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読書ノート

鹿島茂『エマニュエル・トッドで読み解く世界史の深層』 11月13日

鹿島茂さんの『エマニュエル・トッドで読み解く世界史の深層』(ベスト新書543、2017年)を読みました。
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鹿島茂『エマニュエル・トッドで読み解く世界史の深層』
序章 人類史のルール
 エマニュエル・トッドとは何者か
 トッド理論のあらましを知る ~4つの家族類型といでおろぎー~
 トッド理論で世界の謎が解ける ~人類史のルール~

第1章 トッドに未来予測を可能にする家族システムという概念
 ①絶対核家族 「イングランド・アメリカ型」
  トランプ政権誕生は民主主義の理にかなっている
  トランプ当選をもたらした「絶対核家族」
  金銭解決に傾きやすい親子関係
  『リア王』と『ハムレット』は財産をめぐる相続劇
  過剰なグローバリゼイションによる疲弊
  イギリスのEU離脱を促した隠された理由
 ②直系家族 「ドイツ・日本型」
  EUの覇者ドイツ
  イエの支配者としての父親の権威
  東日本大震災でモラルの高さが賞賛された日本
 ③平等主義核家族 「フランス・スペイン型」
  土地よりも家具が大事
  フランス人がおしゃれになった理由
 ④外婚性共同体核家族 「中国・ロシア型」
  大帝国が誕生する条件 ~権威ある父親と平等な兄弟~
  大帝国が崩壊する兆し ~ソ連崩壊と乳児死亡率が語る~
  家族類型とイデオロギーの相関関係

第2章 国家の行く末を決める「識字率」
 トッドの家族理論はこうしてつくられた
 古い様式はいつでも辺境に保存される
 「土地の所有」が家族のかたちを変える
 人の運命はあらかじめ決められているのか?
 歴史を動かす最大の要素「識字率」

第3章 世界史の謎
 ①秦の始皇帝が焚書坑儒を行ったのはなぜ?
 ②ヴァイキングがブリテン島とフランスを襲撃したのはなぜ?
 ③十字軍エルサレム奪還が行われたのはなぜ?
 ④英仏百年戦争が起きたのはなぜ?
 ⑤ルイ14世が中央集権国家を築くことができたのはなぜ?
 ⑥フランス革命が起きたのはなぜ?
 ⑦イギリスで産業革命が起きたのはなぜ?
 ⑧ヒットラーが誕生したのはなぜ?
 ⑨世界初の共産主義国ソ連が誕生したのはなぜ?
 ⑩イギリスが失速し、ドイツがナンバー1になったのはなぜ?
 ⑪第二次世界大戦後、ドイツと日本が復興できたのはなぜ?

第4章 日本史の謎
 ①平安時代に藤原一族が権勢を誇れたのはなぜ?
 ②織田信長が延暦寺を焼打ちしたのはなぜ?
 ③「いざ鎌倉」の精神はどこから?
 ④徳川幕府が250年間も安定したのはなぜ?
 ⑤幕末の動乱が西南の地方から始まったのはなぜ?
 ⑥ヒーロー坂本龍馬が誕生したのはなぜ?
 ⑦海援隊や新選組が誕生したのはなぜ?
 ⑧明治政府が天皇を頂点に置いたのはなぜ?
 ⑨二・二六事件が起こったのはなぜ?
 ⑩太平洋戦争を始めたのは誰か?
 ⑪どんな占領軍でもしなかったのに、マッカーサーだけが行ったのは?

第5章 21世紀 世界と日本の深層
 ①2033年、中国が崩壊する日
 ②ロシアの安定はプーチンが独裁者だから?
 ③EUにとっての移民問題とは?
 ④EUは二つに分けるべきなのか?
 ⑤アメリカ平等主義は見せかけか?
 ⑥アメリカの黒人差別は終わらないのか?
 ⑦アフリカが近代化するためのカギは?
 ⑧最も近代化が遅れるのはイスラム圏?
 ⑨フランスでイスラム系テロが頻発するのはなぜ?
 ⑩日本の核武装の可能性は?
 ⑪日本会議はなぜ誕生したのか?
 ⑫直系家族・日本の人口減少社会に未来はあるのか?

第6章 こらからの時代を生き抜く方法
 現代日本の新たな葛藤
 下流スパイラルはなぜ起こるのか?
 「学歴はもはや収入に結びつかない」に騙されるな!
 日本の唯一の問題は少子化である
 教育費は無料に、そして教育権を親から奪え!
 シングルマザー救済運動のすすめ
 2100年以後の世界 ~幼年期の終焉vs資源の枯渇~

あとがき
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 かつてはモルガン学説のように人類は昔は大家族だったものが時代が経つにつれて核家族に変わってきたと考えられていた。しかし近年ケンブリッジ大学のグループによる調査で、英国では12世紀までさかのぼっても核家族しか見られないことが判明し、人類の家族は最初から核家族だったと主張されるようになった。ところがトッドの調査によりドイツやロシアには昔は複合家族・大家族が存在していたことが分かり、トッドはケンブリッジ大のグループと袂を分かつことになる。
 このようにトッドの学問は家族形態に関するものなのであるが、そのスタートにあったのは別の疑問だった。つまり人類の人口の変遷である。人類は長らく多産多死型社会だったけれど、やがて少産少死型社会へと移行する。ふつうに考えれば、栄養が悪くて医学も未発達だった時代には多産多死型社会になるしかなく、栄養が良くなり医学も発達すれば少産少死型社会に移行するという図式が思い浮かぶ。ところが、実際は少死になってもしばらくは多産のままに社会は続くのだという。その時に人口の大幅な増加が起こるのであり、今でもアフリカはそのような状態にある。
 ではいつ(なぜ)少子化が始まるのか。トッドによれば、子供の数を左右しているのは女性の識字率である。女性の識字率が50%を超えると少子化が始まる。また、男性の識字率が50%を超えると革命や大変革など大きな社会的変動が起こるという。
 さらに、女性識字率を決めるのは、家族システムだという。
 そこで家族システムの話となる。従来は家族というと核家族か大家族かという区別しか考えられていなかったが、トッドはそこに遺産相続システムという要素を導入した。つまり兄弟の平等・不平等ということである。これによって家族は4つのタイプに分類される。
 1.絶対核家族(イングランド・アメリカ型)
 結婚した男子は親と同居せずに独立。相続は1人だけで、兄弟平等ではない。子は早く独立するから親子関係は権威主義的ではない。教育には不熱心(子供の早期独立を促すから)だが、女性の識字率は比較的高い(兄弟の不平等は姉弟・兄妹にとっては平等を生みやすい)。
 2.平等主義核家族(フランス・スペイン型)
 1と同じく子供は早くに独立するが、相続は兄弟間で平等である。親子関係は権威主義的ではない。教育には不熱心で、兄弟が平等である分、女性(姉妹)の地位は低い。
 3.直系家族(ドイツ・日本型)
 結婚した子供の一人(多くは長男)が親と同居するのが原則。親子関係は権威主義的。教育熱心で女性の識字率も高い。
 4.外婚制共同体家族(ロシア・中国型)
 男子は長男・次男を問わず結婚後も親と同居。したがってかなりの大家族となる。父親の権威は大きいが、財産は平等分与なので、父の死後息子たちは独立して家を構える。マルクス・レーニン主義による共産主義国家を生んだのはこの家族型である。教育には不熱心。女性の地位は低く、識字率も低い。
 以上の、例えば4を見れば分かるように、家族の形態は共産主義革命の成否ともつながっており、それだけ大きな、単なる家族類型にとどまらない影響力を持つ、というのがトッドと著者の主張である。また、「そんなこと言っても先進国は今は核家族が主流でしょ」という異議に対しては、こうした家族パターンは、組織を作るときにも影響を及ぼすとされる。つまり社会のあり方そのものを規定しているということである。(後略)
※村山晴彦さんの「エマニュエル・トッド氏の予言(その2)」(京都総合経済研究所『経済TOPICS』2017年1月号から)
 エマニュエル・トッド氏は、世界の家族構成は、大きくは四つの類型に分かれるとしている。親子関係が「権威主義的」か「非権威主義的」か、つまり「子どもが結婚後にも同居する」か「結婚後は別居する」か、ということと、(子である)兄弟関係が遺産相続において「平等」か「不平等」かである。「この二つの変数をX軸Y軸に配すると、一見似たものどうしに見える家族の違いが、すっきりと四つに分類される」という。
 親子関係が「権威主義的」で、(子である)兄弟関係が遺産相続において「平等」なのがロシア、中国、フィンランドなどの外婚制共同体家族である。男子は長男、次男の区別なく、結婚後も両親と同居する。このためかなりの大家族になる。父親の権威は強く、兄弟たちは結婚後もその権威に従う。ただし、父親の死後は、財産は完全に兄弟同士で平等に分割され、兄弟はそれぞれ独立した家を構える。トッド氏は、こうした父親の強い権威と兄弟間の平等がロシア・中国型の共産主義(スターリン型共産主義、一党独裁型資本主義)を生んだと考える。このような家族形態では、男の兄弟は平等でも、女性はそこから排除されるため地位は低く、多くの場合、女性の識字率は低い。教育への関心も低いという。なぜ(子である)兄弟が平等かというと、彼らはもともと遊牧民であったためだという。遊牧民は家畜を伴って草原を移動し、短期間の定着を繰り返すため、父親がリーダーとなり、兄弟が平等で協力することが合理的であった。戦争の際には大人数のため有利であった。遊牧民は土地を持たず、家畜や移動用のテント、家財、武具などが財産のため、分割は容易である。そうであるなら、このような家族形態の中国やロシアが民主主義的な国になる可能性は低いことになる。
 同じように親子関係が「権威主義的」でも、(子である)兄弟関係が遺産相続において「不平等」なのが日本、韓国、北朝鮮や、ドイツ、オーストリア、スイス、ベルギーなどの直系家族である。親の権威は永続的で、親子関係は権威主義的、兄弟は不平等で、財産はその中の一人(多くは長男)に相続される。次男以下と女子は相続に与れないか、財産分与を受けて家を出る。長男の嫁は、未婚の兄弟姉妹に対して権威を持つことが求められるため、結婚年齢が高く、長男とあまり年の差がない女性が選ばれる。なぜ、(子である)兄弟が不平等になるかというと、農耕とそのための土地所有が関係していた。ドイツの例で言うと、ドイツの中南部の地方は山間で、平地が少なく、農地が限られていた。そこで農業を始め二代、三代と続くと農地の分割相続が難しくなる。このため、1000 年頃には一子相続という方法がはじまったという。
 直系家族は教育熱心で、代々施される知育、教育は主として長男の嫁をキーパーソンとして、家庭内に蓄積されてきた。鹿島教授の言葉を借りれば「ドイツが、二度の世界大戦で敗者となり、また、再統一という試練があったにもかかわらず、さして間を置かずにヨーロッパの覇者となりえたのは、直系家族が大切にしてきた教育熱心さ、知識への信頼」にあったという。
 親子関係が「非権威主義的」な形態でも、(子である)兄弟関係が遺産相続において「平等」か「不平等」か、で2つに分かれる。前者が平等主義核家族、後者が絶対核家族である。
 平等主義核家族においては、子どもは早くから独立傾向を示し、結婚後に親と同居することはまずない。親の権威は永続的でないため、識字率は低く、教育への関心も低い。遺産は兄弟間で完全に平等に分けられる。フランスのパリ盆地一体、スペイン中部、ポルトガル南西部、イタリア南部、中南米などがこの家族形態で、ルイ 16 世王政に反対したフランス革命は、平等主義核家族のパリ盆地の民衆が起こした。「人間は生まれながらにして自由かつ法の前で平等である」との人権宣言はこのような家族形態がフランスにあったから実現した。フランスのパリ盆地は肥沃で平坦な地域だが、広大な耕地は領主貴族や大ブルジョワが保有し、農民は小作料を払って土地を借りていた。このため財産としての土地を子に受け継がせることができなかった。そこで農具、工具、家畜、食器、家具、衣服などが遺産として平等に分割された。これらの動産を平等に分割するためのオークションも古くからあったという。フランス人がおしゃれなのも、衣服や靴、帽子などが換金性の高い商品であったことと無縁でないというから面白い。
 親子関係が「非権威主義的」で、(子である)兄弟関係が「不平等」なのが絶対核家族で、イングランド、アメリカ、オランダ、デンマーク、オーストラリアなどがこの形態だという。結婚した男子は親とは同居せず、別の核家族をつくる。このため、親の権威は永続的でない。親の財産は兄弟の中の誰かに相続されるが、遺産などで明確にされないときには相続をめぐってしばしば争いが起きる。不平等が前提のため、競争意識が強く、それが資本主義、自由主義を生み出すエネルギーになった。子供の早期独立が推奨されるため、教育には熱心でなく、識字率も低い。イギリスが生んだ偉大な劇作家・シェイクスピアの「リア王」「ハムレット」「リチャード三世」などが財産相続をめぐる親子、兄弟間の争いをテーマにしているのも絶対核家族ゆえだという。イギリスで産業革命が起き、最初の資本主義国家になったのも、農地を持たない国民が簡単に農村を離れて工場労働者として賃金を得ることに抵抗感がなかったためだという。
 なお、この点は全ての家族形態に言えることであるが、たとえば地方に行けば直系家族が中心かもしれないが、東京に住む核家族の家庭では日本古来の直系家族の原理は働いてはいないのではないかというと、そうではないという。なぜなら、政府、官僚組織、政党、会社、學校、宗教団体、町内会、部活といったあらゆる集団が古くからある価値を保っているからだという。家では核家族でも、一歩外に出れば日本やドイツなどの場合には直系家族を前提にした仕組みや考え方に、ロシアや中国などでは外婚制共同体家族が前提の仕組みや考え方になっているという。
 このような分類を基準にすると、世界で起きている最近の出来事の多くも説明できるという。
 たとえば、アメリカでアングロサクソン系の白人労働者が中南米からの移民と対立し、トランプ大統領が当選したのも説明が可能だという。絶対核家族は教育に対して熱心でなく、低学歴、低収入になる傾向が強い。メキシコなどからアメリカにきた移民の多くはヒスパニックと呼ばれる人たちで、スペイン、ポルトガルの流れをくむ平等主義核家族である。彼らもまた教育に熱心でなく、低学歴、低収入になる傾向が強い。このため、労働市場で両者が完全に衝突してしまった。鹿島教授の言葉を借りれば「絶対核家族に内在する教育不熱心という要因がプア・ホワイトの社会的上昇を妨げ、更なる貧困の連鎖を生んでいるということがトランプ当選の真の理由」だという。
 イギリスのEU離脱も似たような話である。イギリスの白人労働者階級も教育に熱心でなく、移民との競合が起きてしまった。加えてEUは、経済的にも政治的にもドイツに握られている。ドイツは直系家族のためEU議会の運営も直系家族型にならざるを得ない。それは自由を大事にしてきた絶対核家族のイギリスには我慢がならないのだという。
 日本がかつてアメリカとの戦争に突き進んだのも、最近話題となっている「忖度」(そんたく)も直系家族と関係があるという。直系家族は父親に権威があることになっているが、実際には主体的な判断はほとんど行わず、皆が権威者である父親の意をくんで(忖度して)、それぞれがその意を実現する方向に向かって一斉に行動する。日本が太平洋戦争に突き進んだのも、大企業でさまざまな問題が相次いでいるのも、「最終的な意思決定者の不在」「意思決定機関の不能」にあり、「直系家族的組織の欠陥」であるという。
 エマニュエル・トッド氏が説く4つの家族形態にはそれぞれにメリットとデメリットがある。大切なことは、それぞれのメリットとデメリットを正しく理解したうえで、当面するさまざまな課題を考え、解決する際の「考えるツール」として上手く利用していくことではないだろうか。鹿島教授の著書「エマニュエル・トッドで読み解く世界史の深層」は、膨大なトッド氏の研究成果をわかりやすくまとめた好著である。
鹿島茂さんの個人事務所である鹿島茂事務所(株式会社ノエマ)は2017年7月5日、書評アーカイブWEBサイト「ALL REVIEWS(オールレビューズ)(https://allreviews.jp/)」をオープン。

土屋信行『首都水没』 10月31日

土屋信行さんの『首都水没』(文春新書、2014年)を読みました。

土屋信行『首都水没』目次
まえがき 世界一危ない首都東京

第1章 山の手にも洪水は起こる
 武蔵野台地とゲリラ豪雨洪水
 神戸市利賀川水難事故
 豊島下水道水難事故
 ゲリラ豪雨に弱い武蔵野台地
 ゲリラ豪雨を降らせる「かなとこ雲」
 ゲリラ豪雨を捕まえよう!
 狩野川台風が教える首都東京の水害!

第2章 東京は世界一危ない場所にある
 東京は世界一の災害危険都市
 都市開発が招いた歪み
 災害・防災アセスメントが必要
 東京の発展が災害を増大させる
 江戸・東京で繰り返す大災害
 必ず来る首都東京の大水害

第3章 地球温暖化で首都は壊滅する!
 気候変動の恐ろしい未来
 頻発する大規模水害
 東京の大規模水害予測
 地下鉄洪水の被害予測
 地下トンネルが広げる洪水
 歩道にある変圧トランス
 海面上昇で首都水没
 東京を壊滅させる高潮の恐怖
 人命と都市機能を奪う東京リアス式地形
 海面水温上昇が生む超大型台風
 日本近海でも成長する台風
 日本を必ず襲う台風と洪水
 日本周辺で大型化した平成17年台風14号
 温暖化対策が遅い日本(国際的な温暖化に対する無策の日本)

第4章 利根川の東遷事業が東京を危険都市にした
 いちばん洪水の集まるところに築いた江戸
 利根川の東遷事業
 荒川の西遷事業
 増大した洪水の危険性
 なぜ危険なところに江戸を造ったか?
 防災組織だった村祭り

第5章 雨が降らなくても洪水になる「地震洪水」
 ゼロメートル地帯の出現!
 地下水の汲み上げで地盤沈下
 非常にもろいカミソリ堤防
 崩れない堤防は富士山型
 水が浸み出してくる!
 江戸時代の排水路「下水堀」
 地盤沈下を止めろ!
 無かった浦和水脈
 365日危険な地震洪水
 地震があったら地下鉄から逃げろ?
 スーパー堤防は「命山」
 オランダにある日本型堤防
 地下水は汲み放題の宝の山

第6章 なぜ東京は世界一危ないのか?
 日本は火山と地震の国
 滝のような急流河川
 天井川が洪水になると危険
 自然がつくった洪積層と人がつくる沖積層
 気象を決める日本の地形
 北緯36度から38度で最大の雪量
 雨を降らせる4気団
 日本を特徴づける四季
 雨がつくった日本文化

第7章 東京の三大水害に学ぶ
     明治43年の「東京大水害」
     大正6年の「大海嘯」[かいしょう]
     昭和22年の「カスリーン台風」
 明治43年の「東京大水害」
 「荒川放水路」開削と都心を守るお囲い堤防
 「荒川放水路」の開削工事
 土木工事を発展させた青山士
 洪水と共に暮らす知恵
 荒川放水路開削に「11歳の殉職者」
 洪水の脅威と恵み
 洪水を制御していた「中条堤」
 大切な流域全体の治水
 国民の命を棄てた事業仕分け
 東京にある遊水地と論所提
 大正6年の「大海嘯(大津波)」
 東京府南葛飾郡の葛西尋常高等小学校の体験記録
 「東京日日新聞」「大阪朝日新聞」「報知新聞」
 東京府知事井上友一の救助活動
 葛西村「仲割」の記録
 「棺箱! 送って頂きたい!」
 消えた「行徳の火」
 「新川梨」
 三匹の獅子舞
 昭和22年の「カスリーン台風」
 栗橋「堤防決壊」
 東京を守る「桜堤」決壊
 洪水でも切らなかった「新川提」
 洪水は流域で守るもの
 暗闇の避難訓練
 洪水の「江戸川」を渡って避難

第8章 洪水は流域一帯で起こっている!
 ばらばらだった避難勧告と避難指示
 洪水は自治体の範囲を超えて起こるもの
 誰も避難しない避難勧告、避難指示
 XRAINを活用した事前避難
 避難の判断がばらばらでいいのか?
 洪水対策は流域で取り組むべきもの
 アメリカの危機管理体制
 日本に必要な統合防災機関

第9章 強靭な日本を創るために
 予測できていた東日本大震災
 「女川原発」はなぜ無事だったのか?
 被害のなかった「神社仏閣」
 水害対策と地震対策は別
 洪水対策は国家の安全保障!
 東日本大震災に学び、強靭な日本を

あとがき 美しい日本、安全な首都へ(災害を文化にする)

