読書ノート

平岡豊『実践型農業マーケティング』 8月24日

平岡豊さんの『実践型農業マーケティング』(全国農業会議所新書2、2006 年8月発行、2012年5刷)を読みました。

  平岡豊『実践型農業マーケティング』目次
第1章 マーケティングの基礎知識
 はじめに 「マーケティング」をひとことで言えば
 1 マーケティングの基本的な展開
 2 マーケティング戦略を構成する「4つのP」
 3 消費者・市場・流通への目くばり
  (1)消費者はいろいろ
  (2)市場をどう捉えるか
  (3)農産商品の流通をどう構築するか
 4 実需者の動きに対応し、実需者の新しい動きをつくろう
 5 「認定農業者」と「農業経営」をどうとらえるか?
 6 2極分解していく中での「消費者・生活者」との関わり
 7 消費者・生活者への目くばり
     食に対しての対応
      ①頭脳タイプ、②五感タイプ、③心情タイプ
      ④胃袋タイプ、⑤財布タイプ
 8 「連携展開マーケティング」と「個別展開マーケティング」
  (1)連携展開マーケティング
  (2)個別展開マーケティング

第2章 農業マーケティングで重要な5つの力
 はじめに
     4P戦略(product price place promotion)
 1 状況力
  (1)社会環境
  (2)暮らしの変化
  (3)競合の多様化
 2 商品力  納得購入してもらうには
  (1)つくり保証
  (2)えらび保証
  (3)とどけ保証
  (4)ブランド
  (5)谷山農産物、優位差別化の3つのポイント
    ①鮮度
    ②風味と食感
    ③地域個性品
 3 情報発信力(広告力)
  (1)パブリシティへの目くばり
  (2)マスコミ、ミニコミ、クチコミの連動
 4 販売促進力
  (1)特定ルートコミュニケーション
  (2)マスベディア
    ①マスメディアイベントの仕組み方
     イベントのタイトルを面白くする
     絵になる工夫をする
     国際色のある大会にする
     公共性があること
     話題をつくる
     継続性を大事にする
     予告への工夫をする
    ②マスメディアイベントの目的ーたとえば、モノが違うことを実感してもらう
 5 組織力
  (1)プロジェクトマネージャー
  (2)情報担当
  (3)企画担当
  (4)渉外担当
  (5)広報担当
 効果をあげるマーケティングの実践のため「3×3適」への目くばり
  (1)適地・適作・適技
  (2)適量・適質・適価
  (3)適層(ターゲット)・適流・適時

第3章 農業者が主体的に展開するマーケティング活動
 はじめに マーケティング活動は5K力で推進しよう
 1 企画活動での5K力
  (1)行動力
  (2)考察力
    ①「雑学」を踏まえた「多視点考察」
    ②先進地視察プラス事例考察
    ③3つのキセイ概念から自由になろう
      キセイ1 既成概念
      キセイ2 規制概念
      キセイ3 気勢概念
        勢いに乗って深く考えずに行動を起こす
  (3)興味力
  (4)構築力
      「なにを」「だれに」「どのように」
      ①現状把握、②問題点の発見、③課題の明確化、④課題解決のための企画立案
  (5)協調力
 2 取引活動での5K力
  (1)交流力
      交流を高める損得、体面、好き嫌い
  (2)交渉力
    ①意味(コトバ)←→イメージ(絵)
    ②納品におけるマイナス3K=欠品失格、規格厳守、価格競争、への対応
    ③礼、理、利を踏まえた交渉力
  (3)協働力
  (4)改良力
  (5)完遂力
 3 社会活動での5K力
  (1)共感力
  (2)規範力
  (3)貢献力
  (4)共益力
  (5)共生力
 共通して必要なのは「継続力」
 「農業マーケティング」をはじめよう
   現状把握、問題点の発見、課題の明確化、課題解決のための企画立案
 心をこめて「観察」し、日常的にマーケティング活動を続けよう

第4章 マーケティングアイデア55
 1 農産物の使い勝手
 2 浅漬け、みそ汁の地位向上を
 3 消費者の「損得」「体面」「好き嫌い」
 4 加工グループ連携プロジェクト
 5 「レンジでおいしい焼き芋」の売り方
 6 「顔の見える農業」で成果をあげる
 7 目標数字で実現を具体化
 8 品切れをチームで防げ
 9 「モチの日常化」のヒント
 10 “また来たい”につながる未体験演出
 11 観光農園に平日客を呼ぶ
 12 牛乳鍋で消費拡大
 13 企業への通販で農産物を売る
 14 物語のあるギフトシステム
 15 周辺都市化を差別化に
 16 茶園見学者を顧客に
 17 ちょっとした手土産は300円まで
 18 知恵とセンスで施設をつくる
 19 大豆の研究で小学生と生産者が近づく
 20 「爽冷地野菜」のプロジェクト
 21 人気の棚田オーナー、次の展開
 22 イベントを盛り上げるスペインのジューサー
 23 総額5万円の花火大会が大盛況
 24 残り野菜を個人病院へ販促
 25 「高くても国産物」選らんでもらうには?
 26 ブランドとは、「責任」と「自信」の表明
 27 3つの保証でブランド化
 28 だれに売るかで変わる商品の味
 29 地元こだわり品種への愛着
 30 「正しい活動」で「良い噂」を広げる
 31 生産者と消費者共同で自給率をあげる
 32 農業経営者が連携してマーケティング活動を
 33 「卵かけご飯」に「江戸たまご」。卵もお土産に
 34 薬効情報で消費量アップ
 35 易しい言葉で語りかけ
 36 「コトバと絵」で風評被害防止へ
 37 話題素材提供でワイドショー広報を
 38 「明確なコトバづくり」を進めよう
 39 ブレンド米への消費者の誤解を解くには?
 40 効果抜群!「実需者」を生かしたPR手法
 41 テレビCMを戦略的にとらえる
 42 農産物直売所を情報発信の拠点に
 43 料理提案を活かす解説
 44 「情報発信プランナー」になろう
 45 お客様からの質問をきっかけに
 46 目くばりと工夫で経営改善
 47 時代の先を見越して対応する
 48 「習練」でプロとしての商品づくり
 49 「お箸づかいコンテスト」で消費拡大
 50 給食を「食育ランチ」にしよう
 51 10年後の大人の消費者を育てる
 52 地域連携の食育推進
 53 給食で食技練習、のススメ
 54 農業にも「インフォームド・コンセント」を
 55 百貨店の危機管理に学ぶ

マーケティングの4Pと農業マーケティング
農業経営診断実践マニュアルに関する調査研究報告書』(中小企業診断協会、2010年)87頁
●製品 (Product)
 ・作目、品種およびそれらの組み合わせ、 パッケージング、品質、 ブランド
 ・加工を加える (例:カット野菜にして業務用に販売)、サービスを加える(例:観光農園、直売所) 複合経営(栽培時期を組み合わせ、人や設備の繁閑期を平準化する、生産物を再利用する(藁→畜産→堆肥→米作など)
●価格 (Price)
 ・市場や JA(少品種多量、低マージン、価格不安定)と直売や直販(多品種少量、高マージン、価格安定)のバランス
 ・コストプラス型の価格設定がしっかりできていない。販売価格・仕入(資材)価格が市価により変動→リスク
 ・価格決定権の保持(直売所での販売、加工業者・外食産業との契約栽培)
●流通(Place)
 ・系統流通(JA)
  一般の流通(卸業者、加工・外食・小売との直接契約)
 ・重い、かさばる、鮮度が落ちる農産物の運搬コスト。
 ・作ってから売る(系統流通)から、売ってから作る(契約栽培)への移行。ブランド化できれば通販も有効。
●販促(Promotion)
 ・販売の方法・手法 (場所、人、宣伝)
 ・現状では、販売の現場では、品種×産地の「ブランド」が最も重視されている。商品の高付加価値化→目で見てわかりにくい「品質」「こだわり」「安全・安心」をどう伝えるか?→販促ツール、
販売員教育、自社販売などの検討。

宮脇昭『森よ生き返れ』 8月7日

宮脇昭さんの『森よ生き返れ』(大日本図書、1997年7月)を読みました。「環境保全林」、「ふるさとの森」、「いのちの森」、「潜在自然植生」など学んでいくことが増えました。

  宮脇昭『森よ生き返れ」目次
 プロローグ
1 森が死んでいく
   消えるまわりの木や森
2 なぜ森が必要なのか
 1 人間は森の寄生虫-生態系の一員である
 2 森は人類文明の敵だった?
 3 森の消滅と文明の興亡
 4 森と共生してきた日本人の歴史
 5 鎮守の森と日本文化
 6 森は災害を防ぐ-阪神・淡路大震災や酒田市の例
 7 魚を守る森
 8 環境保全と森
3 森から学ぼう
 1 森の姿-構造
 2 里山の森-雑木林
 3 二一世紀の鎮守の森-命と文化と遺伝子資源を守る森
4 ふるさとの木によるふるさとの森づくり
 1 土地の主役の木をさがす
 2 苗をつくろう-植物は根で勝負する
  (1)ドングリを拾う
  (2)苗床づくり-ポット苗づくり
  (3)木を植える-自然の森の姿を見習おう
   ①土の条件を調べる
   ②根は生きている
   ③植え方
   ④敷藁(マルチング)
   ⑤植えた後の手入れ
 3 足もとから地球の森を
 生物は、私たち人間を含めて、一年早く生まれた者を後の者が追い越すことはできない。そのことから一日も早く、その土地本来の森の主役になる木を中心に、できるだけ多くの樹種を混植、密植するべきである。日本各地の学校や地域から、一人ひとりが額に汗し大地に手を接して、たとえ幅が1メートルでも、エコロジーの脚本にしたがって、“ふるさとの木によるふるさとの森”をつくっていくことが大切である。……
5 木を植える世界の子どもたち
 1 日本
 2 マレーシア
 ……熱帯雨林は一度伐採、火入れして破壊されると再生は不可能ではないかとすら言われていた。そこで何とかすぐ育つ木を植えればという安易な考えの下に、もともとオーストラリアに自生していたユーカリの類やアメリカに生育している葉の長いマツ、テーダーマツやアカシアマンギウムなどよそものの木を植える。しかし、このような早生樹といわれる木は、一時的には早く生育するがあまり長持ちしない。しかも、土地に合わない木を植えても、その下には雑草など生育するが、土地本来の階層的に揃った森は形成されない。当然、何百年、何千年、何万年もの間、その土地本来の森と共生していた植物、虫や小動物も生きていけない。
 ……当時は植樹といえば、早生樹(早く大きくなる木)と名付けて外国から入れたユーカリ、アメリカマツしか植えられていなかった。私たちは、どうしても土地本来のフタバガキ科のラワンと呼ばれている木を植えて森をつくりたいと考えていたが、なかなか思うようにいかなかった。……
 3 タイ
 4 ブラジル-アマゾン
 5 チリ
 6 中国、マーアンシャン、万里の長城の森づくり
6 地球の命のドラマの主役は人間
 1 告発だけの時代は終わった
 2 主役は私たち人間-幕が降りてしまってからでは悲劇である
感想文
 ……そんな事を考えながら植えていくと、気になることが一つありました。私たちが植えた木たちが、高速道路を超えるほどの大木になった時、その周辺が、全部かげになってしまいます。そうなると、その周りの家の人たちは、そう音でいっぱいの、暗い木のかげの家に住むことになります。もしかして、木を植えて一つ環境を良くしたとしても、また一つ環境を悪くしたことになったんじゃないかなぁ、と思いました。こう考えると、環境問題はきりがありません。……
※7月24日、31日に続いて、今日は、公益社団法人日本環境教育フォーラム ・公益財団法人損保ジャパン日本興亜環境財団・損害保険ジャパン日本興亜株式会社共催2018 年度「市民のための環境公開講座」【パート1】「生きものの変化と気候変動を知る」を受講しました。


富山和子『森は生きている』 8月5日

富山和子さんの『森は生きている』(1981年発行の講談社版)を読みました。東京書籍の小学校5年生の国語教科書(下)の「森林のおくりもの」は、本書第1章「日本は森の国です」を基に,教科書用に書き下ろされたものです。

  富山和子『森は生きている』目次
〈おくりものがいっぱいです〉

日本は森の国です
 木のくらし
 木はどのようにつかわれたでしょうか
 木は生きものです
 紙のおくりもの
 火のおくりもの
 水と土のおくりもの

山国の人たち
 森林は人間がそだてました
 山国の人たちは、心のやさしい人たちでした
 山はとてもにぎやかでした
 山は神のすむ場所でした
 植林のはじまり

森林のはたらき
 森林は風をふせいでくれました
 森林は雪もふせいでくれました
 森林は気温を調節します
 森林は火事をふせいでくれました
 海岸林は国土をつくってくれました
 森林は海のさかなもやしなってくれました
 森林は風景をつくりだしてくれました
 外国の森林の歴史

土こそが人間を守る
 もしも山に人がいなくなってしまったら
 土こそが人間を守る

あとがき
 ……この「森は生きている」で、森林のもつさまざまな働きをさらにくわしく学び、自然をまもるとはどういうことかを、考えてほしいとねがったのです。
 歴史的にものを見るということは、大切な科学の方法です。ましてこの国土の自然を語る場合、歴史の眼を抜きにしては語れません。
 森林の偉大さとは、つまるところ土壌の形成者であるという点につきます。その土壌こそ、人間の労働の産物だったのです。木ばかり見ず、土を見なくてはなりません。土を養ってきた人間の歴史を見なくてはいけません。
 すでに「川は生きている」は多くの専門家も大人も読んで下さり、大学でもテキストに使っていただいています。同じようにこの「森は生きている」も、大人のみなさんにも読んでいただきたいとねがっています。心理はつねに、身近かなところにあります。子供も大人も共通して読める本を書くことのしあわせを、この三部作【『川は生きている』、『道は生きている』、『森は生きている』】をとおして私は教えられたのです。

生源寺眞一『農業がわかると、社会のしくみが見えてくる』 4月24日

生源寺眞一『農業がわかると、社会のしくみが見えてくる 高校生からの食と農の経済学入門』(家の光協会、2010年)を読みました。高校生から大学低学年の年齢の若者を想定して、世界の食料、日本の農業、そして毎日の食生活の三つの場面のつながりを、授業形式で判りやすく伝える本。3月末に改訂(新)版が出たそうです。

ホームルームの時間 授業を始める前に

1限目 食料危機は本当にやってくるのか?
 食料事情を左右する三大穀物と大豆
 「食料」と「食糧」
 何が食料価格高騰の原因か
 楽観論が後退した食料の見通し
 伸び悩む穀物の収穫量
 豊かになると穀物を食べなくなる
 食料は単純な予測の問題ではない

2限目 「先進国=工業国、途上国=農業国」は本当か?
 10億人が栄養不足
 「途上国=農業国、先進国=脱農業国」は正しいか
 食料を大量に輸入する日本は特異な国か
 広がる先進国と途上国の農業力の差
 低賃金でも優位に立てない途上国農業
 「緑の革命」にノーベル平和賞
 食糧不足のアフリカに必要なのは「虹の革命」
 農業保護で対立したアメリカとヨーロッパ
 農産物貿易をめぐる新たなルール作り
 先進国の農業保護を途上国が批判するわけ

3限目 自給率で食料事情は本当にわかるのか?
 食料自給率はひとつではない時代によって違う自給率低下の原因 ほか)
 時代によって違う自給率低下の原因
 自給率98%なのに栄養不足?
 大切なのは自給率より自給力
 安定した社会に欠かせない食料安全保障
 万能ではない市場経済と事由貿易
 問題は行きすぎた農業保護
 自給率に現れた日本農業の特徴

4限目 土地に恵まれない日本の農業は本当に弱いのか?
 土地が限られた日本にも元気な農業がある
 気がかりなのは飼料や燃料の価格
 世代交代が進まない土地利用型農業
 日本農業のシンボル=水田が消える?
 10ヘクタールは大規模か
 土地利用型農業の活路となる3つの工夫
 多彩なメンバーが支える農村コミュニティ

5限目 食料は安価な外国産に任せて本当によいのか?
 外国産が国産より安いのはなぜか
 日本に農業が必要なわけ
 お金に換算できないところに農業の価値がある
 いのちと向き合う面白さと難しさ
 もうひとつの宝は農村コミュニティの共同力
 遠くなった農業の現場
 真に豊かな食生活とは
 距離の拡大で見抜きにくくなったインチキ
 広がる農家の情報発信
 農業・農村との接点を取り戻す
 君自身が始める食と農の旅

授業を終えて 少々長めのあとがき

千葉学ブックレット『グリーン・ツーリズム -都市と農村の新たな関係に向けて- 』 4月18日

大江靖雄『グリーン・ツーリズム -都市と農村の新たな関係に向けて- 』(千葉日報社、2013年3月、762円)を読みました。「県土と県民の豊かな未来に向けて」出版された『千葉学ブックレット』の「都市と農業-4」で、都市と農村の混在する千葉県を舞台にグリーン・ツーリズムのあり方を探った本です。

  はじめに
第1部 グリーン・ツーリズムの社会的背景と意義
    国民的関心の変化
    都市と農村の関係とグリーン・ツーリズムの意義
    グリーン・ツーリズムの歴史と特徴
    わが国グリーン・ツーリズムの特徴
第2部 千葉の観光と農村資源の現状
    千葉県における観光の特徴
    千葉県の農林水産資源
    千葉県グリーン・ツーリズムの特徴
第3部 事例にみる千葉からの動き
    NPO法人千葉自然学校-統合型NPO組織の意義と役割-
    枇杷倶楽部-房州びわを活用した商品開発のコミュニティ・ビジネス-
    自然の宿「くすの木」-集落管理運営による交流施設-
    棚田倶楽部 鴨川大山千枚田-都市農村交流による地域資源の保全-
    鴨川農家民泊組合
    千草台園芸サークル-市民管理運営型の市民農園-
    谷当グリーンクラブ-交流による里山保全の経済的自立化を目指して-[やとう]
    須藤牧場-酪農教育ファームと交流型ファミリー・ビジネス-
    ペンション・スズキアグリ-定年帰農者による農林漁業体験民宿-
  むすび
  あとがき
 参考文献と文献案内-さらに知識を深めたい方々へ-

環境学習会・おもいやり経済システム~電力会社のサードウェーブ~ 3月11日

環境基本計画市民推進委員会主催「環境学習会2018」が市役所総合会館3階会議室でありました。「思いやり経済システム~電力会社のサードウェーブ~」をテーマに、講師はHappyEnergy株式会社最高執行責任者(COO)・西本良行さんでした。講演後の質疑では、「地域新電力」についての議論もありました。
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※所沢市:地域新電力設立へ『毎日新聞』2017年11月14日
所沢市は13日、再生可能エネルギーによる県内初の地域新電力会社「所沢新電力(仮称)」をJFEエンジニアリング、飯能信用金庫、所沢商工会議所と共同で来年5月に設立すると発表した。自治体が出資する地域新電力は各地で設立されているが、県内では初。同10月には市内の公共施設への電力供給を始める予定だ。【清藤天】
所沢市は13日、再生可能エネルギーによる県内初の地域新電力会社「所沢新電力(仮称)」をJFEエンジニアリング、飯能信用金庫、所沢商工会議所と共同で来年5月に設立すると発表した。自治体が出資する地域新電力は各地で設立されているが、県内では初。同10月には市内の公共施設への電力供給を始める予定だ。【清藤天】
所沢市は13日、再生可能エネルギーによる県内初の地域新電力会社「所沢新電力(仮称)」をJFEエンジニアリング、飯能信用金庫、所沢商工会議所と共同で来年5月に設立すると発表した。自治体が出資する地域新電力は各地で設立されているが、県内では初。同10月には市内の公共施設への電力供給を始める予定だ。【清藤天】
※埼玉県秩父市、4月に地域新電力会社を設立『日本経済新聞』2018年2月8日

 埼玉県秩父市は地域を限って電力を供給する「地域新電力会社」を4月に設立する。市内の発電事業者から電力を買い取り、公共施設に電力を供給する事業を2019年4月までに開始する。太陽光など再生可能エネルギーの普及を促すと共に、事業収益を地域活性化に役立てる狙いもある。 

 新会社の仮称は「秩父市新電力」で、資本金は約2000万円。市が50%以上出資し、地域新電力事業を支援しているみやまパワーHD(福岡県みやま市)や地元金融機関なども資本参加する予定だ。 

 みやまパワーHDはみやま市と共同で地域新電力会社を立ち上げた実績があり、秩父市の新会社でも運営ノウハウなどを提供する。市は1月末、同社と新会社の設立準備に向けて協定を結んだ。 

 新会社は太陽光などを使って発電している市内の事業者と契約し、日本卸電力取引所を通じて電力を調達。市内にある100を超す公共施設に電力を供給する。現在、公共施設の電力需要を調査している。 

 公共施設向けの事業が軌道に乗れば、企業や家庭向けにもサービスを広げる方針。将来は市内だけでなく、秩父地域1市4町から成る「ちちぶ定住自立圏」での事業展開も検討する。 

 市内にはごみ処理の際のエネルギーを利用した発電施設のほか、水力や太陽光による発電施設もある。現在、これらの施設でつくられた電力の大半は市外の電力会社や企業に売電されているが、市は地域新電力事業によって、エネルギーの「地産地消」を目指す。「市外に支払っていた電気使用料金を地域内で循環させ、地域経済の活性化につなげる」(環境立市推進課)狙いだ。 

 地域新電力の多くは電力需要の予測をコンサルティング会社などに外注している例が多いが、新会社はみやまパワーHDから予測システムを導入し、自前で需給を管理できるようにする。 

 電力事業で得た収益は地域の課題解決に活用する。高齢者の買い物代行サービスなど、社会問題を解決する事業を展開する方針だ。 

 電力の小売り全面自由化を受け、各地で自治体が出資する地域新電力会社の設立が相次いでいる。埼玉県内では所沢市が会社を設立する計画を示している。

※みやま市出資の新電力に黄信号『産経ニュース』2017年12月8日

 福岡県みやま市と民間企業が出資して平成27年に設立した電力小売り企業「みやまスマートエネルギー」(みやまSE、磯部達社長)が、債務超過の状態に陥っていることが7日、分かった。さらに労働基準監督署から、9件もの是正勧告を受けていた。「エネルギーの地産地消」をうたい、自治体新電力の草分けとして注目される同社の行き先に、早くも黄信号が灯っている。 (高瀬真由子)

                   ◇

 同日の市議会一般質問で、末吉達二郎市議が問題を指摘した。

 市議会に提出された資料などによると、同社の最終赤字は27年度が1700万円、28年度は1800万円。2年連続の赤字で、累積赤字は3500万円となり、資本金2千万円を上回る状態に陥った。

 大口顧客の獲得が計画通りに進まなかったことなどから、売上高が伸びなかったという。これまでの市側の議会答弁などによると、28年度の売上高目標は26億円だったが、実績は7億円だった。

 末吉氏は「会社を解散した場合、(市による)1100万円の出資が消える。三セクであり、負債の一部を市が負担することも考えられる。市長には重大な責任がある」と追及した。

 西原親市長は答弁で「この会社は年齢がたてばたつほど、どんどん黒字になる。心配しなくて結構です。債務超過は許容範囲だ」と強調した。

 市側は、29年度は最終黒字を見込み、30年度中にも、累積赤字はほぼ解消できると説明する。

 また市議会では、同社が10月、大牟田労働基準監督署から、労働環境改善に関して9件の是正勧告、3件の指導を受けたことが明らかになった。労働基準法に基づく労使協定を結ばないまま、時間外労働をさせていたという。同社には現在57人の従業員がいる。

 こうした問題に関し、市長の議会での答弁は、感情的になった。

 問題を指摘する末吉氏に対し、西原氏は「全国に(電力の)地産地消を広げようと、(磯部)社長が全国を飛び回っている。それに対し、不満分子が10人くらいおる。あなたは10人の意見を聞いて一生懸命になっている」と述べた。

 末吉氏は「労働管理の正常化など、建設的なことを協議していたはずだ」と批判した。

 市議会側はこれらの問題ついて、今後も追及する構えをみせる。

 ◆民業圧迫

 みやまSEは資本金2千万円のうち、市が55%、民間企業の「みやまパワーHD(旧・九州スマートコミュニティ)」が40%、筑邦銀行が5%出資する。

 28年に始まった電力小売り全面自由化で、家庭向け電力販売に参入した。これまでに3800件の契約者を獲得。電力は市内の太陽光発電施設や、卸売市場などから調達。一般社団法人「低炭素投資促進機構」からの交付金もあって、九州電力より割安で販売する。

 みやまSEは、自治体が行う「新電力」として、メディアにも多く登場した。福岡県八女市や鹿児島県肝付町に誕生した電力会社にも、電力を供給する。

 ただ、電力全面自由化から1年8カ月。不採算を理由に、電力事業から撤退する業者も現れた。

 電力事業は薄利多売であり、契約者を多く獲得する必要がある。顧客獲得には大手電力会社をはじめ他社との競争が待ち構える。みやまSEの先行きは険しい。さらに、市場原理から離れた中で事業を展開する同社に対し、「民業圧迫」との批判もある。

村谷 敬=村谷法務行政書士事務所・所長「地域新電力が挫折する理由~地産地消や地域貢献の徹底がカギ」(『日経エネルギーNext』2018年1月19日

失敗しない地域新電力の作り方(その4)シュタットヴェルケを知ろう
     (『パワーシェアリング電力コラム連載・地域新電力第19回、2017年12月13日)
 いきなり、ちょっと脱線します。
私は、数年前からドイツのシュタットヴェルケを紹介していますが、最近になってやっと日本でもこの言葉が市民権を得てきたように思います。ところが、その中身についてはまだまだあまり知られていません。一番困るのは、ドイツのシュタットヴェルケと最近設立が聞かれるようになった日本の自治体新電力とを混同してしまうことです。
【中略】
 一方で、日本の自治体新電力は、たとえ自治体が50%以上の資本を有していても、基本的にはお客さんゼロ(仮に自治体の全施設を供給先に出来ても地域全体では一部)からスタートしますし、発電施設などのインフラはほとんど持っていないのが当たり前で、配電網はありません。これらの差は驚くほど大きく、まずはこの2つは全く別物と考えるべきなのです。
 ということで、自治体主導で新電力を立ち上げる時は、十分に気を付けなければならないことがあります。簡単に言えば、慌てないことです。
 どういうことかと言うと、すぐにシュタットヴェルケになろうとしないことです。前述した通り、ドイツのシュタットヴェルケはインフラや顧客などのベースがしっかりしています。だからこそ、電力などのエネルギー事業の余剰金を赤字の交通などの事業に回せるのです。最初はよちよち歩きの自治体新電力に多くを求めると、あっという間に事業採算性を失ってしまいます。ですから、まずは電力供給事業にしっかり取り組んで新電力の基盤を作ることです。その後で、ゆっくり市民サービスなどに取り組めばいいのです。
【中略】
 これを書いているのは12月10日(2017年)の日曜日です。日曜日に仕事をするのは、私も良くないと思いつつ、まあ、その話は置いておきましょう。さて、おととい、ある新聞が、日本で最も有名な自治体新電力「みやまスマートエネルギー」の経営危機について書きました。その新聞は、再生エネなど新しいエネルギー地産地消の動きに後ろ向きのメディアですが、記事の根拠はみやま市議会でのやり取りなので、内容はほぼ間違いないでしょう。
結論から言うと、みやまスマートエネルギーが二年連続で赤字となり、資本金を超える借金で債務超過の状態だという事です。この業界(新電力業界??ってあるのでしょうか)では知らない人がいない自治体新電力なので、あっという間に話が広がっています。良くあるパターンで、自治体新電力やまとめて新電力自体は危ないというような流れにならないか心配もあります。
 それを回避するためには、なぜそんな状態になったかということを知る必要があります。記事によると債務超過の主たる原因は、予想した売り上げに到達しなかったこととなっています。私から見ると、あまりに大きい固定費のせいではないかと思われます。昨年度の売り上げがわずか数億円の会社に60名近い社員がいるというのは疑問です。小売電気事業は薄利多売のビジネスです。また、需給管理を自前でやることにこだわるのも固定費を増やす原因に見えます。
 当事者ではないので想像の域を出ませんが、このコラムで書いたように、リスクを最小限にするということの重要性を再度認識したニュースでした。
地域から流出するエネルギー費はいったいいくらなのか
                            (同上連載第10回、2017年7月26日)
  ◎環境省の地域経済循環分析自動作成ツール環境省HP「地域経済循環分析」
                ツールのダウンロード、マニュアル、サンプル(岩手県久慈市)

農泊シンポジウム2.0 2月21日 

農林水産省主催・時事通信社共催・観光庁後援「農泊シンポジウム2.0」(東京会場)に参加しました。
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農林水産省、観光庁から施策の説明があり、3本の講演がありました。
農泊とフードツーリズムを核とした滞在型田園リゾートについて(ANA総研・稲岡研士氏)

国内外の観光客が農泊地域に求めるもの(日本旅行・三好一弘氏)
  ・日本国内マーケット 30代~50代では店頭販売よりWEB販売が利用される傾向
                WEB販売における関東居住者の割合は人口比率よりも高い
                店頭販売ではファミリーの旅行が圧倒的シェアを誇る
  ・インバウンドマーケット成長の3つの要因
    環境的要因(円安の進行) 制度的要因(ビザの緩和) 政策的要因(海外でのプロモーション拡大)
    ①主要4市場(中韓台香)のシェアが増加 67%(2014年)→74%(2017年)
    ②伸び率mもアジア各国は顕著(2014年→2017年の伸び率)
        全体:214% 中国:305% 韓国:259% 台湾:161% 香港:241%
       →世界的に増加しているが、特に東アジアからの伸びが顕著
  ・インバウンドマーケット 訪日旅行の目的
    各地での体験を重視する欧米に比べて、アジアはまだショッピングや街歩き等観光の要素が強い
    今後はこれまでの日本人の旅行の変遷と同じ様に、欧米的な体験型へ
       →モノ消費からコト消費へ
  ・農泊に取り組むために
    ①自ら(自地域)を知る! 
      客観的データを様々な角度から読み解くことで、自地域での課題が見えてくる
      他地域を分析することも必要 
    ②同じ環境の地域はない! 
      似たような地域があったとしても絶対に違う
      他地域と同じことをやっても成功するとは限らない
      他地域の取り組みをベンチマークしつつ、自地域独自の取り組みを
    ③何かをすれば人がくるわけではない!
      頑張っているのは自地域だけではない
      他地域も頑張っているなか、効率的施策の実行が必要
      そのための分析が重要
  ・宿泊者(日本人)が農家民宿に求めること
    「食事」に関して、宿泊者が訪れた地域の食事を求めている
    農家民宿での「農林漁業等の体験」や「交流」は、独自の魅力である
    「食事面」では、地元産の食材や地域特有の食材を利用した郷土料理、伝統料理、行事食を希望
  ・宿泊者(日本人)の年代別にみた農家民宿に求めること
    20代から30代の宿泊者が「交流」を、40代から50代は「農林漁業等の体験」を求める傾向

農泊地域と旅行会社等との連携事例
    ~農泊地域と企業とのより良い連携に向けて~ (JTB総研・上田嘉通氏)

※「2015年度 観光と連携したグリーン・ツーリズムの推進報告書」(農協観光、2016年3月)

※「農林漁家民宿開業・運営の手引」(農協観光、2016年3月)

【1章】: 農家民宿開業に向けた準備について

【2章】: 農家民宿の開業手続きについて

【3章】: 宿泊者との関わり方について

【4章】: 安全管理について

【5章】: 関係者との連携について

【6章】: 外国人旅行者の受入れについて

【巻末資料】


※「2014年度 観光と連携したグリーン・ツーリズムの推進報告書」(農協観光、2015年3月)

