室教授です。

里山保全と森林資源の活用(黒田慶子)
 里やまへの郷愁
 本来の里山管理は農業の一部
 森林の形成と資源利用の歴史
 人が使わなくなって起こった植生変化と樹木の伝染病
 野生動物の増加と森林被害
 将来を見据えた里山管理とは
 神戸大学農学部での「実践農学」(森づくりグループ)の取り組み
 森づくりグループの演習の内容と成果
 里やまの管理を再開するための地域への提案

本来の里山管理は農業の一部

 里やまとは日常生活に必要な燃料や肥料を採集していた場所で、勝手に樹木が生えていた森ではない。子孫が資源を永続的に採り続けることができるように、上手に管理されていた。樹木の太さは10㎝ほどの若い広葉樹と、同様に若いアカマツ林が大部分を占めていた。背の低い若木が構成する明るい森だったのである。森林というより、収穫期が長め(15~30年)の畑ととらえるのがむしろ妥当だと思っている。その一部には茅葺きに使うための草地もあり、それも禿げ山とままた違った資源採取地であった。以上の理由で、里山林の所有者は昔も今も農家(集落の共同所有も含む)である。……里山林=雑木林+アカマツ林=農用林+薪炭林という見方をしてほしい。近年、多くの人がイメージする里山は、「大木があって緑豊かな森」となっているが、今はむしろ、「緑が異常に増えすぎてしまった」ため、森林に生息する多様な生物にとって、あるいは森林管理上に好ましいとはいえない状況である。……
 森林には様々なタイプや用途がある。里山林とは農村の集落の周囲にある山林を指す。広義では集落近くの人工林も含めるが、一般には人工林を除いた部分を里山林ととらえることが多い。行政上の区分としてはこの里山の林を「天然林」あるいは「天然生林」に分類しているため(林野庁)、まるで原始林・原生林のような手つかずの森のイメージを持つ人が多いが、現在は自然に任せているという意味であり、「天然の林」ではない。人々が生活の資源として使い続けてきた林であり、森林のタイプとしては「二次林」、つまり原生林的な林を伐ったあとに形成された二次的な林である。本稿では里山二次林と呼ぶことにする。田畑の部分は、里山に対する呼び方として近年は「里地」と呼んでいる。(伊藤一幸編著『エシカルな農業』89~92頁)

伊藤一幸編著『エシカルな農業』目次

伊藤一幸編著『エシカルな農業 未来のために今すべきこと 神戸大学と兵庫県の取り組み』(誠文堂新光社、2016年10月)
エシカルな農業
エシカル(ethical)とは?英和辞典では「道徳上の」「倫理的な」を意味する形容詞。近年、英語圏では「環境や社会に配慮している様子を表す」という意味が加わってきた。神戸大学と兵庫県のエシカルな取り組みを紹介!

目次
はじめに(神戸大学農学部地域連携センター長 星 信彦)
第1部 地域農業の発展のための神戸大学の取り組み
1  篠山市と神戸大学の協働 (伊藤一幸・清野未恵子)
2 「丹波の赤じゃが」と「あかじゃが舎」(伊藤一幸)
3  耕作放棄地でできる野生梨のジャムやシロップ(片山寛則)
4  有機水田には新しい機械除草を (庄司浩一)
5  篠山市における大学と協働したサルの追払い施策
   -さる×はた合戦による餌資源管理-(清野未恵子)
6  黒大豆栽培における知恵の継承と創造 (山口 創)
7  里山保全と森林資源の活用(黒田慶子)
8  未来の但馬牛のために今すべきこと(大山憲二)
 コラム1.閉鎖育種を支える (福島護之)
 コラム2.神戸大学ビーフ (大山憲二)
9  人と農を取り巻く自然環境の歴史と在来作物の役割(坂江 渉・宇野雄一)

第2部 コウノトリを大切にする兵庫の農業
1  コウノトリの野生復帰とコウノトリ育む農法
(1) コウノトリの野生復帰(保田 茂・西村いつき)
(2) コウノトリ育む農法・生き物を育む稲作技術(西村いつき)
(3) 持続的水田抑草技術の確立を目指して、天然資材を用いた抑草法 (澤田富雄)
(4) 水田の生物多様性を求めて(戸田一也)
(5) 魚道の整備など生物多様性促進技術(青田和彦)
2  環境創造型農業の歩み(西村いつき)
3  ひょうご安心ブランドのモデル事例紹介(戸田一也)
(1) たつの市のバジル
(2) おおや高原の有機野菜
(3) 母子茶「茶香房きらめき」

まとめに代えて  (著者を代表して 伊藤一幸)
編集後記 (三浦恒夫)

見込み生産・在庫による食品ロス 12月25日

2010年度食品廃棄物発生抑制推進事業の報告書(日本有機資源協会、2011年3月)12~13頁に食品の製造から販売段階における食品ロスの発生要因がまとめられています。  
食品ロスは食品の特徴(消費期限・賞味期限、保存温度等)によって異なると考えられることから、ここでは食品の分類ごとに発生要因を整理した。

図 消費期限・賞味期限および保存温度に基づく食品分類の例
食品分類
  (1)賞味期限が数時間~2日程度の食品(惣菜、弁当等)
  (2)賞味期限が数日~1か月程度の要冷蔵の食品(日配品)
  (3)賞味期限が数か月以上の食品
      常温で保存する食品(缶詰・レトルト食品、菓子類等)
      -18℃以下で保存する食品(冷凍食品)

1 惣菜・弁当
惣菜・弁当などは、通常、受注してから生産するのでは納品に間に合わないため、受注量を予測し、欠品とならないよう多めに見込み生産を行う。この結果、販売できなかったものが食品ロスとなっている。また、営業時間の長期化が進み、惣菜・弁当なども24時間体制で製造・出荷する工場も増加しているが、消費期限を従前の製造年月日のように日付単位で設定すると、朝製造したものも夕方製造したものも消費期限が同じとなってしまい、品質の実情に合わないケースが生じる。

2 日配品
日配品は、販売量の管理や配送の効率化のために中間流通(卸売業)を経由しているが、賞味期限が短いことから、基本的に倉庫での保管が困難であり、中間流通における受注調整を行いにくいという特徴がある。このため、メーカーは販売量(注文量)を見込んで生産し、自社倉庫等において、小売店からの注文数に応じて出荷調整を行い、出荷している。
一方、小売店では売上予想に基づいて発注するが、実際の販売数は天候や近隣店での販売状況の影響を受けるため、発注量と販売量に大幅なミスマッチが生じると、売れ残った食品がロスとなる。

3 缶詰・レトルト食品・菓子及び冷凍食品
これらの食品は、メーカーが販売目標に基づき効率的な生産計画を立てて製造している。中間流通(卸売)による受注調整も可能で、先入れ先出しなど保管庫における適切な管理や、納入期限に近付いた商品を関係流通業者等に協力を求めて積極的に販売すること等により、ロスを出さないための対応が行われている。しかしながら、新商品などで販売目標と実販売量の大幅なずれ(見込み違い)や、適期に販売できなかった季節商品、大幅リニューアルした商品の旧版商品等が食品ロスとなっている。
一方、流通上の問題として、外箱の凹みや汚れ、日付の逆転等による受取拒否などがあり、これらは、商品の品質的には問題ないが、通常のルートでは販売することができない。

図 食品ロスの発生と課題
食品ロスの発生と課題

(1)賞味期限が数時間~2日程度の食品(惣菜、弁当、生菓子など)では、製造業では、発注分+αの見込み生産をするので、追加注文がなければ+α分は食品ロスになり、小売業では売れ残りが食品ロスになります。
(2)賞味期限が数日~1か月程度の要冷蔵の食品(日配品 豆腐、牛乳、ヨーグルト、プリン、ジュースなど)では、製造業では見込み生産による食品ロス、中間流通では追加注文に即応する在庫分が追加発注がなければ食品ロスに、小売業では売れ残りが食品ロスになります。
(3)賞味期限が数か月以上の長期保存ができる食品(缶詰、レトルト、菓子類、インスタント食品など)では、外箱の汚れや凹み、日付の逆転(先入れ先出しのルールにより、例えば12月25日製造の製品を納品した後、12月24日の製品は納品できない)、品質以外の基準による返品による新たな在庫が食品ロスとなっています。

食品業界では、製造業者、中間流通業者、小売業、それぞれが独自に需要量を予測して見込み生産、在庫、発注をしています。その結果、生産量や注文量が食い違い、廃棄や返品といったムダが生じています。そこで、需要予測の精度を高めて食品ロスを削減することが大きな課題となっています。