参考文献


河田惠昭『日本水没』 10月29日

●河田惠昭[よしあき]さんの『日本水没』(朝日新書、2016年)を読みました。

河田惠昭『日本水没』目次
まえがき

第1章 水害や水没の多発・激化は地球温暖化が元凶
 鬼怒川水害は、どこでも起こりうるのか?
 大雨が降るメカニズム
 台風の強大化と増加する雨量
 地球温暖化で変化する気象、海象
 沿岸域の影響――海面上昇や海岸侵食――
 想定外洪水対策が必要な時代に突入
 海抜ゼロメートル地帯の浸水、水没
 地下街の水没

第2章 世界の大都市の水没危険性
 水没する都市の特徴
 米国・ニューヨークの水没
 チェコ・プラハの水没
 タイ・バンコク郊外の水没
 イタリア・ベニスの水没

第3章 東京の水没危険性
 東京は「世界一水害に弱い」都市?
 2015年9月の関東・東北豪雨、東京は氾濫・水没を危うく逃れた?
 利根川の洪水氾濫
 荒川の洪水氾濫
 東京湾の高潮/津波の氾濫
 浸水・水没災害の被害想定

第4章 広域・集中・ゲリラ豪雨による水害の違い
 広域に激しく降る雨(広域豪雨)と2004年豊岡水害
 2004年台風23号による円山川の氾濫災害
 特定の地域に激しく降る雨(集中豪雨)
 2000年東海豪雨水害
 スポット的に降る激しい雨(ゲリラ豪雨)
 2008年神戸・都賀川水難事故

第5章 新たな高潮災害と教訓
 忘れてはいけない1959年伊勢湾台風高潮災害の悲劇
 事故と災害が織り成す米国の歴史
 2001年9.11ニューヨークテロ事件
 2005年ハリケーン・カトリーナ高潮災害の教訓
 2012年ハリケーン・サンディ高潮災害の教訓

第6章 新たな津波災害と教訓
 地震の揺れの被害が津波に先行する
 津波来襲
 被害の特徴
 津波による被害
 間接被害
 高知市などの津波被害

第7章 複合災害となる首都圏直下地震と首都水没
 江戸幕府を疲弊させた安政の複合災害
 複合災害の発生が憂慮された1955年阪神・淡路大震災
 首都直下地震は近いうちに起こるのか
 津波は発生するのか?
 津波による未曾有の人的被害の再考
 複合災害で拡大する社会的・経済的被害
 被害は頭蓋骨骨折から脳梗塞へ変化
 複合災害の人的被害を左右する広域避難
 致命的となる低い避難率

第8章 縮災そして防災省の創設
    ~2016年熊本地震で確認できたこと~
 二極化しつつある自然災害
 中規模災害になりえた鬼怒川の氾濫災害
 自然災害は社会現象
 知識・情報・知恵が被害を小さくしてくれる
 災害に楽観主義は禁物
 なぜ防災から減災、そして縮災に変わったのか
 レジリエンスとは
 国難による「日本水没」
 防災省を創設して「国難」を迎撃する
 2016年熊本地震で確認できたこと

あとがき

山岡寛人『土のふしぎな力を育てよう』 10月25日

地球環境子ども探検隊6『土のふしぎな力を育てよう』(フレーベル館、1998年)を読みました。

山岡寛人『土のふしぎな力を育てよう』目次
はじめに 人は土のふしぎな力を知っていた
  人と土との長いつきあい
  土の性質とふしぎな力

1 土ってなんだろう
 やってみよう 土は何からできている?
  土は小さな粒の集まり
   土をふるってみよう
   土を水に溶いてみよう
 行ってみよう 崖へ行って地層を観察しよう
  あなを掘ってみよう
  崖を見に行こう
 観察 あなを掘って観察してみよう
 やってみよう 黒土はミミズが作った
  腐葉土って何だろう
  ミミズの生活
  黒土はミミズが作った
   腐葉土を燃やしてみよう
   ミミズの糞を探そう
   ミミズを解剖してみよう
 コラム 落ち葉で堆肥を作ろう
 やってみよう 黒土は燃える?
  黒土の下に赤土がある
  赤土から黒土へ
   黒土は燃えるだろうか?
 観察 土壌動物を採集しよう
  手順と観察
  発展
   ツルグレン装置の作り方
 調べてみよう 黒土を作るもうひとつの主役
  「パイ」のような落ち葉
  落ち葉とカビやキノコ
  倒木や切り株も黒土になる
   キノコが生えた倒木や切り株を調べてみよう
   バクテリアのはたらきを調べよう
 やってみよう 赤土はどうやってできたか
  火山の爆発と火山灰
  火山灰が赤土になる
  火山灰と溶岩は兄弟
   赤土から鉱物の結晶を取り出そう
 行ってみよう 山では岩から土ができる
  山ができるまで
  山は岩でできている
  山に土ができる
   花こう岩を粉々にしてみよう

2 土のもつ力を調べてみよう
 やってみよう 水はけのよい土、水はけの悪い土
  粒と粒のすき間と水はけ
  土の水もち
   いろいろな土の水はけを調べよう
    実験のための装置を作ろう
   土の毛管力と水もちのよさを調べてみよう
     実験1:土の毛管力を確かめる
     実験2:土の水もちのよさを調べる
   ねった土を乾かしてみよう
 やってみよう 肥えた土ってどんな土?
  植物と肥料
  肥料として重要な原子
   いろいろな土でハツカダイコンを育ててみよう
 調べてみよう 植物は電気を帯びた原子を吸収する
  根は原子をイオンの形で吸収する 陽イオン、陰イオン
  粘土の粒も電気を帯びている
  作物は酸性の土に弱い
   結晶粘土鉱物が電気を帯びていることを確かめよう
   土の酸性度を調べよう

3 土がくらしを支えている
 行ってみよう 畑の土にさわってみよう
  畑はどこにある?
   畑を見学に行こう
 コラム 明治時代の1年間の農作業
 考えてみよう 畑を耕すのはなぜ?
  ふかふかした土
  団粒構造とは
  団粒構造を育てる
 コラム はだしでイモ掘りに挑戦しよう
 作ってみよう 有機肥料をみなおそう
  化学肥料を大量に使う現代の農業
  どんな問題があるのか?
  昔は肥料をどうしていたのだろうか?
  堆肥や厩肥の効果
  江戸の都市と農村のリサイクル
   有機肥料でダイコンを育ててみよう
 コラム 郷土史で人間の糞尿の売買を調べてみよう
 考えてみよう 作物の作り方と土との関係は?
  野菜の単作・連作が増えている
  単作・連作で野菜の病気が増える
  かつておこなわれていた輪作
 コラム ヨーロッパで発達した輪作
 コラム 焼畑農業と輪作
 行ってみよう 畑で土壌侵食がおきている
  肥えた土が失われる
  日本でも土壌侵食が大きな問題に
  土壌侵食と防風林
   収穫が終わったあとの畑を観察しよう
   雨あがりの小川や畑を観察しよう
 行ってみよう 単作・連作がおこなわれる水田
  水田はどこにあるのか?
  水田はいつも水をはっているの?
  水田の土の特徴
   水田の褐色の土を青色の土(グライ)に変えてみよう
 コラム 水田の水はどこから引くのか?
  低地の水田の場合
  大きな川の近くの水田
  棚田の場合
  谷津田の場合

おわりに
 すすむ砂漠化
  砂漠とは、どんなところ?
  砂漠が広がっている
  世界の砂漠化に日本も関係している
  都市も「砂漠化」している
  畑や水田を見なおそう


山岡寛人『森や原っぱで環境を考えよう』 10月23日

地球環境子ども探検隊2『森や原っぱで環境を考えよう』(フレーベル館、1997年)を読みました。

山岡寛人『森や原っぱで環境を考えよう』目次
はじめに 日本は森林の国
  木と草
  日本の気候と森林の関係
  地図 地球上の森林の分布
  地図 日本の植生の分布

1 原っぱへ出かけてみよう
  身近な原っぱ
  人工的な植物の世界
 調べてみよう 草原はどこにあるの
  ごくわずかな自然の草原
  木が育たないきびしい環境
  砂丘に草原ができる
  水辺にも草原ができる
  自然の草原はもろい自然
  山の草地は人間が管理
 やってみよう 原っぱで寝ころがってみよう
  原っぱで寝転がってみよう
   1 見あげると何が見える?
   2 どんなにおい
   3 小動物を探してみよう
   4 服に何がついた?
 コラム 原っぱの草で遊んでみよう
  1 草相撲で遊ぼう
  2 茎で何か作ってみよう
  3 「ひっつき虫」で遊ぼう
  4 音を楽しもう
  5 風車を作ってみよう
  6 そりで遊ぼう
 行ってみよう タンポポを探してみよう
  タンポポはどんな花?
  タンポポの茎はどこにある?
  いろいろな草の茎 生育形
   1 まっすぐで長い茎 直立形
   2 なんども枝分かれする茎 分枝形
   3 地面すれすれの短い茎 ロゼット形
   4 葉のもとで包まれた茎 叢生形
   5 地面をはいまわる茎 ほふく形
   6 つるになる茎 つる形
  植物にも競争がある つる形>直立形>分枝形、叢生形>ロゼット形
  タンポポの生える場所
  タンポポが生えている環境
  帰化植物が生活する土地
 コラム 草の体 根、茎、葉
     帰化植物と在来植物
 作ってみよう タンポポ地図を作ってみよう
  セイヨウタンポポと日本タンポポ
  タンポポ地図を作ってみよう
 コラム タンポポの開花前線
 調べてみよう 原っぱの植物の世界は移り変わる
  原っぱの草の種子
  種子の数をかんがえてみよう
  種子は芽をだすの?
  空き地で種子を探そう
  移り変わる原っぱの草の世界 一年草、越年草、多年草
 考えてみよう 原っぱから環境を考える
  明るい緑の自然が大好き
  森を出たサル
  草の緑を維持するには

2 身近な森や林を探検しよう
  人が森は林を切り開いた
  森や林が残ったところ
  鎮守の森
 調べてみよう 鎮守の森を訪ねてみよう
  鎮守の森のつくり
   鎮守の森の気温を調べてみよう
    気温の測定
    まとめ
    温度計の工夫
   鎮守の森の明るさを調べてみよう
    明るさの測定
    まとめ
 やってみよう 鎮守の森は動物の隠れ家
  小動物を探してみよう
   お堂の縁の下の小さなすり鉢
   庭木の根元の袋
   お堂に張られた大きなクモの巣
  アニマル・トレッキングに挑戦しよう!
   かじられたドングリの殻
   ずばっと切られたジャノヒゲ
   甲虫の羽のかたまり
    この抜け殻はどんなセミになるの?
 行ってみよう 雑木林の四季を見てみよう
  春先の雑木林
  夏の雑木林と樹液
  秋の雑木林
   糖蜜で昆虫を採集しよう
    糖蜜の作り方
    昆虫の採集
   落ち葉の布団に座り、まわりの音を聞いてみよう
  冬の雑木林と落ち葉の布団
   1 落ち葉がつながっている
   2 落ち葉のスポンジ
   3 土壌動物の世界
 コラム ドングリでミニ雑木林を育ててみよう
 行ってみよう 雑木林の木は自然に生えたの?
  きれいに並んだ木
  再生可能なエネルギー資源
  雑木林の維持
  
3 森のはたらきを知ろう
  植林された山の林
  スギ・ヒノキ林の手入れ
   枝打ち
   つる切り
   間伐
  放置されるスギ・ヒノキ林
  豊かな自然が残るブナ林
  減少するブナ林
  大型野生動物と人間とのトラブル
 観察 手入れされたスギ林を観察しよう
  1 植林された証拠を探そう
  2 枝打ちのあとを探そう
  3 つる切りのあとを探そう
  4 間伐のあとを探そう
 調べてみよう 森林は生きたダム
  雨の日の森
  森はダムになる
   枝葉がとらえる雨の量を調べよう
   幹を流れる雨水の量を調べよう
   腐植が含んでいる水の量を調べてみよう

おわりに 森のネットワークをつくろう
 森のさまざまなはたらき
 森の価値をみなおそう
 自然の権利
 分断された森林
 森のネットワークを作ろう

太田猛彦『水と土をはぐくむ森』 10月22日

市民の森保全クラブ、岩殿満喫クラブの活動エリア(市民の森・入山谷津)は九十九川[つくもがわ]の源流域にあります。入山沼無名沼イ号から流れ出した水が九十九川、越辺川、入間川、荒川となって東京湾にいたります。
太田猛彦さんの『水と土をはぐくむ森』(文研出版、1996年)を読みました。松井光瑤[みつま]さん編『森からみる地球の未来』シリーズ(全6巻)の第4巻です。
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太田猛彦『水と土をはぐくむ森』目次
森の土の仕組み
 縁の下の力もち?
 森の土の表面の住民たち
 森の土の4つの層
森の土の豊かな生態系をつくる
 森の植物連鎖は、森の土があってこそ
 底辺がせまいピラミッドは、背も低くなる
 栄養豊かな森の土は
 有機物とねん土や砂とのミックス
 いちばん豊かな土をもつ森は温帯林
 豊かな農地は森のめぐみ
 人のくらしのために森は減っていく
降った雨のゆくえは土の表面しだい
 森は天然のかさ
 土の表面の穴がつぶされると、水たまりになる
 地表流が、豊かな土を流してしまう
 地表流の威力
 道路わきの土を流し出さないために
 地表流を防ぐのは、落ち葉と草
森と川の切っても切れない関係
 土にしみこんだ水は地下水になる
 おいしい水は森がつくる
 わたしたちのくらしにうるおいをあたえてくれる森
 北海道襟裳岬の植林
 300haの植林で水あげ高は17倍
洪水と緑のダム
 川の水の増加は時間差こうげき
 おそろしい洪水
 洪水が起こる仕組み
 森は川の水が増えるのをおくらせる
 森の土は少しずつ水を流し出す
 日本は川の水の量が一定していない
 森とダムがそろってこそ、水をむだなく使える
森も水を使う
 森が受け止めた雨がそのまま蒸発する「遮断蒸発」
 土の中の水を吸い上げて蒸発させる「蒸散」
 森がないと気温を上がる
 都会の中の森は「クールアイランド」
 森は水を使う
 水をあまり使わない森をつくるには
自然災害に立ち向かう森
 日本は世界中で最も大地の動きがはげしいところ
 日本は台風の通り道
 山くずれは2通り
 森は土がくずれるのを防ぐ
 山くずれを防ぐ工事
 災害を防ぐ力が期待されている「保安林」
水は世界をめぐり、森は気候を安定させる
 命の水はほんのわずか
 地球上の水は循環する
 森がない大陸は、おく地に雨が降らない
 森は「海」
 森の土を大切にしよう

森林多面的機能の公益的評価
   季刊『森林総研』№30(2015年9月)特集・森林と水循環 
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辻信一『弱虫でいいんだよ』 10月19日

辻信一『弱虫でいいんだよ』(ちくまプリマー新書2015年)を読みました。負けるが勝ち!?「進化」「進歩」「競争」を超えた新しい道を探る/“弱さ”と“愛”の人類学(帯から)


辻信一『弱虫でいいんだよ』目次
はじめに
第1章 「弱さ」とは何か?
  生きものにとっての「強さ」とは
   弱肉強食?
   ナマケモノとの出会い
  「弱肉強食」を超えて
   ナマケモノの低エネ生活
   ライオンとシマウマはどっちが強い?
   生き残ったものが強い!?
   自然から学ぶ
  オンリーワンの場所
   ナマケモノになろう
   棲み分けて共存
   世界に一つだけの花
第2章 動物たちに学ぶ
  ナマケモノから学ぶこと
   肝心なことは目にみえない
   「ナマケモノになる」ということ
   ナマケモノの弱さに寄り添う
   ナマケモノのメッセージ
  この世界はだれのもの?
   ナマケモノとシャーマンが来てくれた
   人間だけが人間とは限らない
  人間の方が「上」なのか?
   「動物人間」たちとのつき合い方
   ビーバーになる
   人はかつて樹だった
第3章 野生との和解に向けて
  「人間が上」が当たりまえか
   注文の多い料理店
   きさまらのしたことはもっともだ
   何がほしくておれを殺すんだ
   非対称性の住人
  自然界へと通じる道
   あらゆるものの共有地
   二元論を超えて
   山猫からの葉書を受けとるには
第4章 「弱さ」が輝き始めるとき
  自然は人間に何を求めているのか?
   野生へと通じる小道
   文明vs自然という二元論
   世界は耳を澄ましている
   牛は神さま
   ニワトリへの暴力と人間同士の暴力
  「民主主義」を定義し直す
   自然と女性
   「ほんとに魚はかわいそう」
   「みんなちがって、みんないい」
   アース・デモクラシー(地球民主主義)
  「進化」を定義し直す
   ゴリラのイシュマエル
   そして最後に人間が登場した
   扇形の生命史
  生物に優劣はつけられない
   どれも甲乙つけがたい
   物と心の二元論
   生きものの知性
   みんな巧に生きている
  勝ち負けなし!
   ゴリラにとって弱さとは?
   勝ち負けのない社会への進化
   分かち合いと弱さ
   人間がサル化している!?
第5章 弱虫でいいんだよ
  人は愛なしには生きられない
   生物としての人間
   「遅さ」という「弱さ」からの出発
   弱さを引き受ける
   生きることは愛すること
  ちょうどいい小ささ・ちょうどいい遅さ
   「進歩」という思考方法
   進歩の罠
   スモール・イズ・ビューティフル
   スロー・イズ・ビューティフル
  競争を超えて
   競争原理
   ブータンからの問いかけ
   競争という“常識”を疑う
   競争の“土俵”を降りる
   祈りの装置
  「フェア」な世界へ!
   「フェア」が人間をつなぐ
   「フェア」の可能性
   声なき声に耳を澄ます
   「弱さ」のジャングル
おわりに

市民の森保全クラブ親睦会実施 10月18日 

市民の森保全クラブ2019年度最初の親睦会を魚民東松山駅前店で実施しました。参加者は芦田さん、新井さん、太田さん、金子さん、澤田さん、鷲巣さん、渡部さん、Hikizineの8名。森づくり、ボランティア活動、台風19号の被災状況、支援活動など諸々の情報交換、意見交換ができました。
定例・追加活動日は10月25日(金)、27日(日)、11月1日(金)、8日(金)、15日(金)、22日(金)、24日(日)、29日(金)、12月13日(金)、2020年1月10日(金)。
「落葉掃き&焼き芋」イベントは①12月15日(日)、②22日(日)、③2020年1月12日(日)。①と②はコナラ林、③はアカマツ林で実施(小学生以上1人500円、幼児無料)。「シイタケ駒打ち体験」イベントは1月26日(日)と3月に実施(1本500円)を予定しています。

池田清彦『他人と深く関わらずに生きるには』(新潮文庫、2006年)
はじめに
Ⅰ 他人と深く関わらずに生きたい
   濃厚なつき合いはなるべくしない
   女(男)とどうつき合うか
   車もこないのに赤信号で待っている人はバカである
   病院にはなるべく行かない
   心を込めないで働く
   ボランティアはしない方がカッコいい
   他人を当てにしないで生きる
   おせっかいはなるべく焼かない
   退屈こそ人生最大の楽しみである
   自力で生きて野垂れ死のう
Ⅱ 他人と深く関わらずに生きるためのシステム
   究極の不況対策
   国家は道具である
   構造改革とは何か
   文部科学省は必要ない
   働きたい人には職を
   原則平等と結果平等
   自己決定と情報公開
   個人情報の保護と差別
文庫版あとがき

田中優『幸せを届けるボランティア 不幸を招くボランティア』 10月7日

河出書房新社から2010年に出版。14歳の世渡り術シリーズの1冊。そのまま大人になるつもり? 未来が見えない今だから、「考える力」を鍛えたい。行く手をてらす書き下ろしシリーズ。2017年に文庫化。「おわりに 扉を開ける」が第5章に入り、第6章 必要性増す「災害ボランティア」文庫版あとがきが加筆される。
  仕組みを知らないと、その「善意」がムダになる!(旧版帯から)
  仕組みが正しくないと、「いいこと」してもムダになる(文庫版帯から)

田中優『幸せを届けるボランティア 不幸を招くボランティア』(2010年3月)目次
序章 やさしさの届け方
 さりげないボランティア
 目立ちたがりのボランティア
 幸せと不幸の境界線
 好きなことが仕事になるまで
 ぼくがしている活動
  ・環境NGO
  ・NPOバンク
  ・日本国際ボランティアセンター
  ・天然住宅
  ・コモンズの森
 苦しくつらいもの? 楽しいもの?

