読書ノート

徳永桂子『日本どんぐり大図鑑』 11月15日

徳永桂子『日本どんぐり大図鑑』(偕成社、2004年)を読みました。京都科学読み物研究会編『本から自然へ 自然から本へ ~子どもと楽しむ生きものの世界~』(連合出版、2008年)で紹介されている本です。

徳永桂子『日本どんぐり大図鑑』目次
まえがき
一年じゅう緑の葉をつけるどんぐりの木(常緑樹)
 ウバメガシのなかま
  ウバメガシ
  チリメンガシ
 カシのなかま
  アラカシ
  アマミアラカシ
  シラカシ
  ウラジロガシ
  オキナワウラジロガシ
  アカガシ
  ツクバネガシ
  オオツクバネガシ
  ハナガガシ
  イチイガシ
 シイのなかま
  スダジイ
  オキナワジイ
  ツブラジイ
 マテバシイのなかま
  シリブカガシ
  マテバシイ
冬に葉を落とすどんぐりの木(落葉樹)
 ナラのなかま
  コナラ
  テリハコナラ
  ミズナラ
  ミヤマナラ
  モンゴリナラ
  ナラガシワ
 クヌギのなかま
  クヌギ
  アベマキ
 カシワのなかま
  カシワ
 クリのなかま
  クリ
 ブナのなかま
  ブナ
  イヌブナ
外国産のどんぐりの木
 ヨーロッパ~アジアのどんぐり
  イングリッシュッオーク
  セイヨウヒイラギガシ
  ロタンディフォリアガシ
  コルクオーク
  ロイコトリコフォラガシ
 北アメリカのどんぐり
  レッドオーク
  バーオーク
  ピンオーク
  ホワイトオーク
  バレーオーク
解説
 1 「どんぐり」って、どんな木?
 2 「どんぐり」と「お皿」
 3 日本のどんぐり、世界のどんぐり
 4 ブナ科は日本の自然林を代表する樹木
 5 植生遷移とブナ科樹木
 6 どんぐりの繁殖戦略
 7 ブナ科の樹木を食べる昆虫たち
 8 どんぐりの木を土に返す生き物たち
 9 ブナ帯文化と照葉樹林文化
 10 どんぐりの木とわたしたちの生活
どんぐりの大きさくらべ
用語解説
英文解説
和名さくいん・学名さくいん

前見返し どんぐりの木の見分け方(常緑樹)
後ろ見返し どんぐりの木の見分け方(落葉樹)
※渡部さんに紹介された資料です。
自然観察指導員・北岡昭彦さんの「これは何の木のドングリ?」(『自然保護』535号、2013年10月)

いわさゆうこ『どんぐり見聞録』 11月14日

いわさゆうこさんの『どんぐり見聞録』(山と渓谷社、2006年)を読みました。京都科学読み物研究会編『本から自然へ 自然から本へ ~子どもと楽しむ生きものの世界~』(連合出版、2008年)で紹介されている本です。

いわさゆうこ『どんぐり見聞録』目次
どんぐりと出会う-序にかえて
見る
 いろいろあるどんぐり
  ●どんぐりはブナ科の木の実
  ●どんぐりの背くらべ
  ●殻斗の違い
  ●どんぐりのからだ
 どんぐりの発芽に立ち会う-アカガシ、ミズナラ、ナラガシワなど
  ●アカガシとトキの赤ちゃん
  ●どんぐりの発芽
  ●のんびり発芽する常緑樹のどんぐり
  ●どんぐりを植えるときの注意点
 シイの木はわが家の守り神だった-スダジイ、ツブラジイ
  ●臭う花、匂う花
  ●寝ころぶと見えたもの
  ●伊豆大島のスダジイ
  ●花のたくらみ
 木の下ウォッチング-クヌギ、コナラなど
  ●下を向いて歩こう
  ●木の落とし物
  ●カラスの好物、スズメの好物
  ●ふり落とされる未熟な実
 どんぐり穴のあるじ-コナラ、クヌギ、クリなど
  ●ゾウムシのいろいろ
  ●ハイイロチョッキリとシギゾウムシ
  ●ハイイロチョッキリが枝を切り落とすわけ
  ●どんぐりのメッセージ
 どんぐりをまくのはだれ?-クヌギなど
  ●どんぐり好きな鳥は?
  ●どんぐり好きの動物は?
  ●どんぐりの海
  ●昨日の敵は今日の友、今日の友は明日の敵
 花は春とはかぎらない-シリブカガシ
  ●冬に花を咲かせる樹木たち
  ●シリブカガシとの出会い
  ●落下のときは親離れのとき?
 カシワは枯れ葉を離さない-カシワ
  ●冬でも葉が落ちないカシワ
  ●枯れ葉をつけてても、木が枯れるわけではない
  ●カシワの葉
 鳥と木の実とアカガシと
  ●ピラカンサの食べごろは?
  ●種子を守るために
  ●コゲラとアカガシ
  ●高尾山のどんぐりを運ぶのは?
 オータム、そして冬芽-コナラ、クヌギ、アラカシ、シラカシなど
  ●オータムがやってきた
  ●いろいろな冬芽
 マテバシイくん北上中-マテバシイ
  ●めざましい生長ぶり
  ●都市部を北上中
  ●マテバシイの季節
 炭の王様ウバメガシ-ウバメガシ
  ●備長炭はなんの木?
    備後屋長右衛門→備長
  ●松のように見えたウバメガシ
  ●ウバメって姥目、姥芽?
歩く
 絶滅危惧種ハナガガシ-ハナガガシ
  ●林試の森公園
  ●春のどんぐり
  ●芽を出せ! ハナガガシ
 初夏に落ち葉の高尾山を歩く-ウラジロガシ、シラカシ、アカガシ
  ●常緑樹だって落葉する
  ●葉の裏が白いのは?
 ハラハラドキドキの上水べり散策-シラカシ
  ●消えた赤い実
  ●丸裸になったシラカシ
  ●負けない、シラカシ
 日本一のどんぐりに会いに-オオウラジロガシ、アマミアラカシ
  ●オキナワウラジロガシに会える場所
  ●いざ、石垣島のバンナ森林公園へ
  ●発芽を楽しみに
 大きなクヌギのある家-クヌギ
  ●クヌギの木を訪ねて
  ●落葉の楽園
  ●クヌギの木に集まるものは?
  ●クヌギが私を呼んだ
 トトロの森を子どものワタシと歩く-コナラ
  ●きっかけは、どんぐり
  ●冬の雑木林
  ●幻は子どものワタシ
  ●歩こ、歩こ、私は元気
 まぎらわしいものたち-ナラガシワ、オオツクバネガシ、アベマキ
  ●京都府立植物園のナラガシワ
  ●片倉城跡公園のオオツクバネガシ
  ●クヌギのそっくりさん、アベマキ
 神宮の森のイチイガシに会いにいく-イチイガシ
  ●人工の森
  ●明かり係の木
  ●せつなる母の祈り
 イヌブナとブナの春の芽生え-ブナ、イヌブナ
  ●かいわれ大根の親分
  ●殻を持ち上げて発芽する
  ●ブナの芽生え
  ●春の妖精たち
 どんぐりの花追い-ブナ、クヌギ、コナラなど
  ●風媒花の観察
  ●高い木の花を観察するには
  ●ブナの花追い
  ●クマは春のブナの花数で凶作を知る?
 公園で見る外国からきたどんぐり-ピンオーク、レッドオーク、ヨーロッパナラ
  ●ピンオーク
  ●レッドオーク
  ●ヨーロッパナラ
食べる
 柏ってだあれ?-カシワ
  ●柏餅の葉もいろいろ
  ●葉っぱのごちそう
  ●カシワの不思議
  ●つまりカシワとは
 東北で復活したどんぐり食-コナラ
  ●どんぐり干しの記憶
  ●しだみのはな
 どんぐりコーヒーはおいしいか?-コナラ、クヌギ、マテバシイ、スダジイ
  ●どんぐりの早稲ってあるの?
  ●どんぐりコーヒーの下ごしらえ
  ●どんぐりコーヒーってどんな味?
  ●元祖どんぐりコーヒー
  ●試飲は続く
  ●夢のどんぐり産業
 おいしいシイの実-スダジイ、ツブラジイ、オキナワジイなど
  ●浄化水場のシイの実
  ●ところ変われば
  ●つぶらなツブラジイ
  ●トゲトゲ殻斗のシイ
  ●シイの実を楽しむ
  ●どんぐり酒
 縄文人の食材①クリ-クリ、イチイガシ、シリブカガシなど
  ●クリと縄文人
  ●カチグリ、オシグリ、スナグリ
  ●甘栗と生食できるどんぐりたち
 縄文人の食材②どんぐり-マテバシイ、イチイガシなど
  ●アク抜きの技術と縄文人
  ●下宅部遺跡
  ●どんぐりの貯蔵穴
  ●どんぐりでつくる縄文クッキー
 九州に見るどんぐり食を訪ねて-アラカシ、イチイガシ
  ●かしの実だんご
  ●婦人会の名物会長さん
  ●いちごんにゃくのつくり方
  ●持ちきれないほどのいただきもの
 どんぐり汁粉で今年もよろしく-コナラ
  ●野田村のしだみだんご
  ●野田村のどんぐりの渋抜きは
  ●どんぐりあんに挑戦
  ●どんぐり汁粉
  ●雪の下で
遊ぶ
 木の実拾いにはご用心
  ●台風の落としもの
  ●ぎんなん拾いにはご用心
  ●落ちたては重い
  ●どんぐり拾い道
  ●マテバシイの使い道
 染めのルーツはツルバミ染め?
  ●植物の薬効と布
  ●染料に使われたクヌギ
  ●どんぐりだんご
  ●どんぐり染め
  ●染めのヒント
 どんぐり展のすすめ
  ●大どんぐり展
  ●どんぐり虫の憂欝
  ●案ずるよりも……
 どんぐり炭を作ろう
  ●懐かしい匂い
  ●日本の炭
  ●どんぐりで炭を作ってみよう
  ●家でもできるどんぐり炭の作り方
  ●木の実炭アート
 作って遊ぼう、どんぐり工作
  ●Iさんのどんぐり人形
  ●どんぐりゴマとやじろべえ
  ●どんぐりで作る森の楽隊
  ●ファンタジックな生きもの
  ●どんぐり時計
  ●どんぐりで作るミニミュージアム
 どんぐりマニアの整理術
  ●集めたどんぐりの収納保存は?
  ●写真を撮る、ファイルする
  ●葉っぱのフロッタージュ
あれやこれや
 どんぐりの名前と由来
  ●どんぐりはまるいもの?
  ●だめなクリだから、どんぐり
  ●ブナ(橅)とイヌブナ(犬橅)
  ●どんぐりたちの名前と由来
 困窮を極めたあのころのどんぐり
  ●イナゴとり
  ●戦時中のどんぐり
  ●いまや困窮とは?
  ●普及しなかった、どんぐり粉
  ●木の実や種を握りしめ、動物園へ
 どんぐりの歌より
  ●どんぐりの歌は宮城県生まれ?
  ●歌い継がれている三番
  ●もうひとつの続きの歌詞
  ●西の金子みすゞ、北のスズキヘキ
 文学の中のどんぐり
  ●寺田寅彦の『團栗』
  ●昭和天皇の歌
  ●小林一茶
  ●どんぐりに託すもの
 縄文クッキーがうそなんて
  ●幻の縄文クッキー
 それは新聞によってもたらされた。記事のタイトルは「小・中学校で人気の縄文クッキー作り」「科学的根拠に強い疑問」とある。私は、むさぼるように読み進んだ。
 帯広畜産大学の中野益男教授は、山形県押出遺跡[おんだしいせき]から出土した縄文時代前期(約5000年前)の縄文クッキーに残された脂肪酸(残留脂肪酸)を分析し、「クリ・クルミの粉に、シカ・イノシシ・野鳥の肉・イノシシの骨髄と血液・野鳥の卵をまぜ、食塩で調味し、野菜酵母を加えて発酵させていた」と発表したが、この分析結果には化学的根拠がなく、そのうえ、これらの誤った知識が教育の場に広まってしまったことを憂う内容だった。(243~244頁)[新聞記事は下の※のリンクからご覧ください]
  ●鵜呑みは時として
  ●縄文クッキーから学ぶもの
  ●ふたつの仮説
  ●想像力と創造力が解決する
 エコロジーの使者
  ●豚とどんぐり
  ●どんぐりが旗印
  ●どんぐりの別の顔
あとがき
どんぐり本
参考文献
綴じ込み付録-どんぐり絵巻
●この本に出てくるブナ科の木の実たち 13頁
●どんぐりのからだと名称 14頁
●どんぐりからどんぐり粉をとる 143頁
●しだみのはなの作り方 143頁
●どんぐりコーヒーの作り方 149頁
●どんぐりクッキーの作り方 165頁
●いちごんにゃくの作り方 171頁
●どんぐり汁粉の作り方 177頁
●どんぐりで染めてみよう 192頁
●木の実の炭を作ってみよう 205頁
●葉っぱのフロッタージュ 216頁
●植物をスケッチする 216頁

2003年3月7日『朝日新聞』夕刊文化欄の記事「小・中学校で人気の縄文クッキー作り 科学的根拠に強い疑問」 「誤り」の流布 今後に活かせ 岡安光彦(アークビジョン代表・考古学者)

盛口満『ドングリの謎-拾って、食べて、考えた-』 11月12日

盛口満『ドングリの謎-拾って、食べて、考えた-』(どうぶつ社、2001年)のちくま文庫版(筑摩書房、2011年)を読みました。京都科学読み物研究会編『本から自然へ 自然から本へ ~子どもと楽しむ生きものの世界~』(連合出版、2008年)で紹介されている本です。

盛口満『ドングリの謎-拾って、食べて、考えた-』目次
パート1 拾いながら、考えたこと
 夢かなう
 子供の頃からドングリ拾い
 将来、何になりたいか
 ボルネオへ
 キナバル国立公園へ
 寂しく過ごした最初の夜
 僕を不安にさせたもの
 高い木に登るには
 はるかに高い木の上の営み
 ぐらぐらゆれる吊り橋の上で
 熱帯の森を実感
 世界最大の花を見る
 世界最大級のドングリ拾い
 ドングリって何なんだ?
 ドングリという木はあるか、ないか?
 ドングリの「定義」
  ブナ科全体?
  コナラ属、マテバシイ属、ブナ属?
  コナラ属、マテバシイ属、シイ属?
  コナラ属、マテバシイ属?[著者○]
  コナラ属だけ?
 大ナラ小ナラ
 堂々の巨大ドングリ
 はなはだしい“本末転倒”
 ドングリは果実か種子か?
 果実のようなタネもある
 タネのような果実もある
 石のように堅い果実
 イガとハカマは同じもの
 登山で見つけた奇妙なドングリ
 舌を巻くがんじょうさ
 ドングリの虫
 ハイイロチョッキリ
 コナラシギゾウムシ
 “同じような生活”をしていると
 弱点を見逃すな
 納得いかない変な写真
 “無敵”のように思えるけれど
 我が身を犠牲にすることもある
 ヤマアラシを味方につける
 砂漠で拾ったドングリのこと
 ドングリは英語でエイコン
  The Life of an Oak: An Intimate Portrait by Glenn Keator
 ドングリに“故郷”を思う

パート2 食べながら、考えたこと
 マテバシイのドングリを食べる
 クッキーやキントン作り
 渋いものと渋くないもの
 “旬”の味覚
 虫がつくもの、つかないもの
 ロウソクも作ってみたが
 食べてほしい相手のために
 渋抜きをどうするか
 クズ湯、ゼリー、コンニャク、トウフ
 クレープ作りは美事に失敗
 もう一工夫してみたら
 いろんな種類を試食する
 元祖縄文クッキング
 できる年とできない年
 七年間の意外な結実
 当たらなかった僕の予想
 豊作年と不作年
 花の咲かない年がある
 いっせいに花が咲く時
 なぜ、どのようにして、それが起こるか
 生きるための知恵くらべ
 一方的な“勝ち”はない
 見渡せば、不規則でまちまち
 毎年拾えるマテバシイ
 ドングリの花
 虫媒花と風媒花
 幻のカクミガシ
 三角形の果実が三つ
 それはブナ科のシーラカンス
 一軒長屋に三人住まい
 一つの実には一つの種
 アカネズミ現る
 彼らをその気にさせる大きさ
 存在の秘密の鍵
 もう一つ不思議なこと
 見方を変えれば“はずれ者”
 矛盾の中にバランスを

パート3 そして結局、こうなった
 西表島へ
 日本最大のドングリ拾い
 南の島に分布する
 遠い遠い昔のできごと
 ドングリコロコロ……川の中
 マテバシイは“心のふるさと”
 名前の由来
 目的は食べること
 今どきの17歳の女の子
 ささやかな予期せぬ出会い
 食べる人と食べさせる人
 一時代昔の話
 それは当時の日常食
 えんぴつの味がする
 様々な渋抜き法
 アイヌ人のドングリ料理
 渋さがうまい!
 命がけで拾ったもの
 僕を呼ぶ遠い声
 鳩間節
 ハマグリとドングリと
 その詩の背景にあるもの
 沖縄が呼んでいる
 迷いに迷って出した結論
 そして結局、こうなった

 最後に一言
 文庫版あとがき
 解説 チチ松村
※盛口満『ひろった・あつめた ぼくのドングリ図鑑 -ちしきのポケット 12』(岩崎書店、2010年)

盛口満『ひろった・あつめた ぼくのドングリ図鑑』 11月12日

盛口満『ひろった・あつめた ぼくのドングリ図鑑 -ちしきのポケット 12』(岩崎書店、2010年)を読みました。

盛口満『ひろった・あつめた ぼくのドングリ図鑑』目次 
形いろいろ
色もいろいろ
ふつうのドングリ
珍しいドングリ
大きい・小さい・丸い・細い
山のどんぐり、ふもとのドングリ
 ミズナラ
 フモトミズナラ
  ミズナラによく似ているが、山のふもと(低いところ)に生えている謎のドングリ
おいしいドングリ
  この本では、ドングリの中にシイの実をふくめていませんが、考え方によっては、シイの実をドングリにふくめる場合もあります。スダジイ、オキナワジイ、ツブラジイ
葉っぱ、いろいろ
  日本には全部で17種類のドングリがある
  ドングリをつける木々以外にも、ブナやクリ、シイといった木がある
枝ごとドングリ
ボウシ図鑑
ドングリ・クローズアップ
ドングリの解剖
公園のドングリ
雑木林のドングリ
海のドングリ
ジャングルのドングリ
街中のドングリ探検
日本ドングリいろいろ図鑑
世界のドングリいろいろ図鑑

宮國晋一『ポケット版ドングリさんぽ手帖』 11月9日

宮國晋一『ポケット版ドングリさんぽ手帖 ~名前と見分け方が楽しくわかる!~』(世界文化社、2018年9月)を読みました。

宮國晋一『ポケット版ドングリさんぽ手帖』目次
日本産ドングリ一覧
ドングリの各部の名称
この本の使い方と用語の説明
ドングリの花
ドングリの成長の推移
ドングリの採集時期一覧
落葉樹のドングリ
 コナラ 小楢
  コナラのドングリの多様性
   ミズナラとの識別ポイント
  コナラの葉の多様性
 クヌギ 椚
  クヌギのドングリの特徴
   アベマキとの識別ポイント
  クヌギのドングリの多様性
 column1 ドングリの芽生え
 アベマキ 棈
  アベマキのドングリの多様性
  アベマキの殻斗の多様性
   クヌギとの識別ポイント
 ナラガシワ 楢柏
  ナラガシワのドングリの多様性
 column2 ドングリを食べる虫 ハイイロチョッキリ
 ミズナラ 水楢
  ミズナラのドングリの多様性
   他の樹種との交雑種
 カシワ 柏
  カシワのドングリの多様性
   カシワの殻斗の変異
 column3 ドングリの標本を作ろう
 ブナ 橅
  ブナのドングリの多様性
   三稜形の堅果
 イヌブナ 犬橅
  イヌブナのドングリの多様性
 クリ 栗
  クリのドングリの成長過程
 column4 ドングリを食べてみよう
常緑樹のドングリ
 マテバシイ 馬刀葉椎
   堅い果皮
  マテバシイのドングリの多様性
 シリブカガシ 尻深樫
   シリブカガシのドングリの特徴
  シリブカガシのドングリの多様性
   マテバシイとの識別ポイント
 スダジイ 椎
  スダジイの葉の多様性
  スダジイのドングリの多様性
 ツブラジイ 円椎
  ツブラジイの葉の多様性
  ツブラジイのドングリの多様性
   スダジイとの識別ポイント
 シラカシ 白樫
  シラカシのドングリの多様性
 アラカシ 粗樫
  アラカシのドングリの多様性
 イチイガシ 一位樫
  イチイガシのドングリの多様性
 ツクバネガシ 衝羽根樫
   ツクバネガシのドングリの特徴
  ツクバネガシのドングリの多様性
 column5 ドングリ美術館
 アカガシ 赤樫
   アカガシのドングリの特徴
  アカガシのドングリの多様性
 ハナガガシ 葉長樫
  ハナガガシのドングリの多様性
 ウバメガシ 姥目樫
  ウバメガシの葉の多様性
   ウバメガシのドングリの特徴
  ウバメガシのドングリの多様性
   いびつな堅果
 column6 ドングリの殻斗の多様性
 ウラジロガシ 裏白樫
  ウラジロガシのドングリの多様性
 世界最大級のドングリ オキナワウラジロガシ
  オキナワウラジロガシのドングリの多様性
  オキナワウラジロガシの殻斗
外国のドングリ
 レッドオーク
 ピンオーク
 イングリッシュオーク
 コルクガシ
おわりに

宮脇昭『いのちを守るドングリの森』 11月7日

宮脇昭『いのちを守るドングリの森』(集英社新書、2005年)を読みました。

宮脇昭『いのちを守るドングリの森』目次
序章 ドングリの苗を植える
 1 植樹祭
 2 木を植える目的
 3 植樹に参加する人たち
 4 なぜ、ドングリの苗か

第1章 森と人間生活
 1 森と私のかかわり合い
  (1)周り中、緑
  (2)学問の対象としての緑
  (3)生態学にのめり込む
  (4)現存植生と潜在植生の違い
  (5)森の見分け方
   ⅰ 人工林
   ⅱ 里山の雑木林
 次に、里山の雑木林である。里山林は、木炭や薪にするため、15年から25年に1度行われる伐採や1ないし3年ごとの下草刈りや落葉かきという、粗放的ではあるが定期的な管理をすることにより、二次遷移の途中相として足踏み状態で維持されてきた典型的な持続群落である。
 土地利用、エネルギーの長期的、効率的な利用という観点からは、里山の雑木林は理想的であった。針葉樹は地上部を伐採すれば、その後は根まで腐って、切り株から蘖[ひこばえ]が5本の10本も出て、持続的な利用が可能である。農家の人たちは昔から、1本の切り株から出た萌芽を2~3本ほど残して他は切って燃料などに使っていた。
 このように里山の雑木林は必ず根元から株立ちしているのですぐわかる。自然林に近いシイ、タブ、カシ類の常緑広葉樹林や、山地のブナ、ミズナラなどの落葉広葉樹林では、株立ちはあまり見られず、1本の太い幹がほぼまっすぐに伸びているものが多い。
 また雑木林は落葉樹林で、高木の葉が繁る前に林内に日光が入る。そのため、定期的に下草刈り、落ち葉かきなどをしないと、本来は自然林で林内に急に光や風が入らないように森の保護組織の機能を果たしていた林縁に、群落構成種のクズやカナムグラ、半日陰、半日向に育つヌルデ、ウツギ、サルトリイバラなどが、また草原生のススキ、アズマネザサ(関西以西ではネザサ)などと共に林内に侵入して、いわゆる藪になる。
 里山を保全する場合には、誰が15年ないし25年ごとに伐採するのか、誰が1~3年に1回下草刈りや落葉かきをするのか、定期的な管理の担保が必要である。管理しなければいわゆるジャングル状態になって利用しづらい。外観も荒れた状態になる。木材利用などの目的で植林された人工林や、定期的に管理されている里山の雑木林は、管理を止めたとたんに藪になる、ということを知っておきたい。(37~40頁)
   ⅲ 土地本来の森
  (6)日本各地のマツ、スギ林
  (7)ダイナミックで安定した本物の森
  (8)都市に生活して
 2 命を守る鎮守の森
  (1)阪神・淡路大震災
  (2)ふるさとの森の計算化できない役割
  (3)体感するふるさとの森
  (4)日本の自然保護の歴史
  (5)自然保護から緑環境再生へ

第2章 植生の研究
 1 生物圏と植生
 2 生物圏における人間の位置
 3 植生と環境
  (1)外因:環境
  (2)内因:社会的な掟
  (3)競争力の強弱と分布
  (4)共生
 4 植生の区分
  (1)相観的な区分
  (2)優占種による区分
  (3)植物社会学的な群落区分-種の組み合わせによるー
 5 植生の空間的配分
  (1)水平的な配分-植生図-
  (2)時間的な配分
 6 日本とアジアの植生
 7 ヨーロッパの植生
 8 アメリカの植生
 9 現在の植生
 10 森づくりのステップ
  (1)植栽計画
  (2)樹種の選定
  (3)移植を可能にしたポット苗
  (4)種子(ドングリ)集め
  (5)播種の仕方
  (6)ポット苗をつくる
  (7)植栽対象地の準備
  (8)植え方-植樹祭-
  (9)植栽後の管理
  (10)森の成長に沿った対応

第3章 ふるさとの森づくり
 1 斜面の森
  (1)斜面保全
  (2)これまでの実例
 2 都市・産業立地の森づくり
  (1)産業立地
  (2)道路沿い
  (3)ニュータウン
  (4)公共施設
  (5)商業施設
 3 水辺の防災・環境保全林づくり
  (1)海浜
  (2)ダムと河川
 4 鎮守の森、教会の森
  (1)多神教のもつ意義
  (2)21世紀の鎮守の森

第4章 世界の森づくり
 1 東南アジア
 2 ブラジル・アマゾン
 3 中国とモンゴル
 4 人類の未来と森づくり

エピローグ 本物を目指して-不安の現代から希望の未来へー

参考文献
宮脇昭『森よ生き返れ』(大日本図書、1997年)

『ドングリ図鑑』(フィールド版) 11月6日

ドングリの図鑑』フィールド版(北川尚史監修・伊藤ふくお著、トンボ出版、2007年)を読みました。京都科学読み物研究会編『本から自然へ 自然から本へ ~子どもと楽しむ生きものの世界~』(連合出版、2008年)で紹介されている本です。

『ドングリ図鑑』目次
まえがき
ドングリの成長パターン
 1年成ドングリ、2年成ドングリ
ドングリ各部位の名称
 柱頭、花被、首、肩、殻斗、鱗片、へそ、総苞
  ウロコ状殻斗、リング状殻斗
ドングリのなかま(ブナ科)の特徴
1年成ドングリ/コナラの発芽と成長
 春・夏・秋・冬
2年成ドングリ/クヌギの発芽と成長
ドングリの成長
 春・夏・秋・冬
クヌギ
アベマキ
カシワ
ナラガシワ
コナラ
ミズナラ
ウバメガシ
イチイガシ
アラカシ
シラカシ
ハナガガシ
ウラジロガシ
オキナワウラジロガシ
アカガシ
ツクバネガシ
シリブカガシ
マテバシイ
ツブラジイ
スダジイ
クリ
ブナ
イヌブナ
殻斗の形でグループ分け
 ①殻斗は細長い鱗片に覆われるドングリ
   クヌギ、アベマキ、カシワ
 ②殻斗はドングリを包み込む熟すと3片や4片に裂けるドングリ
   スダジイ、ツブラジイ、ブナ、イヌブナ
 ③殻斗は全体が鱗片で覆われたドングリ
   コナラ、ナラガシワ、ミズナラ、ウバメガシ、マテバシイ、シリブカガシ
 ④殻斗は輪を積み重ねたしま模様で覆われたドングリ
   イチイガシ、アラカシ、ハナガガシ、シラカシ、ウラジロガシ、オキナワウラジロガシ、アカガシ、ツクバネガシ
 ⑤鋭く細長い棘で覆われた殻斗
   クリ(野生種)、クリ(栽培種)
ドングリを食べる幼虫
冬芽
紀伊半島で見られる不思議なドングリ
 葉柄の短いアカガシ
 鋸歯のあるツクバネガシ
 葉が白くないウラジロガシ
落葉を集める
ドングリに似た木の実
 トチノキ、ハシバミ、ツノハシバミ
インドネシア(ジャワ島)と中国(海南島)のドングリ
縄文時代の遺跡から発掘されたドングリの貯蔵穴
うまいドングリ、渋いドングリ
  虫食いドングリの見分けかた
 ①あく抜きをしなくても、炒ったり炊いたり、粉にして団子にしても食べられるドングリ
   クリ、スダジイ、ツブラジイ、マテバシイ、イチイガシ、シリブカガシ、ブナ、イヌブナ
 ②少し渋味があるので、水にさらし、アク抜きして粉にしてから食べる。アク抜きをせず小麦粉と混ぜてドングリ味のクッキーもできる。
   コナラ、ナラガシワ、ミズナラ
 ③青くさくて少し渋いので、ドングリの皮をはずし、水にさらしてアク抜きをして細かくつぶすか粉にして、何かに混ぜて食べる。
   カシワ、クヌギ、アベマキ、ウバメガシ
 ④渋柿ほどではないが渋い。皮をはずしてよく水にさらし、アク抜きをして細かくつぶすか、粉にして何かに混ぜる。
   アラカシ、シラカシ、アカガシ、ツクバネガシ、ハナガガシ、ウラジロガシ