緑のボランティア活動助成セミナー2018 2月17日 

本日の「ボランティア活動助成セミナー2018」は、NPO法人森づくりフォーラムが共催です。
話題提供として「森林ボランティアの進化と変化 -森林づくり活動実態調査・分析結果と今後-」(筑波大学大学院 ・富井久義さん)、「森林ボランティアの未来」(NPO法人よこはま里山研究所・松村正治さん)がありました。
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「森林づくり活動実態調査は1997年から3年ごとに継続され、森林整備活動を行っている団体・活動規模の推移と時々の活動団体の有する課題と必要な支援は何なのかを明らかにしてきました。
2015年調査は林野庁補助事業として森づくりフォーラムが全国3005団体に調査票を送り、1232団体から有効回答がありました。この調査の結果と分析については、『森から人へ、人から森へ ~森づくりの活動の今とこれから~』(「森づくり政策」市民研究会、2015年3月)、『森づくり活動の一歩先をめざして』(NPO法人森づくりフォーラム、2017年2月)で確認して下さい。

団体タイプ別の会員年齢構成比(%)
70代が多い「大都市型」、「都市近郊型」(退職者が中心となって団体運営)、50代が多い「農山村型」、「漁業者団体」(地域活動の一環?)、若い人が多い事業体(企業のCSR活動など)
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60代、70代中心メンバーで、50代は「若い人」、40代はまれでは、この先10年たつとどうなっているのでしょうか?
【活動団体の類型については、任意団体とNPOは便宜的に所在地が大都市にある団体を「大都市型」(125団体、10%)、大都市以外の市にある団体を「都市近郊型」(621団体、50%)、町村にある団体を「農山村型」(2013団体、16%)とし,活動目的に「魚付き林の整備・漁場の保全」を挙げる団体を「漁業者団体」(54団体、4%)、その他の事業体(企業など)を「事業体」(129団体、10%)、財団法人、社団法人などを「その他」(100団体、8%)にしています。】

テーマ別セッショントーク「躍動する団体に共通するポテンシャルとは!?」を3つのテーマに分かれて実施しました。3テーマは①次世代に継ぐ森林づくりのための「企業と地域の連携」(ファシリテーター&話題提供:森の健康診断出前隊・丹羽健司さん)、②次世代に継ぐ森林づくりのための「後継者育成と持続的な取り組み」(ファシリテーター:認定NPO法人JUON(樹恩)鹿住貴之さん、話題提供:NPO法人いわきの森に親しむ会・松崎和敬さん)、③次世代に継ぐ森林づくりのための「新規参加者を獲得するためのポイント」(ファシリテーター:NPO法人よこはま里山研究所・松村正治さん、話題提供:多摩の森・大自然塾 鳩ノ巣協議会・小島圭二さん)です。
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森林ボランティア団体等が共通して抱える4つの課題をクリアするためのポイントやヒント
   (『森林・里山と人がつながる社会をめざして 次世代につなぐプロジェクトの運営と組織づくり』20~23頁)
①新規会員・参加者の確保
・参加してもらうための入り口を広げる
  “参加しやすさ”の訴求
・参加者自身のやりたいことが実現できる場にする
  主体的に関わってもらうように促していく
・参加者の声を聴き、ニーズに対応する
  できるだけ直接的な対話を通じて聞き出す
・やりっぱなしにしない。どうだったか、改善することは何かを皆で議論する
  活動に関わった者全員でふりかえり、次に反映あるいは改善することを明確にする
・参加者と楽しかったことを共有する
  参加者を含めて皆で共有する
・実際に参加した人の声で広報する
  実際に参加した人の声に乗せて広報していく(口コミ)
・有償スタッフとして参加してもらう

②継続的な活動
・地域のニーズに対応する
  地域住民や行政等のニーズがあるのであれば、それらを受け入れる
・「やりたいこと」を実現するための組織をつくる
  必要であれば組織のあり方を改善できるしくみやルールをつくる
・活動の場に“学べる”をプラス
  あらたな気づきや、あらたな自分の可能性を発見できる学びの機会
・活動資金を確保する
  受託業務や助成金を活用するにあたっては情報収集と、行政・企業等とのネットワークづくりも重要なタスクとして捉える
・参加者が“楽しい”と実感できる活動にする
  皆“楽しかった”と実感できる活動にすることを目指す
・「やりたいこと」を確認する
  そもそもボランティア団体は、共通の「やりたいこと」を持った人たちが集まっているのであり、それが何であるのかということを定期的に確認して忘れないということが大切
・活動のゴールや期限を決めて、終了したら一旦やめる
  活動のゴールや期限を決めて取り組みそれが達成した時点で一旦やめて、その活動の成果や結果を評価する

③後継者育成
・参加者に自分の居場所を見つけてもらう
  自分の居場所(心地よいと思える場所や空間、時間等)
・思想や価値観を押し付けない
  活動経験の豊かな人や年配者の思想や価値観を若手や中堅で頑張っている人に押し付けてはダメ
・活動の場であると同時に教育の場にする
  自分探しの場、あらたな成長の場
・多様な参加理由、ニーズを理解する
  日頃から良いコミュニケーションを図っておく
・「やってみない?」という新たな可能性の扉を開く声がけが必要
  参加者それぞれのの魅力や才能等を見つけ出したら、その人の新たな可能性を広げる動機付けとして声がけをする
・活動のビジョンは崩さない
  活動のビジョンが明確かつ揺るぎないからこそ共感する参加者が増え、またその中で自分がやりたいことが定まっていく
・期待しすぎない
  何が何でも後継者を育成すると意気込まない

④他団体、自治体・企業との連携
・共に汗をかくことが連携
  共に汗をかいて互いのビジョンを達成していく
・多様な主体者と連携することで活動を広げ深める
  様々な知恵や技術が融合されて活動が広域に広がったり、深まったりする
・WIN-WINの関係を共有
  関係する団体それぞれのメリットとデメリットを検証し、事前に相互で共有しておく
・連携する相手とは対等な関係を維持することが重要
・つなぎ役になるということもある
  自分たちの活動に参加してもらうだけでなく、他の活動に参加したい人と別の活動を行っている人や地域をつなぐプラットホームになる

緑のボランティア活動助成セミナー2018 2月16日

公益社団法人・国土化推進機構が16、17日、千代田区麹町の弘済会館で開催する「ボランティア活動助成セミナー2018」に参加しました。
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緑のボランティア活動事例報告(3団体)
・森づくり×コミュニティづくり 苫東・和みの森の挑戦(自然体験活動指導者ネットワークえんりっと 仁瓶奈律香さん)
・森づくり×企業や地域、学校、行政との連携を通じた取り組み(NPO法人環~WA 代表理事 大和文子さん)
・森づくり×後継者育成と継続的な取り組みのポイント(NPO法人里山倶楽部 理事 寺川裕子さん)

パネルディスカッション「~企業や地域との連携、会員獲得、若返りのコツを探る~ 」
3人の事例報告者がパネラーで、コーディネイターはどさんこミュゼ(株) 代表取締役の宮本英樹さん(元NPO法人ねおす専務理事)で行われました。

大阪府南河内郡河南町を活動地域とする里山倶楽部は、「好きなコトして、そこそこ儲けて、いい里山をつくる」活動をしています。里山保全事業(雑木林、竹林、棚田、果樹園など)、生産販売事業(薪炭、ほだ木、無農薬野菜、米、桜チップなど)、環境教育事業(里山キッズクラブ、学校林、ワークショップ里山日和など)、人材養成講座(安全技能講習、里山応援講座、スモールファームなど)、木質バイオマスエネルギー利用(万博記念公園での森の足湯など)、オーダーメイド型活動・研修(企業CSR活動、団体研修、講師派遣など)をそれぞれの事業が独立採算制をとって運営しています。各事業の運営担当者は、利益の5~10%を共同運営費として事務局に支払います。「儲けも赤字も自分持ち」で団体としては赤字になりません。また、「組織ではなく里山を引継ぐ」スクラップ&ビルドを継続的な取り組みのポイントの一つとしています。組織の「かたち」を引継ぐ必要はない、既存の「場と資源」をつかって、新しい仕事、新しい暮らしをつくるなどなるほどと思いました。

※『森林・里山と人がつながる社会をめざして 次世代につなぐプロジェクトの運営と組織づくり』(国土緑化推進機構、2017年7月)。NPO法人いぶり自然学校+エンリット、NPO法人里山倶楽部、NPO法人よこはま里山研究所(NORA)、矢作川水系森林ボランティア協議会などの活動、運営スタイルが紹介されています。


彩の国さいたま人づくり広域連合政策研究成果発表会 2月13日

さいたま市の埼玉県民健康センターで開かれた彩の国さいたま人づくり広域連合2017年度政策研究成果発表会に午後から参加し、「持続可能な郊外住環境実現プロジェクト」研究会と「公共空間の利活用による地域活性化プロジェクト」研究会の研究成果の発表を聞きました。彩の国さいたま人づくり広域連合のサイトから2010年度以降の政策課題共同研究の活動レポートや報告書はダウンロードできます。
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持続可能な郊外住環境実現プロジェクト」の報告後、コーディネーター藤村龍至さんの「講評・解説」がありました。パワポのスライドを印刷したものが配布されたので一部を掲載しておきます。東武東上線沿線の自治体区分では、和光市~ふじみ野市が安定通勤圏(都内通勤率25%以上)、川越市~滑川町が変動通勤圏(都内通勤率10%以上25%未満)、嵐山町~寄居町が地域通勤圏(都内通勤率10%未満)になります。

都心通勤圏の縮小

・1970年、1990年、2015年と移行するに従って都心一極集中傾向は弱くなっている
・10%通勤圏を1つの指標とし、東京駅と新宿駅を都心と定義して都心からの距離との関係をみると1990年代は都心60㎞圏まで拡大しているが2015年には40㎞まで縮小している

「変動通勤圏」に空き家と高齢者が集中する

・広域行政単位ではなく鉄道沿線単位で地域を再設定し、状況を把握
・丘陵地に大規模NT(ニュータウン)の開発が進んだ西武池袋線・東武東上線と旧街道沿いに敷設された路線では状況が異なる
・埼玉県内で鉄道沿線自治体の都内通勤率のデータをみると、大きく3段階に分かれる
・都内通勤率が40%程度の「安定通勤圏」と10%以下の「地域通勤圏」のあいだを「変動通勤圏」と定義
・「変動通勤圏」=将来高齢者と空き家が集中的に発生するであろう地域
・JR高崎線でいうと上尾から行田までの地域がそれにあたる(=圏央道沿線自治体)
・現状では住宅政策・都市政策ともに対象化されているとはいいがたい

鉄道4路線ごとの課題の課題パターン図
政策課題共同研究報告書概要版2015年度

遠郊外住宅団地をあと10年以内に本物のリタイアメントコミュニティに
・男性の89.1%、女性の100%が80歳前後で自立度2、84歳前後で自立度が1へと低下
・1980年代に団塊の世代を受け入れた遠郊外受託団地の住民の自立度が一斉に低下するのは2027年前後
・生涯活躍のためには社会性の維持が鍵となるが郊外住宅地では空間もコンテンツも不足している
・住宅地を病院のように機能させる=24時間訪問医療介護の体制を可能にする空間づくりが鍵
・空き家を提供し小規模多機能居宅介護のための拠点にしたり、日常的な交流空間に転用する
・住民の理解が不可欠だが「閑静な住宅地」という虚構から抜け出すためには早めの啓蒙が必要

自然発生的なリタイアメント・コミュニティ
・高齢化率は中山間離島地域並みだがその範囲がコンパクト
・住民の経済的なポテンシャルが高い
=自然発生的なリタイアメント・コミュニティが発生している(園田真理子)
 足りないのは24時間の身守り体制や交流空間など
→適切な再投資が必要

鳩山NT:地方創生関連交付金を活用し「コミュニティ・マルシェ」を整備【略】

かすみ野:医療法人・社会福祉法人が積極的に施設開放し街と関わる【略】

白岡NT:住民集会所を利用しカフェ&マルシェを試験的に実施【略】

香日向:空き店舗を利用したトークイベントによるイメージの共有【略】

椿峰NT:シンポジウムから公園利活用、まちと緑をまもるプロジェクトへ【略】

住宅団地再生の空間戦略
住宅と施設のあいだの「マルシェの層」と「住み開きの層」の活性化に活路を見出す
<マルシェの層>
・対象:空き店舗等の再活用・公園等の利活用・小学校の空き教室等
・公共施設として整備・民間企業が提供・住民有志が自ら開催など
・若い世代にとっては小さな起業の場・高齢者にとっては居場所・対外的にはまちのイメージを発信する場
<住み開きの層>
・住宅の1階のリビング等を小さく改修して外部へ開いていく
・第1種住居専用地域の専用住宅を50㎡未満の店舗等に改造し兼用住宅化
・保健所の対応(「専用区画」の定義等)、協定等の改定など周辺住民の理解が重要

住宅団地マネジメントの担い手像
担い手像は世代によって変化しており、45歳以下を巻き込むにはマルシェが有効
<地縁組織型>
・自治会、婦人会、老人会などで上の世代から地域の行事(餅つき・夏祭り等)を受け継ぐ
・大きな組織を代々引き継ぎトップは75歳以上の男性、会長OBらが顧問というケースも多い
・自らは高い志に支えられて参加しているが下の世代が引き継ぎたがらないのが共通した悩み
<緩やかな連帯型>
・団塊の世代(1947-49年生まれ)を中心としたアクティブシニアなどがNPO法人を設立
・強制的に参加させられる既存の地縁組織に強い違和感があり自発的なボランティア活動に高い意欲
・企業等で安定的に雇用されていた世代であり自分で稼ぐことには大きな抵抗感がある
<スモールビジネス型>
・団塊ジュニア世代(1971-74年生まれ)前後の子育て世代などが起業し株式会社等を設立
・非正規雇用が多かった世代であり稼ぐことに意欲的だが持続性のないボランティア活動には強い抵抗感
・ツールを駆使してソーシャルネットワークを形成しマルシェなどで積極的に交流

持続可能な郊外住環境実現に向けて
3年間にわたって取り組んだ研究のまとめ
・通勤圏縮小に伴い遠郊外(東京の場合都心40-60㎞圏)が特に空洞化しつつある
・郊外自治体の市街化区域の中で再スプロール化がおこっており小さな地域間競争が発生
・住宅団地の高齢化率は高いがその範囲はコンパクトで住民の経済的ポテンシャルは高い
・一部では自発的なリタイアメントコミュニティが出来上がりつつある
・足りないのは24時間の医療福祉体制や交流空間の整備
・住宅団地の再投資には公共投資の例もあれば、民間投資の例もあるが投資効率は高い
・住宅団地で得られたノウハウを既存の公共サービスや施設の体系にフィードバック
・いずれも空きストックの有効活用が鍵
・空間的には「マルシェ層」と「住み開き層」の活性化が鍵
・担い手像は世代によって変化しており、多世代を巻き込むにはマルシェは有効
・(1)地域の空間資源を再検討し(2)人材を発掘し(3)世代を超えた協働から起業へとつなげる
・行政はまず研究対象化をはかり、プロジェクトを設定し、実験を行うことが有効

2015年度共同研究報告書『「埼玉県の空き家」の課題パターン抽出とその解決策の提言』

※2016年5月20日、16年度政策課題共同研究オープニングセミナーレポート(全文
政策課題共同研究オープニングセミナー2016年度1政策課題共同研究オープニングセミナー2016年度2政策課題共同研究オープニングセミナー2016年度3

※2017年2月10日、2016年度成果発表会(プレゼンテーションスライド
2016年度研究報告書『「サステイナブルタウン」を目指して-超高齢社会の包括的タウンマネジメント-』

※2017年5月18日、17年度政策課題共同研究オープニングセミナーレポート(全文
政策課題共同研究オープニングセミナー2017年度
2017年度研究報告書の発行がまたれます。

※鳩山ニュータウンについては『週刊東洋経済』第6772号(2018年2月3日)88頁に牧野和弘「人が集まる街 逃げる街第12回 鳩山ニュータウン[埼玉県] かつて栄えたニュータウンで深刻化する“孤立化”」が掲載されています。

「里山保全問題」について考える 2月12日

『陸生ホタル研』№85(2017年1月25日発行)に掲載されている小俣軍平さんの「「里山保全問題」について考える」を読みました。

1.はじめに
2.池の沢の自然環境
3.池の沢のホタル
   1)棲息分布
   2)種別の状況
      ①ゲンジボタル ②ヘイケボタル ③スジグロボタル ④陸生のホタル4種
陸生ホタルの4種は、丘陵部の二次林内、底地の杉の人工林の中に広く棲息しています。水生の3種とは異なり多発生することは有りません。6年ほど前までは、旧農道・遊歩道沿いで少数ですが目視で成虫・幼虫を見ることができました。6月にゲンジボタルの観察会で、明るいうちに自然環境を見てもらおうと、参加者を案内して農道・遊歩道を歩いていると、道端にオバボタル・ムネクリイロボタル・カタモンミナミボタルの成虫がしばしば飛翔していました。捕虫網で採集して、「これが陸生のホタルで・・・」と説明できました。しかし、現在は農道・遊歩道端ではこれらの陸生ホタルの成虫を見かける事は極まれになりました。なぜ見られなくなったのかよく判りませんが、一つ思い当たるのは農道・遊歩道の整備が進み、道沿いの植物のエンジンカッタ-による刈払いが毎年行われていることです。こうした刈払い作業は池の沢だけでなく、今では保全緑地や公園の整備、農作業などで、どこでも普通に行われていることですが、その結果が、土壌動物や陸生のホタルにどのように影響するのか不明のままです。もう一つの原因は、ここ7、8年池の沢では、ホタルの観察会を始め自然体験学習、八王子市の学習会等のイベントが開催され、日常的にもここを訪れる人の数が多くなっています。規模の小さい谷戸ですので、生物の多様性の基礎となる無数の小さな土壌動物(大人の片足の踏みつける小さな面積に、数千匹棲息しているという記録がありますscience window 2014 1-3 土と生命」)が、農道・遊歩道周辺から消滅している可能性が高いです。この問題が陸生のホタルが見られなくなってきている原因の一つになっているのではないかと思います。これもまた緑地・里山保全の重要な研究課題です。
4.池の沢の保全を巡り直面する問題
   (1)存在が判っても、保全対策が判らない(植物の場合)
最初に報告しました様に、池の沢には国・都から保全の対象に指定されている植物が26種もあります。そのためここでは、ホタルだけではなく池の沢のすべての生物を守って次世代に引き継いで行こうというのが合い言葉です。しかし、個々の植物についてどうしたら守っていけるのか、対象植物の生態が判っていませんので、具体手な手立てがみつからないままに試行錯誤しながら、手探りで以下の様な事をやっています。
・対象の植物が盗掘の恐れの無い場合、自生している場所周辺の刈り払いを行い囲いのテ-プを張り池の沢を訪れる人々に存在を知ってもらう(公開)。
・その植物の周囲を綺麗に刈払いする。しかし、囲いや標識は付けない(非公開)。
・盗掘される恐れのある種の場合、できるだけ人目につかないように自生地の周囲にバリア-を置き、安易に立ち入りできないようにする(非公開)。
・二次林内や湿地で刈払いをすると、今までその場所では自生していなかった植物が突然発芽して来る場合があります。その場合は、そのまま手をかけずにおいて、自立して増えて行くかどうか見守ります。発芽できたのだからそのまま自生して行けるのでは・・・?と期待しますが、多年草の場合でもその多くが3、4年出てきてその後はまた消滅します。なかなか定着できません

   (2)湧水の保全
丘陵地でも「谷戸」の場合、保全の最重点は湧水の維持です。池の沢の場合奥の湿地だけでも湧水のわき出し口が10箇所あります(赤丸印)。赤矢印の左側見えない所に3箇所あります。わき出し口は、いずれも丘陵地と湿地の境目です。
1:図【図がないとわからないので、図は本文のPDFファイルで確かめて下さい】
谷戸の湧水は、その谷戸の丘陵部の二次林・杉、檜の人工林を水源としているものと、もう一つ、多摩丘陵の様に大きな丘陵地になりますと、関東山地の西南端から続く、丘陵全体の水源となる共通した大規模な地下水脈があるようですが、今のところそうした研究資料、文献が見つかりません。それから、上記の1:図の湿地の場合、湧水の保全を巡ってもう一つ大きな問題があります。それは、2:図の模式図のように、昔は、ここは湿地では無く池でしたので、太線の所が水面でした。湧水のわき出し口の多くは水面より高い位置にあったようです。

2:図 湿地の断面の模式図【図がないとわからないので、図は本文のPDFファイルで確かめて下さい】
ところが、現在は長い年月がたち、池に大量の堆積物が貯まりカサスゲの群落を中心とする多様な植物の茂る湿地となっています。湿地の水面は点線のところです。湧水のわき出し口は、堆積物の貯まった水面の位置よりも低いところに埋没しています。堆積物の内容は、土砂を含むものの大部分は周辺の落葉広葉樹林からの落ち葉です。深さは2mくらいあり、下部は炭化し始めています。江戸時代に「底なし沼」といわれた時代には、池の周囲は草地かあるいは針葉樹林だったのかも知れません。現在気になるのは、湿地の水面が堆積物の為に年々上がり、わき出し口が埋もれて塞がり、湧水が別のところに逃げていってしまう事です。これを防ぐのには湿地の下流の方から堆積物を取り除く事ですが、これは人力だけでは無理ですし、また、取り除いた大量の9 堆積物をどう処理するのかも問題です。湿地の中にはゲンジボタル・ヘイケボタル・スジグロボタルが棲息していますし6種類の貴重な植物もありこれらは、発芽しないまま長期にわたり堆積した地中に残っている種子もあります。浚渫作業をする場合にこれらの保全をどうするのか・・・、見通しが立ちません。

   (3)持ち込まれ遺伝子的にかく乱されたゲンジボタル
池の沢のゲンジボタルは、遺伝子解析から見ますと、上述のように現在の所3タイプに分かれます。昔から棲息していた東日本型、人の手により持ち込まれた西日本型、東日本型と西日本型の交雑種です。持ち込みは、1970年代~80年代にかけて、市内の自然保護団体の手によるもので、取り付きを流れる殿入川のゲンジボタルを守る目的で行われました。私もその当事者の一人です。当時ゲンジボタルの遺伝子上の違いについてはまだ解明されていませんでしたので、他地域からの持ち込みが、市内のゲンジボタルに取りかえしのつかない重大な影響を及ぼすとの認識はありませんでした。今にして思えば痛恨の極みです。八王子市内で起きているようなゲンジボタルの持ち込みによる遺伝子のかく乱問題は、東京都下ばかりでなく関東地方でも同様に広く起きている問題です。しかし、この問題の処理に今後どう対応したらいいのか、現在の所まったく分りません。池の沢のような場合この谷戸についてだけみれば、数年かけて現在飛んでいる成虫をすべて捕獲して絶滅させ、その後、市内に残っている本来のゲンジボタルを採集し産卵・孵化させ幼虫を飼育して、放流する事は可能です。ただ、市内の主要河川である南浅川、北浅川の遺伝子的にかく乱されたゲンジボタルを、一時的に絶滅して入れ替えることはかなり難しい事です。そのため、これができないとすれば、池の沢のゲンジボタルを一時的に再生しても、水系がつながっていますので、今後、年月が経過すればいずれかく乱が再発すると思います。また八王子市内では、今は自然保護団体による持ち込みは無くなりましたが、ゲンジボタルの他所からの持ち込み放流は、色々な形で現在も行われています。その一つは特定の個人によるもので、一昨年も湯殿川で、6月に突然ある場所からゲンジボタルが多発生しました。驚いて地元での聞き込み調査をしてみますと、流域の住人がゲンジボタルの成熟幼虫を業者から自前でお金を払い購入して持ち込み、放流したようです。今から3~40年前は、ゲンジボタルの幼虫を育てて河川に放流するには、ホタルの生態についてある程度の知識と室内飼育をするための技を持っていないとできない事でした。しかし、今はインタ-ネット上でお金さえ払えば誰でも大量にゲンジボタルの成熟幼虫を業者からたやすく購入することができます。東京都・八王子市でもゲンジボタルの他地域からの持ち込みと放流を禁止する条例はありません。野放し状態です。放流した個人を特定して訪ねてみますと、当人は確信犯で、「自腹を切ってゲンジボタルの幼虫を購入し放流して沢山のゲンジボタルが飛び、地域の人々も大喜びしているのに何が悪いのか!」とこちらが叱られます。

   (4)多摩丘陵には西型のゲンジボタルが昔から棲息していたのでは・・・?
ゲンジボタルの持ち込みに関しては、もう一つ板当沢時代から陸生ホタル研に移行してまもなくからですが、多摩丘陵での生息地調査が進むにつれて気になる問題があります。丘陵地の成虫を採集して遺伝子解析をしてみますと、西型のゲンジボタルが棲息している湿地と東型のゲンジボタルが棲息している湿地があります。東京都では、これまで遺伝子解析で西型が出た場合には、すべて「持ち込まれたもの」として記録・処理されています。ところが、上記の池の沢のゲンジボタル問題と同じように、その湿地の在る谷戸の昔からの農家の方々は、「この谷戸の湿地にゲンジボタルを持ち込んだ事は無い」と、異口同音に否定されます。そしてこのような証言をして下さる方々は、私と同じ80才を超えてる方々で生存者がもうわずかになっています。私自身も、かつて多摩丘陵の湿地に棲息していたゲンジボタルを、文献記録に惑わされてもともと棲息していたものでは無く、汚染された河川から避難し逃げ込んだものと思い込み、とんでもない誤認をした体験が有るだけに、「これも?」と、大変気になる問題です。

   (5)里山保全とゲンジボタルの保全
全国各地で広く行われているゲンジボタルの保全活動の多くは、人の手による採卵・孵化、幼虫の人工飼育・放流とホタル観察会、それから幼虫の餌となるカワニナの人工飼育と放流・ゲンジボタルを飼育するための施設造りです。「池の沢にホタルを増やす会」の中でも、ゲンジボタルの保全に付いてはいろいろな意見があります。上記のように人の手を直接加えることによって、ゲンジボタルの発生数を増やすこともできるのだから、やるべきではないかという意見もあります。しかしこれまでの14年間は、直接人の手を加えるような取り組みはしてきませんでした。それはなぜだったのかといえば・・・・、
・池の沢での緑地の保全活動は、一言でいいますと、「池の沢に生息するすべての生物を丸ごと守り育てること」です。ゲンジボタルだけを守ることではありません。
・池の沢にどれだけのゲンジボタルが棲息できるのかは、ここの保全に関わる人間が人間の好みで勝手に決めることではありません。目に見えることはほとんど無い無数の菌類を始め、食べたり食べられたりの関係で、池の沢の生態系を守り生きているすべての生物の声なき声の合意が必要です。
・池の沢の多様な生物の発生状況を見ていますと、ゲンジボタルだけでは無くすべての生物に、あるときは多発生し、翌年は減少するという風景は珍しい事ではありません。なぜ増えたり減ったりしたのか、池の沢の自然条件を検討すると、冬の降水量が極端に少なかったとか、夏の平均気温が例年より低かったとか・・・・、これではないかと思い当たる内容が見つかる事もありますし、その原因がさっぱり判らない事もあります。「池の沢に棲息するすべての生物を・・・」といえば、誰にも快く聞こえますが、いざ実現するとなると難しい問題が立ちはだかります。
・14年前には谷戸の奥のカサスゲの生い茂る湿地にも沢山のゲンジボタルが飛んでいました。しかし、今はこの湿地で一晩に見られるゲンジボタルの成虫の数は10匹~20匹程です。なぜ減少したのかと言えば、思い当たる事があります。この湿地には、絶滅の恐れのある植物が4種類在りました。ところが、これらの植物が花は咲かせるものの種子が実りませんでした。その原因を色々と検討した結果、最大の原因は、湿地を取り巻く周囲の落葉広葉樹がなにも手を付けられずに大きく成長し生い茂り、湿地の日射量が減少した為ではないかということでした。そこで、試行錯誤の取り組みの一つとして、八王子市にお願いして、湿地の周囲の落葉広葉樹を10本ほど伐採してみました。
・大きな変化が翌年早速起きました。湿地の奥のこれまでオオニガナが全く見られなかった所にまとまって40株ほど出現しました。それまで減り続けていたアギナシもこれまで見かけなかった所に7株自然発生しました。ミズオトギリも、眠っていた種子が目を覚まして発芽し、20株以上復活しました。これまで花が咲いても種子が付かなかった貴重種の植物にも種子が付きました。これは良かった、やはり日射量が影響していたのかと気を良くしました。
・ところが・・・・、マイナス現象も起きました。池の沢で永年昆虫類を中心に観察調査を続けている市民の中の一人、石垣博史氏から、「湿地周辺の木を切り倒したことで、この湿地に暮らしてきた暗い環境を好む昆虫類が一斉に姿を消した・・・、当然ゲンジボタルの発生数にも影響が出るのではないか・・・」という内容のメ-ルでした。石垣氏の予想は当たりました。「こちら立てればあちらが立たず」と言うことわざがありますが、本当に難しいものです。

   (6)激減したは虫類・両生類
14年前に池の沢にホタルを増やす会が生まれた頃には、夏に草刈りをしているとごく自然に、シマヘビ・アオダイショウ・マムシ・ヤマカガシなどを見かけました。アズマヒキガエル・ヤマアカガエル・ニホンアカガエル・シュレ-ゲルアオガエルも飛び出してきました。しかし、最近ではこれらの生物をまれにしか見かけません。奥の湿地に落ち葉が降り積もり水面が見えないようになってきたのでカエルの産卵場所がないのでは・・・というので、一つの対策として、放棄水田跡に20坪ほどの池を造ってみました。次の年からアズマヒキガエルとヤマアカガエルが早速やってきてこの池に産卵するようになりました。メダカも復活してきました。やれやれこれでひとまず良かったと胸をなで下ろしました。ところが、ここ2年ほど前から何者かがやってきて、産卵されたカエルの卵を孵化する前に、卵のうごと掬いとって持ち去る事件が起きました。人の目を避けて深夜に密かにやってきて盗るのだと思いますが、防ぎようがありません。

   (7)盗掘される植物
池の沢には26種の貴重な植物が見られますが、そのうちのランヨウアオイとサワギキョウが盗掘にあい激減したり絶滅したりしました。この両種を盗った者は、盗掘の跡からみて市民サイドのマニアの仕業とは思えません。と言いますのは、ランヨウアオイの場合掘り取った跡を丁寧に埋め戻し、はぎ取った腐葉土や落ち葉を敷き詰めてきれいに整地しています。サワギキョウの場合、絶滅しない様に最後の一株は残してありました。サワギキョウについては、市内の多摩丘陵で自生しているサワギキョウの苗を10株分けていただき再生の取り組みを進めています。植え付け場所を人目につかない奥の湿地から谷戸の放棄水田跡に切り替えて、「絶滅した貴重な植物の再生の取り組みをしています」と書いた看板も立てて公開したかたちで取り組んでいます。現在3年経過し問題はいろいろありますが、株数は50株をこえて順調に育っています。盗掘は今のところありません。

5.おわりに

池の沢の制札板
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市民の森保全クラブ定例活動日 1月28日

第4日曜日の定例活動日です。岩殿地区のゴミステーションから青木ノ入までの道路が凍結しているので、高坂丘陵市民活動センターで、2月・3月の活動の打ち合わせと、森林総研『都市近郊林管理の考え方』5頁の表「雑木林における植物相保全のための管理技術の適用」を見ながら、作業エリアの植生と今後の管理の仕方などについて学習会をしました。参加者は芦田さん、太田さん、金子さん、片桐さん、草間さん、澤田さん、細川さん、鷲巣さん、渡部さん、Hikizineの10人でした。夕方からは三本さんも参加して11名で東松山駅東口の居酒屋で新年会を行いました。