第1章 それって「ボランティア」?
 空き缶拾いは何のため?
「環境問題の解決として」って言われるんだけど、ごみを拾うことが本当に環境問題の改善につながるのかという点だ。今、問題になっているのは、人類がこの地球上に行き続けられるかどうかだ。たとえば地球温暖化で、人類が滅びてしまうのではないかと心配しているのだ。自分の家のまわりにごみが散らかっているかどうかの問題じゃない。つまり「環境」には二つの意味がある。「身のまわり、周囲のこと」と、「地球環境問題のような大きな環境」のこと。これは必ずしも一致しない。……(29頁)
 クリーンアップの意味
 空き缶にはデポジット
 「空き缶はくずかごへ」?
 図書館司書のボランティアとは
 生活できない人を増やす仕組み
 ボランティアスタッフってタダ働きのことなの?
 「スタッフ募集」の問題点
 「タダでもやろう」という心意気
 詐偽まがいの街頭募金
 募金はボランタリーに

第2章 さまざまな「入り口」
 好き好んで自発的に
 ボランティアは不幸の言葉?
 楽しむにはコツがある
 仕事にすることもできる
 特別なことは考えない
 最初は「ほめられたい」でもいい
 自分がいてもいい場
 「自分のための」ボランティア
 「相手のための」ボランティア
 役割がないと生きていけない
 「いい子」を捨てる
 国際機関の支援とNGO活動との違い
 「キャリア」UPの道具
 ボランティア至上主義はあり?
 今いる場所からの一歩
 生活の「百姓」
 ボランティアをしない自由もある
 さりげなさも大切
 対手への配慮と「ありがた迷惑」
 日本人は「努力・忍耐」好き
 楽しむボランティアに

第3章 ボランティアの「経験値」
 里親になって感じた疑問
 善意が生み出す不公平
 ワンダラー小僧の住む社会
 相手の状態を思いやる
 「忘れない」文化
 「もらう方が威張る」文化
 相手の文化に暮らすこと
 どこまで深く理解できるか
 生死の境での選択
 難民キャンプの逆格差
 対手を背景ごと受け止める
 災害対策ボランティア
 依存しない、させない

第4章 私たちにできること
 たかが子どもに何ができる?
 「子ども」であることを活かす
 学校を捨て、外に出よう
 本当の原因を調べる
 「無力」ではなく「微力」
 訴える主体は未来のある子ども
 子孫を苦しめる大人たち
 「残す」ことの価値
 仲間と一緒に活動する
 自らの足元でやれることを
 みんなの才能を結集する
 小さな力で社会をつくる
 寄付するのだってボランティア
 事業を興して収入にする
 おカネ以外の「寄付」
 「施設」と「資格」とは関係ない

第5章 世界と未来へつなげる
 問題の根本を見つめて
 身近でないことにも目を向ける
 戦争は「心の問題」なんだろうか?
 カネ儲けとしての戦争
 問題を広げて考えれば複数の解決ができる
 国際的な税「グローバルタックス」
 仕組みで解決を
ぼくは問題を解決しようと考えるとき、いつも仕組みから解決しようとする。「心」や「心がけ」という個人的であいまいなものではなく、人々がボランティア活動をした方が得するようにしたいからだ。たとえばデポジット制度が導入されたら、空き缶は拾った方が得になる。だから誰も捨てなくなる。先に見たグローバルタックスも、良いことをした方が企業としても利益につながる。その仕組み作りが重要だと思うのだ。(154頁)
 持続する活動のために
 勤めてからこそボランティア活動を
 キャパシティ(能力・容量)の問題
 ボランタリーな精神
 アウトプットをしよう
 人それぞれの楽しみ方で

おわりに 扉をあける

巻末付録 取り組みやすい活動ガイド
 テーマ1 食
 テーマ2 集めて寄付
 テーマ3 おカネの使い方
 テーマ4 社会福祉
 テーマ5 教育
 テーマ6 自然・環境
 テーマ7 国際協力
 活動に参加するときに、気を付けてほしいこと

文庫版あとがき
社会は与えられるものではない。自分たちで作り出すものだ。その主体性は観客席にいては得られない。ボランティアは特別なことではなく、そもそもの意味である「自発的な生き方」に戻して考えるのがいい。自発的に始めることが「ボランティア」なのだから、観客席を蹴って自発的に参加することが第一歩だ。(161頁)


林と森 9月26日

樹林地という言葉があって、『東松山市みどりの基本計画』(2014年3月策定)巻末の用語解説では、「当該土地の大部分について樹木が生育している一団の土地で、樹林には竹林も含みます。」(77頁)とあります。『川越市環境行動計画「かわごえアジェンダ21」』(2008年3月策定)では、樹林地を「樹林が密生している場所であり植生により、自然林、二次林(雑木林)等に分類できるとともに、地形からは平地林、斜面林等に分類できる。」(20頁)としています。樹林地を漢字1字で示す場合、「森」と「林」とどちらが適切でしょう?
四手井綱英『森林はモリやハヤシではない-私の森林論-』第1部私の森林生態学に「森林はモリやハヤシではない」が収録されています(55~58頁)。

森林をモリやハヤシと読んだのは日本人だけだ。日本人は、古い時代に森をモリだと思い込んでしまった。しかし、中国語では「森」は「深」と同じ意味のシン(深い)という形容詞だった。森林はモリやハヤシではなく、「深い森」だったのだ。現在日本で名詞に用いている「もり」は形容詞だった。

森に名詞の「もり」という意味はない。だから、中国で「森林」をモリやハヤシだと言っても通用しないだろう。モリは名詞ではないから、中国や朝鮮半島に「森」という姓の人はいない。名が森という人はいる。名のほうは形容詞でよいからだ。だから、「林、森」という人はいる。動植物の命名法も同様だ。

次は「森」についてであるが、最近では森を林と同様に扱い「林へ行こう」というところを「森へ行こう」と書く人が非常に多い。しかし、日本の「森」という字は、林を言い表している語ではない。山の分類の一つだ。山にはいろいろな姿がある。山頂部が岩山になっている語は「岳」という。普通のなだらかな山頂を持っている場合は「山」と言うのが一般だが、山頂までぎっしり森林に覆われた山は「森」と呼ぶのだ。

ここから後の話は私の想像だが、なぜ山頂まで森林に覆われた山を「森」として「山」と区別したのか。考えてみると、そういう森林につつまれた山には神が住んでいた。すみかが神の山を区別するために「森」という山を区別したのだ。そして、「森」と言われる山は神のすみかとして大切に崇めていたのだ。

以上のべたのは、要するに「森林」はモリやハヤシではなく、「深い林」である。その意味を変えてしまったのは日本人だけで、中国や朝鮮半島では通用しないことである。そして、「森」は日本では長承まで森林に覆われた山の呼び名で、恐らくは神の住む所であって、平野部の人々は仰ぎ見て収穫を祈り、平穏な生活を願望したのであろうと思われる。

関東地方では平地の農用林を「ヤマ」と呼んでいるので「ヤマに行く」は「山に行く」だけではなく広く「樹林地に行く」、「林に行く」という意味で慣用的に使われている。「山に行く」を「森に行く」と置き換えられるのはまれな事だと思える。「森」ではなく「林」を使いたい。

鯖江市環境基本条例・環境市民条令・市民主役条令 9月8日

前記事で、鯖江市の鳥獣害防止への取り組みを鯖江市鳥獣被害防止計画(2008年、11年、13年、14年)から鯖江市環境基本計画改訂版(2017年3月)までたどってみました。
抜萃・鯖江市環境基本計画改訂版(2,017年3月)_ページ_01抜萃・鯖江市環境基本計画改訂版(2,017年3月)_ページ_02

鯖江市環境基本計画では、第3章基本施策 (2) 施策の基本方針 自然環境具体的な取り組みで、
○野生鳥獣保護と有害鳥獣対策の推進 ・野生鳥獣と共生できる森づくり活動の推進
・鳥獣保護区における野生鳥獣の保護および狩猟に関する適正な運用
・有害鳥獣による被害の防止
○動植物の保護と生息環境の保全 ・絶滅のおそれがある希少動植物の保護活動の推進
・ホタル、オシドリ等の環境保全区域における生息環境の保全
・魚類、貝類、水生昆虫等の生息環境の保全 ・鳥類の生息環境の保全
・生物調査の実施 ・定期的な水質調査等の実施による環境監視
・外来生物による影響の排除推進
・地域活動による生息環境再生の推進
をあげています。
環境基本計画の資料篇には、「環境基本条例」(1997年)と「環境市民条例」(2001年)が掲載されていました。

鯖江市環境基本条例 1997年9月29日 鯖江市条例第11号  (資料篇1~4頁)
前文
 豊かな自然に恵まれたわたしたちのふるさと鯖江の環境は、祖先たちが王山古墳の昔から大切に守り育ててきたものである。
 しかしながら、社会経済が急速に発展し、生活の利便性が高まる一方で、限りある資源やエネルギーが大量に消費されたために、地球全体の環境にまで大きな影響を及ぼすようになってきた。
 良好な環境を享受する権利は、もとより市民に等しく与えられているものであるが、将来にわたって恵み豊かな環境を維持し、次の世代に引き継ぐためには、人類もまた自然を構成する一員であることを深く認識し、自然の生態系の保護に配慮しながら、環境の保全に努める必要がある。
 わたしたちは、自らの積極的な行動により、地域の特性を生かした環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な都市の形成を目標に豊かな自然に恵まれた環境を保全し、さらにより良い環境づくりをめざして、ここに、この条例を制定する。
第1章  総則(第1条~第6条)
第2章  環境の保全に関する施策の策定に係る基本方針(第7 条・第8条)
第3章  環境の保全に関する基本的施策(第9条~第13条)
第4章  環境の保全を推進するための施策(第14条~第19条)
附則
第1章  総則
  (目的)
第1条  この条例は、環境の保全について、基本理念を定め、ならびに市、事業者および市民の責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もつて現在および将来の市民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。
  (定義)
第2条  この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
 (1) 環境への負荷  人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。
 (2) 地球環境保全  人の活動による地球全体の温暖化またはオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体またはその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに市民の健康で文化的な生活に寄与するものをいう。
 (3) 公害  環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態または水底の底質が悪化することを含む)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の採掘のための土地の掘削によるものを除く)および悪臭によって、人の健康または生活環境(人の生活に密接な関係のある財産ならびに人の生活に密接な関係のある動植物およびその生育環境を含む。以下同じ)に係る被害が生ずることをいう。
  (基本理念)
第3条  環境の保全は、人類もまた自然を構成する一員であることを深く認識し、豊かで美しい環境を実現し、広く市民がその恵沢を享受するとともに、これを将来の世代に継承していくことを目的として行われなければならない。
 2  環境の保全は、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築を目的として、すべての者の自主的かつ積極的な環境の保全に係る行動により行われなければならない。
 3  地球環境保全は、地域における環境の保全に関する取組の重要性にかんがみ、すべての事業活動および身近な日常生活において積極的な活動により推進されなければならない。
第2章 環境の保全に関する施策の策定に係る基本方針
  (施策の策定に係る基本方針)
第7条  市は、環境の保全に関する施策の策定および実施に当たっては、第3条 に定める基本理念にのっとり、次に掲げる事項の確保を旨として、総合的かつ計画的に推進するものとする。
(1) 市民の健康が保護され、および生活環境が保全され、ならびに自然環境が適正に保全されるよう、大気、水、土壌その他の環境の自然的構成要素が良好な状態に保持されること。
(2) 森林、農地、水辺地等における多様な自然環境が地域の自然的社会的条件に応じて体系的に保全されるとともに、生態系の多様性の確保、野生生物の種の保存その他の生物の多様性の確保が図られること。
(3) 人と自然の豊かなふれあいが確保されるよう、身近な水や緑の形成、優れた景観等の保全、歴史的文化的資源の活用等による地域の個性を生かした潤いと安らぎのある文化的な環境の形成等が図られること。
(4) 環境への負荷の低減に資するよう、廃棄物の減量、資源およびエネルギーの消費の抑制または循環的な利用等が促進されること。
  (市の施策の策定等に当たっての配慮)
第8条  市は、市の講ずる施策の策定および実施に当たっては、環境の保全について配慮しなければならない。

鯖江市環境市民条例  2001年12月25日  鯖江市条例第25号 (資料篇10~21頁)
第1章  総則(第1条-第6条)
第2章  市民参加の促進
 第1節  環境市民の育成(第7条-第10条)
 第2節  きれいなまちづくりの推進(第10条の2-第10条の4)
第3章  環境教育・学習(第11条-第13条)
第4章  循環型社会の形成(第14条-第18条)
第5章  地球環境の保全(第19条-第21条)
第6章  自然環境の保全
 第1節  緑化の推進等(第22条-第25条)
 第2節  野生生物の生息環境の保全(第26条・第27条)
第7章  生活環境の保全
 第1節  野外焼却時の配慮(第28条)
 第2節  大型ごみの適正処理(第29条)
 第3節  空き地等の適正管理(第30条-第32条)
 第4節  愛がん動物の管理(第33条-第38条)
 第5節  空き缶等の散乱防止(第39条-第43条)
 第6節  拡声機の使用に関する規制(第44条・第45条)
第8章  環境影響評価(第46条-第48条)
第9章  環境保全協定(第49条・第50条)
第10章  雑則(第51条・第52条)
第11章  罰則(第53条)
附則
第1章  総則
(目的)
第1条  この条例は、鯖江市環境基本条例(平成9年鯖江市条例第11号)の基本理念にのっとり、市民が健康で文化的な生活を確保するため、地球環境、自然環境および生活環境の保全に関し必要な事項を定め、市民、民間団体、事業者および市が一体となり、環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な社会を形成することを目的とする。
(定義)
第2条  この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 地球環境  人の活動による地球全体の温暖化またはオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球全体またはその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境をいう。
(2) 自然環境  自然の生態系に占める土地、大気、水および動植物を一体として、総合的にとらえた生物の生存環境をいう。
(3) 生活環境  人の生活にかかわる環境をいい、人の生活に密接な関係のある財産ならびに動植物およびその生息環境を含むものをいう。
 [(4)~(13)略]
第6章  自然環境の保全
第2節  野生生物の生息環境の保全
(野生生物の保護)
第26条  何人も、自然の保護および育成に関する知識を深めるとともに、自然に生息する動物および植物(以下「野生生物」という。)を大切にしなければならない。
(野生生物生息環境の整備)
第27条  市は、野生生物の生息環境を確保するため、野生生物の生息が可能な環境の保全と創出に努めるものとする。
第7章  生活環境の保全
第4節  愛がん動物の管理
(啓発)
第33条  市長は、愛がん動物の適正な飼育管理に関する啓発に努めるものとする。
 (市民の協力)
第34条  市民は、愛がん動物の適正な飼育管理に関する意識の高揚に努めるとともに、良好な生活環境が損なわれないよう相互に協力するものとする。
 (投棄の禁止)
第35条  市民等は、愛がん動物を捨ててはならない。
 2  愛がん動物の飼育者(所有者以外の者が飼育し、および管理する場合はその者を含む。以下単に「飼育者」という。)は、愛がん動物の飼育をやめようとするときは、自らの責任において適切な措置を講じなければならない。
 3  飼育者は、愛がん動物が死亡したときは、みだりに捨てることなく、衛生的に処理しなければならない。
 (飼育者等の遵守義務)
第36条  飼育者は、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
 (1)  愛がん動物を愛情を持つて管理し、愛がん動物が住民に危害を与え、または迷惑を及ぼさないよう適切に管理すること。
 (2)  愛がん動物の飼育環境を清潔に保ち、汚物等を衛生的に処理し、感染症等の発生を防止するように努めること。
 (3)  愛がん動物を屋外に連れ出すときは、公共の場所等において排せつされた愛がん動物のふんを衛生的に処理するための用具を携行し、直ちに回収すること。
 (4)  愛がん動物が公共の場所等を汚損し、または乱したときは、直ちに適切な措置を講ずること。
 2  動物に餌を与える者は、その動物の本能、習性および生理を考慮し、当該動物が他人に迷惑を及ぼし、または他人の良好な生活環境を損なうことのないようにしなければならない。
 (指導および勧告)
第37条  市長は、飼育者が前条第1項の規定に違反し、同項各号に掲げる事項を遵守しなかつたと認めるときは、当該飼育者に対し、必要な措置を講ずるよう指導することができる。
 2  市長は、前項の規定による指導を受けた者(前条第1項第3号の規定に違反し、前項の規定による指導を受けた者を除く。)が、当該指導に従わないときは、当該指導に係る措置を講ずるよう勧告することができる。
 (命令)
第38条  市長は、第36条第1項第3号の規定に違反し、前条第1項の規定による指導を受けた者が、正当な理由なく、当該指導に従わないときは、当該指導に係る措置を講ずべきことを命ずることができる。
鯖江市民主役条例 2010年3月26日 鯖江市条例第1号 
鯖江の地には、先人の礎のもと育み築かれた歴史、伝統、文化、産業、そして豊かな自然とすばらしい環境があります。地域社会の在り方や生活のスタイルが多様化する中、これらの貴重な宝を受け継ぎ、更に新たな価値を加えることで、住みたい、住んでよかったと思える鯖江を創造し、子や孫たちに手渡していかなければなりません。わたしたち(市民および市をいう。以下同じ。)は、市民一人ひとりの前向きな小さな声を集め建設的な大きな声とすることにより、思いを一つにし、ふるさとの再生に向けて喜びや痛みを共有、共感できるまちづくりを目指していきます。ここに市民の参加と協働で、未来への夢と希望が広がる鯖江をつくるために、この条例を制定します。

第1条(目的)
この条例は、市民が市政に主体的な参加を果たし、未来に夢と希望の持てる鯖江の実現に向け、市民と市が共に汗を流すという意志と、それを実現するために市の施策の基本となる事項を定めることにより、自分たちのまちは自分たちがつくるという市民主役のまちづくりを進めることを目的とします。

第2条(基本理念)
1 わたしたちは、まちづくりの主役は市民であるという思いを共有し、責任と自覚を持って積極的にまちづくりを進めます。
2 わたしたちは、まちづくりの基本は人づくりであることを踏まえ、それぞれの経験と知識をいかし、共に学び、教え合います。
3 わたしたちは、自らが暮らすまちのまちづくり活動に興味、関心を持ち、交流や情報交換を進めることで、お互いに理解を深め、協力し合います。
4 市は、協働のパートナーとしてまちづくりに参加する市民の気持ちに寄り添い、その意思を尊重するとともに、自主自立を基本とした行政運営を進めます。

第3条(ふるさと学習)
わたしたちは、ふるさとを愛する心を育むとともに、先人から受け継いだ郷土の歴史、伝統、文化、産業、自然、環境等を、自ら進んで学ぶふるさと学習を進めることにより、家庭、地域、学校が連携しながら、子どもも大人も一緒に人づくりに努めます。

第4条(鯖江ブランド創造)
わたしたちは、ふるさと学習で学んだ成果を基に、これらをふるさとの宝として更に磨きをかけることにより、自信と誇りの持てる鯖江ブランドをつくり出し、鯖江らしさを全国に発信するとともに、市民主役のまちづくりにいかすよう努めます。

第5条(ふるさと産業)
わたしたちは、地元で作られた農林商工業の産品を、業種や産業を越えて鯖江ブランド
として磨き上げ、競争力と発信力のあるふるさと産業をつくり出し、活性化するよう努めます。

第6条(地産地消)
わたしたちは、魅力あるふるさとの産品を率先して流通を図り、利活用することで、産業全体の地産地消を進め、ふるさと産業の活性化やまちの活力を産み出す運動に取り組むよう努めます。

第7条(地域づくり)
市民は、市民主役のまちづくりの基盤である地域の個性をいかすとともに、世代、性別等を越えたさまざまな立場の人々が助け合い支え合いながら、継続して活動していくことのできる自主自立の地域づくりに努めます。

第8条(ボランティア、市民活動)
市民は、まちづくりの主役として光り輝きながら、さまざまな地域課題に対応するボランティアや市民活動に積極的に参加するよう努めます。

第9条(情報の集約、発信)
わたしたちは、市民主役のまちづくり施策を効果的に進めるため、ふるさと産業、地域づくり、ボランティア、市民活動等それぞれの分野で情報を集約し、広く発信していくための仕組みづくりや拠点づくりに努めます。

第10条(市民と行政の情報共有)
市は、積極的な情報公開や情報提供の運用を進めるとともに、パブリックコメント、審議会、タウンミーティング、ワークショップ等を通じ、市民との間で情報の共有化、活用を図るよう努めます。

第11条(市民参画)
わたしたちは、市民自らが誇りややりがいを持って、市政や地域経営に直接携わることができるような仕組みづくりを進めることで、まちづくりの計画からその実施、評価までの各段階に応じ、継続した市民参画を実現するよう努めます。

第12条(条例の自己点検、見直し)
わたしたちは、市民の意識や社会の変化に応じて、自主的にこの条例の自己点検や見直しを行うよう努めます。

附則
この条令は、平成22年4月1日から施行する。
市民主役条令には施策案付きの各条解説があります(鯖江市民主役条令(解説・施策案付き))。ぜひご覧ください。
「環境基本条例」(1997年)、「環境市民条令」(2001年)、「市民主役条令」(2010年)にいたる長年にわたる環境に配慮して行動する環境市民育成の取り組みが、地域ぐるみで鳥獣害防止対策が実施できる鯖江市につながっていることを再認識しました。

害獣の生態及び行動特性を踏まえた効果的な被害対策と管理に関わる人材の養成 9月6日

被害総額172億円は氷山の一角
警備サービス企業ALSOKが鳥獣害対策事業に参入
ジビエを活用した外食メニューをJR東日本グループが手がける理由
若手農家が連携し、獣害から地域を守る
獣肉と無農薬野菜をブレンドし、「農家の顔が見える」商品を開発
排除ではなく、出没を減らす -田口教授の提言
イヌを活用した防御策を実施
「コンパウンド・ボウ」の導入
社員を地域活動の担い手に
より高精度なわなの開発


・田口洋美『クマ問題を考える 野生動物生息域拡大期のリテラシー 』(ヤマケイ新書、2017年4月) 
はじめに

第1章 平成のシシ荒れ
 動き出した動物たち/受け身なクマ/自然変容説から環境適応説へ

第2章 生息域拡大期の現実
 1 人喰いグマはいるのか ヒグマとツキノワグマ/肉食するクマ
 2 被害の二重構造
  2-1 春期 個体間の距離/クマの子殺し行動/行動の同調性/春期の人里出没/繁殖期の出来事/目撃情報の表と裏
  2-2 秋期 採食行動の拡散/秋期の人里出没/沈静化する夏
 3 むき出しの都市 河川を移動するクマ/痺れる現場/都市という名のフロンティア/人里に依存するクマ

第3章 近世の相克 「シシ荒れ」森の消長と野生動物
 1 生きるための闘い
 2 旧弘前藩領での出来事
 3 動く森の片隅で シシ垣のある風景/近世における鳥獣害対策/村に雇われた猟師/近世から近代へ/山の消長とイノシシの動き/猪鹿害の再発/里山の奥山化

第4章 狩猟の公共性
 1 接近する被害現場 ─バリア・リーフ構造の崩壊─
 2 猟と農耕 狩猟と駆除、そして個体数調整/狩猟と農耕
 3 狩猟の公共性

第5章 クマと向き合う
 捕獲と威嚇のメッセージ性/規則性と不規則性/ゾーンディフェンスとオフェンシブなアクション/遭遇しないために

おわりに

特集:シカによる影響を低減するための最新知見と課題(日本森林学会『森林科学』79号、2017年2月)
梶光一「イントロ〜ニホンジカ管理の近年の状況」
八代田千鶴「シカの捕獲体制の構築と課題」
飯島勇人「シカの個体数推定法の変遷と課題」
明石信廣「森林におけるエゾシカの影響を把握する」
浅田正彦「シカ対策を支える人材育成の課題〜研究者、行政、住民〜」
長池卓男・飯島勇人「アメリカ合衆国ペンシルバニア州でのオジロジカ管理に学ぶ-複数の主体の協働による順応的シカ管理-」


   研究テーマについて
   イノシシの生態、農作物被害の現状
   その対策について
   鳥獣害対策において、住民への情報伝達及び協力体制はどのようなことが必要か?
   野生鳥獣と人間(地域)が共生(共存)していくためにはどのようなことが必要か?