大久保達弘編『ドングリ(コナラ)の絵本』 11月5日

まるごと発見!校庭の木・野山の木⑤『ドングリ(コナラ)の絵本』(大久保達弘編・アヤ井アキコ 絵、農山漁村文化協会、2016年)を読みました。

『ドングリ(コナラ)の絵本』目次
日本の森はどんぐりの木がおおう森
縄文時代から、くらしに身近だった木
 ●ドングリの語源と地方名
しゅるい
 ブナ科の一族の中のコナラ兄弟
 ブツブツ殻斗で落葉樹のナラ兄弟
 シマシマ殻斗で常緑樹のカシ兄弟
 世界に約300種 ヨーロッパでは「森の王」
そだち
 コナラの四季と成木にそだつまで
 春、新芽が開きはじめた!
  ●手入れされた雑木林に、春の妖精が花開く
 1本の木に雄花と雌花 風を頼りに受粉
 初夏から夏の枝葉ののび方
  ●身近な木と友だちになろう!
 昆虫たちが集まるコナラカフェ
 夏から秋、ドングリの成長
  ●ドングリとともに生きるコナラシギゾウムシ
 ドングリは、だれがまく? 冬越し作戦
さいばい
 ドングリを発芽させよう、苗を育てよう
 コナラの二次林と天然林
りよう
 薪、炭、落ち葉 雑木林の利用と手入れ
 炭焼きやほだ木に 材を使おう
  ●クヌギは、人とともに日本にやってきたのか?
 スイーツ、コーヒー ドングリレシピ
里山の木として、ともに生きる
 人に好まれ、利用されることで繁栄してきた木々が、わたしたちコナラや、クヌギなどです。
 わたしたちは、人里近い里山という環境の中で、人とともにくらすことで、生きてきました。
 わたしたちコナラのドングリは、ほとんどを虫や動物に食べられてしまいますが、それでも、毎年必ず芽生えます。切り株から萌芽して、新しい幹になることもできます。
 この強い繁殖力と、人に利用される価値をもったことで里山に広くくらしてきました。
 薪や炭としての利用がなくなって、人が森の管理をしてくれなくなった林に、近年、ナラ枯れという病気が猛威をふるっています。
 里山の雑木林は、物質的な資源としての価値だけでなく、人の心にも大きな癒しをもたらすものです。
 コナラが、これからも人里近くの山や林でくらしていくためには、人とわたしたちコナラとのよりよい関係を真剣に考え、管理のしかたをくふうすることがだいじです。
 福島第一原発事故の放射能の影響で、シイタケの原木としての価値や落ち葉堆肥への影響が心配されています。これからの日本が将来世代にわたって背負わなくてはならなくなった大きな問題です。
 未来へむけて、どうしたらさらによりよい雑木林と人との関係をつくることができるか、考えつづけてほしいのです。(38~39頁)

松原厳樹『落ち葉でしらべよう どんぐりのいろいろ』 11月4日

しぜんたんけんずかん(5)『落ち葉でしらべよう どんぐりのいろいろ』(松原厳樹 絵・文、小峰書店、1999年)を読みました。
 どんぐりとはブナ科のナラやカシの木の実(堅果)のことです。どんぐりはそれぞれがとてもよく似ているので、くべつをするのがなかなかむずかしいのですが、この本ではまず第一に、その木が常緑樹であるか落葉樹であるかに注目してもらいます。つぎに葉の形や色、樹皮のとくちょうをかんさつし、どんぐりのかくと(殻斗:はかまともいいます)についてもていねいにしらべることによって、種類がわかるようにしました。
 木の葉は上の方の枝と下の枝では形がちがうばあいがあります。また生長するとちゅうで色や形がかわることもあり、どれが典型的な形であるかをみつけることが重要になります。落ち葉はたいていのばあい成熟したもので、数も多く、そのうえ高いこずえの葉までまじっていますから、あつめてみくらべれば、典型的な形の葉をさがしだすのに役立ちます。
松原厳樹『落ち葉でしらべよう どんぐりのいろいろ』目次
どんぐりひろい
どんぐりのいろいろ
どんぐりのひみつ
 ○くらべてみよう【ヒマワリと】
どんぐりのなる落葉樹1 コナラ
 ○ゾウムシのいたずら
どんぐりのなる落葉樹2 ミズナラ
 ○オトシブミの芸術作品
どんぐりのなる落葉樹3 クヌギ
 ○どんぐりににている虫こぶ【クヌギタマフシ、ナラタマフシ】
どんぐりのなる落葉樹4 カシワ
どんぐりのなる常緑樹1 シラカシ
 ○シラカシとウラジロガシの葉をくらべると
どんぐりのなる常緑樹2 アラカシ
どんぐりのなる常緑樹3 アカガシ
 ○木のうろは動物のたいせつなすみか
どんぐりのなる常緑樹4 マテバシイ
 ○どんぐりごまにきれいな色をぬるには【下塗りに白色のジェッソをつかう】
どんぐりのなる常緑樹5 スダジイ

森廣信子『ドングリの戦略』 11月3日

森廣信子『ドングリの戦略』(八坂書房、2010年)を読みました。
ドングリの気持ちで森を見る! 食べ尽くそうとする動物との攻防、木と木の間の駆け引き、一本一本の木の個性的なふるまいなど、森の営みを象徴する「ドングリ」のすべて(書籍の帯より)。

森廣信子『ドングリの戦略』目次
1章 人はなぜドングリを拾うのか
 雑木林にて
 栄養としての魅力
 人、ドングリを食べる
 ドングリの謎

2章 ドングリとは何か
 クリもドングリの仲間
 どこで出会える?
 【コラム】分類と種
 日本のドングリ
  コナラ属
  マテバシイ属
  シイ属
  クリ属
  ブナ属
 世界のドングリ
  北半球
  南半球
 ドングリの誕生
 ドングリの形と大きさに見られる個性

3章 奥多摩のドングリ
 奥多摩の森
 ドングリの個性が気になる
 落下量を調べる
 【コラム】ドングリの数を調べる方法
 調査の始まり
 さまざまな落下物
 落下パターン
 気象の影響
 ドングリの重さが変わる
 枯死する母樹たち
 間伐の影響
 実のなる年ならない年
 結実変動の大きさを比べるには
 木と木は同調しているか
 同調の広がり
 種間同調

4章 ドングリをめぐる動物たち
 動物に狙われるドングリ
 樹上の昆虫
  ハイイロチョッキリ
  コナラシギゾウムシ
 樹上の哺乳類と鳥
  ツキノワグマ
  ニホンザル・ニホンリス・ムササビ・ヒメネズミ・カケス
 地上の動物たち
  ツキノワグマ
  ニホンジカ・イノシシ・ニホンリス
 夜の森の動物たち
 食物の貯蔵
 貯蔵の仕方
 貯蔵食糧の量
 哺乳類のことはわからない

5章 タネをまく木々-生き残り戦略-
 果実がおいしい理由
 種子散布
  風の利用
  水の利用
 動物の利用
  その1~4
  自動散布
 散布によって種子が動く範囲
 ドングリは転がらないほうがいい
 結実変動は、動物にどんな影響を及ぼすか
  コナラシギゾウムシの場合
  コナラシギゾウムシの休眠期間
 大型動物はどうか
 野ネズミには影響が大きいか
 選ばれるために
  八王子の森のリス
  八ヶ岳の森のリス
  奥多摩のリス
 苦いドングリは体に悪い
 動物はドングリを味で選ぶか
 味と大きさで動物をあやつる
 選ばれやすさが変わる?
 ブナ科の祖先の種子散布
 ブナ科の果実の進化
 【コラム】ブナ科の分類と分布
 形の経済
 ドングリが大きくなったわけ
 東アジアの森のドングリの進化
 栄養と渋味の多様化

6章 結実変動があるのはなぜか
 結実変動が起こる原因を探る
 結実変動の多様性
  熱帯林の一斉開花
  タケの一斉開花・結実
  同調繁殖
  同調繁殖の広がり
  結実変動の周期性
 結実変動の要因は何か
  仮説①風媒花の受粉効率
  仮説②捕食者飽食
  仮説③環境予測
  仮説④資源適合
  仮説⑤動物送粉者
  仮説⑥ 動物散布
  仮説⑦繁殖の付帯コスト
  仮説⑧大型種子
  風媒花の受粉効率仮説の検討
  捕食者飽食仮説の検討
 植物によって異なる事情
 同調繁殖を導く要因

7章 個性的な木々
 「ドングリの背比べ」はほんとうか
 ドングリの重さを比べる
 野生の樹木が持つ豊かな個性

8章 駆け引きする木
 豊凶を作る個体
 風媒花の受粉効率仮説に関する「井鷺モデル」
  エネルギーの蓄積と消費に関する仮定
  不作は受粉失敗によって起こるか
 樹木の生長とドングリ作り
 樹木の死
 間伐からの再生過程でのドングリ作り
 ドングリを作る意味

9章 ドングリをめぐる複雑な関係性
 一対一の関係
 第三者の介入
 貯蔵をめぐる争い
 結実変動の大きさの解釈
 失われた関係性
  東京都最奥の森のドングリ
  共存するドングリの関係

あとがき

※奥村みほ子「堅果-森のネズミの冬の食料-」(大日本山林会『山林』2008年1月号)

※林典子・井上真理子・大石康彦「アカネズミの食性調査手法の簡易化と環境教育における利用の試み」『森林総合研究所研究報告』10巻3号、2011年)

小田英智『ドングリ観察事典』 11月2日

自然の観察事典⑯『ドングリ観察事典』(小田英智構成・文 久保秀一写真、偕成社、1998年)を読みました。京都科学読み物研究会編『本から自然へ 自然から本へ ~子どもと楽しむ生きものの世界~』(連合出版、2008年)で紹介されている本です。

ドングリをみつけに雑木林にでかけてみませんか。[カバーより]
 ●ドングリのなる雑木林って、どんな林なのでしょう。
 ●細長いドングリや丸いドングリがあるのは、なぜ?
 ●ドングリの実は種子です。
 ●ドングリの花をみたことがありますか?


小田英智『ドングリ観察事典』目次
 雑木林にいってみよう
 ドングの実のなかまたち
 春をまつコナラの冬芽
 芽ぶきの季節
 コナラの花の季節
 新緑の季節のオトシブミ
 赤ちゃんドングリの成長
 緑のなかの小さな妖精
 幹の成長
 雑木林の樹液の広場
 秋にむかってそだつドングリ
 ドングリの実に産卵するゾウムシ
 色づいて落ちるドングリの実
 秋のみのりをまつ動物たち
 ドングリの実であそぼう
 落ち葉の世界
 ドングリの実の発根
 ドングリの実の春の芽ぶき

 さくいん
 食品としてのドングリ
 あとがき
あとがき
 ドングリの実がなる雑木林は、いつ行っても、なにか収穫があります。めずらしいオトシブミが葉をまいていたり、大きなクワガタムシが樹液をなめていたり、シギゾウムシが梢を飛んでいたり、いつでも期待を裏切りません。林をふきわたる四季おりおりの風や、かわいいドングリの実の成長も、楽しみの一つです。
 雑木林は、炭や肥料を得るために、人間がつくりだした林です。そのため、多くの昆虫だけでなく、鳥や獣たちにとっても安住の場所となっていました。
 しかし、燃料の炭は石油にかわり、落ち葉の肥料も化学肥料がつかわれるようになり、雑木林は資源としての価値を失いました。そして、多くの雑木林が宅地などに開発されてしまいました。残った雑木林も、人間の手によって管理されることなく、荒れはて、老齢化してきています。
 いま、私たちは、人工の都市空間のなかで、ある種の息苦しさを感じています。生命感の乏しい空間で、自然の息ぶきを求めています。近くに、まだ、ドングリの実がなる雑木林が残っていたら、いちど足を運んでみませんか。林の梢をさらさら鳴らしてわたる緑の風が、朽ちた落ち葉の豊潤な香りが、私たちをやさしくむかえてくれます。そこには、私たちが失ってきたものが、たくさんあります。
 豊かな自然の空気をたっぷり呼吸したら、ゆっくりと、こうした雑木林を私たちのまわりに再生させる妙案を考えてみようではありませんか。自然と人間の豊かな共存の方法を……。 (小田英智)

七尾純『ドングリ』 11月1日

自然たんけん⑮『ドングリ』(七尾純 構成・文 佐藤有恒 指導、国土社、1986年)を読みました。京都科学読み物研究会編『本から自然へ 自然から本へ ~子どもと楽しむ生きものの世界~』(連合出版、2008年)で紹介されている本です。

七尾純『ドングリ』目次
どんぐりがみのって
どんぐりのいろいろ
どんぐりをおとして
冬を越して


 芽ぶきの季節
  雑木林にいった日・いったところ
  見つけた花の○に色をぬりましょう
 雑木林は人工林
 お花とめ花
 風のたすけをかりて
  ためしてごらん・よくみてごらん[雄花]
  よく見てごらん・たしかめてみよう


 いっぱいに葉をひろげて
 木の一日
  どんな虫がくるかな? 見つけたら○に色をぬろう(日中・夜間)
 そだつ小さなドングリ[コナラとクヌギの比較]
 ドングリは実? たね?
  はかってごらん
  ためしてごらん
 葉やドングリを食べて
  オトシブミのゆりかごをさがそう
  ドングリを切ってみよう
  虫こぶをさがそう
  虫こぶを、見たとおりの大きさに、スケッチしよう
  虫こぶの大きさをはかろう


 ドングリの成長
 ドングリを切る
  ドングリをスケッチしよう
 クヌギは2年がかりで
 ドングリの成熟
 おちるひみつ
  ためしてみよう・よく見てごらん


 落ち葉にまもられて
 ドングリのひみつ
  そだててみよう
 冬の雑木林
 ●落葉のなかの虫たち
   フユシャクのかんさつ
   落葉をめくってみよう
   しげみをのぞいてみよう
   木のくぼみやすきまをのぞいてみよう

あとがき

あとがき
 太平洋戦争が終わりに近づいたころ、日本はとても貧しい生活をしいられていました。ほとんどの若者が戦争にかりだされていったので、田畑を耕すにも人手が足りず、少ししか食料を収穫することができなかったからです。
 そんなとき、四季折々にゆたかな食べ物をそなえてくれたのが雑木林です。雪解けにはタラの芽、ノビルの芽、春にはカタクリ、ワラビ、ゼンマイなどなど、細縄であんだカゴを背負って、雑木林を歩きまわったものでした。
 夏がくると雑木林は、ひもじさをわすれさせてくれるほどの楽しみをあたえてくれました。虫とりです。まだ暗いうちに起きだして、秘密の樹液の泉にでかけたものでした。
 そして秋はキノコ狩りやドングリひろい。キノコ狩りはお年寄りの役目、ドングリひろいは子どもの役目。兵隊さんに送る食料として、トラック3台分もひろわなければなりません。「こんなもの食べられるべかなあ……」といぶかりながらも、何日も雑木林をはいまわったものでした。そしてごほうびはキノコ汁。
 こんな思い出がしみついているせいか、大人になった今でもときどき雑木林を訪れないと気がやすまりません。しかしざんねんなことに、雑木林がつぎつぎに姿を消しています。人々の暮しが雑木林に依存しなくなったせいで、自然のゆたかさがかえりみられなくなったからでしょう。
 雑木林は2次林、つまり人間が自然と助け合って暮らした記念樹です。雑木林は今でも、人間が自然の一員として守らなければんらないルールを教えてくれます。わずかに残された雑木林に足を踏み入れるたびに、私の耳に木々のささやきが聴こえてくるようです。「これでいいのですか?」      七尾純

日高哲二『子どもとの自然観察スーパ-ガイド』④ 10月30日

 3  ドングリウォッチングの構成
  【コラム】最初が肝心
  【コラム】絵本を使おう
  【コラム】下見で決まる観察会の成否
  【コラム】観察を深める言葉のキャッチボール】
  【コラム】観察会の主導権は参加者にある】
   【コラム】最初が肝心(93頁)
 観察会の最初の10分間は、とても大切な時間である。この間に、参加者の気持ちをどれだけ今日のテーマに引きつけられるかで、そのあとがうまく流れるか、ぎこちないものになるかが決まるといってもいい位だ。観察会のはじめに、案内役のガイドが最初に口を開く瞬間は、参加者全員が注目し、期待する時である。長々とあいさつを続けたり、いろんな注意事項や連絡などに使うのはもったいない。簡単にあいさつを切り上げ、すぐに本題に入ろう。「おやっ」と思わせる意外な切り口で始めると、参加者を引きつけ、その後の観察にうまくつなげられる場合が多い。特に「ドングリウォッチング」といった漠然としたテーマの時には効果を発揮する。
   【コラム】絵本を使おう(95頁)
 最近は観察会に使える絵本が多く出版されていると感じる。斬新な視点から身近な自然を紹介する絵本を目にする機会が多いからだ。これらは絵が個性的で、大人も引きつける力を十分持っている。昆虫や植物の一部分を大写しにした写真や考え抜かれた構図で風景を撮影した本もある。どれも、大勢の人が一度に見るのに十分な大きさを持っている。
 自然を扱った絵本は、学校の図書館に入れておくだけでも子どもたちによい影響を与えると思う。しかし、観察会のガイドや先生が子どもと一緒に野外で使うともっと力を発揮することだろう。ふだんから、どんな内容の絵本があるか、図書館や本屋をのぞいておくと、きっと役立つ日がやってくる。
   【コラム】下見で決まる観察会の成(101頁)
 観察会の前には必ず下見を行う。これはとても大切。この時に、観察テーマやねらいに合わせ、参加者が面白く感じたり関心を示しそうなものを見つけておく。その後で、テーマやねらいが無理なく展開できる当日の流れを組み立てる。
 今回の観察会では、ドングリが落ちてすぐに根を出すこと、それを参加者に発見させることを柱に据えた。そこから発展させて、ドングリとほかの生き物とのかかわりをとらえ、ドングリから時間の流れを感じてほしかった。ただし、これは下見の時点で、直接観察できないとわかった。そこで、不自然な場所に見られる芽生えを見つけてその理由を考えたり、大木が生える場所に立ち、一粒のドングリから成長するまでの時間を感じるなど、頭の中で作業をつなぎあわせる手法を取ることにした。そのためには、下見の時に、それができる場所を見つけておくのである。
   【コラム】観察を深める言葉のキャッチボール(107頁)
 観察会では、参加者に「あれっ、何だろう」と思わせ、もっと知りたい、よく見たいと思う気持ちを起こさせることが重要だ。つまり、観察の動機づけをいかに行うかである。そのために、観察会当日までの間、参加者を自発的に動かす言葉を考える。さまざまな人の年齢や顔つきを頭の中で描き、いろんな言葉で、観察の視点や自然の不思議を投げかけてみる。そして、どれがいちばん彼らのひとみを輝かせるか想像する。うまくいきそうな言葉を思いつくと、忘れないように記憶する。メモはしない。当日はメモを読みながら案内できないので、ひたすら頭に入れる。
 話すと同時に聞くことも大切だ。ぼくは観察会の中で、説明をなるべく控えるように心がけている。その代わり、参加者にたくさんの問いかけを行っている。みんなが知っていて簡単に答えられるもの、誰でも観察すればわかる問いを考え使っている。それは、参加者から戻ってくる言葉を使いたいからだ。参加者が発する短い言葉の中に、観察を深めるための視点が含まれていたり、新たな疑問が見つかる。そこには、ガイドの言葉より、ほかの参加者を共感させ、動かす力がある。
   【コラム】観察会の主導権は参加者にある(111頁)
 ぼくは観察会の間、参加者の興味や関心がどこにあるのかを絶えず探っている。参加者の顔つきや雰囲気を読みながら、頭の中で言葉を選び使っている。だから、せっかく用意した言葉を使わずに終わることも多い。それでもいいと思っている。参加者の様子から判断して、次に予定していた観察に関心が向かないと感じたら、変更することだってある。だから、いつも事前に作った計画どおりに進行するとはかぎらない。
 大人と子どもが一緒の場合は、子ども中心に話をする。……
 歩く時は、小さい子どもや年配者に歩調をあわせるようにしよう。休憩時間を取ることも大切だ。その場の雰囲気をうまくとらえ、参加者が疲れる前に休む。休憩は何もしない時間ではない。気持ちのいい場所で、風や周囲の音に耳を傾ける時間を取ったり、遠くの景色を眺める時間を作ることで、観察しながら体や精神の疲れを取る。観察会の流れを断ち切らずに、参加者の判断で休めるようなさりげない配慮がほしいものだ。

日高哲二『子どもとの自然観察スーパ-ガイド』③ 10月30日

 3  ドングリウォッチングの構成
  ●ドングリ会議
  ●ドングリの話をしよう
  ●根はどこから出るのかな
  ●スダジイの子ども
  ●スダジイの子ども
  ●スダジイの森を歩く
  ●スダジイの大木の前で  
    ドングリ会議
……三宅島には、ドングリをつけるクヌギやコナラ、カシの木が一本も生えていない。この島でドングリと呼べるのはスダジイの実だけだ。今日のテーマは、秋の森でシイのみをじっくり観察し、面白い発見をしたり、シイの実から森のしくみを考えることだ。(85頁)

[こうやすすむ『どんぐりかいぎ』(絵・片山健、福音館書店)を読む]
   ドングリの話をしよう
「ここで、ドングリを好きなだけ拾ってください。15分くらいたったら、声をかけますから集まってくださいね」
「みなさん!たくさん拾ったようですから、こちらのテーブルのある場所に集まってください」
「イスに腰かけて、テーブルに拾ったドングリを広げてください」
「たくさん拾った人がいますね」
「ひとつひとつのドングリを比べてみましょう。形や大きさはどうですか。色に違いがありますか」
   根はどこから出るのかな
「さて、地面に落ちたあとのドングリはどうなっているか、もう一度林の中で見てみましょう」
「あれ。なんか実から出ている。芽かなぁ?」
「みなさん。ちょっとこちらに集まってください。ここに面白いものがありますよ」
「ほら、このドングリからひもみたいな、白くて長いものが地面に伸びているでしょう。これなんだと思いますか?」
 観察会は知識を伝達する場ではなく、自然の中に潜む不思議を見つけ出し、自身の観察や推理によって答えを導く過程を楽しむ場なのだ。(97頁)
「芽かな?」「いや、根かもしれない」
「実から出ているこの白いものは、どこに伸びているの」
「みなさんも自分で、根が出ているドングリを見つけてください。根はドングリのとがっている側と丸まっている側のどちらから出ているかも調べてくださいね。それと、芽が出ているものを見つけたら教えてください」
   ●スダジイの子ども
「ところで、今年の春に出た芽があったはずですが、気がつきましたか?」
「昨年はドングリが不作の年だったので、芽生えが少なかったのでしょう。それにしても、葉をつけるまでに成長するものは意外と少ないですよね」
   スダジイの森を歩く
 ずっと同じ場所で、下ばかり見ていたので、飽きてきた子どもがいるようだ。これから少し趣向を変え、歩きながら観察を続けることにする。(102頁)
 ぼくを先頭に、一行は池に向かう遊歩道を一列になって進む。今日は、参加者が多いので列も長くなる。ここまで、集中して観察を続けたので、リラックスした雰囲気が必要だ。観察会に詰めこみは禁物。集中はゆとりから生まれる。緊張とリラックスのメリハリを交互に保たせることが大切なのだ。参加者がお互い自由なおしゃべりができるように、全体への呼びかけはせずにゆっくり歩く。今日紹介したくて準備した観察項目は、あとふたつだけ。その場所に着くまで何も話す必要はない。(103頁)
 えぐれた部分の最も奥なので、落ちただけではこの場所に転がらないとすぐにわかる。一度道に落ちてから跳ね返ったとしても、かなり急な坂を上がらなければならない。林の中なので、強い風で吹き飛ばされたとは考えにくい。そうやって、自力で落ちた可能性を否定していると、「ヤマガラがくわえて運んできたドングリが、芽を出したんだよ」と子どもが答えた。(103~104頁)
「この芽生えは、ヤマガラの食べ残しかもしれませんね。それでは、ヤマガラがドングリを土の中に画す時、とがっている側と丸まっている側のどちらを先にして埋めこむんでしょうか」
「誰か、ヤマガラがドングリを隠すところを見たことはありませんか」
「それでは、推測するしかありませんね。もし、みなさんがヤマガラだったら、ドングリを土に埋めこむ時はどっちを先にしますか」
「ドングリにとっても、とがっている側が土の中にあれば、そこから根が出るので都合がいいよね。でも、本当のところはどうだろう? 確かめてみないとわからないね。これからヤマガラの行動に気をつけて、自分の目でドングリのどちら側を先に隠すか確かめてください」
 ぼくは、疑問はわからないままで残しておくことも必要であると考えている。気になれば自分で確かめたいと思うものだし、観察会の中だけですべてわかってしまうより、未解決部分がある方が、日常的に自然に目を向けるようになる。それが自然を見る目を養うことにつながっていくと思う。(105頁)
   スダジイの大木の前で
「これもスダジイです。こんな大きな木も始まりは一個のドングリでした。ほら、みなさんの足もとに落ちている実の一つですよ」
「毎年たくさんの実が落ち、その中から運のいいものだけが芽を出し葉を広げます。その中には、ヤマガラに運ばれ土の中に隠されながらも、食べられずに芽を出したドングリが含まれているかもしれません。でも、林の中には、小さいシイの木があまり見当りませんよね」
「何百年も生きられる木は、とても幸運の持ち主だと思います。たくさんんのドングリの中から、奇跡と言えるくらいの確率で生きている一個が、いま目の前に立つこの木です。そして、この木は多くの命を支えています」
 ここでは、小さなドングリを題材にしながらも、頭の中で自由に空想することで、時間と地理的な視野をぐっと広げられること。それから、スダジイが島にたどり着く過程を考えながら、自然を推理する楽しさとロマンを感じてもらいたかった。(112頁)
「じゃあここで、お一人ずつ、今日の感想を簡単に言ってください」
 いつも最後に、参加者から感想をもらうことにしている。これは、今日の自分への反省材料だ。参加者がどこに興味を持ち、何を感じたか、何が印象に残ったか、次の観察会に向けて参考になる話が多い。
 全員の感想を聞き終え、最後に一言。
「今日は、小さなドングリを通して、大路池のまわりの自然を見てきました。みなさんの家の近くでも、ちょっとしたことから、自然の面白さ、不思議がきっと見えてくると思います。家に帰ってから今日のことを思い出し、探してみてください。ありがとうございました」
 これは、ぼくの定番になっている終わりのあいさつ。自然観察は、観察会の中だけで行うものではない。本当は、日常生活の中で行うものだと思っている。それが、日々の暮らしをきっと豊かにしてくれるものだから。そうぼくは信じている」(113頁)

日高哲二『子どもとの自然観察スーパ-ガイド』② 10月30日

章末にある「観察会実施の流れ」から。スダジイしかドングリの木はない三宅島での観察会であることを忘れずに。

観察会実施の流れ
(115頁)
1 テーマとねらいを決める
2 日時、場所を選ぶ
3 参加者の想定
4 下見とプログラム作成
5 コース、所用時間の検討
6 備品の準備
7 観察会実施
8 反省

テーマとねらいを決める(114頁)
 ①ドングリの観察を通して、自然に興味、関心を持たせる。
 ②植物と動物の関係、森の成り立ちについて考えるきっかけとする。
 ③一粒のドングリが大木になるまでの時間の流れを感じさせる。

下見とプログラムの作成(114頁)
 ①ドングリには豊作の年と不作の年があることを知る(室内)
 ・読物によって、豊作年と不作年が訪れる意味を知り、ドングリに関心を持たせ、観察会の導入とする。
 ②ドングリを拾い、形、大きさ、色を観察する。
 ③実の色と違いがあることを知り、その意味を考える。
 ・黒い実と茶色の実があることに気づく。[以下略]
 ④木から落ちた実はどうなるか確かめる。
 ・地面に落ちた実から根が出ていることを発見する。
 ・芽は出ていないことを確認する。
  *実は落ちるとすぐに根を出し、春に芽が出る。
 ⑤前年に落ちた実の芽生えを探す。
 ・崖の途中や朽木の幹の中など、不自然な場所から発芽している芽生えを見つけその理由を考える。
 ・ドングリを隠すヤマガラの行動を知る
 ・ヤマガラがドングリを隠す様子を想像する。
 ・ドングリとヤマガラのかかわりについて考える。
 *ヤマガラにはドングリが大切な食糧になり、ドングリにはヤマガラが分散を助けている。
 ⑥一本の大木を見て考える
 ・大木を見ながら一粒のドングリから育つまでにかかった時間を感じる。
 ・大木が多くの命を支えていることを観察する。
 ・スダジイが三宅島にたどり着き、定着するまでの物語を想像し、観察会のまとめとする。

日高哲二『子どもとの自然観察スーパ-ガイド』① 10月30日

日高哲二さんの『子どもとの自然観察スーパ-ガイド』(築地書院、2001年)は11月18日に市民の森で実施する自然体験プログラムの企画にあたり読み込んだ本のひとつです。
ドングリの木はスダジイしかない三宅島が舞台ですが、第3章ドングリウォッチングは大変勉強になりました。プログラムの組み立てだけでなく、参加者との巧みな言葉のキャッチボールはすぐにでも使えそうです。
あとがきに
「あなたが、子どもたちと行っている観察会の様子を、言葉に注意して記録しておくといいわよ。子どもたちを動かす言葉が、大切なのよね。だって学校で自然を観察しようと思っても、なかなかやり方がわからないし、そもそも、何で観察するのか考え方がはっきりしてないもの。こんなことが書いてある本があればいいのに。ねぇ、記録がたまったら、本にしてだしてよ」
 ある日、アカコッコ館の観察会に参加した妻は、ぼくが家に帰るのを待ちかまえて、こう言った。これは、本書を書くきっかけとなった。(282頁)
ありますが、亡くなった奥様の願いを実現した作品になっています。

日高哲二『子どもとの自然観察スーパ-ガイド』目次
 はじめに
 本書の利用のしかた
1 伝えたいこと
2 三宅島
3 ドングリウォッチング
4 大路池[だいろいけ]へ行こう
5 見よ!植物のパワーを
6 みんなで一緒に自然クイズ
7 春を探そう
8 子どもと一緒に自然をみよう
 あとがき
 参考文献
 著者紹介

セイタカアワダチソウの刈り取り 10月24日

岩殿D地区の下の段のセイタカアワダチソウを刈り取りました。前回7月23日から2ヵ月ぶりです。10月18日に刈った岩殿F地区上段のものよりは、小型で開化が遅れていました。
PA250005