3分の1ルール(納入期限・販売期限・賞味期限) 12月24日

食品には、袋や容器に消費期限賞味期限のどちらかが表示されています。1995年までは製造年月日が表示されていましたが、 ① 国際規格との調和(包装食品の表示に関するコーデックス一般規格)、② 保存技術の進歩により食品を見ただけではいつまで日持ちするかわからない、③ 製造年月日表示が返品や廃棄を増大させているという理由から期限表示に変わりました。

消費期限は、袋や容器を開けないままで、書かれた保存方法を守って保存していた場合に、この「年月日」まで、「安全に食べられる期限」のこと。弁当、調理パン、そうざい、生菓子類、食肉、生めん類など品質がいたみやすい食品に表示されています。

賞味期限は、袋や容器を開けないままで、書かれた保存方法を守って保存していた場合に、この「年月日」まで、「品質が変わらずにおいしく食べられる期限」のこと。消費期限表示の食品に比べて品質が劣化しにくい、スナック菓子、即席めん類、缶詰、牛乳、乳製品などに表示されています。賞味期限を過ぎても、すぐに食べられなくなるわけではなく、色やにおい、味などをチェックして異常がなければ、まだ食べることができます。

食べられるのに捨てられてしまう食品(食品ロス)を減らすために、食品製造企業では、製造方法の見直しによる賞味期間の延長や、容器の改良等によって食品のおいしさや鮮度を長く保つための技術開発をしています。

食品業界では、賞味期間を3等分して、最初の3分の1を納品期限、次の3分の1までを販売期限とする商慣習があります(3分の1ルール)。納品期限を過ぎれば、メーカーや卸売業者は小売店に食品を納品出来ません。スーパーやコンビニなど小売店の多くは販売期限に達した食品は棚から撤去して販売しません。このことは、できるだけ販売期間を多く確保し、売れ残りを少なくするとともに、消費者が購入後に賞味期限内に消費する期間を確保するといった、商品管理の観点からは効率的な方法であるといわれていますが、商品特性とは無関係に一律に導入されている点で、食品ロスの発生につながっています。(農林水産省「食品小売店における納入・販売期限の設定事例について 食品小売業界からの聞き取り」2008年9月)。
抜粋37

そこで、食品ロスを減らすために、納品期限を3分の1から2分の1に延長したり、販売期限を小売店において設定する方向で3分の1ルールの見直しがすすめられています。
抜粋40

※井出留美『賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか』(幻冬舎新書432、2016年10月)目次
第1章 賞味期限のウソ 
①卵は冬場57日間、生で食べられる 
②ほとんどの賞味期限は2割以上短く設定されている 
③なぜ企業は賞味期限をもっと長くできないのか 
④1日古いだけで納品が拒否される「日付後退品」問題 
⑤「消費期限」は過ぎたら食べない、「賞味期限」は食べられる 
⑥賞味期限より前に棚から撤去されてしまう「3分の1ルール」 
⑦賞味期限の切れた頃が一番おいしいものもある!?
⑧消費者のゼロリスク志向が賞味期限を短くさせている 
⑨賞味期限に依存しきるのはお金を捨てるのと同じ 

第2章 「これ食べられる?」を自分で判断する8つのポイント 
⑩免疫力の弱い人、健康状態が優れないときは要注意 
⑪すべての食品を怖がる必要はない 
⑫店頭で直射日光を浴びていたものは買わない 
⑬外食でも家庭でも「生もの」は要注意 
⑭「タンパク質」は栄養豊富な分、腐敗もしやすい 
⑮スルメもカビる! 水分量15%ラインを知っておく 
⑯揚げ物じゃなくても。「見えない油」にご用心 
⑰薄味ヘルシー食品は日持ちしない 

第3章 捨てるコストはあなたが払っている 
⑱なぜ食料不足の被災地で捨てられる食品があるのか
⑲コンビニがスーパーより高いのは「捨てる前提」だから 
⑳棚を商品でいっぱいにしておくコストもあなたが払っている 
㉑毎日大量にパンを捨てているデパ地下パン屋 
㉒恵方巻きもクリスマスケーキも、1日過ぎればゴミ 
㉓食品ロス大国日本、ロスの半分は家庭から 
㉔売れ残りのコンビニ弁当で貧しい子どもを援助してはいけないのか 
㉕京都市はなぜ15年でゴミを半分近く減らせたのか 
㉖ハンバーガー1個を捨てるのは浴槽15杯分の水を捨てること 

第4章 あなたは、あなたが「買うもの」でできている 
㉗「買う」とは、企業と商品に「投票する」行為 
㉘「よい自分」「よい社会」を創る買い方チェックリスト 
㉙あなたがどんな人間か、買い物カゴの中身でわかる 
㉚「買い過ぎていませんか?」と客を諭す英国のスーパー 
㉛「2020東京」で食品ロス削減はできるのか 
㉜なぜ日本ではドギーバッグが普及しないのか 
㉝「割安だから大サイズを買う」はかえってムダ 
㉞食べ方のマナーは習うのに「買い方」のマナーは習わない 
㉟空腹で買い物に行くと買う金額が64%増える! 

第5章 食べ物をシェアする生き方 
㊱大手スーパーの売れ残り食品廃棄を禁止したフランス 
㊲「おそなえもの」をシェアする「おてらおやつクラブ」 
㊳家庭で余っている食べ物を持ち寄る「フードドライブ」 
㊴「食品ロス」を「支援」に変える「フードバンク」の活動 
㊵郵便配達の人が食品を回収する「Stamp Out Hunger (貧困撲滅)」 
㊶低所得者がスーパーで飲食物を受け取れる「フードスタンプ」 
㊷余剰農産物の廃棄はなくせるか 
㊸店や企業の食品廃棄を「もったいない」と非難する消費者エゴ 
㊹スーパーはみんなでシェアする冷蔵庫
㊺自分が消費することで弱者や未来の人の食べる権利を奪わない 

今日から家庭でできる、食品ロスを減らすための10カ条 
あとがき 
主要参考文献 
※この記事の図は「食品ロスの削減・食品廃棄物の発生抑制」(農林水産省)から転載。

食品ロス 12月23日

日本国内で売れ残りや食べ残しによって捨てられる食品は2013年度推計で632万トンもあります。これは世界全体の食料援助量(約320万トン)の2倍に相当する量だそうです。
抜粋8抜粋9

食べられるのに捨てられてしまう食品を食品ロスといいます。食品ロスの発生には、直接的・間接的に様々な要因が複雑に関わっており、製造・卸売・小売・外食・家庭など、それぞれの立場で取り組むこと、協力しながら取り組むことを、できることから着実に進めていくことが大切だといわれています。
抜粋60
農林水産省、消費者庁、内閣府、文部科学省など、関係6府省庁がタッグを組み食品ロス削減国民運動(NO-FOODLOSS プロジェクト)という取り組みを始めています。
抜粋52
※「食べもののムダをなくそうプロジェクト(食品ロス削減に向けた取組) 」(消費者庁・消費者政策課)
※「食品ロスの削減とリサイクルの推進~食べものに、もったいないを、もういちど~」(農林水産省、2016年10月)食品ロスの現状や発生要因、削減に向けての取組み
※「世界の合言葉「もったいない」食品ロスを減らすために ひと工夫!」(政府インターネットテレビ)