鯖江市の市民主役で取り組む地域ぐるみの鳥獣害対策 9月5日

福井県鯖江市は市民で取り組む獣害対策の優良事例として農林水産省Webサイトで紹介されています。
市民主役の鳥獣害対策(鯖江市)

鯖江市鳥獣被害防止計画(2008年、11年、13年、14年)

鯖江市民主役条令(2010年3月)
市民主役条例とは? 平成22年4月1日、市民が市政に主体的な参加を果たし、未来に夢と希望の持てる鯖江の実現に向け、市民と市が共に汗を流すという意志と、それを実現するために市の施策の基本となる事項を定めることにより、自分たちのまちは自分たちがつくるという市民主役のまちづくりを進めることを目的として、市民による市民のための「市民主役条例」が施行されました。
 市民主役条例の推進に向け、同年7月7日に設置された「鯖江市民主役条例推進委員会」と市が7項目にわたる協定を締結し、市民主役の具現化に取り組んでいます。
提案型市民主役事業化制度とは? 鯖江市では、市が行っている公共的な事業の中から、市民が「新しい公共」の担い手として自ら行った方が良い事業を「市民主役事業」として創出することで、公共における民間と行政との役割分担を見直し、市民の自治力を高めることを目的として、平成23年度実施事業分から提案型市民主役事業化制度を実施しています。
 市が実施する事務事業の中から、市民活動団体、地域のまちづくり組織、事業者等を対象に、公共的な事業を委託・民営化する提案を募り、市民主役事業の創出を図ることにより、公共サービスの更なる充実とスリムで効率的な市役所を実現することで、市民の市政への主体的な参画の実現と市民主役意識の醸成を図ることを目指しています。
第5次鯖江市総合計画改訂版(2010年3月、2010~2014)(改訂、~2016)
表紙・第5次鯖江市総合計画改訂版表紙・第5次鯖江市総合計画(2010年3月)

丹南地域鳥獣害対策マニュアル イノシシ編(丹南農林総合事務所、2011年2月)
丹南地域鳥獣害対策マニュアル(イノシシ編)2011年2月_ページ_1

丹南地域鳥獣害対策マニュアル(イノシシ編)2011年2月_ページ_2丹南地域鳥獣害対策マニュアル(イノシシ編)2011年2月_ページ_3丹南地域鳥獣害対策マニュアル(イノシシ編)2011年2月_ページ_5

丹南地域鳥獣害対策マニュアル(イノシシ編)2011年2月_ページ_4

丹南地域鳥獣害対策マニュアル(イノシシ編)2011年2月_ページ_6

表紙・改訂・鯖江市都市計画マスタープラン

 鯖江市では、平成9年に策定した都市計画マスタープランに基づき、将来都市像である「人にやさしく活力に満ちた文化の薫る交流都市」の実現に向けたまちづくりに取り組んでまいりました。
  しかし、計画の策定から10余年が経過し、人口減少社会の到来、少子高齢化の進展、地球規模での環境問題、地方分権社会への移行など、地方自治体を取り巻く環境が激動しています。
  このような状況を踏まえ、本市においても新たな都市計画行政の方向性を定めるため、都市計画マスタープランの改定を行いました。  本計画は、第5次鯖江市総合計画にある本市が目指す将来像「自信と誇りの持てる自主自立のまち」の実現に向けた都市計画行政の取り組みを示すものであります。
  鯖江市では、「みんなでつくろう みんなのさばえ」を合言葉に「幸福度の高い交流都市鯖江」を目指しています。市民が幸福度と満足度を高められるよう、鯖江市の魅力ある地域の宝を活かした交流・連携を図り、豊かな自然や歴史、伝統、文化が感じられるまちづくりを目指します。
  これからのまちづくりにおいては、市民、事業者の皆様と行政が手を携えあい、魅力と活力にあふれた市民主役のまちづくりに取り組んでいきたいと考えておりますので、皆様の御理解と御協力をお願い申し上げます。

表紙・人と生きもののふるさとづくりマスタープラン(2012年3月)

さばえの鳥獣被害対策マニュアル(2012年3月初版、15年3月第2版)
さばえの鳥獣害対策マニュアル

・鯖江市鳥獣害のない里づくり推進センター(2014年4月開設)
  中田都「集落総出の柵管理で5年連続被害ゼロ」
   (『季刊 地域』34号、2018年夏号 特集・地域力がものを言う 獣害対策)
       
表紙・第2次人と生きもののふるさとづくりマスタープラン(2017年)

近年、野生鳥獣が引き起こす農作物被害、人身被害、生活被害が全国で多発し、鳥獣被害対策が各地で進められています。本市でも、これまでに市内各地で多くの市民が鳥獣被害対策に取り組んできました。これからも鯖江市民および本市が協働して「鳥獣害のないふるさとづくり」を実現するために、市民・市民団体、事業者、行政、専門家がどんなことに取り組めばよいかを明らかにするため、マスタープランを策定しました。

  -人と生きものが仲よくくらせるまち-
抜萃・鯖江市環境基本計画改訂版(2,017年3月)_ページ_01

さばえのけもの探偵団(Webサイト)


日高市市民参加条令(2009年3月)
日高市では、誰もが住みやすさを実感できるまち「明日へきらめくまち、日高」を目指して、市民一人一人が主役となって参加できる「市民と行政の協働によるまちづくり」を進めるために、市民参加のルールとなる『日高市市民参加条例』が施行されました。
市の基本的な計画の策定等に当たり、広く市民の皆さんからご意見をいただくため、市民参加条例に基づき、市民参加手続を実施しています。
真下英二(NPO法人子ども大学かわごえ学長)「市民の参加と協働を実効あるものにするために」日高市 第1回市民会議講演資料
「市民参加条例(案)作りに参加しよう・協働のまちづくり市民の集い」『みんなの会in日高』Blog、2007年12月9日記事
今日は、日高市の「市民参加と協働づくり市民会議」が主催する市民参加フォーラム「市民参加条例(案)づくりに参加しよう・協働のまちづくり市民の集い」に参加しました。
 前半に「市民参加の必要性について」という、尚美学園大学 准教授 真下英二氏による講演があり、その後「市民参加と協働づくり市民会議」が市民がはじめてつくる条例の議会提出までのプロセスとスケジュールの説明がありました。(中略)
 条例の制定の方法には、市長案として議会に提案して議会に諮る方法、議員定数の十二分の一の議員による議員提案で議会に諮る方法、そして選挙権を有する住民の五十分の一以上の連署による住民請求する方法があります。
 「市民参加と協働づくり市民会議」のみなさんがこれらの方法の中から、条例案を市長に答申して市長案として議会に諮る方法を選択したのはなぜか聞きたかったのですが、壇上の方にはつたわりませんでした。
 はじめて市民がつくる条例と謳っているのに、市民発ではなく「そもそも何故市民参加が必要なのか?」という真下講師の説く必然性もないこの条例は、誰のために必要なのか。大きなクエッションマークが頭の上に浮かびましたが、これまで多大な時間とエネルギーを市民参加と協働のルールづくりに注いでいただいたメンバーのみなさんに敬意を表して質問することは控えました。

 これだけの努力で提案される条例案です。
「市民の集い」にはもっと大勢の市民に関心を持って参加してもらいたかったです。

埼玉県におけるアライグマ対策の総合的な体制づくり 9月1日

アライグマの都市進出に伴い、「アライグマ感染症リスク対策の重用性」(7月29日記事)が指摘されています。農作物被害に加えて、アライグマは市民生活への脅威となってきました。8月30日の『朝日新聞』には、「アライグマの害防げ 昨年度5400匹捕獲 対策学習会も」という記事が掲載されていました。埼玉県におけるアライグマ捕獲数の増加、生息場所の広がり、農作物被害の拡大、アライグマ専用捕獲器の開発などが紹介されています。
農林水産省HPの「鳥獣被害対策コーナー」の鳥獣被害対策の取り組み事例(2017年度事業成果)に『埼玉県におけるアライグマ対策総合的な体制づくり』があり「報告書」と「動画」がリンクされていました。

地域の概要
 アライグマ捕獲数の推移
1アライグマ捕獲頭数の推移

 アライグマの捕獲地点と生息地点
2アライグマの捕獲地点と生息地点

 埼玉県における獣種別農作物被害金額
3埼玉県における獣種別農作物被害金額

 コラム:生息域の拡大

埼玉県の取り組み
 アライグマ防除実施計画の策定(2007年)
 被害予防対策と計画的捕獲の組み合わせ
  無意識な餌やりをやめる
  安心できる場所をつくらない
  加害個体を他人まかせにせず獲る
 効果的な被害防止柵、専用捕獲器の開発・利用
  中型動物の農作物被害防止柵 楽落君
  アライグマの専用捕獲器

捕獲したアライグマの処分
 出口(処理方法)の整備
 情報を収集・分析・共有する体制整備

埼玉県におけるアライグマ対策の体制
埼玉県のアライグマ専用捕獲器の開発

あなたの家も危ない!? 都会を侵略“エイリアン”外来動物
あなたの家も危ない!? 都会を侵略!外来動物
わが家を守れ! “エイリアン”外来動物対策
勢力拡大!“エイリアン”動物 各地で思わぬ事態!?
※イノシシの都市進出については「アーバン・イノシシ物語 ワシらが都会を目指すワケ」があります。
衝撃映像!アーバン・イノシシ暴走 東京へも
アーバン・イノシシ物語 ワシが都会へ出る理由

埼玉県東松山市の地質 8月27日

原田吉樹・荒井豊『埼玉県東松山市の地質』(東松山市発行、19年7月改訂版)、化石と自然の体験館で購入しました(A5版、84頁、800円)。
P8250036

地質
1.埼玉県東松山市の地質
 1.1概要
 1.2東松山市の地質図
 1.3東松山市大字神戸鞍掛山の地質図
2.東松山市の基盤岩類
 2.1吉見変成岩類
 2.2柏崎の頁岩
 2.3基盤岩類から供給された神戸層の礫
3.東松山市の新生代 新第三紀の地層と化石
 3.1新生代新第三紀の地層(海成層)の対比
 3.2 1回目の海の時代(約1600~1500万年前)
  3.2.1荒川層
  3.2.2市ノ川層
  3.2.3野田層
  3.2.4福田層
 3.3隆起して陸化した時代(約1500万年前)
 3.4 2回目の海の時代(約1500~1100万年前)
  3.4.1神戸層
  3.4.2根岸層
  3.4.3将軍沢層
  3.4.4葛袋の岩石、鉱物
  3.4.5葛袋の化石
 3.5陸の時代(約1000~300万年前)
 3.6東松山市の新第三紀までの深度
4.東松山市の新第三紀末~第四紀の地層と化石
 4.1河川の時代(約300~100万年前)
 4.2やや冷涼な次代(約73~13万年前)
 4.3台地形成の次代(約13~1万年前)

湧泉
5.東松山市の湧泉
 5.1新第三系と段丘礫層の境界から湧出するパターン
 5.2中位段丘の段丘崖から湧出するパターン
 5.3武蔵野段丘の段丘崖から湧出するパターン
 5.4武蔵野面の窪みや谷から湧出するパターン
 5.5立川段丘の段丘崖から湧出するパターン

地層・岩石の利用
6.東松山市の地層や岩石の利用

参考文献
協力者・協力団体
執筆者略歴

埼玉県立自然の博物館展示解説書 8月23日

長瀞町にある埼玉県立自然の博物館の展示解説書2冊です。

埼玉の自然誌~埼玉の自然を知る・学ぶ~(埼玉県立自然の博物館発行、2019年3月)
P8250041

ごあいさつ
もくじ
埼玉県の自然を一望してみよう

第1章 博物館と秩父の自然
 1 日本地質学発祥の地と博物館
 2 長瀞の自然
 3 ジオパーク秩父
 4 埼玉県立自然の博物館

第2章 地質
 日本列島の中の埼玉
 埼玉県の歴史
 1 大洋の時代 石灰岩・チャート・緑色岩の形成
   古生代石炭紀~中生代三畳紀(3億年~2億100万年前)
  大洋の時代の岩石と化石
  武甲山の地質と石灰岩採掘
   コラム:放散虫革命
 2 大陸の時代 付加体の形成
    中世ジュラ紀~新生代古第三紀(2億100万年から2500万年前)
  秩父帯・四万十帯
  三波川帯
   コラム:国会議事堂に使用されている埼玉県石材
  領家帯と跡倉ナップ
  山中層群
 3 古秩父湾の時代 日本列島の原型形成
    新生代新第三紀(約2500万年~約1000万年前)
  秩父盆地の地層と化石
  古秩父湾堆積層及び海棲哺乳類化石群
  丘陵の地層と化石
 4 列島の時代 現地形の形成
    新生代新第三紀中新世(約1000万年前)~第四紀(現在)
  秩父トーナル岩と秩父鉱山
  ゾウが来た道
  ヒトの時代へ
   コラム:平野の地形
    日本一広い関東平野
    気候変動と河岸段丘
    関東造盆地運動 沈降する埼玉北部
    秩父盆地の川成段丘
   コラム:埼玉県産の鉱物

第3章 生物
 埼玉県の生物相
 気候と植生帯
 埼玉県のシンボル
 1 低地
  冬鳥のたたずむ池や沼
   コラム:河川敷の生きもの
   コラム:外来生物
 2 台地・丘陵
  冬枯れの雑木林
   コラム:人の暮らしと生きもの
  緑の濃い夏のアカマツ林
 3 山地
  彩られる秋のブナ林と渓流
   コラム:ニホンジカの増加による影響
   コラム:水滴散布
  石灰岩に刻まれた自然の造形
 4 亜高山
  シャクナゲ咲く初夏の原生林
   コラム:林床をかざる 美しいコケの世界
  様々な生きものの暮らす原生林
   コラム:針葉樹林の更新
   コラム:森をささえる 菌類の役割
  岩場に生きる
   コラム:不思議な生きもの 地衣類

参考文献
施設案内
利用案内

知って!埼玉 ~化石でたどる2000万年~(埼玉県立自然の博物館発行、2019年7月)
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ごあいさつ
プロローグ 埼玉県のトリセツ
 日本そして埼玉県の誕生
 埼玉県の基本データ
 日本の、そして埼玉の生物はどこからやってきたのか
 化石からたどる生物相の成り立ち

第1章 古秩父湾の時代 ~秩父の海の誕生から消滅~
 秩父の海の盛衰と化石
 比企丘陵の化石 ~他地域に見られる古秩父湾の時代の化石~
 荒川河床の化石 ~寄居・深谷~
 荒川から大発見 73本の巨大ザメの歯
 古秩父湾の時代の海の王者 史上最大の魚類メガロドンとは
 埼玉にサイがいた!? ~埼玉の海の時代の終焉~
 サイがいた森 楊井層の植物化石

第2章 ゾウの時代 ~大陸との接続と分断
 大陸からの分析 ~仏子層の化石と古環境~
 日本を代表するアケボノゾウ化石産地
 大陸との接続

第3章 巨獣の時代 ~古東京湾の時代~
 関東平野を広く覆う海 ~古東京湾の時代~
 ナウマンゾウが連れてきた!? 日本の生物たち

第4章 人類がやってきた ~変わりゆく生物相~
 奥東京湾の時代 ~人類の時代のはじまり~
 本州最古の縄文人前身骨格 妙音寺洞窟埋葬人骨
 現代型生物相の形成と崩壊
 消えゆく生物と露頭

資料篇展示資料一覧

研究ノート
 埼玉県産パレオパラドキシアから分かること
 菅沼標本からわかること
 日本のサイ化石 カワモトサイの重用性
 小型化したゾウの謎に挑む
 根小屋産出哺乳類化石群
 ツキノワグマはいつからツキノワグマか?