※井手久登・亀山章編『緑地生態学』(朝倉書店、1993年)4.2 草地の植生管理(前中久行)
(4)草地の植生管理の手法 b.刈取り
 刈取りの時期や間隔の効果は植物季節と関連する。たとえば一年生の好ましくない植物については、種子が成熟する以前に刈り取ることで防除できる。
 多年生の草本植物は一般に次のような生活サイクルをもつ。すなわち、前の生育期間に地下部に蓄えた貯蔵物質を用いて春に急激に葉や茎を増大させて初期生育を行う。この期間においては地下部の重量は減少する。その後、展開した葉によって光合成を行い、光合成産物を地上部器官の拡大に振り向ける。地上部の拡大に必要な量以上の光合成が行われた場合は、これを地下部に回収蓄積して次の成長期間に備える。これよりも短い間隔で刈取りを繰り返せば、その植物は持続されず、より短期間に貯蔵物質を回収できる植物種と置き換わることになる。
 セイタカアワダチソウでは地下部の蓄積は8月以降にはじまる。それ以前では光合成生産の50~60%が葉へ振り向けられる(前中・平田、1982)。地下部の再蓄積が始まる以前に、光合成器官を取り除かれた場合には、地下部に残された貯蔵養分を用いて光合成器官を再生させる。このために刈取り後のセイタカアワダチソウの地下部重は図4.11【略】のように減少する。地上部の成長に振り向けた地下部の貯蔵物質が回収される以前に刈取りが行われると貯蔵物質の収支は負となる。6月から9月まで時期を変えて刈り取った場合の成長シーズンの終わりにおける地下部の現存量は、地下部への蓄積が開始される8月に刈り取ったときに最も小さくなった
 また刈り取る時期によってその後の成長や開花・結実の状況も異なった。すなわち6月刈や7月刈では、無刈と同じ時期に開花し、花序、草丈ともに小型化したために、鑑賞にも適している8月刈では開花期が約1か月遅れて花序はさらに小型化する(図4.12、4.13)【略】。9月刈ではわずかに再生したのみで、開花しなかった。これらの結果からセイタカアワダチソウの消滅を目的とする場合には、6月に1度刈り取り、その後地上部の再生によって地下部の蓄積養分を消費させ、さらに地下部への養分の蓄積がはじまる9月ごろに再び刈り取るのが効果的である。またある程度成長を抑制し、開花させるためには、6月または7月ごろ刈り取るのがよい。この場合に枯れ草を取除く目的で、11月中旬以後に再び刈り取ることが望ましい。(153~155頁)

岩田好宏『植物誌入門 多様性と生態』第2章 9月30日

今日は、児沢の下の田んぼで田んぼの学校・教室の稲刈りを実施する予定でしたが、台風による降雨が予報されていたので、28日までに中止の連絡をいけぶくろ自然クラブとTOTOの皆さんにしました。

岩田好宏さんの『植物誌入門 多様性と生態』(緑風出版、2010年9月)「第2章 植物の光をめぐる争い」を読みました。岩殿D地区の下の段と上の段、岩殿F地区の上の段はセイタカアワダチソウの群落があります。この部分は土壌が常時湿気っていることはないので作付けが可能とみていますが、当面、セイタカアワダチソウの群落の拡大を抑止するために適切な時期に草刈りをしながら、モニタリングをしていくるつもりです。

 『植物誌入門 多様性と生態』第2章植物の光をめぐる争い目次
1、植物の基本構造 植物群落の生産構造
   門司・佐伯研究との出会い
   植物の基本構造 生産構造
   なぜ生産構造図というか
2、相対照度から生産構図を描く試み
   相対照度と積算葉量
   パイプモデル説
3、生産構造図から物質経済を読み取る
   数学モデル
   積み上げ方式
4、生活の基礎としての物質経済
   草原・森林の葉面積密度
   植物の経済生活を具体的にみる
5、植物の光をめぐる争い
   なかま争い
 セイタカアワダチソウは、地中に横に伸びている茎があり、そこから枝のように地上茎を垂直に伸ばして生育します。地上の茎はたがいの間隔を広くとっていませんから、密集した群落をつくります。また2mをこえる茎を伸ばしても、花期をむかえるまでは枝分かれしません。この地上の葉のついた茎は一本の個体のようにみえますが、地中の横走り茎でたがいにつながっていますので、個体ということはできません。当然のことながら最初の生育の時には前年に合成されて地中茎に蓄えられた栄養物資が利用されます。ですから地中の茎とそこから出ている地上部全体が一つの個体です。地上に出ているものは、その個体の部分ということになります。地上に出ているものは一つの個体ではありませんが、個体のような形態をして、後で紹介しますように、たがいに争いをしますので、便宜上、「地上個」というように呼ぶことにします。(68頁)
   なかま争いはあった
   争いに勝つのも生活がきびしい
   争いの過程を調べる
   茎の太さの意味
   なかま争いの結果と優劣を決める要因
 セイタカアワダチソウのなかま争いは、生きものにとってもっともきびしい、生きるか死ぬかという結果を生みだしました。調査結果の範囲でいいますと、第1回の調査日であった5月1日の時は、争いはさほどひどくありませんでしたが、つぎの1ヶ月も経たない5月27日までの間では発生していたと予想できます。この間に、あとから芽を出して生まれてきたものが多くあって、数のうえで読み取ることができませんでしたが、その一方で、すでに枯れ死んだものがいたと思われます。その後さらに1ヶ月経ったところでは、明らかに地上個数が減少し、それからさらに1ヶ月近い間に、減少はさらにはげしくなりました。7月9日から8月4日の間に半数以上のものが消えていました。
 もう一つ、生き残っているもののなかには、背丈がさほど低くないのにやせ細っているものが、多数みられました。それはさらに争いが続けば、まちがいなく枯れ死ぬという危機のなかにあるものたちです。
 こうした優劣の差別がどこから生まれたのかという理由も、つぎのようなこととわかりました。
 (a)冬越ししたあとの地上個の大きさのちがい
 (b)冬越ししたものと地中茎からのちに生育を始めたものとのちがい
 (c)以上の二つのことが原因しながら、光をめぐる争いに勝ったものと敗れたものとのちがい
 (d)地中茎から出た地上茎の太さのちがい (78~79頁)
おわりに
   環境が異なれば物質経済も変わる

生育地特性で草本を分類して、それぞれのグループがどこに生育しているかをマッピングし、それに応じて目標植生と管理のレベルを変える

高柳芳恵『わたしの研究11 どんぐりの穴のひみつ』 9月3日

高柳芳恵『わたしの研究11 どんぐりの穴のひみつ』(絵:つだかつみ 偕成社、2006年)を読みました。

高柳芳恵『わたしの研究11 どんぐりの穴のひみつ』目次
1 「どんぐり虫」との出会い
2 どんぐりの穴あけのひみつ、みつけた!
3 穴の数≠幼虫の数
※どんぐりもちのつくり方
4 どんぐりの穴の犯人をさがそう
5 魔法の部屋に守られて―シギゾウムシの幼虫は長生き
6 二種類のどんぐりの穴―シギゾウムシの産卵
7 小さなお母さんの大きな仕事―ハイイロチョッキリの産卵
8 そんなに食べて大丈夫?―ハイイロチョッキリは大食漢
9 とびだす蛹―ガのなかま
10 穴あけは他人にまかせて―寄生バチ
11 親子同居のマイホーム―キクイムシ
12 穴あけはできないけれど―虫こぶ
13 「どんぐりの穴」は、みんなちがう
14 「どんぐりの穴」からの贈りもの
あとがき
※高柳芳恵『わたしの研究11 どんぐりの穴のひみつ』紹介ページ
   →どんぐりの穴のひみつ|3年生|小学生のための読書案内|家庭学習研究社
   →しらべてみよう! | 国立国会図書館キッズページ

ドングリの本いろいろ 8月30日 

京都科学読み物研究会編『本から自然へ 自然から本へ ~子どもと楽しむ生きものの世界~』(連合出版、2008年)

〈目次〉
はじめに
科学と子どもたちのよりよい出会いのために
第1章 植物
 ヒマワリ つる植物 たね マメ ドングリ ジャガイモ やさい コケ・シダ
 【コラム】 【やさしい自然教室】←各章にあり
第2章 昆虫など
第3章 両生類 爬虫類
第4章 鳥類
第5章 哺乳類
後書きにかえて
やさしい自然教室の地図
つくる・あそぶ・実験
やさしい自然教室の歩み
読書会のテーマ

科学と子どもたちのよりよい出会いのために
 子どもの科学読み物は、科学の本質的なことがらを難しい言葉を使わずに、わかりやすく、そして興味を引き出すように工夫して書かれています。そこが私たち大人にもおもしろく魅力のあるところです。子どもが読んでおもしろいものは大人も楽しく読めます。その意味で、子どもの科学読み物は子どもはもちろんのこと、いろいろな世代の人たちがいっしょに楽しむことができる本だといえるでしょう。またそのような本の出版を私たちは望んでいます。(4頁)

 私たちは子どもの科学読み物という視点で本を選んだので、大人向けの本であっても、子どもが興味をもって読める本は取りあげました。ぜひ、図書館に行って、一冊だけでなく何冊か読んで、知りたいと思うテーマを深めてほしいと思います。……(5頁)

ドングリ(2003年11月読書会・担当:笠川 高嶋)
 林のどんぐり
  新日本動物植物えほん15
  広井俊男 文 伏原納知子 絵
  新日本出版社 1982年

 どんぐり
  フレーベルの科学えほん36
  米津景太 絵 岡本素治 指導
  フレーベル館 1983年

 どんぐり
  かがくのとも傑作選
  こうやすすむ 作
  福音館書店 1988年(1983年175号)

 どんぐりだんご
  かがくのとも特製版
  小宮山洋夫 作
  福音館書店 2004年(1984年187号)

 どんぐりかいぎ
  かがくのとも傑作選
  こうやすすむ 文 片山健 絵
  福音館書店 1995年(1993年295号)

 ドングリ
  えほん・フォトかみしばい13
  清水清 監修 七尾純 構成・文
  あかね書房 2001年

 山のごちそう どんぐりの木
  絵本〈気になる日本の木〉シリーズ
  ゆのきょうこ 文 川上和生 絵
  理論社 2005年

 カシの木
  ゴードン・モリソン 作 越智典子 訳
  ほるぷ出版 2006年〈2000年〉

 ドングリ
  自然たんけん15
  七尾純 構成・文 佐藤有恒 指導
  国土社 1986年

 ドングリ
  科学のアルバム
  埴沙萌 著
  あかね書房 1987年 新装版2005年

 ドングリ観察事典
  自然の観察事典16
  小田英智 構成・文 久保秀一 写真
  偕成社 1998年

 どんぐりノート
  いわさゆうこ、大滝玲子 作
  文化出版局 1995年

 落ち葉でしらべよう どんぐりのいろいろ
  しぜんたんけんずかん5
  松原厳樹 絵・文
  小峰書店 1999年

 ドングリ図鑑
  北川尚史 監修 伊藤ふくお 著
  トンボ出版 2001年 フィールド版2007年

 探して楽しむ ドングリと松ぼっくり
  森の休日2
  平野隆久 写真 片桐啓子 文
  山と溪谷社 2001年

 日本どんぐり大図鑑
  徳永桂子 著 北岡明彦 監修・解説
  偕成社 2004年

 ドングリクッキー 縄文時代の食事を体験しよう
  発見!体験!日本の食事!
  次山信男 監修
  ポプラ社 2002年

 森よ生き返れ
  ノンフィクション・ワールド
  宮脇昭 著
  大日本図書 1999年

 ドングリの謎 拾って、食べて、考えた
  盛口満 著
  どうぶつ社 2001年

 どんぐりの穴のひみつ
  わたしの研究11
  高柳芳恵 文 つだかつみ 絵
  偕成社 2006年

 どんぐり見聞録
  いわさゆうこ 著
  山と溪谷社 2006年

以上21册の本が紹介されています。

平岡豊『実践型農業マーケティング』 8月24日

平岡豊さんの『実践型農業マーケティング』(全国農業会議所新書2、2006 年8月発行、2012年5刷)を読みました。

  平岡豊『実践型農業マーケティング』目次
第1章 マーケティングの基礎知識
 はじめに 「マーケティング」をひとことで言えば
 1 マーケティングの基本的な展開
 2 マーケティング戦略を構成する「4つのP」
 3 消費者・市場・流通への目くばり
  (1)消費者はいろいろ
  (2)市場をどう捉えるか
  (3)農産商品の流通をどう構築するか
 4 実需者の動きに対応し、実需者の新しい動きをつくろう
 5 「認定農業者」と「農業経営」をどうとらえるか?
 6 2極分解していく中での「消費者・生活者」との関わり
 7 消費者・生活者への目くばり
     食に対しての対応
      ①頭脳タイプ、②五感タイプ、③心情タイプ
      ④胃袋タイプ、⑤財布タイプ
 8 「連携展開マーケティング」と「個別展開マーケティング」
  (1)連携展開マーケティング
  (2)個別展開マーケティング

第2章 農業マーケティングで重要な5つの力
 はじめに
     4P戦略(product price place promotion)
 1 状況力
  (1)社会環境
  (2)暮らしの変化
  (3)競合の多様化
 2 商品力  納得購入してもらうには
  (1)つくり保証
  (2)えらび保証
  (3)とどけ保証
  (4)ブランド
  (5)谷山農産物、優位差別化の3つのポイント
    ①鮮度
    ②風味と食感
    ③地域個性品
 3 情報発信力(広告力)
  (1)パブリシティへの目くばり
  (2)マスコミ、ミニコミ、クチコミの連動
 4 販売促進力
  (1)特定ルートコミュニケーション
  (2)マスベディア
    ①マスメディアイベントの仕組み方
     イベントのタイトルを面白くする
     絵になる工夫をする
     国際色のある大会にする
     公共性があること
     話題をつくる
     継続性を大事にする
     予告への工夫をする
    ②マスメディアイベントの目的ーたとえば、モノが違うことを実感してもらう
 5 組織力
  (1)プロジェクトマネージャー
  (2)情報担当
  (3)企画担当
  (4)渉外担当
  (5)広報担当
 効果をあげるマーケティングの実践のため「3×3適」への目くばり
  (1)適地・適作・適技
  (2)適量・適質・適価
  (3)適層(ターゲット)・適流・適時

第3章 農業者が主体的に展開するマーケティング活動
 はじめに マーケティング活動は5K力で推進しよう
 1 企画活動での5K力
  (1)行動力
  (2)考察力
    ①「雑学」を踏まえた「多視点考察」
    ②先進地視察プラス事例考察
    ③3つのキセイ概念から自由になろう
      キセイ1 既成概念
      キセイ2 規制概念
      キセイ3 気勢概念
        勢いに乗って深く考えずに行動を起こす
  (3)興味力
  (4)構築力
      「なにを」「だれに」「どのように」
      ①現状把握、②問題点の発見、③課題の明確化、④課題解決のための企画立案
  (5)協調力
 2 取引活動での5K力
  (1)交流力
      交流を高める損得、体面、好き嫌い
  (2)交渉力
    ①意味(コトバ)←→イメージ(絵)
    ②納品におけるマイナス3K=欠品失格、規格厳守、価格競争、への対応
    ③礼、理、利を踏まえた交渉力
  (3)協働力
  (4)改良力
  (5)完遂力
 3 社会活動での5K力
  (1)共感力
  (2)規範力
  (3)貢献力
  (4)共益力
  (5)共生力
 共通して必要なのは「継続力」
 「農業マーケティング」をはじめよう
   現状把握、問題点の発見、課題の明確化、課題解決のための企画立案
 心をこめて「観察」し、日常的にマーケティング活動を続けよう

第4章 マーケティングアイデア55
 1 農産物の使い勝手
 2 浅漬け、みそ汁の地位向上を
 3 消費者の「損得」「体面」「好き嫌い」
 4 加工グループ連携プロジェクト
 5 「レンジでおいしい焼き芋」の売り方
 6 「顔の見える農業」で成果をあげる
 7 目標数字で実現を具体化
 8 品切れをチームで防げ
 9 「モチの日常化」のヒント
 10 “また来たい”につながる未体験演出
 11 観光農園に平日客を呼ぶ
 12 牛乳鍋で消費拡大
 13 企業への通販で農産物を売る
 14 物語のあるギフトシステム
 15 周辺都市化を差別化に
 16 茶園見学者を顧客に
 17 ちょっとした手土産は300円まで
 18 知恵とセンスで施設をつくる
 19 大豆の研究で小学生と生産者が近づく
 20 「爽冷地野菜」のプロジェクト
 21 人気の棚田オーナー、次の展開
 22 イベントを盛り上げるスペインのジューサー
 23 総額5万円の花火大会が大盛況
 24 残り野菜を個人病院へ販促
 25 「高くても国産物」選らんでもらうには?
 26 ブランドとは、「責任」と「自信」の表明
 27 3つの保証でブランド化
 28 だれに売るかで変わる商品の味
 29 地元こだわり品種への愛着
 30 「正しい活動」で「良い噂」を広げる
 31 生産者と消費者共同で自給率をあげる
 32 農業経営者が連携してマーケティング活動を
 33 「卵かけご飯」に「江戸たまご」。卵もお土産に
 34 薬効情報で消費量アップ
 35 易しい言葉で語りかけ
 36 「コトバと絵」で風評被害防止へ
 37 話題素材提供でワイドショー広報を
 38 「明確なコトバづくり」を進めよう
 39 ブレンド米への消費者の誤解を解くには?
 40 効果抜群!「実需者」を生かしたPR手法
 41 テレビCMを戦略的にとらえる
 42 農産物直売所を情報発信の拠点に
 43 料理提案を活かす解説
 44 「情報発信プランナー」になろう
 45 お客様からの質問をきっかけに
 46 目くばりと工夫で経営改善
 47 時代の先を見越して対応する
 48 「習練」でプロとしての商品づくり
 49 「お箸づかいコンテスト」で消費拡大
 50 給食を「食育ランチ」にしよう
 51 10年後の大人の消費者を育てる
 52 地域連携の食育推進
 53 給食で食技練習、のススメ
 54 農業にも「インフォームド・コンセント」を
 55 百貨店の危機管理に学ぶ

マーケティングの4Pと農業マーケティング
農業経営診断実践マニュアルに関する調査研究報告書』(中小企業診断協会、2010年)87頁
●製品 (Product)
 ・作目、品種およびそれらの組み合わせ、 パッケージング、品質、 ブランド
 ・加工を加える (例:カット野菜にして業務用に販売)、サービスを加える(例:観光農園、直売所) 複合経営(栽培時期を組み合わせ、人や設備の繁閑期を平準化する、生産物を再利用する(藁→畜産→堆肥→米作など)
●価格 (Price)
 ・市場や JA(少品種多量、低マージン、価格不安定)と直売や直販(多品種少量、高マージン、価格安定)のバランス
 ・コストプラス型の価格設定がしっかりできていない。販売価格・仕入(資材)価格が市価により変動→リスク
 ・価格決定権の保持(直売所での販売、加工業者・外食産業との契約栽培)
●流通(Place)
 ・系統流通(JA)
  一般の流通(卸業者、加工・外食・小売との直接契約)
 ・重い、かさばる、鮮度が落ちる農産物の運搬コスト。
 ・作ってから売る(系統流通)から、売ってから作る(契約栽培)への移行。ブランド化できれば通販も有効。
●販促(Promotion)
 ・販売の方法・手法 (場所、人、宣伝)
 ・現状では、販売の現場では、品種×産地の「ブランド」が最も重視されている。商品の高付加価値化→目で見てわかりにくい「品質」「こだわり」「安全・安心」をどう伝えるか?→販促ツール、
販売員教育、自社販売などの検討。

宮脇昭『森よ生き返れ』 8月7日

宮脇昭さんの『森よ生き返れ』(大日本図書、1997年7月)を読みました。「環境保全林」、「ふるさとの森」、「いのちの森」、「潜在自然植生」など学んでいくことが増えました。

  宮脇昭『森よ生き返れ」目次
 プロローグ
1 森が死んでいく
   消えるまわりの木や森
2 なぜ森が必要なのか
 1 人間は森の寄生虫-生態系の一員である
 2 森は人類文明の敵だった?
 3 森の消滅と文明の興亡
 4 森と共生してきた日本人の歴史
 5 鎮守の森と日本文化
 6 森は災害を防ぐ-阪神・淡路大震災や酒田市の例
 7 魚を守る森
 8 環境保全と森
3 森から学ぼう
 1 森の姿-構造
 2 里山の森-雑木林
 3 二一世紀の鎮守の森-命と文化と遺伝子資源を守る森
4 ふるさとの木によるふるさとの森づくり
 1 土地の主役の木をさがす
 2 苗をつくろう-植物は根で勝負する
  (1)ドングリを拾う
  (2)苗床づくり-ポット苗づくり
  (3)木を植える-自然の森の姿を見習おう
   ①土の条件を調べる
   ②根は生きている
   ③植え方
   ④敷藁(マルチング)
   ⑤植えた後の手入れ
 3 足もとから地球の森を
 生物は、私たち人間を含めて、一年早く生まれた者を後の者が追い越すことはできない。そのことから一日も早く、その土地本来の森の主役になる木を中心に、できるだけ多くの樹種を混植、密植するべきである。日本各地の学校や地域から、一人ひとりが額に汗し大地に手を接して、たとえ幅が1メートルでも、エコロジーの脚本にしたがって、“ふるさとの木によるふるさとの森”をつくっていくことが大切である。……
5 木を植える世界の子どもたち
 1 日本
 2 マレーシア
 ……熱帯雨林は一度伐採、火入れして破壊されると再生は不可能ではないかとすら言われていた。そこで何とかすぐ育つ木を植えればという安易な考えの下に、もともとオーストラリアに自生していたユーカリの類やアメリカに生育している葉の長いマツ、テーダーマツやアカシアマンギウムなどよそものの木を植える。しかし、このような早生樹といわれる木は、一時的には早く生育するがあまり長持ちしない。しかも、土地に合わない木を植えても、その下には雑草など生育するが、土地本来の階層的に揃った森は形成されない。当然、何百年、何千年、何万年もの間、その土地本来の森と共生していた植物、虫や小動物も生きていけない。
 ……当時は植樹といえば、早生樹(早く大きくなる木)と名付けて外国から入れたユーカリ、アメリカマツしか植えられていなかった。私たちは、どうしても土地本来のフタバガキ科のラワンと呼ばれている木を植えて森をつくりたいと考えていたが、なかなか思うようにいかなかった。……
 3 タイ
 4 ブラジル-アマゾン
 5 チリ
 6 中国、マーアンシャン、万里の長城の森づくり
6 地球の命のドラマの主役は人間
 1 告発だけの時代は終わった
 2 主役は私たち人間-幕が降りてしまってからでは悲劇である
感想文
 ……そんな事を考えながら植えていくと、気になることが一つありました。私たちが植えた木たちが、高速道路を超えるほどの大木になった時、その周辺が、全部かげになってしまいます。そうなると、その周りの家の人たちは、そう音でいっぱいの、暗い木のかげの家に住むことになります。もしかして、木を植えて一つ環境を良くしたとしても、また一つ環境を悪くしたことになったんじゃないかなぁ、と思いました。こう考えると、環境問題はきりがありません。……
※「ドングリの本いろいろ」(2018年8月30日)

※7月24日、31日に続いて、今日は、公益社団法人日本環境教育フォーラム ・公益財団法人損保ジャパン日本興亜環境財団・損害保険ジャパン日本興亜株式会社共催2018 年度「市民のための環境公開講座」【パート1】「生きものの変化と気候変動を知る」を受講しました。


富山和子『森は生きている』 8月5日

富山和子さんの『森は生きている』(1981年発行の講談社版)を読みました。東京書籍の小学校5年生の国語教科書(下)の「森林のおくりもの」は、本書第1章「日本は森の国です」を基に,教科書用に書き下ろされたものです。

  富山和子『森は生きている』目次
〈おくりものがいっぱいです〉

日本は森の国です
 木のくらし
 木はどのようにつかわれたでしょうか
 木は生きものです
 紙のおくりもの
 火のおくりもの
 水と土のおくりもの

山国の人たち
 森林は人間がそだてました
 山国の人たちは、心のやさしい人たちでした
 山はとてもにぎやかでした
 山は神のすむ場所でした
 植林のはじまり

森林のはたらき
 森林は風をふせいでくれました
 森林は雪もふせいでくれました
 森林は気温を調節します
 森林は火事をふせいでくれました
 海岸林は国土をつくってくれました
 森林は海のさかなもやしなってくれました
 森林は風景をつくりだしてくれました
 外国の森林の歴史

土こそが人間を守る
 もしも山に人がいなくなってしまったら
 土こそが人間を守る

あとがき
 ……この「森は生きている」で、森林のもつさまざまな働きをさらにくわしく学び、自然をまもるとはどういうことかを、考えてほしいとねがったのです。
 歴史的にものを見るということは、大切な科学の方法です。ましてこの国土の自然を語る場合、歴史の眼を抜きにしては語れません。
 森林の偉大さとは、つまるところ土壌の形成者であるという点につきます。その土壌こそ、人間の労働の産物だったのです。木ばかり見ず、土を見なくてはなりません。土を養ってきた人間の歴史を見なくてはいけません。
 すでに「川は生きている」は多くの専門家も大人も読んで下さり、大学でもテキストに使っていただいています。同じようにこの「森は生きている」も、大人のみなさんにも読んでいただきたいとねがっています。心理はつねに、身近かなところにあります。子供も大人も共通して読める本を書くことのしあわせを、この三部作【『川は生きている』、『道は生きている』、『森は生きている』】をとおして私は教えられたのです。

生源寺眞一『農業がわかると、社会のしくみが見えてくる』 4月24日

生源寺眞一『農業がわかると、社会のしくみが見えてくる 高校生からの食と農の経済学入門』(家の光協会、2010年)を読みました。高校生から大学低学年の年齢の若者を想定して、世界の食料、日本の農業、そして毎日の食生活の三つの場面のつながりを、授業形式で判りやすく伝える本。3月末に改訂(新)版が出たそうです。

ホームルームの時間 授業を始める前に

1限目 食料危機は本当にやってくるのか?
 食料事情を左右する三大穀物と大豆
 「食料」と「食糧」
 何が食料価格高騰の原因か
 楽観論が後退した食料の見通し
 伸び悩む穀物の収穫量
 豊かになると穀物を食べなくなる
 食料は単純な予測の問題ではない

2限目 「先進国=工業国、途上国=農業国」は本当か?
 10億人が栄養不足
 「途上国=農業国、先進国=脱農業国」は正しいか
 食料を大量に輸入する日本は特異な国か
 広がる先進国と途上国の農業力の差
 低賃金でも優位に立てない途上国農業
 「緑の革命」にノーベル平和賞
 食糧不足のアフリカに必要なのは「虹の革命」
 農業保護で対立したアメリカとヨーロッパ
 農産物貿易をめぐる新たなルール作り
 先進国の農業保護を途上国が批判するわけ

3限目 自給率で食料事情は本当にわかるのか?
 食料自給率はひとつではない時代によって違う自給率低下の原因 ほか)
 時代によって違う自給率低下の原因
 自給率98%なのに栄養不足?
 大切なのは自給率より自給力
 安定した社会に欠かせない食料安全保障
 万能ではない市場経済と事由貿易
 問題は行きすぎた農業保護
 自給率に現れた日本農業の特徴

4限目 土地に恵まれない日本の農業は本当に弱いのか?
 土地が限られた日本にも元気な農業がある
 気がかりなのは飼料や燃料の価格
 世代交代が進まない土地利用型農業
 日本農業のシンボル=水田が消える?
 10ヘクタールは大規模か
 土地利用型農業の活路となる3つの工夫
 多彩なメンバーが支える農村コミュニティ

5限目 食料は安価な外国産に任せて本当によいのか?
 外国産が国産より安いのはなぜか
 日本に農業が必要なわけ
 お金に換算できないところに農業の価値がある
 いのちと向き合う面白さと難しさ
 もうひとつの宝は農村コミュニティの共同力
 遠くなった農業の現場
 真に豊かな食生活とは
 距離の拡大で見抜きにくくなったインチキ
 広がる農家の情報発信
 農業・農村との接点を取り戻す
 君自身が始める食と農の旅

授業を終えて 少々長めのあとがき

千葉学ブックレット『グリーン・ツーリズム -都市と農村の新たな関係に向けて- 』 4月18日

大江靖雄『グリーン・ツーリズム -都市と農村の新たな関係に向けて- 』(千葉日報社、2013年3月、762円)を読みました。「県土と県民の豊かな未来に向けて」出版された『千葉学ブックレット』の「都市と農業-4」で、都市と農村の混在する千葉県を舞台にグリーン・ツーリズムのあり方を探った本です。

  はじめに
第1部 グリーン・ツーリズムの社会的背景と意義
    国民的関心の変化
    都市と農村の関係とグリーン・ツーリズムの意義
    グリーン・ツーリズムの歴史と特徴
    わが国グリーン・ツーリズムの特徴
第2部 千葉の観光と農村資源の現状
    千葉県における観光の特徴
    千葉県の農林水産資源
    千葉県グリーン・ツーリズムの特徴
第3部 事例にみる千葉からの動き
    NPO法人千葉自然学校-統合型NPO組織の意義と役割-
    枇杷倶楽部-房州びわを活用した商品開発のコミュニティ・ビジネス-
    自然の宿「くすの木」-集落管理運営による交流施設-
    棚田倶楽部 鴨川大山千枚田-都市農村交流による地域資源の保全-
    鴨川農家民泊組合
    千草台園芸サークル-市民管理運営型の市民農園-
    谷当グリーンクラブ-交流による里山保全の経済的自立化を目指して-[やとう]
    須藤牧場-酪農教育ファームと交流型ファミリー・ビジネス-
    ペンション・スズキアグリ-定年帰農者による農林漁業体験民宿-
  むすび
  あとがき
 参考文献と文献案内-さらに知識を深めたい方々へ-