国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が構築した本の科学技術情報の電子ジャーナル出版を推進するプラットフォームJ-STAGE科学技術情報発信・流通総合システム)により、パソコンで学術誌に掲載された論文を簡単に見ることができるようになりました。難しい内容であっても理解に努め、その成果を活かしながら里山保全活動を続けていきたいものです。
 
西村尚之・山本進一・千葉喬三「都市近郊コナラ林の構造と動態(Ⅰ)-林分構造とコナラの個体群特性-」(『日本緑化工学会誌』16-1、1990)
抄録
成熟した都市近郊コナラ(Quercus serrata)林内に面積0.92haのプロットを設け、毎木調査(胸高直径cm)を行い、その構造を調べた。コナラは相対密度43.1%、相対胸高断面積合計71.5%で調査林分の優占樹種であった。主な樹種の胸高直径分布は正規型、逆J字型、L字型を示した。低木層ではヒサカキ(Eurya japonica)が優占していた。コナラには複数の萌芽幹からなる萌芽再生個体と単一幹からなる実生個体とがあり、生存個体の75%が萌芽再生個体で、その幹数の平均は2.0本、最多は6本であった。萌芽再生個体と実生個体の平均胸高直径はほぼ等しかったが、平均根元直径は萌芽再生個体で有意に太かった。根元直径階級が大きくなるにつれて1個体あたりの萌芽幹数の多い個体が多くなり、階級別の最多萌芽幹数も増加した。萌芽幹と単一幹のどちらも胸高直径が大きくなるにつれて樹高に頭打ちがみられた。萌芽幹と単一幹の齢分布は35-40年にモードをもつ類似の分布を示したことから、本林分は実生と萌芽のほぼ同時発生により成立したものと考えられる。現在、林内にはコナラの後継樹がほとんどなく、実生の生残率も低いことから、このコナラ個体群は今後衰退していくものと考えられる。

西村尚之・白石高子・山本進一・千葉喬三「都市近郊コナラ林の構造と動態(Ⅱ)-林内における3年間のコナラ実生の動態-」(『日本緑化工学会誌』16-4、1991)
抄録
下層にヒサカキ等の常緑広葉樹が優占する成熟したコナラ林内に、低木層を除去した区 (L区) と低木層及びリター層を除去した区 (C区) の地床処理区と無処理区 (N区) を設け、コナラ実生の発生、生残を3年間定期的に調査した。林床の相対照度はどの時期も地床処理区で高かった。実生の発生数はC区で最も多かった。無処理区での実生の発生は地床処理区に比べ約1ヵ月遅かった。どの区も早く発生した実生の初期死亡率は低く、地床処理区では最終調査時のその生残率は遅く発生した実生に比べ高かった。発生当年の実生の生残率は無処理区で有意に低く、翌年の生残率はL区、C区、N区の順で高かった。無処理区では発生後3年間ですべての実生が死亡した。分枝した実生の出現率は地床処理区で高く、分枝個体の生残率は未分枝個体に比べ有意に高かった。本林分では自然状態の地床でのコナラ実生の定着はきわめて困難であるが、低木除去の処理によりコナラ実生の生残に有利な環境が形成されることがわかった。

西村尚之・山本進一・千葉喬三「都市近郊コナラ林の構造と動態(Ⅲ)-リターフォール量の年変動と季節変化-」(『日本緑化工学会誌』18-2、1992)
抄録
岡山市内の約40年生のコナラ林において、リターフォール量の調査を約4年間定期的に行った。調査林分の胸高直径5cm以上の樹木の胸高断面積合計は18.1m2・ha-1で、コナラはその71.5%を占めていた.年間の全リターフォール量は5.94-8.07ton・ha-1・yr-1であった.また、その64.7-76.6%を落葉が占めていた。年落葉量は4.55-5.22ton・ha-1・yr-1で、その年変動は小さかった。コナラの年落葉量は全落葉量の約60%を占めており、2.59-3.08ton・ha-1・yr-1であった。落枝量の年変動は落葉量に比べて大きく、この原因は台風の襲来によるものであった.生殖器官の年落下量の約80%はコナラの雄花と果実であった。コナラの果実の年落下量は189-744kg・ha-1・yr-1で、その年変動は大きかった。落葉量の季節変化は、11-12月に落葉の最盛期があり、4月下旬-6月上旬にも落葉量がやや増加するパターンを示した。また、コナラは他樹種に比べて落葉期がやや遅く、短期間に落葉する傾向があった.落枝量は、落葉量のような明らかな季節変化を示さず、台風などの強風の影響によって激増した。

関東二次林研究グループ(星野義延・斉藤修・辻誠治・菅野昭)「南関東のコナラ二次林の変貌に関する植物社会学的研究」
要約 本研究は、関東地方のコナラ林が近年の管理状態や利用形態の変化によって林の種多様性や種組成がどのように変化しつつあるのかを、20~26年前の植生調査資料と同一地点において追跡調査を行い、比較検討することによって明らかにすることを目的として実施した。追跡調査したのは102地点(東京都府中市:17、埼玉県:28、栃木県:18、茨城県:34、千葉県:5)であり、そのうち27地点のコナラ林が消失していたため、植生調査地点数は75地点(残存率74%)であった。出現種数は1974~80年調査(以下「調査I」という。)で398種、2000~2001年調査(「調査II」)で387種であり、両調査での全出現種数は499種であった。調査Iと調査IIの調査地点ごとの共通係数(Sørensen, 1949)は0.324~0.718(平均0.527)であり、調査地点周辺の林野率が高いほど共通係数が高くなるなどの傾向が推察された。
1. 研究の背景と目的
2.調査方法と調査地
3.結果
 (1) コナラ林の残存状況
 (2)出現種数の変化
 (3)種組成の変化
4. 考察
 (1) コナラ林の残存状況について
 (2)出現種数の変化について
 (3)種組成の変化について
 (4) コナラ二次林保全管理への示唆
群馬県と神奈川県を除く関東地方での追跡調査の結果、1974年~80年にかけて存在していたコナラ林のうち74%が残存していた。ただし、地図上で確認したものを含めると東京都府中市での残存率は45%と半分以下になっているなど、都市近郊域では消失や孤立・分断化の傾向が顕著である。都市近郊でのコナラ林消失の理由は、宅地開発や学校・病院の建設などが多かったが、今後はこのような開発にあたり都市周辺に残された貴重な自然として、コナラ林の保全を図っていくことが必要である。また、農山村域ではコナラ林の伐採後、ヒノキやスギへの人工林化が多く見られた。ただし、このような人工林も手入れされずに放置されているものが多いことから、農山村域ではコナラ林の保全にあたり、経済性や人的資源の確保を考慮していく必要がある。

本研究では、関東のコナラ林の出現種数がアズマネザサの被度(植被率)と有意な負の相関関係にあることを示したが、出現種数を一定以上に維持するためにはアズマネザサの被度を下刈りなど人為的な管理で抑制することが必要である。一般的には、農山村地域ほどこのような管理が継続していると考えられるが、本調査では管理の有無を規定するような社会経済的な指標を見出すことはできなかった。むしろ、人口密度や人口密度の長期的変化が小さい(人口流入が少ない)地域でも数多くの放置コナラ林が存在していた。人口一人当たりのコナラ林の面積から言えば、農山村地域の方が膨大な面積になるため、それだけ放置林分が増加する傾向があると考えられる。農山村地域の過疎化・高齢化の問題も踏まえ、このような地域での長期的な管理のあり方について検討していくことが急務である。

コナラ林の質的な変化については、追跡調査の結果、地形的に傾斜がゆるやかであるほど、また地域の林野率が低いほど、種の入れ替わりが生じている(共通係数が小さくなる)傾向があることが認められた。新たに侵入・増加した種の多くはアオキ、ヒサカキなどの常緑の木本植物であり、消失・減少した種の多くはアキノキリンソウ、シラヤマギクなどの草原の要素(主に多年生草本)であった。コナラ林の質を約20年前の状態で維持することを目的とするのであれば、このような侵入・増加種を一定の被度に抑制することが必要である。さらに、都市近郊のように人口密度の増加が大きく、林野率が低い地域ほど、トウネズミモチなどの緑化・園芸種が増加する傾向があるため、地域特性に応じてこれらの種も管理対象としていくことが望ましい。


謝辞
引用文献

斉藤修・星野義延・辻誠治・菅野昭「関東地方におけるコナラ二次林の20年以上経過後の種多様性及び種組成の変化」(『植生学会誌』20-2、2003)
抄録
 1.関東地方のコナラ二次林を対象として、20-26年前に植物社会学的方法で植生調査を行った113プロットの追跡調査を行い、その残存状況、種多様性及び種組成の変化の実態把握と要因解析を行った。
 2.追跡調査で残存していたのは113プロット中75プロット(残存率66.4%)であり、コナラ-クヌギ群集39プロット(同60.0%)、コナラ-クリ群集36プロット(同75.0%)であった。
 3.時間経過に伴う出現種数の変化は両群集とも認められなかったが、管理プロットでは平均出現種数が増加し、非管理プロットでは逆に減少する傾向がみられた。出現種数の変化の要因としては、人為管理の有無及びそれに関連するササ類や常緑木本被度の変化が重要であった。
 4.種組成変化の度合いを示す共通係数は、コナラ-クリ群集の方がコナラ-クヌギ群集よりも有意に高かった。また、管理プロットの方が非管理プロットよりも共通係数が高かった。種組成変化に影響する要因としては、コナラ-クヌギ群集ではプロットが位置する市町村の林野率の変化が、コナラ-クリ群集ではプロットの斜面傾斜角、リター被覆率、常緑木本被度の変化が重要であった。
 5.減少が顕著であった種群には風散布植物が、増加が顕著であった種群には動物散布植物がそれぞれ多く含まれていた。また、主に鳥散布によって周辺から新規加入してきたと考えられる緑化・園芸種が両群集とも有意に増加していた。これらはプロット周辺地域の人口密度の増加が著しいほど、その増加が顕著であった。
 6.コナラ二次林の管理にあたっては、地域スケールでの林の立地特性を考慮しつつ、種多様性と種組成変化の長期的なモニタリングを行なっていくことが重要である。

東京都多摩地方南西部におけるコナラ・クヌギ二次林の群落構造および種数の管理形態による差異 植生学会誌25-1、2008
抄録
 1.東京都多摩地方南西部の八王子市、日野市において、コナラ・クヌギ二次林の管理形態と群落構造や出現種数など植生に関わる要素の関係を整理し、特に現在の社会的背景に合わせた新しい管理主体による適切な管理のあり方を探るために、植生調査および管理方法についての聞き取りを行い、統計解析を行った。
 2.管理の主体、目的および継続性から、調査した林分を、旧来の所有者あるいは利用者により農業利用を目的に旧来の方法が継続されている「伝統的管理」、行政や組織化された市民ボランティア等により継続性をもって行われている「非伝統的管理」、所有者の移転時や行政主導の単年度事業等で単発的に管理が行われた「単発的管理」と、「放置」の4つの管理形態に区分した。
 3.管理形態ごとに管理手法を比較すると、伝統的管理では下刈りは年1回冬季で、落葉採取が行われ、管理の中断期間のない林分が大半を占めた。非伝統的管理では時期や頻度は多様なパターンがみられ、落葉採取は大半で行われておらず、10年以上の管理中断期間のある林分が多かった。単発的管理は非伝統的管理と同様に時期は多様で、落葉採取が行われている林分はなかった。
 4.林床管理の有無により、植生に関する要素の多くで有意な差が認められた。継続性のある管理によりササは抑えられることがわかった。低木第2層のササ以外の常緑種と落葉種の被度は、継続性はなくても管理があれば抑えられることがわかった。夏緑多年草の種数は管理の継続性と中断期間に、一・二年草の種数は管理手法との間に有意な差が認められた。
 5.新たな主体によって管理を行う場合、長期の管理中断期間のない林分を優先的に選び、種多様性の維持やササの抑制に効果の低い単発的管理を手広く行うよりは、限られた場所でも継続的に管理をする方がこれらについて効果的と考えられた。
島田和則『都市林における先駆性高木種の分布と動態』(博士論文、2011.3)

要旨 都市域に残された貴重な森林、いわゆる都市林の多くは落葉二次林である。その多くを占めるコナラ林は、人為的につくられ維持されてきたものである。都市域の落葉二次林で、放置により自然成立したと考えられるものは先駆性高木種の林である。しかし、これらを対象にした研究は少なく、これらの位置づけ、成り立ちや動態についての知見は十分ではない。また、都市林では一部の種の増加が指摘され、シュロ、シロダモなどの耐陰性が高い低木~亜高木性の樹種と、イイギリなどの先駆性高木種の一部が挙げられている。前者に関しての研究は多くさまざまな知見が得られているが、後者が都市林で増加することの実態や要因などについての知見は十分ではない。そこで本研究は、先駆性高木種の自然林における分布特性や自然成立する二次林での動態からその本来の姿を明らかにし、その上で都市林における挙動を分析し都市林の特異性の一端を解明し、都市林の保全や適切な管理に結びつけることを目的とした。
まず、先駆性高木種を自然林の一要素として考えその位置づけを検討するために、東京都高尾山の自然林で代表的な先駆性高木種5種の地形分布と種特性との関係を分析した。その結果、先駆性高木種の地形に対応した出現傾向に、種ごとの特徴が認められた。すなわち、地表の撹乱圧がより高い場所においては、先駆性高木種の中で大きく主幹が傾斜しても生残でき、かつ幹や樹冠部等が損傷を受けたとき萌芽による回復力をもつフサザクラのような種が有利であることがわかった。また、地表の撹乱圧がより低く群落高が大きい場所では、最大樹高が大きく、かつ樹冠下で生残しやすい形態をとれるミズキのような種が有利であることがわかった。
次に、放置により自然成立する二次林の成林過程や動態、および先駆性高木種の挙動を微地形と対応づけながら分析した。その結果、下部斜面域では、高木種は調査期間中に大部分が枯死し、低木林群落として推移した。斜面中程では常緑高木種は個体数、種数とも微増にとどまり、成長も停滞していた。落葉高木種は、種数、個体数は大きく減じるものの先駆性高木種の優勢木が大きく成長して優占した。斜面最上部ではアラカシを中心とした常緑高木種が初期から優占状態を保ちながら成長し、一方で落葉高木種は種数、個体数とも減少し、常緑高木種が密生した群落となった。このような、再生群落の生活型組成及び動態の地形に対応した差異は、下部斜面域と斜面中程との間は明瞭で、斜面中程と最上部との間は連続的であり、地形に対応した差異は、年を追うごとに明瞭になっていった。
最後に、先駆性高木種の中で自然林と都市林で異なった挙動を示すイイギリを手がかりに、代表的な都市林で現在は人為的管理が極力排されている自然教育園において、本種の動態を都市林の変遷と関連づけながら分析した。自然教育園内全域のイイギリ個体数は、1965年から1983年の間は急増したが以降は微増にとどまり、2002年から2007年の間は減少した。サイズ分布の経年変化と年輪解析から、イイギリの侵入は断続的に起きていたことが示唆された。また、群落構造と樹冠投影図の21年の比較から、イイギリは一度林冠に達すると枯死しにくく、周辺個体の枯死を機に樹冠を拡大させながら個体を維持し続けたものと考えられた。自然教育園の変遷をみると、放置あるいは保護されている期間と、大きな攪乱を受ける時期を繰り返していた。このことは、更新に大きな攪乱を必要とする一方で、定着した個体の損傷に対する耐性が低いため成長には安定した立地を必要とするイイギリにとって有利だったと考えられる。攪乱により侵入の機会を得た先駆性高木種の中でイイギリは、アカメガシワのような最大樹高が低い不利な種特性や、ミズキやキハダのような一斉枯死もなく、都市林で徐々に個体数を増やしていったものと考えられた。
これらの結果から、以下のようにまとめた。森林の地形に対応した優占型を、自然性の高い林と攪乱後自然成立した二次林を比較すると、先駆性高木種の優占する範囲が自然林では下部斜面域と全層崩壊型ギャップにより更新したパッチに限られていたものが、二次林では上部谷壁斜面の中程まで拡大した。すなわち、斜面中程より下方では、先駆性高木種の優占林が本来の二次林であるのではないかと思われる。自然教育園や皇居吹上御苑のような都市林でみられるミズキやイイギリの林は、このような二次林が発達したものと考えられる。早期に林冠を形成し一定期間それを維持しうる先駆性高木種の位置づけや役割は、都市林の形成過程や動態において重要である。
都市林の管理において、自然に侵入し早期に高木林を形成する先駆性高木種は、都市において環境を緩和する機能が期待でき、自然再生を考える上でも重要な種であるといえる。今後も都市域で増える可能性のある先駆性高木種二次林を適切に取り扱うために、本研究でその成立過程や動態を解明したことは都市林の保全・管理の上で意義がある。

島田和則・勝木俊雄・岩本宏二郎・大中みちる「東京多摩地方南西部の都市近郊林における植物相の変遷-50年間のフロラリストの比較-」(「植生学会誌」31-1、2014)
抄録
1.都市近郊林における植物相の現状や変遷を明らかにするために、多摩森林科学園(旧浅川実験林)において、過去に公表されたフロラリスト(草下・小林1953、林ほか1965)と現在のフロラリスト(勝木ほか2010)を比較し、50年間の変遷について分析した。
2.その結果、過去にのみ記録された分類群は164、現在のみは141、両方で記録された分類群は626と、2割弱の分類群は入れ替わったが総出現分類群数は大きくは変わらなかった。
3.過去にのみ記録された種は現在にのみ記録された種より希少種の割合が高く、現在のみの種は過去のみの種より外来種の割合が高く、質的に変化したことがわかった。生活型からみると、高木の増加、多年草の減少、散布型からみると、被食散布型の増加、水散布型の減少が特徴的であった。

『図解 スマートシティ・環境未来都市 早わかり』目次

白井信雄さんの『図解 スマートシティ・環境未来都市 早わかり(1時間でわかる)』(中経出版、2012年12月)を読みました。

はじめに 「都市縮小」時代の未来都市構想
プロローグ2030年「未来都市の暮らし」はこうなる!
 20年後の未来都市から「近況レポート」が届いた!
  2030年×月×日/僕の住む街が「住みたい街ナンバーワン」になった!/わが家は「スーパーエコハウス」/わが家のエネルギーを管理・制御する「エコブレイン」/都心の本社に通うのは「週2日だけ」/都心への通勤も「混雑なし!」/車をコミュニティで共有する/家中の家電製品がリース商品/「レンタル農園」で野菜づくり/年齢の壁を越えた地域の「サークル活動」/気象災害・大震災に備える

第1章 なぜ未来都市構想が必要なのか
  都市が抱える弱点・リスクを洗い出す!
 1 東日本大震災が日本を変えた!
  東日本大震災が社会・経済・都市の問題を浮き彫りにした
   いまや、どの地域も自然災害を避けることはできない
   これまでの価値規範を見直す契機になる
   都市の基盤の弱さを思い知らされた
  東日本大震災が3つの変化をもたらした
   東日本大震災が加速させる「社会革命」
   変化1:エネルギーの転換
   変化2:拡大成長志向からの脱却
   変化3:国家・企業が主導する社会から市民が主導する社会へ
 2 都市は脆弱さとリスクを抱え込んでいる
  都市が抱える脆弱さとは?
   1:面積当たりの活動密度が高い
   2:外部依存度が高い
   3:人間関係の希薄さ
  都市が抱えるリスクとは?
   1:自然災害か人為災害か
   2:影響が短期的(突発的)か長期的(慢性的)か
 3 都市は3つの危機に直面している
  危機1:エネルギーが枯渇する
   生産量が増え続ければ可採年数は短くなる
   価格上昇が大問題になる可能性がある
  危機2:温暖化が進行する
   二酸化炭素排出量を削減する「緩和策」が求められる
   気候変動の影響を最小にする「適応策」が求められる
  危機3:少子高齢化が進行し都市が縮小する
   50年後には生産年齢人口が激減する
   スラム化、治安悪化が深刻化する
   都市の再編成が求められる

第2章「スマートシティ」構想とは何か
 その動向と死角をガッチリつかむ!
 1 「スマートグリッド」を中核として街をつくる
  「スマートグリッド」とは何か
  「スマートシティ」計画には2つのタイプがある
   タイプ1:新興地型スマートシティ計画
   タイプ2:既存大都市型スマートシティ計画
 2 産業界が大注目する「スマートシティ」
  日本の「スマートシティ」構想の狙い
   電力の需要・供給の効率化を図る
   スマートシティ・ビジネスの可能性を探る
  「スマートコミュニティ」の実証事業も進む
   すべてのインフラを総合的に管理・制御する
  海外の「スマートコミュニティ」づくりにも参加
  実際には「スマートハウス」「スマートビル」が主流
   現場で需給調整するのが基本
   どのようなシステムが需給調整に用いられるか
  「スマートシティ」のシステムを多様な用途に使う
 3 「スマートシティ」構想には2つの死角がある
  実際の導入にはもう少し時間がかかkる
  死角1:ソフトウェア、ヒューマンウェアのデザインが不足
  死角2:住民不在、企業主導で進んでいる

第3章 「環境未来都市」構想とは何か
 その動向と死角をガッチリつかむ!
 1 先行する「環境モデル都市」の取組をみる
  「環境モデル都市」とは何か(2008年13都市が指定される)
   低炭素社会都市の実現を目指す
   経済・社会システムづくりにも取り組む
   地域の個性をふまえた「環境モデル都市」計画
  事例:環境モデル都市・飯田市の取組
   「積み重ね」と「地域ぐるみ」が指定の決め手
   時代を先取りした市民共同発電事業
 2 少子高齢化にも取り組む「環境未来都市」
  「環境未来都市」とは何か
   人間中心の新たな価値を想像する都市(2011年11都市が指定される)
   究極の目的は「人々の生活の質を向上させる」こと
  ほかの未来都市構想とは、ここが違う!
   環境・エネルギー面はほとんど同じ方向性
   少子高齢化に取り組む
   多様な地域課題に取り組む
 3 「環境未来都市」構想には3つの死角がある
  従来のビジネスのやり方を踏襲するだけでは成功しない
  死角1:環境・社会・経済の連携に欠ける
  死角2:未来を共有する人づくりに欠ける
  死角3:周辺地域との連携に欠ける

第4章 未来都市の「シナリオ」を描く
 わが街をどのような個性の街にするか・その選択肢は?
 1 どういう社会を目指すか
  「高度技術型社会」か「自然共生型社会」か
   「ドラえもん・シナリオ」と「サツキとメイ・シナリオ」
   事例で見る2つのシナリオ
    「高度技術型社会」のシナリオ事例
    「自然共生型社会」のシナリオ事例
 2 将来をどう想定・設定するか
  将来をどう設定するかで都市デザインは変わる
   経済・社会の両面で将来状況を設定する
  事例:実際に「30年後のビジョン」を検証してみた
  複数のシナリオを想定する(ロバスト)

第5章 理想的な未来都市「サステナブルシティ」
 理想的な未来都市に必要な原則基盤は何か
 1 「サステナブルシティ」の3つの原則
  「サスティナブルシティ」とは何か
  原則1:将来および他地域との共生
   「持続可能性」についての考え方の流れ
   持続可能性とは「他者に配慮すること」
  原則2:起こり得る危機への適応
   「社会の弱いところ」を改善する(脆弱性)
   「感受性」を改善し「適応能力」を強化する
   都市の「脆弱性」の「根本要因」を改善する
  原則3:住民の参加と活力
   企業・行政だけではサステナブルシティは実現できない
   住民の多様なタイプに配慮する
 2 「サステナブルシティ」の3つの基盤
  基盤1:「ハードウェア」 最先端の科学技術
   未来都市をつくる科学技術はいつ普及するか
   未来を見通しハードウェアを整備する
  基盤2:「ソフトウェア」 行政制度
   さまざまな施策・手法の組み合わせが求められる
   地域が主体的に施策・手法を工夫し生み出す
  基盤3:最も重要な基盤「ヒューマンウェア」
   「ヒューマンウェア」とは何か
   今後、社会貢献意識、環境意識がさらに高まる
   「社会関係資本」への関心が高まる
  ビジネス・チャンス:ヒューマンウェアを組み込んだビジネス

第6章 「サステナブルシティ」では、ここが変わる!
 「サステナブルシティ」の全貌とビジネス・チャンス
 1 エネルギー・システムが変わる
  エネルギーは「再生可能エネルギー」にシフトする
   大都市は他地域からの再生可能エネルギーを調達しなければならない(賦存状況に差)
   電力の自由化が進む
   再生可能エネルギーに地域の個性が反映される
  蓄電システムが普及する
   余剰電力が蓄電される
   非常用電源として蓄電する
  ビジネス・チャンス:電力の卸売り・小売りビジネス
  市民共同発電が推進される
   市民が出資し発電所を建設・運営する
   長野県飯田市の「おひさま進歩エネルギー」事業
    環境省平成のまほろば・まちづくり事業補助金
  ビジネス・チャンス:市民出資によるビジネス
 2 交通システムが変わる
  未来都市を走る自動車は「エコカー」
   エコカーがさらに進歩・普及する
   未来都市を走る自動車の種類が限定される?
  車交通を制御するITS(高度道路交通システム)が普及する
   情報ネットワークを活用するITS
   「ロードプライシング」で市街地に流入する車を減らす
  ビジネス・チャンス:ITSを活用したビジネス
 3 不動産が変わる
  未来都市に求められる「サステナブル不動産」
   「サステナブル不動産」とは何か
    新丸の内ビルディング、パークシティ柏の葉キャンパス二番街
  「サステナブル不動産」の6つの効果
   収益が向上し、イメージもアップ!
   入居者の満足度が高く、エネルギー・リスクも軽減
  ビジネス・チャンス:「サステナブル不動産」ビジネス
 4 災害への対応が変わる
  レジリエンス(災害適応力)が求められる
   避けて通れない自然災害
   「レジリエンス」とは何か
    災害などの影響を回避したり、最小化する能力
  こうしてレジリエンスを高める
   土地利用の再構築・再編を行う
   災害のモニタリング、予測・警報システムを整備する
  ビジネス・チャンス:レジリエンス・ビジネス
 5 生活スタイルが変わる
  「テレワーク」が普及し通勤地獄から解放される
   3つに分類できる「テレワーク」
    在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務
   現在も増加し続けるテレワーク
   テレワークの効果・メリットは?
   テレワークを標準化させるための課題
  ビジネス・チャンス:テレワークに付随するビジネス
  複数の居住地を持つ人が増える
   情報通信技術が進歩し、居住地の選択肢が増える
   複数の居住地を住み分ける
  ビジネス・チャンス:マルチハビテーション・ビジネス
  “癒しの里やま”で健康づくり
   補完代替医療で事前治癒力を高める
   都市の中に“癒しの場”をつくる
   里山での健康づくりプログラム
  「サービサイジング」が注目される
   「サービサイジング」とは何か
    サービスを売る、レンタル、リース、シェアリング、ネット配信
   リデュース(減量化)・リユース(再使用)が盛んになる
   カーシェアリングが盛んになる
  ビジネス・チャンス:最も注目される「シェアリング・ビジネス」
  「サスティナブル・ポイント」が登場する!?
   環境に配慮すると、ご褒美がもらえる「エコポイント制度」
   「エコポイント制度」には2つの設定方法がある
    取得メニュー、還元メニューをどう設定するか
   サステナビリティにこだわる「サステナブル・ポイント」
    原則1:将来及び他地域との共生
    原則2:起こり得る危機への対応
    原則3:住民の参加と活力
 6 人とのつながりが変わる
  住民コミュニティはサステナブルシティの「基盤」
   コミュニティのつながりが強いほど環境配慮意識も高い
  事例1:省エネ・エコに徹底的に取り組む「柏の葉キャンパスシティ」
   マンネリ打破の秘策は?
  事例2:つながりと出会いを生む「お薬師さんの手づくり市」(仙台市)
   高度情報化社会では、リアルな場所の魅力・価値が問われる
   自分のつくったものでなければ出品できない
   コンセプトは「つながりと出会いを生み出す」こと
   過去と現在、未来がつながる「お薬師さんの手づくり市」
  ビジネス・チャンス:人々が出会い、刺激し合う場をつくるビジネス
   都市の特性をビジネスに活かす
  高齢者を人的資源としてとらえる
  多様な人材を活かす都市づくりを進める
  農山村と連携し都市の弱点を克服する
   農村と連携し食の安全を確保する
   山村と連携しウッドタウン化を目指す

おわりに
 ・ハードウェアとソフトウェアとともにヒューマンウェアを重視すること
 ・将来を予測し、リスク管理の視点からロバストな準備をしておくこと
 ・地域の個性や地域の主体に応じてボトムアップで個性的な都市をつくること

参考文献

『ゼロから始める 暮らしに生かす再生可能エネルギー入門』目次 1月9日

法政大学地域研究センターの田中充、白井信雄 、馬場健司編著『ゼロから始める 暮らしに生かす再生可能エネルギー入門』(家の光協会、2014年8月)を読みました。

はじめに(田中充)

第1章 エネルギーの基本と再生可能エネルギーの仕組み
●エネルギーの基本を知る
 1 エネルギーって何? ~その源を探る~
  化石燃料に依存する現代社会
  私たちが利用する多くのエネルギーの源は太陽
  エネルギーの多くは、加工しないと使えない
  「エネルギー転換」で利便性が高まる
 2 再生可能エネルギーって何?
  新エネルギーは日本独自の分類
  「再生可能」という言葉が意味すること
 3 再生可能エネルギーのメリット
  再生可能エネルギーはCO2排出が少ない
  エネルギー資源を自給できるというメリットも
  分散するエネルギーであることの強み
 4 日本が抱えるエネルギー事情
  石油由来のエネルギーが4割以上を占める
  増え続ける1人当たりのエネルギー消費量
  再生可能エネルギーの割合が増えつつある一方で……
●エネルギーの歴史を知る
 5 人類とエネルギーの歴史
  人類は誕生以来、再生可能エネルギーを利用してきた
  石炭の利用が急速に広がった近代
  石炭主流の時代から再生可能エネルギーの時代へ
 6 オイルショックと再生可能エネルギー
  1970年代に起きた2度のオイルショック
  石油代替として再生可能エネルギーの技術開発がスタート
  形成され始めた再生可能エネルギーの市場
 7 2つの危機に果たす再生可能エネルギーの役割
  日本社会に忍び寄る「外からの危機」とは?
  生活基盤を揺るがす「内なる危機」
  地球温暖化防止とエネルギ-の安全保障に貢献する
  地域活性化につなげて「内なる危機」を回避する
●電力供給の仕組みを知る
 8 発電を行う事業者は大きく4種類
  送電網ネットワークを持つのは、一般電気事業者だけ
 9 発電と送電の基本的な仕組み
  日本の電力供給の9割は、火力発電
  使う分だけ発電して、ロスなく送電する
  再生可能エネルギーは、発電量のコントロールが難しい
 10 固定価格買取制度って何?
  全国の自治体に広がる再生可能エネルギー条例
  固定価格買取制度の対象となる電力の特徴とは?
●再生可能エネルギーの技術を知る
 11 太陽光発電って何?
  太陽光を直接、電気に変換
  電卓から人工衛星まで
  太陽エネルギーは無限だが、発電効率が悪い
 12 太陽熱利用って何?
  太陽光は、熱エネルギーとしても利用する
  熱源には熱エネルギーを使った方が、断然効率的
 13 風力発電って何?
  巨大なブレードの回転で発電
  風車の大型化が進む
  ウィンドファームが増加中
  騒音や低周波が問題に
 14 小水力発電って何?
  流れ落ちる壬子ルギーで発電
  多彩な種類の水車
  小水力発電の仕組み
  エネルギー変換効率が高い
 15 バイオマス発電・熱利用って何?
  日常生活の中にある、さまざまなバイオマス
  発電と熱利用を同時に行える
  発酵により発生させたバイオガスを利用する
  エネルギー出力の調整が容易
 16 地熱発電・地熱利用って何?
  地中の蒸気でタービンを回す
  発電後の蒸気は暖房にも利用可能
  温泉熱発電が始まる
  注目を集める地中熱利用システム