『生きもの上陸大作戦 ー絶滅と進化の5億年ー 』 8月7日

中村桂子・板橋涼子『生きもの上陸大作戦 ー絶滅と進化の5億年ー 』(PHPサイエンス・ワールド新書026、2010年)を読みました。巻頭の「生きもの上陸大作戦絵巻」、素晴らしいです。

 絶滅が大きな進化をうながす
今日、私たちが地上で目にするさまざまな樹木、美しい草花、周りを飛びかう虫たち、そして動物たち。こうした豊かな生態系の出発点はいまから5億年前ー地球に生物が誕生して33億年、生きものたちが住み慣れた「水圏」を離れ、陸に上がることを決意したときのこと。まずは植物、そして昆虫、脊椎動物が上陸。5億年で5度の大きな絶滅を乗り越え、たくましく進化する生物の一大イベントを活き活きと描く。(カバーから)

 『生きもの上陸大作戦 ー絶滅と進化の5億年ー』目次
生きもの上陸大作戦絵巻

第1章 植物たちの上陸大作戦
 1 最初の挑戦者は植物
  浅瀬は生物で大混雑
  最初に上陸に成功した植物とは?
  クチクラと気孔
  胞子を作るという工夫
  胞子体と配偶体の関係と進化
 2 森への道
  シダ植物と維管束の発明
  リンボク類は石炭紀の森林の主役
  森と土づくりと生態系
 3 現代の森へ
  森の産物が川を豊かにした
  寒冷・乾燥化がシダ植物を滅ぼす
  種子植物が優勢となったわけ
 4 花はどのようにして生れたか
  花を咲かす被子植物はいつ頃生れたか
  離弁花と合弁花
  花づくり遺伝子は古くから存在した
コラム
  花はどのようにしてできる?
  三つの遺伝子の組み合わせで

第2章 昆虫たちの上陸大作戦
 1 昆虫の上陸
  地球上で最も成功した生きもの
  無翅昆虫から有翅昆虫へ
  無翅昆虫の祖先はカブトエビか
  小型化こそが繁栄の秘密
 2 翅ができるしくみ
  翅の発明をめぐる二つの仮説
  遺伝子から「翅の獲得」を見る
  翅の枝分れと平たく伸びる性質の組み合わせ
 3 遺伝子と発生とから描く昆虫の進化
  羊膜ができることが進化の鍵
  分子系統樹と重ね合わせると
 4 植物と昆虫の共進化
  チョウの進化と食べる草の微妙な関係
  イチジクとイチジクコバチの共進化

第3章 脊椎動物たちの上陸大作戦
 1 筋肉のついたヒレから足へ
  「魚類時代」と顎の誕生
  常鰭類と肉鰭類ー「生きた化石」シーラカンス
  水中にいる間に進化した!?
 2 上陸した脊椎動物の先祖たち
  四足動物につながる最古の生物
  水中ですでに足ができていた
  浅瀬で暮らすー肺と肋骨と顎
  ディクターリクの奇妙な顎とうろこ
  陸上で暮らし始めたイクチオステガ
 3 手はどうやってできたのか?
  四本の足から二本の足へ
  アカンソステガの「八本の指」
  ヘッジホッグ遺伝子のはたらき
 4 ゲノム重複
  脊椎動物の進化とゲノム重複
  トラフグに起こった三回目の重複
  真骨魚類と四足動物のゲノム進化

第4章 絶滅が大きな進化を促した
 1 生きものの歴史の一つである絶滅
  恐竜の絶滅と隕石の落下
  絶滅の後で生き残ったものたち
  絶滅に気づいたとき
  浮き彫りになった「五回の絶滅」
  絶滅の原因を求めて
 2 五回の絶滅を追う
  超大陸パンゲアとスーパーブルーム説
  大噴火とメタンガスの放出
  四・四億年前(オルドビス紀末)、種の八五%が絶滅
  三・六億年前(デボン紀後期)、種の八二%が絶滅
  二・一億年前(三畳紀/ジュラ紀境界)、種の七六%が絶滅
 3 恐竜から鳥へ
  鳥類は恐竜の仲間から生れた
  恐竜は運動能力の高い混血動物
  化石からわかったもう一つの秘密
  恐竜の巧みな呼吸法

あとがき
生きもの上陸大作戦-003

大串龍一「里山の問題」1・2・3 8月2日

今西錦司、岩田久二雄、森下正明、吉良龍夫、宮地伝三郎など京都学派の生態学者の歴史をまとめた『日本の生態学-今西錦司とその周辺-』(東海大学出版会、1992年)の著者大串龍一さんの「里山の問題」を読みました。

 ●大串龍一「里山の問題」その1 (河北潟総合研究11、2008年)
  1.「里山」がなぜ話題となってきたのか
  2.里山はどんな場所か
  3.日本人のイメージする「里山」
  4.人によって改変された自然の重用性
  5.日本の里山
  6.日本の「里山」はいつ頃できたものか
  7.「里山」生活の解体と里山生態系の崩壊

 ●大串龍一「里山の問題」その2 (河北潟総合研究12、2009年)
  8.里山の範囲
  9.日本の里山は時代とともに変わってきた
  10.「里山」とくに日本の里山の特徴
  11.日本の里山は安定した生態系であったか?
  12.里山の動植物の特性、里山のミカン、シイクワシャーを手がかりとして
  13.生物多様性と里山
  14.「里山」文化の保全あるいは再生について
  付記 もう一つの課題、「水辺」生態系 里海などについて

 ●大串龍一「里山の問題」その3(河北潟総合研究14、2011年)
  自然史と社会史の産物としての「里山」 
   1)中世の大開拓期
   2)江戸時代前期の林野政策の転換
   3)江戸後期の世界的寒冷化と山地の荒廃
   4)明治期の石炭産業の大発展と森林の復元
  里山を支えたもうひとつの近代産業-養蚕と製糸-

広報『たてしな』6月号 7月30日

4月23日の記事でとりあげた長野県立科町出身の教育者、五無斎・保科百助(1868~1911)は、6月8日に生まれ、7日に亡くなっています。立科町の広報『たてしな』6月号に岩上起美男さんの「6月、五無斎先生を憶う[おもう]~ 本名? そして、現代書道の父・比田井天来先生との交わり?  ~」が12・13頁に掲載されていました。
広報立科2019年6月号12ページ広報立科2019年6月号13ページ

保科百助の「百助」は「ひゃくすけ」なのか「ももすけ」か。協和村(現・佐久市望月)で生まれた比田井天来との交わりの有無について本当のことを知りたいと願っている岩上さんは、保科百助という人物を大きく4点から評価しています。

①体験型教育の実践者であり、差別の愚[ぐ]なることを力説し、差別撤廃[てっぱい]のために尽力[じんりょく]した謹厳実直[きんげんじっちょく]な教育者。
②もったいぶった権力[けんりょく]や権威[けんい]に対する反骨心旺盛[はんこつしんおうせい]な人。
③自己本位で、悟[さと]らんとして悟りきれない煩悩[ぼんのう]の世界に住んだ鬼才[きさい]。
④奇行[きこう]と毒舌[どくぜつ]の人という半面、シャイで、心優しいユーモリスト。

保科百助という人物についてさらに図書を紐解いて学んでみたくなりました。

広報立科2019年6月号13ページ-001
両親の位牌を見ては思ふかな 線香立つるかゝをほしなと





アライグマ感染症リスク対策の重用性 7月29日

今年も「市民のための環境公開講座」が始まりました。損保ジャパン日本興亜環境財団、日本環境教育フォーラム、損害保険ジャパン日本興亜が協働で開催する公開講座です。7月24日には「生物多様性と私たちの生活」をテーマに国立環境研究所生態リスク対策室室長の五箇公一さんが講演しました。五箇さんはメディア出演の多い人です(https://www.nies.go.jp/biology/pr/tv.html)。講演では、生物多様性の現状とリスクについて研究成果をもとに立て板に水の如く語られ、情報量は通常の講演の2倍近くあったと思います。その中で「アライグマ感染症リスク対策の重用性」(人獣共通感染症)について再認識することができました。このテーマに関わる記事はネット上にたくさんありますが、いくつかリンクしておきます。学習にご利用ください。

外来種の意図的・非意図的導入と外来種の影響(五箇公一)
外来種の意図的・非意図的導入(五箇)外来種の影響(五箇)
「飼い猫にマダニ」で感染症が怖い 都市部に持ち込んで来る「犯人」とは(J-CASTニュース 2017/9/ 2 15:00)
 野良猫に噛まれた後にSFTSを発症
 都会で増加中のアライグマにマダニが付着

 ※SFTS:重症熱性血小板減少症候群。
  主にウイルスを保有しているマダニに咬まれることにより感染するダニ媒介感染症。 

マダニ感染症の謎を追う(『NHK NEWS WEB』2017年8月30日放送)
 過去最高ペースの発症者数 致死率は20%
 マダニがペットの猫に
 なぜ山にいたマダニが市街地に?
 ウイルスはどこから?
 治療法は?
 対策は?
 さらなる実態解明を

命を奪うマダニ感染症 ペットも野生動物も危険!?(『NHKクローズアップ現代』2017年8月30日放送)
 命を奪うマダニ感染症 ペットも野生動物も危険!?
 危険なマダニがペットに! 投稿から衝撃の事実
 あなたのペットも危険!? 投稿から“マダニ猫”マップ
 命を奪うマダニ感染症 猫に そして人に
 命を奪うマダニ感染症 山里から都市へ急拡大
 命を奪うマダニ感染症 身を守るには?

動物由来感染症(ズーノーシス)ハンドブック2019(厚生労働省)
 動物由来感染症から身を守ろう!

もう、人間と自然は共生できない 環境学者・五箇公一インタビュー(CINRA.NET)
インタビュー・テキスト 島貫泰介 撮影:古本麻由未 2014/11/12

生物多様性とローカリゼーション(月刊事業構想オンライン 2016年4月号)
   生物多様性の意義と現状 私たち人類の未来を支えるために生物多様性とどう向き合うべきか
    ・大絶滅は生物種の減少と新しい種の進化の場を与えた
    ・健全な生態系と人口爆発後の崩壊した生態系
    ・森林破壊は生物多様性の低下をもたらす
    ・生態系に深刻な影響を与える合成化学物質や生物の乱獲
    ・地域固有性を重視する

生物 ~社会を揺るがすアリとあらゆる問題~ (日本自然保護協会、2017年8月7日)
 出典:日本自然保護協会会報『自然保護』No.542より
 私達の生活にも密接にかかわっている外来種問題。
 暮らしの中で出合う疑問について専門の方に伺いました。
 ▲回答者:五箇公一氏(独立行政法人国立環境研究所 主席研究員)
 ●外来種問題Q&A
  【Q:渡り鳥も外来種ですか?】
  【Q:インフルエンザなどのウィルスも外来種ですか?】
  【Q:野菜を買ったらイモムシがくっついてきたけど、どうしたらいいですか?】
  【Q:どんなところから入ってくるのですか?】
  【Q:外来種が入ってくるとどんな悪影響がありますか?】
  【Q:温暖化で北上してきている昆虫などは外来種ですか?】
  【Q:駆除活動で生きものを殺すことについて、子どもたちにどう伝えたらいいですか?】

池の水を抜いて分かったニッポンの危機(日経ビジネス エコロジーフロント)
 国立環境研究所・五箇公一氏×テレビ東京・伊藤隆行氏 特別対談
 相馬 隆宏 2017年11月17日

生物多様性と私たちの生活(国立環境研究所 五箇公一、2018)
 1 はじめに
生物多様性という言葉がもてはやされて久しくなりますが、生物多様性の意味や重要性に対する理解が十分に多くの人に得られているとは言えません。同時にどれほど生物多様性が危機にさらされているのかも実生活上では実感しづらいところがあります。しかし、生物多様性の衰退は、水・土壌・大気環境の悪化や感染症・有害生物の蔓延というかたちで確実に我々の生活にも影響を及ぼし始めています。本講座では生物多様性の意義と現状、特に外来生物を含む人為的なかく乱要因による生物多様性の危機について、国立環境研究所での研究成果を交えながら、解説するとともに、私たち人類の未来を支えるために生物多様性とどう向き合うべきかを議論したいと思います。
 2 生物多様性とは
 3 生物多様性の創造ー進化と絶滅の歴史ー
 4 生物多様性の崩壊ー現代の大絶滅ー
  4.1 生物種の生息地破壊
  4.2 化学物質による汚染
  4.3 乱 獲
 5 地域固有性を脅かす外来生物
 6 私たちの生活と生物多様性

五箇さんに聞く︕「“外来種”は悪者︖」  -“外来種問題”から学ぶ、⾃然との向き合い⽅-
 <掲載日:2018年6月25日>
 取材協力:国立環境研究所生物・生態系環境研究センター生態リスク評価・対策研究室長五箇公一
 取材、構成、文:前田 和(対話オフィス)
  はじめに
  “外来種”って何のこと?
  “外来種”=すべて悪者?
  大切なのは、“外来種”というくくりではない
  誰がこの環境を作ったのか?
  私たちの暮らしの変化による影響
  これから、私たちが目指すべき方向とは?
  おわりに

外来種はなぜ問題なのか? : 人と動物の関係からみる外来種問題(池田透)
 『科学技術コミュニケーション』第23号(2018)
  1.はじめに
  2.外来種とは
  3.外来種が引き起こす問題
  4.特殊な歴史的背景をもつ外来種、ネコ
  5.外来種対策が進まない理由
  6.アライグマ対策の現状
   6.1 科学的データに基づいた捕獲戦略
   6.2 アライグマ捕獲の実例
  7.野生動物とのほどよい距離感とは

アライグマ防除の基本的な考え方・アライグマ捕獲の手順(編集・発行:関西広域連合、2015年)

四手井綱英「山科からの通信」 7月23日

書庫の整理をしていたら、2004年に発行された『グリーン・パワー』(森林文化協会)が数冊あり、7月号~10月号には四手井綱英さんの「山科からの通信」が掲載されていました。四手井さん93歳の里山論です。「里山について」「里山はどこを指すか」、「アジアの里山」、「これからの里山」というテーマで連載されたこの文章は後に『森林はモリやハヤシではない -私の森林論- 』(ナカニシヤ出版、2006年)の「Ⅲ 私の里山論」に収録されています。

四手井綱英『森林はモリやハヤシではない-私の森林論-』目次
I  私の森林生態学
森林生態系と林木育種/人工林と天然林/人工植林/糺の森の生態学的意義/秋田スギ林について/砂漠造林への序章/無計画な植林は環境破壊/北限のブナが活気づいていること/孤立したブナ林の復元はあくまで天然更新中心に/森林はモリやハヤシではない/森林と孤立木/林業用種苗の産地問題/小さな誤解/原生林/熱帯雨林/宇宙船地球号の森林生態学

II  私の自然保護と出会った人
自然保護に関して思うこと/自然保護雑感/じゃまなやつは殺せ/子供と環境/都市の自然/京都の自然/文化財としての環境保護/関西空港に関係して/司馬遼太郎さんと鋸,鉋考/上林盛二さんのこと/峰村助治氏(亀さん)と岡田長助氏(岡長さん)のこと/今西錦司さんの生誕100周年と豪雪地帯/二つの銀盃と神社の茅場/私は二度殺された

III  私の里山論
 里山について
  「里山」は私の造語か
  「里山」に行き着くまで
  裏木曽谷の「里山」

 里山とはどこをさすか
  里山の範囲
  里山の利用形態
  里山の環境
  欧州に里山はあるか

 アジアの里山
  熱帯アジアでは
  中国の里山ー敗戦前後の経験からー
  稲藁の利用について
  なかった藁製品
  低林について

 これからの里山

IV  私の林野庁時代――林業政策および林業経済
林業行政についての意見/私の現業官庁体験/大戦後の林業試験/私の考える林業経済

「「里山」という用語は、どうも私[四手井]が使い出してから急に、林業・林学関係者や自然保護関係者がよい表現法だと思って使うようになったものらしい。」(186頁)とあるが、「里山」は四手井さんの造語ではない。これについては、岡田航(おかだわたる)さんの「「里山」概念の誕生と変容過程の林業政策史」(『林業経済研究』63巻1号)に詳しい。かつて、「里山」という用語は森林生態学の四手井綱英氏が造語したという説(「この語はただ山里を逆にしただけで、村里に近いという意味として、誰にでもわかるだろう、そんな考えから、林学でよく用いる「農用林」を「里山」と呼ぼうと提案した……」)があったが、今日では「里山」は江戸時代の林政史料にしばしば登場していることがわかっている(2018年2月18日の記事)。四手井さんは「里山とはどこを指すか」で「「里山」は新しい言葉だ。昔あった言葉で、あたらしくよみがえった言葉であっても、私がどういう意味で使用しているかを、いちどはっきりしておきたい。私が「里山」と呼んだのは、…林業部門で古くから「農用林」と称していたのが一般の人にはわかりにくかったので、なんとか易しい表現に変えようとの意図からであった。したがって「農用林」が意味している農家の裏山で、おもに農家が直接暮らしに用いる木質材料はもちろん、農地が必要とする肥料の生産のための森林に覆われた山を指すつもりだった。」(193頁)
  里山の範囲
 別に厳格な科学的用語として作ったものではなく、はっきりした定義があって生まれたものでもないので、皆さんがそれぞれの概念で「里山」という用語を使っておられることに、私は異論を唱える義務も権利もないだろう。使用者がみずからその範囲を定義して使われればよいし、漠然とした一般用語として村里の裏山程度に思って使われても文句はないと思う。
 ただ、発案者としては、用いられる対象の範囲が、昔の農用林からあまり離れてしまうのもどうかと思う。とくに気になるのは、一般に林学でいう「低林」(ニーダーワルド)まで「里山」に含められると、いささか文句をつけたくなるのだ。
 低林は、伐採後、主として切り株から生じる萌芽で次代の森林が復活する天然萌芽更新の雑木林である。これは、薪炭林生産専用林で、純然たる林業の一部門をなしており、農業とは何ら直接の関係はない。山里の林業従事者が自家用の薪炭を生産しているのではなく、町に住む人々に販売する商品として薪炭を生産しているのだから、農用林、すなわち主として農地の肥料を生産している「里山」と混同することはできないだろう。(193~194頁)
四手井さんは、薪や木炭などの商品を専ら生産する薪炭林は林業を営む林であって、農業を営むための農用林ではないので、これを里山というのは同意できないという。四手井さんの「発案」以降、「里山」という言葉は広く使われるようになり、農用林や薪炭林にとどまらず、伝統的な農村環境、農村景観をさして「里山」が使われている場合もあり、「里地・里山」、「SATOYAMA」が使われている。それぞれの話者が「里山」という言葉で何を指しているのか吟味しなければなりません。


水田中耕効果説の否定 7月21日

1960年に『関東東山農業試験場研究報告』第17号に掲載された野島数馬さんの「水田の中耕に関する研究」は、「中耕は脱窒防止、雑草の発生防止、除草の3効果が主体で、それ以外の生育促進効果は認められないとし、端的には中耕には除草以外の効果のないことを明確に示した」(『昭和農業技術発達史第2巻水田作編』199頁~200頁)と評価されている。

永田 恵十郎さんの「稲作灌漑の農法的性格」(『水利科学』36号、1964年)の注23(同書130頁ー131頁)では、以下のように評価されている。
野島数馬氏は、江戸時代以降の中耕効果説の内容を、中耕にともなう地水温、土壌の PH、 Eh価、ガス量特に酸素、 NH3-N 虫などの変化、除草の効果、断根による養分吸収 ・生長の変化等に整理したうえ、室内 ・圃場場実験等でそれぞれ検討したところ、中耕は脱窒防止作用と除草および雑草発生防止の三作用の効果はあるが、他については在来の諸説のいうような効果は、ほとんど、あるいは全く認められないことを確認された。
 このうち 、脱窒防止作用も、田植後 10日目頃以降では、ほとんど消滅する点から、全層施肥による脱窒防止の方が合理的であり、結局中耕の効果とは、土壌の反転攪乱の効果ではなく、除草と雑草発生防止の効果であったと判断し、 「雑草の発生が実用的に無害の段階まで抑制され、かつ、肥培法が改善されるならば、中耕は全く不必要な作業として水田から完全に排除されるであろう」と主張される。
 また、除草用具の発達との関係では「中耕効果説の土壌攪乱効果が牢固とした信念となっていなかったならば、既に早く除草専門の農具が発達していたに違いない。八反摺のような除草専門の農具の普及が案外伸びず、雁爪打から土壌の反転にかなり重点のおかれた爪の長い回転除草機へ発達した経過のなかには、能率 ・その他の問題はあったにしても 、以上のような事情が介在したのではな いかと推察される」と述べている 。
 さらに、今後の除草技術の方向としては、 (イ )「施肥法は合理的に行なわれているが、雑草の抑制が不充分である段階においては、 なお機械的除草が必要であるならば、その時の除草機は中耕除草機である必要はなく 、除草専門の機械であればよく」、(ロ)さらに、除草剤については、現在完全かっ安全な除草剤がないため、なお機械除草との併用が必要だが「農薬研究の発迷速度から将来を予想すれば、あまり速くない将来において、より理想的な除草剤が発明されることは疑う余地がない」とされている。
 以上のような野島氏の見解からもわかるように、既往における除草技術は経験技術としての中耕効果説として結びついて 、中耕-水田土壌の反転作業と結びついた多目的的複合作業として、つい最近まで一般化しており、それがまた除草用具の機能を中耕除草機として規定して 、除草専門用具の発達を押えていたのである。
 また、かかる性絡をもっ中耕除草技術は、施肥法、肥料の種類等の施肥技術のあり方と水準とも結びついており、その意味では水稲栽培技術体系を構成するー技術要素としての施肥技術の発展変化-例えば、全層施肥の一般化-によって、中耕による生育初期の脱窒防止作用の目的は後退し、したがって、そこから 、中耕作業と結びつかない単一目的の除草作業が、一方における除草剤の開発とも関連して、普及することになる。そしてかかる一連の変化のなかで水の雑草防除効果も、当然影響をうけてくることは容易に考えうるのである。要するにこうした事実を通じても、本章の当初に設定した論理的命題-個々の技術の発展変化による栽培技術体系の内容変化、 それにともなう他の技術要素に与える連鎖的変化-の妥当性を一応確認できるのである。
※野島数馬 「水田の中耕に関する研究」の総括及び結論(『関東東山農業試験場研究報告』第17号、109~111頁)
総括及び結論・水田の中耕に関する研究(野島数馬)
総括及び結論・水田の中耕に関する研究(野島数馬)2総括及び結論・水田の中耕に関する研究(野島数馬)3