環境学習会・おもいやり経済システム~電力会社のサードウェーブ~ 3月11日

環境基本計画市民推進委員会主催「環境学習会2018」が市役所総合会館3階会議室でありました。「思いやり経済システム~電力会社のサードウェーブ~」をテーマに、講師はHappyEnergy株式会社最高執行責任者(COO)・西本良行さんでした。講演後の質疑では、「地域新電力」についての議論もありました。
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※所沢市:地域新電力設立へ『毎日新聞』2017年11月14日
所沢市は13日、再生可能エネルギーによる県内初の地域新電力会社「所沢新電力(仮称)」をJFEエンジニアリング、飯能信用金庫、所沢商工会議所と共同で来年5月に設立すると発表した。自治体が出資する地域新電力は各地で設立されているが、県内では初。同10月には市内の公共施設への電力供給を始める予定だ。【清藤天】
所沢市は13日、再生可能エネルギーによる県内初の地域新電力会社「所沢新電力(仮称)」をJFEエンジニアリング、飯能信用金庫、所沢商工会議所と共同で来年5月に設立すると発表した。自治体が出資する地域新電力は各地で設立されているが、県内では初。同10月には市内の公共施設への電力供給を始める予定だ。【清藤天】
所沢市は13日、再生可能エネルギーによる県内初の地域新電力会社「所沢新電力(仮称)」をJFEエンジニアリング、飯能信用金庫、所沢商工会議所と共同で来年5月に設立すると発表した。自治体が出資する地域新電力は各地で設立されているが、県内では初。同10月には市内の公共施設への電力供給を始める予定だ。【清藤天】
※埼玉県秩父市、4月に地域新電力会社を設立『日本経済新聞』2018年2月8日

 埼玉県秩父市は地域を限って電力を供給する「地域新電力会社」を4月に設立する。市内の発電事業者から電力を買い取り、公共施設に電力を供給する事業を2019年4月までに開始する。太陽光など再生可能エネルギーの普及を促すと共に、事業収益を地域活性化に役立てる狙いもある。 

 新会社の仮称は「秩父市新電力」で、資本金は約2000万円。市が50%以上出資し、地域新電力事業を支援しているみやまパワーHD(福岡県みやま市)や地元金融機関なども資本参加する予定だ。 

 みやまパワーHDはみやま市と共同で地域新電力会社を立ち上げた実績があり、秩父市の新会社でも運営ノウハウなどを提供する。市は1月末、同社と新会社の設立準備に向けて協定を結んだ。 

 新会社は太陽光などを使って発電している市内の事業者と契約し、日本卸電力取引所を通じて電力を調達。市内にある100を超す公共施設に電力を供給する。現在、公共施設の電力需要を調査している。 

 公共施設向けの事業が軌道に乗れば、企業や家庭向けにもサービスを広げる方針。将来は市内だけでなく、秩父地域1市4町から成る「ちちぶ定住自立圏」での事業展開も検討する。 

 市内にはごみ処理の際のエネルギーを利用した発電施設のほか、水力や太陽光による発電施設もある。現在、これらの施設でつくられた電力の大半は市外の電力会社や企業に売電されているが、市は地域新電力事業によって、エネルギーの「地産地消」を目指す。「市外に支払っていた電気使用料金を地域内で循環させ、地域経済の活性化につなげる」(環境立市推進課)狙いだ。 

 地域新電力の多くは電力需要の予測をコンサルティング会社などに外注している例が多いが、新会社はみやまパワーHDから予測システムを導入し、自前で需給を管理できるようにする。 

 電力事業で得た収益は地域の課題解決に活用する。高齢者の買い物代行サービスなど、社会問題を解決する事業を展開する方針だ。 

 電力の小売り全面自由化を受け、各地で自治体が出資する地域新電力会社の設立が相次いでいる。埼玉県内では所沢市が会社を設立する計画を示している。

※みやま市出資の新電力に黄信号『産経ニュース』2017年12月8日

 福岡県みやま市と民間企業が出資して平成27年に設立した電力小売り企業「みやまスマートエネルギー」(みやまSE、磯部達社長)が、債務超過の状態に陥っていることが7日、分かった。さらに労働基準監督署から、9件もの是正勧告を受けていた。「エネルギーの地産地消」をうたい、自治体新電力の草分けとして注目される同社の行き先に、早くも黄信号が灯っている。 (高瀬真由子)

                   ◇

 同日の市議会一般質問で、末吉達二郎市議が問題を指摘した。

 市議会に提出された資料などによると、同社の最終赤字は27年度が1700万円、28年度は1800万円。2年連続の赤字で、累積赤字は3500万円となり、資本金2千万円を上回る状態に陥った。

 大口顧客の獲得が計画通りに進まなかったことなどから、売上高が伸びなかったという。これまでの市側の議会答弁などによると、28年度の売上高目標は26億円だったが、実績は7億円だった。

 末吉氏は「会社を解散した場合、(市による)1100万円の出資が消える。三セクであり、負債の一部を市が負担することも考えられる。市長には重大な責任がある」と追及した。

 西原親市長は答弁で「この会社は年齢がたてばたつほど、どんどん黒字になる。心配しなくて結構です。債務超過は許容範囲だ」と強調した。

 市側は、29年度は最終黒字を見込み、30年度中にも、累積赤字はほぼ解消できると説明する。

 また市議会では、同社が10月、大牟田労働基準監督署から、労働環境改善に関して9件の是正勧告、3件の指導を受けたことが明らかになった。労働基準法に基づく労使協定を結ばないまま、時間外労働をさせていたという。同社には現在57人の従業員がいる。

 こうした問題に関し、市長の議会での答弁は、感情的になった。

 問題を指摘する末吉氏に対し、西原氏は「全国に(電力の)地産地消を広げようと、(磯部)社長が全国を飛び回っている。それに対し、不満分子が10人くらいおる。あなたは10人の意見を聞いて一生懸命になっている」と述べた。

 末吉氏は「労働管理の正常化など、建設的なことを協議していたはずだ」と批判した。

 市議会側はこれらの問題ついて、今後も追及する構えをみせる。

 ◆民業圧迫

 みやまSEは資本金2千万円のうち、市が55%、民間企業の「みやまパワーHD(旧・九州スマートコミュニティ)」が40%、筑邦銀行が5%出資する。

 28年に始まった電力小売り全面自由化で、家庭向け電力販売に参入した。これまでに3800件の契約者を獲得。電力は市内の太陽光発電施設や、卸売市場などから調達。一般社団法人「低炭素投資促進機構」からの交付金もあって、九州電力より割安で販売する。

 みやまSEは、自治体が行う「新電力」として、メディアにも多く登場した。福岡県八女市や鹿児島県肝付町に誕生した電力会社にも、電力を供給する。

 ただ、電力全面自由化から1年8カ月。不採算を理由に、電力事業から撤退する業者も現れた。

 電力事業は薄利多売であり、契約者を多く獲得する必要がある。顧客獲得には大手電力会社をはじめ他社との競争が待ち構える。みやまSEの先行きは険しい。さらに、市場原理から離れた中で事業を展開する同社に対し、「民業圧迫」との批判もある。

村谷 敬=村谷法務行政書士事務所・所長「地域新電力が挫折する理由~地産地消や地域貢献の徹底がカギ」(『日経エネルギーNext』2018年1月19日

失敗しない地域新電力の作り方(その4)シュタットヴェルケを知ろう
     (『パワーシェアリング電力コラム連載・地域新電力第19回、2017年12月13日)
 いきなり、ちょっと脱線します。
私は、数年前からドイツのシュタットヴェルケを紹介していますが、最近になってやっと日本でもこの言葉が市民権を得てきたように思います。ところが、その中身についてはまだまだあまり知られていません。一番困るのは、ドイツのシュタットヴェルケと最近設立が聞かれるようになった日本の自治体新電力とを混同してしまうことです。
【中略】
 一方で、日本の自治体新電力は、たとえ自治体が50%以上の資本を有していても、基本的にはお客さんゼロ(仮に自治体の全施設を供給先に出来ても地域全体では一部)からスタートしますし、発電施設などのインフラはほとんど持っていないのが当たり前で、配電網はありません。これらの差は驚くほど大きく、まずはこの2つは全く別物と考えるべきなのです。
 ということで、自治体主導で新電力を立ち上げる時は、十分に気を付けなければならないことがあります。簡単に言えば、慌てないことです。
 どういうことかと言うと、すぐにシュタットヴェルケになろうとしないことです。前述した通り、ドイツのシュタットヴェルケはインフラや顧客などのベースがしっかりしています。だからこそ、電力などのエネルギー事業の余剰金を赤字の交通などの事業に回せるのです。最初はよちよち歩きの自治体新電力に多くを求めると、あっという間に事業採算性を失ってしまいます。ですから、まずは電力供給事業にしっかり取り組んで新電力の基盤を作ることです。その後で、ゆっくり市民サービスなどに取り組めばいいのです。
【中略】
 これを書いているのは12月10日(2017年)の日曜日です。日曜日に仕事をするのは、私も良くないと思いつつ、まあ、その話は置いておきましょう。さて、おととい、ある新聞が、日本で最も有名な自治体新電力「みやまスマートエネルギー」の経営危機について書きました。その新聞は、再生エネなど新しいエネルギー地産地消の動きに後ろ向きのメディアですが、記事の根拠はみやま市議会でのやり取りなので、内容はほぼ間違いないでしょう。
結論から言うと、みやまスマートエネルギーが二年連続で赤字となり、資本金を超える借金で債務超過の状態だという事です。この業界(新電力業界??ってあるのでしょうか)では知らない人がいない自治体新電力なので、あっという間に話が広がっています。良くあるパターンで、自治体新電力やまとめて新電力自体は危ないというような流れにならないか心配もあります。
 それを回避するためには、なぜそんな状態になったかということを知る必要があります。記事によると債務超過の主たる原因は、予想した売り上げに到達しなかったこととなっています。私から見ると、あまりに大きい固定費のせいではないかと思われます。昨年度の売り上げがわずか数億円の会社に60名近い社員がいるというのは疑問です。小売電気事業は薄利多売のビジネスです。また、需給管理を自前でやることにこだわるのも固定費を増やす原因に見えます。
 当事者ではないので想像の域を出ませんが、このコラムで書いたように、リスクを最小限にするということの重要性を再度認識したニュースでした。
地域から流出するエネルギー費はいったいいくらなのか
                            (同上連載第10回、2017年7月26日)
  ◎環境省の地域経済循環分析自動作成ツール環境省HP「地域経済循環分析」
                ツールのダウンロード、マニュアル、サンプル(岩手県久慈市)

農泊シンポジウム2.0 2月21日 

農林水産省主催・時事通信社共催・観光庁後援「農泊シンポジウム2.0」(東京会場)に参加しました。
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農林水産省、観光庁から施策の説明があり、3本の講演がありました。
農泊とフードツーリズムを核とした滞在型田園リゾートについて(ANA総研・稲岡研士氏)

国内外の観光客が農泊地域に求めるもの(日本旅行・三好一弘氏)
  ・日本国内マーケット 30代~50代では店頭販売よりWEB販売が利用される傾向
                WEB販売における関東居住者の割合は人口比率よりも高い
                店頭販売ではファミリーの旅行が圧倒的シェアを誇る
  ・インバウンドマーケット成長の3つの要因
    環境的要因(円安の進行) 制度的要因(ビザの緩和) 政策的要因(海外でのプロモーション拡大)
    ①主要4市場(中韓台香)のシェアが増加 67%(2014年)→74%(2017年)
    ②伸び率mもアジア各国は顕著(2014年→2017年の伸び率)
        全体:214% 中国:305% 韓国:259% 台湾:161% 香港:241%
       →世界的に増加しているが、特に東アジアからの伸びが顕著
  ・インバウンドマーケット 訪日旅行の目的
    各地での体験を重視する欧米に比べて、アジアはまだショッピングや街歩き等観光の要素が強い
    今後はこれまでの日本人の旅行の変遷と同じ様に、欧米的な体験型へ
       →モノ消費からコト消費へ
  ・農泊に取り組むために
    ①自ら(自地域)を知る! 
      客観的データを様々な角度から読み解くことで、自地域での課題が見えてくる
      他地域を分析することも必要 
    ②同じ環境の地域はない! 
      似たような地域があったとしても絶対に違う
      他地域と同じことをやっても成功するとは限らない
      他地域の取り組みをベンチマークしつつ、自地域独自の取り組みを
    ③何かをすれば人がくるわけではない!
      頑張っているのは自地域だけではない
      他地域も頑張っているなか、効率的施策の実行が必要
      そのための分析が重要
  ・宿泊者(日本人)が農家民宿に求めること
    「食事」に関して、宿泊者が訪れた地域の食事を求めている
    農家民宿での「農林漁業等の体験」や「交流」は、独自の魅力である
    「食事面」では、地元産の食材や地域特有の食材を利用した郷土料理、伝統料理、行事食を希望
  ・宿泊者(日本人)の年代別にみた農家民宿に求めること
    20代から30代の宿泊者が「交流」を、40代から50代は「農林漁業等の体験」を求める傾向

農泊地域と旅行会社等との連携事例
    ~農泊地域と企業とのより良い連携に向けて~ (JTB総研・上田嘉通氏)

※「2015年度 観光と連携したグリーン・ツーリズムの推進報告書」(農協観光、2016年3月)

※「農林漁家民宿開業・運営の手引」(農協観光、2016年3月)

【1章】: 農家民宿開業に向けた準備について

【2章】: 農家民宿の開業手続きについて

【3章】: 宿泊者との関わり方について

【4章】: 安全管理について

【5章】: 関係者との連携について

【6章】: 外国人旅行者の受入れについて

【巻末資料】


※「2014年度 観光と連携したグリーン・ツーリズムの推進報告書」(農協観光、2015年3月)

緑のボランティア活動助成セミナー2018 2月17日 

本日の「ボランティア活動助成セミナー2018」は、NPO法人森づくりフォーラムが共催です。
話題提供として「森林ボランティアの進化と変化 -森林づくり活動実態調査・分析結果と今後-」(筑波大学大学院 ・富井久義さん)、「森林ボランティアの未来」(NPO法人よこはま里山研究所・松村正治さん)がありました。
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「森林づくり活動実態調査は1997年から3年ごとに継続され、森林整備活動を行っている団体・活動規模の推移と時々の活動団体の有する課題と必要な支援は何なのかを明らかにしてきました。
2015年調査は林野庁補助事業として森づくりフォーラムが全国3005団体に調査票を送り、1232団体から有効回答がありました。この調査の結果と分析については、『森から人へ、人から森へ ~森づくりの活動の今とこれから~』(「森づくり政策」市民研究会、2015年3月)、『森づくり活動の一歩先をめざして』(NPO法人森づくりフォーラム、2017年2月)で確認して下さい。

団体タイプ別の会員年齢構成比(%)
70代が多い「大都市型」、「都市近郊型」(退職者が中心となって団体運営)、50代が多い「農山村型」、「漁業者団体」(地域活動の一環?)、若い人が多い事業体(企業のCSR活動など)
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60代、70代中心メンバーで、50代は「若い人」、40代はまれでは、この先10年たつとどうなっているのでしょうか?
【活動団体の類型については、任意団体とNPOは便宜的に所在地が大都市にある団体を「大都市型」(125団体、10%)、大都市以外の市にある団体を「都市近郊型」(621団体、50%)、町村にある団体を「農山村型」(2013団体、16%)とし,活動目的に「魚付き林の整備・漁場の保全」を挙げる団体を「漁業者団体」(54団体、4%)、その他の事業体(企業など)を「事業体」(129団体、10%)、財団法人、社団法人などを「その他」(100団体、8%)にしています。】

テーマ別セッショントーク「躍動する団体に共通するポテンシャルとは!?」を3つのテーマに分かれて実施しました。3テーマは①次世代に継ぐ森林づくりのための「企業と地域の連携」(ファシリテーター&話題提供:森の健康診断出前隊・丹羽健司さん)、②次世代に継ぐ森林づくりのための「後継者育成と持続的な取り組み」(ファシリテーター:認定NPO法人JUON(樹恩)鹿住貴之さん、話題提供:NPO法人いわきの森に親しむ会・松崎和敬さん)、③次世代に継ぐ森林づくりのための「新規参加者を獲得するためのポイント」(ファシリテーター:NPO法人よこはま里山研究所・松村正治さん、話題提供:多摩の森・大自然塾 鳩ノ巣協議会・小島圭二さん)です。
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森林ボランティア団体等が共通して抱える4つの課題をクリアするためのポイントやヒント
   (『森林・里山と人がつながる社会をめざして 次世代につなぐプロジェクトの運営と組織づくり』20~23頁)
①新規会員・参加者の確保
・参加してもらうための入り口を広げる
  “参加しやすさ”の訴求
・参加者自身のやりたいことが実現できる場にする
  主体的に関わってもらうように促していく
・参加者の声を聴き、ニーズに対応する
  できるだけ直接的な対話を通じて聞き出す
・やりっぱなしにしない。どうだったか、改善することは何かを皆で議論する
  活動に関わった者全員でふりかえり、次に反映あるいは改善することを明確にする
・参加者と楽しかったことを共有する
  参加者を含めて皆で共有する
・実際に参加した人の声で広報する
  実際に参加した人の声に乗せて広報していく(口コミ)
・有償スタッフとして参加してもらう

②継続的な活動
・地域のニーズに対応する
  地域住民や行政等のニーズがあるのであれば、それらを受け入れる
・「やりたいこと」を実現するための組織をつくる
  必要であれば組織のあり方を改善できるしくみやルールをつくる
・活動の場に“学べる”をプラス
  あらたな気づきや、あらたな自分の可能性を発見できる学びの機会
・活動資金を確保する
  受託業務や助成金を活用するにあたっては情報収集と、行政・企業等とのネットワークづくりも重要なタスクとして捉える
・参加者が“楽しい”と実感できる活動にする
  皆“楽しかった”と実感できる活動にすることを目指す
・「やりたいこと」を確認する
  そもそもボランティア団体は、共通の「やりたいこと」を持った人たちが集まっているのであり、それが何であるのかということを定期的に確認して忘れないということが大切
・活動のゴールや期限を決めて、終了したら一旦やめる
  活動のゴールや期限を決めて取り組みそれが達成した時点で一旦やめて、その活動の成果や結果を評価する

③後継者育成
・参加者に自分の居場所を見つけてもらう
  自分の居場所(心地よいと思える場所や空間、時間等)
・思想や価値観を押し付けない
  活動経験の豊かな人や年配者の思想や価値観を若手や中堅で頑張っている人に押し付けてはダメ
・活動の場であると同時に教育の場にする
  自分探しの場、あらたな成長の場
・多様な参加理由、ニーズを理解する
  日頃から良いコミュニケーションを図っておく
・「やってみない?」という新たな可能性の扉を開く声がけが必要
  参加者それぞれのの魅力や才能等を見つけ出したら、その人の新たな可能性を広げる動機付けとして声がけをする
・活動のビジョンは崩さない
  活動のビジョンが明確かつ揺るぎないからこそ共感する参加者が増え、またその中で自分がやりたいことが定まっていく
・期待しすぎない
  何が何でも後継者を育成すると意気込まない

④他団体、自治体・企業との連携
・共に汗をかくことが連携
  共に汗をかいて互いのビジョンを達成していく
・多様な主体者と連携することで活動を広げ深める
  様々な知恵や技術が融合されて活動が広域に広がったり、深まったりする
・WIN-WINの関係を共有
  関係する団体それぞれのメリットとデメリットを検証し、事前に相互で共有しておく
・連携する相手とは対等な関係を維持することが重要
・つなぎ役になるということもある
  自分たちの活動に参加してもらうだけでなく、他の活動に参加したい人と別の活動を行っている人や地域をつなぐプラットホームになる

緑のボランティア活動助成セミナー2018 2月16日

公益社団法人・国土化推進機構が16、17日、千代田区麹町の弘済会館で開催する「ボランティア活動助成セミナー2018」に参加しました。
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緑のボランティア活動事例報告(3団体)
・森づくり×コミュニティづくり 苫東・和みの森の挑戦(自然体験活動指導者ネットワークえんりっと 仁瓶奈律香さん)
・森づくり×企業や地域、学校、行政との連携を通じた取り組み(NPO法人環~WA 代表理事 大和文子さん)
・森づくり×後継者育成と継続的な取り組みのポイント(NPO法人里山倶楽部 理事 寺川裕子さん)

パネルディスカッション「~企業や地域との連携、会員獲得、若返りのコツを探る~ 」
3人の事例報告者がパネラーで、コーディネイターはどさんこミュゼ(株) 代表取締役の宮本英樹さん(元NPO法人ねおす専務理事)で行われました。

大阪府南河内郡河南町を活動地域とする里山倶楽部は、「好きなコトして、そこそこ儲けて、いい里山をつくる」活動をしています。里山保全事業(雑木林、竹林、棚田、果樹園など)、生産販売事業(薪炭、ほだ木、無農薬野菜、米、桜チップなど)、環境教育事業(里山キッズクラブ、学校林、ワークショップ里山日和など)、人材養成講座(安全技能講習、里山応援講座、スモールファームなど)、木質バイオマスエネルギー利用(万博記念公園での森の足湯など)、オーダーメイド型活動・研修(企業CSR活動、団体研修、講師派遣など)をそれぞれの事業が独立採算制をとって運営しています。各事業の運営担当者は、利益の5~10%を共同運営費として事務局に支払います。「儲けも赤字も自分持ち」で団体としては赤字になりません。また、「組織ではなく里山を引継ぐ」スクラップ&ビルドを継続的な取り組みのポイントの一つとしています。組織の「かたち」を引継ぐ必要はない、既存の「場と資源」をつかって、新しい仕事、新しい暮らしをつくるなどなるほどと思いました。

※『森林・里山と人がつながる社会をめざして 次世代につなぐプロジェクトの運営と組織づくり』(国土緑化推進機構、2017年7月)。NPO法人いぶり自然学校+エンリット、NPO法人里山倶楽部、NPO法人よこはま里山研究所(NORA)、矢作川水系森林ボランティア協議会などの活動、運営スタイルが紹介されています。


彩の国さいたま人づくり広域連合政策研究成果発表会 2月13日

さいたま市の埼玉県民健康センターで開かれた彩の国さいたま人づくり広域連合2017年度政策研究成果発表会に午後から参加し、「持続可能な郊外住環境実現プロジェクト」研究会と「公共空間の利活用による地域活性化プロジェクト」研究会の研究成果の発表を聞きました。彩の国さいたま人づくり広域連合のサイトから2010年度以降の政策課題共同研究の活動レポートや報告書はダウンロードできます。
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持続可能な郊外住環境実現プロジェクト」の報告後、コーディネーター藤村龍至さんの「講評・解説」がありました。パワポのスライドを印刷したものが配布されたので一部を掲載しておきます。東武東上線沿線の自治体区分では、和光市~ふじみ野市が安定通勤圏(都内通勤率25%以上)、川越市~滑川町が変動通勤圏(都内通勤率10%以上25%未満)、嵐山町~寄居町が地域通勤圏(都内通勤率10%未満)になります。

都心通勤圏の縮小

・1970年、1990年、2015年と移行するに従って都心一極集中傾向は弱くなっている
・10%通勤圏を1つの指標とし、東京駅と新宿駅を都心と定義して都心からの距離との関係をみると1990年代は都心60㎞圏まで拡大しているが2015年には40㎞まで縮小している

「変動通勤圏」に空き家と高齢者が集中する

・広域行政単位ではなく鉄道沿線単位で地域を再設定し、状況を把握
・丘陵地に大規模NT(ニュータウン)の開発が進んだ西武池袋線・東武東上線と旧街道沿いに敷設された路線では状況が異なる
・埼玉県内で鉄道沿線自治体の都内通勤率のデータをみると、大きく3段階に分かれる
・都内通勤率が40%程度の「安定通勤圏」と10%以下の「地域通勤圏」のあいだを「変動通勤圏」と定義
・「変動通勤圏」=将来高齢者と空き家が集中的に発生するであろう地域
・JR高崎線でいうと上尾から行田までの地域がそれにあたる(=圏央道沿線自治体)
・現状では住宅政策・都市政策ともに対象化されているとはいいがたい

鉄道4路線ごとの課題の課題パターン図
政策課題共同研究報告書概要版2015年度

遠郊外住宅団地をあと10年以内に本物のリタイアメントコミュニティに
・男性の89.1%、女性の100%が80歳前後で自立度2、84歳前後で自立度が1へと低下
・1980年代に団塊の世代を受け入れた遠郊外受託団地の住民の自立度が一斉に低下するのは2027年前後
・生涯活躍のためには社会性の維持が鍵となるが郊外住宅地では空間もコンテンツも不足している
・住宅地を病院のように機能させる=24時間訪問医療介護の体制を可能にする空間づくりが鍵
・空き家を提供し小規模多機能居宅介護のための拠点にしたり、日常的な交流空間に転用する
・住民の理解が不可欠だが「閑静な住宅地」という虚構から抜け出すためには早めの啓蒙が必要

自然発生的なリタイアメント・コミュニティ
・高齢化率は中山間離島地域並みだがその範囲がコンパクト
・住民の経済的なポテンシャルが高い
=自然発生的なリタイアメント・コミュニティが発生している(園田真理子)
 足りないのは24時間の身守り体制や交流空間など
→適切な再投資が必要

鳩山NT:地方創生関連交付金を活用し「コミュニティ・マルシェ」を整備【略】

かすみ野:医療法人・社会福祉法人が積極的に施設開放し街と関わる【略】

白岡NT:住民集会所を利用しカフェ&マルシェを試験的に実施【略】

香日向:空き店舗を利用したトークイベントによるイメージの共有【略】

椿峰NT:シンポジウムから公園利活用、まちと緑をまもるプロジェクトへ【略】

住宅団地再生の空間戦略
住宅と施設のあいだの「マルシェの層」と「住み開きの層」の活性化に活路を見出す
<マルシェの層>
・対象:空き店舗等の再活用・公園等の利活用・小学校の空き教室等
・公共施設として整備・民間企業が提供・住民有志が自ら開催など
・若い世代にとっては小さな起業の場・高齢者にとっては居場所・対外的にはまちのイメージを発信する場
<住み開きの層>
・住宅の1階のリビング等を小さく改修して外部へ開いていく
・第1種住居専用地域の専用住宅を50㎡未満の店舗等に改造し兼用住宅化
・保健所の対応(「専用区画」の定義等)、協定等の改定など周辺住民の理解が重要

住宅団地マネジメントの担い手像
担い手像は世代によって変化しており、45歳以下を巻き込むにはマルシェが有効
<地縁組織型>
・自治会、婦人会、老人会などで上の世代から地域の行事(餅つき・夏祭り等)を受け継ぐ
・大きな組織を代々引き継ぎトップは75歳以上の男性、会長OBらが顧問というケースも多い
・自らは高い志に支えられて参加しているが下の世代が引き継ぎたがらないのが共通した悩み
<緩やかな連帯型>
・団塊の世代(1947-49年生まれ)を中心としたアクティブシニアなどがNPO法人を設立
・強制的に参加させられる既存の地縁組織に強い違和感があり自発的なボランティア活動に高い意欲
・企業等で安定的に雇用されていた世代であり自分で稼ぐことには大きな抵抗感がある
<スモールビジネス型>
・団塊ジュニア世代(1971-74年生まれ)前後の子育て世代などが起業し株式会社等を設立
・非正規雇用が多かった世代であり稼ぐことに意欲的だが持続性のないボランティア活動には強い抵抗感
・ツールを駆使してソーシャルネットワークを形成しマルシェなどで積極的に交流

持続可能な郊外住環境実現に向けて
3年間にわたって取り組んだ研究のまとめ
・通勤圏縮小に伴い遠郊外(東京の場合都心40-60㎞圏)が特に空洞化しつつある
・郊外自治体の市街化区域の中で再スプロール化がおこっており小さな地域間競争が発生
・住宅団地の高齢化率は高いがその範囲はコンパクトで住民の経済的ポテンシャルは高い
・一部では自発的なリタイアメントコミュニティが出来上がりつつある
・足りないのは24時間の医療福祉体制や交流空間の整備
・住宅団地の再投資には公共投資の例もあれば、民間投資の例もあるが投資効率は高い
・住宅団地で得られたノウハウを既存の公共サービスや施設の体系にフィードバック
・いずれも空きストックの有効活用が鍵
・空間的には「マルシェ層」と「住み開き層」の活性化が鍵
・担い手像は世代によって変化しており、多世代を巻き込むにはマルシェは有効
・(1)地域の空間資源を再検討し(2)人材を発掘し(3)世代を超えた協働から起業へとつなげる
・行政はまず研究対象化をはかり、プロジェクトを設定し、実験を行うことが有効

2015年度共同研究報告書『「埼玉県の空き家」の課題パターン抽出とその解決策の提言』

※2016年5月20日、16年度政策課題共同研究オープニングセミナーレポート(全文
政策課題共同研究オープニングセミナー2016年度1政策課題共同研究オープニングセミナー2016年度2政策課題共同研究オープニングセミナー2016年度3

※2017年2月10日、2016年度成果発表会(プレゼンテーションスライド
2016年度研究報告書『「サステイナブルタウン」を目指して-超高齢社会の包括的タウンマネジメント-』

※2017年5月18日、17年度政策課題共同研究オープニングセミナーレポート(全文
政策課題共同研究オープニングセミナー2017年度
2017年度研究報告書の発行がまたれます。

※鳩山ニュータウンについては『週刊東洋経済』第6772号(2018年2月3日)88頁に牧野和弘「人が集まる街 逃げる街第12回 鳩山ニュータウン[埼玉県] かつて栄えたニュータウンで深刻化する“孤立化”」が掲載されています。