※この記事の図は「食品ロスの削減・食品廃棄物の発生抑制」(農林水産省)から転載。

セイタカアワダチソウの刈取り時期の検討 10月3日

「草地の刈取り管理 9月27日」のつづきの部分です。

井手久登・亀山章編著『緑地生態学』(朝倉書店、1993年)4.生態学的植生管理 4.2草地の植生管理(前中久行)から

セイタカアワダチソウの刈取り時期の検討
 セイタカアワダチソウでは地下部への蓄積は8月以降にはじまる。それ以前では光合成生産の50~60%が葉へ振り向けられる(前中久行・平田伸一:景観管理を目的としたセイタカアワダチソウ群落の刈取り時期の検討、昭和57年度日本造園学会春季大会研究発表要旨、1982)。地下部への再蓄積が始まる以前に、光合成器官を取り除かれた場合には、地下部に残された貯蔵養分を用いて再び光合成器官を再生させる。このために刈取り後のセイタカアワダチソウの地下部重は図4.11のように減少する。地上部の成長に振り向けた地下部の貯蔵物質が回収される以前に刈取りが行われると貯蔵物質の収支は負となる。6月から9月まで時期を変えて刈り取った場合の成長シーズンの終わりにおける地下部の残存量は、地下部への蓄積が開始される8月に刈り取ったときに最も小さくなった。(153~154頁)
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 また刈り取る時期によってその後の成長や開花・結実の状況も異なった。すなわち6月刈や7月刈では、無刈と同じ時期に開花し、花序、草丈ともに小型化したために、鑑賞に適している。8月刈りでは開花期が約1か月遅れて花序はさらに小型化する(図4.12、4.13)。9月刈ではわずかに再生したのみで、開花しなかった。(154頁)
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 これらの結果からセイタカアワダチソウの消滅を目的とする場合には、6月に1度刈り取り、その後の地上部の再生によって地下部の蓄積養分を消費させ、さらに地下部への養分の蓄積がはじまる9月ごろに再び刈り取るのが効果的である。またある程度成長を抑制し、開花させるためには、6月または7月ごろ刈り取るのがよい。この場合に枯れ草を取り除く目的で、11月中旬以降に再び刈り取ることが望ましい。(154~155頁)
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岩殿F地区の耕作放棄地のセイタカアワダチソウ群落
(2016年10月1日撮影)
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セイタカアワダチソウの群落があるのは岩殿D地区、F地区の中の湿気っていない場所です。

『河川における外来植物対策の手引き』(国土交通省河川環境課、2013年12月)
Ⅲ 対策を優先すべき主な外来植物10種の生態的特徴と対策手法
 ハリエンジュ(別名ニセアカシア)、アレチウリ
 オオカワヂシャ、オオキンケイギク、オオハンゴンソウ
 ナルトサワギク、セイタカアワダチソウ、シナダレスズメガヤ
 ホテイアオイ、ボタンウキクサ



草地の刈取り管理 9月27日

草地の生態学的な植生管理
井手久登・亀山章編著『緑地生態学』(朝倉書店、1993年) 4.生態学的植生管理 4.2草地の植生管理(前中久行)から
 草地は多種類の植物の集合体である。この中の好ましい植物をふやして、好ましくない植物を抑制することが植生管理の一つの目的である。目的とする植物の生育に最適な条件を施肥や灌水でつくり出し、好ましくない植物は雑草として除去するという従来の農耕的な手法を草地に適用することも可能である。現実にゴルフ場、公園、競技場、庭園内の芝生はこのような方法で管理されている。しかし、草地の構成種間の性質の違いを利用して、好ましい種に対しては成長を促進させ、好ましくない種に対しては抑制する作用を加える生態学的な手法で植生管理を行う方法もある。このような手法としては刈取り、放牧、火入、などがある。
 これらの手法はかつて放牧や採草の目的で行われたものであるが、アメニティ草地では生産が目的ではないので、従来の方法にとらわれることなく、種の選択や刈取り時期、高さなどについて自由に行うことができる。(151頁)
刈取りによる植生管理(同上書)
b. 刈取り
 刈取りは遷移を進行させる植物を刈取りによって取り除き、草地を維持する手法である。刈り取る時期、間隔、刈取高を工夫することで、与える影響を草種ごとに調整して、目的とする種組成や形態の草地をつくり出すことができる。……(152頁)
 刈取り後に刈り草を放置すると、下敷きになった植物への日照が阻害されて、刈取り後の成長が遅れ、特に種子からの新しい植物の侵入が抑制される。一方、刈取り後の再成長に必要な物質を地下部に蓄積している多年生植物は、比較的影響を受けないので、刈取り後の初期成長が速い植物のみが優占して種組成が単純化する。
 ある程度以上の広さの草地では、その草地全体を均一な状態で管理する必要はなく、ある部分については常に刈り草を除去し、これを別の部分に敷きつめて処分して、この部分については種組成の単純化をはかり、同一敷地内での植生型の多様化をはかる手法もある。
 葉群の垂直的な分布は植物によって異なるので、刈取りの高さを変えると、その後の植物の成長は種間で異なってくる。ある植物にとって最も有利な刈取り高は、その植物が影響を受けず、かつ競争相手が多く取り除かれる高さである。刈取り高を調節して、特定の植物の増殖を意図する場合には、その時点での生育高よりやや上部が適正刈取り高となる。
 刈取りの時期や間隔の効果は植物季節と関連する。たとえば一年生の好ましくない植物については、種子が成熟する以前に刈り取ることで防除できる。
 多年生の草本植物は一般に次のような生活サイクルをもつ。すなわち、前の生育期間に地下部に蓄えた貯蔵物質を用いて春に急激に葉や茎を増大させて初期成長を行う。この期間においては地下部の重量は減少する。その後、展開した葉によって光合成を行い、皇后生産物を地上部器官の拡大に振り向ける。地上部の拡大に必要以上の光合成が行われた場合は、これを地下部に回収蓄積して次の成長期間に備える。これよりも短い間隔で刈取りを繰り返せば、その植物は持続されず、より短期間に貯蔵物質を回収できる植物種と置き換わることになる。(152~153頁)
耕作放棄地の藪を全面的に刈払ったあと、植生をどのように管理していくのか。年1回、草刈りするとすれば、いつがよいのか、先行する事例を参考にしながら、時間をかけてシナリオを見つけていきたいと考えています。

今日は、AT限定解除と更新を鴻巣の免許センターで行ったので作業は休みました。

耕作放棄地の植生遷移 9月23日

9月11日から今日までの東京の日照時間は6時間だそうですが、当地でも似たような天気が続いています。『耕作放棄地活用ガイド』(『現代農業』2009年11月増刊号、農文協)に掲載されている嶺田拓也さんの「耕作放棄地の植生はどのように変わっていくのか」(72~79頁)を読みました。耕作放棄された田んぼの植生遷移が土壌の乾湿の影響を受けているらしいことは、岩殿D地区、F地区で確かめられます。

 耕すとは自然植生を撹乱すること
 ほとんどの田んぼや畑などの耕地は、自然の植生が成立していた場所を改変して整備された。
 植生の移り変わりを遷移と呼び、溶岩流など新しく形成された裸地を始点とする場合を一次遷移というのに対し、耕作や火事、洪水などによって撹乱された場所で起こる遷移を二次遷移と呼んでいる。
 しかし、植生に対する耕作の影響は自然由来の撹乱要因と比べても大きいとされ、人為の加わっていない耕作以前の植生は、気候の変動や地形変化など長期スケールの影響も受けながら、もっと自然条件に適応した植生が存在してきたと考えられている。また、耕作行為は耕起や除草によって、強制的に植生を二次遷移初期に後戻しさせている作業の連続とみなすことができる。
 耕作放棄とは、それまでの人為的な圧力が消失・軽減することを意味するため、耕作放棄時を始点とする新たな植生の遷移が見られることになる。耕作にともなう管理をまったくやめてしまった耕作放棄地では植生遷移が進行し、やがて潜在自然植生(ある土地からいっさいの人為的作用を停止したときに、その時点でその土地が支えうるもっとも発達した植生)へと移行していくと考えられている。(72頁)

 放棄後の植生には地下水位が大きく影響する
 一般には、耕作放棄地の遷移の方向性は土壌の乾湿に大きく影響を受け、地下水位が低く土壌が乾燥しやすい畑地跡などの場合には、一年生雑草からススキやセイタカアワダチソウなどの多年生草本、そして潅木林を経て、周辺地域に見られるような木本群落へと進む。
 湿田跡のように湧水が絶えず流れ込み、地下水位が高い場合には、一年生中心の水田雑草群落が1~2年見られた後、ヨシ・ガマなどの湿原性の多年生草本群落がしばらく続き、やがてハンノキやヤナギなどの湿地林に移行していく。
 また、西日本では、竹林の管理もままならなくなっているため、耕作を放棄すると竹林に飲み込まれてしまう事例も増えてきている。
 耕作放棄後の年数と植生との関係は、周辺からの種子の供給や立地条件などにより異なるが、多年生草本群落の成立以降は穏やかに変化していく。また、耕作放棄地では作物との競合や除草など耕作に伴う淘汰圧がないため、周辺からの種子供給と埋土種子の存在の有無も植生の移り変わりを決定する主な要因となる。(73~74頁)