中耕効果説の否定と中耕除草機離れ 7月21日

『昭和農業技術発達史第2巻水田作編』(農山漁村文化協会、1993年)199頁~202頁
 第5章水稲雑草防除技術
  第2節除草剤利用による水田除草労働からの解放
    3.中耕効果説の否定と中耕除草機離れ
 2,4-Dが普及され始めると、水稲作の除草法について農家から1つの問題が提起された。それは、この当時、中耕除草には除草の他に水稲と土壌に土壌かく拌好影響を与えるという中耕効果説が広く農家に浸透していたため、除草剤で除草ができる場合にもなお中耕をする必要があるのではないかという問題であった。この考え方は古く江戸時代の農書に現れ、明治年代以降の農学者・栽培技術者の検討を経て広まり、さらに昭和年代に入って土壌肥料の面でも検討されて理論的な説明もなされるようになった。
 そこで農林省関東東山農業試験場(当時)の野島数馬は、昭和26年(1951)から、中耕効果説に含まれている脱窒防止、土壌肥料面での土壌かく拌効果、地温上昇効果、土壌中への酸素の供給、根への影響について詳細な解明を進めた。また、明治年代以降に国公立の農業試験場で行われた中耕に関する多数の試験結果を検討した。野島は昭和35年(1960)にその研究成果を公表し、中耕は脱窒防止、雑草の発生防止、除草の3効果が主体で、それ以外の生育促進効果は認められないとし、端的には中耕には除草以外の効果のないことを明確に示した。この論文の中で、従来の試験結果では全体として中耕効果説は認められない(図略)のに反して、発表されたものは中耕効果説支持のものが多かったことが明らかにされ、既製概念の打破のむずかしさが示唆された。
 ところで、水田中耕除草機は昭和30年(1955)前後に2つの面で進歩した。1つは、小型トラクターで除草機をけん引するか、小型トラクターに除草用駆動車輪を装着する動力型中耕除草機の開発であり、他の1つは、株間除草器という土壌かく拌の深さが浅く、水稲の株際までかく拌できる人力除草機の考案であった。前者は主に3条型、後者は1条型であった。しかし、前記のように除草剤の開発と利用が進むと、水田雑草の防除は次第に除草剤の利用に負うところが大きくなった。
 除草法の変化を表5-3でみると、2,4-Dなどの茎葉処理材の他にPCP粒剤の普及もかなり進んだ昭和37年(1962)には除草剤は79%の水田で利用され、機械除草は71%の水田で行なわれていた。その3年後(1965)には除草剤利用は77%、機械除草は51%の水田で行なわれており、機械除草の比率が低下してきた。以上2回の調査結果は手取除草・中耕除草・除草剤のうちのいずれを利用したかを示したもので、具体的な組合わせ方は省略してあるが、昭和43年(1968)の調査結果は雑草防除手段の具体的な組合わせ方まで示したものである。昭和43年は茎葉兼土壌処理剤が普及し始める直前に当たるが、除草剤処理の回数別にみると、利用しないもの3%、1回25%、2回63%、3回9%であり、すでに3回処理の除草法まで出現していた。一方、機械除草は51%で3年前の調査と変わりがなかった。
 ここで注目すべき点は手取除草の有無であり、手取除草は3回の調査で年次順に41%、71%、92%の水田で行なわれており、むしろ年々比率が高まった。この主要因は多年生雑草の増加であったとみてよい。このころの多年生雑草はミズガヤツリ、ウリカワが主体であったが、これらがひとたび増加してしまうと中耕除草もあまり効果がなく、その結果再び手取除草が広く行なわれるようになったのであろう。以上のような以上のような事情のもとで、その後中耕除草の実施は急速に少なくなり、通商産業省の中耕除草機の生産台数の調査も昭和47年(1972)で中止された(図5-5)。
表5-3 除草剤の普及と除草法の変化(同上書200頁)
除草剤の普及と除草法の変化

表5-5 水田中耕除草機の生産台数(同上書201頁)
水田中耕除草機の生産台数

水田中耕除草機の進歩 7月21日

『昭和農業技術発達史第2巻水田作編』(農山漁村文化協会、1993年)193頁~194頁
第5章水稲雑草防除技術
 第1節防除剤利用以前の防除方法の進歩
   1.水田中耕除草機の進歩
 水稲栽培では湛水、移植による生育促進という2要因によって雑草の発生生育が抑制されるが、雑草を放任しておけば20~40%の減収となる。水稲直播栽培ではさらに著しい減収となる。
 水稲作の除草は古くは1~3番除草の手取りとヒエ抜きとによるのが一般的であったが、江戸時代には雁爪などが用いられるようになった。しかし雁爪による除草も手取りと同様に四つんばいの姿勢で1回に10a当たり2人もかかる重労働であり、夏の間煮え田で除草を続けた農民は文字通り“農業とは雑草との闘い”であることを実感した。
 明治年代に入って八反取・田打車・豊年車などが考案され、立ち姿で除草ができるようになった。田打車は明治25年(1892)に島根県の老農、中井太一郎によって考案され、特許登録がなされた。これは太一車ともいわれ、正条植えの励行と歩調を合わせて普及し、改良が加えられて、大正年代に1条用と2条用の人力回転中耕除草機の完成をみるに至った。
 下って大正9~12年(1920~23)に畜力水田中耕除草機が岡山県立農事試験場の塩見邦治技師によって考案、試作され、大正13年(1924)から全国の府県農事試験場で実用性が検討され、徐々に実用に移された。これは国公立試験研究機関における水稲作除草技術研究の最初の実用的な成果であったといえる。畜力水田中耕除草機の主体は広幅の等幅3条型であったが、水稲の技術密度を高めるために牛馬を通す条間だけを36~39㎝の広幅にし、それ以外の条間を27㎝程度にする中広3条型や中広5条型のものもあった。しかし畜力水田中耕除草機の利用は狭い条間に牛馬を通すことなど技術的にむずかしい点もあって、主として人力回転中耕除草機が使われた。中耕除草機を主体とした除草方法としては中耕1~2回、手取り1~2回、ヒエ抜き1回が一般的であった。
 以上のような水稲機械除草方法の進歩にともなって、10a当たりの除草労力は雁爪時代の7~8人から3~4人に削減された(表5-1)。
表5-1 機械除草方法の進歩(同上書195頁)
機械除草方法の進歩

水稲作における除草法の進歩と除草労力の推移
水稲作における除草法の進歩と除草労力の推移(近藤康男)

岡田斗司夫『評価経済社会』 6月10日

岡田斗司夫『評価経済社会 ぼくらは世界の変わり目に立ち会っている』(ダイヤモンド社、2011年)は、『ぼくたちの洗脳社会』の増補改訂版です。「“お金”の時代から“評価”の時代へ。例えば、twitterのフォロワーをお金で買うことはできません。」「大変化の時代を幸せにいきるためにぼくたちのできることはなんだろうか?」「混迷の時代の羅針盤!」(同書帯より)

『評価経済社会 ぼくらは世界の変わり目に立ち会っている』目次
第1章貨幣経済社会の終焉
100年前の未来/50年前の未来/西暦2001年のオフィス/技術の進歩は社会常識を変える/「科学は死んだ」/トフラーの予言/ 堺屋の反論/経済的視点の限界/パラダイムシフト/若者の価値観を見る/ネット内のオカルト/チープ革命/私たちの内なるオカルト/最も大事なもの「今の自分の気持ち」/もう「豊かになることによる幸福」が信じられない/正しい未来/科学主義者/再び「科学は死んだ」/価値観変化の中心/何が科学を殺したのか?/マスメディアの親殺し/理系離れの「エコロジー問題」/社会自身の「理系離れ」/では経済は死んでいないのか?/経済が輝いていた時代/「評価経済社会」

第2章パラダイムシフトの時代
消えた古代都市/パラダイムシフトの時代/人間のやさしい情知/農業以前の精神文明/農業革命と社会変化/封建社会の価値観/引き返せない楔/古代科学帝国の限界/「モノ不足・時間余り」の中世/高度抽象文明/産業革命前夜の風景/「科学」はキリスト教から生まれた/中世社会の崩壊/ 民主主義・経済主義を生む「科学」/近代のパラダイム/近代人の生き甲斐/「国民教育」の正体/近代人の苦悩/ネット中世/人類の「悩み相談所」/新しいパラダイム/「モノ不足・ネットによる情報余り」の時代/唯一無二の自分/求められる「生涯教育産業」

第3章評価経済社会とは何か?
溶けていく極地の氷山/「影響」とは何か?/メディアの影響力/「高度情報化社会」の正体/ポスト軍事力としての「影響力」と「評価」/メディアの本質/「報道主義」というイデオロギー/兵器としての映画/「評価経済社会」/貨幣から評価へのバトンタッチ/「洗脳装置」から「影響/評価装置」へ/市民に開放された「影響」/【実例1】ネットの世界/【実例2】コミックマーケット/評価経済社会の勝者/ 評価資本に基づく「影響力」のある企業/評価経済社会に適応した会社モデル「FREEex(フリックス)」/未来企業を左右する「評価資本」/評価資本に恵まれたSONYとApple、その明暗/評価資本の投資と回収/評価経済社会での消費行動/望まれる企業像/評価経済社会での政治/有名人であるデメリット/「政治の意味」の減少/「国家権力」の変容/分断される日本

第4章幸福の新しいかたち
評価経済社会のキーワード/人を「中身で判断する」とは/価値観で判断される個人/価値観共有グループ/二次文化集団/価値観並立の訓練/非就職型社会/TPOで使い分ける価値観/「近代的自我」の呪縛と限界/情報化会で求められる才能/近代的自我から「キャラ」へ/評価経済社会での「自分」/「自分の気持ち」至上主義/評価経済社会で求められる「商品」/評価経済社会を生きる人たち/「結婚」の解体/「家族」の解体

第5章新世界への勇気
今、起きつつある「変化」/失楽園/新世界への勇気

新版への付録
クラウドアイデンティティ問題

おわりに


岡田斗司夫『ぼくたちの洗脳社会』 6月9日

岡田斗司夫さんの『ぼくたちの洗脳社会』(朝日文庫お42-1)『「世界征服」は可能か?』(ちくまプリマー新書061)、『カリスマ論』(ベスト新書491)、『フロン』(海拓社)を読みました。

『ぼくたちの洗脳社会』は1995年に単行本が発行され、98年に朝日文庫に収録されました。岡田さんのデビュー作です。

朝日文庫版『ぼくたちの洗脳社会』目次
◆本書の読み方◆

第1章★パラダイム・シフトの時代
百年前の未来/ 西暦二〇〇一年のオフィス/技術の進歩は社会常識を変える/「科学は死んだ」/トフラーの予言/堺屋の反論/経済的視点の限界/パラダイム・シフト/若者の価値観を見る/オカルト/コンピューターネットの中のオカルティスト/隠れたベストセラー「トンデモ本」/我々の内なるオカルト/最も大事なもの「今の自分の気持ち」/もう「豊かになることによる幸福」が信じられない/正しい未来/科学主義者/再び「科学は死んだ」/価値観変化の中心/何が科学を殺したのか?/マスメディアの親殺し/理系離れの「エコロジー問題」/社会自身の「理系離れ」/では経済は死んでないのか?/経済が輝いていた時代/「洗脳社会」

第2章★マルチメディア中世
消えた古代都市/パラダイム・シフトの時代/人間のやさしい情知/農業以前の精神文明/農業革命と社会変化/封建社会の価値観/引き返せない楔/古代科学帝国の限界/「モノ不足・時間余り」の中世/高度抽象文明/産業革命前夜の風景/「科学」はキリスト教から生まれた/中世社会の崩壊/民主主義・経済主義を生む「科学」/近代のパラダイム/近代人の生き甲斐/「国民教育」の正体/近代人の苦悩/マルチメディア中世/人類の「悩み相談所」/新しいパラダイム/「モノ不足・情報余り」の時代/唯一無二の自分
/求められる「生涯教育産業」

第3章★洗脳社会とは何か
油まみれの海鳥/「洗脳」とは何か?/マスメディアの洗脳/「高度情報社会」の正体/ポスト軍事力としての洗脳/メディアの本質/「報道主義」というイデオロギー/兵器としての映画/「自由洗脳競争社会」/経済から洗脳へのバトンタッチ/独占されていた「洗脳装置」/市民に開放された「洗脳」/【実例1】パソコン通信の世界/【実例2】コミックマーケット/洗脳社会の勝者/「洗脳力」のある企業/架空企業「SDL」/未来企業を左右する「イメージキャピタル」/イメージキャピタルに恵まれたSONY、Apple/イメージキャピタルの投資と回収/洗脳社会での消費行動/望まれる企業像/洗脳社会での政治/有名人であるデメリット/「政治の意味」の減少/「国家権力」の変容/分断される日本/洗脳国境

第4章★価値観を選択する社会
洗脳社会のキーワード/人を「中身で判断する」とは/価値観で判断される個人/価値観共有グループ/ネチケット/二次文化集団/価値観並立の訓練/非就職型社会/TPOで使い分ける価値観/分割される個人/洗脳社会での「自分」/狂っている「パパラギ」/「近代的自我」という呪縛からの解放/「自分の気持ち」至上主義/求められる「洗脳商品」/洗脳消費者たち/「結婚」の解体/「家族」の解体/自由の代償

第5章★新世界への勇気
今、起きつつある「変化」/失楽園/新世界への勇気

あとがき

特別企画★解説3連発
小林よしのり/太田光(爆笑問題)/角田暢夫

保科五無斎碑 4月23日

4月16日、カタクリの花を見に立ち寄った長野県北佐久郡立科町山部の津金寺[つがねじ]に建てられていた明治時代の教育者・鉱物学者、保科百助(ほしなひゃくすけ)(1868ー1911)の顕彰碑です。石碑の人物・保科百助については、「百助少年」(立科町HP 2016年3月30日)。
P4160089

「五無斎」については、鉱物採集に出かけた先でわらじが切れてしまい、そばの茶店で買おうとしたところ手持ちが僅かに足りず、店の主人が値をまけてくれないことから「お足なし 草鞋なしには 歩けなし おまけなしとは お情けもなし」と狂歌を詠んだことから、あるいは『海国兵談』の著者林子平(1738ー1793)は「親も無し妻無し子無し板木無し金も無けれど死にたくも無し」から六無斎と号しましたが、それにならったともいわれています。
P4160090
石碑に刻まれている「我死なば 佐久の山部へ 送るべし 焼いてなりとも 生でなりとも」、「ゆっくりと 娑婆に暮らして さておいて わしは一足 ちょっとお先へ」が気になってどういう人物だったのか調べました。泊まるところがなくて友だちのところに出したという「○○ ○○○○○○○○○○に○」は「こまるこまる とまるにこまる」と読むそうですが、寄行・奇言の類はさておき「立科教育の精神的原点」として世のため人のために自分の一生をささげた保科百助をたたえる立科町教育相談員・岩上起美男さんの文章が立科町のHPに多数掲載されています。「信州教育」という言葉がありますが、長野県が教育県と言われる所以を感じました。
 ●広報たてしな2013年7月「「立科教育」への期待」20頁21頁
 ●広報たてしな2013年8月「五無斎・保科百助先生の「無垢なる教育的情熱」と「立科教育」」10頁11頁
 ●広報たてしな 2013年9月「五無斎・保科百助先生の凄さと魅力」12頁13頁
 ●広報たてしな 2015年6月「五無斎・保科百助先生を偲ぶ~奇行奇言の背後に横たわる実像~」12頁13頁
 ●広報たてしな 2016年6月「怖い人、五無斎先生を偲ぶ」16頁17頁 
 ●広報たてしな2017年5月「北佐久郡川西が輩出した俊傑二人~教育一途の人・五無斎と現代書道の父・天来~」12頁13頁
 ●広報たてしな2017年6月「北佐久郡川西が輩出した俊傑二人~教育一途の人・五無斎と現代書道の父・天来~」16頁17頁
 ●広報たてしな2017年7月「北佐久郡川西が輩出した俊傑二人~教育一途の人・五無斎と現代書道の父・天来~」18頁19頁
 ●広報たてしな2017年8月「北佐久郡川西が輩出した俊傑二人~教育一途の人・五無斎と現代書道の父・天来~」16頁17頁
 ●広報たてしな2018年6月「五無斎先生を想う~悟らんとして悟りきれない煩悩の世界に生きた鬼才~」12頁13頁

川合伸幸『凶暴老人』 2月14日

川合伸幸さん(比較認知科学専攻)の『凶暴老人 認知科学が解明する「老い」の正体』(小学館新書316、2018年10月)を読みました。「なぜ高齢者ばかりがキレるのか? あなたも他人事ではいられない!」「世界に類を見ない日本人固有の特徴を解き明かす」「・暴行・傷害事件は平成8年の20倍に激増 ・衝動的な行動を止められないのはなぜか ・なぜブレーキとアクセルを踏み間違えるのか ・有酸素運動とビデオゲームが機能回復に役立つ これだけ知っておけば老後は大丈夫!」(帯から)

川合伸幸『凶暴老人』目次(第1~4章は章タイトルのみ)
はじめに
第1章 キレる高齢者は本当に増えているのか
第2章 前頭葉の「機能低下」が感情のブレーキを壊す
第3章 怒りと前頭葉の深い関係
第4章 認知能力は鍛えられる
第5章 冷たい視線に晒される高齢者の社会的存在
・高齢者の「暴力」に耐えかねる日本の高齢者介護施設職員
・「よそ者」には共感しにくい
・高齢者は外集団か?
・日本の大学生は高齢者をどうみているか
・犠牲にしても良いと考える年齢は70歳と95歳では差がない
・ヒトを人とみなさない風潮が広がっている
・日本での非人間化
第6章 「孤立」が高齢者を追いつめる
・8割の高齢者が就労意欲を強く持つ
・高齢者の就業は経済的な理由でない場合が多い
・誰かとかかわることで生きがいが生まれる
・高齢男性は周囲に付き合いのない人が多い
・高齢者のおかれた状況の国際比較
・新たな仲間を求める高齢者
・再犯をした高齢者の半数以上はおひとりさま
・社会とのつながりが強いほど健康
・仲間はずれにされると怒りを感じる
・温かい家庭で育つと高齢期に強固な人間関係を形成する
・「まぁいいか」が幸せの秘訣
・腹を立てる高齢者を許さない社会
・豊島区の「姥捨山」政策
・共生社会を推進せよ
・流行した「紐帯」はどこへいった?
・高齢者との共生へ向けて
おわりに

東洋経済20160319表紙

【第1特集】この現実に社会は耐えられるか キレる老人
第1章 暴走する老人に大迷惑
(社会) 公共の場でもお構いなし 自分勝手なシニアの醜態
(分析) 激変する脳と心 高齢者の“暴走”は必然だ
第2章 子を悩ます困った親たち
(車) 「自分は大丈夫」が危険 過信が生む高齢運転の悲劇
課題にどう向き合うか 若年層でなり手がいない 職業ドライバーの高齢化
(色恋) 財産トラブルの火種 争族を生む老いらくの恋
(金銭) カモにされる理由がある 高齢者の銀行信仰は危険
(健康) 暴言、自己中は酒のせいかも アルコール依存症に要注意
課題にどう向き合うか 認知症患者の鉄道事故「家族に責任なし」でも残る課題
課題にどう向き合うか 一時金は最高300万円“認知症保険”は損か得か
第3章 激化する世代間バトル
(職場) 「生涯現役」の落とし穴 会社を蝕むシニア社員
(企業) ホンダ、すかいらーくが導入 動き出した定年延長の実情
名経営者も“迷経営者”に 居座り続ける老害経営者
INTERVIEW│「死ぬまで現役」宣言で老害化しませんか? 似鳥昭雄●ニトリホールディングス会長
(制度) 今もメディアをにぎわす 年金の世代間格差は本当か?
INTERVIEW│「経産省の介入派こそ老害だ!」 古賀茂明●元経済産業省官僚
(政治) なぜ若者の声は反映されない? シルバー民主主義の幻想
高齢議員がメロメロ 小泉進次郎の処世術

オイスカ「海岸林再生プロジェクト10ヵ年計画」報告会 1月26日

埼玉会館で開催された公益財団法人オイスカ主催の「海岸林再生プロジェクト10ヵ年計画」報告会に参加しました。
日本の森林の現状と森林生態系を活用した防災・減災
~東日本大震災復興支援 海岸林再生プロジェクト報告会 in さいたま~
オイスカ20190126

さいたま市長清水勇人さんの挨拶、太田猛彦さん「日本の森林の現状と森林生態系を活用した防災・減災」、小林省太さん「元新聞記者の目から見た東日本大震災復興支援 海岸林再生プロジェクト」の講演がありました。


  (林野庁全5回、2011.05.21~2012.01.25)

※東日本大震災に係る海岸防災林の再生に関する検討会

※太田猛彦さんのホームページ『もっと豊かな森・役に立つ森を創ろう!