「里山保全問題」について考える 2月12日

『陸生ホタル研』№85(2017年1月25日発行)に掲載されている小俣軍平さんの「「里山保全問題」について考える」を読みました。

1.はじめに
2.池の沢の自然環境
3.池の沢のホタル
   1)棲息分布
   2)種別の状況
      ①ゲンジボタル ②ヘイケボタル ③スジグロボタル ④陸生のホタル4種
陸生ホタルの4種は、丘陵部の二次林内、底地の杉の人工林の中に広く棲息しています。水生の3種とは異なり多発生することは有りません。6年ほど前までは、旧農道・遊歩道沿いで少数ですが目視で成虫・幼虫を見ることができました。6月にゲンジボタルの観察会で、明るいうちに自然環境を見てもらおうと、参加者を案内して農道・遊歩道を歩いていると、道端にオバボタル・ムネクリイロボタル・カタモンミナミボタルの成虫がしばしば飛翔していました。捕虫網で採集して、「これが陸生のホタルで・・・」と説明できました。しかし、現在は農道・遊歩道端ではこれらの陸生ホタルの成虫を見かける事は極まれになりました。なぜ見られなくなったのかよく判りませんが、一つ思い当たるのは農道・遊歩道の整備が進み、道沿いの植物のエンジンカッタ-による刈払いが毎年行われていることです。こうした刈払い作業は池の沢だけでなく、今では保全緑地や公園の整備、農作業などで、どこでも普通に行われていることですが、その結果が、土壌動物や陸生のホタルにどのように影響するのか不明のままです。もう一つの原因は、ここ7、8年池の沢では、ホタルの観察会を始め自然体験学習、八王子市の学習会等のイベントが開催され、日常的にもここを訪れる人の数が多くなっています。規模の小さい谷戸ですので、生物の多様性の基礎となる無数の小さな土壌動物(大人の片足の踏みつける小さな面積に、数千匹棲息しているという記録がありますscience window 2014 1-3 土と生命」)が、農道・遊歩道周辺から消滅している可能性が高いです。この問題が陸生のホタルが見られなくなってきている原因の一つになっているのではないかと思います。これもまた緑地・里山保全の重要な研究課題です。
4.池の沢の保全を巡り直面する問題
   (1)存在が判っても、保全対策が判らない(植物の場合)
最初に報告しました様に、池の沢には国・都から保全の対象に指定されている植物が26種もあります。そのためここでは、ホタルだけではなく池の沢のすべての生物を守って次世代に引き継いで行こうというのが合い言葉です。しかし、個々の植物についてどうしたら守っていけるのか、対象植物の生態が判っていませんので、具体手な手立てがみつからないままに試行錯誤しながら、手探りで以下の様な事をやっています。
・対象の植物が盗掘の恐れの無い場合、自生している場所周辺の刈り払いを行い囲いのテ-プを張り池の沢を訪れる人々に存在を知ってもらう(公開)。
・その植物の周囲を綺麗に刈払いする。しかし、囲いや標識は付けない(非公開)。
・盗掘される恐れのある種の場合、できるだけ人目につかないように自生地の周囲にバリア-を置き、安易に立ち入りできないようにする(非公開)。
・二次林内や湿地で刈払いをすると、今までその場所では自生していなかった植物が突然発芽して来る場合があります。その場合は、そのまま手をかけずにおいて、自立して増えて行くかどうか見守ります。発芽できたのだからそのまま自生して行けるのでは・・・?と期待しますが、多年草の場合でもその多くが3、4年出てきてその後はまた消滅します。なかなか定着できません

   (2)湧水の保全
丘陵地でも「谷戸」の場合、保全の最重点は湧水の維持です。池の沢の場合奥の湿地だけでも湧水のわき出し口が10箇所あります(赤丸印)。赤矢印の左側見えない所に3箇所あります。わき出し口は、いずれも丘陵地と湿地の境目です。
1:図【図がないとわからないので、図は本文のPDFファイルで確かめて下さい】
谷戸の湧水は、その谷戸の丘陵部の二次林・杉、檜の人工林を水源としているものと、もう一つ、多摩丘陵の様に大きな丘陵地になりますと、関東山地の西南端から続く、丘陵全体の水源となる共通した大規模な地下水脈があるようですが、今のところそうした研究資料、文献が見つかりません。それから、上記の1:図の湿地の場合、湧水の保全を巡ってもう一つ大きな問題があります。それは、2:図の模式図のように、昔は、ここは湿地では無く池でしたので、太線の所が水面でした。湧水のわき出し口の多くは水面より高い位置にあったようです。

2:図 湿地の断面の模式図【図がないとわからないので、図は本文のPDFファイルで確かめて下さい】
ところが、現在は長い年月がたち、池に大量の堆積物が貯まりカサスゲの群落を中心とする多様な植物の茂る湿地となっています。湿地の水面は点線のところです。湧水のわき出し口は、堆積物の貯まった水面の位置よりも低いところに埋没しています。堆積物の内容は、土砂を含むものの大部分は周辺の落葉広葉樹林からの落ち葉です。深さは2mくらいあり、下部は炭化し始めています。江戸時代に「底なし沼」といわれた時代には、池の周囲は草地かあるいは針葉樹林だったのかも知れません。現在気になるのは、湿地の水面が堆積物の為に年々上がり、わき出し口が埋もれて塞がり、湧水が別のところに逃げていってしまう事です。これを防ぐのには湿地の下流の方から堆積物を取り除く事ですが、これは人力だけでは無理ですし、また、取り除いた大量の9 堆積物をどう処理するのかも問題です。湿地の中にはゲンジボタル・ヘイケボタル・スジグロボタルが棲息していますし6種類の貴重な植物もありこれらは、発芽しないまま長期にわたり堆積した地中に残っている種子もあります。浚渫作業をする場合にこれらの保全をどうするのか・・・、見通しが立ちません。

   (3)持ち込まれ遺伝子的にかく乱されたゲンジボタル
池の沢のゲンジボタルは、遺伝子解析から見ますと、上述のように現在の所3タイプに分かれます。昔から棲息していた東日本型、人の手により持ち込まれた西日本型、東日本型と西日本型の交雑種です。持ち込みは、1970年代~80年代にかけて、市内の自然保護団体の手によるもので、取り付きを流れる殿入川のゲンジボタルを守る目的で行われました。私もその当事者の一人です。当時ゲンジボタルの遺伝子上の違いについてはまだ解明されていませんでしたので、他地域からの持ち込みが、市内のゲンジボタルに取りかえしのつかない重大な影響を及ぼすとの認識はありませんでした。今にして思えば痛恨の極みです。八王子市内で起きているようなゲンジボタルの持ち込みによる遺伝子のかく乱問題は、東京都下ばかりでなく関東地方でも同様に広く起きている問題です。しかし、この問題の処理に今後どう対応したらいいのか、現在の所まったく分りません。池の沢のような場合この谷戸についてだけみれば、数年かけて現在飛んでいる成虫をすべて捕獲して絶滅させ、その後、市内に残っている本来のゲンジボタルを採集し産卵・孵化させ幼虫を飼育して、放流する事は可能です。ただ、市内の主要河川である南浅川、北浅川の遺伝子的にかく乱されたゲンジボタルを、一時的に絶滅して入れ替えることはかなり難しい事です。そのため、これができないとすれば、池の沢のゲンジボタルを一時的に再生しても、水系がつながっていますので、今後、年月が経過すればいずれかく乱が再発すると思います。また八王子市内では、今は自然保護団体による持ち込みは無くなりましたが、ゲンジボタルの他所からの持ち込み放流は、色々な形で現在も行われています。その一つは特定の個人によるもので、一昨年も湯殿川で、6月に突然ある場所からゲンジボタルが多発生しました。驚いて地元での聞き込み調査をしてみますと、流域の住人がゲンジボタルの成熟幼虫を業者から自前でお金を払い購入して持ち込み、放流したようです。今から3~40年前は、ゲンジボタルの幼虫を育てて河川に放流するには、ホタルの生態についてある程度の知識と室内飼育をするための技を持っていないとできない事でした。しかし、今はインタ-ネット上でお金さえ払えば誰でも大量にゲンジボタルの成熟幼虫を業者からたやすく購入することができます。東京都・八王子市でもゲンジボタルの他地域からの持ち込みと放流を禁止する条例はありません。野放し状態です。放流した個人を特定して訪ねてみますと、当人は確信犯で、「自腹を切ってゲンジボタルの幼虫を購入し放流して沢山のゲンジボタルが飛び、地域の人々も大喜びしているのに何が悪いのか!」とこちらが叱られます。

   (4)多摩丘陵には西型のゲンジボタルが昔から棲息していたのでは・・・?
ゲンジボタルの持ち込みに関しては、もう一つ板当沢時代から陸生ホタル研に移行してまもなくからですが、多摩丘陵での生息地調査が進むにつれて気になる問題があります。丘陵地の成虫を採集して遺伝子解析をしてみますと、西型のゲンジボタルが棲息している湿地と東型のゲンジボタルが棲息している湿地があります。東京都では、これまで遺伝子解析で西型が出た場合には、すべて「持ち込まれたもの」として記録・処理されています。ところが、上記の池の沢のゲンジボタル問題と同じように、その湿地の在る谷戸の昔からの農家の方々は、「この谷戸の湿地にゲンジボタルを持ち込んだ事は無い」と、異口同音に否定されます。そしてこのような証言をして下さる方々は、私と同じ80才を超えてる方々で生存者がもうわずかになっています。私自身も、かつて多摩丘陵の湿地に棲息していたゲンジボタルを、文献記録に惑わされてもともと棲息していたものでは無く、汚染された河川から避難し逃げ込んだものと思い込み、とんでもない誤認をした体験が有るだけに、「これも?」と、大変気になる問題です。

   (5)里山保全とゲンジボタルの保全
全国各地で広く行われているゲンジボタルの保全活動の多くは、人の手による採卵・孵化、幼虫の人工飼育・放流とホタル観察会、それから幼虫の餌となるカワニナの人工飼育と放流・ゲンジボタルを飼育するための施設造りです。「池の沢にホタルを増やす会」の中でも、ゲンジボタルの保全に付いてはいろいろな意見があります。上記のように人の手を直接加えることによって、ゲンジボタルの発生数を増やすこともできるのだから、やるべきではないかという意見もあります。しかしこれまでの14年間は、直接人の手を加えるような取り組みはしてきませんでした。それはなぜだったのかといえば・・・・、
・池の沢での緑地の保全活動は、一言でいいますと、「池の沢に生息するすべての生物を丸ごと守り育てること」です。ゲンジボタルだけを守ることではありません。
・池の沢にどれだけのゲンジボタルが棲息できるのかは、ここの保全に関わる人間が人間の好みで勝手に決めることではありません。目に見えることはほとんど無い無数の菌類を始め、食べたり食べられたりの関係で、池の沢の生態系を守り生きているすべての生物の声なき声の合意が必要です。
・池の沢の多様な生物の発生状況を見ていますと、ゲンジボタルだけでは無くすべての生物に、あるときは多発生し、翌年は減少するという風景は珍しい事ではありません。なぜ増えたり減ったりしたのか、池の沢の自然条件を検討すると、冬の降水量が極端に少なかったとか、夏の平均気温が例年より低かったとか・・・・、これではないかと思い当たる内容が見つかる事もありますし、その原因がさっぱり判らない事もあります。「池の沢に棲息するすべての生物を・・・」といえば、誰にも快く聞こえますが、いざ実現するとなると難しい問題が立ちはだかります。
・14年前には谷戸の奥のカサスゲの生い茂る湿地にも沢山のゲンジボタルが飛んでいました。しかし、今はこの湿地で一晩に見られるゲンジボタルの成虫の数は10匹~20匹程です。なぜ減少したのかと言えば、思い当たる事があります。この湿地には、絶滅の恐れのある植物が4種類在りました。ところが、これらの植物が花は咲かせるものの種子が実りませんでした。その原因を色々と検討した結果、最大の原因は、湿地を取り巻く周囲の落葉広葉樹がなにも手を付けられずに大きく成長し生い茂り、湿地の日射量が減少した為ではないかということでした。そこで、試行錯誤の取り組みの一つとして、八王子市にお願いして、湿地の周囲の落葉広葉樹を10本ほど伐採してみました。
・大きな変化が翌年早速起きました。湿地の奥のこれまでオオニガナが全く見られなかった所にまとまって40株ほど出現しました。それまで減り続けていたアギナシもこれまで見かけなかった所に7株自然発生しました。ミズオトギリも、眠っていた種子が目を覚まして発芽し、20株以上復活しました。これまで花が咲いても種子が付かなかった貴重種の植物にも種子が付きました。これは良かった、やはり日射量が影響していたのかと気を良くしました。
・ところが・・・・、マイナス現象も起きました。池の沢で永年昆虫類を中心に観察調査を続けている市民の中の一人、石垣博史氏から、「湿地周辺の木を切り倒したことで、この湿地に暮らしてきた暗い環境を好む昆虫類が一斉に姿を消した・・・、当然ゲンジボタルの発生数にも影響が出るのではないか・・・」という内容のメ-ルでした。石垣氏の予想は当たりました。「こちら立てればあちらが立たず」と言うことわざがありますが、本当に難しいものです。

   (6)激減したは虫類・両生類
14年前に池の沢にホタルを増やす会が生まれた頃には、夏に草刈りをしているとごく自然に、シマヘビ・アオダイショウ・マムシ・ヤマカガシなどを見かけました。アズマヒキガエル・ヤマアカガエル・ニホンアカガエル・シュレ-ゲルアオガエルも飛び出してきました。しかし、最近ではこれらの生物をまれにしか見かけません。奥の湿地に落ち葉が降り積もり水面が見えないようになってきたのでカエルの産卵場所がないのでは・・・というので、一つの対策として、放棄水田跡に20坪ほどの池を造ってみました。次の年からアズマヒキガエルとヤマアカガエルが早速やってきてこの池に産卵するようになりました。メダカも復活してきました。やれやれこれでひとまず良かったと胸をなで下ろしました。ところが、ここ2年ほど前から何者かがやってきて、産卵されたカエルの卵を孵化する前に、卵のうごと掬いとって持ち去る事件が起きました。人の目を避けて深夜に密かにやってきて盗るのだと思いますが、防ぎようがありません。

   (7)盗掘される植物
池の沢には26種の貴重な植物が見られますが、そのうちのランヨウアオイとサワギキョウが盗掘にあい激減したり絶滅したりしました。この両種を盗った者は、盗掘の跡からみて市民サイドのマニアの仕業とは思えません。と言いますのは、ランヨウアオイの場合掘り取った跡を丁寧に埋め戻し、はぎ取った腐葉土や落ち葉を敷き詰めてきれいに整地しています。サワギキョウの場合、絶滅しない様に最後の一株は残してありました。サワギキョウについては、市内の多摩丘陵で自生しているサワギキョウの苗を10株分けていただき再生の取り組みを進めています。植え付け場所を人目につかない奥の湿地から谷戸の放棄水田跡に切り替えて、「絶滅した貴重な植物の再生の取り組みをしています」と書いた看板も立てて公開したかたちで取り組んでいます。現在3年経過し問題はいろいろありますが、株数は50株をこえて順調に育っています。盗掘は今のところありません。

5.おわりに

池の沢の制札板
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市民の森保全クラブ定例活動日 1月28日

第4日曜日の定例活動日です。岩殿地区のゴミステーションから青木ノ入までの道路が凍結しているので、高坂丘陵市民活動センターで、2月・3月の活動の打ち合わせと、森林総研『都市近郊林管理の考え方』5頁の表「雑木林における植物相保全のための管理技術の適用」を見ながら、作業エリアの植生と今後の管理の仕方などについて学習会をしました。参加者は芦田さん、太田さん、金子さん、片桐さん、草間さん、澤田さん、細川さん、鷲巣さん、渡部さん、Hikizineの10人でした。夕方からは三本さんも参加して11名で東松山駅東口の居酒屋で新年会を行いました。

国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が構築した本の科学技術情報の電子ジャーナル出版を推進するプラットフォームJ-STAGE科学技術情報発信・流通総合システム)により、パソコンで学術誌に掲載された論文を簡単に見ることができるようになりました。難しい内容であっても理解に努め、その成果を活かしながら里山保全活動を続けていきたいものです。
 
西村尚之・山本進一・千葉喬三「都市近郊コナラ林の構造と動態(Ⅰ)-林分構造とコナラの個体群特性-」(『日本緑化工学会誌』16-1、1990)
抄録
成熟した都市近郊コナラ(Quercus serrata)林内に面積0.92haのプロットを設け、毎木調査(胸高直径cm)を行い、その構造を調べた。コナラは相対密度43.1%、相対胸高断面積合計71.5%で調査林分の優占樹種であった。主な樹種の胸高直径分布は正規型、逆J字型、L字型を示した。低木層ではヒサカキ(Eurya japonica)が優占していた。コナラには複数の萌芽幹からなる萌芽再生個体と単一幹からなる実生個体とがあり、生存個体の75%が萌芽再生個体で、その幹数の平均は2.0本、最多は6本であった。萌芽再生個体と実生個体の平均胸高直径はほぼ等しかったが、平均根元直径は萌芽再生個体で有意に太かった。根元直径階級が大きくなるにつれて1個体あたりの萌芽幹数の多い個体が多くなり、階級別の最多萌芽幹数も増加した。萌芽幹と単一幹のどちらも胸高直径が大きくなるにつれて樹高に頭打ちがみられた。萌芽幹と単一幹の齢分布は35-40年にモードをもつ類似の分布を示したことから、本林分は実生と萌芽のほぼ同時発生により成立したものと考えられる。現在、林内にはコナラの後継樹がほとんどなく、実生の生残率も低いことから、このコナラ個体群は今後衰退していくものと考えられる。

西村尚之・白石高子・山本進一・千葉喬三「都市近郊コナラ林の構造と動態(Ⅱ)-林内における3年間のコナラ実生の動態-」(『日本緑化工学会誌』16-4、1991)
抄録
下層にヒサカキ等の常緑広葉樹が優占する成熟したコナラ林内に、低木層を除去した区 (L区) と低木層及びリター層を除去した区 (C区) の地床処理区と無処理区 (N区) を設け、コナラ実生の発生、生残を3年間定期的に調査した。林床の相対照度はどの時期も地床処理区で高かった。実生の発生数はC区で最も多かった。無処理区での実生の発生は地床処理区に比べ約1ヵ月遅かった。どの区も早く発生した実生の初期死亡率は低く、地床処理区では最終調査時のその生残率は遅く発生した実生に比べ高かった。発生当年の実生の生残率は無処理区で有意に低く、翌年の生残率はL区、C区、N区の順で高かった。無処理区では発生後3年間ですべての実生が死亡した。分枝した実生の出現率は地床処理区で高く、分枝個体の生残率は未分枝個体に比べ有意に高かった。本林分では自然状態の地床でのコナラ実生の定着はきわめて困難であるが、低木除去の処理によりコナラ実生の生残に有利な環境が形成されることがわかった。

西村尚之・山本進一・千葉喬三「都市近郊コナラ林の構造と動態(Ⅲ)-リターフォール量の年変動と季節変化-」(『日本緑化工学会誌』18-2、1992)
抄録
岡山市内の約40年生のコナラ林において、リターフォール量の調査を約4年間定期的に行った。調査林分の胸高直径5cm以上の樹木の胸高断面積合計は18.1m2・ha-1で、コナラはその71.5%を占めていた.年間の全リターフォール量は5.94-8.07ton・ha-1・yr-1であった.また、その64.7-76.6%を落葉が占めていた。年落葉量は4.55-5.22ton・ha-1・yr-1で、その年変動は小さかった。コナラの年落葉量は全落葉量の約60%を占めており、2.59-3.08ton・ha-1・yr-1であった。落枝量の年変動は落葉量に比べて大きく、この原因は台風の襲来によるものであった.生殖器官の年落下量の約80%はコナラの雄花と果実であった。コナラの果実の年落下量は189-744kg・ha-1・yr-1で、その年変動は大きかった。落葉量の季節変化は、11-12月に落葉の最盛期があり、4月下旬-6月上旬にも落葉量がやや増加するパターンを示した。また、コナラは他樹種に比べて落葉期がやや遅く、短期間に落葉する傾向があった.落枝量は、落葉量のような明らかな季節変化を示さず、台風などの強風の影響によって激増した。

関東二次林研究グループ(星野義延・斉藤修・辻誠治・菅野昭)「南関東のコナラ二次林の変貌に関する植物社会学的研究」
要約 本研究は、関東地方のコナラ林が近年の管理状態や利用形態の変化によって林の種多様性や種組成がどのように変化しつつあるのかを、20~26年前の植生調査資料と同一地点において追跡調査を行い、比較検討することによって明らかにすることを目的として実施した。追跡調査したのは102地点(東京都府中市:17、埼玉県:28、栃木県:18、茨城県:34、千葉県:5)であり、そのうち27地点のコナラ林が消失していたため、植生調査地点数は75地点(残存率74%)であった。出現種数は1974~80年調査(以下「調査I」という。)で398種、2000~2001年調査(「調査II」)で387種であり、両調査での全出現種数は499種であった。調査Iと調査IIの調査地点ごとの共通係数(Sørensen, 1949)は0.324~0.718(平均0.527)であり、調査地点周辺の林野率が高いほど共通係数が高くなるなどの傾向が推察された。
1. 研究の背景と目的
2.調査方法と調査地
3.結果
 (1) コナラ林の残存状況
 (2)出現種数の変化
 (3)種組成の変化
4. 考察
 (1) コナラ林の残存状況について
 (2)出現種数の変化について
 (3)種組成の変化について
 (4) コナラ二次林保全管理への示唆
群馬県と神奈川県を除く関東地方での追跡調査の結果、1974年~80年にかけて存在していたコナラ林のうち74%が残存していた。ただし、地図上で確認したものを含めると東京都府中市での残存率は45%と半分以下になっているなど、都市近郊域では消失や孤立・分断化の傾向が顕著である。都市近郊でのコナラ林消失の理由は、宅地開発や学校・病院の建設などが多かったが、今後はこのような開発にあたり都市周辺に残された貴重な自然として、コナラ林の保全を図っていくことが必要である。また、農山村域ではコナラ林の伐採後、ヒノキやスギへの人工林化が多く見られた。ただし、このような人工林も手入れされずに放置されているものが多いことから、農山村域ではコナラ林の保全にあたり、経済性や人的資源の確保を考慮していく必要がある。

本研究では、関東のコナラ林の出現種数がアズマネザサの被度(植被率)と有意な負の相関関係にあることを示したが、出現種数を一定以上に維持するためにはアズマネザサの被度を下刈りなど人為的な管理で抑制することが必要である。一般的には、農山村地域ほどこのような管理が継続していると考えられるが、本調査では管理の有無を規定するような社会経済的な指標を見出すことはできなかった。むしろ、人口密度や人口密度の長期的変化が小さい(人口流入が少ない)地域でも数多くの放置コナラ林が存在していた。人口一人当たりのコナラ林の面積から言えば、農山村地域の方が膨大な面積になるため、それだけ放置林分が増加する傾向があると考えられる。農山村地域の過疎化・高齢化の問題も踏まえ、このような地域での長期的な管理のあり方について検討していくことが急務である。

コナラ林の質的な変化については、追跡調査の結果、地形的に傾斜がゆるやかであるほど、また地域の林野率が低いほど、種の入れ替わりが生じている(共通係数が小さくなる)傾向があることが認められた。新たに侵入・増加した種の多くはアオキ、ヒサカキなどの常緑の木本植物であり、消失・減少した種の多くはアキノキリンソウ、シラヤマギクなどの草原の要素(主に多年生草本)であった。コナラ林の質を約20年前の状態で維持することを目的とするのであれば、このような侵入・増加種を一定の被度に抑制することが必要である。さらに、都市近郊のように人口密度の増加が大きく、林野率が低い地域ほど、トウネズミモチなどの緑化・園芸種が増加する傾向があるため、地域特性に応じてこれらの種も管理対象としていくことが望ましい。


謝辞
引用文献

斉藤修・星野義延・辻誠治・菅野昭「関東地方におけるコナラ二次林の20年以上経過後の種多様性及び種組成の変化」(『植生学会誌』20-2、2003)
抄録
 1.関東地方のコナラ二次林を対象として、20-26年前に植物社会学的方法で植生調査を行った113プロットの追跡調査を行い、その残存状況、種多様性及び種組成の変化の実態把握と要因解析を行った。
 2.追跡調査で残存していたのは113プロット中75プロット(残存率66.4%)であり、コナラ-クヌギ群集39プロット(同60.0%)、コナラ-クリ群集36プロット(同75.0%)であった。
 3.時間経過に伴う出現種数の変化は両群集とも認められなかったが、管理プロットでは平均出現種数が増加し、非管理プロットでは逆に減少する傾向がみられた。出現種数の変化の要因としては、人為管理の有無及びそれに関連するササ類や常緑木本被度の変化が重要であった。
 4.種組成変化の度合いを示す共通係数は、コナラ-クリ群集の方がコナラ-クヌギ群集よりも有意に高かった。また、管理プロットの方が非管理プロットよりも共通係数が高かった。種組成変化に影響する要因としては、コナラ-クヌギ群集ではプロットが位置する市町村の林野率の変化が、コナラ-クリ群集ではプロットの斜面傾斜角、リター被覆率、常緑木本被度の変化が重要であった。
 5.減少が顕著であった種群には風散布植物が、増加が顕著であった種群には動物散布植物がそれぞれ多く含まれていた。また、主に鳥散布によって周辺から新規加入してきたと考えられる緑化・園芸種が両群集とも有意に増加していた。これらはプロット周辺地域の人口密度の増加が著しいほど、その増加が顕著であった。
 6.コナラ二次林の管理にあたっては、地域スケールでの林の立地特性を考慮しつつ、種多様性と種組成変化の長期的なモニタリングを行なっていくことが重要である。

東京都多摩地方南西部におけるコナラ・クヌギ二次林の群落構造および種数の管理形態による差異 植生学会誌25-1、2008
抄録
 1.東京都多摩地方南西部の八王子市、日野市において、コナラ・クヌギ二次林の管理形態と群落構造や出現種数など植生に関わる要素の関係を整理し、特に現在の社会的背景に合わせた新しい管理主体による適切な管理のあり方を探るために、植生調査および管理方法についての聞き取りを行い、統計解析を行った。
 2.管理の主体、目的および継続性から、調査した林分を、旧来の所有者あるいは利用者により農業利用を目的に旧来の方法が継続されている「伝統的管理」、行政や組織化された市民ボランティア等により継続性をもって行われている「非伝統的管理」、所有者の移転時や行政主導の単年度事業等で単発的に管理が行われた「単発的管理」と、「放置」の4つの管理形態に区分した。
 3.管理形態ごとに管理手法を比較すると、伝統的管理では下刈りは年1回冬季で、落葉採取が行われ、管理の中断期間のない林分が大半を占めた。非伝統的管理では時期や頻度は多様なパターンがみられ、落葉採取は大半で行われておらず、10年以上の管理中断期間のある林分が多かった。単発的管理は非伝統的管理と同様に時期は多様で、落葉採取が行われている林分はなかった。
 4.林床管理の有無により、植生に関する要素の多くで有意な差が認められた。継続性のある管理によりササは抑えられることがわかった。低木第2層のササ以外の常緑種と落葉種の被度は、継続性はなくても管理があれば抑えられることがわかった。夏緑多年草の種数は管理の継続性と中断期間に、一・二年草の種数は管理手法との間に有意な差が認められた。
 5.新たな主体によって管理を行う場合、長期の管理中断期間のない林分を優先的に選び、種多様性の維持やササの抑制に効果の低い単発的管理を手広く行うよりは、限られた場所でも継続的に管理をする方がこれらについて効果的と考えられた。
島田和則『都市林における先駆性高木種の分布と動態』(博士論文、2011.3)

要旨 都市域に残された貴重な森林、いわゆる都市林の多くは落葉二次林である。その多くを占めるコナラ林は、人為的につくられ維持されてきたものである。都市域の落葉二次林で、放置により自然成立したと考えられるものは先駆性高木種の林である。しかし、これらを対象にした研究は少なく、これらの位置づけ、成り立ちや動態についての知見は十分ではない。また、都市林では一部の種の増加が指摘され、シュロ、シロダモなどの耐陰性が高い低木~亜高木性の樹種と、イイギリなどの先駆性高木種の一部が挙げられている。前者に関しての研究は多くさまざまな知見が得られているが、後者が都市林で増加することの実態や要因などについての知見は十分ではない。そこで本研究は、先駆性高木種の自然林における分布特性や自然成立する二次林での動態からその本来の姿を明らかにし、その上で都市林における挙動を分析し都市林の特異性の一端を解明し、都市林の保全や適切な管理に結びつけることを目的とした。
まず、先駆性高木種を自然林の一要素として考えその位置づけを検討するために、東京都高尾山の自然林で代表的な先駆性高木種5種の地形分布と種特性との関係を分析した。その結果、先駆性高木種の地形に対応した出現傾向に、種ごとの特徴が認められた。すなわち、地表の撹乱圧がより高い場所においては、先駆性高木種の中で大きく主幹が傾斜しても生残でき、かつ幹や樹冠部等が損傷を受けたとき萌芽による回復力をもつフサザクラのような種が有利であることがわかった。また、地表の撹乱圧がより低く群落高が大きい場所では、最大樹高が大きく、かつ樹冠下で生残しやすい形態をとれるミズキのような種が有利であることがわかった。
次に、放置により自然成立する二次林の成林過程や動態、および先駆性高木種の挙動を微地形と対応づけながら分析した。その結果、下部斜面域では、高木種は調査期間中に大部分が枯死し、低木林群落として推移した。斜面中程では常緑高木種は個体数、種数とも微増にとどまり、成長も停滞していた。落葉高木種は、種数、個体数は大きく減じるものの先駆性高木種の優勢木が大きく成長して優占した。斜面最上部ではアラカシを中心とした常緑高木種が初期から優占状態を保ちながら成長し、一方で落葉高木種は種数、個体数とも減少し、常緑高木種が密生した群落となった。このような、再生群落の生活型組成及び動態の地形に対応した差異は、下部斜面域と斜面中程との間は明瞭で、斜面中程と最上部との間は連続的であり、地形に対応した差異は、年を追うごとに明瞭になっていった。
最後に、先駆性高木種の中で自然林と都市林で異なった挙動を示すイイギリを手がかりに、代表的な都市林で現在は人為的管理が極力排されている自然教育園において、本種の動態を都市林の変遷と関連づけながら分析した。自然教育園内全域のイイギリ個体数は、1965年から1983年の間は急増したが以降は微増にとどまり、2002年から2007年の間は減少した。サイズ分布の経年変化と年輪解析から、イイギリの侵入は断続的に起きていたことが示唆された。また、群落構造と樹冠投影図の21年の比較から、イイギリは一度林冠に達すると枯死しにくく、周辺個体の枯死を機に樹冠を拡大させながら個体を維持し続けたものと考えられた。自然教育園の変遷をみると、放置あるいは保護されている期間と、大きな攪乱を受ける時期を繰り返していた。このことは、更新に大きな攪乱を必要とする一方で、定着した個体の損傷に対する耐性が低いため成長には安定した立地を必要とするイイギリにとって有利だったと考えられる。攪乱により侵入の機会を得た先駆性高木種の中でイイギリは、アカメガシワのような最大樹高が低い不利な種特性や、ミズキやキハダのような一斉枯死もなく、都市林で徐々に個体数を増やしていったものと考えられた。
これらの結果から、以下のようにまとめた。森林の地形に対応した優占型を、自然性の高い林と攪乱後自然成立した二次林を比較すると、先駆性高木種の優占する範囲が自然林では下部斜面域と全層崩壊型ギャップにより更新したパッチに限られていたものが、二次林では上部谷壁斜面の中程まで拡大した。すなわち、斜面中程より下方では、先駆性高木種の優占林が本来の二次林であるのではないかと思われる。自然教育園や皇居吹上御苑のような都市林でみられるミズキやイイギリの林は、このような二次林が発達したものと考えられる。早期に林冠を形成し一定期間それを維持しうる先駆性高木種の位置づけや役割は、都市林の形成過程や動態において重要である。
都市林の管理において、自然に侵入し早期に高木林を形成する先駆性高木種は、都市において環境を緩和する機能が期待でき、自然再生を考える上でも重要な種であるといえる。今後も都市域で増える可能性のある先駆性高木種二次林を適切に取り扱うために、本研究でその成立過程や動態を解明したことは都市林の保全・管理の上で意義がある。