 木本の進入を抑えるかどうかで再生のコストが大きく変わる
 植生遷移が進行し、コナラやハンノキなどの木本が優先するようになった耕作放棄地では、畦畔の形状が崩れるなど再び耕地として再生することが難しい。(74~75頁)
 木本の進入を抑制して効率よく雑草植生を維持するためには、少なくとも年1回程度の刈払い管理と5~10年内に一度の耕耘管理の必要性を読みとることができる。(77頁)
 放棄水田を「生きものの宝庫」にするための管理
 耕作放棄地では耕作時の履歴も反映しながら遷移が進んでいくが、木本の侵入を抑えるような最低限の管理を行っていけば、絶滅危惧種を含む多様な植生が見られる可能性がある。多様な植生にはさまざまな生きものが集う「生きものの宝庫」として機能するため、新しい地域資源の供給源として耕作放棄地を位置付けることもできるだろう。(79頁)

稲の干し方から冬水たんぼへ 9月20日

稲刈り体験の参加者に稲の干し方について話そうと、過去の記事を読み直しました。「稲の干し方あれこれ」(2014.11.04)では有薗正一郎さんの『農耕技術の歴史地理』(古今書院、2007年)の第8章「近世以降の稲の干し方の分布について」を紹介しています。
刈った稲の籾を干す方法は、(1) 穂首刈りして、穂の束を干す方法、(2) 刈り取ってすぐ脱穀して、籾を干す方法、(3) 籾付きの稲束を干す方法の3つがあります。現在はコンバインで稲を刈って脱穀し、その後、籾を乾燥機に入れて乾かし、籾摺り機で玄米にしています。
(3)の籾付きの稲束を干す方法には稲束を田面で干す地干し法と、稲束を立木か稲架に掛けて干す掛け干しがあります。地干し法は1910~20年頃もまだ広くおこなわれ掛け干し法と並用されていました。
その理由は、湿田でも稲束を干す前に水を抜けば地干しはできたし、掛け干し法は労力がかかったか らである。20世紀前半までの稲は現在の稲よりも背丈が高かったので、掛け干し法では稲束の穂先が田面につかないように、稲架の横木を高い位置に設定せね ばならなかった。また、20世紀初頭頃までの日本人は現代人よりも10cmほど背丈が低かったので、稲架の横木の位置は現代人の目線よりも30cm以上高 くなり、稲束を持ち上げる姿勢で稲架の横木に掛ける作業は、多くの労力がかかった。さらに、掛け干し法は稲架の設置と取り外しに多くの労力がかかる。他 方、地干し法は背丈が低い人でも背丈が高い稲束を楽に扱えるし、稲架の設置と取り外しの手間がいらない合理的な稲束の干し方であった。 (有薗「近世以降の稲の干し方の分布について」2004年人文地理学会大会研究発表要旨抄録より)
「湿田でも地干しができた」のは、近世には湿田が多かったが、その多くは安定しない用水事情に対応するために田に水をためておく人為的な湿田であったので、稲刈り前に田んぼの水を排水することができたからです。イネの地干し作業が終われば田んぼにまた水を入れ、冬期は水の出入口を管理して水をためておきます(冬季湛水、「冬水田んぼ」)。
 水田は夏期に稲を作付して米を作る場である。したがって、来年春の灌漑水を確保するとともに、水田の地力を維持して一定量の米を収穫するためには、冬期は湛水(たんすい)しておく必要があった。水田でのイネ一毛作と冬期湛水は、低湿地の生態系に適応することで、投下する労力と資材を減らすとともに、地力を維持する農法である。1884(明治17)年の一毛作田率75%からみて、近世にはすくなくとも水田面積の四分の三でイネ一毛作をおこなっていたと考えられる。
 他方、畑では多毛作をおこなう必要があった。冬作物を育て、初夏に収穫した後、畑を休ませると、雑草が生えるので、雑草が繁茂しないように夏作物を作付したからである。
 近世の水田はイネの一毛作が広くおこなわれて冬期湛水が奨励され、畑では多毛作をおこなってきたのは、それぞれの環境に適応する人々の智慧であり、それを文字媒体で奨励したのが、農書の著者たちであった。(有薗「近世農書はなぜ水田の冬期湛水を奨励したか」 『愛大史学』22号、2013年1月、21頁)
岩殿で冬期湛水の「冬水田んぼ」は可能でしょうか。

稲の自然乾燥の方法 9月18日

児沢の田んぼでは、10月2日、8日に稲刈りを予定しています。のこぎり鎌で刈った稲を束にして稲架に掛けて自然乾燥します。刈った稲を干す方法はいくつかあります。クリップ NHK for School の総合(小学3~6年)「稲の自然乾燥」は、2分弱の動画です。番組のナレーションを引用しておきます。視聴して下さい。
 刈り取った稲には、水分がまだたくさん残っているので、乾燥させなければなりません。稲の自然乾燥には、地域によって、いろいろなやり方があります。
 これ は束立て(そくたて)や、地干しと呼ばれるやり方です。地面に稲の束を立て、風と地面の熱を利用して乾燥させます。
 田んぼに組んだ棒は、はさや稲木などと呼ばれます。 この棒に稲の束をかけていく作業は、はさ干しなどと言われます。
 日当たりが良すぎるところでは、日陰に向けて干すこともあります。米が割れないようにする ためです。
 日本海側の湿気が多く、風通しも良くない地域では、6段から9段もある高いはさを作るところもあります。大人の背ぐらいの高さの棒に、稲の束を かける棒がけというやりです。かわいた気候の地域でよく利用される方法です。
 風とおしをよくするために、らせん状にする棒がけもあります。稲の干し方に は、地域ごとに地形や風向きにあったやり方が工夫されています。
※当ブログの過去の記事では、「タナガリ・ベタガリ 滑川町水房」、「稲刈りと乾燥 読書ノート」、「稲の干し方あれこれ」、「稲架あれこれ」などがあります。

「川とそこにすむ生物を見る」目次 9月14日

リバーフロント整備センター編著『まちと水辺に豊かな自然をⅡ 多自然型川づくりを考える』(山海堂 1992.3)の第Ⅰ編の目次です。
まちと水辺に豊かな自然をカバー

Ⅰ.川とそこにすむ生物を見る

 1.川を見
  川の形を見る
  ●流れ下る川の姿
  ●川の流れの作用
  ●河床の変動を知る
  ●河床の姿をみる
  ●ミクロな川の姿
  (コラム)わが国の河川特性

  瀬と淵を見る
  ●自然の川には瀬と淵がある
  ●河川生態学から見た瀬・淵の類型
  ●砂州と瀬・淵

  水環境を見る
  ●流れる川の水を見る
  ●水量を知る
  ●水質を知る
  (コラム)正常流量と環境基準

 2.川にすむ生物を見る
  川にすむ生物
  (コラム)植物・動物
  (コラム)川にすむ生物の調査法

  川の魚
  ●川の魚の分類
  ●分布
  ●川の魚の生活
   (1)生活のサイクル
   (2)餌のとり方
   (3)産卵
   (4)休息・避難場所など
  ●魚に必要な川の環境

  川の植物
  ●川の植物群落の分類
   (1)群落の区分
   (2)植生の分類
  ●群落の分布と環境
   (1)自然植生の成立ち
   (2)半自然植生の成立ち
   (3)帰化植物群落の成立ち
  ●植生に必要な河川環境

  川の鳥
  ●川の鳥の分類
  ●分布
  ●川の鳥の生活
   (1)生活のサイクル
   (2)餌のとり方
   (3)繁殖
   (4)ねぐら(塒)
  ●鳥に必要な川の環境

  その他の川の動物
  ●分類
   (1)水中の動物
   (2)川辺の動物
  ●その他の川の動物の生活
   (1)生活のサイクル
   (2)餌のとり方
   (3)繁殖
  ●その他の川の動物に必要な川の環境


Ⅱ.生物にやさしい川の姿/多自然型川づくりを考える

 1.多自然型川づくりの理念と背景
 2.海外における多自然型川づくり
  スイスやドイツにおける多自然型川づくり
  カナダにおける遡河回遊魚のための川づくり
 3.伝統的河川工法
 4.多自然型川づくりを考える
  (コラム)ビオトープ
  (コラム)河道内の樹木

Ⅲ.多自然型川づくりの事例

Ⅳ.多自然型川づくりを始めるにあたって

参考資料 スイスの多自然型河川工法

まちと水辺に豊かな自然を18頁

ぐんまの魚の生息環境を考える日本一のアユを取り戻す会 公式ホームページから)