第2章 再生可能エネルギーを暮らしに取り入れる
 1 再生可能エネルギーへの3つの関わり方
   ・再生可能エネルギーをつくる
   ・再生可能エネルギーを使う
   ・再生可能エネルギーを生かした地域づくりに参加する
●再生可能エネルギーをつくる
 2 設備を設置する前に確認したい6つのポイント
   ・目的、種類、方法、妥当性、経済性、リスク
 3 太陽光発電の設備を設置する
  設備費用は安くなってきている
  大型発電所8・5基分の電力が発電可能
  設置業者、メーカー選びがポイント
 4 太陽熱利用の設備を設置する
  エネルギー効率がよく、見直される太陽熱
  狭い面積でも設置が可能
  住宅の断熱性や気密性を高める工夫も必要
 5 薪ストーブ・ペレットストーブを設置する
  まずは、地域内で燃料を入手できるかを調べる
  赤外線効果でじんわりと暖まる
  薪ストーブとペレットストーブの特徴
コラム ペレットストーブと暮らす(松田直子)
  ペレットストーブで京都の森を守る
 6市民共同発電事業に出資する
  出資によって間接的に発電に関われる
  市民協働発電事業への3つの参加方法
  ・寄付型、出資型、購入型
  「出資型の参加」が増えている
  気軽に出資でき、特典もつく静岡市の取り組み
  ソーラーパネルを設置したい人と、屋根を持つ人とが「相乗り」
 7 自治体の公募債に出資する
  地方自治体が募集する公募債を活用する
  市民は、再生可能エネルギーの事業自体に興味がある
コラム ドイツでの市民共同発電事業(杉山範子)
  電気だけでなく「熱」も供給
●再生可能エネルギーを使う
 8 「グリーン電力」を購入する
  新電力の「グリーン電力」を購入」
  東日本大震災をきっかけに注目を集める
  新電力が発電した電気でも、グリーン電力は多くない
  「グリーン電力証書」を購入する
  起業によるグリーン電力証書の活用
 9 再生可能エネルギーを使った製品・サービスを購入する
  グリーン電力証書を活用した製品やサービス
  カーボン・オフセット商品を購入する
  再生可能エネルギーを活用した施設を利用する
 10 スマートハウスで「賢く」暮らす
  スマートハウスの3つの「賢さ」
   ・①エネルギーの供給体制が多様
   ・②消費電力を賢く減らせる
   ・③効率良く、供給と消費の調整ができる
  スマートハウスが普及するための課題とは?
コラム 再生可能エネルギーは家計も助ける(松本明)
 11 自然の風、光、熱を生かす暮らし方
  大がかりな装置のいらないパッシブなエネルギー利用
  日本の伝統家屋では、パッシブなエネルギー利用をしてきた
  現代の住宅でもパッシブなエネルギー利用ができる
   ・自然光、太陽光、太陽熱のいずれの場合も、開口部(窓)を、うまく配置することがポイント
  こんなパッシブなエネルギー利用もある
 12 過ごしやすいように居場所を変える
  居場所を変えることもパッシブなエネルギー利用
  涼を求め、街に出よう
  夏と冬で住む地域を変える
  夏を涼しく過ごすシェアハウス
コラム 週末は八ヶ岳山麓で暮らす(中島恵理)
●地域づくりに参加する
 13 「環境アセスメント」に参加する
  再生可能エネルギーは環境にやさしい?
  「環境アセスメント」とは何か?
  住民が意見を伝える機会は3回
   ・配慮書、方法書、準備書→評価書へ
  リスクを知り、合意を形成する必要性
 14 「ルールづくり」に積極的に関わる
  共有の資源を地域づくりに生かす取り組み
  農山漁村との調和に向けた対話の場づくりが進む
  長期的な視点に立った再生可能エネルギーの導入を
コラム 海外における電力事業の公営化の動き(杉山範子)
  ドイツ国内で広がる公営化の動き
 15 自分に合った再生可能エネルギーとの関わり方
  再生可能エネルギーとの関わり方を分類する
  多くの人は、けっして経済的便益だけで判断していない
コラム “化石燃料ゼロ”を実現した体験交流施設(平澤和人)

第3章 再生可能エネルギーの未来を考える
 1 これから注目される新技術 ~洋上風力と波力~
  騒音や低周波音の問題が少ない洋上風力発電
  じつは長い歴史のある波力発電
  技術開発と普及のために、どれだけのコストをかけられるか?
 2 電力自由化はこれからどうなる?
  3段階で進む電力制度改革
  一般家庭でも自由に電力会社を選べるようになる
  発送電分離で競争が活発になる?
  電力自由化により再生可能エネルギーの普及が進むか?
  私たちは選択を迫られている
 3 スマートコミュニティで暮らす未来
  スマートハウスをネットワークでつなぐ
  2030年のスマートコミュニティ
  未来へ向けて進められる実証実験
 4 再生可能エネルギーへの関わり方が未来を決める
  エネルギーをみずからつくり、利用するという発想
  再生可能エネルギーを暮らしに生かす2つのスタイル
  「どらえもん」型の未来と「サツキとメイ」型の未来
   ・高度技術型社会と自然共生型社会

インデックス

参考文献

朽ち木の中にカブトムシの幼虫 1月5日

ブルーベリーの植穴を掘る準備に放置されていたコナラの朽ち木(ブログ記事「植穴を掘る 1月5日」の写真左に写っている朽ち木)をひっくり返すと、朽ち木の下にカブトムシの幼虫がいました。
P1050004

さらに、朽ち木の厚い樹皮を剥いでみると、朽ち木の中にも幼虫が何匹もいました。
P1050007P1050008

P1050013

 昆虫写真家の山口進さんは『カブトムシ山に帰る』(汐文社、2013年)で山の中でのカブトムシの育ち方を「はじめは朽木[くちき]の下で育ち、やがて朽木に食い込んで、さなぎになる時は再び土のところまで下がってくる」(127頁)と推理しています。里山では落ち葉堆肥のやわらかい腐葉土の中でみかけることが多いカブトムシの幼虫ですが、やや高い山では、「何度か枯れた木の中や倒れた木の下」(『同書』19頁)でカブト虫の幼虫を発見したそうです。

 里山ができる前、カブトムシは山の奥でほそぼそと生活していました。サイカチなど山で育つわずかな木が出す樹液を食べ、メスは倒木が分解してできる腐植土の中に卵を産みつけます。
 メスは倒木の下にもぐりこんで卵を産み、ふ化した幼虫は倒木の下にたまった腐植土を食べ始めます。
 腐植土はそれほどあつく積もらず、腐植土の下は土です。固い木の根元にまで食いこみながら成長してゆきます。
 ぼくが倒木から発見した幼虫は、この状態だったのでしょう。倒木の固い部分に食いこむ時に、あの鋭く強い口が役立ちます。
 幼虫が成熟すると、土とのさかいめまでふたたびもぐり、さなぎになります。そして夏、山の中では小さなカブトムシが現れてくるのです。
 樹液を出す木が少ない奥山では、体が小さいほうが有利です。食べ物が少ないと、虫の数が増えにくいとも考えられます。
 深い山にいた飛ぶ力が強く体が軽い小型のカブトムシがその能力を発揮して、新天地の里山を発見し、より豊かな生活ができる場所に生活を移していったというのがぼくの推理です。(『カブトムシ山に帰る』125~126頁)

 第12章 カブトムシ、山に帰る
 奥山で暮らしていたカブトムシは、里山と出会い、豊かで楽な生活を手に入れました。そのおかげで体も大きくなり、数を増やすことができました。
 ところがいま里山が消えつつあります。わずかに残る雑木林も荒れ、樹液も腐葉土も少なくなってきたため、カブトムシにとって生活がしにくくなってきました。
 とはいうものの、有機農業を本気で考えている人や、庭の草木のために手をかけて堆肥作りをする人は、まだいます。
 シイタケ作りはあいかわらず盛んなので、古くなったホダ木は積み上げられ、カブトムシに大いに利用されていますが、雑木林は荒れるいっぽうです。
 このように人里に近い場所で、大きなカブトムシが生き続けていける条件はわずかにしか残されていません。
 肝心の樹液が出なくなったことが、里で暮らすカブトムシの生活を大きく変えました。樹液がでる木は目に見えて減っています。樹液が出る割合と、カブトムシの数は同じように減少しているのです。
 用がなくなった広い雑木林は、開発され、小さくなりました。小さくなると乾燥が始まります。
 雑木林が乾燥したり、また逆に湿りすぎると小型のカブトムシが生まれてくることは、九州大学の荒谷邦雄先生の実験で確かめられています。
 こうして悪い環境で育った小型カブトムシが、里山でも出現しているのでしょう。(『同書』129~130頁)
※カブトムシ、クワガタ、コクワガタの小型化
 テレビ番組で放送された情報をご紹介するサイト『TVでた蔵』によれば、2011年8月10日(19:30 - 20:45)にNHK総合で放送された番組『ちょっと変だぞ日本の自然 新型生物誕生SP』(出演者:田代杏子 三宅裕司 木曽さんちゅう(Wコロン) 北原里英(AKB48) 東貴博(Take2) 勝村政信 指原莉乃(AKB48) 熊田曜子 ねづっち(Wコロン) 五箇公一 )の冒頭のコーナー「雑木林で新型昆虫を探せ!小型カブトムシ」が以下の内容であったようです。

雑木林で新型昆虫を探せ
 新型生物研究所の研究員と、それぞれが調べてきた場所を紹介。
 山梨県の八ヶ岳近くの雑木林に新型昆虫を探しに行った。昆虫写真家の山口進さんの案内で昆虫が集まる夜の樹液酒場を探索すると、普通のカブトムシの半分以下の大きさの新型昆虫”小型”カブトムシを発見、この”小型”カブトムシはここ3、4年で増えているという。

小型カブトムシ 出現の秘密
 荒谷邦雄教授によると、カブトムシは幼虫時代の土壌の水分により大きさが変わるため、環境の変化で今後小さな成虫が見られる状況が日本全国に広がるという。

小型カブトムシ 変わる雑木林
 小型カブトムシが増えている雑木林には道路が次々と作られ、土壌を乾燥させる原因となっている。一方、人による手入れがされていない場所の土壌は水分が多すぎ、これもカブトムシが小型化する要因となっている。

スタジオトーク
 スタジオで新型昆虫”小型”カブトムシと普通のカブトムシを比較。カブトムシだけでなく、ノコギリクワガタやコクワガタも小型化しているという。(『TVでた蔵』504774より)

岩崎邦彦『農業のマーケティング教科書』目次 1月2日

岩崎邦彦さんの『農業のマーケティング教科書 -食と農のおいしいつなぎかた-』(日本経済新聞出版社 、2017年11月)を読みました。アンケート専門サイト(Webアンケート方式)の「消費者調査」「全国農業者調査」などから見えてきた「食」と「農」を結ぶ道を読み解いた本です。

はじめに
 高品質なモノはたくさんある
 消費者は「食べるモノ」ではなく「食べるコト」を買う
 売り込まれて、買いたくなる人はいない
 「食」と「農」をつなごう

第1章 農業を再定義しよう
 「農」と「食」が強い国の共通点
 「おいしい」が意味すること
 「農」と「食」と「幸せ」の関係
「農」と「食」と「幸せ」の間には、明らかにポジティブな関係が存在している。
 この結果からは「消費者」と「農」との心理的な距離感が近くなれば、食の満足度が向上し、幸福感が向上することが示唆される。
 「農」の先には「おいしい」があり、「おいしい」の先には「幸せ」がある。
 農業は、単に農産物を生産するだけの仕事ではないということだ。人々の幸福の基盤となる、誇り高き仕事である。農業や農村の活性化は、農業分野だけに止まらず、人々の幸福感にも結び付く。
 そう考えると、現代の農業は「農産物の生産業」という辞書的な意味を超えて、「幸せ創造業」と定義しても、過言ではないだろう。(20頁)

第2章 農業にマーケティング発想を
 マーケティングとは何か
 「食べるもの」の日がなぜ普及しないのか
 「食べるモノ」から「食べるコト」へ
 マーケティングへの関心の高まり
 「販売」と「マーケティング」とは違う
 消費者目線になっているか?
 顧客と同じ方向を向こう
 言うは易く、行うは難し
 「生産者目線」を強制的に「消費者目線」に変える方法
①「売る」という言葉を禁句にし、「買う」と言い換える
②「何」ではなく「なぜ」で発想する
③「食べるモノ」ではなく「食べるコト」をイメージする
④「農産物をつくる」ではなく、「顧客をつくる」と考える
⑤小売店に行って、自分が生産した農産物を自腹で買ってみる

第3章 品質を決めるのは消費者である
 生産者の品質 ≠消費者目線の品質
 「おいしさ」が生まれるのは、農場ではなく、食事の場である
 人は、舌だけで味わっているのではない
おいしさは「五感」と「頭」と「心」の“掛け算”で生まれる。(57頁)
 知覚品質をいかに高めるか
①「ブランド」で知覚品質が高まる
②「見える化」で知覚品質が高まる
③「言える化」で知覚品質が高まる
④「物語」で知覚品質が高まる
⑤「掛け算」で知覚品質が高まる
⑥「陳列」で知覚品質が高まる
⑦「価格」で知覚品質が高まる

第4章 うまくいっている農家にはどのような特徴があるのか
 469の農業者を調査
 好業績に影響を及ぼす要因
 好業績の農業者の特徴
①消費者と交流している、消費者の声を聞いている
②価格競争に巻き込まれにくい
③安定的な販売先を確保できている
④核(シンボル)となる商品がある
⑤女性の力を積極的に活用している
⑥「農産物を収穫するところまでが主な仕事」とは考えていない

第5章 どうやって強いブランドをつくるか
 ブランド化とは何か?
 ブランドは「品質」を超える
 モノづくり≠ブランドづくり
 ブランドで表面をつくろうことはできない
 ブランド力を評価する方法
①名前の後ろに、「らしさ」という言葉をつけてみる
②目を閉じて、頭にイメージを浮かべてみる
 「ブランド」と「名前」の違い
 ブランドに関する誤解
①「知名度を高めれば、ブランドになる」という誤解
②「品質を高めれば、ブランドはできる」という誤解
③「広告宣伝費がないと、ブランドはできない」という誤解
④「まずは、ロゴをつくろう」という誤解
⑤「数の多さを売りにして、ブランド力を高めよう」という誤解
 「強いブランド」にはどのような特性があるのか
①ブランド・イメージが明快である
②感性に訴求している
③独自性がある
④価格以外の魅力で顧客を引きつけている
⑤情報発生力がある
⑥口コミ発生力がある

第6章 「違い」が価値になる
 「普通」の農産物はブランドにならない
 個性化は「特殊化」ではない
 「二番煎じ」は、ブランドにならない
 危険な「ヨコ展開」という発想
 いかに個性を出すか
①「味覚、香り、食感」で個性化
②「形状」で個性化
③「サイズ」で個性化
④「色」で個性化
⑤「パッケージ」で個性化
⑥「生産方法・販売方法」で個性化
⑦「肥料・エサ」で個性化
⑧「品質基準」で個性化
⑨「生産場所」で個性化
⑩「ずらし」で個性化
⑪「ストーリー」で個性化
⑫「利用シーン」で個性化
⑬「用途の限定」で個性化
⑭「売る場所」で個性化
⑮「逆張り」で個性化
 ダメな違いの出し方
①「『一本のモノサシ』で測ることができる違い」
②「消費者が気づかない違い」
③「消費者にとって価値がない違い」

第7章 どうすれば六次産業化は成功するのか
 マーケティングに問題を抱える六次産業化
 六次産業化に関する誤解
①「規格外品の活用のために六次産業化する」という誤解
②「六次産業化は、新商品開発である」という誤解
③「『加工食品業』の土俵に乗る」という誤解
 六次産業化の成功要因は何か?
 六次産業化成功の3つのポイント
①「独自性がある」
②「販売チャネルの確保」
③「高品質・安心安全」
 いかに売れ続ける商品をつくるか
 ロングセラー商品を生み出すポイント
①おいしすぎない!?
②「変わらないもの」と「変わるもの」のバランス
③近視眼にならない

第8章 農業の体験価値を伝えよう
 コトの中に農産物を位置づける
 1の体験は100の広告に勝る
 消費地に行くより、産地に来てもらおう
 「農業」を「観光」を掛け算しよう
 農村観光にひかれる人々は、どのような特性を持つのか
①「現地の人々との出会い・交流」を重視している
②「自然」を重視している
③「学び」を重視している
④「体験」を重視している
⑤「その地域ならではの商品や食」を重視している
 「農業」と「飲食業」を掛け算しよう
 「農家レストラン」にひかれる人々の特徴
①小規模店志向である
②健康志向である
③食の口コミ発信源である
④グルメ志向である
⑤環境志向である
⑥リピート志向が強い
 農家レストランにおけるマーケティングのポイント
①軸は、あくまで「農業」である
②メニューの「足し算」をやめよう
③「核となる商品」をつくろう
④「ライブ感」を大切にしよう
⑤「飽きない」を意識しよう

第9章 さあ、前に踏み出そう!
 マーケティングの失敗を招く4つの誤解
①「『○○離れ』だから、厳しい」という誤解
②「後継者がいないから、厳しい」という誤解
③「規模が小さいから、競争力がない」という誤解
④「経営改善をすれば、強くなれる」という誤解
 さあ、行動しよう!

おわりに
機会を生かす、自助努力・創意工夫、発想転換(209頁)

参考文献

埼玉県立自然の博物館 12月10日

長瀞町にある埼玉県立自然の博物館の特別展『秩父鉱山 140種の鉱物のきらめき』を見学しました。秩父鉱山は秩父市の西方、中津川の上流にある金属鉱山で、地下から上昇したマグマが石灰岩と反応してできるスカルン鉱床で140種類もの鉱物が産出しましたが、1978年に金属部門の生産を中止し、現在は(株)ニッチツ資源資源開発本部が結晶質石灰岩(大理石)を採掘しています。
PC100002PC100007

PC100008PC100009

昭和40年頃の秩父鉱山)のようす
『写真と証言で読みがえる秩父鉱山』(同時代社、2015)の著者、黒沢和義さんのイラスト
秩父鉱山イラスト2
最盛期には2千数百名の人が働き、小倉沢小中学校がありました。その時期の施設や社宅が残されていますが崩落がすすんでいて「廃墟サイト」として紹介されていることもあります。

自然博物館(1981~)の前身、秩父鉱物植物標本陳列所(1921~1949)、秩父自然科学博物館(1949~1980)
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秩父鉱物植物標本陳列所時代のジオツアーコース
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植物標本の目録に続いて、日帰り、一泊、五・六泊の地質旅行案内が印刷されています。

埼玉県自然の博物館研究発表会 12月9日

東松山市松山市民活動センターで開かれた埼玉県自然の博物館研究発表会を聴講しました。
午前の部は、「埼玉から消えた植物、減っている植物」(木山加奈子さん)、「メガロドンvsパレオパラドキシア 1500万年前の多様な海の生き物たち」(北川博道さん)、午後の部は、「埼玉県に分布する興味あるいくつかのカスミカメムシ類」(野澤雅美さん)、「イネウンカに寄生するカマバチとその寄生蜂」(半田宏伸さん)、「「物見山」の原風景 ~大正の一大観光地はどのような場所だったか~」(須田大樹さん)、「なぜ平賀源内は秩父鉱山へやってきたのか」(井上素子さん)、「秩父鉱山の鉱物」(小林まさ代さん)の講演、研究発表がありました。

須田大樹さん「「物見山」の原風景 ~大正の一大観光地はどのような場所だったか~」は、1922年に飯能の天覧山とともに、埼玉県内初の指定名勝となった物見山がなぜ名勝に指定されたのか、文献調査、現地調査から指定当時の植生を推定し、公園管理の目指すべき方向性(江戸時代から続く里山的管理の結果生まれた眺望を維持しつつ、ツツジ類をはじめ四季折々の魅力にあふれた公園を目指す。目標とするのは、疎らなアカマツの下に多くのツツジ類が生育し、その間にはススキなどの草地が広がり秋の七草などもみられる植生)を考察したものでした。
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環境学習会2018 12月7日

東松山市の環境基本計画市民推進委員会学習会(環境学習会2018)が2018年1月~3月に開かれます。

1回目
日時:2018年1月21日(日)10時~
場所:市役所総合会館3階302会議室
講師:㈱第1プログレス 矢野 航 氏(移住暮らし情報サイト「TURNS」において、東松山市の記事を執筆)
内容:数多くの地域を取材してきた経験に基づき、市民ではない者から見た東松山市の財産を活かした今後の市の方向性について

 ※当ブログの記事。「きたもとアトリエハウス・自然観察公園」(2017.01.28)、「きたもとアトリエハウス」(2016.11.18)、「埼玉をおもしろくする人々と出会う1日(26日)」(2016.11.15)、「そば打ちとみかん刈り(19日) 比企地域移住体験ツアー」(2016.11.14)

2回目
日時:2018年2月18日(日)10時~
場所:市役所総合会館3階303会議室
講師:国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所 多摩森林科学園 主任研究員 島田 和則 氏(専門分野:植生管理学、都市近郊林)
内容  都市近郊の里山林の保全・再生について
 
 ※都市近郊林(HP『EICネット』環境用語集から)
都市近郊林(トシキンコウリン)   【英】Suburban Forest 
 解説 :一般的に、都市および都市生活者の居住地域周辺の森林をいう。国土総合開発法(1950)に基づく「第4次全国総合開発計画」(1987年閣議決定)では、森林を奥山天然林、人工林、里山林、都市近郊林の4つに区分してそれぞれの基本的方向を示している。
 都市近郊林の多くは、里山林と類似の林相や機能を持ち、かつて農用林や薪炭林として利用され、集落、田畑、溜池、小川などと複雑に組み合わさった良好な景観を呈していたが、近年は、「施業放棄森林」となったり、無計画な宅地開発が行われたりした結果、林業的価値が失われたばかりでなく、景観の悪化、生物多様性の低下など公益的機能を減じているものが多い。また、地価が高いことから相続等に際し、蚕食的な開発が繰り返されており保全方策の確立が望まれている。(2014年7月改訂)
 ※『都市近郊林管理の考え方 -市民参加のための手引き-』(独立行政法人森林総合研究所 多摩森林科学館、2015年3月)
 ※※市民参加で都市近郊林を管理
要旨:都市近郊林は、野生生物が生息する奥山と人間の生活域である市街地の間に残された森林です。近年では、野生生物の生息地が狭まり、希少種が減少する一方、外来種が増加するといった生物相の変化が確認されています。この身近な自然である都市近郊林を「市民参加」で管理する事例を調査した結果、いくつかの解決すべき課題が明らかになりました。そこで、市民が参加して都市近郊林を管理する際の実効性や継続性を高めるために、管理に困ったときに役立つ手引き書を作成し、森林総合研究所のホームページ上で広く公開しました。

 3 つの視点と 7 つのポイント
視点 1:都市近郊林管理に市民が参加するために
   Point1. 森林の所有者・管理者と連携する
視点 2:都市近郊林管理を行うために
   Point2. 森林の特徴を把握する
   Point3. 森林の特徴を踏まえて管理技術の適用を考える
   Point4. 地域全体を視野に入れて考える
視点 3:都市近郊林管理を継続するために
   Point5. 多角的・総合的な視点から考える
   Point6. 長期的な視点で考える
   Point7. 点検と修正を考える
    Point1~6をふまえてPDCA サイクルによる継続を考える
 ※※身近な森林を市民の手で管理していくために
要旨:都市近郊林は、野生生物の生息環境や市民の身近な自然として貴重な存在です。生物相調査からは、生息地の減少のみならず、希少種の減少や外来種の増加といった生物相の変化が確認されました。また、都市近郊林の管理に市民が参加する例が増えるなか、市民が身近な森林の管理に参加した場合の課題も明らかになりました。そこで、市民参加による都市近郊林管理の実効性や継続性を高めるため、生物多様性の維持のための管理手法を試行するとともに、市民参加による都市近郊林管理の考え方を整理した手引き冊子を作成しました。
3回目
日時:2018年3月11日(日)10時~
場所:市役所総合会館3階303会議室
講師:HappyEnergy株式会社 最高執行責任者 西本 良行 氏(再生可能エネルギーの普及を図りながら、電力サービスの利益の半分を社会貢献活動に還元して活動)
内容:地域新電力や社会貢献活動などの事業内容の紹介、活動を始めた背景、今後の見通しについて

 ※「電力界のサードウェーブコーヒーの立ち位置を狙っています」。たったひとりで電力会社をつくり、利益の半分でソーシャルアクションを行う「株式会社HappyEnergy」(HP『Greenz.jp』の「Greens people」から)

ニューツーリズムとは? 10月29日 

観光庁のHPに「ニューツーリズムの振興」(最終更新日:2016年3月11日)があって、「ニューツーリズムとは、従来の物見遊山的な観光旅行に対して、これまで観光資源としては気付かれていなかったような地域固有の資源を新たに活用し、体験型・交流型の要素を取り入れた旅行の形態です。活用する観光資源に応じて、エコツーリズム、グリーンツーリズム、ヘルスツーリズム、産業観光等が挙げられ、旅行商品化の際に地域の特性を活かしやすいことから、地域活性化につながるものと期待されています。/観光庁では、地域の特性を生かし、かつ多様化する旅行者のニーズに即した観光を提供するニューツーリズムの振興を図っています。」とあります。
国土交通省の外局として観光庁が発足したのは2008年10月です。2010年3月、観光庁観光産業課が発行したニューツーリズム旅行商品 創出・流通促進 ポイント集 2009年版」ではニューツーリズムのカテゴリー(テーマ)として、以下のものを例示しています(3~4頁)。

●産業観光 :<観光立国推進基本計画(2007年 6 月 29 日  閣議決定)>
 歴史的・文化的価値のある工場等やその遺構、機械器具、最先端の技術を備えた工場等を対象とした観光で、学びや体験を伴うものである。産業や技術の歴史や伝承すること、現場の技術に触れることは、当該産業等を生んだ文化を学ぶことであり、将来的な産業発展のためにも重要な要素である。

●エコツーリズム :<観光立国推進基本計画(2007年 6 月 29 日  閣議決定)>
    自然環境や歴史文化を対象とし、それらを損なうことなく、それらを体験し学ぶ観光のあり方であり、地域の自然環境やそれと密接に関連する風俗慣習等の生活文化に係る資源を持続的に保全しつつ、新たな観光需要を掘り起こすことにより、地域の社会・経済の健全な発展に寄与し、ひいては環境と経済を持続的に両立させていくことにつながるものである。ホエールウォッチングなど野生生物を観察するツアーや、植林や清掃など環境保全のために実際に貢献をするボランティア的ツアーなどが、これに当たる。
<エコツーリズム推進法  第二条 2 項(定義)>
  この法律において「エコツーリズム」とは、観光旅行者が、自然観光資源について知識を有する者から案内又は助言を受け、当該自然観光資源の保護に配慮しつつ当該自然観光資源と触れ合い、これに関する知識及び理解を深めるための活動をいう。

●グリーン・ツーリズム:<観光立国推進基本計画(2007年 6 月 29 日  閣議決定)>
  農山漁村地域において自然、文化、人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動であり、農作業体験や農産物加工体験、農林漁家民泊、さらには食育などがこれに当たる。
<農林水産省ホームページ  都市と農山漁村の共生・対流>
  グリーン・ツーリズムとは、山漁村地域において自然、文化、人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動。 農林漁業体験やその地域の自然や文化に触れ、地元の人々との交流を楽しむ旅。

●ヘルスツーリズム:<観光立国推進基本計画(2007年 6 月 29 日  閣議決定)>
  自然豊かな地域を訪れ、そこにある自然、温泉や身体に優しい料理を味わい、心身ともに癒され、健康を回復・増進・保持する新しい観光形態であり、医療に近いものからレジャーに近いものまで様々なものが含まれる。

●ロングステイ(長期滞在型観光):<観光立国推進基本計画(2007年 6 月 29 日  閣議決定)>
長期滞在型観光は、団塊世代の大量退職時代を迎え国内旅行需要拡大や地域の活性化の起爆剤として期待されるものであるとともに、旅行者にとっては地域とのより深い交流により豊かな生活を実現するものである。

●文化観光: <観光立国推進基本計画(2007年 6 月 29 日  閣議決定)>
日本の歴史、伝統といった文化的な要素に対する知的欲求を満たすことを目的とする観光である。
その背景には、①旅行の個人化と共に、旅行者ニーズも“十人十色”さらには“一人十色”と言われるほど多様化し、さらには成熟化によって、旅行者はより本物を求めるようになっている。多様な旅行者ニーズに対して、一律の規格の旅行商品ではそれらのニーズを満たすことは難しく、「多品種・小ロット」と言われる、きめの細かい旅行商品の提供が求められている。②地域に根付いた「自然」「歴史・伝統」「産業」「生活文化」等、これまで旅行の対象として認識されなかった地域資源が新たな観光、旅行の目的となってきている。地域の側では、地域の再生や活性化を観光を通じて取り組もうとする流れが全国で生まれている。③地域に根ざし、地域ならではの資源や文化を護り育てようとする取組みや、観光により地域を活性化しようとする取組みの中で、地域ぐるみで新しい地域に密着した旅行商品の創出が問われている(3頁)があります。
高度経済成長期の新幹線や高速道路網の整備、ジャンボジェット機の就航など、大量輸送機関の発達によって可能となった旅行の大衆化(マスツーリズム)、旅行会社が企画するパッケージツアー(募集型企画旅行)を利用して集団で、観光地をつまみ食いして、効率的にまわるおしきせの旅行(オールドツーリズム)から、個人の興味やペースに合わせた旅行へと、観光嗜好が変化してきたことが「体験型」、「交流型」のニューツーリズムを生み出しているということでしょう。

※ツーリズムのライフサイクル(尾家建夫「ニューツーリズムの概要と現状分析及び展望」『SRI』(財)静岡総合研究機構、第101号、2010年8月、4頁)
図ニューツーリズムの概要と現状分析及び展望20120818-172804-4454

※日本人の旅行の変遷(中根裕「土木観光への期待」『土木学会誌』99-6、2014年、13頁
図A(土木観光)

※旅行のニーズの変化(同上)
図B(土木観光)

井手英策『財政から読みとく日本社会』 10月26日

井手英策・宇野重規・坂井 豊貴・松沢裕作『大人のための社会科 …未来を語るために』(有斐閣、2017年9月)を読んで、その後財政社会学者の井出さんの著作を何冊か読みました。
ウェブサービスにパラ活ラボ提供の「ノイズレスサーチ」(http://pasokatu.com/nsearch#gsc.tab=0)があって、グーグルのカスタム検索機能を利用して、NAVERまとめ等まとめサイトやアマゾン、楽天市場など通販サイト、Yahoo知恵袋などQ&Aサイトなど不要な情報が多いサイトを検索結果から除外して表示します。通常の検索では埋もれている情報を見つけるのに便利です。ノイズレスサーチで「分断社会・日本」を検索してみてください。なぜ日本社会は分断されているのか、その処方箋、分断を超える突破口はどこにあるのかなど、井手さんの回答がわかります。

『財政から読みとく日本社会 …君たちの未来のために』(岩波ジュニア新書848、2017年3月)
はじめに

第1章 財政のレンズをとおして社会を透視しよう
 必要が生み出した財政/社会を映し出す鏡としての財政/特徴その一 小さくて信用されない政府/特徴その二 かたよった社会保障/特徴その三 公共投資が大好きな日本/特徴その四 農業に関心をうしなった国民?/特徴その五 教育への投資が少ない/特徴その六 税金は安いのに痛みは大きい/特徴その七 融通がきかない予算/社会をつくりながら社会を知る