島田和則・勝木俊雄・岩本宏二郎・大中みちる「東京多摩地方南西部の都市近郊林における植物相の変遷-50年間のフロラリストの比較-」(「植生学会誌」31-1、2014)
抄録
1.都市近郊林における植物相の現状や変遷を明らかにするために、多摩森林科学園(旧浅川実験林)において、過去に公表されたフロラリスト(草下・小林1953、林ほか1965)と現在のフロラリスト(勝木ほか2010)を比較し、50年間の変遷について分析した。
2.その結果、過去にのみ記録された分類群は164、現在のみは141、両方で記録された分類群は626と、2割弱の分類群は入れ替わったが総出現分類群数は大きくは変わらなかった。
3.過去にのみ記録された種は現在にのみ記録された種より希少種の割合が高く、現在のみの種は過去のみの種より外来種の割合が高く、質的に変化したことがわかった。生活型からみると、高木の増加、多年草の減少、散布型からみると、被食散布型の増加、水散布型の減少が特徴的であった。

『図解 スマートシティ・環境未来都市 早わかり』目次

白井信雄さんの『図解 スマートシティ・環境未来都市 早わかり(1時間でわかる)』(中経出版、2012年12月)を読みました。

はじめに 「都市縮小」時代の未来都市構想
プロローグ2030年「未来都市の暮らし」はこうなる!
 20年後の未来都市から「近況レポート」が届いた!
  2030年×月×日/僕の住む街が「住みたい街ナンバーワン」になった!/わが家は「スーパーエコハウス」/わが家のエネルギーを管理・制御する「エコブレイン」/都心の本社に通うのは「週2日だけ」/都心への通勤も「混雑なし!」/車をコミュニティで共有する/家中の家電製品がリース商品/「レンタル農園」で野菜づくり/年齢の壁を越えた地域の「サークル活動」/気象災害・大震災に備える

第1章 なぜ未来都市構想が必要なのか
  都市が抱える弱点・リスクを洗い出す!
 1 東日本大震災が日本を変えた!
  東日本大震災が社会・経済・都市の問題を浮き彫りにした
   いまや、どの地域も自然災害を避けることはできない
   これまでの価値規範を見直す契機になる
   都市の基盤の弱さを思い知らされた
  東日本大震災が3つの変化をもたらした
   東日本大震災が加速させる「社会革命」
   変化1:エネルギーの転換
   変化2:拡大成長志向からの脱却
   変化3:国家・企業が主導する社会から市民が主導する社会へ
 2 都市は脆弱さとリスクを抱え込んでいる
  都市が抱える脆弱さとは?
   1:面積当たりの活動密度が高い
   2:外部依存度が高い
   3:人間関係の希薄さ
  都市が抱えるリスクとは?
   1:自然災害か人為災害か
   2:影響が短期的(突発的)か長期的(慢性的)か
 3 都市は3つの危機に直面している
  危機1:エネルギーが枯渇する
   生産量が増え続ければ可採年数は短くなる
   価格上昇が大問題になる可能性がある
  危機2:温暖化が進行する
   二酸化炭素排出量を削減する「緩和策」が求められる
   気候変動の影響を最小にする「適応策」が求められる
  危機3:少子高齢化が進行し都市が縮小する
   50年後には生産年齢人口が激減する
   スラム化、治安悪化が深刻化する
   都市の再編成が求められる

第2章「スマートシティ」構想とは何か
 その動向と死角をガッチリつかむ!
 1 「スマートグリッド」を中核として街をつくる
  「スマートグリッド」とは何か
  「スマートシティ」計画には2つのタイプがある
   タイプ1:新興地型スマートシティ計画
   タイプ2:既存大都市型スマートシティ計画
 2 産業界が大注目する「スマートシティ」
  日本の「スマートシティ」構想の狙い
   電力の需要・供給の効率化を図る
   スマートシティ・ビジネスの可能性を探る
  「スマートコミュニティ」の実証事業も進む
   すべてのインフラを総合的に管理・制御する
  海外の「スマートコミュニティ」づくりにも参加
  実際には「スマートハウス」「スマートビル」が主流
   現場で需給調整するのが基本
   どのようなシステムが需給調整に用いられるか
  「スマートシティ」のシステムを多様な用途に使う
 3 「スマートシティ」構想には2つの死角がある
  実際の導入にはもう少し時間がかかkる
  死角1:ソフトウェア、ヒューマンウェアのデザインが不足
  死角2:住民不在、企業主導で進んでいる

第3章 「環境未来都市」構想とは何か
 その動向と死角をガッチリつかむ!
 1 先行する「環境モデル都市」の取組をみる
  「環境モデル都市」とは何か(2008年13都市が指定される)
   低炭素社会都市の実現を目指す
   経済・社会システムづくりにも取り組む
   地域の個性をふまえた「環境モデル都市」計画
  事例:環境モデル都市・飯田市の取組
   「積み重ね」と「地域ぐるみ」が指定の決め手
   時代を先取りした市民共同発電事業
 2 少子高齢化にも取り組む「環境未来都市」
  「環境未来都市」とは何か
   人間中心の新たな価値を想像する都市(2011年11都市が指定される)
   究極の目的は「人々の生活の質を向上させる」こと
  ほかの未来都市構想とは、ここが違う!
   環境・エネルギー面はほとんど同じ方向性
   少子高齢化に取り組む
   多様な地域課題に取り組む
 3 「環境未来都市」構想には3つの死角がある
  従来のビジネスのやり方を踏襲するだけでは成功しない
  死角1:環境・社会・経済の連携に欠ける
  死角2:未来を共有する人づくりに欠ける
  死角3:周辺地域との連携に欠ける

第4章 未来都市の「シナリオ」を描く
 わが街をどのような個性の街にするか・その選択肢は?
 1 どういう社会を目指すか
  「高度技術型社会」か「自然共生型社会」か
   「ドラえもん・シナリオ」と「サツキとメイ・シナリオ」
   事例で見る2つのシナリオ
    「高度技術型社会」のシナリオ事例
    「自然共生型社会」のシナリオ事例
 2 将来をどう想定・設定するか
  将来をどう設定するかで都市デザインは変わる
   経済・社会の両面で将来状況を設定する
  事例:実際に「30年後のビジョン」を検証してみた
  複数のシナリオを想定する(ロバスト)

第5章 理想的な未来都市「サステナブルシティ」
 理想的な未来都市に必要な原則基盤は何か
 1 「サステナブルシティ」の3つの原則
  「サスティナブルシティ」とは何か
  原則1:将来および他地域との共生
   「持続可能性」についての考え方の流れ
   持続可能性とは「他者に配慮すること」
  原則2:起こり得る危機への適応
   「社会の弱いところ」を改善する(脆弱性)
   「感受性」を改善し「適応能力」を強化する
   都市の「脆弱性」の「根本要因」を改善する
  原則3:住民の参加と活力
   企業・行政だけではサステナブルシティは実現できない
   住民の多様なタイプに配慮する
 2 「サステナブルシティ」の3つの基盤
  基盤1:「ハードウェア」 最先端の科学技術
   未来都市をつくる科学技術はいつ普及するか
   未来を見通しハードウェアを整備する
  基盤2:「ソフトウェア」 行政制度
   さまざまな施策・手法の組み合わせが求められる
   地域が主体的に施策・手法を工夫し生み出す
  基盤3:最も重要な基盤「ヒューマンウェア」
   「ヒューマンウェア」とは何か
   今後、社会貢献意識、環境意識がさらに高まる
   「社会関係資本」への関心が高まる
  ビジネス・チャンス:ヒューマンウェアを組み込んだビジネス

第6章 「サステナブルシティ」では、ここが変わる!
 「サステナブルシティ」の全貌とビジネス・チャンス
 1 エネルギー・システムが変わる
  エネルギーは「再生可能エネルギー」にシフトする
   大都市は他地域からの再生可能エネルギーを調達しなければならない(賦存状況に差)
   電力の自由化が進む
   再生可能エネルギーに地域の個性が反映される
  蓄電システムが普及する
   余剰電力が蓄電される
   非常用電源として蓄電する
  ビジネス・チャンス:電力の卸売り・小売りビジネス
  市民共同発電が推進される
   市民が出資し発電所を建設・運営する
   長野県飯田市の「おひさま進歩エネルギー」事業
    環境省平成のまほろば・まちづくり事業補助金
  ビジネス・チャンス:市民出資によるビジネス
 2 交通システムが変わる
  未来都市を走る自動車は「エコカー」
   エコカーがさらに進歩・普及する
   未来都市を走る自動車の種類が限定される?
  車交通を制御するITS(高度道路交通システム)が普及する
   情報ネットワークを活用するITS
   「ロードプライシング」で市街地に流入する車を減らす
  ビジネス・チャンス:ITSを活用したビジネス
 3 不動産が変わる
  未来都市に求められる「サステナブル不動産」
   「サステナブル不動産」とは何か
    新丸の内ビルディング、パークシティ柏の葉キャンパス二番街
  「サステナブル不動産」の6つの効果
   収益が向上し、イメージもアップ!
   入居者の満足度が高く、エネルギー・リスクも軽減
  ビジネス・チャンス:「サステナブル不動産」ビジネス
 4 災害への対応が変わる
  レジリエンス(災害適応力)が求められる
   避けて通れない自然災害
   「レジリエンス」とは何か
    災害などの影響を回避したり、最小化する能力
  こうしてレジリエンスを高める
   土地利用の再構築・再編を行う
   災害のモニタリング、予測・警報システムを整備する
  ビジネス・チャンス:レジリエンス・ビジネス
 5 生活スタイルが変わる
  「テレワーク」が普及し通勤地獄から解放される
   3つに分類できる「テレワーク」
    在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務
   現在も増加し続けるテレワーク
   テレワークの効果・メリットは?
   テレワークを標準化させるための課題
  ビジネス・チャンス:テレワークに付随するビジネス
  複数の居住地を持つ人が増える
   情報通信技術が進歩し、居住地の選択肢が増える
   複数の居住地を住み分ける
  ビジネス・チャンス:マルチハビテーション・ビジネス
  “癒しの里やま”で健康づくり
   補完代替医療で事前治癒力を高める
   都市の中に“癒しの場”をつくる
   里山での健康づくりプログラム
  「サービサイジング」が注目される
   「サービサイジング」とは何か
    サービスを売る、レンタル、リース、シェアリング、ネット配信
   リデュース(減量化)・リユース(再使用)が盛んになる
   カーシェアリングが盛んになる
  ビジネス・チャンス:最も注目される「シェアリング・ビジネス」
  「サスティナブル・ポイント」が登場する!?
   環境に配慮すると、ご褒美がもらえる「エコポイント制度」
   「エコポイント制度」には2つの設定方法がある
    取得メニュー、還元メニューをどう設定するか
   サステナビリティにこだわる「サステナブル・ポイント」
    原則1:将来及び他地域との共生
    原則2:起こり得る危機への対応
    原則3:住民の参加と活力
 6 人とのつながりが変わる
  住民コミュニティはサステナブルシティの「基盤」
   コミュニティのつながりが強いほど環境配慮意識も高い
  事例1:省エネ・エコに徹底的に取り組む「柏の葉キャンパスシティ」
   マンネリ打破の秘策は?
  事例2:つながりと出会いを生む「お薬師さんの手づくり市」(仙台市)
   高度情報化社会では、リアルな場所の魅力・価値が問われる
   自分のつくったものでなければ出品できない
   コンセプトは「つながりと出会いを生み出す」こと
   過去と現在、未来がつながる「お薬師さんの手づくり市」
  ビジネス・チャンス:人々が出会い、刺激し合う場をつくるビジネス
   都市の特性をビジネスに活かす
  高齢者を人的資源としてとらえる
  多様な人材を活かす都市づくりを進める
  農山村と連携し都市の弱点を克服する
   農村と連携し食の安全を確保する
   山村と連携しウッドタウン化を目指す

おわりに
 ・ハードウェアとソフトウェアとともにヒューマンウェアを重視すること
 ・将来を予測し、リスク管理の視点からロバストな準備をしておくこと
 ・地域の個性や地域の主体に応じてボトムアップで個性的な都市をつくること

参考文献

『ゼロから始める 暮らしに生かす再生可能エネルギー入門』目次 1月9日

法政大学地域研究センターの田中充、白井信雄 、馬場健司編著『ゼロから始める 暮らしに生かす再生可能エネルギー入門』(家の光協会、2014年8月)を読みました。

はじめに(田中充)

第1章 エネルギーの基本と再生可能エネルギーの仕組み
●エネルギーの基本を知る
 1 エネルギーって何? ~その源を探る~
  化石燃料に依存する現代社会
  私たちが利用する多くのエネルギーの源は太陽
  エネルギーの多くは、加工しないと使えない
  「エネルギー転換」で利便性が高まる
 2 再生可能エネルギーって何?
  新エネルギーは日本独自の分類
  「再生可能」という言葉が意味すること
 3 再生可能エネルギーのメリット
  再生可能エネルギーはCO2排出が少ない
  エネルギー資源を自給できるというメリットも
  分散するエネルギーであることの強み
 4 日本が抱えるエネルギー事情
  石油由来のエネルギーが4割以上を占める
  増え続ける1人当たりのエネルギー消費量
  再生可能エネルギーの割合が増えつつある一方で……
●エネルギーの歴史を知る
 5 人類とエネルギーの歴史
  人類は誕生以来、再生可能エネルギーを利用してきた
  石炭の利用が急速に広がった近代
  石炭主流の時代から再生可能エネルギーの時代へ
 6 オイルショックと再生可能エネルギー
  1970年代に起きた2度のオイルショック
  石油代替として再生可能エネルギーの技術開発がスタート
  形成され始めた再生可能エネルギーの市場
 7 2つの危機に果たす再生可能エネルギーの役割
  日本社会に忍び寄る「外からの危機」とは?
  生活基盤を揺るがす「内なる危機」
  地球温暖化防止とエネルギ-の安全保障に貢献する
  地域活性化につなげて「内なる危機」を回避する
●電力供給の仕組みを知る
 8 発電を行う事業者は大きく4種類
  送電網ネットワークを持つのは、一般電気事業者だけ
 9 発電と送電の基本的な仕組み
  日本の電力供給の9割は、火力発電
  使う分だけ発電して、ロスなく送電する
  再生可能エネルギーは、発電量のコントロールが難しい
 10 固定価格買取制度って何?
  全国の自治体に広がる再生可能エネルギー条例
  固定価格買取制度の対象となる電力の特徴とは?
●再生可能エネルギーの技術を知る
 11 太陽光発電って何?
  太陽光を直接、電気に変換
  電卓から人工衛星まで
  太陽エネルギーは無限だが、発電効率が悪い
 12 太陽熱利用って何?
  太陽光は、熱エネルギーとしても利用する
  熱源には熱エネルギーを使った方が、断然効率的
 13 風力発電って何?
  巨大なブレードの回転で発電
  風車の大型化が進む
  ウィンドファームが増加中
  騒音や低周波が問題に
 14 小水力発電って何?
  流れ落ちる壬子ルギーで発電
  多彩な種類の水車
  小水力発電の仕組み
  エネルギー変換効率が高い
 15 バイオマス発電・熱利用って何?
  日常生活の中にある、さまざまなバイオマス
  発電と熱利用を同時に行える
  発酵により発生させたバイオガスを利用する
  エネルギー出力の調整が容易
 16 地熱発電・地熱利用って何?
  地中の蒸気でタービンを回す
  発電後の蒸気は暖房にも利用可能
  温泉熱発電が始まる
  注目を集める地中熱利用システム

第2章 再生可能エネルギーを暮らしに取り入れる
 1 再生可能エネルギーへの3つの関わり方
   ・再生可能エネルギーをつくる
   ・再生可能エネルギーを使う
   ・再生可能エネルギーを生かした地域づくりに参加する
●再生可能エネルギーをつくる
 2 設備を設置する前に確認したい6つのポイント
   ・目的、種類、方法、妥当性、経済性、リスク
 3 太陽光発電の設備を設置する
  設備費用は安くなってきている
  大型発電所8・5基分の電力が発電可能
  設置業者、メーカー選びがポイント
 4 太陽熱利用の設備を設置する
  エネルギー効率がよく、見直される太陽熱
  狭い面積でも設置が可能
  住宅の断熱性や気密性を高める工夫も必要
 5 薪ストーブ・ペレットストーブを設置する
  まずは、地域内で燃料を入手できるかを調べる
  赤外線効果でじんわりと暖まる
  薪ストーブとペレットストーブの特徴
コラム ペレットストーブと暮らす(松田直子)
  ペレットストーブで京都の森を守る
 6市民共同発電事業に出資する
  出資によって間接的に発電に関われる
  市民協働発電事業への3つの参加方法
  ・寄付型、出資型、購入型
  「出資型の参加」が増えている
  気軽に出資でき、特典もつく静岡市の取り組み
  ソーラーパネルを設置したい人と、屋根を持つ人とが「相乗り」
 7 自治体の公募債に出資する
  地方自治体が募集する公募債を活用する
  市民は、再生可能エネルギーの事業自体に興味がある
コラム ドイツでの市民共同発電事業(杉山範子)
  電気だけでなく「熱」も供給
●再生可能エネルギーを使う
 8 「グリーン電力」を購入する
  新電力の「グリーン電力」を購入」
  東日本大震災をきっかけに注目を集める
  新電力が発電した電気でも、グリーン電力は多くない
  「グリーン電力証書」を購入する
  起業によるグリーン電力証書の活用
 9 再生可能エネルギーを使った製品・サービスを購入する
  グリーン電力証書を活用した製品やサービス
  カーボン・オフセット商品を購入する
  再生可能エネルギーを活用した施設を利用する
 10 スマートハウスで「賢く」暮らす
  スマートハウスの3つの「賢さ」
   ・①エネルギーの供給体制が多様
   ・②消費電力を賢く減らせる
   ・③効率良く、供給と消費の調整ができる
  スマートハウスが普及するための課題とは?
コラム 再生可能エネルギーは家計も助ける(松本明)
 11 自然の風、光、熱を生かす暮らし方
  大がかりな装置のいらないパッシブなエネルギー利用
  日本の伝統家屋では、パッシブなエネルギー利用をしてきた
  現代の住宅でもパッシブなエネルギー利用ができる
   ・自然光、太陽光、太陽熱のいずれの場合も、開口部(窓)を、うまく配置することがポイント
  こんなパッシブなエネルギー利用もある
 12 過ごしやすいように居場所を変える
  居場所を変えることもパッシブなエネルギー利用
  涼を求め、街に出よう
  夏と冬で住む地域を変える
  夏を涼しく過ごすシェアハウス
コラム 週末は八ヶ岳山麓で暮らす(中島恵理)
●地域づくりに参加する
 13 「環境アセスメント」に参加する
  再生可能エネルギーは環境にやさしい?
  「環境アセスメント」とは何か?
  住民が意見を伝える機会は3回
   ・配慮書、方法書、準備書→評価書へ
  リスクを知り、合意を形成する必要性
 14 「ルールづくり」に積極的に関わる
  共有の資源を地域づくりに生かす取り組み
  農山漁村との調和に向けた対話の場づくりが進む
  長期的な視点に立った再生可能エネルギーの導入を
コラム 海外における電力事業の公営化の動き(杉山範子)
  ドイツ国内で広がる公営化の動き
 15 自分に合った再生可能エネルギーとの関わり方
  再生可能エネルギーとの関わり方を分類する
  多くの人は、けっして経済的便益だけで判断していない
コラム “化石燃料ゼロ”を実現した体験交流施設(平澤和人)

第3章 再生可能エネルギーの未来を考える
 1 これから注目される新技術 ~洋上風力と波力~
  騒音や低周波音の問題が少ない洋上風力発電
  じつは長い歴史のある波力発電
  技術開発と普及のために、どれだけのコストをかけられるか?
 2 電力自由化はこれからどうなる?
  3段階で進む電力制度改革
  一般家庭でも自由に電力会社を選べるようになる
  発送電分離で競争が活発になる?
  電力自由化により再生可能エネルギーの普及が進むか?
  私たちは選択を迫られている
 3 スマートコミュニティで暮らす未来
  スマートハウスをネットワークでつなぐ
  2030年のスマートコミュニティ
  未来へ向けて進められる実証実験
 4 再生可能エネルギーへの関わり方が未来を決める
  エネルギーをみずからつくり、利用するという発想
  再生可能エネルギーを暮らしに生かす2つのスタイル
  「どらえもん」型の未来と「サツキとメイ」型の未来
   ・高度技術型社会と自然共生型社会

インデックス

参考文献

朽ち木の中にカブトムシの幼虫 1月5日

ブルーベリーの植穴を掘る準備に放置されていたコナラの朽ち木(ブログ記事「植穴を掘る 1月5日」の写真左に写っている朽ち木)をひっくり返すと、朽ち木の下にカブトムシの幼虫がいました。
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さらに、朽ち木の厚い樹皮を剥いでみると、朽ち木の中にも幼虫が何匹もいました。
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 昆虫写真家の山口進さんは『カブトムシ山に帰る』(汐文社、2013年)で山の中でのカブトムシの育ち方を「はじめは朽木[くちき]の下で育ち、やがて朽木に食い込んで、さなぎになる時は再び土のところまで下がってくる」(127頁)と推理しています。里山では落ち葉堆肥のやわらかい腐葉土の中でみかけることが多いカブトムシの幼虫ですが、やや高い山では、「何度か枯れた木の中や倒れた木の下」(『同書』19頁)でカブト虫の幼虫を発見したそうです。

 里山ができる前、カブトムシは山の奥でほそぼそと生活していました。サイカチなど山で育つわずかな木が出す樹液を食べ、メスは倒木が分解してできる腐植土の中に卵を産みつけます。
 メスは倒木の下にもぐりこんで卵を産み、ふ化した幼虫は倒木の下にたまった腐植土を食べ始めます。
 腐植土はそれほどあつく積もらず、腐植土の下は土です。固い木の根元にまで食いこみながら成長してゆきます。
 ぼくが倒木から発見した幼虫は、この状態だったのでしょう。倒木の固い部分に食いこむ時に、あの鋭く強い口が役立ちます。
 幼虫が成熟すると、土とのさかいめまでふたたびもぐり、さなぎになります。そして夏、山の中では小さなカブトムシが現れてくるのです。
 樹液を出す木が少ない奥山では、体が小さいほうが有利です。食べ物が少ないと、虫の数が増えにくいとも考えられます。
 深い山にいた飛ぶ力が強く体が軽い小型のカブトムシがその能力を発揮して、新天地の里山を発見し、より豊かな生活ができる場所に生活を移していったというのがぼくの推理です。(『カブトムシ山に帰る』125~126頁)

 第12章 カブトムシ、山に帰る
 奥山で暮らしていたカブトムシは、里山と出会い、豊かで楽な生活を手に入れました。そのおかげで体も大きくなり、数を増やすことができました。
 ところがいま里山が消えつつあります。わずかに残る雑木林も荒れ、樹液も腐葉土も少なくなってきたため、カブトムシにとって生活がしにくくなってきました。
 とはいうものの、有機農業を本気で考えている人や、庭の草木のために手をかけて堆肥作りをする人は、まだいます。
 シイタケ作りはあいかわらず盛んなので、古くなったホダ木は積み上げられ、カブトムシに大いに利用されていますが、雑木林は荒れるいっぽうです。
 このように人里に近い場所で、大きなカブトムシが生き続けていける条件はわずかにしか残されていません。
 肝心の樹液が出なくなったことが、里で暮らすカブトムシの生活を大きく変えました。樹液がでる木は目に見えて減っています。樹液が出る割合と、カブトムシの数は同じように減少しているのです。
 用がなくなった広い雑木林は、開発され、小さくなりました。小さくなると乾燥が始まります。
 雑木林が乾燥したり、また逆に湿りすぎると小型のカブトムシが生まれてくることは、九州大学の荒谷邦雄先生の実験で確かめられています。
 こうして悪い環境で育った小型カブトムシが、里山でも出現しているのでしょう。(『同書』129~130頁)
※カブトムシ、クワガタ、コクワガタの小型化
 テレビ番組で放送された情報をご紹介するサイト『TVでた蔵』によれば、2011年8月10日(19:30 - 20:45)にNHK総合で放送された番組『ちょっと変だぞ日本の自然 新型生物誕生SP』(出演者:田代杏子 三宅裕司 木曽さんちゅう(Wコロン) 北原里英(AKB48) 東貴博(Take2) 勝村政信 指原莉乃(AKB48) 熊田曜子 ねづっち(Wコロン) 五箇公一 )の冒頭のコーナー「雑木林で新型昆虫を探せ!小型カブトムシ」が以下の内容であったようです。

雑木林で新型昆虫を探せ
 新型生物研究所の研究員と、それぞれが調べてきた場所を紹介。
 山梨県の八ヶ岳近くの雑木林に新型昆虫を探しに行った。昆虫写真家の山口進さんの案内で昆虫が集まる夜の樹液酒場を探索すると、普通のカブトムシの半分以下の大きさの新型昆虫”小型”カブトムシを発見、この”小型”カブトムシはここ3、4年で増えているという。

小型カブトムシ 出現の秘密
 荒谷邦雄教授によると、カブトムシは幼虫時代の土壌の水分により大きさが変わるため、環境の変化で今後小さな成虫が見られる状況が日本全国に広がるという。

小型カブトムシ 変わる雑木林
 小型カブトムシが増えている雑木林には道路が次々と作られ、土壌を乾燥させる原因となっている。一方、人による手入れがされていない場所の土壌は水分が多すぎ、これもカブトムシが小型化する要因となっている。

スタジオトーク
 スタジオで新型昆虫”小型”カブトムシと普通のカブトムシを比較。カブトムシだけでなく、ノコギリクワガタやコクワガタも小型化しているという。(『TVでた蔵』504774より)

岩崎邦彦『農業のマーケティング教科書』目次 1月2日

岩崎邦彦さんの『農業のマーケティング教科書 -食と農のおいしいつなぎかた-』(日本経済新聞出版社 、2017年11月)を読みました。アンケート専門サイト(Webアンケート方式)の「消費者調査」「全国農業者調査」などから見えてきた「食」と「農」を結ぶ道を読み解いた本です。

はじめに
 高品質なモノはたくさんある
 消費者は「食べるモノ」ではなく「食べるコト」を買う
 売り込まれて、買いたくなる人はいない
 「食」と「農」をつなごう

第1章 農業を再定義しよう
 「農」と「食」が強い国の共通点
 「おいしい」が意味すること
 「農」と「食」と「幸せ」の関係
「農」と「食」と「幸せ」の間には、明らかにポジティブな関係が存在している。
 この結果からは「消費者」と「農」との心理的な距離感が近くなれば、食の満足度が向上し、幸福感が向上することが示唆される。
 「農」の先には「おいしい」があり、「おいしい」の先には「幸せ」がある。
 農業は、単に農産物を生産するだけの仕事ではないということだ。人々の幸福の基盤となる、誇り高き仕事である。農業や農村の活性化は、農業分野だけに止まらず、人々の幸福感にも結び付く。
 そう考えると、現代の農業は「農産物の生産業」という辞書的な意味を超えて、「幸せ創造業」と定義しても、過言ではないだろう。(20頁)

第2章 農業にマーケティング発想を
 マーケティングとは何か
 「食べるもの」の日がなぜ普及しないのか
 「食べるモノ」から「食べるコト」へ
 マーケティングへの関心の高まり
 「販売」と「マーケティング」とは違う
 消費者目線になっているか?
 顧客と同じ方向を向こう
 言うは易く、行うは難し
 「生産者目線」を強制的に「消費者目線」に変える方法
①「売る」という言葉を禁句にし、「買う」と言い換える
②「何」ではなく「なぜ」で発想する
③「食べるモノ」ではなく「食べるコト」をイメージする
④「農産物をつくる」ではなく、「顧客をつくる」と考える
⑤小売店に行って、自分が生産した農産物を自腹で買ってみる

第3章 品質を決めるのは消費者である
 生産者の品質 ≠消費者目線の品質
 「おいしさ」が生まれるのは、農場ではなく、食事の場である
 人は、舌だけで味わっているのではない
おいしさは「五感」と「頭」と「心」の“掛け算”で生まれる。(57頁)
 知覚品質をいかに高めるか
①「ブランド」で知覚品質が高まる
②「見える化」で知覚品質が高まる
③「言える化」で知覚品質が高まる
④「物語」で知覚品質が高まる
⑤「掛け算」で知覚品質が高まる
⑥「陳列」で知覚品質が高まる
⑦「価格」で知覚品質が高まる

第4章 うまくいっている農家にはどのような特徴があるのか
 469の農業者を調査
 好業績に影響を及ぼす要因
 好業績の農業者の特徴
①消費者と交流している、消費者の声を聞いている
②価格競争に巻き込まれにくい
③安定的な販売先を確保できている
④核(シンボル)となる商品がある
⑤女性の力を積極的に活用している
⑥「農産物を収穫するところまでが主な仕事」とは考えていない

第5章 どうやって強いブランドをつくるか
 ブランド化とは何か?
 ブランドは「品質」を超える
 モノづくり≠ブランドづくり
 ブランドで表面をつくろうことはできない
 ブランド力を評価する方法
①名前の後ろに、「らしさ」という言葉をつけてみる
②目を閉じて、頭にイメージを浮かべてみる
 「ブランド」と「名前」の違い
 ブランドに関する誤解
①「知名度を高めれば、ブランドになる」という誤解
②「品質を高めれば、ブランドはできる」という誤解
③「広告宣伝費がないと、ブランドはできない」という誤解
④「まずは、ロゴをつくろう」という誤解
⑤「数の多さを売りにして、ブランド力を高めよう」という誤解
 「強いブランド」にはどのような特性があるのか
①ブランド・イメージが明快である
②感性に訴求している
③独自性がある
④価格以外の魅力で顧客を引きつけている
⑤情報発生力がある
⑥口コミ発生力がある

第6章 「違い」が価値になる
 「普通」の農産物はブランドにならない
 個性化は「特殊化」ではない
 「二番煎じ」は、ブランドにならない
 危険な「ヨコ展開」という発想
 いかに個性を出すか
①「味覚、香り、食感」で個性化
②「形状」で個性化
③「サイズ」で個性化
④「色」で個性化
⑤「パッケージ」で個性化
⑥「生産方法・販売方法」で個性化
⑦「肥料・エサ」で個性化
⑧「品質基準」で個性化
⑨「生産場所」で個性化
⑩「ずらし」で個性化
⑪「ストーリー」で個性化
⑫「利用シーン」で個性化
⑬「用途の限定」で個性化
⑭「売る場所」で個性化
⑮「逆張り」で個性化
 ダメな違いの出し方
①「『一本のモノサシ』で測ることができる違い」
②「消費者が気づかない違い」
③「消費者にとって価値がない違い」

第7章 どうすれば六次産業化は成功するのか
 マーケティングに問題を抱える六次産業化
 六次産業化に関する誤解
①「規格外品の活用のために六次産業化する」という誤解
②「六次産業化は、新商品開発である」という誤解
③「『加工食品業』の土俵に乗る」という誤解
 六次産業化の成功要因は何か?
 六次産業化成功の3つのポイント
①「独自性がある」
②「販売チャネルの確保」
③「高品質・安心安全」
 いかに売れ続ける商品をつくるか
 ロングセラー商品を生み出すポイント
①おいしすぎない!?
②「変わらないもの」と「変わるもの」のバランス
③近視眼にならない

第8章 農業の体験価値を伝えよう
 コトの中に農産物を位置づける
 1の体験は100の広告に勝る
 消費地に行くより、産地に来てもらおう
 「農業」を「観光」を掛け算しよう
 農村観光にひかれる人々は、どのような特性を持つのか
①「現地の人々との出会い・交流」を重視している
②「自然」を重視している
③「学び」を重視している
④「体験」を重視している
⑤「その地域ならではの商品や食」を重視している
 「農業」と「飲食業」を掛け算しよう
 「農家レストラン」にひかれる人々の特徴
①小規模店志向である
②健康志向である
③食の口コミ発信源である
④グルメ志向である
⑤環境志向である
⑥リピート志向が強い
 農家レストランにおけるマーケティングのポイント
①軸は、あくまで「農業」である
②メニューの「足し算」をやめよう
③「核となる商品」をつくろう
④「ライブ感」を大切にしよう
⑤「飽きない」を意識しよう

第9章 さあ、前に踏み出そう!
 マーケティングの失敗を招く4つの誤解
①「『○○離れ』だから、厳しい」という誤解
②「後継者がいないから、厳しい」という誤解
③「規模が小さいから、競争力がない」という誤解
④「経営改善をすれば、強くなれる」という誤解
 さあ、行動しよう!