  (1)ぐんまの魚の生息環境を考える
  (2)川の流量について
  (3)河川水の水質について
  (4)(5)河川水の水温について
  (6)瀬と淵について
  (7)淵と瀬を取り戻す
  (8)川岸を考える
  (9)河床を考える
  (10)ヤリタナゴの小溝
  (11)おわりに

水野信彦『魚にやさしい川のかたち』目次

比企の川づくり協議会は、週末17日(土曜日)9時~「都幾まるごと再生事業整備後生き物調査」をときがわ町玉花菖園前の都幾川で実施します。河川改修や洪水によって淵や川原、生きものの生息環境がどう変わったのかなど調べます。今日は秋雨で農作業はお休みして水野信彦『魚にやさしい川のかたち』(信山社, 1995.11)を読んでみました。
魚にやさしい川のかたち

 魚にやさしい川のかたち 水野信彦著
1.瀬と淵
 1.1 淵と瀬は夫婦
 1.2 夫婦は一心同体
 1.3 淵の現状と漁場価値
2.淵の水深の重要性
 2.1 淵を消失させる理由
 2.2 淵の保全策
3.淵の水深の重要性
 3.1 深い淀みと浅い淀み
 3.2 トロを淵に変える
 3.3 淵と早瀬の一体性など
4.淵の型およびR型の淵
 4.1 淵のいろいろな型
 4.2 R型の淵と大石の除去
 4.3 巨石の投入事業A
 4.4 巨石の投入事業B
5.S型の淵と魚
 5.1 S型の淵と床止めの堰堤
 5.2 魚道は不要
6.堰堤とS型の淵の活用
 6.1 長野県農具川の例
 6.2 高知県新別川の例
 6.3 欧米での例
7.堰の平面図と流れの関係
 7.1 堰の平面形と流れの関係
 7.2 島根県髙津川の例
8,川岸の形と護岸
 8.1 三方護岸
 8.2 用水路の三方護岸
 8.3 用水路での問題点
 8.4 急勾配河川での三方護岸
9.側方護岸の魚巣ブロック
 9.1 側方護岸の漁業被害
 9.2 河道と護岸
 9.3 魚巣ブロック
10.木と石の護岸
 10.1 木と石の護岸
 10.2 近自然河川改修法
 10.3 樹木の効用
11.魚の移動と魚道
 11.1 川魚は移動する
 11.2 魚道を不要にする工夫
12.魚道の問題点
 12.1 アユのためだけでない魚道
 12.2 魚道の前後の問題
13.おわりに
 13.1 欧米の河川改善
 13.2 欧米と日本との相違

資料(Ⅰ)淵の造成と漁場
資料(Ⅱ)河川改修の影響予測
資料(Ⅲ)魚類調査
資料(Ⅳ)淡水魚の生態
資料(Ⅴ)淀川下流域の水質汚濁と魚類の分布
 8月23日午後4時半頃の現場(前の日は台風9号が通過。ときがわ町の降水量は211.0㎜)
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イネの収穫適期とは? 9月1日

9月になりイネの収穫作業の日程が具体化してきました。9月下旬から10月初旬が収穫時期です。児沢の田んぼは8月10日前後(5月29日に田植えをした上の奥の田んぼ、6月5日の手前の田んぼ、下の田んぼ)に出穂しています。出穂(しゅっすい)とは穂の先端の籾(もみ)が1粒でものぞいた状態、出穂して数日後に穂の大半が葉鞘(ようしょう)からできった状態になります。出穂期とは水田全体の40~50%が出穂した時、穂ぞろい期とは80~90%が出穂した時をいいます。
 収穫適期を判断する方苞として、(1)出穂後日数で判断する方法(2)籾の色相変化による帯緑籾歩合(%)方法(3)出穂した後、日平均気温を和した登熟積算気温による方法があります。(2)は、モミを手でこぎ落とし、白い紙などの上に落として青みが残っている籾の割合で、青味籾率ともいいます。収穫適期は青味籾率が25~5%です。籾の大多数が黄化するのを待つと刈り遅れとなります。
 2012年、東松山市石橋の田んぼでは、田植え6月12日、出穂期8月12日、積算温度1,162度で9月26日に収穫しています。

米粒の形成(『作物栽培の基礎』農文協、183~184頁)
 受精した子房は、発達をはじめ、図のような経過をたどって登熟する。開花7~10日後には胚の形はほぼできあがる。いっぽう、胚乳組織は、開花7日後には形ができ、以後は茎葉から送られてきたでんぷんの蓄積がさかんにおこなわれる。
 米粒は、はじめ長さを増し、ついで幅を、最後に厚さを増す。25日頃に玄米の大きさが決まるが、このときは、果皮に葉緑体を含むため緑色をしている。30日頃からは、内容の充実につれて水分も減少し、粒の容積もわずかに小さくなり、緑色が消えて、玄米本来の半透明になってくる。ふつう45日ころ、内花えい・外花えいも緑色を失い、光厳色となって完熟期をむかえる。
開花184

刈り取り時期
(『作物栽培の基礎』農文協、191~192頁)
 登熟のすすみぐあいは穂によってちがい、また、同じ穂でも、もみの位置によてちがう。はやく実ったもみが雨や日光にさらされて乾湿の変化をくり返すと胴割れ米が発生し、反対に未熟もみを収穫すると青米(果皮に葉緑体が残っているため緑色をしたもの)になる。そこで、胴割れ米と青米の両方の発生率が最小に近くなった時期を刈り取りの適期とする。この時期は、大部分のもみが黄色になり、1~2割のもみが緑色を残しているころと考えてよい。
 また、もみは、登熟がすすむほど重さがふえ、水分は低下するので、収穫・乾燥作業上などからは、おそ刈りのほうが有利である。しかし、おそ刈りすると脱粒や倒伏などによる損失が多くなるので、やはり適期収穫が大切である。
収穫192

館ヶ丘団地(東京都八王子市) 8月8日

境川の多自然川づくり見学の帰路、車窓から「舘ヶ丘団地名店街」の看板をみて買いものをしようとハンドルをきりました。名店街はシャッター商店街化しており、ダイエー系列のグルメシティ館ヶ丘団地店は8月末で完全閉店で売りつくしセールをしていました。団地ができた時に開業したスーパーです。
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館ヶ丘団地は1975年に住宅公団によって高尾山の麓の29㏊(東京ドーム6個分)に建設された総⼾数2848⼾の⼤型団地です。住民は1万人をこえていた時代もありましたが、現在およそ3,500人、65才以上の割合は51%、その内70%以上が独り暮らしです。団地内にあった小学校2校、中学校1校は統合されて小中学校1校となっています。

八王子保健生協が市から事業委託を受けて運営する「八王子市シルバーふらっと相談室館ヶ丘」のウィンドウに館ヶ丘団地おむすび計画・熱中症予防対策のチラシが貼ってありました。
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おむすび計画は2011年からスタートした高齢者の熱中症予防を、主な目的とした地域活動です。「おむすび」とは、団地の中で人と人との輪を結ばれる、そんな願い込めて名付けられたそうで、子供から大人まで幅広い世代の参加できる多世代型の活動です。

人がふれあう場をつくる ーつながりでくらしを豊かにー 八王子保健生協(日本医療福祉生活協同組合連合会『comcom』2014年8月号)
高齢者を支える「舘ヶ岡団地」の取り組み(TBSラジオ『人権トゥデイ』2016年7月9日放送)

境川上流の蛇行流路を見学 8月8日

町田市(東京都)と相模原市(神奈川県)の境を流れる境川上流部の蛇行流路を見学しました。
多自然川づくりの参考事例、多自然型工法として紹介されている場所です。
境川(多自然川づくり参考事例集10)境川(多自然川づくり参考事例集11)多自然型工法

相模原市立宮上小学校北側は川幅が広く川原やワンドがあり、こどもが川に入って遊んでいました。
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写真7・8・9が宮上小北側です。
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写真4・5の蛇行部分
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この地域の境川の河道の航空写真はヤフーマップがおすすめです。


蛇行部分は上流の西側、地図を左に移動してください。

多自然型川づくりの事例:境川(相模原市)

多自然川づくりの事例としてとりあげられることが多い境川は、東京都、神奈川県を流れ相模湾に注ぐ2級河川です。上流部は概ね東京都と神奈川県の境を流れており、かつての武藏国と相模国との国境を流れることから境川、八王子街道(大山街道、国道16号線))が境川をわたる橋は両国橋、橋の南側にある宿は橋本(相模原市緑区橋本地区)と命名されています。