第2章 小さな政府はどのようにつくられたか
 政府が小さいということ/望ましい大きさを決めることのむつかしさ/インフレーションが生んだ「総額に気をつかう財政」/生き残った戦争中のことば/「勤労国家」と「自己責任の財政」/貯金をエンジンとした日本経済/低成長と公共事業の急増/ 「総額に気をつかう財政」とシーリング予算/自助・共助・公助の社会/なぜ財政は変わらなかったのか/経済の長期停滞と財政危機

第3章 成長しなければ不安になる社会
 社会保険ってなに?/現金給付と現物給付がまざった社会保険/日本の医療と介護/お父さんやお母さんたちの苦労/家族への現金給付への反対/家族を大事にする/貧弱な障がい者給付/障がいの問題は自分の問題だ/生活保護とうたがう気持ち/勤労国家と僕たちの社会保障制度/小さな政府をささえる条件が消える

第4章 公共投資にたよった日本社会の限界
 荒廃から立ちなおるための公共投資/農業経営の効率化への動き/公共投資が公共投資を呼ぶ/公共投資と人の動き/コミュニティがささえた小さな政府/公共投資と族議員政治/族議員政治の根っこにあった日本社会の分断/公共投資の激減と建設業の衰退/農業も衰退した/公共投資の削減が生み出す新しいコスト/公共投資にたよらない社会を考える

第5章 柔軟で厚みのある社会をささえる教育
 少なすぎる日本の公的教育支出/生活が苦しくなり、子どもをあきらめる/おかしな教育の格差/なぜ公的な支出が少ないのか/奨学金問題/教育と経済成長/貧しくなった日本人/就学前教育の重要性/国際的な日本経済の地位/教育よりも経済が大事な日本人/よりよい社会のための教育

第6章 税の痛みが大きな社会をつくりかえる
 増税のむつかしい国/毎年のようにくりかえされた所得減税/増税でサービスを改善する経験がなかった日本人/大きく変わった社会/余裕をなくしてしまった日本人/社会保障・税一体改革の意味/お年寄りも困っている/ 「袋だたきの政治」/人間を信頼できない社会と自己責任/税制と民主主義

第7章 「君たち」が「君たちの次の世代」とつながるために
 「勤労国家」によるみごとな統治/経済成長という土台がくずれる/逆回転をはじめた「勤労国家」/相手を仲間ではなく他人と思う社会/小田原市の小さな物語/「何がちがうか」ではなく「何が同じか」を考える/ 「私」と「私たち」のちがい/現物給付をみんなに配る/「だれもが受益者」という財政戦略/格差が大きくならないか/現金給付と現物給付の決定的なちがい/重税国家ではない/経済の時代から人間の時代へ

あとがき


宮内泰介『歩く、見る、聞く 人びとの自然再生』 10月25日

宮内泰介さんの『歩く、見る、聞く 人びとの自然再生』(岩波新書1647、2017年)の目次です。

第1章 自然とは何だろうか?――人間との相互作用
1 生活の場から
岩のりの採集/何のために、誰のために自然を守るのか
2 ヨシ原という自然から考える
北上川河口のヨシ原は、どう生まれたか/地域住民のヨシ原利用/生物多様性を支えるヨシ原/攪乱
3 日本列島の自然の歴史
森は少なかった/草地の減少/落葉広葉樹や草原は、なぜ残ったのか/人間の活動が作り出した多様性
4 自然とは何だろうか
自然保護の考え方の変遷/生物多様性/里山保全という考え方/生態系サービスという考え方/自然とは何だろうか
5 半栽培
「半栽培」という考え方/多様な事例/三つの半栽培/半栽培のダイナミズム/竹林の変遷
6 伝統的知識
自然保護は、ときに住民への抑圧になる/自然保護難民/伝統的な生態学的知識

第2章 コモンズ――地域みんなで自然にかかわるしくみ
1 自然と社会組織
磯物と契約講/海の資源と地域組織/山の資源 ススキ
2 コモンズと「所有」
コモンズとは何か/「コモンズの悲劇」?/コモンズはどのように生まれるのか/誰のものか/フットパス/所有とは何だろうか
3 なぜ「集団的」なのか
歴史から来る「集団」のかかわり/みんなが納得できる柔軟な資源管理/コモンズの効用
4 災害とコモンズ
東日本大震災/合意形成とコミュニティ
コモンズの効用
 なぜ資源管理は地域で集団的におこなったほうがよいのか、なぜ人びとはそれを選択してきたのか、これまで見てきたコモンズの「効用」を整理してみよう。
 第一に、当事者たち自身によるルールによって適切な資源管理が可能になる。
 第二に、当事者たち自身によるルールなので、地域の事情に応じた細かで柔軟なルール作りや利益の分配ができる。平等への配慮、弱者への配慮など、地域の価値観を反映した資源利用が可能になる。
 第三に、当事者たち自身によってルールを決めるので、その決め方も含めて地域の中での「納得」をもたらす。たとえそれで何らかの不利益をこうむることがあったとしても、その正当性は維持される。
 第四に、個人や世帯を超えた地域全体の財産維持、地域全体の利益に資することができる。その際、個人・世帯の利益と地域全体の利益との間のバランスのとり方も、各地域の事情に合わせる形でできる。
 このように、地域みんなで自然にかかわることは、適切な資源管理であるだけでなく、複合的な意味合いをもっている。……(104~105頁)

第3章 合意は可能なのか――多様な価値の中でのしくみづくり
1 現代のコモンズ
ある都市の森林保全活動/都市部でのコモンズの実践/市民による森づくり/スペイン 干潟のコモンズ
2 順応的管理と「正しさ」をめぐる問題
何重もの不確実性/順応的管理とは何か/自然再生事業始まる/順応的管理の失敗/「正しさ」をめぐる争い/誰がかかわるべきか/どのような価値を重んじるのか/誰がどう承認するのか/世界は多様な価値に満ちている
3 多様な合意形成の形
むずかしい「合意形成」/ワークショップという技法/ワークショップの実践/無作為抽出された市民による討議/ハイブリッド型市民討議/合意とはいったい何だろうか/「合意」を広く考えてみる
4 順応的なガバナンスへ
柔軟性や順応性をもったモデル/複数のゴール/試行錯誤を保証する

第4章 実践 人と自然を聞く
1 聞くといういとなみ
奄美での聞き取りから/数値化による自然把握/「ppmに気をつけろ」/聞く/ふれあい調査/聞き書きをする/女川集落の日々/聞き書きの効用/物語が生まれる
2 物語を組み直す
感受性をみがく/歩く、調べる/外部者の役割

おわりにかえて 小さな物語から、人と自然の未来へ
小さな物語を大事にする/小さな社会からの自然再生

あとがき
主要参考文献

中村智幸『イワナをもっと増やしたい』 9月7日

中村智幸さんの『イワナをもっと増やしたい 「幻の魚」を守り、育て、利用する新しい方法』(フライの雑誌社、2007年12月)の目次です。

 第1章 不思議な魚、イワナ
 第2章 「幻の魚」イワナのプロフィール
 第3章 イワナ研究のフィールドワーク
 第4章 イワナの姿かたちは川や支流ごとに違う
 第5章 謎多きイワナの暮らし(1) 年齢の調べ方、成長、成熟、寿命
 第6章 謎多きイワナの暮らし(2) イワナはいつ、どれくらい移動するのか
 第7章 天然のイワナを守る
 第8章 イワナの種川を残し、守る
 第9章 イワナが産卵床をつくる場所の条件とは何か
 第10章 イワナの人工産卵場のつくり方
 第11章 イワナを守りつつ利用する新しい方法―イワナとヒトの未来
 おわりに
第7章~第11章は、
 第7章 天然のイワナを守る
  それぞれの川固有のイワナを保護する
  「聞き取り調査法」で天然魚の生息分布を推定する
  鬼怒川支流での天然魚の聞き取り調査例
  天然魚は支流の滝や堰堤上流の狭い範囲に生息している 養殖魚を放流すると天然のイワナがいなくなる
  なぜ天然魚を残さなくてはいけないのか?
  漁業法で定められた増殖義務が安易な放流につながった
  放流だけが魚の増殖ではない。漁場管理こそが重要
  保護水面に指定すれば天然魚を守れるか
  今となれば、あえて魚道をつくらないほうがいい堰堤もある
  天然魚が生息している水域の堰堤には、魚道を付ける
  遺伝子解析によって天然魚かどうか判別できそうだ
  遺伝子解析の具体的な手順とは
  できるだけ多くの川で天然魚の分布を調査したほうがよい

 第8章 イワナの種川を残し、守る
  イワナの産卵床は支流に多い
  たくさんのイワナが支流に産卵のために遡上する
  なぜイワナは支流で産卵するのか
  これまで「種川の条件」に関する研究は行われてこなかった
  イワナが産卵遡上する支流の環境条件とは
  産卵床は本流の遡上阻害物の下流に流入する支流や、遡上できる距離が長い支流ほど多い
  イワナの産卵保護のための河川管理方法
  釣り人や漁協にも、できることがある
  「産卵数の多い支流」より「繁殖に適した支流」の条件探しが大切
  禁漁にすると本当にイワナは増えるのか?
  禁漁河川で5年にわたり個体数を調査した
  そして、イワナは、増えた

 第9章 イワナが産卵床をつくる場所の条件とは何か
  産卵場所の細かい環境条件を調べる
  イワナとヤマメでは産卵場所の条件が少し違う
  ヤマメにくらべてイワナはいろいろな場所で産卵できる

 第10章 イワナの人工産卵場のつくり方
  魚の増殖方法は大きく三つ
  なぜ人工産卵場を造成するのか?
  はじめての造成実験
  人工産卵場の造成はそれほどむずかしくない
  造成した人工産卵場で多くのイワナが産卵した
  そして、産みつけられた卵はふ化した
  人工産卵場の造成技術の改良はじめての造成から10年が経過
  人工産卵場をつくるのに適した川の条件がある
  人工産卵場のつくり方の実際
  人工産卵場の耐久性、周囲の景観との調和
  人工産卵場造成のハウ・ツービデオがある
  河川管理者の許可は必要か?
  造成費用はいくらかかるのか?
  一か所あたりの造成費用は31,500円から 42,000円
  もっと安く造成する方法がある
  人工産卵場の増殖効果と、養殖イワナとの金銭的比較
  人工産卵場には天然魚や野生魚の産卵を助ける働きがある
  人工産卵場の造成は子どもの環境教育にも役立つ
  人工産卵場の造成はあくまで「次善の策」にすぎない

 第11章 イワナを守りつつ利用する新しい方法 イワナとヒトの未来
  川をゾーニングして、イワナを守りつつ、釣りを楽しむ
  新しいゾーニングを提案します
  川を釣りで高度利用する具体例のあれこれ
  放流方法の違いによるゾーニング
  群馬県の上野村漁協さんのゾーニング管理
  長野県の志賀高原漁協さんのゾーニング管理
  イワナを、守り、増やし、釣りに利用する方法は、たくさんある
  水源の森林を保全している漁協さんもいる

日本魚類学会自然保護委員会(HP) 開催したシンポジウム

工事用重機によるウグイの人工産卵場造成(埼玉県HP)

群馬県水産試験場『水試だより』45号(群馬県HP)
  【特集】放射性セシウムが群馬県に生息する魚類に与えた影響
  【水産行政から】温水性魚類を中心とした人工産卵床のつくり方
  【人工産卵床の主な長所と短所】
    【コイ・フナ、ウグイの人工産卵床のつくり方および留意点】
    【人工産卵床のつくる際の注意点】

※「日本で鯉放流が問題であるという事実がようやく大手マスコミで報道される」(『緩いロゴスblog』2017.05.18)

※「オイカワの産卵床造成と保護」(『入間漁協の活動報告』2016.07.17)

※「魚類資源保護のための石倉設置」(『岩殿満喫クラブ 岩殿 Day by Day』2016.05.17)

※「すみ場地図を基礎にしておこなう生態系保全の方式」(1)、(2)、(3) 
   櫻井善雄さん『水辺の環境学④ 新しい段階へ』紹介
    『岩殿満喫クラブ 岩殿 Day by Day』(2016.07.31)

※「槻川をきれいにする会 保育園児がウグイを放流(更新) 2011年6月
※「嵐山釣友会「釣り大会」 1953年9月」(『菅谷村【現嵐山町】報道』37号、1953年9月)
※「嵐山釣友会「釣り大会」 1954年9月」(『菅谷村【現嵐山町】報道』50号、1954年9月)
    『GO! GO! 嵐山3 嵐山ふるさと塾・チーム嵐山

高橋清孝『よみがえる魚たち』目次 8月28日

いきなり田んぼの水がなくなってしまう田んぼの畦からの漏水。アメリカザリガニやモグラ、ネズミなどによる掘削穴が原因で、見つけ次第、穴埋めしています。アメリカザリガニをトラップ(籠)で捕獲して、数を減らそうと計画していますが、高橋清孝『よみがえる魚たち』 (恒星社厚生閣、2017年6月)の第2章第3節アメリカザリガニの侵入を読んでみました。

 高橋清孝『よみがえる魚たち』(恒星社厚生閣、2017年6月)
1 章 淡水魚を取り巻く情勢
 1-1 絶滅のおそれのある淡水魚の現状と全国で展開する保護活動(小林 光・半沢裕子)
 1-2 絶滅のおそれのある野生生物種の現状と保全戦略(徳田裕之)

2 章 減少原因と対策
 2-1 開発による生息環境の破壊(高橋清孝)
 2-2 侵略的外来種の侵入
  2-2-1 オオクチバスの影響と対策(藤本泰文)
  2-2-2 ブルーギルの影響と対策(芦澤 淳・藤本泰文)

 2-3 アメリカザリガニの侵入
  2-3-1 アメリカザリガニの生活史 ―繁殖生態を中心に―(川井唯史)
   1. 生活史と繁殖周期
   2. 繁殖生態の特徴
   3. 繁殖生態から見た蔓延の理由

  2-3-2 アメリカザリガニが生態系に与える影響 ―浅い湖沼を中心として―(西川 潮)
   1. はじめに
   2. 湖沼食物網におけるアメリカザリガニの生態的地位
   3. 浅い湖沼の安定状態とその変化
   4. 侵入魚駆除の落とし穴

  2-3-3 アメリカザリガニの影響と対策 ―水生植物への影響と対策および効果―(森 晃)
   1. はじめに
   2. 水生植物のもつ生態学的機能
   3. アメリカザリガニの影響
   4. 伊豆沼・内沼における沈水植物保全とアメリカザリガニの対策
    1) 保護柵を用いた対策
    2) 埋土種子を用いた対策

  2-3-4 アメリカザリガニが水生昆虫類に及ぼす影響と対策およびその効果(西原昇吾・苅部治紀)
   1. はじめに
   2. アメリカザリガニが水生昆虫に及ぼす影響
   3. アメリガザリガニの駆除とその効果
    1) 千葉県のシャープゲンゴロウモドキ
    2) 石川県や岩手県の水生昆虫
    3) ベッコウトンボやオオモノサシトンボ
    4) 水田の水生昆虫の事例
   4. 今後に向けて

  2-3-5 アメリカザリガニによる魚類への影響―ゼニタナゴ,シナイモツゴ,メダカなど希少魚の繁殖が脅かされている―(高橋清孝・長谷川政智・久保田龍二・藤本泰文)
   1. はじめに
   2. アメリガザリガニの大繁殖によりゼニタナゴが全滅(中核ため池の事例)
    1) タガイはなぜ減少したのだろうか
    2) なぜタガイは下段池で全滅し、上段池では全滅しなかったのか?
   3. 池干し後にタガイとゼニタナゴが激減(C池の事例)
   4. アメリカザリガニ駆除後にシナイモツゴとミナミメダカが急増(中核ため池の事例)
   5. まとめ

  2-3-6 効果的なアメリカザリガニ防除技術の開発 ―トラップで低密度化を実現―(高橋清孝・長谷川政智・浅野 功・芦澤 淳・安住芳朗・久保田龍二)
   1. はじめに
   2. 効果的なトラップと使い方
    1) 市販トラップの性能比較
    2) 効果的な誘引餌
    3) トラップの設置間隔
   3. 連続捕獲装置を開発し省力化を実現
    1) 装置の仕組み
    2) 装置の設置間隔
    3) 実証実験

  2-3-7 アメリカザリガニの繁殖阻止を目指す捕獲方法の検討(高橋清孝・長谷川政智・西原昇吾・苅部治紀・林 紀男)
   1. 小型幼体とふ化稚仔を抱えた雌の捕獲
    1) しばづけとさで網すくい採りで小型幼体を捕獲する
    2) 小型定置網で稚ザリガニを抱えた雌を捕獲する
   2. 成熟親の捕獲と拡散防止
    1) 見つけ採り
    2) 巣穴に生息する雌雄ペアを捕獲する
    3) 浅所で塩ビ管や竹筒で捕獲する
    4) 池干しに伴う移動拡散を阻止する
   3. 池沼の冬期低水位管理によるアメリカザリガニ低密度化
   4. アメリカザリガニを防除して地域の生態系を復元

 2-4 その他の外来種の侵入
  2-4-1 ウシガエルの影響と対策(佐藤良平・西原昇吾)
  2-4-2 ミシシッピアカミミガメによる影響と対策(片岡友美)
  2-4-3 宮城県に侵入した外来淡水エビのカワリヌマエビ属(長谷川政智)
 2-5 東日本大震災の教訓 ―支えあって大災害を乗り越える―(高橋清孝)

3 章 地域ぐるみで全滅の危機を乗り越えたシナイモツゴの郷
 3-1 繰り返し発生した全滅の危機(高橋清孝)
 3-2 淡水魚を守る戦略と戦術
  3-2-1 魚類学的保全単位としての超個体群 ―遺伝的多様性を維持してきた淡水魚の戦略に学ぶ―(細谷和海)
  3-2-2 シナイモツゴ郷の会の戦略(高橋清孝)

4章 シナイモツゴの郷の取り組みと成果
 4-1 だれでもできる自然再生技術を開発し市民参加を実現
  4-1-1 だれでもできるシナイモツゴの人工ふ化(坂本 啓・高橋清孝)
  4-1-2 だれでもできるシナイモツゴとゼニタナゴ稚魚の飼育(高橋清孝・久保田龍二)
  4-1-3 だれでもできるグリーンウォーター ―植物プランクトンをペットボトルで簡単培養―(丹野 充)
 4-2 シナイモツゴ里親たちの活躍
  4-2-1 地域ぐるみの活動と里親活動による後継者の育成(二宮景喜)
  4-2-2 里親小学校子どもたちの取り組み
   4-2-2-1 命をつないで ―シナイモツゴの里親活動をとおして―(飯塚 昇)
   4-2-2-2 シナイモツゴの里親として(那須 孝)
   4-2-2-3 シナイモツゴと環境教育(佐々木洋一)
   4-2-2-4 里親小学校の取り組みと教育(加藤英紀)
   4-2-2-5 津波被害を乗り越え継続した里親活動(渋谷雄二郎)
   4-2-2-6 総合的な学習の時間で取り組む「シナイモツゴ」の教材価値を考える ―3 年生と6 年生の実践を通して―(浦川裕之)
  4-2-3 飼育保存と保全啓発を目指す水族館の取り組み(松本憲治)
 4-3 シナイモツゴ郷の米認証制度でため池を守る農業者を支援
  4-3-1 自然再生の側面から ―ため池を守る農業者を支援する体制づくり―(高橋清孝)
  4-3-2 中山間地域農業存続の側面から ―シナイモツゴ郷の米と地元住民の取り組み―(吉田千代志・菅井 博・佐藤弘樹)
 4-4 遺伝的多様性を維持しながら生息池拡大を実現―シナイモツゴおよびゼニタナゴ移植個体群の遺伝的多様性調査―(池田 実)
 4-5 地域ぐるみで後継者を育成(大崎市産業政策課)

5 章 よみがえる魚たち
 5-1 ため池と流域河川でよみがえった魚たち(高橋清孝)

まとめ ―魚でにぎわう水辺の自然をいつまでも―(高橋清孝)
poster
千葉県生物多様性センター
 『ストップザリガニ!』ポスター
 アメリカザリガニの及ぼす影響
 アメリカザリガニは生態系に大きな被害をもたらしています!(教員向け補足資料)

農研機構
 アメリカザリガニの畦畔掘削による漏水の実態と対策技術(若杉晃介、藤森新作、北川 巌)

※『農業および園芸』88巻8号(2013年8月)
 アメリカザリガニによる水田漏水の実態と対策(若杉晃介)

奥野良之助『生態学から見た人と社会』 8月15日

雨が降り続くので野良仕事を休んで水口憲哉[みずぐちけんや]さんの『魔魚狩り ブラックバスはなぜ殺されるのか』(フライの雑誌社、2005年)、『反生態学 魚と水と人を見つめて』(どうぶつ社、1986年)、『釣りと魚の科学』(産報、1974年)を読みました。その中で奥野良之助[おくのりょうのすけ]さんの『生態学入門 その歴史と現状批判』(創元社、1978年)を知り、金沢大学退職にあたり出版された『生態学から見た人と社会 学問と研究についての9話』(創元社、1997年)を読みました。

     奥野良之助『生態学から見た人と社会 学問と研究についての9話』目次
第1話 内心忸怩 負い目について
 沖縄への負い目 私の戦争協力 戦災孤児 点訳奉仕と学生運動 生態学 学生運動と生態学の挫折 須磨水族館で 生態学批判 負い目の効用

第2話 自己満足 評価について
 「日本生物学会」 「日本生物学会」設立趣意書 自分の評価と他人の評価 自己点検・自己評価 《学生の生活指導》 敗戦のショック 評価の基準 自分の物差し ダーウィンは「猛烈社員」だった

第3話 有学無知 知識について
 入れものと中身の関係を示す方程式 「権威」になると 後天性精神免疫不全症候群 知ることと理解すること 好奇心の起源

第4話 効率万能 無駄について
 談合賛成・規制緩和反対 大学にも競争原理導入 無駄の効用 「ネットワーク・ニュース」 限りなき無駄の再生産

第5話 環境破壊 真偽について
 人間にはなぜ尻尾がないか 1970年の公害問題 公害の救世主・生態学者 環境の主体 環境破壊の「科学的」防止法 公害の輸出 環境破壊の根本的解決法

第6話 体制変革 進化について
 進化と進歩 適応放散 生活場所の取り合い 適応の光と影 特殊化と一般化 陸上での進化 適応放散と体制変革 適応放散の行き着く先 次の時代を担う先祖 進化とは ダーウィンの「進化論」

第7話 適者生存 適応について
 『種の起原』との出会い チャールズ・ダーウィン ダーウィンの目的 生物の変異と生存競争 適応の説明 自然の経済とそのなかの場所 場所をめぐる生存競争 体制変革をどう見たか 大進化の機構 人間社会の競争は 動物と人間の違い

第8話 優勝劣敗 差別について
 DNAの拒否 能力差別 マルサスの『人口の原理』 マルサスの貧民差別 ダーウィンは…… ダーウィンとマルサスの類似点 優勝劣敗という神話

第9話 無学有知 学問について
 研究教育の場 サンフィッシュの喧嘩 研究競争 研究の近代工業化 学問と研究 人間社会との関係 国民のニーズ 内心忸怩の大切さ

あとがき

※ネットで見つけた記事
 奥野良之助先生のこと(『桟敷よし子さんを追っかけて・・プロジェクトJ』)

 おとくな夏(『梅香堂日記』)

 奥野良之助「金沢城のヒキガエル」の進化論批判(『mmpoloの日記』)

 金沢城のヒキガエル(『(続)さて何処へ行かう風が吹く』)

『川を活かした体験型学習プログラム』 7月31日

『小学生が川を安全に楽しく、学び遊べる 川を活かした体験型学習プログラム』(企画・編集 財団法人 河川環境管理財団 監修 体験型学習プログラムの開発に関する研究会)。東京書籍から2011年2月にA4・223頁、2,200円で発売されていますが、公益財団法人河川財団のサイトから無料でダウンロードできます。

はじめに
水辺体験学習と育成される力(角屋重樹)
体験学習としての川の魅力(金沢緑)

各教科に関連した川を活かした体験学習の実践例
・北上川のうつりかわり(改修の歴史とわたしたちのくらし)を調べよう(宮城県石巻市立飯野川第二小学校)
・「きれいな水はどこからくるの?」~川の水質調べ~(栃木県宇都宮市立城東小学校)
・渡良瀬川を活用した3年間の体験活動の取り組み事例(群馬県邑楽町立中野東小学校)
・「サケがおおきくなるまで」の発展学習として、サケの放流東京都足立区立鹿浜小学校)
・「流れる水のはたらき」を調べる(東京都調布市立布田小学校)
・多摩川での学年に応じた自然体験活動(東京都大田区立嶺町小学校)
・黒須田川を探検し、素晴らしさを伝える活動(神奈川県横浜市立大道小学校)
・カワゲラウオッチングを中心とした川に学ぶ体験活動の推進(岐阜県山県市立桜尾小学校)
・マイハザードマップづくり(兵庫県豊岡市立小坂小学校)
・生き物フレンズの活動(広島県海田町立海田東小学校)
・七歩川再生プロジェクト~きれいな川を取り戻そう~(大分県大分市立下郡小学校)

川を活かした体験型学習プログラム
1.川や水を感じる
 1-1  川や水辺の安全講座(室内講習編)
 1-2  川や水辺の安全講座(実技編)
 1-3  川を流れよう
 1-4  Eボートに乗ろう
 1-5  カヌーに乗ろう
 1-6  Dボートをつくって乗ろう
 1-7  遊びを探そう
2.川や水辺の環境を調べる
 2-1  諸感覚をつかい水質を調べよう
 2-2  川の生物から水質を調べよう
 2-3  科学的に水質を調べよう
 2-4  川の流れの速さを調べよう
 2-5  石や砂を調べよう
 2-6  模型から水の流れを学ぼう
 2-7  ゴミの分布を調べよう
3.川や水辺の生き物を調べる
 3-1  底生生物を捕まえよう
 3-2  魚を捕まえよう
 3-3  陸上昆虫を捕まえよう
 3-4  鳥を観察しよう
 3-5  植物を観察しよう
 3-6  生き物の分布を考えよう
 3-7  ホタルを飼育してみよう
4.環境保全・改善について
 4-1  ビオトープを活用しよう
 4-2  川にやさしいリサイクル
 4-3  水をきれいにしよう
 4-4  下水処理場を見学しよう
5.洪水の怖さや防災について
 5-1  洪水の怖さを学ぼう
 5-2  地域の川の洪水の歴史を学ぼう
 5-3  治水施設について学ぼう
 5-4  水防について学ぼう
 5-5  ハザードマップをつくろう
6.川と地域の歴史や文化について
 6-1  川でのイベントに参加しよう
 6-2  生活と川との結びつきを調べよう

巻末資料

『観光ガイド事業入門 立ち上げ、経営から「まちづくり」まで』 7月11日

藤崎達也『観光ガイド事業入門 立ち上げ、経営から「まちづくり」まで』(学芸出版社、2012年3月)を読みました。

『観光ガイド事業入門』目次
はじめに
Ⅰ 地域の魅力を伝える―ガイドという仕事
  1 知床での自然ガイドサービス誕生の経緯
  2 流氷ウォークの誕生
  3 シペル(シレトコ先住民族エコツーリズム研究会)の誕生
  4 田野畑村「番屋エコツーリズム」の誕生
Ⅱ 組織づくり
  1 組織づくりのタイプ
    *行政、観光協会、商工会といった組織が中心となっているケース
    *個別の民間企業が中心となっているケース
    *趣味やボランティアのグループが始めるケース
  2 組織づくりの要点
    *事業は人なり!
    *ガイド組織の法人化
  3 ガイド事業の経営
    *ガイド事業経営の様々な指標
    *競合他社の考え方
    *補助金や助成金などの考え方
Ⅲ マーケティングの基本―企画・商品化(Product)
    *ガイド事業における「マーケティングの4P」
  1 企画・商品化への基本姿勢
  2 企画
    *専門性の排除
    *手ぶらの原則
    *不快を快適に
    *ギャップの演出
    *エッジを効かせる
    *売られやすさ
    *誘導やコントロールの発想の排除
  3 商品化
    *ラインアップ
    *ブランド
    *商品ライフサイクル
Ⅳ マーケティングの基本―価格(Price)
  1 ビジネスとして事業の継続をめざす場合
    *価格の決め方
    *保険料について
  2 ボランティアガイド主体で事業の継続をめざす場合
Ⅴ マーケティングの基本―広報・宣伝(Promotion)
  1 インターネット
    *結局、文字が重要
   *Q&Aからコンテンツを拡充
   *写真やデザイン、色などで訴求
  2 プレスリリース
  3 日常的な広報担当者とのコミュニケーション
  4 チラシやパンフレットの作製
Ⅵ マーケティングの基本―流通経路(Place)
  1 旅行会社
  2 オプション
  3 ホテルなどの宿泊施設
  4 インターネットの個人予約
Ⅶ ガイドの育成
  1 ガイドに向いているキャラクター
   *物知り旅人タイプ
   *地域に惚れ込んでいるタイプ
   *接客業が好きなタイプ
  2 ガイドに向いていないキャラクター
   *コミュニケーションが苦手なタイプ
   *思想の強いタイプ
  3 ガイドの育成プログラム
Ⅷ リスクマネジメント
  1 リスクマネジメントの基本的な考え方
  2 リスクマネジメントの実際
   *緊急連絡フローの作成
   *ドライスーツなどの安全装備
   *救命処置法の習得・定期的な訓練・資格の更新
   *流氷上、雪上、林床内等、様々なシチュエーションでの訓練
   *スタッフノート等を通してヒヤリハットの共有
   *リスクマネジメント担当者の設置とMFA[MEDIC First Aid]インストラクター資格取得
   *誓約書・保険
Ⅸ まち巡りガイドなどへの応用
   *観光は夢を叶える産業
  1 ガイド業はコンシェルジュでありホスト・ホステスである
  2 まち巡りガイドはまちを巡ることにこだわらない
  3 旅行会社や地元のバス会社などと共同企画をしてブラッシュアップを
  4 まち巡りガイドといえども重要なリスクマネジメント
  5 小さなガイド団体向けの戦略―広域連携
Ⅹ 観光地におけるガイドプログラム発展のための環境整備
   *ガイドツアーとまちづくり
  1 人出の変化に対応すること
  2 町並みや風景の変化に対応すること
  3 自然保護への対応
  4 サービスの変化への対応
  5 行政サイドの施策をPRするスポークスマンの設置
   *自然保護地域における利用規制やルールなどの広報
   *自然素材の消費の回避
   *民間サイドと行政サイドの中間的な立場
   *宣伝マンの交代による新陳代謝の活性化
   *企業スポンサードなど連携の模索
おわりに

『地域ぐるみグリーン・ツーリズム運営のてびき』 7月1日

昨日、埼玉県グリーン・ツーリズム推進協議会の理事会がありました。帰宅後、都市農山漁村交流活性化機構企画編集『地域ぐるみグリーン・ツーリズム運営のてびき 都市と農山漁村の共生・対流 』(農山漁村文化協会、2002年)を再読しました。目次を紹介しておきます。
 地域ぐるみグリーン・ツーリズム運営のてびき―都市と農山漁村の共生・対流

第1部 みんなが注目 日本のグリーン・ツーリズム
 
第1章 グリーン・ツーリズムがめざすもの
  1 グリーン・ツーリズムって、何だろう
  2 こんなことを実現したい

 第2章 グリーン・ツーリズムのいろいろなタイプ
  1 都市近郊日帰り型
  2 週末滞在型
  3 交流型
  4 体験資源こだわり型
  5 民間によるグリーン・ツーリズム