   (安井至さんのHP『市民のための環境学ガイド』2015.11.22記事)

『やさい畑』の「肥料・堆肥」特集号から 1月15日

JAグループ家の光協会発行『やさい畑』は毎年秋号で肥料特集をしています。この3年間では、「2016年秋号特集 すごい肥料&堆肥」、「2017年秋号特集 めざせ!肥料の達人」、「2018年秋号特集 理想の堆肥」がありました。
岩殿満喫クラブ&市民の森保全クラブでは、市民の森の作業エリアに堆肥箱を設置してコナラ落ち葉の堆肥づくりを行い、できあがった堆肥を耕作放棄地を再生した畑に入れて、サツマイモを栽培し、収穫したサツマイモを落ち葉掃きイベントで焼き芋にして参加者に提供するという活動を行っています。
また大東大須田ゼミの畑でも落ち葉堆肥を利用した「岩殿ドングリかぼちゃ」(白皮栗かぼちゃ・坊っちゃんカボチャ等)の栽培を試行中です。17年度にはイベント参加者に1個づつ配ることができました。これ以外にも岩殿の落ち葉堆肥を使って栽培した野菜が提供できないか検討しています。

肥料と堆肥の新常識 野菜はアミノ酸を吸収できる(『やさい畑』2016秋号、14~15頁)
  肥料の常識を変えるアミノ酸
  エネルギーロス少なく野菜が生長できる
  悪天候や病害虫に負けない野菜になる
  おいしく、栄養価の高い野菜になる
  アミノ酸で多收、高品質が実現

肥料と堆肥の大誤解(『やさい畑』2016秋号、16~21頁)
 その1 堆肥は完熟堆肥がいい?
  未熟な堆肥はもちろん論外
  完熟堆肥では土壌病害虫を抑えきれない
  完熟の一歩手前が理想の堆肥
 その2 有機質肥料は化学肥料より効きが遅い?
  発酵済みなら化学肥料同様、早く効く
  味だけでなく、収量や品質も向上させる
  有機質肥料ならではの効用も
有機物を発酵させると、さまざまな整理活性物質(生体の生理活動に何らかの作用をする物質)ができます。発酵に関わる微生物の種類によっては、ビタミンやホルモンなどの増殖や植物の生長を促す物質や、土壌病原菌などを抑制する抗菌物質(抗生物質)をつくります。これらの機能性物質は、微生物が関わってはじめてつくられるもので、化学肥料を用いた栽培では得られません。
 その3 ボカシ肥だけ施しておけばよい?
  ボカシ肥のみでは4~5年で頭打ちに
  頭打ちの主原因は苦土(マグネシウム)不足
  不足のミネラルは補給が必要
   石灰も肥料だと認識しよう
    苦土石灰・カキ殻石灰・貝化石

肥料と堆肥が生まれ変わる万能納豆液
場所も時間もとらない土中堆肥速熟法
市販の有機質肥料をパワーアップ アミノ酸肥料簡単製造法
極上の液肥「カル酢」をつくる(以上『やさい畑』2016秋号、21~29頁)

まとめ 中熟堆肥を用い、ミネラルとアミノ酸を適切に施す(『やさい畑』2016秋号、30~31頁)
 有機栽培に用いる3つの資材とその働き
  中熟堆肥、アミノ酸、ミネラル
 経験や勘に頼らず科学的な施肥設計を

種類別肥料ガイド(『やさい畑』2017秋号、13~30頁)
 じっくりと長く効く有機質肥料・油粕(元肥に)
 分解が早く微量要素も多い・魚かす(元肥、追肥に)
 効き目が早く追肥にも使える・発酵鶏ふん(元肥、追肥に)
 長期間じわじわと効くリン酸肥料・骨粉(元肥に)
 すぐに効くカリ肥料・草木灰(元肥、追肥に)
 緩やかに長く効く・IB入り化成(元肥、追肥に)
 時間差で効く・被覆肥料入配合肥料(元肥、追肥に)
 速効性と緩効性を併せ持つ・有機配合肥料(元肥、追肥に)
 すぐに効く窒素肥料・硫安(硫酸アンモニウム)(元肥、追肥に)
 即効性のリン酸肥料・過リン酸石灰(過石)(元肥に)
 イモ類に向く即効性のカリ肥料・硫酸カリ(硫加)(元肥、追肥に)
 超速効で簡単に施せる・液体肥料(追肥に)
 じつは「肥料」ではない活力剤
  窒素、リン酸、カリなどの肥料成分を一定以上含むものだけが、肥料として販売できる
  肥料を食事だとしたら、活力剤はサプリメント
 簡単につくれて野菜がすぐ吸収できる・ボカシ肥
 植物を畑で育てて土に還す・緑肥

堆肥づくりのための落ち葉図鑑(『やさい畑』2017秋号、54~58頁)
 半年程度で堆肥になるもの
  モモ、ウメ、ケヤキ、ナンキンハゼ、アジサイ、ハナミズキ、クリ、ブドウ、カエデの仲間
 半年から1年で堆肥にできるもの
  イチョウ、キンモクセイ、ビワ、ツバキ、サクラ、カキ、シイの仲間、クスノキ
 堆肥化に1年以上かかるもの
  カラマツ、スギ、タケ・ササ類、マツ  
マツ 分解速度:かなり遅い(1~2年)
油脂を多く含み葉の組織も堅いので、単独で堆肥にするには時間がかかる。和歌山県美浜町では、松葉に石灰窒素入の籾殻を加えて堆肥化し、キュウリやトマト、イチゴに使用して「松」を関したブランド名で特産化を図っている。ほかにも生ごみや窒素分を多く含む副資材を使用して発酵を促すようにすると、早く堆肥になりやすい。
松葉をマルチに使用すると雑草抑制効果があるとされる。また、畑の水はけと通気の改善のために溝を掘るさいは、排水溝に松葉を入れておくと、何年も効果を保つことができる。
庭先でもできる 省スペース落ち葉堆肥のつくり方(『やさい畑』2017秋号、59頁)
 腐植しない樹脂製のもので、ホームセンターで入手できる、籾殻を入れるメッシュの袋を使う
 堆肥づくりのカギは水と空気にあり
  落ち葉100ℓに、米ぬか5ℓ、水は材料の50~60%
  (ぬらした落ち葉1つかみをぎゅっと握って、指の間からわずかに水分がしみ出してくる程度)
  袋の上下を返して中身をときどき動かすほかは、たいへんな作業はない

堆肥が畑を健康にする 堆肥の7大効能(『やさい畑』2018秋号、14~15頁)
①補肥力の向上、②団粒構造の形成、③中量(マグネシウム、カルシウム、硫黄)、微量(鉄、マンガン、ホウ素、亜鉛など)要素の供給、④リンの有効化、⑤地温上昇効果、⑥土壌微生物の健全化、⑦(微生物増殖による)肥料供給の増大

理想の堆肥の条件とは 炭素と窒素の黄金比は10~25(『やさい畑』2018秋号、16~17頁)
自然界を循環する物質、微生物と堆肥の役割、理想の炭素率(C/N比)は一汁三菜の食事と同じ
 土壌を豊かにし長く緩やかに効く落ち葉堆肥 炭素率38、肥料成分N0.4・P0.2・K0.4
 土壌改良と有機への転換には必須バーク堆肥 炭素率55、肥料成分N0.6・P0.3・K0.8
 すぐ効く、よく効く鶏ふん堆肥 炭素率6、肥料成分N3.8・P2.7・K2.5
 効果がたちまち実感できる豚ぷん堆肥 炭素率16、肥料成分N1.9・P1.3・K1.9
 繊維質に富み土壌改良に最適馬ふん堆肥 炭素率15、肥料成分N1.8・P1.2・K1.7
 バランスのよさが持ち味牛ふん堆肥 炭素率24、肥料成分N1.0・P0.8・K1.7

堆肥の効果を高める有機資材(『やさい畑』2018秋号、18~22頁)
 植物由来の資材
 ・米ぬか 炭素率25、肥料成分N2.2・P3.2・K1.6
 ・木質チップ 炭素率700、肥料成分N0.05・P0.03・K0.26
 ・籾殻くん炭 炭素率184、肥料成分N0.22・P0.08・K0.02
 ・菜種油粕 炭素率8、肥料成分N5.1・P1.8・K1.4
 ・大豆かす 炭素率7、肥料成分N6.1・P0.7・K2.4
 動物由来の資材
 ・魚かす 炭素率4、肥料成分N7.7・P5.4・K1.2
 ・カキ殻石灰 炭素率3、肥料成分N0.17・P0.19・K0.08
 ・骨粉 炭素率5、肥料成分N4.1・P7.6・K0.4
 堆肥になる雑草
 ・カラスノエンドウ 炭素率18、肥料成分N2.5・P0.2・K2.1
 ・クズ 炭素率27、肥料成分N1.8・P0.2・K2.2
 ・ヨモギ 炭素率23、肥料成分N2.0・P0.3・K1.5
 ・スギナ 炭素率8、肥料成分N4.5・P0.2・K3.9
 ・ヤブカラシ 炭素率8、肥料成分N5.6・P0.2・K3.6
 ・アカツメグサ 炭素率27、肥料成分N1.9・P0.1・K2.0
 ・ススキ 炭素率32、肥料成分N1.5・P0.2・K0.7
ススキ 炭素、ケイ素が多く分解は遅いが、茎の長さとかたさを生かし、わらマルチのような使い方が向く。空気をよく含むので、保温効果大。ちなみに、生息域が近いセイタカアワダチソウは炭素率120で、肥料効果は乏しい。
詰めて埋めるだけ 土のう袋でつくる落ち葉堆肥(『やさい畑』2018秋号、30~32頁)
  狭い畑でつくれる 簡単!手間入らず
  土のう袋1枚で始められる
 ・仕込み編(11月~)
  ①落ち葉を集める
  ②油粕、米ぬかを加える
    水はたっぷりと加える
    米ぬかと油粕を混ぜていく
  ③2月まで地上に保管
    まとめて積んで発酵を進める
 ・熟成編
  ①土に埋める(3月)
  ②地中で熟成させる(4~翌2月)
  ③完成した堆肥を掘り上げる(翌3月)

都立園芸高校やさい畑実験部「肥料の種類で野菜の味が変わるか調べてみよう」(『やさい畑』2018秋号、67~71頁)
 実験方法:有機質肥料と化学肥料で小カブとホウレンソウを栽培して比較
 実験結果:有機質肥料のほうが大きく育った
 生食は化学肥料、加熱は有機質肥料に軍配
・肥料の違いが食味や食感に影響する
・アミノ酸の多い有機質肥料では、セルロースがしっかりつくられ、かたくかんじられる
・有機質肥料にはさまざまな成分が含まれている
・生の小カブで化学肥料のほうがおいしいと感じられたのは、雑味やアクとなる物質がすくなかったからかもしれない
・ホウレンソウは生ではあまり差がなかったが、ゆでると断然、有機質肥料の方がおいしくなった
・ゆでてアクが抜けると、糖やアミノ酸が際だって、有機質肥料のほうがおいしいと感じられた

「持続性ある実践的多自然川づくりに向けて」提言(2017) 1月12日

12月8日に見学したエコプロ2018国土交通省国土技術政策総合研究所(NILIM)のブースで入手した『国総研レポート2018』に河川研究部長・天野邦彦さんの「河川環境の整備と保全のこれから」が掲載されていて、1997年に河川法が改正されて20年が過ぎ、2017年6月に河川法改正20年 多自然川づくり推進委員会提言持続性ある実践的多自然川づくりに向けてがとりまとめられたことを知り,、『提言』を国交省HPからダウンロードして読んでみました。

天野邦彦「河川環境の整備と保全のこれから」
1.はじめに
河川法の改正で「河川環境の整備と保全」が追加される(1997年)。
河川法改正20年 多自然川づくり推進委員会の提言「持続性ある実践的多自然川づくりに向けて」がとりまとめられる(2017年6月)。

2.多自然川づくり
・1990年、多自然型川づくりが始まる
・2006年、「多自然川づくり基本指針」通知
「多自然川づくり」は、「河川全体の自然の営みを視野に入れ、地域の暮らしや歴史・文化との調和にも配慮し、河川が本来有している生物の生息・生育・繁殖環境及び多様な河川景観を保全・創出するために、河川管理を行うこと」と定義。
・今回の「提言」では、多自然川づくりの5課題と対応方針を提示
 ①河川環境の目標設定
 ②具体的技術と調査から維持管理までの取り組み過程
 ③人材育成と普及啓発
 ④持続可能な多自然川づくり
 ⑤日本の河川環境の将来像の想定
提言に示された課題への対応方針は、多自然川づくりを進める上での、具体的な手法を提示するというよりは、大きな方向性を示す形をとっている。このような形をとっていることが、多自然川づくり、ひいては河川環境の整備と保全を考える上での難しさを示している。

3.河川環境の整備と保全のこれから
(1)河川環境は流域の空間スケールと長期の時間スケールでも見る
河川環境の整備・保全を検討する際には、河川のみでなく周辺環境も含めて適切な時空間スケールで状況を評価し、河川環境変化の駆動力をしっかりと見極めた上で整備・保全の実施へとつなげる必要がある。
(2)多元的な河川環境評価に向けたデータ利用
河川環境の評価を試みる場合、比較的指標化しやすい物理的環境要素だけでも、河道形状、流況、水質、流砂のように多元的で、これらの組み合わせは無数にある。さらに、生物的環境要素(動植物相、生態系)は、指標化できたとしても定量化が困難な場合が多い。これらのことから、河川環境に関しては、目標設定どころか、評価自体が容易なことではない。このため、河川環境の評価手法の向上が強く望まれる。……
(3)治水事業こそ河川環境整備の機会
河道形状、流況、水質、流砂といった河川環境を規定する物理的環境要素は、治水のための河川整備や管理においてもその設定が重要となる要素である。治水上安全な川にするための河道改修や治水施設の整備は、物理的環境要素の改変を伴うことが多いため、河川環境の整備や保全と対立するものと捉えられがちである。しかし、改修後の河道状況が、環境面においても好ましいもので、なおかつ維持管理労力が少なくてすめば、最適な環境整備になる。……河川の周辺環境も含めて、治水のための河川整備は、環境整備につなげることが可能である。

4.おわりに
治水安全度の向上のために今後も河川改修が進められるが、その際には河川ごとに、中長期的な視点から、河川環境整備・保全に資するとともに維持管理が容易な改修方法を順応的に確立していくことで、「多自然川づくり基本方針」が目指す河川管理が可能となるだろう。

国土交通省では、2016年12月に委員会(学識委員:山岸哲(委員長)、池内幸司、高村典子、谷田一三、辻本哲郎、中村太士、百武ひろ子)を設置し、生物の生息・生育・繁殖環境と多様な河川景観の保全・創出を行う「多自然川づくり」のこれまでの成果等をレビューし、今後の方向性について5回の委員会で検討し、17年6月「提言」がとりまとめられた。今後はこの提言を踏まえ、河川環境の整備と保全のため「持続性ある実践的な多自然川づくり」を推進する。

提言は、大きく2つの視点からとりまとめられている。
○「実践・現場視点」常に現場視点で考え、河川環境の整備と保全を現場で徹底し、順応的に挑戦し続けるべきであること
○「持続性・将来性」日常的な河川管理の中で様々な工夫を凝らして河川環境の整備と保全を徹底し、地域社会との関わりを深めていくこと

この2つの視点をもとに、以下の7項目について対応方針が示された。①目標の設定、②技術の向上・一連の取り組み過程の徹底、③人材の育成・普及啓発、④日常的な環境への取り組みの徹底、⑤持続可能な川づくりのための地域連携の強化、⑥変化を踏まえた将来の河川像の検討、⑦国際社会への貢献。

2006年の多自然川づくり基本指針により、多自然川づくりは普遍的な川づくりであるとして全国に展開され、様々な取り組みがこの10年で拡大してきたが、その一方で、整理すべき課題も多く存在
実践・現場視点:いかに現場で多自然川づくりを進め、定着させていくのかを、常に「現場視点」で考え、河川環境の整備と保全が現場で徹底されるようにすることが重要。あわせて、自然環境には不確実性があるため、得られた結果を貴重な知見・経験として次の取り組みに活かしていくことが重要であり、そのための課題解決に向けて順応的に挑戦し続けるべき。
「持続性ある実践的多自然川づくりに向けて」実践・現場視点

持続性・将来性:日常的な河川管理の中で、まずは自然の営力を活用した効率的な管理を第一に考え、これのみによることができない場合に、様々な工夫を凝らした河川環境の整備と保全を徹底していくことが重要。加えて、将来へ向けた持続性を高めるために、地域社会との関わりを深め、更には、気候変動などの河川の環境を取り巻く将来的な変化も見据えつつ、日本の原風景である美しい川を引き継いでいくための、川と人との持続的な関わりのあり方について検討を続けるべき。
「持続性ある実践的多自然川づくりに向けて」持続性・将来性

目次
1.はじめに

2.多自然川づくりの現状
 (1)前回提言への対応状況
 (2)河川環境のマクロ評価

3.多自然川づくりの課題
 (1)目標の設定
 (2)技術と取り組み過程
 (3)人材の育成・普及啓発
 (4)持続可能な多自然川づくり
 (5)日本の河川環境の将来像

4.対応方針
 (1)目標の設定
  ①環境目標設定の手法確立と実践展開
 各河川の河川環境の目標設定に向けて、まずは、河川生態系の観点について、「良好な状態にある生物の生育、生息、繁殖環境を保全するとともに、そのような状態に無い河川の環境についてはできる限り向上させる」という目標設定の考え方を基本として、河川の環境を評価する手法を具体化する。
  ②生態系ネットワーク形成の推進
 (2)技術の向上・一連の取り組み過程の徹底
  ①多自然川づくりの技術的なレベルアップ
  ②多自然川づくりの一連の取り組み過程の徹底
  ③多自然川づくりが河川生態系へもたらす変化の把握
  ④多様な分野の学識者等との連携推進
  ⑤技術等の開発
 (3)人材の育成・普及啓発
  ①人材の育成
  ②多自然川づくりアドバイザーの養成
  ③多自然川づくりの普及・啓発
 多自然川づくりが地域で広く認知され、地域の将来にとって大切な価値を生むものであると理解され、社会から求められるものとなることが重要である。そのために、多自然川づくりの基本的な考え方や治水・環境両面の役割と効果について、広く一般の市民に浸透させるためのわかりやすい説明を工夫し、発信する内容や対象などに応じ、現地における表示なども含め、様々な手段を用いて周知を図る。
 川をフィールドとして活動している市民団体等と連携し、市民が継続的に川に親しみを持ち、生き物と触れ合い、地域の歴史や文化を含めた川そのものや川の景観等について学び、理解した上で、市民目線で多自然川づくりに積極的に関わっていくための河川環境教育やその普及・啓発を推進する。
 また、次世代を担う子供たちが川により親しめるよう、河川環境教育の一環として、子供自らが川の自然を調査・研究し、その優れた成果を表彰するなど、子供のやる気を上手に引き出すための仕組みを構築する。
 (4)日常的な環境への取り組みの徹底
  ①河川管理における環境への適切な取り組みの着実な実施
  ②戦略的な多自然川づくり
 (5)持続可能な川づくりのための地域連携の強化
  ①地域社会が支える川づくり
  ②流域住民と一体となった生態系ネットワーク形成
 (6)変化を踏まえた将来の河川像の検討
  ①気候変動や人口減少などの河川を取り巻く状況の変化等の分析
  ②100年後を見据えた人と河川の持続的な関わりのあり方の検討

別紙 河川環境に関する施策等の変遷

全国メガソーラー問題中央集会(1月14日) 1月10日

2019年1月14日(月)13:00~(開場:12:00)、なかのZERO 大ホールで「国メガソーラー問題中央集会~自然と調和し、地域と共生する再生可能エネルギーを考えるが開かれます。
2018121610

太陽光発電の問題点について(2018.12.19)
日本の風土と暮らしについて
 日本は国土が狭く地形が急峻です。その上、梅雨、秋雨、台風などによって大量の雨が降ります。近年ではゲリラ的豪雨による災害が多発しています。昔から里山で暮らす人々は住み分けをしてきました。裏山の森林は、炭を焼いたり、落ち葉を集める場所でした。また、森は水を育む重要な場所だから、裏山を大切に守りながら暮らしてきたわけです。時代が変わり、森林は手入れされなくなりましたが、裏山が水を育む場所として重要なのは今も変わりません。そうした森を伐採し山を切り崩す環境破壊型ソーラー建設に対し、全国各地で反対運動が起こっています。

多くのメガソーラー建設に共通している問題点
・大規模な森林伐採により環境への影響が大きい。
・保水力の低下に伴い下流域では斜面崩壊、水害、土石流などの危険性が高まる。
・計画地の下では湧水や地下水を水道水源として利用している場合が多く影響が懸念される。また、計画地周辺から流れる水を利用して米作りを行っている人も多く、影響が心配される。
・発電した電気は近くでは使用されずに、大消費地に送電されることが多い。(送電ロスが大きい。地産地消とならない。)
・事業者は東京など大都市圏に本社のある企業が多く、ファンドの多くは海外を含め外部からの資本である。

■太陽光発電における制度的な問題点
 FIT制度の欠陥
いつまでも着工せずにパネルの価格が低下するのを待っている案件についても申請時の買取価格が維持されていた。(2017年4月から変更)
同一敷地内での計画を50kW未満に分割して申請することが認められていた。(2014年4月以降の申請から禁止)