島谷幸宏『河川環境の保全と復元 多自然型川づくりの実際』(鹿島出版会、2000年)は多自然川づくり分野の基本図書です。
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「第4章保全・復元の際の基本的考え方」にのコラムで川の蛇行部と河畔林を残すことができた例として境川が取り上げられています。

 コラム6 治水計画と自然環境保全の例(境川)
 現在の環境が良好な場合は、その環境をどのようにして保全するのかが重要となる。河岸に河畔林が残っている境川を例に考えてみたい。境川は神奈川県と東京都の境界の洪積台地上を開削して流れる、神奈川県が管理する掘込み河川である。以前は相当の区間で河畔林があったが、現状では2㎞の区間のみが河畔林が存在する区間になっている。また大きな蛇行部が存在することも特徴である。この河畔林の保全をめぐって、河畔林管理者である神奈川県と境川の斜面緑地を守る会の間で議論がなされた。当所の計画案は計画流下能力60立米/秒を確保するために河道を直線化し、断面の拡幅、護岸を設置する計画であった(図4-1)
 当所の改修計画のインパクトとしては、河畔林やニリンソウなどの林床植物の生育地になっている天然河岸の消失、魚類のハビタットとしての重要な湾曲部の喪失かあげられる。これらのインパクトは、河畔林からの落ち葉や落下昆虫など餌物質を減らすことにもつながり、エネルギーフローにも影響を与える。また河畔林の伐採は、光環境を変え林床植物に影響を与える。元凶の環境が良好なときのインパクト軽減策としては、回避、低減が基本である。境川では、なるべく蛇行部や河畔林を残すことを基本に、いくつかの代替案に対して流下能力の詳細な検討がなされ、天然河岸の強度がどのくらいあるかを調べるためのボーリング調査が行われ、蛇行部分がほとんど残ることになった(図4-3)。一部河畔林が伐採される林床植物は移植されることとなったが、河川沿いの樹林地の樹木を間引き光環境を改善してから移植することとなった。(39~40頁)
図4-1 当初案(河道の直線化、断面の拡幅、護岸の設置により、天然河川の湾曲部が消滅する)
図4-2 ショートカット案
図4-3 決定案(川の蛇行と河畔林を残すことができた。黒い部分が拡幅する部分)
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境川は図の右側から左側に流れ、右側に国道16号線、両国橋、中央の蛇行部に計画された「管理橋」は現在、「横町橋」となっています。
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「多自然型川づくり」は型がとれて現在は「多自然川づくり」となり、『多自然かわづくりポイントブックⅢ 中小河川に関する河道計画の技術基準;解説 川の営みを活かした川づくり ~河道計画の基本から水際部の設計まで~ 』(日本河川協会、2011年)で、境川は18、29、30、55、97頁などでとりあげられています。

NPO法人境川の斜面緑地を守る会のホームページ

「谷津田を維持して暮らしが成り立つ社会・経済的な裏づけ」 8月3日

桜井善雄さんの『水辺の環境学④ 新しい段階へ』 (2002年)の「第3章水辺のあれこれ」の「谷戸(谷津)-この日本的な自然」(174~177頁)の後段です。

 さて、1960年代から始まったわが国の農村整備事業は、一区画の水田の面積を大きくして、農作業の機械化を可能にし、生産性の向上に大きく貢献したが、その反面、伝統的な農村の多様な自然環境は消滅し、何百年もそれに依存して人間と共存してきた野生生物は、驚異的な速度で減少した。それでも、上記のような国および農家にとって投資効果の小さい谷津田は、改造から免れた。しかしそれも、あるいは放棄されて荒れ放題となり、あるいは開発されて、今はみる影もないまでに減少した。

 今、わが国の野生生物の多様性の回復が叫ばれているが、そのためには、まず、その土地固有の昔から存在した生息環境を保全・復元しなければならない。谷津田こそまさにその重要な対象である。しかし、その回復と維持は、農家の献身的な努力ではもはや不可能である。都会の人びとのボランティア活動も意義があり重要であるが、根本的には、谷津田を耕し、維持することによって暮らしが成り立つ社会・経済的な裏づけがなければならない。1999年に改正された農業基本法によって、国はその道を開いてくれるだろうか。(強調は引用者)
この本が出版されて15年近くたちましたが、「谷津田を維持して暮らしが成り立つ社会・経済的な裏づけ」はますます必要になっています。岩殿満喫クラブも模索しています。

「谷戸(谷津)-この日本的な自然」 8月3日

桜井善雄さんの『水辺の環境学④ 新しい段階へ』 (2002年)の「第3章水辺のあれこれ」の「谷戸(谷津)-この日本的な自然」(174~177頁)の中段です。

 谷戸は、山裾の扇状地や火山噴出物が堆積した台地を、水流が浸食・開析して形成した、小規模な浸食谷である。日本列島の若い地質構造とモンスーン気候による高い降水量が、このような特徴ある地形を、全国にきめ細かくつくり出したのであろう。
 谷戸の浅い谷底には、狭いながら下流側に傾いた平場が堆積によって形成され、谷の奥や左右の崖の基部には、湧水(ゆうすい)をみることが多い。少しでも多くの米がほしかったわれわれの祖先は、このような自然条件を利用して、営々とここに棚田を拓いた。そして用水の安定確保と、稲の生長のために少しでも水を温めようと、谷頭に温水溜池を設けていることが多い。
 谷戸は、関東地方では「谷津」とも呼ばれ、単に「谷」と書いて「やと」と読む地方もある。谷戸の水田は、谷津田、谷戸田、谷地田などのほか、中国地方では棚田、迫田(さこた)などとも呼ばれる。このような呼び名は、全国の地名や人びとの姓にも多くみられ、谷戸と日本民族とのかかわりが、いかに永く深いものであるかを物語っている。

 谷津田には、昔から人間と共存してきたさまざまな野生生物の多様な生息環境がある。一年中水を湛(たた)えた谷頭の溜池や山裾のしぼり水の小川、そのまわりの湿地や湿田、夏には一面水を湛えた湿地となる水田とその畦畔(けいはん)、棚田の三方を囲む斜面や崖をおおう森林と、その裾を取り巻く低木の藪等々、さまざまな小さなハビタットを含むビオトープがモザイク状に入り組み、全体として特徴のあるビオトープシステムを形成している。
 農村地域にすむ野生生物の生態とその保全理論について優れた業績をあげている守山弘さんは、季節と、代かきや田植えなどの農作業によって移りゆくこのような谷津田の生息環境を、さまざまな昆虫、両生類、魚類などの、北方系の種類と南方系の種類が、時期的にうまくすみ分けて利用している状況を解き明かしている(守山弘『水田を守るとはどういうことか-生物相の視点から』農文協、1997)。
 また、このような小動物とそれを取り巻く環境は、わが国ではすでに野生から姿を消したトキやコウノトリにとっても、欠くことのできない餌場と繁殖環境を提供していた。日本列島の自然と人間の営みによってつくりだされた谷戸の環境は、まさにわが国特有の、管理・利用型の生息環境の代表ということができるだろう。

不自然型川づくりがみられる理由 8月1日

桜井善雄さんの『水辺の環境学④ 新しい段階へ』 (2002年)の「第2章新しい仕事」の「多自然型川づくりの道程」(81~85頁)からです。

 わが国の河川は、その自然性と社会性からみて実に多様である。したがって生きもののためにせよ、地域社会のためにせよ、その川の環境の特性を生かした整備をおこなうには、かなり高度の知識とセンスが必要である。このような事業が始まってもう10年以上も経過するのに、いまだに上記[土砂で埋まった魚道、渓流の脇に渓流をまねた水路、ホタルが住めないホタル水路、埋まった人工ワンド、浮遊物がたまって腐敗したワンド]]の類いの不自然型川づくりがみられる理由としては、

①担当者の交代が頻繁過ぎて対象水域の特性の理解が不十分のまま、計画が民間業者まかせになりやすい
②対象河川についての生態学的情報が不十分か、またはあっても活用されず、さらに生態の専門家の一貫した協力がない
③理にかなった事業から予算が決まるのではなく、予算が事業の規模・内容を決めることもある
④生態学や川の自然の法則からみて、その場所にとって必然性のある計画や工法を選ぶのではなく、自然らしく見せたいという思いつきが先に立つ