 第3章 どのような受入れ方があるか
  1 個人農林漁家による受入れ
  2 集落などの限定地域による共同受入れ
  3 有志グループによる共同受入れ
  4 行政・第三セクターなどによる受入れ
  5 市町村全域での受入れ
  6 民間事業・企業による受入れ
  7 地域ぐるみグリーン・ツーリズムを

 第4章 成功のポイントを事例に学ぶ
  1 体験メニューが豊富な有志グループによる受入れ
  2 集落の力を結集した共同受入れ
  3 ネットワークが利点の公社・団体と地域との共同受入れ
  4 対応力が高い市町村全域での受入れ

第2部 グリーン・ツーリズムの実現に向けて
 第1章 活動のための基盤づくり
  1 地域住民に呼びかける
  2 研究会や推進協議会をつくる
  3 テストイベントとは

 第2章 受入れのための組織づくり
  1 小グループで受け入れる場合
  2 地区の共同事業として受け入れる場合
  3 公社・JA・JRなどと 地域とが連携する場合
  4 行政の主導によって地域ぐるみで受け入れる場合

第3部 グリーン・ツーリズム運営のノウハウ
 第1章 体験メニューをつくる
  1 体験メニューと料金の設定
  2 標準的な月別体験コースを設定しよう
  3 長期間受入れでの体験メニュー
  4 楽しく安全な体験のために

 第2章 地域の人づくりと対応の工夫
  1 誰がまとめ役・体験指導者になるのか
  2 人材を育成する
  3 こんな対応が喜ばれる
  4 さまざまなタイプのリーダー

 第3章 宣伝(情報発信)をどうするか
  1 観光とは違うグリーン・ツーリズムの宣伝
  2 何を使ってどうアピールするか
  3 類型別の宣伝方法

 第4章 広がるグリーン・ツーリズム
  1 地元の農産物やみやげ品を販売する
  2 地域の食材を使った農村レストランを開く
  3 古い民具や地域の素材を再評価する

  参考 グリーン・ツーリズム関連の法制度
 

『どうする?どうなる!外来生物』 5月18日

小田原市の入生田にある神奈川県立生命の星・地球博物館を見学し、『どうする?どうなる! 外来生物 とりもどそう 私たちの原風景』(A4版128頁、1,000円 発行:2014年7月)を購入しました。
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 『どうする?どうなる!外来生物 とりもどそう私たちの原風景』目次(PDF
口絵 身近な外来生物図鑑

第1章 外来生物総論
 外来生物ってなんだろう?
 外来生物をめぐる法律
 水辺は外来生物だらけ
 奥山にも外来生物がいる
 バラスト水問題
 身近な外来哺乳類
 ここはどこの国?日本の空を舞う外来鳥類
 遠くからやってきた爬虫類と両生類
 身近な外来魚
 身近な外来昆虫
 カタツムリのなかまの導入種
 博物館周辺の身近な外来雑草
 タケノコは外来生物!?
 淡水魚の安易?な放流
 ペット昆虫にご用心

第2章  外来生物が引き起こすさまざまな問題
 沖縄の外来水生動物の現状
 小笠原の外来種問題
 ニホンザルを脅かす外来サルたち
 オオサンショウウオの現状
 淡水魚の遺伝的撹乱
 国内導入による遺伝的撹乱~ホタルの問題~

第3章  外来生物対策の現場から
 外来種の駆除とその副作用
 アライグマ根絶計画~神奈川県の根絶対策~
 富士山麓に定着したカナダガンの対策
 侵略的外来種ウシガエルが水生生物に及ぼす影響と排除の効果
 バス駆除への取り組みとその成果、問題点
 侵略的外来種アメリカザリガニの駆除

第4章  外来生物の新たな知見
 外来鳥類ワカケホンセイインコ
 愛知県で最近定着した外来種-タイワンタケクマバチ、ムネアカハラビロカマキリ、ムシャクロツバメシジミ-
 止まらない侵入 ニューフェイスたち~リュウキュウベニイトトンボの関東への定着~
 国内外来種としてのカブトムシ~よく知られた昆虫が引き起こす問題~
 名も無き渡航者“(ピロピガ)”
 るろうに、アリ
 まだまだ増える?園芸由来の外来植物たち
 木になるナスビ!? -侵略を始めたナスの大王-
 スーパー外来植物!?  ナガミヒナゲシ
 進化しつつあるアノールトカゲ~形態学的にみる外来種~
 ブタクサ・オオブタクサ・ブタクサハムシの侵入から見えてくる植物と天敵の進化プロセス
 カエルツボカビ

第5章 とりもどそう私たちの原風景
 外来生物と学校教育
  学校と外来生物
  教材としての外来生物
  授業の中での外来生物…外来生物教材の有効性
  外来生物教材の問題点
  外来生物教材のこれから
 どこをめざす?私たちの自然
 外来生物の関連情報

■コラム
 河原も外来種でいっぱい
 アメリカザリガニとウシガエルの日本への導入の背景
 東京港海上公園の昆虫たち
 こんなところでも外来種?
 止まらない侵入:セミまで定着

 岩殿満喫クラブは児沢で子どもたちの田んぼ体験活動を支援しています。子どもたちに人気のある生きものは、メダカやアメリカザリガニですが、メダカは昨年春から田んぼの水路、ビオトープ池から姿を消してしまいました。メダカ愛好者が増え、メダカが農産物直売所などでも簡単に買えるようになって、メダカを売って商売にしているのかなと思える人たちが、児沢の水路や池でメダカを一網打尽にしていましたが、いなくなった原因が採集による「持ちだし」によるものなのか、生育環境の変化によるものなのか不明です。

 『どうする?どうなる! 外来生物』の一寸木肇さん執筆「外来生物と学校教育」(122~124頁)では、学校教育で教材となる動植物には、①観察や実験がしやすいこと、②児童が親しみやすいこと、③安全であること、④栽培や飼育がしやすいもの、⑤大量に手に入れやすいこと、⑥できる限り日本全国の学校で利用可能なことがあげられています。かつてのフナやトノサマガエルに変わって、「優れた教材」性があるゆえに、教科書でアメリカザリガニが取り上げられるようになった所以が書かれています。5年生の「動物の誕生」で扱われているメダカが生き残れる環境は少なくなってしまい、メダカに変る適当な教材がなかったために、ヒメダカや他地域のメダカが生きもの教材として利用されるようになってきたこと、最近になってようやく「生物多様性」の視点から「遺伝子の多様性」を守ることの重要性が気づかれて、「国内外来種」(「国内帰化種」、「分布を乱された在来種」)の問題が注目されるようになり、「飼育しているものは絶対に放流しないこと」と注意書きを入れている教科書もあることなども書かれています。

 児沢の田んぼのメダカは近くの小学生の生きもの探しや東京からきたこどもたちの田んぼの学校で「自宅で育てて観察する」ために持ち帰られて来ました。今年も田んぼの学校の季節となり、いなくなってしまったメダカをどうしたものか思案しています。

富永一夫・永井祐子『NPOの後継者』 4月18日

富永一夫『多摩ニュータウン発 市民ベンチャー NPO「ぽんぽこ」 』(NHK出版、2000年)富永一夫・中庭光彦『市民ベンチャーNPOの底力―まちを変えた「ぽんぽこ」の挑戦』(水曜社、2004年)、富永一夫・中庭光彦『市民ベンチャーNPOの底力―まちを変えた「ぽんぽこ」の挑戦』増補新版(水曜社、2012年)に続いて、富永一夫・永井祐子『NPOの後継者 僕らが主役になれる場所』(水曜社、2015年)を読みました。
   はじめに
第1章 NPOの後継を育む
  プロローグ
 第一世代が土台をつくる
  経済的に自立できる「事業型NPO」をつくろう
  自然館の管理・運営業務を受託する
  専門家を迎え、長池公園の指定管理者となる
  生きがい就労のお父さん世代と、パートのお母さん世代
 次世代の学びを考える
  20代の若者がやってきた
  NPOも富永も「ピンピンコロリ」で上等だ!
  もうひとり若者が来てしまった!
  新川塾を始めよう!
  第二世代は新しいタイプのリーダーがいい?
  地獄の中で生まれたロマンス
  過去の歩みに秘められた意味を学ぶ
  役職を与えて自覚を持たせる
  人間界に興味を示さない自然オタク
  やる気が本物か、試してみよう
  まさかの大臣賞で、風向きが変わった
  若者が先生となって、新しい仲間に教える
 未知なるステージへ
  新たなる挑戦
  異業種からの転職組を採用する
  新卒の若者を採用する
  若者が5人になった
  東部地区公園指定管理が現実に
  地域の人と共に学ぶ「プロジェクト由[ゆう]」
  自分たちの手で地域データをまとめる
  理論の学びと日々の実務が成長させた
第2章 私たちの学んだNPOフュージョン長池
 NPOとは何かを学ぶ
  NPOの法人格が、社会的信用につながる
  「使命」を軸に、社会的利益を最優先にする
 外部との協働の仕方を学ぶ
  ネットワークを活用して多様なニーズに応える
  関係性をつないで価値を生み出す
  ボランティアの「やりたい」を実現する
  障がい者福祉団体との協働
  フレキシブルな労働力を活用する
  他人の自己実現を応援する
 組織における人間関係の考え方を学ぶ
  サーバント・リーダーシップ
  職員自身の自己実現を叶える
第3章 NPOの未来を語る―若者たちの夢
 公園管理という仕事にかける夢 大沢敦
  東部地区公園について
  長池公園について
  NPOフュージョン長池について
 総合型地域スポーツクラブを実現したい 富永哲夫
  自分にできることは何か?
  夢の実現に向けて
 多摩丘陵のトコロジストを目指して 小林健人
  地域住民の「郷土愛・自然を楽しむ心」を呼び戻すこと
  子どもたちに「自然とのふれあい」の場を創出し続けること
  誰もが気軽に足を運べる公園環境を模索し続けること
 八王子東部地域を世界に発信したい 田所蕎
  地域のお世話係になる
  地域のコーディネーターになる
  Think globally,Act locally 世界規模で考えながら、地域活動
 漠然とした思いを明確な夢に 柳田拓也
  八王子市へ
  八王子市東部地区公園の指定管理者へ
  私の今の思い
 特別寄稿 小さな里山からの発想 由木歩いて見えてきたもの 岡田航
  由木へ
  「自然との関わり」に関心を抱いた大学時代
  堀之内で里山を考える
  由木の里山の環境史
  由木の里山のこれから まとめにかえて
第4章 贈る言葉
 5人の若者たちへ 新川雅之
  富永さんとの出会い
  5人の若者との出会い
  感謝の気持ちと心からのエール
 若者らしい豊かなアイディアを 内野秀重
   おわりに
  個性を肯定して「思い」を伝える ライター 永井祐子
  「たぬきの見た夢」PART3 「To be happy」で行こう! 富永一夫
  私の願い 御舩哲

富永一夫・中庭光彦『NPOの底力』 4月11日

富永一夫・中庭光彦[なかにわ]さんの『市民ベンチャーNPOの底力―まちを変えた「ぽんぽこ」の挑戦』(水曜社、2004年、増補新版2012年)を初版、増補新版合わせて読みました。増補新版は第9章が追加され、判型が大きくなっています。富永一夫『多摩ニュータウン発 市民ベンチャー NPO「ぽんぽこ」 』(NHK出版、2000年)の続編です。

富永一夫・中庭光彦『市民ベンチャーNPOの底力―まちを変えた「ぽんぽこ」の挑戦』増補新版目次
増補版のまえがき

初版のまえがき

第1章 NPOはまちを変える ~ 長池ネイチャーセンター万華鏡
 長池ネイチャーセンターの一日/人をつなぐ営業マン/阿部さんの場合/NPOは空気 ー 「長池ぽんぽこ祭り」の場合/NPOが土台となったまちづくりとは/人がつながると生まれる新たな〈公〉
 多摩ニュータウン/市民事業は〈人組み〉が大事/「ぽんぽこ」とは?

第2章 なぜNPO法人をつくったのか
 地域活動の原点  - 未完成を完成に変える興奮/メールでお父さんが地域に戻ってきた/右手にNPO、左手にインターネット/会社を辞めてNPO設立へ/暮らしを支援しよう/多摩ニュータウン生活圏へ活動が広がる
 NPOは、出入り自由の、人のつながり/多摩ニュータウンという高級長屋集落/昔もいた地域の営業マン

第3章 NPOがまちの通信インフラを呼び込む ~ 高支隊の試み
 『ぽんぽこかわら版』に高支隊[こうしたい]登場/団地で高速インターネットは可能か?/大手企業の参入/インターネットで生中継だ
 NPOは住民ニーズに応える開発研究所

第4章 住まいは自らつくり管理する ~ 夢見隊と住見隊の残した種
 コーポラティブ住宅をNPOがつくる/コーポラティブ住宅とは/夢は膨らむワークショップ/「自立して家をつくる」ということ/プロジェクトの方向性を大転換/建築は素人、コミュニケーションはプロ/住まいと暮らしを手に入れる/住宅の管理・メンテナンスも自分たちで

第5章 NPOの評価に挑戦
 NPO会計とボランティア評価/元手を生かしてボランティア時間を増やそう/NPOの判断基準がわかってきたかも
 地域NPOには、成長の段階がある/自分たちで守ることが結局は長続きする

第6章 まちの施設は自分たちで管理する ~ 小山内裏公園[おやまだいり]指定管理者への挑戦
 市民のための公園を、誰が管理する?/迷いと決断/いつもの予想外/NPOがまちの公園の管理者になる意味/現地説明会への参加/「人と緑の回廊計画」

第7章 自分たちのまちは自分たちで調べる ~ 多摩ニュータウンの実態調査
 内閣官房からの風/NPOだからできる調査をしよう/多摩ニュータウンの生活実態を調べろ/見えた!多摩ニュータウンの生活実態/住民が調べるからこそ、まちが変わる

第8章 人をつなぐ、元手をためる ~ ソーシャル・キャピタルのつくりかた
 人という元手をつなげることで発展してきた?/なぜ人をつなぐのか ~ 元手とはなにか/まずは、つなげ、つなげ/地域における〈交通整理〉/中立的なまとめ役に必要なこと/心の行儀

第9章[増補] 指定管理者となって ~ フュージョン長池公園の管理・運営(富永一夫)
 指定管理者になれた理由/フュージョン長池公園の活動を支えるもの/協働というネットワーク/今後の課題

初版のあとがき
 たぬきが見た夢PART-2(富永一夫)/きりんのつぶやき(中庭光彦)

増補版あとがき
 きりんのつぶやきPART-2(中庭光彦
  「つながり」の開発者/移動を支援する「つながり」開発は可能か?

増補版のあとがきにかえて  NPOフュージョン長池のその後(富永一夫)
 問:長池ネイチャーセンターは、その後、どうなっていますか。
 問:高支隊・こうしたい(高度情報化支援事業)は、どうなっていますか。
 問:夢見隊・ゆめみたい(夢の住まいづくり支援事業)は、どうなっていますか。
 問:高支隊や夢見隊が、継続できていないのはもったいないですか。
 問:フュージョン研究所ってなんですか。
 問:多摩NPOセンター(多摩市)の管理・運営業務とはなんですか。
 問:その他にも新規にされたことがありますか。
  暮らしと住まい相談センターを開設しました。/ニュータウン人縁卓会議も行いました。/長池伝説の自費出版をしました。/はちおうじ志民塾(事務局:八王子市)を支援しています。/エイビットスクエア(民間の地域密着型人材育成センター)の開発支援をしました。/人材活性化研究会(事務局:総務省)への協力もしています。
 問:約12年あまりの間に、たくさんの事業をされたわけですが、何か特徴的に学ばれたことがありますか。
 問:では、その複雑な経営資源を用いて実現するための組織は、どんなものでしょうか。
 問:NPOフュージョン長池の経営評価は、どうするのでしょうか。
  収支計算書評価/行政評価/来園者満足度評価/ボランティア時間評価/寄贈品評価/物々交換評価/協働評価
 問:NPOフュージョン長池の後継者はどうしましか。
 問:最後に、富永さんはこれからどうされますか。

絶対平和宣言(種村玄碩 1965年) 4月7日 

坂東23番札所正福寺(茨城県笠間市)に立てられている石碑です。
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絶対平和宣言
一、戦争は人類最高の罪悪 最大の不幸 悲劇なり
二、人間が人間を殺すという 理由 理論 権利はない
三、人命尊重 生命あっての人生なり
  世界は一つ これが世界平和だ
  一九六五年       玄碩[ゲンセキ]
  人間と自然の戦いは
     永遠に続くのだ
地震 津波 豪雨 豪雪 洪水 水難 海難 交通
災害 公害 人間を不幸にする病気 病原の研究等
々 自然との闘いに徹せよ 之等の戦いに資本を廻
せ 総ての機械文明は自然戦争に利用せよ
自然科学の研究目標は 自然の制御に在り
人文科学の研究目標は 社会福祉という 人類愛に
徹せよ 一人の落伍者も あってはならない
人間が殺し合う戦争の即時停止 一切の人殺し道具
武器の製造禁止 所有禁止 原爆禁止
犠牲と言う思想を抹殺せよ 一人の生命も犠牲にし
てはならない
健全娯楽 スポーツの普及 土地住宅の所有 老後
の保証 宇宙開発という 人類の夢も育てよ
人命尊重 人間の生命は地球より重い これでこそ
人間が万物の霊長の資格の座に着けるのだ
学者よ 思想家 宗教家 教育者よ奮起せよ
若者よ 青年よ 母親も立て!
 世界の願い 絶対平和!!
  昭和五十五年七月吉日        
     人命尊重    種村製薬株式会社
             取締役社長 薬剤師
                   種村玄碩
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※種村玄碩さんはどのような方だったのでしょう。種村製薬は筑波山のガマの油(陣中油)の製造元です。

富永一夫『NPO「ぽんぽこ」』 4月1日

富永一夫さんの『多摩ニュータウン発 市民ベンチャー NPO「ぽんぽこ」 』(NHK出版、2000年)を読みました。
序章 はじめに

第1章 地域に帰ってきたお父さん~身近なコミュニティ活動とNPO
 会社に辞表を出す/NPOって何?/移り住んだ街、多摩ニュータウン・長池地区/せせらぎ北団地の役員活動/専門委員会の確立からコミュニティ委員会へ

第2章 人との出会いから生まれたもの~地域活動のFUSION(融合)
 地域情報誌『FUSION見附ヶ丘』の登場/見附ヶ丘地域の情報交換が始まる/見附ヶ丘地域情報交換会から見附ヶ丘連絡協議会へ/夏休み最後の日曜日、せせらぎ北団地のアニメ上映会/たぬきたちとの出会い/「多摩ニュータウンタイムズ」の横倉舜三さんとの出会い/『平成狸合戦ぽんぽこ』の高畑監督との出会い/コミュニティ活動の広がり/せせらぎ北団地の住宅管理問題/地域情報誌『FUSION見附ヶ丘』の存続

第3章 時代の風にあと押しされて~インターネットが生み出すパワー
 第二回見附ヶ丘フェスティバル/30周年を迎えた多摩ニュータウン/コミュニティサーバって何?/牧場のおっさんとの出会い/せせらぎ北団地の長期修繕計画と、とことん懇談会/公団と住民の新しい関係/地域情報誌『FUSION見附ヶ丘』から『FUSION長池』へ/地域情報誌『FUSION長池』として再スタート(1998年5月、19号)/PCレスキュー隊の誕生/ポンポコネットから生まれた出来事/長池公園の里山活動/日常化するFUSIONの活動

第4章 ぽんぽこな“こころ”に法人格をもたせよう~NPOフュージョン長池の設立に向けて
 コミュニティ・ビジネスを研究する人たちとの出会い/NPOを意識しはじめる/化けに化けるぽんぽこネット/NPOの設立準備を始める/理事の就任/さようなら、地域情報誌『FUSION長池』ぽんぽこホームページの誕生とコラムマスターたち

第5章 ボランティアとビジネスのはざまで~認証手続きと事業活動の模索
 地域へ帰ろう/NPOフュージョン長池設立総会/NPOフュージョン長池の認証申請書を提出/事務局体制を考える/牛乳いりませんか事件?/環境問題の権威、わが街を視察/事業計画の模索/地域情報誌『NPO FUSION長池 ぽんぽこかわら版』の誕生/小泉栄一さん逝去/納涼拡大理事会/子育て支援事業ーNPOで保育所/長池小学校の夏季連続講座ー40日連続開放に挑戦/マスコミの注目/事業活動の模索は続く

第6章 市民ベンチャーとしてのNPO~暮らしの支援事業がスタート
 特定非営利活動に係る事業と収益事業/NPOフュージョン長池 認証申請の取り下げ/NPOの認証 再申請/事務局体制の芽/暮らしの情報センター/住宅管理支援事業/住見隊の活動/ネイチャーセンターの火事/ようやくNPOとして認証される/事務局の体制づくり/新たなプロジェクトの始動/地に足の着いたボランティアワーク/さまざまなパートナーシップ/これからの事業の可能性からたぬきの夢/

終章 たぬきの見た夢

多摩ニュータウンに移り住んで~あとがきにかえて

付表 NPOフュージョン長池年表
※富永一夫・中庭光彦『市民ベンチャーNPOの底力―まちを変えた「ぽんぽこ」の挑戦』(水曜社、2004年、増補新版2012年)、富永一夫・永井祐子『NPOの後継者 僕らが主役になれる場所』(水曜社、2015年)


2個で105円(内税)の豆腐 3月27日

ベイシアなめがわモール店で3月26日に買った2個パック(135g×2個)の豆腐です。
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旨味 町田食品
木綿
富士山の伏流水使用
まろやかでコクがあり
おいしい豆腐

便利な135g×2個

1パック105円(内税)の豆腐 →38.9円(100グラムあたり)
名称:木綿豆腐
原材料名:大豆(遺伝子組み換えでない)
 植物性油脂[消泡剤?]
 凝固剤
内容量:135グラム×2個
賞味期限:17.04.02
保存方法:要冷蔵(1℃~10℃)
 開封後はお早めにお召し上がりください。
販売者:町田食品株式会社MF3
 静岡県富士市久沢269-1
お客様相談室:℡0120ー71ー30…
受付時間:AM8:30~PM5:30
http://www.machida-shokuhin.co.jp/
プラ:フィルム 容器

ダイズの豆知識 町田食品の目線で見た「大豆」(町田食品HPより)
世界の大豆事情を一言で・・・
 日本や中国を始め、東アジアの国々では、古来から大豆を直接或いは味噌や醤油などの加工品として食べてきました。重要なタンパク質源としての栄養学的な意味もあり、これらの国々では大豆の栽培も盛んで、一時期、大豆は中国の重要な輸出品でもありました。
 一方、欧米では大豆を食べるという習慣はなく、栽培も行われてきませんでした。しかし、大豆に豊富に含まれるタンパク質と油分に注目したアメリカでは、食用油の原料(搾油用と言います)或いは高タンパク質飼料の原料として、1829年から大豆栽培が行われるようになりました。
 ご存知のように、アメリカの農業は日本と比較すると格段に大規模で行われていますので、その価格的な優位性もあり、1940年頃にはアメリカの大豆は輸出産物として位置づけられるようになりました。そして、大豆の経済的な価値を認めた南米の国々(ブラジルとアルゼンチン)が1970年代から大豆の本格的生産に参入し、世界における大豆の需要と供給地図は様変わりしました。2002年には、中国が世界で一番大豆を輸入する国になりましたが、この一例を見てもその変化の大きさが分かると思います。

主流となっている輸入大豆
 日本で消費される大豆の95%以上が輸入品であるといわれており、国別で輸入量を比較すると①アメリカ、②ブラジル、③カナダ、④中国の順になるようです。ただ、ブラジル産の大豆は搾油用が殆どであるため、豆腐を含め食用に適した大豆となるとアメリカとカナダが主体となり、町田食品でもアメリカ産とカナダ産の大豆を使用しています。
 アメリカでは、大豆は食用油の原料として栽培が開始されたため、多くの大豆が食用大豆(豆腐や納豆に加工して直接食べることが出来る大豆のこと)としての品質を満たしていませんでした。一方、インディアナ、オハイオ、ミシガンの3州の一部で栽培されていた黄大豆が他州の大豆よりもタンパク質や糖質含量が高く、食用大豆として利用できることが分かり、「産地指定大豆」としてのIOM(インディアナ、オハイオ、ミシガンを意味する)大豆が1960年代に確立しました。
 その後、豆腐や納豆などの用途別に特化した品種が開発され、栽培面積が普及していきましたが、これらの大豆を「バラエティー大豆」と呼んでいます。Variety(バラエティー)という単語には、品種・亜種という意味がありますので、「油を採るための大豆ではない特殊な品種」と理解すれば分かりやすいのではないでしょうか。尚、豆腐用としてはVINTON81(ビントン81)やBEESON(ビーソン)等が知られています。
 代表的な油糧原料である菜種の生産が世界No.1であるカナダでは、アメリカやブラジルと異なり油糧原料として大豆を栽培する意味があまりなく、実際の栽培も積極的とは言えませんでした。ところが、寒冷なカナダの気候に適する品種が開発されたことや、日本向け等に大豆が高値で取引されることもあり、1980年頃から徐々に生産量が増大し、拡大傾向が現在も継続しています。
 ケベック州でも一部栽培が行われていますが、栽培地区はオンタリオ州の五大湖周辺に局在していると言っても過言ではありません。世界地図を見れば分かるとおり、栽培地域は緯度的に北海道とほぼ同じであり、気候にも類似性があるため、かなり以前より北海道産大豆の種子を持ち込み、現地の気候風土等に合うよう品種改良(交配による)が行われ性質と似た大豆が得られています。品質向上に前向きであることから、カナダ産大豆の評価は近年特に高まっています。

数ある国産大豆
 日本では、大豆の栽培の歴史が大変長く、また食文化を担う重要な作物として位置付けられていましたので、様々な品種が日本各地でその気候風土に適するように改良されてきました。その為、産地品種銘柄だけでも110種類、生産量が少ない品種も含めると400種を越える多数の品種が栽培されていると言われています。(産地品種銘柄:「新潟県産コシヒカリ」の様に、特定の産地で生産された品種の品質が、他の産地で生産されたものと異なるため 、産地や品種を特定して表示できる国の制度)
 品種の違いは、色や粒の大きさなど外見上の違いにも現れます。黄色の大豆が一番多く栽培されていますが、丹波の黒大豆、岡山の紅大豆、東北地方の青大豆など、地域特産の大豆を並べてみるとその違いの大きさが分かります。この様な外見上の違いの他に、含まれる成分にも品種の違いが色濃く現れてきます。この事は、同じ国産大豆であっても加工品である豆腐の原料として適した品種とそうでない品種があることを示すものでもあります。
 豆腐の原料として適している国産大豆といえば、フクユタカ、エンレイ、タチナガハ等が高い評価を得ています。町田食品では、フクユタカ以外に北海道産の大豆も原料として使用しています。
 尚、国産大豆の自給率が6%未満であるとして殊更国産大豆の希少価値を謳ったり、自給率の増加を主張する企業・団体がありますが、輸入大豆の多くは搾油用であるため、食用大豆に限れば自給率は22%位あると推定されています。
町田食品のこだわり(町田食品HPより)
   富士山の伏流水使用

   大豆について
     大豆へのこだわり
 多くの豆腐製造者が、良い豆腐作りには国産大豆が欠かせないと主張しています。しかしながら、国産大豆には多くの品種が存在し、全ての国産大豆が豆腐作りに適しているとは限らず、その品種の成分特性等を見極めた上で用いる必要があると考えます。また、同じ大豆の品種であっても、栽培年度や地域更には栽培方法により大豆の品質は影響を受けるため、大豆の品質を的確に把握し、大豆を適切に選ぶ過程や、大豆の良さを引き出す製法に変えていく必要があると考えます。
 その為には、豆腐の品質に影響を与える成分を明らかにする必要があります。大豆タンパク質の構成や糖質の含量などの大豆の成分と豆腐の品質については、ある程度の関連性が分かっています。しかしながら、詳細な点につきましては現時点においても分かっていない部分も多く、町田食品では大豆の品質に関する調査・研究を継続していきます。
 納豆に使用する大豆であれば、大豆の色や粒の大きさ等、見た目で品質を評価できる場合がありますが、豆腐の場合は大豆の見た目は重要ではなく、大豆に含まれる主要成分であるタンパク質、脂質、糖質の多少が加工適性に大きく影響を与えます。大豆タンパク質と一口に言いますが、均質なものではなく様々な種類のタンパク質の集合体です。この中で、豆腐の品質に大きく影響を与えるタンパク質とそうではないタンパク質があることが分かっていますので、この点を見極めながら豆腐造りに適した大豆を選んでいます。
     大豆の選定条件
 今の市場では「国産大豆」「国産大豆使用」と表示した商品が人気を博しているようです。しかし、品種による違い、栽培された地域の違いや気候の変動、生産者の手間のかけ方、更には大豆の保管方法による違いによって大豆の品質は大きく変化し、出来る豆腐の品質にも影響を与えます。この事は輸入大豆にも言え、「国産大豆」という一種のブランドイメージに惑わされること無く、如何に美味しくて高品質な豆腐ができるかという視点から原料となる大豆の品質を見極めることが大変重要になります。
 町田食品では、タンパク質含量などの一般的な成分分析の他に、
①発芽率
②遺伝子組み換え検査
③可溶性糖類(ショ糖、ガラクトオリゴ糖)含量
④構成タンパク質の分析
を行っています。これらの結果を踏まえた上、小テスト製造を行って加工特性や豆腐の味を確認して最終的な大豆の選定を行っています。

 尚、各分析項目により、下記の事が分かります。
①発芽率:保存状態が悪いと大豆が発芽しなくなり、豆腐がうまくできなくなります。
②遺伝子組み換え検査:遺伝子組み換えの大豆が混入しているか否かが分かります。
③可溶性糖類含量:豆腐の甘味を左右するショ糖類の含量を知ることが出来ます。
④構成タンパク質の分析:シッカリした豆腐が出来るか否かの目安となります。
    町田食品で使用してる大豆
 国産大豆
  フクユタカ 三重県産
  名前の由来:北九州地区における栽培に適し(「福岡」の「フク」で、北九州地区を代表させたそうです)、子実が豊満(この部分を「ユタカ」と表現)で品質が良好であることを期して命名されたそうです。
  ポイント:豆腐用として高い評価を得るフクユタカではありますが、同じフクユタカであっても、産地や生産農家の手間の掛け方によって品質に違いが生まれてきます。町田食品では、九州地区のフクユタカを含め様々な地域のフクユタカを検討した結果、生産者の顔が見え、生産管理体制の整った三重県産のフクユタカの品質に惚れました。

★ フクユタカの産地  三重県松阪市
 町田食品では国産大豆を何種か使用しております。その中で、タンパク質含量が高く豆腐の食感がシッカリしたものになることから豆腐用の品種として定評のある「フクユタカ」は、三重県松阪市にある生産者に契約栽培してもらっています。
 伊勢湾に面する三重県は古くから海産物の産地として知られていると同時に、お茶の生産高全国3位でその他米・麦・モロヘイヤなどの、農産物の生産も盛んです。伊勢湾から少し内陸部に入った松阪市は肉牛の有名ブランド「松阪牛」で知られ、農畜産物の生産で大変質の高い技術を有する地域です。
★ 契約栽培農場  株式会社グレイン鈴木さん
 町田食品の契約先である株式会社 グレイン鈴木(代表取締役 鈴木亨 氏) は、三重県松阪市にて140ヘクタールを超える農地で大豆を専門に生産しており、元代表の鈴木均 氏と共に若い力を集結し現在7名で運営されています。 町田食品では、生産者の方々の大豆生産に対する真摯な姿勢を高く評価し、フクユタカの栽培をお願いしております。
 トラクター12台・コンバイン4台を保有し、更に耕地の拡大を計画している精力的な姿勢だけでなく、大豆の品質向上にも取り組まれている様子を実際に拝見し、「グレイン鈴木さんのフクユタカを使うことで高品質の豆腐が間違いなくできる!」と確信することができました。