おわりに
機会を生かす、自助努力・創意工夫、発想転換(209頁)

参考文献

埼玉県立自然の博物館 12月10日

長瀞町にある埼玉県立自然の博物館の特別展『秩父鉱山 140種の鉱物のきらめき』を見学しました。秩父鉱山は秩父市の西方、中津川の上流にある金属鉱山で、地下から上昇したマグマが石灰岩と反応してできるスカルン鉱床で140種類もの鉱物が産出しましたが、1978年に金属部門の生産を中止し、現在は(株)ニッチツ資源資源開発本部が結晶質石灰岩(大理石)を採掘しています。
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昭和40年頃の秩父鉱山)のようす
『写真と証言で読みがえる秩父鉱山』(同時代社、2015)の著者、黒沢和義さんのイラスト
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最盛期には2千数百名の人が働き、小倉沢小中学校がありました。その時期の施設や社宅が残されていますが崩落がすすんでいて「廃墟サイト」として紹介されていることもあります。

自然博物館(1981~)の前身、秩父鉱物植物標本陳列所(1921~1949)、秩父自然科学博物館(1949~1980)
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秩父鉱物植物標本陳列所時代のジオツアーコース
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植物標本の目録に続いて、日帰り、一泊、五・六泊の地質旅行案内が印刷されています。

埼玉県自然の博物館研究発表会 12月9日

東松山市松山市民活動センターで開かれた埼玉県自然の博物館研究発表会を聴講しました。
午前の部は、「埼玉から消えた植物、減っている植物」(木山加奈子さん)、「メガロドンvsパレオパラドキシア 1500万年前の多様な海の生き物たち」(北川博道さん)、午後の部は、「埼玉県に分布する興味あるいくつかのカスミカメムシ類」(野澤雅美さん)、「イネウンカに寄生するカマバチとその寄生蜂」(半田宏伸さん)、「「物見山」の原風景 ~大正の一大観光地はどのような場所だったか~」(須田大樹さん)、「なぜ平賀源内は秩父鉱山へやってきたのか」(井上素子さん)、「秩父鉱山の鉱物」(小林まさ代さん)の講演、研究発表がありました。

須田大樹さん「「物見山」の原風景 ~大正の一大観光地はどのような場所だったか~」は、1922年に飯能の天覧山とともに、埼玉県内初の指定名勝となった物見山がなぜ名勝に指定されたのか、文献調査、現地調査から指定当時の植生を推定し、公園管理の目指すべき方向性(江戸時代から続く里山的管理の結果生まれた眺望を維持しつつ、ツツジ類をはじめ四季折々の魅力にあふれた公園を目指す。目標とするのは、疎らなアカマツの下に多くのツツジ類が生育し、その間にはススキなどの草地が広がり秋の七草などもみられる植生)を考察したものでした。
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環境学習会2018 12月7日

東松山市の環境基本計画市民推進委員会学習会(環境学習会2018)が2018年1月~3月に開かれます。

1回目
日時:2018年1月21日(日)10時~
場所:市役所総合会館3階302会議室
講師:㈱第1プログレス 矢野 航 氏(移住暮らし情報サイト「TURNS」において、東松山市の記事を執筆)
内容:数多くの地域を取材してきた経験に基づき、市民ではない者から見た東松山市の財産を活かした今後の市の方向性について

 ※当ブログの記事。「きたもとアトリエハウス・自然観察公園」(2017.01.28)、「きたもとアトリエハウス」(2016.11.18)、「埼玉をおもしろくする人々と出会う1日(26日)」(2016.11.15)、「そば打ちとみかん刈り(19日) 比企地域移住体験ツアー」(2016.11.14)

2回目
日時:2018年2月18日(日)10時~
場所:市役所総合会館3階303会議室
講師:国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所 多摩森林科学園 主任研究員 島田 和則 氏(専門分野:植生管理学、都市近郊林)
内容  都市近郊の里山林の保全・再生について
 
 ※都市近郊林(HP『EICネット』環境用語集から)
都市近郊林(トシキンコウリン)   【英】Suburban Forest 
 解説 :一般的に、都市および都市生活者の居住地域周辺の森林をいう。国土総合開発法(1950)に基づく「第4次全国総合開発計画」(1987年閣議決定)では、森林を奥山天然林、人工林、里山林、都市近郊林の4つに区分してそれぞれの基本的方向を示している。
 都市近郊林の多くは、里山林と類似の林相や機能を持ち、かつて農用林や薪炭林として利用され、集落、田畑、溜池、小川などと複雑に組み合わさった良好な景観を呈していたが、近年は、「施業放棄森林」となったり、無計画な宅地開発が行われたりした結果、林業的価値が失われたばかりでなく、景観の悪化、生物多様性の低下など公益的機能を減じているものが多い。また、地価が高いことから相続等に際し、蚕食的な開発が繰り返されており保全方策の確立が望まれている。(2014年7月改訂)
 ※『都市近郊林管理の考え方 -市民参加のための手引き-』(独立行政法人森林総合研究所 多摩森林科学館、2015年3月)
 ※※市民参加で都市近郊林を管理
要旨:都市近郊林は、野生生物が生息する奥山と人間の生活域である市街地の間に残された森林です。近年では、野生生物の生息地が狭まり、希少種が減少する一方、外来種が増加するといった生物相の変化が確認されています。この身近な自然である都市近郊林を「市民参加」で管理する事例を調査した結果、いくつかの解決すべき課題が明らかになりました。そこで、市民が参加して都市近郊林を管理する際の実効性や継続性を高めるために、管理に困ったときに役立つ手引き書を作成し、森林総合研究所のホームページ上で広く公開しました。

 3 つの視点と 7 つのポイント
視点 1:都市近郊林管理に市民が参加するために
   Point1. 森林の所有者・管理者と連携する
視点 2:都市近郊林管理を行うために
   Point2. 森林の特徴を把握する
   Point3. 森林の特徴を踏まえて管理技術の適用を考える
   Point4. 地域全体を視野に入れて考える
視点 3:都市近郊林管理を継続するために
   Point5. 多角的・総合的な視点から考える
   Point6. 長期的な視点で考える
   Point7. 点検と修正を考える
    Point1~6をふまえてPDCA サイクルによる継続を考える
 ※※身近な森林を市民の手で管理していくために
要旨:都市近郊林は、野生生物の生息環境や市民の身近な自然として貴重な存在です。生物相調査からは、生息地の減少のみならず、希少種の減少や外来種の増加といった生物相の変化が確認されました。また、都市近郊林の管理に市民が参加する例が増えるなか、市民が身近な森林の管理に参加した場合の課題も明らかになりました。そこで、市民参加による都市近郊林管理の実効性や継続性を高めるため、生物多様性の維持のための管理手法を試行するとともに、市民参加による都市近郊林管理の考え方を整理した手引き冊子を作成しました。
3回目
日時:2018年3月11日(日)10時~
場所:市役所総合会館3階303会議室
講師:HappyEnergy株式会社 最高執行責任者 西本 良行 氏(再生可能エネルギーの普及を図りながら、電力サービスの利益の半分を社会貢献活動に還元して活動)
内容:地域新電力や社会貢献活動などの事業内容の紹介、活動を始めた背景、今後の見通しについて

 ※「電力界のサードウェーブコーヒーの立ち位置を狙っています」。たったひとりで電力会社をつくり、利益の半分でソーシャルアクションを行う「株式会社HappyEnergy」(HP『Greenz.jp』の「Greens people」から)

ニューツーリズムとは? 10月29日 

観光庁のHPに「ニューツーリズムの振興」(最終更新日:2016年3月11日)があって、「ニューツーリズムとは、従来の物見遊山的な観光旅行に対して、これまで観光資源としては気付かれていなかったような地域固有の資源を新たに活用し、体験型・交流型の要素を取り入れた旅行の形態です。活用する観光資源に応じて、エコツーリズム、グリーンツーリズム、ヘルスツーリズム、産業観光等が挙げられ、旅行商品化の際に地域の特性を活かしやすいことから、地域活性化につながるものと期待されています。/観光庁では、地域の特性を生かし、かつ多様化する旅行者のニーズに即した観光を提供するニューツーリズムの振興を図っています。」とあります。
国土交通省の外局として観光庁が発足したのは2008年10月です。2010年3月、観光庁観光産業課が発行したニューツーリズム旅行商品 創出・流通促進 ポイント集 2009年版」ではニューツーリズムのカテゴリー(テーマ)として、以下のものを例示しています(3~4頁)。

●産業観光 :<観光立国推進基本計画(2007年 6 月 29 日  閣議決定)>
 歴史的・文化的価値のある工場等やその遺構、機械器具、最先端の技術を備えた工場等を対象とした観光で、学びや体験を伴うものである。産業や技術の歴史や伝承すること、現場の技術に触れることは、当該産業等を生んだ文化を学ぶことであり、将来的な産業発展のためにも重要な要素である。

●エコツーリズム :<観光立国推進基本計画(2007年 6 月 29 日  閣議決定)>
    自然環境や歴史文化を対象とし、それらを損なうことなく、それらを体験し学ぶ観光のあり方であり、地域の自然環境やそれと密接に関連する風俗慣習等の生活文化に係る資源を持続的に保全しつつ、新たな観光需要を掘り起こすことにより、地域の社会・経済の健全な発展に寄与し、ひいては環境と経済を持続的に両立させていくことにつながるものである。ホエールウォッチングなど野生生物を観察するツアーや、植林や清掃など環境保全のために実際に貢献をするボランティア的ツアーなどが、これに当たる。
<エコツーリズム推進法  第二条 2 項(定義)>
  この法律において「エコツーリズム」とは、観光旅行者が、自然観光資源について知識を有する者から案内又は助言を受け、当該自然観光資源の保護に配慮しつつ当該自然観光資源と触れ合い、これに関する知識及び理解を深めるための活動をいう。

●グリーン・ツーリズム:<観光立国推進基本計画(2007年 6 月 29 日  閣議決定)>
  農山漁村地域において自然、文化、人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動であり、農作業体験や農産物加工体験、農林漁家民泊、さらには食育などがこれに当たる。
<農林水産省ホームページ  都市と農山漁村の共生・対流>
  グリーン・ツーリズムとは、山漁村地域において自然、文化、人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動。 農林漁業体験やその地域の自然や文化に触れ、地元の人々との交流を楽しむ旅。

●ヘルスツーリズム:<観光立国推進基本計画(2007年 6 月 29 日  閣議決定)>
  自然豊かな地域を訪れ、そこにある自然、温泉や身体に優しい料理を味わい、心身ともに癒され、健康を回復・増進・保持する新しい観光形態であり、医療に近いものからレジャーに近いものまで様々なものが含まれる。

●ロングステイ(長期滞在型観光):<観光立国推進基本計画(2007年 6 月 29 日  閣議決定)>
長期滞在型観光は、団塊世代の大量退職時代を迎え国内旅行需要拡大や地域の活性化の起爆剤として期待されるものであるとともに、旅行者にとっては地域とのより深い交流により豊かな生活を実現するものである。

●文化観光: <観光立国推進基本計画(2007年 6 月 29 日  閣議決定)>
日本の歴史、伝統といった文化的な要素に対する知的欲求を満たすことを目的とする観光である。
その背景には、①旅行の個人化と共に、旅行者ニーズも“十人十色”さらには“一人十色”と言われるほど多様化し、さらには成熟化によって、旅行者はより本物を求めるようになっている。多様な旅行者ニーズに対して、一律の規格の旅行商品ではそれらのニーズを満たすことは難しく、「多品種・小ロット」と言われる、きめの細かい旅行商品の提供が求められている。②地域に根付いた「自然」「歴史・伝統」「産業」「生活文化」等、これまで旅行の対象として認識されなかった地域資源が新たな観光、旅行の目的となってきている。地域の側では、地域の再生や活性化を観光を通じて取り組もうとする流れが全国で生まれている。③地域に根ざし、地域ならではの資源や文化を護り育てようとする取組みや、観光により地域を活性化しようとする取組みの中で、地域ぐるみで新しい地域に密着した旅行商品の創出が問われている(3頁)があります。
高度経済成長期の新幹線や高速道路網の整備、ジャンボジェット機の就航など、大量輸送機関の発達によって可能となった旅行の大衆化(マスツーリズム)、旅行会社が企画するパッケージツアー(募集型企画旅行)を利用して集団で、観光地をつまみ食いして、効率的にまわるおしきせの旅行(オールドツーリズム)から、個人の興味やペースに合わせた旅行へと、観光嗜好が変化してきたことが「体験型」、「交流型」のニューツーリズムを生み出しているということでしょう。

※ツーリズムのライフサイクル(尾家建夫「ニューツーリズムの概要と現状分析及び展望」『SRI』(財)静岡総合研究機構、第101号、2010年8月、4頁)
図ニューツーリズムの概要と現状分析及び展望20120818-172804-4454

※日本人の旅行の変遷(中根裕「土木観光への期待」『土木学会誌』99-6、2014年、13頁
図A(土木観光)

※旅行のニーズの変化(同上)
図B(土木観光)

井手英策『財政から読みとく日本社会』 10月26日

井手英策・宇野重規・坂井 豊貴・松沢裕作『大人のための社会科 …未来を語るために』(有斐閣、2017年9月)を読んで、その後財政社会学者の井出さんの著作を何冊か読みました。
ウェブサービスにパラ活ラボ提供の「ノイズレスサーチ」(http://pasokatu.com/nsearch#gsc.tab=0)があって、グーグルのカスタム検索機能を利用して、NAVERまとめ等まとめサイトやアマゾン、楽天市場など通販サイト、Yahoo知恵袋などQ&Aサイトなど不要な情報が多いサイトを検索結果から除外して表示します。通常の検索では埋もれている情報を見つけるのに便利です。ノイズレスサーチで「分断社会・日本」を検索してみてください。なぜ日本社会は分断されているのか、その処方箋、分断を超える突破口はどこにあるのかなど、井手さんの回答がわかります。

『財政から読みとく日本社会 …君たちの未来のために』(岩波ジュニア新書848、2017年3月)
はじめに

第1章 財政のレンズをとおして社会を透視しよう
 必要が生み出した財政/社会を映し出す鏡としての財政/特徴その一 小さくて信用されない政府/特徴その二 かたよった社会保障/特徴その三 公共投資が大好きな日本/特徴その四 農業に関心をうしなった国民?/特徴その五 教育への投資が少ない/特徴その六 税金は安いのに痛みは大きい/特徴その七 融通がきかない予算/社会をつくりながら社会を知る

第2章 小さな政府はどのようにつくられたか
 政府が小さいということ/望ましい大きさを決めることのむつかしさ/インフレーションが生んだ「総額に気をつかう財政」/生き残った戦争中のことば/「勤労国家」と「自己責任の財政」/貯金をエンジンとした日本経済/低成長と公共事業の急増/ 「総額に気をつかう財政」とシーリング予算/自助・共助・公助の社会/なぜ財政は変わらなかったのか/経済の長期停滞と財政危機

第3章 成長しなければ不安になる社会
 社会保険ってなに?/現金給付と現物給付がまざった社会保険/日本の医療と介護/お父さんやお母さんたちの苦労/家族への現金給付への反対/家族を大事にする/貧弱な障がい者給付/障がいの問題は自分の問題だ/生活保護とうたがう気持ち/勤労国家と僕たちの社会保障制度/小さな政府をささえる条件が消える

第4章 公共投資にたよった日本社会の限界
 荒廃から立ちなおるための公共投資/農業経営の効率化への動き/公共投資が公共投資を呼ぶ/公共投資と人の動き/コミュニティがささえた小さな政府/公共投資と族議員政治/族議員政治の根っこにあった日本社会の分断/公共投資の激減と建設業の衰退/農業も衰退した/公共投資の削減が生み出す新しいコスト/公共投資にたよらない社会を考える

第5章 柔軟で厚みのある社会をささえる教育
 少なすぎる日本の公的教育支出/生活が苦しくなり、子どもをあきらめる/おかしな教育の格差/なぜ公的な支出が少ないのか/奨学金問題/教育と経済成長/貧しくなった日本人/就学前教育の重要性/国際的な日本経済の地位/教育よりも経済が大事な日本人/よりよい社会のための教育

第6章 税の痛みが大きな社会をつくりかえる
 増税のむつかしい国/毎年のようにくりかえされた所得減税/増税でサービスを改善する経験がなかった日本人/大きく変わった社会/余裕をなくしてしまった日本人/社会保障・税一体改革の意味/お年寄りも困っている/ 「袋だたきの政治」/人間を信頼できない社会と自己責任/税制と民主主義

第7章 「君たち」が「君たちの次の世代」とつながるために
 「勤労国家」によるみごとな統治/経済成長という土台がくずれる/逆回転をはじめた「勤労国家」/相手を仲間ではなく他人と思う社会/小田原市の小さな物語/「何がちがうか」ではなく「何が同じか」を考える/ 「私」と「私たち」のちがい/現物給付をみんなに配る/「だれもが受益者」という財政戦略/格差が大きくならないか/現金給付と現物給付の決定的なちがい/重税国家ではない/経済の時代から人間の時代へ

あとがき


宮内泰介『歩く、見る、聞く 人びとの自然再生』 10月25日

宮内泰介さんの『歩く、見る、聞く 人びとの自然再生』(岩波新書1647、2017年)の目次です。

第1章 自然とは何だろうか?――人間との相互作用
1 生活の場から
岩のりの採集/何のために、誰のために自然を守るのか
2 ヨシ原という自然から考える
北上川河口のヨシ原は、どう生まれたか/地域住民のヨシ原利用/生物多様性を支えるヨシ原/攪乱
3 日本列島の自然の歴史
森は少なかった/草地の減少/落葉広葉樹や草原は、なぜ残ったのか/人間の活動が作り出した多様性
4 自然とは何だろうか
自然保護の考え方の変遷/生物多様性/里山保全という考え方/生態系サービスという考え方/自然とは何だろうか
5 半栽培
「半栽培」という考え方/多様な事例/三つの半栽培/半栽培のダイナミズム/竹林の変遷
6 伝統的知識
自然保護は、ときに住民への抑圧になる/自然保護難民/伝統的な生態学的知識

第2章 コモンズ――地域みんなで自然にかかわるしくみ
1 自然と社会組織
磯物と契約講/海の資源と地域組織/山の資源 ススキ
2 コモンズと「所有」
コモンズとは何か/「コモンズの悲劇」?/コモンズはどのように生まれるのか/誰のものか/フットパス/所有とは何だろうか
3 なぜ「集団的」なのか
歴史から来る「集団」のかかわり/みんなが納得できる柔軟な資源管理/コモンズの効用
4 災害とコモンズ
東日本大震災/合意形成とコミュニティ
コモンズの効用
 なぜ資源管理は地域で集団的におこなったほうがよいのか、なぜ人びとはそれを選択してきたのか、これまで見てきたコモンズの「効用」を整理してみよう。
 第一に、当事者たち自身によるルールによって適切な資源管理が可能になる。
 第二に、当事者たち自身によるルールなので、地域の事情に応じた細かで柔軟なルール作りや利益の分配ができる。平等への配慮、弱者への配慮など、地域の価値観を反映した資源利用が可能になる。
 第三に、当事者たち自身によってルールを決めるので、その決め方も含めて地域の中での「納得」をもたらす。たとえそれで何らかの不利益をこうむることがあったとしても、その正当性は維持される。
 第四に、個人や世帯を超えた地域全体の財産維持、地域全体の利益に資することができる。その際、個人・世帯の利益と地域全体の利益との間のバランスのとり方も、各地域の事情に合わせる形でできる。
 このように、地域みんなで自然にかかわることは、適切な資源管理であるだけでなく、複合的な意味合いをもっている。……(104~105頁)

第3章 合意は可能なのか――多様な価値の中でのしくみづくり
1 現代のコモンズ
ある都市の森林保全活動/都市部でのコモンズの実践/市民による森づくり/スペイン 干潟のコモンズ
2 順応的管理と「正しさ」をめぐる問題
何重もの不確実性/順応的管理とは何か/自然再生事業始まる/順応的管理の失敗/「正しさ」をめぐる争い/誰がかかわるべきか/どのような価値を重んじるのか/誰がどう承認するのか/世界は多様な価値に満ちている
3 多様な合意形成の形
むずかしい「合意形成」/ワークショップという技法/ワークショップの実践/無作為抽出された市民による討議/ハイブリッド型市民討議/合意とはいったい何だろうか/「合意」を広く考えてみる
4 順応的なガバナンスへ
柔軟性や順応性をもったモデル/複数のゴール/試行錯誤を保証する

第4章 実践 人と自然を聞く
1 聞くといういとなみ
奄美での聞き取りから/数値化による自然把握/「ppmに気をつけろ」/聞く/ふれあい調査/聞き書きをする/女川集落の日々/聞き書きの効用/物語が生まれる
2 物語を組み直す
感受性をみがく/歩く、調べる/外部者の役割

おわりにかえて 小さな物語から、人と自然の未来へ
小さな物語を大事にする/小さな社会からの自然再生

あとがき
主要参考文献

中村智幸『イワナをもっと増やしたい』 9月7日

中村智幸さんの『イワナをもっと増やしたい 「幻の魚」を守り、育て、利用する新しい方法』(フライの雑誌社、2007年12月)の目次です。

 第1章 不思議な魚、イワナ
 第2章 「幻の魚」イワナのプロフィール
 第3章 イワナ研究のフィールドワーク
 第4章 イワナの姿かたちは川や支流ごとに違う
 第5章 謎多きイワナの暮らし(1) 年齢の調べ方、成長、成熟、寿命
 第6章 謎多きイワナの暮らし(2) イワナはいつ、どれくらい移動するのか
 第7章 天然のイワナを守る
 第8章 イワナの種川を残し、守る
 第9章 イワナが産卵床をつくる場所の条件とは何か
 第10章 イワナの人工産卵場のつくり方
 第11章 イワナを守りつつ利用する新しい方法―イワナとヒトの未来
 おわりに
第7章~第11章は、
 第7章 天然のイワナを守る
  それぞれの川固有のイワナを保護する
  「聞き取り調査法」で天然魚の生息分布を推定する
  鬼怒川支流での天然魚の聞き取り調査例
  天然魚は支流の滝や堰堤上流の狭い範囲に生息している 養殖魚を放流すると天然のイワナがいなくなる
  なぜ天然魚を残さなくてはいけないのか?
  漁業法で定められた増殖義務が安易な放流につながった
  放流だけが魚の増殖ではない。漁場管理こそが重要
  保護水面に指定すれば天然魚を守れるか
  今となれば、あえて魚道をつくらないほうがいい堰堤もある
  天然魚が生息している水域の堰堤には、魚道を付ける
  遺伝子解析によって天然魚かどうか判別できそうだ
  遺伝子解析の具体的な手順とは
  できるだけ多くの川で天然魚の分布を調査したほうがよい

 第8章 イワナの種川を残し、守る
  イワナの産卵床は支流に多い
  たくさんのイワナが支流に産卵のために遡上する
  なぜイワナは支流で産卵するのか
  これまで「種川の条件」に関する研究は行われてこなかった
  イワナが産卵遡上する支流の環境条件とは
  産卵床は本流の遡上阻害物の下流に流入する支流や、遡上できる距離が長い支流ほど多い
  イワナの産卵保護のための河川管理方法
  釣り人や漁協にも、できることがある
  「産卵数の多い支流」より「繁殖に適した支流」の条件探しが大切
  禁漁にすると本当にイワナは増えるのか?
  禁漁河川で5年にわたり個体数を調査した
  そして、イワナは、増えた

 第9章 イワナが産卵床をつくる場所の条件とは何か
  産卵場所の細かい環境条件を調べる
  イワナとヤマメでは産卵場所の条件が少し違う
  ヤマメにくらべてイワナはいろいろな場所で産卵できる

 第10章 イワナの人工産卵場のつくり方
  魚の増殖方法は大きく三つ
  なぜ人工産卵場を造成するのか?
  はじめての造成実験
  人工産卵場の造成はそれほどむずかしくない
  造成した人工産卵場で多くのイワナが産卵した
  そして、産みつけられた卵はふ化した
  人工産卵場の造成技術の改良はじめての造成から10年が経過
  人工産卵場をつくるのに適した川の条件がある
  人工産卵場のつくり方の実際
  人工産卵場の耐久性、周囲の景観との調和
  人工産卵場造成のハウ・ツービデオがある
  河川管理者の許可は必要か?
  造成費用はいくらかかるのか?
  一か所あたりの造成費用は31,500円から 42,000円
  もっと安く造成する方法がある
  人工産卵場の増殖効果と、養殖イワナとの金銭的比較
  人工産卵場には天然魚や野生魚の産卵を助ける働きがある
  人工産卵場の造成は子どもの環境教育にも役立つ
  人工産卵場の造成はあくまで「次善の策」にすぎない

 第11章 イワナを守りつつ利用する新しい方法 イワナとヒトの未来
  川をゾーニングして、イワナを守りつつ、釣りを楽しむ
  新しいゾーニングを提案します
  川を釣りで高度利用する具体例のあれこれ
  放流方法の違いによるゾーニング
  群馬県の上野村漁協さんのゾーニング管理
  長野県の志賀高原漁協さんのゾーニング管理
  イワナを、守り、増やし、釣りに利用する方法は、たくさんある
  水源の森林を保全している漁協さんもいる

日本魚類学会自然保護委員会(HP) 開催したシンポジウム

工事用重機によるウグイの人工産卵場造成(埼玉県HP)

群馬県水産試験場『水試だより』45号(群馬県HP)
  【特集】放射性セシウムが群馬県に生息する魚類に与えた影響
  【水産行政から】温水性魚類を中心とした人工産卵床のつくり方
  【人工産卵床の主な長所と短所】
    【コイ・フナ、ウグイの人工産卵床のつくり方および留意点】
    【人工産卵床のつくる際の注意点】

※「日本で鯉放流が問題であるという事実がようやく大手マスコミで報道される」(『緩いロゴスblog』2017.05.18)

※「オイカワの産卵床造成と保護」(『入間漁協の活動報告』2016.07.17)

※「魚類資源保護のための石倉設置」(『岩殿満喫クラブ 岩殿 Day by Day』2016.05.17)

※「すみ場地図を基礎にしておこなう生態系保全の方式」(1)、(2)、(3) 
   櫻井善雄さん『水辺の環境学④ 新しい段階へ』紹介
    『岩殿満喫クラブ 岩殿 Day by Day』(2016.07.31)