 また地方の市町村などでしばしば聞くことであるが、

⑤首長や議員などの有力者が、思いつきや地元への点数稼ぎのために、担当者としては無視することができない素人考えの口出しをし、時には圧力をかける
⑥その事業を遂行するために、地域や水路の利用権をもつ関係団体からの不合理な意見を取り入れざるをえないこともある

等々があげられるように思う。(84~85頁、強調は引用者)

川の環境民主主義 8月1日

桜井善雄さんの『水辺の環境学④ 新しい段階へ』 (2002年)の「第1章新しい視点を」の「川の環境民主主義(33~37頁)からです。

 ついひと昔前まで、ごく身近な不都合でもない限り、人びとは川の改修や管理について、積極的な意見をもつことも言うこともなく、すべて管理者すなわち御上まかせであった。しかし近年になって国海外の環境問題の激化を反映して、わが国でも、川の自然環境を守ろうという意識が急速に高まり、そのような時代の背景の中で、河川管理に住民の意見を反映させるという条項が、新しい河川法[1997年改正]に盛り込まれた。
 前の節[「脱ダム宣言」]で環境民主主義という言葉を使ったが、最近の関連した出来事[2000年吉野川第十堰の可動堰化の是非を問うた住民投票]をめぐって、このことをもう一度考えてみたいと思う。(33頁)

 したがって、この種の事業の可否に関する民主的な判断には、河川管理者と住民が、洪水による災害の可能性とその防御に関する情報と理論を共有し、その対応策をさまざまな選択肢の中から選ぶ過程が、どうしても必要である。このような過程は、新しい河川管理計画の検討に意識的に取り入れられるべきものであり、本来それは、河川管理者と住民の間に置かれた白紙から出発し検討されるものであるから、そこに討論はあっても、根本的な対立は原則としてありえないはずである。
 とはいえ、どんな水系でも、環境保全との折り合いを模索しながら総合的な治水・利水計画を立てるには、かなりの専門的な知識と基礎データが必要である。ここでは、住民がそれをすべて理解しなければならないと言っているのではない。河川管理者には、このことについて十分かみ砕いて説明する責任があるし、住民もまた客観的な立場にある専門家の協力をえて、積極的に理解につとめ、それにもとづいて地域の河川管理計画の策定に参加し、発言してゆくのでなければならない。説明が不十分な一方的な押しつけや思い込みの強い狭量な発言は、このような双方の努力を撹乱し妨げこそすれ、貢献するところは極めて少ない。最初から白か黒かの立場にこだわった議論ではなく、そこには民主的な討論を通じて合理的な折り合い点を見つけ出す、大乗的な議論がなければならない。
 民主主義は、国民すべての主権の保証と、社会の意思決定への平等な参加が保障される社会のあり方であり、当然一方では義務の自覚が求められる。環境民主主義もその埒外(らちがい)にはない。(34~36頁、強調は引用者)

 さらにもう一歩踏み込んで考えなければならない大切な問題がある。それは、河川管理という目的が明白な事業に対して、なぜ、場合によっては、見当違いな批判や反対が生まれるのか、ということである。
 わが国の公共事業や国際協力事業には、嘆(なげ)かわしいことに、いまだに手を変え品を変えた政治家と業界の癒着と汚職が跡を絶たない。そのことが、公共事業全般について、心ある国民に不信を抱かせる原因になっており、その不信が必要な河川事業に対しても人びとを反対運動に駆り立て、共通の課題であるべきはずの事業そのものについての、もっとも本質的な対話と議論を妨げているのではないだろうか。目の前の現象に惑わされずに物事の本質を見抜く、より広くより深い思考が、今私たちに求められているように思う。(37頁、強調は引用者)

環境民主主義を育てる「政策」 8月1日

桜井善雄さんの『水辺の環境学④ 新しい段階へ』 (2002年)の「第1章新しい視点を」の「脱ダム宣言」(22~32頁)からです。

 わが国の地質、地形、気候、土地利用(国民生活、産業、社会資本などの立地)等の欧米諸国とは著しく異なった特性を考えると、洪水に対する対応の仕方には、画一的でなく、水系あるいは地域ごとに個性があるのは当然です。その地域に降った雨のどれだけが流出するか、それは雨の強度と継続時間によってどう変わるか(これについては、地球温暖化のために降雨が時間的および地域的に集中する傾向が表れ始めていることも考慮する必要がありましょう)。それによってどの程度の高水(こうすい)がどんな頻度で予測されるか[基本高水]。当面それをどの程度まで防ぐ必要があるか。その高水を現在の河道で排除できないならば、その水系と流域にどんな対応の仕方が考えられるか-河道の拡幅か、掘り下げか、堤防の嵩(かさ)上げ補強か。それらがいずれも不可能なら、洪水のピークを下げるための遊水池や調節池の設置はどうなのか。また、洪水調節に加えて水資源や電力も得られる多目的ダムの建設を選ぶのか。もし多目的ダムとするならば、そこに安易な選択はないか、水資源や電力の開発を需要の単純なトレンド主義で考えていないか。さらにダムそのものの安全性や、ダムという巨大な人工構造物の建設が、当然周辺の自然環境や社会環境に与えるであろう影響について問題はないか。あるとすればその代償的な解決の方策はあるか。そして考えられるすべての方式について、費用に対する総合的な効果はどうか、等々の諸問題を、基礎になる資料と数値と検討のプロセスを公開し、時間がかかりまた煩(わずら)わしくても、最初から広く住民の意見を聴き、それを反映させながら検討して、社会全体の共同責任において結論を求めてゆく方式をとることが望ましいのではないでしょうか。(26~27頁)

 しかし忘れてならないのは、このような仕事にはかなりの専門的な知識と長い間の経験の集積が必要であって、簡単にフィーリングで決められるような問題ではないということです。住民参加を形骸化させないためにも、基礎データの提供だけでなく、並行してそのような知識の啓発と支援は欠くことが出来ません。
 このような過程を踏むことによって、住民ははじめて自分自身の安全と、完璧には避けることができない自然の脅威に対する対応の仕方について、主体的に考える姿勢をもつことができ、環境全般の管理に対する行政まかせ、御上まかせでない責任感も生まれると思うのです。それこそが環境民主主義を育てる政策であると、私は考えます。(27~28頁、強調は引用者)

※基本高水(こうすい、たかみず):洪水防止計画を立てる際の基本となる高水のこと。その水系の過去の高水の実績、対象地域の重要度、経済効果などを総合的に考慮して決められる。これにもとづいてさまざまな選択肢の中から洪水の被害を防ぐ具体的な対策が選定される。

すみ場地図を基礎にしておこなう生態系保全の方式 3/3 7月31日

すみ場地図の作成と活用
 さて、実際の作業の場面では、まず一方で、対象地域とその周辺の必要とする範囲について動植物相の調査を実施し、そのリストから注目すべき種と群集を抽出する。そして他方で、表①に示したようなすみ場の階層のハビタットないしビオトープのレベルのすみ場に着目して現地の踏査をおこない、その結果を地図上に落として“すみ場地図(ハビタットマップ)”を作成し、それぞれのすみ場について生活史および季節全般にわたる上記の注目種および群集の利用との関係を整理しておく。なお、注目すべき植物の種の限られた生息場所や注目すべき動物の種の産卵場所、営巣場所などのような重要なすみ場については、マイクロハビタットのレベルについても地図の中に記入する。
 次に、このようなすみ場地図と事業の計画図を重ねあわせ、その事業を実施した場合、すみ場を消失させるかあるいは劣化させることによって、対象地域に生息する生物種および群集に与える影響を検討・予測する。そしてその影響が容認できる範囲であれば問題はないが、好ましくないと判断される場合には、くりかえして計画の見直しをおこない、その事業計画と対象地域に生息する生物種、群集、ないしは対象地域の生態系の保全との折り合い点を見つけ出すのである。前述のようにこの見直しの結果には、その事業計画の大幅な変更ないしは中止も含まれていなければならない。
 以上にあらましを述べたような、事業の対象となる地域とその周辺地域について作成されたすみ場地図を基礎にしておこなう生態系保全の方式は、河川、湖沼、湿地などに限らず、生息環境保全一般に広く活用できるものである。このような方式を、野生生物の生息環境に影響をおよぼす多くの事業に活用することが望まれる。(20~21頁、強調は引用者)
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すみ場地図を基礎にしておこなう生態系保全の方式 2/3 7月31日