  トヨムスメ 北海道産
  名前の由来:多収で豊作をもたらす願いと、白目大粒主力品種「トヨスズ」の後継であることを示す「トヨ」と、「種皮色が黄白で濁りが無く、皺や裂皮も少ない様」を若い女性の肌に見立てた表現「ムスメ」を合わせて命名されたようです。尚、北海道の大豆品種では、同様の理由で名前に「コマチ」「ヒメ」が付く品種が少なからずあります。
  ポイント:従来、北海道大豆はタンパク質含有量が若干少ない為、「絹ごし豆腐」「木綿豆腐」等のいわゆるカット豆腐には不向きであるとされ、甘みの好まれる「寄せ豆腐」「おぼろ豆腐」等のやわらかくスプーンなどで召し上がる商品に多く利用されてまいりました。町田食品では「トヨムスメ」のふくよかな甘みと本来の豆腐の持つ食感を併せ持った「絹ごし豆腐」「木綿豆腐」を商品化することに成功しました。
 輸入大豆
  ジュピター カナダ産
  名前の由来:種子など農業の関連商品を供給する国際企業Syngenta社が、冷涼な気候に適合し、多くの土壌で安定的に栽培が可能となるように改良を行った豆腐・味噌用の品種です。
  ポイント:近年大豆栽培に力を入れてきたケベック州(モントリオール市付近)にて契約栽培されたものを使用しています。弊社の使用している北海道産大豆と同等の品質を持ち、生産農家から弊社に届くまでの全ての過程が、担当者の顔の見える形で把握できるシステムであることから、品質と安全・安心の両面から自信を持って採用しました。
   設備・製造工程

『自伐型林業と生態系サービス機能』シンポジウム 3月14日

早稲田大学戸山キャンパス38号館で開催されたNPO法人自伐型林業推進協会主催の公開シンポジウム『自伐型林業と生態系サービス機能』に参加しました。生態学研究者とのコラボレーションで参加者は120人と盛会でした。
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※配布された新聞記事
 月尾嘉男さん「林業を再生する自伐方式」(『電気新聞』2016年3月2日)
 「木質バイオマス 見えてきた光と影」(『日本農業新聞』2015年12月21日) 

【企画者】: 松田裕之(横浜国立大学・教授)、中村浩二(金沢大学・名誉教授)
【発表】
 ・「本シンポの趣旨と経緯」中村浩二(金沢大学・名誉教授)

 ・「自伐型林業の目標と課題」中嶋健造(自伐型林業推進協会・代表理事)
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【講演】
 1「自伐型林業による茶炭の産地化構想」大野長一郎(大野製炭工場・代表)

 2「自伐型林業の多様性と持続可能な林業への展望」大澤一岳(東京大学・協力研究員/和歌山県林業振興課)

 3「日本の森林・林業政策における生態系サービス機能の位置付け」藤野正也(京都大学・特定研究員)

 4「持続的な広葉樹利用による地域の再生」清和研二(東北大学・教授)

 5「自伐型林業施業による林相変化と虫害の関係」福沢朋子(東京農工大学・博士課程)

【主催】NPO法人自伐型林業推進協会 【共催】W-BRIDGE 【協力】公益財団法人日本財団【後援】林野庁

※自伐型林業とは
 自伐型林業推進協会「自伐型林業で世界をリードする森林大国日本へ」(ソーシャルイノベーター日本財団プレゼン資料、2016年)

※ジャンゼン- コンネル仮説とは
清和研二「広葉樹林化に科学的根拠はあるのか? ―温帯林の種多様性維持メカニズムに照らして―」(『森林科学』59日本森林学会、2010年)より
広葉樹林化に科学的根拠はあるのか?森林科学59_ページ_1広葉樹林化に科学的根拠はあるのか?森林科学59_ページ_2

広葉樹林化に科学的根拠はあるのか?森林科学59_ページ_6広葉樹林化に科学的根拠はあるのか?森林科学59_ページ_7広葉樹林化に科学的根拠はあるのか?森林科学59_ページ_8

※ジャンセン・コンネル仮説(ウィキペディアより)

森林生態系において親木となる成木からの距離が短いほど、その成木の種子や、実生にとって天敵となる特異的な病原菌・捕食者が多くなる。そのため実生や種子の死亡率が高くなり同種の樹木の更新が妨げられる。病原菌や捕食者の数は成木からの距離に反して減少するが、一方で種子散布数も成木からの距離に比例して減少する。 そのため成木の真下においては同種の更新が妨げられることで他の樹種が生育する余地が生まれ、そのことが多様性を確立する要因の一つになっていると考えられる。

蔦谷栄一『オーガニックなイタリア 農村見聞録』 2月25日

蔦谷栄一『オーガニックなイタリア 農村見聞録 -地域への誇り高き国に学ぶ』(家の光協会、2006年8月)を読みました。
オーガニックなイタリア

蔦谷栄一『オーガニックなイタリア 農村見聞録 -地域への誇り高き国に学ぶ』目次
 はじめに
第1章 イタリア農業の概要
 多様性と地域性に富む国土/地域によって異なる農業/EUの中では小規模経営/起きつつあるCAP[EU共通農業政策]との距離/コラム:マサノブ・フクオカ

第2章 有機農業の歴史・現状・制度等
 1 有機農業の歴史と現状
 1970年前後から取り組み開始/1990年代後半に大きな伸び/ヨーロッパ最大の有機栽培面積/島嶼部と中北部に集中する有機栽培/量販店での取り扱いシェア増加/高い輸出の割合/認証

 2 有機農業に関する法律・制度
 EU共通農業政策が基本/環境支払いの中に位置づけられる有機農業/水質汚染に端を発するEUの農業環境政策ウエートが高まる農業環境政策/EU共通部分と各国規定とに分かれる農業環境プログラム/農家経営を支える直接支払い/コラム:夜遅くまでの集会

第3章 有機農業取り組みの現場
 1 生産・加工の現場から
  水田耕作 有機稲作と不耕起水田のビオトープ
    ピエモンテ州テヌータ・コロンバーラ
 ヨーロッパ有数の水田稲作地帯/味覚のプロである父親と環境にこだわる息子/いい環境がいい米を作る/エコロジー網、エコロジーの回廊を形成/収量ではなく品質で勝負/あわてず急がずゆっくりと

  野菜 在来種・自家採種による多品種少量生産
    ピエモンテ州ロルト・デル・ピアン・ボスコ
 大規模面積での多品種少量生産/有機そして在来種へのこだわり/直売・小売店志向と加工/必ずしも付加価値が実現できていない有機栽培

  ブドウ・ワイン 直接販売能力に見合った適正規模経営
    ピエモンテ州マリオ・トレッリ
 手作業時代のワイン製造施設を展示/有機栽培の裾野に広がるエココンパティビレ/グローバル化で広がる病害虫/規模拡大よりも品質重視/必要なEUからの支援

  モツァラチーズ 消費者との交流が育む手づくりの味
    カンパーニャ州テヌータ・ヴァンヌーロ
 あくまで手づくりにこだわった最高のモツァレラチーズ/有機畜産による水牛飼養/消費者との交流を軸にした多様な展開

  畜産・加工 安全性重視と家伝のレシピ
    ピエモンテ州カッシーナ・サヴォイアルダ
 スローフード運動で再評価を得た黄金の魚ティンカ/自然・生理を無視した近代畜産/家伝のレシピからつくられる極上の味/持続的循環型生活の大切さ

 2 流通・販売・認証の現場から
  1 流通・販売
   地域性を活かした農業と情報開示・文化伝承
    ピエモンテ州カッシーナ・デル・コルナーレ
 日本に学んで宅配を開始した小さな販売農協/農的志向は自分探しの旅/消費者への徹底した情報開示/地域の伝統を発掘し伝える活動

   有機とフェア・トレードへのこだわり
    エミリア・ロマーニャ州コナピ
 理念に「倫理的に」/あくまで生産者の立場で/厳格な管理から生み出されるハチミツ/有機が基本/フェア・トレードへのこだわり

  2 認証
   消費を伸ばし有機農業の拡大をめざす
    エミリア・ロマーニャ州CCPB
 有機認証機関の概要とCCPB/拡大余地が大きい有機農業/最大シェアを握る生協と増加する学校給食での利用/環境、自然と有機農業/コラム:旦那と奥さんとはどちらが強い

第4章 地域づくり、地域農業の現場

  “良心”の貫徹を目指すスローシティー
    リグーリア州レーヴァント
 リゾート地からスローシティーへ/スローシティーとレーヴァントプロジェクト/“自由市民の市長たち/地域資源の再発見とアイデンティティの確認から/目指すは“良心”ツーリズム/交通システム:中心街からの車排除/ゴミ処理:分別の推進とゴミ箱のある風景の改善/エネルギー:景観を損なう太陽光パネル/農業:自らの“良心”をもって選択を/子どもを育てることを通じて大人が成長/最大のプロジェクト:マンジャルンガ/日本へのメッセージ「自由な人間から出発を」

  地域農業と福祉に体をはる逞しき協同組合
    シチリア州ビータ・ビオ・グループ
 マフィアの土地を有機農業による地域農業の土地に/カーサ・ディ・ジョーヴァニ(Casa dei Giovanni)/サッコ(Sacco)/ロ・グラッソ(Lo Grasso)/ノエ(Noe)/ビータ・ビオ(Vita Bio)
  マフィアに立ち向かう若者たちの社会的協同組合
    シチリア州プラーチド・リッツォット
 マフィアの地で有機農業への取り組み/高品質ワインでVQPRD認証獲得/社会奉仕するボーイスカウトたち/いまでも恐れられているマフィア/反マフィア集会と我慢強いイタリア人

  有機農業と農村起業で過疎地帯を蘇らせた農業協同組合
    マルケ州アルチェ・ネロ
 「有機農業の伝道者」ジーノ・ジロロモーニ氏の地域へのこだわり/アルチェ・ネロの多様な活動/行動する哲学者/兼業収入と助成金んが支える中山間地農業

  伝統の味を守る地域組織
    ピエモンテ州チェルヴェーレネギ出荷協議会
 マチスの絵のような風景/地域組織で支えるチェルヴェーレネギ/コラム:夏休みのパーティー

第5章 アグリツーリズモの現場

  “ザ・実力者”が展開するアグリツーリズモと水牛経営
    カンパーニャ州セリアーノ
 南部よいとこ/年間7、8000人もの宿泊客/景観がすばらしい条件不利地域/有機農業よりはエココンパティビレ[減農薬減化学肥料栽培]

  そこにあるものを楽しむスローな旅“お泊まり村”
    リグーリア州レーヴァント
 アグリツーリズモを中心とした多様な施設/マンジャルンガの道とアグリツーリズモ/発展途上のアグリツーリズモ

  レストランも評判のアグリホテル
    ピエモンテ州スル・ピアーノ
 田舎暮らしを丸ごと体験できるアグリホテル/生きた農民の知恵と経験/市場がリードする地産地消/コラム:46年ぶりのアコーディオン

第6章 イタリア農業・農村と日本

  1 有機農業をはじめとする環境保全型農業とその政策
 EU支援によるイタリアの農業環境政策/わが国の農業環境政策の推移と現状/増加しない有機栽培と輸入品依存の有機ブーム/必要な政策支援の強化[……付加価値の実現を困難化しているのは、消費者の低価格志向の影響が大きい。アンケート調査等では、価格が2、3割高くても安全な食品・農産物を購入する、としている消費者が過半を占める結果となっているものが多いが、実際の消費者の購買行動はむしろ安全性よりも低価格志向を優占している向きが強く、行動レベルでは逆転して低価格を優占する消費者のほうが多い、というのが実態であると考えられる。消費者のさらなる理解を獲得していくことが不可欠である。……]

  2 地域性を生かす
 地域性重視と“EU化”への反対/わが国への示唆に富むイタリア農業
  3 経営の多角化
 川下重視から開かれる消費者とのコミュニケーション/地産地消推進と都市農業の見直し、兼業農家の再評価
  4 協同組織とその存在意義
 多様な形態をもって発展してきたイタリアの協同組合/小さいことをよしとするイタリアの農協組織/改革を求められている日本の農協組織[地域農業の確立・部会組織の活性化・販売事業の強化・CSR・ガバナンス]/コラム:スローフードなファーストフード

 おわりに 地域への誇り高き国に学ぶこと
 EUの中でも独自の道を行くイタリア/家族・地域へのこだわりと自由な精神/求められる信念・こだわり

 あとがき

 参考文献・資料
※蔦谷栄一「イタリアの有機農業,そして地域社会農業 -ローカルからのグローバル化への対抗-」(『農林金融』2004年11月号)要旨
1 イタリアの有機栽培面積比率は約8%で,世界で4番目,有機栽培面積ではヨーロッパで最大である。
2  90年代後半,年率で10%強もの伸びを示し,世界的に注目を集めてきたが,01年をピークに有機栽培面積は減少に転じている。
3 これは97年から5年間にわたってEUが有機農業への転換を支援し,特に島嶼部に手厚く設計されたことが大きく影響している。
4 イタリアの有機農業は,約3割を有機食品の輸出が占めていること,大規模層,若い層での取組みが多いことなどの特徴を有する。
5 こうしたなかで,現場では有機認証に要する手間や認証料負担,マニュアル的認証に対する不満が強い。
6 有機生産者は,直売も手がけており,在来種へのこだわり,歴史・文化・伝統を重視するものが多い。有機農業は一つの栽培方法や単なるマーケティング対応にとどまらず,地域社会農業的色彩を強く帯びた活動のなかに位置づけて考えられよう。
7 イタリアは国家統一が1861年になってやっと達成されたが,職人,家族経営,中小企業を大事にし,地域・歴史・文化を重視する風土が根強く,イタリア農業でもこうした考えが根強い。
8 EUのなかでもドイツ,フランス等と違って,我が国ではほとんど知られていないイタリア農業ではあるが,相互交流を促進していくとともに連携を強化し,地域性・多様性重視によってWTO体制下でのグローバル化,モノカルチャー化の進行に対抗していくことが望まれる。

高橋一也『古来種野菜を食べてください。』 2月24日

高橋一也『古来種野菜を食べてください。』(晶文社、2016年11月)。

ボトムアップで施行されたアメリカやヨーロッパの有機認証制度VSトップダウンで認証された日本の認証制度(56~57頁)

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高橋一也『古来種野菜を食べてください。』目次
 はじめに

 第1章 種が大事だと言い続ける!
  *僕の日常は食のことでずっとさわがしい(独立前)
  *僕の中の「種」となる土台に向き合うことをはじめた(独立後)
  *世界のオーガニック、日本のオーガニック
  *LOVE SEED!とはwarmerwarmerの独自基準のマークです

 第2章 最初に伝えておきたいことが、いくつかあって
  *僕の意識がすべて正しいわけではないけど、あなたはどう思う?
  *F1種の野菜のこと
  *固定種・在来種の野菜が衰退したいくつかの理由
  *僕が懸念していること

 第3章 僕の仕事は野菜の流通、そのすべてだ その1
  *流通、それを語るその前に
  *固定種・在来種の野菜を「流通の乗せ方」という視点で三つに分ける
  *僕の仕事は流通だ その1 マーケット「種市」
  *僕の仕事は流通だ その2 ワタリウム美術館でのマーケット
  *僕の仕事は流通だ その3 warmerwarmerの古来種野菜セット
  *これだって流通だ! 農家さんと企業をつなげること
  *新規就農される方へ

 第4章 種について僕たちが知らなかったこと
  *僕たちは、四〇年前から続いている断続的な流れの中にいる
  *そして僕は、古来種野菜という造語をつくった
  *「野」の「菜」の「種」は旅をする
  *種はどのように定着するの?
  *端境期という時期がある
  *日本が世界に誇る多様性

 第5章 種まく農家と美味しい関係
  *美味しい関係って?
  *農家さんと僕
  *ある農家/野菜との出会いがすべてを変えた
     長崎県雲仙市の種採り農家、岩崎政利さんとの出逢い
  *僕には野菜の師匠がいる
  *それは在来野菜からのギフトだった

 第6章 僕の仕事は野菜の流通、そのすべてだ その2
  *東京に地方の野菜を集める理由
  *再生プロジェクトを成功させる方法
  *百貨店で在来野菜の販売がスタートした
  *伊勢丹新宿本店との取り組みのいくつか
  
 第7章 未来への種をまく
  *子どもたちに伝えたいこと
  *食のはぐくみかた 在来野菜の味覚

 エピローグ 
 おわりに

山崎不二夫編『農家のための土壌改良』(1956年)目次 2月21日

季刊『地域』28号(農山漁村文化協会、2017年)は、農家の土木・基礎講座 ~みんなで挑む「むらの強靱化」を特集しています。『図解 手づくり施工の農村環境整 水路補修から木道、木柵、花壇、休憩所まで』(農山漁村文化協会、2013年)という本もありますが、60年前の農山漁村文化協会発行の本を読んでみました。巻末の「附録・農家でできるかんたんな工事の手引」のペントナイトは、岩殿入山・児沢地区の谷津の耕作放棄地を再生した谷津田の水まわり、畦畔からの水漏れ対策に使えそうです。

山崎不二夫編「農家のための土壌改良」(農山漁村文化協会、1956年7月初版、11月第2版、226頁)目次
Ⅰ 土地改良とはどういうことか
 第1章 土地改良とは
  1 土地改良を必要とする耕地
  2 土地改良の二つのねらい
  3 農業の発展と土地改良
  4 土地改良で農家経営を高めるには
 第2章 土地改良事業の現状
  1 土地改良事業の進歩
  2 大きな土地改良事業の例
   1 豊川農業水利事業
   2 阿賀野川排水事業
  3 土地改良事業と農家の立場
Ⅱ 水田の改良
 第1章 かんがい
  1 かんがいとはどんなことか
  2 用水量とはなにか
  3 水の中にどんな物質が含まれているか
  4 イネの育ちに必要な水温
  5 用水の不足をなくすには
 第2章 水田の改良 床締と客土
  1 イネは土がつくる
  2 土とはどんなものか
  3 よい水田の土
  4 わるい水田の土
  5 床締
  6 客土
   1 どんな場合に客土するのか
   2 客土の方法
   3 客土の実例
 第3章 排水
  1 排水とはどういうことか
  2 排水不良の原因と排水の方法
  3 暗渠排水
   1 地下水はなぜ下るか
   2 計画の立て方
   3 暗渠のうめ方
   4 維持と管理
   5 暗渠排水の効果とその後の栽培方法
 第4章 水田の改良と経営の改善
  1 いままでの品種や肥料のやり方をかえよう
  2 経営を多角化しよう
  3 農機具を整備し、作業を共同化しよう
Ⅲ 畑の改良
 第1章 畑地でかんがいをすすめるために
  1 日本で畑地かんがいがすすまなかったわけ
  2 いろいろな目的の畑地かんがいの効果
   1 旱害防止のためのかんがい
   2 地温調節のための畑地かんがい
   3 土地改善のためのかんがい
  3 畑地かんがいの本当のあり方
  4 畑地かんがいと栽培の改善
   1 かんがい栽培に適したオカボの品種
   2 肥料のやり方はどうすればよいか
   3 作物の組合せを工夫しよう
 第2章 畑地かんがいのやり方
  1 作物に必要な水の量とその時期
   1 水はいつ、どれだけかけるのか
   2 作物にはどの位の水がいるか
   3 かんがいの時期と水量
   4 何日おきにかんがいするのか
  2 水のかけ方
   1 畦間かんがい
   2 溢流かんがい
   3 散水かんがい
  3 水源とその利用のし方
   1 川の水を利用する場合
   2 溜池による場合
   3 地下水の利用
   4 水源施設費について
  4 水の管理はどのようにやればよいか
 第3章 畑の土の保全
  1 土は年々なくなっていく
  2 土はどのようなときに浸食されるか
   1 畑の浸食は土の性質によってどう変わるか
   2 土の浸食は土地の勾配によって変ってくる
   3 浸食は雨の降り方によっても変る
   4 畑の状態によって浸食はどう変るか
  3 土の浸食から畑を守るには
   1 作物をどう作付けたらよいか
   2 等高線耕作
   3 輪作体系の確立 とくに帯状耕作について
   4 段々畑のつくり方
 第4章 畑の土の改良
  1 畑の酸性を改良するには
  2 アルカリ性の土を改良するには
  3 リンサンの欠乏とその改良
  4 マンガンの欠乏とその改良
Ⅳ 耕地整理
 第1章 耕地整理をすすめるために
 第2章 耕地整理のやり方
  1 どんな大きさの区画が一番便利か
  2 水路や道路はどのように配置するか
  3 集団苗代をつくろう
  4 傾斜地でも耕地整理はできる
  5 耕地を集団させよう
  6 工事がすんだあとの換地処分とは
  7 耕地整理と経営の合理化
Ⅴ 土地改良の手続
 第1章 土地改良法と土地改良事業のあらまし
  1 土地改良はすべて土地改良法にもとずいて行われる
  2 土地改良事業のあらまし
 第2章 土地改良事業の手続と費用
  1 大規模土地改良事業の手続
  2 小規模土地改良事業の手続
  3 土地改良事業の具体的なすすめ方
  4 とくに注意しなければならないこと
  5 土地改良の費用
附録 農家でできるかんたんな工事の手引
 1 ペントナイトの使い方
  1 ペントナイトとはどんなものか
  2 漏水田の改良法
  3 効果
  4 漏水防止後の問題
 2 農家コンクリート工事の施工
  1 基礎の作り方
  2 薄く広く打つ工事
  3 立ち上がりを打つ工事
  4 材料と経費
  5 コンクリート工事の要点
 3 工事に必要な測量
  1 水路や畦畔の丁張りの作り方
   2 多少のでこぼこある広い土地を一定勾配でならす場合の杭打ち
※土地改良事業の事例として、川越市南古谷や吉川市木売の事業が紹介されています。

井出留美『賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか』 2月2日

朝日新聞夕刊(2017年1月24日)環境面『賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか』(幻冬舎新書432、2016年10月)が紹介されています。
朝日新聞夕刊(20170124)

 本来は食べられるのに捨てられてしまう食品が、日本では年間632万トンも発生している。「食品ロス」と呼ばれ、問題となっている。「賞味期限のウソ」は、劣化が比較的遅い食品に表示される「賞味期限」に焦点をあて、食品ロスが生まれる背景を解説する。
 賞味期限はおいしさを保つ期限であり、過ぎてもその食品がすログイン前の続きぐに食べられなくなるわけではない。しかし、業界の慣習などで期限前に店頭から撤去され捨てられるケースがある。ロスを減らすために、わたしたちはどう行動すればいいのかも提案している。
 井出留美著。幻冬舎刊。780円(税別)
※井出留美『賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか』目次は、「3分の1ルール(納入期限・販売期限・賞味期限) 12月24日」にあります。

井出留美オフィシャルサイトoffice3.11(HP)

※NHKBS1経済フロントライン「食品ロスをなくせ!」(2016年6月11日)

※NHKおはよう日本「食品ロスを減らせ」( 2016年6月24日)

※NHKBS1経済フロントライン「相次ぐ“食品回収”の裏で何が?」(2016年12月3日)

※NHKおはよう日本「なぜ?“異物混入”で相次ぐ食品回収」(2016年12月12日)

『技術者のための魚道ガイドライン』(コロナ社) 1月3日

NPO法人 北海道魚道研究会 編・安田陽一著『技術者のための魚道ガイドライン 魚道構造と周辺の流れからわかること』(コロナ社、2011年10月)

【目次】
1. 魚道整備における基本事項
 1.1 魚道整備前に必要な情報・内容
 1.2 魚道設計・施工の考え方
  1.2.1 魚道設計をするときの考え方
  1.2.2 魚道整備の施工の考え方
 1.3 魚道整備後の評価の方法
2. 魚道の施工上の留意事項
 2.1 仮設工事
 2.2 工事現場周辺の河川環境への配慮
 2.3 埋め戻しの留意点
3. 魚道施工後の調査・検証
 3.1 魚道下流側での環境確認
 3.2 魚道内の水理環境の確認
 3.3 魚道周辺の水理環境の確認
 3.4 魚道以外からの降河環境の確認
 3.5 魚道を利用する魚種の確認
 3.6 洪水後の魚道および魚道周辺の状況把握
 3.7 魚道維持・管理環境の把握
4. 既存の魚道のポイント
 4.1 魚道形式・魚道構造
  4.1.1 プール式魚道
   〔1〕プール式矩形断面型魚道
   〔2〕アイスハーバー型魚道 
   〔3〕バーチカルスロット式魚道
   〔4〕ハーフコーン型魚道
   〔5〕傾斜隔壁型魚道
   〔6〕人工岩(擬岩ブロック)による魚道
   〔7〕コンクリートブロック型魚道
   〔8〕台形断面型魚道
  4.1.2 水路式魚道・ストリーム型魚道
   〔1〕デニール式魚道
   〔2〕舟通し型魚道
   〔3〕ブロック式魚道
  4.1.3 自然石を利用した魚道
   〔1〕自然渓流型魚道
   〔2〕アーチ式魚道
   〔3〕粗石ブロック型魚道
   〔4〕階段状魚道
   〔5〕その他の魚道
 4.2 魚道設置形式
  4.2.1 引き込み型魚道
  4.2.2 張り出し型魚道
  4.2.3 張り出し,引き込み構造の中間型魚道
  4.2.4 折り返し型魚道
  4.2.5 バイパス式魚道
  4.2.6 らせん型魚道
 4.3 魚道周辺設備・魚道附帯設備
  4.3.1 スクリーン
  4.3.2 余水吐き・オリフィス板・流入口
  4.3.3 水制工
  4.3.4 流量制御施設
 〈参考資料〉
  1. 魚道の構造
  2. 魚道構造・魚道形式
5. 魚道新設のためのガイドライン
 5.1 事前調査の内容
  5.1.1 既設の河川横断工作物周辺の河川流況
   〔1〕通常時の流況
   〔2〕洪水時の流況
  5.1.2 河川横断工作物周辺の河床形態
   〔1〕河川横断工作物周辺の河床の縦横断勾配
   〔2〕河川横断工作物周辺の河床物質・状況
  5.1.3 河川の水質・濁り
   〔1〕渇水時の水質
   〔2〕平水時の水質・濁り
   〔3〕豊水時(融雪時を含む)の濁り
  5.1.4 水生生物の生態環境調査
   〔1〕対象河川に生息する水生生物
   〔2〕水生生物の生息環境
   〔3〕水生生物の産卵環境
   〔4〕水生生物の移動環境
  5.1.5 河川周辺の環境
   〔1〕魚道設置予定地周辺の土砂生産源の有無
   〔2〕魚道設置予定地周辺の渓畔林,河畔林の分布状況
   〔3〕魚道設置予定地周辺の人工構造物の実態調査
  5.1.6 魚道整備の価値判断
   〔1〕魚道整備の必要性がないと判断できる場合
   〔2〕魚道整備の必要性があると判断できる場合
 5.2 魚道設計に必要な情報
  5.2.1 魚道設置位置
  5.2.2 魚道形式の選択
  5.2.3 魚道規模(魚道幅,魚道長)
  5.2.4 魚道内への流入量
  5.2.5 魚道流入口・魚道流出口
   〔1〕魚道流入口での配慮事項
   〔2〕魚道流出口での配慮事項
  5.2.6 魚道側壁および導流壁
   〔1〕側壁の配慮事項
   〔2〕導流壁の配慮事項
  5.2.7 降河対策
   〔1〕魚道内の対策
   〔2〕魚道外の対策
  5.2.8 新設の河川横断工作物周辺の流況の推定
   〔1〕通常時の流況
   〔2〕洪水時の流況
  5.2.9 迷入対策
  5.2.10 魚道の維持管理施設
 魚道新設設計フローチャート
6. 魚道改良のためのガイドライン
 6.1 事前調査の内容
  6.1.1 魚道が設置された河川横断工作物周辺の流況
   〔1〕通常時の流況
   〔2〕洪水時の流況
  6.1.2 河川横断工作物周辺の河床形態
  6.1.3 河川の水質・濁り
  6.1.4 水生生物の生態環境調査
  6.1.5 河川周辺の環境
  6.1.6 魚道改良整備の価値判断
 6.2 魚道設計に必要な情報
  6.2.1 魚道設置位置
  6.2.2 魚道形式の選択
  6.2.3 魚道規模(魚道幅,魚道長)
  6.2.4 魚道内への流入量
  6.2.5 魚道流入口・魚道流出口
   〔1〕魚道流入口での配慮事項
   〔2〕魚道流出口での配慮事項
  6.2.6 魚道側壁および導流壁
   〔1〕側壁の配慮事項
   〔2〕導流壁の配慮事項
  6.2.7 降河対策,洪水流の減勢対策,迷入対策
  6.2.8 魚道の維持管理施設
 魚道改良設計フローチャート
引用・参考文献
索引

本書で用いたおもな用語の説明
◆稚魚 (略)
魚道流出口魚道流入口
 これまでの魚道に関する文献の多くは、魚道の下流端を「(魚道)入口」、上流端を「(魚道)出口」としている。しかしながら、これはあくまでも魚類などの遡上行動を前提とした呼び方であろうと考える。本書では、魚類などの降河対策をも重視して相当な紙幅を割いている。降河魚を対象とした場合は、従来からの名称とは逆の表記となってきわめて不都合である。このため、本書では「水の流れ」を基本にして、従来からの魚道入口を魚道流出口、従来からの魚道出口を魚道流入口と表現している。
◆礫 (略)
◆改良、改善
 本書では、構造を良くする場合は改良、環境(状態)を良くする場合は改善と表現している。
◆島嶼部 (略)

※農林水産省農村振興局整備部設計課監修『「頭首工」の魚道設計指針 よりよき設計のために』(公益社団法人 農業農村工学会発行、2014年3月)では、魚道上り口魚道下り口
1.3 魚道の定義
 魚道とは、魚類等の移動に支障があるような場合、移動を容易にするために造られた施設の総称であり、魚道本体(魚道上り口(のぼりぐち)から下り口(おりぐち)まで及び附帯施設から構成される。
 なお、魚道上り口とは遡上する魚類等の入口、すなわち魚道の下流端のことであり、魚道下り口とは降下する魚類等の入口で魚道の最上流端のことである。(1頁)
矢来堰・中山堰・出丸堰見学 11月26日

里山保全と森林資源の活用(5) 12月30日

里山保全と森林資源の活用(黒田慶子)
 里やまへの郷愁
 本来の里山管理は農業の一部
 森林の形成と資源利用の歴史
 人が使わなくなって起こった植生変化と樹木の伝染病
 野生動物の増加と森林被害
 将来を見据えた里山管理とは
 神戸大学農学部での「実践農学」(森づくりグループ)の取り組み
 森づくりグループの演習の内容と成果
 里やまの管理を再開するための地域への提案

里やまの管理を再開するための地域への提案

 広葉樹は針葉樹よりも比重が高く、直径が20㎝を超えて太くなると人手では動かせない重さになる。また、萌芽は若い切株からは出やすいが高齢樹になるほど出にくくなる。小面積の皆伐で日光が地面に届くようになると萌芽の生育が良くなるので、里山林の管理においては、「伐採と若返り」が最重要課題である。しかしながら、日本の森林の3割を占める里山全域の管理再開はほぼ不可能であろう。……このような現状から、人が入って管理しやすい場所や災害リスクが高い場所から管理を再開する必要があるだろう。また、子孫に里山を残したいかどうかなど、所有者の価値観の問題でもある。
 西日本の低標高地にある放置里山林は、今後常緑中低木が主体の貧相な森林になることが明らかになってきた。しかし「それでも構わない」という選択もある。災害リスクの低い場所は放置しても困らないかもしれない。今回1度だけ税金を投入して整備しても、次世代の住民が15~30年後に何もしないで放置するなら、またナラ枯れが発生するなど、荒廃していく。山林として持続的に管理できる体制が作れないのであれば、発想を転換して、今ある樹木を伐ってしまったら森林に戻さないという選択もある。果樹、山菜園、花木や景色を楽しむ場所など、「これなら管理できる」という形態に変えることを推奨したい。(伊藤一幸編著『エシカルな農業』108~109頁)
市民の森保全クラブでも里やまとして持続的に管理できる体制づくりは大きな課題です。