※「槻川をきれいにする会 保育園児がウグイを放流(更新) 2011年6月
※「嵐山釣友会「釣り大会」 1953年9月」(『菅谷村【現嵐山町】報道』37号、1953年9月)
※「嵐山釣友会「釣り大会」 1954年9月」(『菅谷村【現嵐山町】報道』50号、1954年9月)
    『GO! GO! 嵐山3 嵐山ふるさと塾・チーム嵐山

高橋清孝『よみがえる魚たち』目次 8月28日

いきなり田んぼの水がなくなってしまう田んぼの畦からの漏水。アメリカザリガニやモグラ、ネズミなどによる掘削穴が原因で、見つけ次第、穴埋めしています。アメリカザリガニをトラップ(籠)で捕獲して、数を減らそうと計画していますが、高橋清孝『よみがえる魚たち』 (恒星社厚生閣、2017年6月)の第2章第3節アメリカザリガニの侵入を読んでみました。

 高橋清孝『よみがえる魚たち』(恒星社厚生閣、2017年6月)
1 章 淡水魚を取り巻く情勢
 1-1 絶滅のおそれのある淡水魚の現状と全国で展開する保護活動(小林 光・半沢裕子)
 1-2 絶滅のおそれのある野生生物種の現状と保全戦略(徳田裕之)

2 章 減少原因と対策
 2-1 開発による生息環境の破壊(高橋清孝)
 2-2 侵略的外来種の侵入
  2-2-1 オオクチバスの影響と対策(藤本泰文)
  2-2-2 ブルーギルの影響と対策(芦澤 淳・藤本泰文)

 2-3 アメリカザリガニの侵入
  2-3-1 アメリカザリガニの生活史 ―繁殖生態を中心に―(川井唯史)
   1. 生活史と繁殖周期
   2. 繁殖生態の特徴
   3. 繁殖生態から見た蔓延の理由

  2-3-2 アメリカザリガニが生態系に与える影響 ―浅い湖沼を中心として―(西川 潮)
   1. はじめに
   2. 湖沼食物網におけるアメリカザリガニの生態的地位
   3. 浅い湖沼の安定状態とその変化
   4. 侵入魚駆除の落とし穴

  2-3-3 アメリカザリガニの影響と対策 ―水生植物への影響と対策および効果―(森 晃)
   1. はじめに
   2. 水生植物のもつ生態学的機能
   3. アメリカザリガニの影響
   4. 伊豆沼・内沼における沈水植物保全とアメリカザリガニの対策
    1) 保護柵を用いた対策
    2) 埋土種子を用いた対策

  2-3-4 アメリカザリガニが水生昆虫類に及ぼす影響と対策およびその効果(西原昇吾・苅部治紀)
   1. はじめに
   2. アメリカザリガニが水生昆虫に及ぼす影響
   3. アメリガザリガニの駆除とその効果
    1) 千葉県のシャープゲンゴロウモドキ
    2) 石川県や岩手県の水生昆虫
    3) ベッコウトンボやオオモノサシトンボ
    4) 水田の水生昆虫の事例
   4. 今後に向けて

  2-3-5 アメリカザリガニによる魚類への影響―ゼニタナゴ,シナイモツゴ,メダカなど希少魚の繁殖が脅かされている―(高橋清孝・長谷川政智・久保田龍二・藤本泰文)
   1. はじめに
   2. アメリガザリガニの大繁殖によりゼニタナゴが全滅(中核ため池の事例)
    1) タガイはなぜ減少したのだろうか
    2) なぜタガイは下段池で全滅し、上段池では全滅しなかったのか?
   3. 池干し後にタガイとゼニタナゴが激減(C池の事例)
   4. アメリカザリガニ駆除後にシナイモツゴとミナミメダカが急増(中核ため池の事例)
   5. まとめ

  2-3-6 効果的なアメリカザリガニ防除技術の開発 ―トラップで低密度化を実現―(高橋清孝・長谷川政智・浅野 功・芦澤 淳・安住芳朗・久保田龍二)
   1. はじめに
   2. 効果的なトラップと使い方
    1) 市販トラップの性能比較
    2) 効果的な誘引餌
    3) トラップの設置間隔
   3. 連続捕獲装置を開発し省力化を実現
    1) 装置の仕組み
    2) 装置の設置間隔
    3) 実証実験

  2-3-7 アメリカザリガニの繁殖阻止を目指す捕獲方法の検討(高橋清孝・長谷川政智・西原昇吾・苅部治紀・林 紀男)
   1. 小型幼体とふ化稚仔を抱えた雌の捕獲
    1) しばづけとさで網すくい採りで小型幼体を捕獲する
    2) 小型定置網で稚ザリガニを抱えた雌を捕獲する
   2. 成熟親の捕獲と拡散防止
    1) 見つけ採り
    2) 巣穴に生息する雌雄ペアを捕獲する
    3) 浅所で塩ビ管や竹筒で捕獲する
    4) 池干しに伴う移動拡散を阻止する
   3. 池沼の冬期低水位管理によるアメリカザリガニ低密度化
   4. アメリカザリガニを防除して地域の生態系を復元

 2-4 その他の外来種の侵入
  2-4-1 ウシガエルの影響と対策(佐藤良平・西原昇吾)
  2-4-2 ミシシッピアカミミガメによる影響と対策(片岡友美)
  2-4-3 宮城県に侵入した外来淡水エビのカワリヌマエビ属(長谷川政智)
 2-5 東日本大震災の教訓 ―支えあって大災害を乗り越える―(高橋清孝)

3 章 地域ぐるみで全滅の危機を乗り越えたシナイモツゴの郷
 3-1 繰り返し発生した全滅の危機(高橋清孝)
 3-2 淡水魚を守る戦略と戦術
  3-2-1 魚類学的保全単位としての超個体群 ―遺伝的多様性を維持してきた淡水魚の戦略に学ぶ―(細谷和海)
  3-2-2 シナイモツゴ郷の会の戦略(高橋清孝)

4章 シナイモツゴの郷の取り組みと成果
 4-1 だれでもできる自然再生技術を開発し市民参加を実現
  4-1-1 だれでもできるシナイモツゴの人工ふ化(坂本 啓・高橋清孝)
  4-1-2 だれでもできるシナイモツゴとゼニタナゴ稚魚の飼育(高橋清孝・久保田龍二)
  4-1-3 だれでもできるグリーンウォーター ―植物プランクトンをペットボトルで簡単培養―(丹野 充)
 4-2 シナイモツゴ里親たちの活躍
  4-2-1 地域ぐるみの活動と里親活動による後継者の育成(二宮景喜)
  4-2-2 里親小学校子どもたちの取り組み
   4-2-2-1 命をつないで ―シナイモツゴの里親活動をとおして―(飯塚 昇)
   4-2-2-2 シナイモツゴの里親として(那須 孝)
   4-2-2-3 シナイモツゴと環境教育(佐々木洋一)
   4-2-2-4 里親小学校の取り組みと教育(加藤英紀)
   4-2-2-5 津波被害を乗り越え継続した里親活動(渋谷雄二郎)
   4-2-2-6 総合的な学習の時間で取り組む「シナイモツゴ」の教材価値を考える ―3 年生と6 年生の実践を通して―(浦川裕之)
  4-2-3 飼育保存と保全啓発を目指す水族館の取り組み(松本憲治)
 4-3 シナイモツゴ郷の米認証制度でため池を守る農業者を支援
  4-3-1 自然再生の側面から ―ため池を守る農業者を支援する体制づくり―(高橋清孝)
  4-3-2 中山間地域農業存続の側面から ―シナイモツゴ郷の米と地元住民の取り組み―(吉田千代志・菅井 博・佐藤弘樹)
 4-4 遺伝的多様性を維持しながら生息池拡大を実現―シナイモツゴおよびゼニタナゴ移植個体群の遺伝的多様性調査―(池田 実)
 4-5 地域ぐるみで後継者を育成(大崎市産業政策課)

5 章 よみがえる魚たち
 5-1 ため池と流域河川でよみがえった魚たち(高橋清孝)

まとめ ―魚でにぎわう水辺の自然をいつまでも―(高橋清孝)
poster
千葉県生物多様性センター
 『ストップザリガニ!』ポスター
 アメリカザリガニの及ぼす影響
 アメリカザリガニは生態系に大きな被害をもたらしています!(教員向け補足資料)

農研機構
 アメリカザリガニの畦畔掘削による漏水の実態と対策技術(若杉晃介、藤森新作、北川 巌)

※『農業および園芸』88巻8号(2013年8月)
 アメリカザリガニによる水田漏水の実態と対策(若杉晃介)

奥野良之助『生態学から見た人と社会』 8月15日

雨が降り続くので野良仕事を休んで水口憲哉[みずぐちけんや]さんの『魔魚狩り ブラックバスはなぜ殺されるのか』(フライの雑誌社、2005年)、『反生態学 魚と水と人を見つめて』(どうぶつ社、1986年)、『釣りと魚の科学』(産報、1974年)を読みました。その中で奥野良之助[おくのりょうのすけ]さんの『生態学入門 その歴史と現状批判』(創元社、1978年)を知り、金沢大学退職にあたり出版された『生態学から見た人と社会 学問と研究についての9話』(創元社、1997年)を読みました。

     奥野良之助『生態学から見た人と社会 学問と研究についての9話』目次
第1話 内心忸怩 負い目について
 沖縄への負い目 私の戦争協力 戦災孤児 点訳奉仕と学生運動 生態学 学生運動と生態学の挫折 須磨水族館で 生態学批判 負い目の効用

第2話 自己満足 評価について
 「日本生物学会」 「日本生物学会」設立趣意書 自分の評価と他人の評価 自己点検・自己評価 《学生の生活指導》 敗戦のショック 評価の基準 自分の物差し ダーウィンは「猛烈社員」だった

第3話 有学無知 知識について
 入れものと中身の関係を示す方程式 「権威」になると 後天性精神免疫不全症候群 知ることと理解すること 好奇心の起源

第4話 効率万能 無駄について
 談合賛成・規制緩和反対 大学にも競争原理導入 無駄の効用 「ネットワーク・ニュース」 限りなき無駄の再生産

第5話 環境破壊 真偽について
 人間にはなぜ尻尾がないか 1970年の公害問題 公害の救世主・生態学者 環境の主体 環境破壊の「科学的」防止法 公害の輸出 環境破壊の根本的解決法

第6話 体制変革 進化について
 進化と進歩 適応放散 生活場所の取り合い 適応の光と影 特殊化と一般化 陸上での進化 適応放散と体制変革 適応放散の行き着く先 次の時代を担う先祖 進化とは ダーウィンの「進化論」

第7話 適者生存 適応について
 『種の起原』との出会い チャールズ・ダーウィン ダーウィンの目的 生物の変異と生存競争 適応の説明 自然の経済とそのなかの場所 場所をめぐる生存競争 体制変革をどう見たか 大進化の機構 人間社会の競争は 動物と人間の違い

第8話 優勝劣敗 差別について
 DNAの拒否 能力差別 マルサスの『人口の原理』 マルサスの貧民差別 ダーウィンは…… ダーウィンとマルサスの類似点 優勝劣敗という神話

第9話 無学有知 学問について
 研究教育の場 サンフィッシュの喧嘩 研究競争 研究の近代工業化 学問と研究 人間社会との関係 国民のニーズ 内心忸怩の大切さ

あとがき

※ネットで見つけた記事
 奥野良之助先生のこと(『桟敷よし子さんを追っかけて・・プロジェクトJ』)

 おとくな夏(『梅香堂日記』)

 奥野良之助「金沢城のヒキガエル」の進化論批判(『mmpoloの日記』)

 金沢城のヒキガエル(『(続)さて何処へ行かう風が吹く』)

『川を活かした体験型学習プログラム』 7月31日

『小学生が川を安全に楽しく、学び遊べる 川を活かした体験型学習プログラム』(企画・編集 財団法人 河川環境管理財団 監修 体験型学習プログラムの開発に関する研究会)。東京書籍から2011年2月にA4・223頁、2,200円で発売されていますが、公益財団法人河川財団のサイトから無料でダウンロードできます。

はじめに
水辺体験学習と育成される力(角屋重樹)
体験学習としての川の魅力(金沢緑)

各教科に関連した川を活かした体験学習の実践例
・北上川のうつりかわり(改修の歴史とわたしたちのくらし)を調べよう(宮城県石巻市立飯野川第二小学校)
・「きれいな水はどこからくるの?」~川の水質調べ~(栃木県宇都宮市立城東小学校)
・渡良瀬川を活用した3年間の体験活動の取り組み事例(群馬県邑楽町立中野東小学校)
・「サケがおおきくなるまで」の発展学習として、サケの放流東京都足立区立鹿浜小学校)
・「流れる水のはたらき」を調べる(東京都調布市立布田小学校)
・多摩川での学年に応じた自然体験活動(東京都大田区立嶺町小学校)
・黒須田川を探検し、素晴らしさを伝える活動(神奈川県横浜市立大道小学校)
・カワゲラウオッチングを中心とした川に学ぶ体験活動の推進(岐阜県山県市立桜尾小学校)
・マイハザードマップづくり(兵庫県豊岡市立小坂小学校)
・生き物フレンズの活動(広島県海田町立海田東小学校)
・七歩川再生プロジェクト~きれいな川を取り戻そう~(大分県大分市立下郡小学校)

川を活かした体験型学習プログラム
1.川や水を感じる
 1-1  川や水辺の安全講座(室内講習編)
 1-2  川や水辺の安全講座(実技編)
 1-3  川を流れよう
 1-4  Eボートに乗ろう
 1-5  カヌーに乗ろう
 1-6  Dボートをつくって乗ろう
 1-7  遊びを探そう
2.川や水辺の環境を調べる
 2-1  諸感覚をつかい水質を調べよう
 2-2  川の生物から水質を調べよう
 2-3  科学的に水質を調べよう
 2-4  川の流れの速さを調べよう
 2-5  石や砂を調べよう
 2-6  模型から水の流れを学ぼう
 2-7  ゴミの分布を調べよう
3.川や水辺の生き物を調べる
 3-1  底生生物を捕まえよう
 3-2  魚を捕まえよう
 3-3  陸上昆虫を捕まえよう
 3-4  鳥を観察しよう
 3-5  植物を観察しよう
 3-6  生き物の分布を考えよう
 3-7  ホタルを飼育してみよう
4.環境保全・改善について
 4-1  ビオトープを活用しよう
 4-2  川にやさしいリサイクル
 4-3  水をきれいにしよう
 4-4  下水処理場を見学しよう
5.洪水の怖さや防災について
 5-1  洪水の怖さを学ぼう
 5-2  地域の川の洪水の歴史を学ぼう
 5-3  治水施設について学ぼう
 5-4  水防について学ぼう
 5-5  ハザードマップをつくろう
6.川と地域の歴史や文化について
 6-1  川でのイベントに参加しよう
 6-2  生活と川との結びつきを調べよう

巻末資料

『観光ガイド事業入門 立ち上げ、経営から「まちづくり」まで』 7月11日

藤崎達也『観光ガイド事業入門 立ち上げ、経営から「まちづくり」まで』(学芸出版社、2012年3月)を読みました。

『観光ガイド事業入門』目次
はじめに
Ⅰ 地域の魅力を伝える―ガイドという仕事
  1 知床での自然ガイドサービス誕生の経緯
  2 流氷ウォークの誕生
  3 シペル(シレトコ先住民族エコツーリズム研究会)の誕生
  4 田野畑村「番屋エコツーリズム」の誕生
Ⅱ 組織づくり
  1 組織づくりのタイプ
    *行政、観光協会、商工会といった組織が中心となっているケース
    *個別の民間企業が中心となっているケース
    *趣味やボランティアのグループが始めるケース
  2 組織づくりの要点
    *事業は人なり!
    *ガイド組織の法人化
  3 ガイド事業の経営
    *ガイド事業経営の様々な指標
    *競合他社の考え方
    *補助金や助成金などの考え方
Ⅲ マーケティングの基本―企画・商品化(Product)
    *ガイド事業における「マーケティングの4P」
  1 企画・商品化への基本姿勢
  2 企画
    *専門性の排除
    *手ぶらの原則
    *不快を快適に
    *ギャップの演出
    *エッジを効かせる
    *売られやすさ
    *誘導やコントロールの発想の排除
  3 商品化
    *ラインアップ
    *ブランド
    *商品ライフサイクル
Ⅳ マーケティングの基本―価格(Price)
  1 ビジネスとして事業の継続をめざす場合
    *価格の決め方
    *保険料について
  2 ボランティアガイド主体で事業の継続をめざす場合
Ⅴ マーケティングの基本―広報・宣伝(Promotion)
  1 インターネット
    *結局、文字が重要
   *Q&Aからコンテンツを拡充
   *写真やデザイン、色などで訴求
  2 プレスリリース
  3 日常的な広報担当者とのコミュニケーション
  4 チラシやパンフレットの作製
Ⅵ マーケティングの基本―流通経路(Place)
  1 旅行会社
  2 オプション
  3 ホテルなどの宿泊施設
  4 インターネットの個人予約
Ⅶ ガイドの育成
  1 ガイドに向いているキャラクター
   *物知り旅人タイプ
   *地域に惚れ込んでいるタイプ
   *接客業が好きなタイプ
  2 ガイドに向いていないキャラクター
   *コミュニケーションが苦手なタイプ
   *思想の強いタイプ
  3 ガイドの育成プログラム
Ⅷ リスクマネジメント
  1 リスクマネジメントの基本的な考え方
  2 リスクマネジメントの実際
   *緊急連絡フローの作成
   *ドライスーツなどの安全装備
   *救命処置法の習得・定期的な訓練・資格の更新
   *流氷上、雪上、林床内等、様々なシチュエーションでの訓練
   *スタッフノート等を通してヒヤリハットの共有
   *リスクマネジメント担当者の設置とMFA[MEDIC First Aid]インストラクター資格取得
   *誓約書・保険
Ⅸ まち巡りガイドなどへの応用
   *観光は夢を叶える産業
  1 ガイド業はコンシェルジュでありホスト・ホステスである
  2 まち巡りガイドはまちを巡ることにこだわらない
  3 旅行会社や地元のバス会社などと共同企画をしてブラッシュアップを
  4 まち巡りガイドといえども重要なリスクマネジメント
  5 小さなガイド団体向けの戦略―広域連携
Ⅹ 観光地におけるガイドプログラム発展のための環境整備
   *ガイドツアーとまちづくり
  1 人出の変化に対応すること
  2 町並みや風景の変化に対応すること
  3 自然保護への対応
  4 サービスの変化への対応
  5 行政サイドの施策をPRするスポークスマンの設置
   *自然保護地域における利用規制やルールなどの広報
   *自然素材の消費の回避
   *民間サイドと行政サイドの中間的な立場
   *宣伝マンの交代による新陳代謝の活性化
   *企業スポンサードなど連携の模索
おわりに

『地域ぐるみグリーン・ツーリズム運営のてびき』 7月1日

昨日、埼玉県グリーン・ツーリズム推進協議会の理事会がありました。帰宅後、都市農山漁村交流活性化機構企画編集『地域ぐるみグリーン・ツーリズム運営のてびき 都市と農山漁村の共生・対流 』(農山漁村文化協会、2002年)を再読しました。目次を紹介しておきます。
 地域ぐるみグリーン・ツーリズム運営のてびき―都市と農山漁村の共生・対流

第1部 みんなが注目 日本のグリーン・ツーリズム
 
第1章 グリーン・ツーリズムがめざすもの
  1 グリーン・ツーリズムって、何だろう
  2 こんなことを実現したい

 第2章 グリーン・ツーリズムのいろいろなタイプ
  1 都市近郊日帰り型
  2 週末滞在型
  3 交流型
  4 体験資源こだわり型
  5 民間によるグリーン・ツーリズム

 第3章 どのような受入れ方があるか
  1 個人農林漁家による受入れ
  2 集落などの限定地域による共同受入れ
  3 有志グループによる共同受入れ
  4 行政・第三セクターなどによる受入れ
  5 市町村全域での受入れ
  6 民間事業・企業による受入れ
  7 地域ぐるみグリーン・ツーリズムを

 第4章 成功のポイントを事例に学ぶ
  1 体験メニューが豊富な有志グループによる受入れ
  2 集落の力を結集した共同受入れ
  3 ネットワークが利点の公社・団体と地域との共同受入れ
  4 対応力が高い市町村全域での受入れ

第2部 グリーン・ツーリズムの実現に向けて
 第1章 活動のための基盤づくり
  1 地域住民に呼びかける
  2 研究会や推進協議会をつくる
  3 テストイベントとは

 第2章 受入れのための組織づくり
  1 小グループで受け入れる場合
  2 地区の共同事業として受け入れる場合
  3 公社・JA・JRなどと 地域とが連携する場合
  4 行政の主導によって地域ぐるみで受け入れる場合

第3部 グリーン・ツーリズム運営のノウハウ
 第1章 体験メニューをつくる
  1 体験メニューと料金の設定
  2 標準的な月別体験コースを設定しよう
  3 長期間受入れでの体験メニュー
  4 楽しく安全な体験のために

 第2章 地域の人づくりと対応の工夫
  1 誰がまとめ役・体験指導者になるのか
  2 人材を育成する
  3 こんな対応が喜ばれる
  4 さまざまなタイプのリーダー

 第3章 宣伝(情報発信)をどうするか
  1 観光とは違うグリーン・ツーリズムの宣伝
  2 何を使ってどうアピールするか
  3 類型別の宣伝方法

 第4章 広がるグリーン・ツーリズム
  1 地元の農産物やみやげ品を販売する
  2 地域の食材を使った農村レストランを開く
  3 古い民具や地域の素材を再評価する

  参考 グリーン・ツーリズム関連の法制度
 

『どうする?どうなる!外来生物』 5月18日

小田原市の入生田にある神奈川県立生命の星・地球博物館を見学し、『どうする?どうなる! 外来生物 とりもどそう 私たちの原風景』(A4版128頁、1,000円 発行:2014年7月)を購入しました。
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 『どうする?どうなる!外来生物 とりもどそう私たちの原風景』目次(PDF
口絵 身近な外来生物図鑑

第1章 外来生物総論
 外来生物ってなんだろう?
 外来生物をめぐる法律
 水辺は外来生物だらけ
 奥山にも外来生物がいる
 バラスト水問題
 身近な外来哺乳類
 ここはどこの国?日本の空を舞う外来鳥類
 遠くからやってきた爬虫類と両生類
 身近な外来魚
 身近な外来昆虫
 カタツムリのなかまの導入種
 博物館周辺の身近な外来雑草
 タケノコは外来生物!?
 淡水魚の安易?な放流
 ペット昆虫にご用心

第2章  外来生物が引き起こすさまざまな問題
 沖縄の外来水生動物の現状
 小笠原の外来種問題
 ニホンザルを脅かす外来サルたち
 オオサンショウウオの現状
 淡水魚の遺伝的撹乱
 国内導入による遺伝的撹乱~ホタルの問題~

第3章  外来生物対策の現場から
 外来種の駆除とその副作用
 アライグマ根絶計画~神奈川県の根絶対策~
 富士山麓に定着したカナダガンの対策
 侵略的外来種ウシガエルが水生生物に及ぼす影響と排除の効果
 バス駆除への取り組みとその成果、問題点
 侵略的外来種アメリカザリガニの駆除

第4章  外来生物の新たな知見
 外来鳥類ワカケホンセイインコ
 愛知県で最近定着した外来種-タイワンタケクマバチ、ムネアカハラビロカマキリ、ムシャクロツバメシジミ-
 止まらない侵入 ニューフェイスたち~リュウキュウベニイトトンボの関東への定着~
 国内外来種としてのカブトムシ~よく知られた昆虫が引き起こす問題~
 名も無き渡航者“(ピロピガ)”
 るろうに、アリ
 まだまだ増える?園芸由来の外来植物たち
 木になるナスビ!? -侵略を始めたナスの大王-
 スーパー外来植物!?  ナガミヒナゲシ
 進化しつつあるアノールトカゲ~形態学的にみる外来種~
 ブタクサ・オオブタクサ・ブタクサハムシの侵入から見えてくる植物と天敵の進化プロセス
 カエルツボカビ

第5章 とりもどそう私たちの原風景
 外来生物と学校教育
  学校と外来生物
  教材としての外来生物
  授業の中での外来生物…外来生物教材の有効性
  外来生物教材の問題点
  外来生物教材のこれから
 どこをめざす?私たちの自然
 外来生物の関連情報

■コラム
 河原も外来種でいっぱい
 アメリカザリガニとウシガエルの日本への導入の背景
 東京港海上公園の昆虫たち
 こんなところでも外来種?
 止まらない侵入:セミまで定着

 岩殿満喫クラブは児沢で子どもたちの田んぼ体験活動を支援しています。子どもたちに人気のある生きものは、メダカやアメリカザリガニですが、メダカは昨年春から田んぼの水路、ビオトープ池から姿を消してしまいました。メダカ愛好者が増え、メダカが農産物直売所などでも簡単に買えるようになって、メダカを売って商売にしているのかなと思える人たちが、児沢の水路や池でメダカを一網打尽にしていましたが、いなくなった原因が採集による「持ちだし」によるものなのか、生育環境の変化によるものなのか不明です。

 『どうする?どうなる! 外来生物』の一寸木肇さん執筆「外来生物と学校教育」(122~124頁)では、学校教育で教材となる動植物には、①観察や実験がしやすいこと、②児童が親しみやすいこと、③安全であること、④栽培や飼育がしやすいもの、⑤大量に手に入れやすいこと、⑥できる限り日本全国の学校で利用可能なことがあげられています。かつてのフナやトノサマガエルに変わって、「優れた教材」性があるゆえに、教科書でアメリカザリガニが取り上げられるようになった所以が書かれています。5年生の「動物の誕生」で扱われているメダカが生き残れる環境は少なくなってしまい、メダカに変る適当な教材がなかったために、ヒメダカや他地域のメダカが生きもの教材として利用されるようになってきたこと、最近になってようやく「生物多様性」の視点から「遺伝子の多様性」を守ることの重要性が気づかれて、「国内外来種」(「国内帰化種」、「分布を乱された在来種」)の問題が注目されるようになり、「飼育しているものは絶対に放流しないこと」と注意書きを入れている教科書もあることなども書かれています。

 児沢の田んぼのメダカは近くの小学生の生きもの探しや東京からきたこどもたちの田んぼの学校で「自宅で育てて観察する」ために持ち帰られて来ました。今年も田んぼの学校の季節となり、いなくなってしまったメダカをどうしたものか思案しています。

富永一夫・永井祐子『NPOの後継者』 4月18日

富永一夫『多摩ニュータウン発 市民ベンチャー NPO「ぽんぽこ」 』(NHK出版、2000年)富永一夫・中庭光彦『市民ベンチャーNPOの底力―まちを変えた「ぽんぽこ」の挑戦』(水曜社、2004年)、富永一夫・中庭光彦『市民ベンチャーNPOの底力―まちを変えた「ぽんぽこ」の挑戦』増補新版(水曜社、2012年)に続いて、富永一夫・永井祐子『NPOの後継者 僕らが主役になれる場所』(水曜社、2015年)を読みました。
   はじめに
第1章 NPOの後継を育む
  プロローグ
 第一世代が土台をつくる
  経済的に自立できる「事業型NPO」をつくろう
  自然館の管理・運営業務を受託する
  専門家を迎え、長池公園の指定管理者となる
  生きがい就労のお父さん世代と、パートのお母さん世代
 次世代の学びを考える
  20代の若者がやってきた
  NPOも富永も「ピンピンコロリ」で上等だ!
  もうひとり若者が来てしまった!
  新川塾を始めよう!
  第二世代は新しいタイプのリーダーがいい?
  地獄の中で生まれたロマンス
  過去の歩みに秘められた意味を学ぶ
  役職を与えて自覚を持たせる
  人間界に興味を示さない自然オタク
  やる気が本物か、試してみよう
  まさかの大臣賞で、風向きが変わった
  若者が先生となって、新しい仲間に教える
 未知なるステージへ
  新たなる挑戦
  異業種からの転職組を採用する
  新卒の若者を採用する
  若者が5人になった
  東部地区公園指定管理が現実に
  地域の人と共に学ぶ「プロジェクト由[ゆう]」
  自分たちの手で地域データをまとめる
  理論の学びと日々の実務が成長させた
第2章 私たちの学んだNPOフュージョン長池
 NPOとは何かを学ぶ
  NPOの法人格が、社会的信用につながる
  「使命」を軸に、社会的利益を最優先にする
 外部との協働の仕方を学ぶ
  ネットワークを活用して多様なニーズに応える
  関係性をつないで価値を生み出す
  ボランティアの「やりたい」を実現する
  障がい者福祉団体との協働
  フレキシブルな労働力を活用する
  他人の自己実現を応援する
 組織における人間関係の考え方を学ぶ
  サーバント・リーダーシップ
  職員自身の自己実現を叶える
第3章 NPOの未来を語る―若者たちの夢
 公園管理という仕事にかける夢 大沢敦
  東部地区公園について
  長池公園について
  NPOフュージョン長池について
 総合型地域スポーツクラブを実現したい 富永哲夫
  自分にできることは何か?
  夢の実現に向けて
 多摩丘陵のトコロジストを目指して 小林健人
  地域住民の「郷土愛・自然を楽しむ心」を呼び戻すこと
  子どもたちに「自然とのふれあい」の場を創出し続けること
  誰もが気軽に足を運べる公園環境を模索し続けること
 八王子東部地域を世界に発信したい 田所蕎
  地域のお世話係になる
  地域のコーディネーターになる
  Think globally,Act locally 世界規模で考えながら、地域活動
 漠然とした思いを明確な夢に 柳田拓也
  八王子市へ
  八王子市東部地区公園の指定管理者へ
  私の今の思い
 特別寄稿 小さな里山からの発想 由木歩いて見えてきたもの 岡田航
  由木へ
  「自然との関わり」に関心を抱いた大学時代
  堀之内で里山を考える
  由木の里山の環境史
  由木の里山のこれから まとめにかえて
第4章 贈る言葉
 5人の若者たちへ 新川雅之
  富永さんとの出会い
  5人の若者との出会い
  感謝の気持ちと心からのエール
 若者らしい豊かなアイディアを 内野秀重
   おわりに
  個性を肯定して「思い」を伝える ライター 永井祐子
  「たぬきの見た夢」PART3 「To be happy」で行こう! 富永一夫
  私の願い 御舩哲
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