土木と生態が一緒に仕事をするテーブルづくり
 ここでいう“テーブル”には二つの意味がある。一つは河川事業をおこなう土木分野の人々と野生生物の保護を任務とする生態分野の人びとが一緒に仕事をするための、文字通りのテーブル(机)のことであり、もう一つは、両者が同じカテゴリーに属する情報を交換し共有するための、図あるいは表などに整理された資料のことである。すなわち、このような二つのテーブルを共有し、次項で述べるような作業を共同でおこなうことによって、土木事業(ここでは河川管理事業)を担当する専門家と生態分野の専門家が、知恵を出しあい、協力して、効果的な生息環境の保全を考えた河川事業(計画・工事・管理)をすすめるための条件づくりが、はじめて具体的に可能になるのである。
 河川事業は、治水や利水のための目的に応じて、川や湖の一定の広がりをもった特定の場所で、特定の季節に、地形を改変し、何らかの人工的な構造物を設け、場合によっては流量、流速、水位、あるいはそれらの時間的な変動に変化を与える仕事である。つまりその計画にかかわる情報は、特定された場所と、その場所における面積、構造、機能、質、および季節にかかわるものである。
 その事業に関連して、対象地域の野生生物の保護と保全を考える場合、そこに生息する動植物の種のリストが提示され、貴重種や重要種が指摘されるだけで、それらのすみ場の特性や正存に必要な環境条件に関する情報がともなわないならば、野生生物の生態を専門としない河川の管理者としては、効果のある対策を考えることはできない。この場合、野生生物の生息場所、生息環境にかかわる情報もまた、さきに述べたように、特定の場所と、その場所における面積、構造、機能、質、および季節(すべての野生生物の生活は季節と強い関係をもっている)にかかわる情報にほかならない。
 このような、同じカテゴリーに属する情報、いいかえれば共通の言葉で表現された情報を、土木と生態の両分野から一つのテーブルの上に提出し、重ねあわせることによって、はじめてその事業と野生生物の生息環境保全にかかわる問題点や合理的な両立点を探る議論ができることになる。
 すなわち、その事業を初期計画どおりにおこなった場合には、その場所に本来存在したすみ場の何が失われ、野生生物のいかなる種あるいは群集の生存にどの程度の損傷を与えるか、また、影響が予想される場合、それをどのような戦略(その事業の計画の見直し)あるいは戦術(設計や工法の見直し)によって回避ありいは代償できるか、あるいはさらに事業計画そのものを根底的に見直すべきか、等々の対応策が、共通のテーブルの上で、具体的に論議できるのである。
 以上のような仕組みを要約すれば、図④のようになる。(17~19頁、強調は引用者)
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すみ場地図を基礎にしておこなう生態系保全の方式 1/3 7月31日

7月11日に訪れた長野県上田市の半過岩鼻の崖には猛禽類のチョウゲンボウやハヤブサが営巣し、川原やまわりの田んぼ、堤防の法面、畑や水田、林縁をえさ場にして子育てしています。千曲川中流域のこのあたりには、チョウゲンボウの生存を支えるビオトープシステムが存在することを、桜井善雄さんの『川づくりとすみ場の保全』(信山社サイテック、2003年)から学びました。
 桜井善雄さんの著作に『水辺の環境学』シリーズ4册(新日本出版社、1991~2002年))があります。
   『水辺の環境学 生きものとの共存』 1991年
   『続・水辺の環境学 再生への道をさぐる』 1994年
   『水辺の環境学3 生きものの水辺』 1998年
   『水辺の環境学④ 新しい段階へ』 2002年

『水辺の環境学④ 新しい段階へ』の巻頭の「土木と生態が協働するテーブル」(11~21頁)で語られている「すみ場地図を基礎にしておこなう生態系保全の方式」は多自然川づくり活動だけでなく、市民の森保全クラブや岩殿満喫クラブの里山保全活動にも有益なものだと考えます。

土木と生態が協働するテーブル
 水辺は一般に、保全と再生を必要とするもっとも重要な野生生物の生息環境あるいは生息場所と言われている。わが国の国土の自然と人間による利用の特性を考えた場合、そのような水辺としては、小川や大きな河川の流路、川原および河畔地の草本・木本の植物群落、湖沼・ダム湖・池の沿岸帯、湿地、湧水とその周辺、水田およびそれに付随する溜池と用排水路、河口の干潟などがあげられる。
 このようなさまざまな水辺は、わが国の地形・地質、気候などの特性から、世界的にもまれにみる変化に富んだ自然景観をそなえており、その中に大小の多様な野生生物の生息場所、すなわちすみ場をもっている。
 しかし、このようなわが国の水辺の自然環境は、近年、とくに第二次世界大戦後になって、国、地方自治体、あるいは民間企業がおこなうさまざまな社会整備と開発の事業によって著しく変化し、野生生物の生息環境は、わが国のこれまでの歴史の中でかつてなかったほどの速度で、広い範囲にわたって消失し、または変化してきた。
 水辺は、陸地と水域が相接する場所である。自然の状態であれば、両者の間には程度の差はあれ環境のゆるやかな移りゆきがみられ、野生生物の成育・生息の条件が徐々に変化する推移帶(エコトーン)をつくっている。そこには湿生植物や水生植物、動物では、魚類、両生類はもちろん、環形動物、軟体動物、甲殻類、水生・陸生の昆虫類、鳥類、哺乳類などきわめて多様な野生動植物のすみ場が存在し、生物多様性の発達と維持にとって、きわめて重要な役割を果たしてきたのである。……
     [中略]
 水辺の自然環境の劣化が進行する一方で、その保全の施策にも、この10数年ほどの間に著しい進展がみられた。地方自治体や国の出先機関による小規模な保全事業もあるが、国の施策としてまずおこなわれたのは、国土交通省による「多自然型川づくり」である(通達は1990年)。その後も国土交通省は、河川の生物相の定期調査である「河川水辺の国勢調査」や維持流量の確保など、水環境の改善に前向きな施策を講じてきたが、1997年(平成9年)の河川法の改正によって、河川の環境保全が、治水および利水と並ぶ河川管理の目的の一つとして法的にも位置付けられることになった。
 さらに各種の事業が自然環境に与える影響を対象とする「環境影響評価制度」においても、生態系の保全を目的とする手法の検討が進められてきた。二、三の地方自治体は早くからこの面で先進的に取り組んできたが、国においても環境影響評価法の施行(1990年)にともない、水辺の環境を含めて、生態系に対する影響評価の理論と技術の検討が進められた。
 以上のような経過は、わが国のそれまでの状況に比べて、水辺の自然環境保全の分野においても著しい前進である。しかしながら、自然環境を改変するさまざまな事業から野生生物の多様なすみ場を保全しなければならない“現場”において必要とするのは、生態学的な理論や情報だけでなくーもちろんそれは重要であるが、保全すべき対象と、その場所でそれを改変する事業の両者の実体を、同じカテゴリーに属する情報としてつき合わせ、その事業を計画通りに実行した場合に失われるすみ場と保全しなければならないすみ場の、合理的な折り合い点を検討するための手法である。……(11~14頁、強調は引用者)

河川におけるすみ場の存在様式
 河川の流路とそのまわりの河畔地に生息する生物群集の構成種は、それぞれの正存のための要求をもっているが、群集の正存を支えている生息環境の全体は、個々の構成種のすみ場の単純な寄せ集めではない。体が小さく行動範囲が狭くて寿命が短い生物のすみ場の規模は小さいが、体が大きくて寿命が長い、あるいは植物連鎖の上位に位置する、季節的な移動をするなど、広い行動圏をもつ生物のすみ場は、当然その中に多くの下位の小さなすみ場を包含しながら、大きな面積を占める。このようなすみ場の総合的な存在の仕組みを「すみ場の階層構造」と呼ぶ。……(14~17頁)

芦ノ尻道祖神 7月11日

長野市大岡丙にある芦ノ尻道祖神です。道祖神と彫られた石碑にワラをまいて作られています。
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『たくさんのふしぎ』2014年1月号「村を守るワラのお人形さま」(宗形慧 文・写真)に登場しています。
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※「道祖神祭り」は東松山地域では「フセギ」にあたります。東松山市のフセギについては、きらめき市民大学郷土学部Aグループ2011年度レポート「残そう東松山の民俗行事 “防ぎ”の調査と記録」に市内高坂地区と石橋地区のフセギについてまとめられています。「フセギ 東松山市」で、検索すればこのほか多くの記事を見つけることができます。

望月のフセギ行事について
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  (望月会館前案内板)

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