里山保全と森林資源の活用(4) 12月30日

里山保全と森林資源の活用(黒田慶子)
 里やまへの郷愁
 本来の里山管理は農業の一部
 森林の形成と資源利用の歴史
 人が使わなくなって起こった植生変化と樹木の伝染病
 野生動物の増加と森林被害
 将来を見据えた里山管理とは
 神戸大学農学部での「実践農学」(森づくりグループ)の取り組み
 森づくりグループの演習の内容と成果
 里やまの管理を再開するための地域への提案

将来を見据えた里山管理とは

 里山は荒れてきたから整備が必要という意識が、社会的に強まっている。しかしながら、里山を管理して資源を使った世代は80歳を超える方々で、その技術の伝承がほぼ途絶えた。若い世代は、行政も里山所有者も里山管理には無縁であり、そのために残念なことが起こっている。つまり「やってはいけない整備方法」の普及である。……伐採後の萌芽更新を待たずに、クヌギの若木を植え付けるような例がある。
 各地で進む行政主導あるいはNPOやボランティアによる里山整備の多くは「公園型整備」で、人が散策して気持ちの良い林、見て美しい林を目標にしている。下草刈りや細い樹木の抜き切りをして大木は伐らずに残される。また「生物多様性を高める」ことを重視した広葉樹の植樹も人気である。これらは資源として利用していた里山林とはまったく異なる管理方法であり、整備後10年、20年後のことを考えていない点が大きな問題で、ナラ枯れ被害を増やす原因ともなっている。ナラ類の大木の多い森林、間伐(抜き切り)して風通しが良い森林、生木の伐採木が放置された森林では、媒介昆虫であるカシノナガキクイムシが多数飛来し、枯死被害を増やす。獣害防止に行われる帯状伐採でも、大木を伐らずに残した場所や伐採木を放置した場所でナラ枯れが発生している。獣害防止という目的であっても、森林の生態や病虫害に関する知識が必要な事例である。完全に勘違いの里山整備活動の代表例は、「散策路の整備」や「東屋の設置」が主目的で、樹木の管理は「道づくりの邪魔になる木を伐る」という計画であろう。ボランティアは趣味の活動ではないので、活動の結果には責任が伴う。基礎的な知識を得た上での活動が望まれる。
 里山を継続的に管理するには、市町村の行政担当者による指導と様々な団体の交通整理が大変重要である。長期計画のないイベント的整備では「楽しさ」や「清掃のイメージ」が強く、伐採された樹木は「産業廃棄物」(ゴミ)として税金を使って焼却されることが多い。整備目的が不明確であれば、「森林の樹木は再生可能な資源」という認識が薄くなる。資源利用を考えずに管理作業を進めるのは本末転倒である。「伐採-資源利用-森林再生」のどれかを実施するのではなく、森林の持続性を確保するための一連の作業であるととらえたい。
「伐採-資源利用-森林再生」のサイクルでの資源利用。市民の森保全クラブの課題です。

 数年前から林野庁による里山整備の補助金が利用しやすい形になってきている。つまり、資源利用と若齢林の再生を念頭に置いた伐採計画が可能になった。素人では伐採できなかった大径木に公的資金を投入することができ、「公園的でない」管理ができることになったのである。補助金の申請は地方自治体を通じて行うため、行政の担当者自身が里山整備についての知識を蓄積し、指導できることが重要になる。目的が合った行動ができていないボランティアは放置しないで活動団体協議会の設置やセミナー・実習の開催など、知識や技術レベルを上げるための仕組みが必要である。……(伊藤一幸編著『エシカルな農業』99~102頁)

林野庁の森林・山村多面的機能発揮対策交付金
背景・課題
森林・林業を支える山村において、過疎化等の進行に伴い、地域住民と森林との関わりが希薄化し、森林の手入れが行われなくなったことで、竹の侵入等による里山林の荒廃が進行しているため、森林の有する多面的機能の発揮が難しくなっています。

森林の多面的機能を持続的に発揮させていくためには、山村地域の住民が協力して里山林等の保全管理や森林資源の利活用を実施していく体制を整えることが不可欠です。

このため、平成25年度から森林・山村多面的機能発揮対策交付金を交付します。


事業内容
地域住民が中心となった民間協働組織(活動組織)が実施する、地域の森林の保全管理等の取組に対し、一定の費用を国が支援します。なお、交付金の申請にあたっては、都道府県単位に設立される地域協議会に申し込みをしてください。

 ア.地域環境保全タイプ
     ・集落周辺の里山林を維持するための景観保全・整備活動、集落周辺での鳥獣被害の防止活動、風倒木や枯損木の除去、集積、処理
     ・侵入竹の伐採・除去活動や利用に向けた取組

 イ.森林資源利用タイプ
     ・里山林の広葉樹等未利用資源を収集し、木質バイオマス、炭焼き、しいたけ原木等として利用する活動や伝統工芸品の原料として活用

 ウ.森林機能強化タイプ(平成27年度より新設)
     ・事業の円滑な実施に必要な路網や歩道の補修・機能強化、鳥獣被害防止施設の改良等

 エ.教育・研修活動タイプ(平成27年度より新設)

     ・森林を利用した環境教育や研修活動

 オ.機材及び資材の整備
     ・上記ア、イ及びウの実施のために必要な機材、資材及び施設の整備


里山保全と森林資源の活用(3) 12月30日

里山保全と森林資源の活用(黒田慶子)
 里やまへの郷愁
 本来の里山管理は農業の一部
 森林の形成と資源利用の歴史
 人が使わなくなって起こった植生変化と樹木の伝染病
 野生動物の増加と森林被害
 将来を見据えた里山管理とは
 神戸大学農学部での「実践農学」(森づくりグループ)の取り組み
 森づくりグループの演習の内容と成果
 里やまの管理を再開するための地域への提案

人が使わなくなって起こった植生変化と樹木の伝染病
 森林の管理は、①用途に合わせて、②健康に持続することを重視し、数十年以上先を想定して行うものであって、動植物の種数が多いことや、眺めて美しいことが本来の管理目的ではない。むしろ、十分な管理の結果として生物多様性が高まることが知られている。
 スギやヒノキなどの針葉樹人工林は木材生産が目的で、収穫時期を想定して間伐し、材質が良くなるように管理する。一方、里山二次林は昔は薪生産に都合のよい管理が行われてきた。②の健康に持続させる手法としては伝統的なやり方が一番安全であるが、①の用途は1950年代以降の燃料革命のために消滅し、管理の目標がなくなったので、今では所有者自身が里山林に入ることはほとんどなくなった。里山の大半は放置されたために大木が多くなり、中低木やタケ類の繁茂によって人が踏み込めないヤブになっている。さらにアカマツとナラ類は伝染病で次々に枯死している。……
 マツ枯れは1970年代頃から被害が増えて兵庫県下でアカマツ林の多くは壊滅的な状況である。病原体の媒介甲虫であるマツノマダラカミキリの殺虫が被害軽減には最も重要で、枯れ木が燃料に使われた時代(50年ほど前)は焼却で林内のカミキリが殺虫できた。しかし近年は枯死木が放置されるので、殺虫剤の散布なしにはマツ林を持続させることができない。マツタケ山として兵庫県では赤松林を大事にしてきたはずであるが、現実には効果のある防除は実施されていない。里山整備の際に赤松林の再生を目標にする例が増えているが、地掻きなどの伝統的な管理方法では枯死は防げない伝染病に関する知識と防除予算の継続的投入が必要となることを認識してほしい。
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 1990年代からブナ科樹木萎縮病(ナラ枯れ)という伝染病が増加した。兵庫県下では、神戸市や篠山市を含む広域で集団枯死被害が続いている。この病気の媒介者であるカシノナガキクイムシは直径10㎝以上の木で繁殖が可能になり、老大木から先に枯れる。各地の里山には昔のような若齢のナラ林はなく、大半が50年生以上で直径が50㎝前後の大木の多い林である。大径木の集団枯死が起こるため、森林の植生が急激に変化する。次項で紹介する学生の演習で植生調査をした結果、ナラ類が枯れた後は常緑広葉樹で暗い場所でも生育できるヒサカキやソヨゴ(陰樹)が多数生え、高木になる落葉広葉樹(陽樹)の芽生えはまったく育たない。常緑の中低木中心の極めて貧相な森林になることが判明した。ナラ類が枯れてもまだ林床が暗く、太陽光が足りないためである。「森林には回復力があって、放っておけばまた元に戻る」と思われがちだが、そこには勘違いがある。……(伊藤一幸編著『エシカルな農業』96~98頁)
※市民の森作業エリアのコナラも樹齢40~50歳代です。市民の森における東松山市のマツ枯れ対策の記事
 マツの枯損木の伐倒 2015年2月3日
 伐倒したアカマツの薬剤処理 2015年2月23日
 松枯れ防止のために樹幹注入剤を使用 2016年1月29日


里山保全と森林資源の活用(2) 12月30日

里山保全と森林資源の活用(黒田慶子)
 里やまへの郷愁
 本来の里山管理は農業の一部
 森林の形成と資源利用の歴史
 人が使わなくなって起こった植生変化と樹木の伝染病
 野生動物の増加と森林被害
 将来を見据えた里山管理とは
 神戸大学農学部での「実践農学」(森づくりグループ)の取り組み
 森づくりグループの演習の内容と成果
 里やまの管理を再開するための地域への提案

森林の形成と資源利用の歴史
 森林が自然に形成されるには長い時間がかかる。草原から始まって、極相林と呼ばれる最終段階の森林までの遷移には数百年かかるといわれている。人間がその途中で伐採すると、遷移が泊まったり、違う方向に進む。……
 自然に形成された森林(初代の林)を人が伐って薪や炭に利用すると、広葉樹の一部は切株から芽が出てそれが樹木に育ち、この手法を用いた森林再生は萌芽更新(または“ぼうが”)と呼ばれる。特にナラ・カシ類、シイ類などドングリのなる樹種は萌芽能力が非常に高い。昔から薪炭林にはコナラ、アベマキ、クヌギがよく使われており、適宜植栽されてきたと推測される。萌芽は、切株の養分も利用して1年0.5~1m伸長するが、ドングリからの芽生えでは数年かかって20㎝程度しか伸びず、しかも生き残る株が少ないので効率が悪い。このような樹種による特性を経験的に把握して、昔から薪炭林は萌芽更新により次世代の森林を育てていた。一家族あたり年に1反(約0.1㏊)程度の面積を一斉に伐採(皆伐)し、再生した林を15~30年の間隔で伐採してまた燃料に使うという、非常に効率的な「資源循環」を行っていた。定期伐採により遷移が止まり、クヌギやコナラを主体とする落葉広葉樹林として維持される。コナラやクヌギなど陽樹の生育には十分な日照が必要で、他の樹木が上層に茂った所では育たない。そのため、萌芽再生を促すには、一定面積の樹木を皆伐する必要がある。このような樹木の特性(光や水の要求度)を、昔の農民は十分に知って管理していた。生活や収入に関わる重要な技術だったからである。
岩殿C地区のクヌギと市民の森作業エリアのコナラの切株からの萌芽、ドングリからの芽生え(実生)の1年間の伸長を比べると納得できます。
 さて、森林の伐採や落ち葉採取が過酷な場合は、土壌の肥料成分が減るが、その貧栄養土壌でも育つことができる樹木がアカマツである。……アカマツ林は江戸時代以降、関西に広く分布しており兵庫県も例外ではなかった。
 マツ林も森林の植生推移が人為的に停止した状態である。燃料だけでなく、マツ材(アカマツの梁)やマツヤニなどの資源として重要であった。マツ類は痩せ地でも育ち、治山に適しているので、明治以降の六甲山の治山事業ではクロマツとアカマツが植林されてきた。しかし、今はマツ材線虫病(マツ枯れ)という外来の伝染病によってアカマツ林は急激に減ってしまった。また、マツ林の資源利用がなくなって林床に落ち葉が積もり、土壌が富栄養化した。そのためマツが枯れた後は広葉樹が育ちやすい環境となり、ナラ類やカシ類のほか、ソヨゴなどの常緑中低木が優先する林に変化する傾向がある。ここで注意すべきは店は、土壌の富栄養化によってマツが枯れるのではなく、伝染病で枯れた後に広葉樹が生育することである。病害の遷移への影響はこれまで注目されてこなかったが、実は自然の遷移よりもはるかに急激に、10~20年で植生が大きく変化するため、森林生態系に大きな影響を与えている。(伊藤一幸編著『エシカルな農業』92~95頁)
市民の森作業エリアでは尾根沿いにアカマツ林がありますが、伐採跡地には次世代のアカマツは育っていません。

里山保全と森林資源の活用(1) 12月30日

伊藤一幸編著『エシカルな農業 未来のために今すべきこと 神戸大学と兵庫県の取り組み』(誠文堂新光社、2016年10月)第1部地域農業の発展のための神戸大学の取り組み、7里山保全と森林資源の活用(黒田慶子)を市民の森保全クラブの活動と作業エリアを念頭に置いて読みました。筆者の黒田慶子さんは、神戸大学大学院農学研究科資源生命科学専攻応用植物学講座森林資源学研究室教授です。

里山保全と森林資源の活用(黒田慶子)
 里やまへの郷愁
 本来の里山管理は農業の一部
 森林の形成と資源利用の歴史
 人が使わなくなって起こった植生変化と樹木の伝染病
 野生動物の増加と森林被害
 将来を見据えた里山管理とは
 神戸大学農学部での「実践農学」(森づくりグループ)の取り組み
 森づくりグループの演習の内容と成果
 里やまの管理を再開するための地域への提案

本来の里山管理は農業の一部

 里やまとは日常生活に必要な燃料や肥料を採集していた場所で、勝手に樹木が生えていた森ではない。子孫が資源を永続的に採り続けることができるように、上手に管理されていた。樹木の太さは10㎝ほどの若い広葉樹と、同様に若いアカマツ林が大部分を占めていた。背の低い若木が構成する明るい森だったのである。森林というより、収穫期が長め(15~30年)の畑ととらえるのがむしろ妥当だと思っている。その一部には茅葺きに使うための草地もあり、それも禿げ山とままた違った資源採取地であった。以上の理由で、里山林の所有者は昔も今も農家(集落の共同所有も含む)である。……里山林=雑木林+アカマツ林=農用林+薪炭林という見方をしてほしい。近年、多くの人がイメージする里山は、「大木があって緑豊かな森」となっているが、今はむしろ、「緑が異常に増えすぎてしまった」ため、森林に生息する多様な生物にとって、あるいは森林管理上に好ましいとはいえない状況である。……
 森林には様々なタイプや用途がある。里山林とは農村の集落の周囲にある山林を指す。広義では集落近くの人工林も含めるが、一般には人工林を除いた部分を里山林ととらえることが多い。行政上の区分としてはこの里山の林を「天然林」あるいは「天然生林」に分類しているため(林野庁)、まるで原始林・原生林のような手つかずの森のイメージを持つ人が多いが、現在は自然に任せているという意味であり、「天然の林」ではない。人々が生活の資源として使い続けてきた林であり、森林のタイプとしては「二次林」、つまり原生林的な林を伐ったあとに形成された二次的な林である。本稿では里山二次林と呼ぶことにする。田畑の部分は、里山に対する呼び方として近年は「里地」と呼んでいる。(伊藤一幸編著『エシカルな農業』89~92頁)

伊藤一幸編著『エシカルな農業』目次

伊藤一幸編著『エシカルな農業 未来のために今すべきこと 神戸大学と兵庫県の取り組み』(誠文堂新光社、2016年10月)
エシカルな農業
エシカル(ethical)とは?英和辞典では「道徳上の」「倫理的な」を意味する形容詞。近年、英語圏では「環境や社会に配慮している様子を表す」という意味が加わってきた。神戸大学と兵庫県のエシカルな取り組みを紹介!

目次
はじめに(神戸大学農学部地域連携センター長 星 信彦)
第1部 地域農業の発展のための神戸大学の取り組み
1  篠山市と神戸大学の協働 (伊藤一幸・清野未恵子)
2 「丹波の赤じゃが」と「あかじゃが舎」(伊藤一幸)
3  耕作放棄地でできる野生梨のジャムやシロップ(片山寛則)
4  有機水田には新しい機械除草を (庄司浩一)
5  篠山市における大学と協働したサルの追払い施策
   -さる×はた合戦による餌資源管理-(清野未恵子)
6  黒大豆栽培における知恵の継承と創造 (山口 創)
7  里山保全と森林資源の活用(黒田慶子)
8  未来の但馬牛のために今すべきこと(大山憲二)
 コラム1.閉鎖育種を支える (福島護之)
 コラム2.神戸大学ビーフ (大山憲二)
9  人と農を取り巻く自然環境の歴史と在来作物の役割(坂江 渉・宇野雄一)

第2部 コウノトリを大切にする兵庫の農業
1  コウノトリの野生復帰とコウノトリ育む農法
(1) コウノトリの野生復帰(保田 茂・西村いつき)
(2) コウノトリ育む農法・生き物を育む稲作技術(西村いつき)
(3) 持続的水田抑草技術の確立を目指して、天然資材を用いた抑草法 (澤田富雄)
(4) 水田の生物多様性を求めて(戸田一也)
(5) 魚道の整備など生物多様性促進技術(青田和彦)
2  環境創造型農業の歩み(西村いつき)
3  ひょうご安心ブランドのモデル事例紹介(戸田一也)
(1) たつの市のバジル
(2) おおや高原の有機野菜
(3) 母子茶「茶香房きらめき」

まとめに代えて  (著者を代表して 伊藤一幸)
編集後記 (三浦恒夫)

見込み生産・在庫による食品ロス 12月25日

2010年度食品廃棄物発生抑制推進事業の報告書(日本有機資源協会、2011年3月)12~13頁に食品の製造から販売段階における食品ロスの発生要因がまとめられています。  
食品ロスは食品の特徴(消費期限・賞味期限、保存温度等)によって異なると考えられることから、ここでは食品の分類ごとに発生要因を整理した。

図 消費期限・賞味期限および保存温度に基づく食品分類の例
食品分類
  (1)賞味期限が数時間~2日程度の食品(惣菜、弁当等)
  (2)賞味期限が数日~1か月程度の要冷蔵の食品(日配品)
  (3)賞味期限が数か月以上の食品
      常温で保存する食品(缶詰・レトルト食品、菓子類等)
      -18℃以下で保存する食品(冷凍食品)

1 惣菜・弁当
惣菜・弁当などは、通常、受注してから生産するのでは納品に間に合わないため、受注量を予測し、欠品とならないよう多めに見込み生産を行う。この結果、販売できなかったものが食品ロスとなっている。また、営業時間の長期化が進み、惣菜・弁当なども24時間体制で製造・出荷する工場も増加しているが、消費期限を従前の製造年月日のように日付単位で設定すると、朝製造したものも夕方製造したものも消費期限が同じとなってしまい、品質の実情に合わないケースが生じる。

2 日配品
日配品は、販売量の管理や配送の効率化のために中間流通(卸売業)を経由しているが、賞味期限が短いことから、基本的に倉庫での保管が困難であり、中間流通における受注調整を行いにくいという特徴がある。このため、メーカーは販売量(注文量)を見込んで生産し、自社倉庫等において、小売店からの注文数に応じて出荷調整を行い、出荷している。
一方、小売店では売上予想に基づいて発注するが、実際の販売数は天候や近隣店での販売状況の影響を受けるため、発注量と販売量に大幅なミスマッチが生じると、売れ残った食品がロスとなる。

3 缶詰・レトルト食品・菓子及び冷凍食品
これらの食品は、メーカーが販売目標に基づき効率的な生産計画を立てて製造している。中間流通(卸売)による受注調整も可能で、先入れ先出しなど保管庫における適切な管理や、納入期限に近付いた商品を関係流通業者等に協力を求めて積極的に販売すること等により、ロスを出さないための対応が行われている。しかしながら、新商品などで販売目標と実販売量の大幅なずれ(見込み違い)や、適期に販売できなかった季節商品、大幅リニューアルした商品の旧版商品等が食品ロスとなっている。
一方、流通上の問題として、外箱の凹みや汚れ、日付の逆転等による受取拒否などがあり、これらは、商品の品質的には問題ないが、通常のルートでは販売することができない。

図 食品ロスの発生と課題
食品ロスの発生と課題

(1)賞味期限が数時間~2日程度の食品(惣菜、弁当、生菓子など)では、製造業では、発注分+αの見込み生産をするので、追加注文がなければ+α分は食品ロスになり、小売業では売れ残りが食品ロスになります。
(2)賞味期限が数日~1か月程度の要冷蔵の食品(日配品 豆腐、牛乳、ヨーグルト、プリン、ジュースなど)では、製造業では見込み生産による食品ロス、中間流通では追加注文に即応する在庫分が追加発注がなければ食品ロスに、小売業では売れ残りが食品ロスになります。
(3)賞味期限が数か月以上の長期保存ができる食品(缶詰、レトルト、菓子類、インスタント食品など)では、外箱の汚れや凹み、日付の逆転(先入れ先出しのルールにより、例えば12月25日製造の製品を納品した後、12月24日の製品は納品できない)、品質以外の基準による返品による新たな在庫が食品ロスとなっています。

食品業界では、製造業者、中間流通業者、小売業、それぞれが独自に需要量を予測して見込み生産、在庫、発注をしています。その結果、生産量や注文量が食い違い、廃棄や返品といったムダが生じています。そこで、需要予測の精度を高めて食品ロスを削減することが大きな課題となっています。



3分の1ルール(納入期限・販売期限・賞味期限) 12月24日

食品には、袋や容器に消費期限賞味期限のどちらかが表示されています。1995年までは製造年月日が表示されていましたが、 ① 国際規格との調和(包装食品の表示に関するコーデックス一般規格)、② 保存技術の進歩により食品を見ただけではいつまで日持ちするかわからない、③ 製造年月日表示が返品や廃棄を増大させているという理由から期限表示に変わりました。

消費期限は、袋や容器を開けないままで、書かれた保存方法を守って保存していた場合に、この「年月日」まで、「安全に食べられる期限」のこと。弁当、調理パン、そうざい、生菓子類、食肉、生めん類など品質がいたみやすい食品に表示されています。

賞味期限は、袋や容器を開けないままで、書かれた保存方法を守って保存していた場合に、この「年月日」まで、「品質が変わらずにおいしく食べられる期限」のこと。消費期限表示の食品に比べて品質が劣化しにくい、スナック菓子、即席めん類、缶詰、牛乳、乳製品などに表示されています。賞味期限を過ぎても、すぐに食べられなくなるわけではなく、色やにおい、味などをチェックして異常がなければ、まだ食べることができます。

食べられるのに捨てられてしまう食品(食品ロス)を減らすために、食品製造企業では、製造方法の見直しによる賞味期間の延長や、容器の改良等によって食品のおいしさや鮮度を長く保つための技術開発をしています。

食品業界では、賞味期間を3等分して、最初の3分の1を納品期限、次の3分の1までを販売期限とする商慣習があります(3分の1ルール)。納品期限を過ぎれば、メーカーや卸売業者は小売店に食品を納品出来ません。スーパーやコンビニなど小売店の多くは販売期限に達した食品は棚から撤去して販売しません。このことは、できるだけ販売期間を多く確保し、売れ残りを少なくするとともに、消費者が購入後に賞味期限内に消費する期間を確保するといった、商品管理の観点からは効率的な方法であるといわれていますが、商品特性とは無関係に一律に導入されている点で、食品ロスの発生につながっています。(農林水産省「食品小売店における納入・販売期限の設定事例について 食品小売業界からの聞き取り」2008年9月)。
抜粋37

そこで、食品ロスを減らすために、納品期限を3分の1から2分の1に延長したり、販売期限を小売店において設定する方向で3分の1ルールの見直しがすすめられています。
抜粋40

※井出留美『賞味期限のウソ 食品ロスはなぜ生まれるのか』(幻冬舎新書432、2016年10月)目次
第1章 賞味期限のウソ 
①卵は冬場57日間、生で食べられる 
②ほとんどの賞味期限は2割以上短く設定されている 
③なぜ企業は賞味期限をもっと長くできないのか 
④1日古いだけで納品が拒否される「日付後退品」問題 
⑤「消費期限」は過ぎたら食べない、「賞味期限」は食べられる 
⑥賞味期限より前に棚から撤去されてしまう「3分の1ルール」 
⑦賞味期限の切れた頃が一番おいしいものもある!?
⑧消費者のゼロリスク志向が賞味期限を短くさせている 
⑨賞味期限に依存しきるのはお金を捨てるのと同じ 

第2章 「これ食べられる?」を自分で判断する8つのポイント 
⑩免疫力の弱い人、健康状態が優れないときは要注意 
⑪すべての食品を怖がる必要はない 
⑫店頭で直射日光を浴びていたものは買わない 
⑬外食でも家庭でも「生もの」は要注意 
⑭「タンパク質」は栄養豊富な分、腐敗もしやすい 
⑮スルメもカビる! 水分量15%ラインを知っておく 
⑯揚げ物じゃなくても。「見えない油」にご用心 
⑰薄味ヘルシー食品は日持ちしない 

第3章 捨てるコストはあなたが払っている 
⑱なぜ食料不足の被災地で捨てられる食品があるのか
⑲コンビニがスーパーより高いのは「捨てる前提」だから 
⑳棚を商品でいっぱいにしておくコストもあなたが払っている 
㉑毎日大量にパンを捨てているデパ地下パン屋 
㉒恵方巻きもクリスマスケーキも、1日過ぎればゴミ 
㉓食品ロス大国日本、ロスの半分は家庭から 
㉔売れ残りのコンビニ弁当で貧しい子どもを援助してはいけないのか 
㉕京都市はなぜ15年でゴミを半分近く減らせたのか 
㉖ハンバーガー1個を捨てるのは浴槽15杯分の水を捨てること 

第4章 あなたは、あなたが「買うもの」でできている 
㉗「買う」とは、企業と商品に「投票する」行為 
㉘「よい自分」「よい社会」を創る買い方チェックリスト 
㉙あなたがどんな人間か、買い物カゴの中身でわかる 
㉚「買い過ぎていませんか?」と客を諭す英国のスーパー 
㉛「2020東京」で食品ロス削減はできるのか 
㉜なぜ日本ではドギーバッグが普及しないのか 
㉝「割安だから大サイズを買う」はかえってムダ 
㉞食べ方のマナーは習うのに「買い方」のマナーは習わない 
㉟空腹で買い物に行くと買う金額が64%増える! 

第5章 食べ物をシェアする生き方 
㊱大手スーパーの売れ残り食品廃棄を禁止したフランス 
㊲「おそなえもの」をシェアする「おてらおやつクラブ」 
㊳家庭で余っている食べ物を持ち寄る「フードドライブ」 
㊴「食品ロス」を「支援」に変える「フードバンク」の活動 
㊵郵便配達の人が食品を回収する「Stamp Out Hunger (貧困撲滅)」 
㊶低所得者がスーパーで飲食物を受け取れる「フードスタンプ」 
㊷余剰農産物の廃棄はなくせるか 
㊸店や企業の食品廃棄を「もったいない」と非難する消費者エゴ 
㊹スーパーはみんなでシェアする冷蔵庫
㊺自分が消費することで弱者や未来の人の食べる権利を奪わない 

今日から家庭でできる、食品ロスを減らすための10カ条 
あとがき 
主要参考文献 
※この記事の図は「食品ロスの削減・食品廃棄物の発生抑制」(農林水産省)から転載。

食品ロス 12月23日

日本国内で売れ残りや食べ残しによって捨てられる食品は2013年度推計で632万トンもあります。これは世界全体の食料援助量(約320万トン)の2倍に相当する量だそうです。
抜粋8抜粋9

食べられるのに捨てられてしまう食品を食品ロスといいます。食品ロスの発生には、直接的・間接的に様々な要因が複雑に関わっており、製造・卸売・小売・外食・家庭など、それぞれの立場で取り組むこと、協力しながら取り組むことを、できることから着実に進めていくことが大切だといわれています。
抜粋60
農林水産省、消費者庁、内閣府、文部科学省など、関係6府省庁がタッグを組み食品ロス削減国民運動(NO-FOODLOSS プロジェクト)という取り組みを始めています。
抜粋52
※「食べもののムダをなくそうプロジェクト(食品ロス削減に向けた取組) 」(消費者庁・消費者政策課)
※「食品ロスの削減とリサイクルの推進~食べものに、もったいないを、もういちど~」(農林水産省、2016年10月)食品ロスの現状や発生要因、削減に向けての取組み
※「世界の合言葉「もったいない」食品ロスを減らすために ひと工夫!」(政府インターネットテレビ)

※この記事の図は「食品ロスの削減・食品廃棄物の発生抑制」(農林水産省)から転載。

セイタカアワダチソウの刈取り時期の検討 10月3日

「草地の刈取り管理 9月27日」のつづきの部分です。

井手久登・亀山章編著『緑地生態学』(朝倉書店、1993年)4.生態学的植生管理 4.2草地の植生管理(前中久行)から

セイタカアワダチソウの刈取り時期の検討
 セイタカアワダチソウでは地下部への蓄積は8月以降にはじまる。それ以前では光合成生産の50~60%が葉へ振り向けられる(前中久行・平田伸一:景観管理を目的としたセイタカアワダチソウ群落の刈取り時期の検討、昭和57年度日本造園学会春季大会研究発表要旨、1982)。地下部への再蓄積が始まる以前に、光合成器官を取り除かれた場合には、地下部に残された貯蔵養分を用いて再び光合成器官を再生させる。このために刈取り後のセイタカアワダチソウの地下部重は図4.11のように減少する。地上部の成長に振り向けた地下部の貯蔵物質が回収される以前に刈取りが行われると貯蔵物質の収支は負となる。6月から9月まで時期を変えて刈り取った場合の成長シーズンの終わりにおける地下部の残存量は、地下部への蓄積が開始される8月に刈り取ったときに最も小さくなった。(153~154頁)
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 また刈り取る時期によってその後の成長や開花・結実の状況も異なった。すなわち6月刈や7月刈では、無刈と同じ時期に開花し、花序、草丈ともに小型化したために、鑑賞に適している。8月刈りでは開花期が約1か月遅れて花序はさらに小型化する(図4.12、4.13)。9月刈ではわずかに再生したのみで、開花しなかった。(154頁)
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 これらの結果からセイタカアワダチソウの消滅を目的とする場合には、6月に1度刈り取り、その後の地上部の再生によって地下部の蓄積養分を消費させ、さらに地下部への養分の蓄積がはじまる9月ごろに再び刈り取るのが効果的である。またある程度成長を抑制し、開花させるためには、6月または7月ごろ刈り取るのがよい。この場合に枯れ草を取り除く目的で、11月中旬以降に再び刈り取ることが望ましい。(154~155頁)
page155

岩殿F地区の耕作放棄地のセイタカアワダチソウ群落
(2016年10月1日撮影)
PA010010
セイタカアワダチソウの群落があるのは岩殿D地区、F地区の中の湿気っていない場所です。

『河川における外来植物対策の手引き』(国土交通省河川環境課、2013年12月)
Ⅲ 対策を優先すべき主な外来植物10種の生態的特徴と対策手法
 ハリエンジュ(別名ニセアカシア)、アレチウリ
 オオカワヂシャ、オオキンケイギク、オオハンゴンソウ
 ナルトサワギク、セイタカアワダチソウ、シナダレスズメガヤ
 ホテイアオイ、ボタンウキクサ



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