全量買取制度の問題
ドイツ、スペイン、イギリスでは、買取対象となる事業の規模を細かく、頻繁に見直している。(5メガ、10メガを基準としてきた)
ドイツでは、森林を伐採した場合には、その6倍の面積に植林することを義務付けている。
イタリアでは、自家消費が多い事業者や公的団体に優遇した価格(5%増)を設定している。
日本のFIT制度は太陽光バブルを誘発し、全国各地でソーラー開発が環境問題となっている。

事業認定の問題
他人の土地に対して本人の許可も無く勝手に申請し設備認定が受けられる。
一度事業認定を受けた権利(ID番号)が転売されるケースも多い。
関係自治体は事業認定取得後でなければ情報が得られない。
FIT法は特別措置法でつくられているので最上位の法律となり地方公共団体の条例などで規制できない。

基本的な問題として
全発電量に占める太陽光発電の割合は5.7%(2017年)である。(ISEP推計)たった5.7%でこれだけ環境問題が発生することを考えると、日本では、これ以上太陽光発電を増やすことには無理があると考えざるを得ない。

 お金の流れ
高い買取固定価格は、一般消費者から徴収された再エネ賦課金によって賄われている。このお金は、地元地域の経済循環には寄与することなく、殆どが海外を含む地域外の事業者・投資家へと流出している。
標準家庭の一ヶ月の賦課金額(電力使用量が300kWh)
2016年→675円(2.25円/1kWh 買取費用2兆3000億円)
2017年→792円(2.64円/1kWh 買取費用2兆7045億円)
2018年→870円(2.90円/1kWh 買取費用3兆1000億円になると想定)
2030年→経産省は買取費用が当初の想定を1兆円ほど上回り4.7兆円に膨らむと試算している。
電力多消費事業者(鉄鋼業界など)に対しては再エネ賦課金の8割が減免されている。

 電気の流れ
地方から→都市へ
再生可能エネルギーは地域資源のはずである。
本来ならば自家消費(オフグリット化)を優先し、余剰分で地域の電力(コミュニティパワー)をまかなう形で電力の地域自給を目指すのが理想であるが、その方向には進んでいない。
逆に太陽光発電の普及が地方の自然環境を破壊する結果となっている。これは原発の仕組みと同じである。
再エネは送電ロス分にも賦課金が掛けられている(太陽光発電施設の出口に設置されたメーターにより電力量が計算されているため)この送電ロス分も消費者が負担しなければならない。
太陽光発電施設を環境影響評価の対象とする事に関する環境省への要請書(案)2019.01.15
はじめに
 FIT法(固定価格買取制度)によって全国各地でメガソーラー(1MW以上の出力を持つ太陽光
発電施設)の建設ラッシュが始まりました。FIT法が導入された当初は、再生可能エネルギーの普及により脱原発社会の実現が可能になると期待が高まりましたが、現状では、景観を乱すだけでなく、今までにない大規模な土地造成・森林伐採による環境悪化、水源への影響、災害誘発など、さまざまな問題が浮き彫りになり、危機感を持った人々が全国各地で反対の声をあげる住民運動を展開しています。
 法規制を整備する間も無く国策としてスタートし、推進されているソーラー事業ですが、このまま何も手立てを講じることもなく放置すれば、私たちの生命を守ってきた自然環境と平穏な暮らしが、ソーラー事業によって奪われる可能性があり、エネルギー施策が今後批判を浴びることになりかねません。自然と調和し、地域と共生する再生可能エネルギーの実現と持続可能な社会を構築するため以下の内容で要請書を提出します。
 記
 1. 太陽光発電施設を環境影響評価の対象とする際の規模要件について
 現在、太陽光発電施設を環境アセスの対象としている県は長野県(2016.1~、2017.9配慮書追加)、山形県(2017.10~配慮書を含む)、大分県(2018.1~配慮書を含む)の3県です。また、面開発の一種として太陽光発電施設もアセスの対象になり得る都道府県が29府県あります。さらにいくつかの県が太陽光発電施設を環境アセスの対象とするための検討を開始しています。太陽光発電施設を環境アセスの対象としている3つの県の規模要件は、長野県が第1種事業50ha以上、第2種事業20ha。(添付資料1)山形県が普通地域50ha以上、特別地域20ha以上。(添付資料2)大分県が、第1種、第2種共に20ha以上。(添付資料3)となっています。
 それに対し、現在環境省が検討を始めている「太陽光発電施設等に係る環境影響評価の基本的考え方に関する検討委員会」で示されている規模要件は、第1種事業100haです。(添付資料4
第1種事業に対する規模要件が100haでは、ほとんどの計画がアセスの対象から外れてしまい、現在全国各地で問題となっている環境破壊型太陽光発電の問題を解決することには繋がりません。
 よって、現在太陽光発電施設を環境アセスの対象としている、長野県、山形県、大分県と同じく、最低でも第1種事業については適用を50ha以上とし、第2種事業については、20ha以上を基本とし、たとえ事業規模が小さくても関係自治体の首長もしくは議会から要望がある計画に対しては全て環境影響評価の対象とすることを求めます。また、資源エネルギー庁の太陽光発電に関する事業計画ガイドライン(添付資料5)には、「事業計画作成の初期段階から地域住民と適切なコミュニケーションを図るとともに、地域住民に十分配慮して事業を実施するように努めること。 地域住民とのコミュニケーションを図るに当たり、配慮すべき地域住民の範囲や、 説明会の開催や戸別訪問など具体的なコミュニケーションの方法について、自治体と相談するように努めること。環境アセスメント手続の必要がない規模の発電設備の設置計画についても自治体と相談の上、事業の概要や環境・景観への影響等につ いて、地域住民への説明会を開催するなど、事業について理解を得られるように努めること。」と記載されています。 
 よって、小規模な太陽光発電施設に対しては、ガイドラインや自由アセスで対応するのではなく、第2種事業の判定(スクリーニング)において、関係自治体から説明会の対象として指定された行政自治区または自治会より要請がある場合には、事業規模に関係なく環境影響評価の対象となる制度にすることを求めます。
 なお、環境への影響は、開発面積の大きさに比例して増大するので、規模要件は出力(kW)ではなく、面積(ha)で規定することを求めます。

 2. 戦略的環境アセスメントの導入について
 戦略的環境アセスメントの導入については、戦略的環境アセスメント総合研究会において長年に渡り議論が行われ、その結果を踏まえ平成19年3月に戦略的環境アセスメント総合研究会報告書が提出されています。(添付資料6
 この報告書の前文の最後には次のように記載されています。「我々は、本ガイドラインに基づいて各計画に応じたシステムが早急に導入され、各計画に適切な環境配慮が組み込まれることにより、持続可能な社会の構築への新たな歩みが加速されることを期待するものである。」
 国に先がけて太陽光発電施設を環境アセスの対象とした長野県、山形県、大分県の3県は全て、この戦略的環境アセスメント総合研究会報告書が提示した戦略的環境アセスメントのガイドラインに沿って、配慮書の審査手続きが第1種事業と第2種事業の両方に導入されています。
 今回、太陽光発電施設等に係る環境影響評価の基本的考え方に関する検討委員会で検討されている環境影響評価においても、配慮書の手続きを第1種事業と第2種事業の両方に導入することを求めます。
 その上で対象の計画が以下の2つの条件に当てはまる場合には、配慮書の段階で事業の中止を促すことを求めます。
・計画地の近くに住宅地が存在し、ソーラーパネルの反射が住宅地に影響する場合。
・調整池を常時流水のある河道内に設置する場合。
理由としては、常時流水のある河道内に調整池を設置した場合には、水量の調節をして欲しくない計画地以外の集水域から流下する水についても水量調節が行われてしまうことなどがあります。
 開発調整池とは本来、開発により生ずる雨水排水増を適正量に緩和し、泥土を沈殿させて濁水などを河川を含む開発下流域に流しださないことを目的に設置されるものです。しかし、調整池を増水禍や汚濁を与えてはならない河道内に設定した場合には、調整池本来の機能を果たす事にはなりません。
 よって、河道内以外の場所に調整池を設置出来ない計画については、計画を中止するべきです。

 3. 環境影響評価法と条例の関係について
 環境影響評価法と地方公共団体が条例で定めた環境影響評価の手続きが重複した場合には、事業者の負担を軽減するため重複を避け、国が定める環境影響評価の方を優先し実施することになっています。(添付資料7)しかし、地方公共団体によっては、太陽光発電事業を国が定める環境影響評価法よりも厳格な規定によって環境影響評価の対象に加え審査している場合もあります。つまり、国が定める環境影響評価が選択されることによって、地方公共団体が条例で定めた環境影響評価を実施した場合に比べて環境への影響が増大してしまう可能性があります。
 よって、環境影響評価法と地方公共団体が条例で定めた環境影響評価の手続きが重複した場合には、その選択権を地方公共団体に委ねる必要があります。 

 4. 評価の手法について
 日本の環境影響評価の手続では、「評価」は事業者自らが行い、「評価」に対して住民や行政側が意見を述べることは出来ない仕組みとなっていますが、これは制度的な欠陥です。
 よって、準備書の審査で提出された意見を踏まえ事業者以外の第三者的機関が評価を行うように制度の改正を求めます。

 5. 事後調査の実施及び報告書の作成について
 事業開始後に行う「事後調査の実施」及び「報告書の作成」の手続きにおいては、太陽光発電パネルの廃棄について調査と報告を行うよう義務付けることを求めます。
 また、事業終了後には計画地から太陽光発電パネルが完全に撤去されることと、適正に廃棄されることを担保する仕組みが必要です。
 参考までに、平成30年11月1日開催の「第4回太陽光発電施設等に係る環境影響評価の基本的考え方に関する検討会」において、山田委員が次のように意見を述べています。

【山田委員】 7の廃棄物等のところです。
最近、産廃の処分業者さんとお話しすることがあって聞いたのですけれども、今、かなりの業者さんが太陽光パネルの受け入れはとめているそうです。その理由の一つが、これは製品によって違うらしいのですけれども、有害物質が入っているものがあり、それがどれかはわからないというのが一点で、もう一点は、これは基盤を外してしまえばそういうことはないのですが、つけたまま廃棄されると通電して火災の原因になるということです。 この2点で今は受け入れをとめているところが相当数あるということを聞きました。
それで、環境影響評価においても、この2点については予測なのか保全措置なのかどちらに記載しておいたほうがいいと思います。つまり、使っているパネルの含有物質情報、 それからもう一つは適正な処理の方法という2点についての環境配慮を記述しておいたほうが将来的によろしいかなと思います。あともう一点は、この間のヒアリングで、供用中に大体何枚ぐらい常に壊れますかと聞いても誰も答えられなかったのですが、やはり供用期間中にどれぐらい廃棄されるかという廃棄率みたいなものを、故障関数とかもあるので何とか見積もって示しておく必要があるのではないかなと思いました。私も具体的にどうやって見積もったらいいかはわからないですけれども、また評価のためにはある程度の経験が必要なのかもしれませんが、やはりそういうのも必要だと思います。以上です。(添付資料8

 上記5項目の要請を実現するため必要に応じて速やかに環境影響評価法の改正を行うことを求め
ます。 以上

 添付資料
1. 太陽光発電施設を環境影響評価の対象とする際の規模要件について
 添付資料5「事業計画策定ガイドライン (太陽光発電) 」(資源エネルギー庁)

2. 戦略的環境アセスメントの導入について

3. 環境影響評価法と条例の関係について
 添付資料7「環境アセスメントのあらまし」(環境省、2018年10月改定)

4. 評価の手法について

5. 事後調査の実施及び報告書の作成について

さらなるFIT法改正を求める経産省への要請書 (案)2019.01.15
はじめに
 東日本で起きた未曾有の大震災以来、次世代を担うエネルギー電源として大きな期待をもって迎えられた再生可能エネルギーが今、大きな転機を迎えようとしています。
FIT法が施行されると共に、再生可能エネルギー事業へ新規参入する事業者は激増しました。その中でも比較的設備の設置が簡単である太陽光発電は、担い手を失った手つかずの山林などを広範囲に伐採し、大掛かりな造成工事によって山を削り取り、谷を埋め立て、一面をパネルで埋め尽くすといった想定外の太陽光発電所計画を次々に生み出すような事態を招きました。
本来なら、再生可能エネルギーとして期待されるはずの太陽光発電事業によって私たちの地域が脅かされようとしています。大切に育まれてきた自然や文化、日常生活までもがある日突如として踏みにじられ、工事によって環境破壊や大災害を誘発しかねない事例が各地で多発しています。説明や同意の義務をまったく果たさないまま強行に工事を開始し、地域住民と衝突するような事例も後を絶ちません。さらには、再エネ賦課金が電気料金を押し上げ、国民負担が年ごとに増大していくことも危惧されます。
 地域と共生できない事業をなくし、国民負担を軽減するため以下のようにさらなる法改正を求めます。

 
1. 地域との共生について
 2017年4月1日施行の改正FIT法において、認定時に土地利用や安全性に関する他法令(条例を含む。)の遵守を求めること。関係法令に違反した事案について、改善命令を行い、認定取消を行うことができること。が盛り込まれたが、地域との共生を考えた場合、これではまだ十分な改正とは言えない状態です。
 資源エネルギー庁のホームページにおいて、平成28年10月より運用している「不適切案件に関する情報提供フォーム」へは、2018年8月末までに延べ223件の通報が寄せられています。このうち自治体からは24件の通報があり、その大半は法令違反、条例違反及び地元との調整に関するものです。(添付資料1
 条例を含む関係法令に違反した悪質な事業を無くし、地域との共生を図るために、以下のように法改正を求めます。
①認定について
関係する地方公共団体(注1)の条例を含む関係法令を遵守し、同意を得ることとする。
②未稼働案件について
関係する地方公共団体(注1)の首長または議会から条例を含む関係法令に違反しているとする申請があった場合には認定取消しとする。
③稼働中の案件について
関係する地方公共団体(注1)の条例を含む関係法令に違反した場合には認定取消しとする。
(注1):計画地が所在する市町村並びに都道府県に加え、計画地を集水域とする河川が存在する市町村及び都道府県を関係する地方公共団体と定義する。 

2. 国民負担の抑制について
 2018年の賦課金(国民負担)の総額は、2.4兆円で、電気料金に占める賦課金の割合は、産業用・業務用で16%、家庭用で11%に増大しています。
 また、FIT制度に伴う国民負担を、再エネ比率を10%から15%に増加させるのに要した負担単価と総額で内外比較してみると、日本の国民負担単価は2.25円/kWh、総額1.8兆円/年に対し、ドイツは、国民負担単価0.63円/kWh、総額3,307億円/年、イギリスは、国民負担単価0.28円/kWh、総額962億円/年と、日本の国民負担が大幅に高いことがわかります。
 認定価格の高い2012年(40円)、2013年(36円)、2014年(32円)の3年間に認定を取得し、まだ稼働していない未稼働案件は合計で23,515万kWあり、今後この案件が稼働し出すと国民負担が更に増大することになります。(添付資料2
 事業用太陽光発電のシステム費用は認定時に比べ運転開始の時期が遅れた場合には遅れるほどコストが低減しています。よって、買取価格の決定は認定時ではなく運転開始時とすべきです。また、過去に認定を受けたまま稼働していない未稼働案件についても運転開始時の買取価格に変更するよう法改正を求めます。 以上

 添付資料
 添付資料1「再生可能エネルギーの地域共生に向けた取組みについて」(資源エネルギー庁再生可能エネルギー推進室長杉山佳弘、2018.10.30)

 添付資料2「既認定案件による国民負担の抑制に向けた対応」(資源エネルギー庁、2018.10.15)

「らいてうの家」前の太陽光発電施設建設計画(2016年~) 1月9日

長野県上田市真田町にある「らいてうの家」の前に計画された太陽光発電施設。NPO法人平塚らいてうの会代表米田佐代子さんのブログ『米田佐代子の「森のやまんば日記」』 の記事から追ってみました。
iesyasinn

らいてうの家に営利事業の「太陽光発電」は似合わない!

らいてうが愛し、私たちが守ってきた国立公園あずまや高原の自然と歴史・文化が、目の前の「太陽光発電」計画で失われようとしています。

わたしたちは事業責任者のHJアセット・マネジメント社に計画の白紙撤回を要求するとともに、この計画について上田市と長野県に対しては厳正に審査することを、国立公園内の事業に許認可権限を持つ環境省に対しては許可しないことを要請したいと思います。……

  1. らいてうの家の目の前に建設される「ソーラーパネル」の林立は、上信越高原国立公園における自然の景観と環境を破壊し、らいてうの家訪問者をはじめ、住民や観光客のいこいの場を台無しにするものです。
  2. 現地は標高1,450mを超える高地で12月から4月初旬までは雪に閉ざされる低温地帯かつ登山道に面する急傾斜地です。パネル設置によって土地の保水力が失われ、下流地域にまで水害が及ぶ恐れがあります。
  3. ここは日本百名山で知られる四阿山登山路に面し、1300年の歴史を持つ山家神社奥社への参道でもあります。らいてうをはじめ60年前にこの土地を求めた人びとも「大切な土地」として手つかずの自然を守ってきました。こうした先人たちの歴史と文化を無視するものです。
  4. 「自然とともに生きる」ことをめざしてきたらいてうの家の基本理念と存立基盤をおびやかすものです。

  2017年9月  特定非営利活動法人 平塚らいてうの会 会長 米田佐代子


らいてうの家の真向かいに南面傾斜の草地があり、隣接ホテルの所有地ながら借景としては申し分のない風景で、夜そこに寝転ぶと満天の星が一望できる、すてきな場所だったのですが、8月早々突然「この土地(およびそこから続くおよそ20,000平方メートルの土地)を買い取り、太陽光発電所を設置する」という業者が現われたのです。太陽光発電は「自然エネルギー」というので、個人だけでなく、山林や遊休農地などをつかってソーラーパネルの大群を設置発電、電力会社に「売電」する事業が大流行しています。「原発じゃないからいいでしょう」と思われそうですが、それにしても風景は一変、ここにやってくるウグイスやカッコウ、アカゲラ、そして有名なわたり蝶のアサギマダラもやってくる自然豊かなこの地の環境も激変するかもしれない。真っ黒なソーラーパネルがずらりと林立する光景は、どう考えてもらいてうの家にふさわしいとは言えません。
内容は、各地で太陽光発電設備設置をめぐって「反対運動」が起り、該当地域の市町村や県などが対応に追われているというものですが、その焦点がサブタイトルに「アセス義務化 事業の停滞も」とあるように、自治体が「独自の条例などで、環境アセスメントを義務付ける」ところが出てきたことをあげて、「手続きが煩雑で手間がかかるため、太陽光発電の普及自体を妨げる心配もある」という論調になっていることです。「国のエネルギー基本計画では、16年度に15%だった再生可能エネルギーの割合を、30年度には22~24%に高めるとしている。中でも太陽光が先行して普及しており、土地の有効利用の観点でも利点が多いとされている」とあります。ある事業者の声として「(負担が大きいので)アセスが必要なところでは事業はしない」という意見も載せています。
これはどうみても「国の政策である太陽光発電を推進するうえで、環境アセスは普及を遅らせるおそれがある」と言っているのと同じではないでしょうか。国が法的規制もキチンとせず、野放し状態で太陽光発電を推進、沸き起こった住民の反対に、やむなく自治体が「ガイドライン」や「条例」で地域の環境破壊を抑えようとしているのに、これは「アセスなどやって業者をチェックしないほうがいい」と言わんばかりです。
内容を全部紹介できないので、感想を言います。 第一に、ここでの問題提起は、メガソーラー反対だけでなく、そもそも日本でいま展開されている「太陽光発電」そのものが「日本の国土の自然、生活環境に適合するのか」という問題提起をはらんでいるようにわたしには思われたことです。そこから出てくる第二の点は、ではわたしたちが望む原発やCO2削減をめざす電力はどうやって生み出せばいいのか、という問題。これらを含めて第三にメガソーラーを止めさせ、小規模ソーラーや水力、バイオマスなどによる発電で「地域の生活を地域で生み出す」あるいは「ソーラーシェアリング」のような太陽光発電と農業振興を結びつける方策が生みだされたとしても、それで大企業を含む電力需要全体が賄えるのか、という疑問です。(中略)
「太陽光発電は、ほんとうに推進すべき自然エネルギーか?」「たとえメガソーラーに限定して反対するとしても、原発や火力発電ではない電力を創出するにはどうしらいいか?」「小規模発電というかんがえかたは賛成できる面もあるが、これで生活電力はまかなえるとしても大企業の電力をどうやって確保するのか?」―これらの疑問を抱えて帰宅しましたが、その後ほぼ同じときに同じ長野県の飯田で「第10回市民・地域協同発電所 全国フォーラムin飯田」(10月5-7日)が開かれたことを知りました。
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全国メガソーラー問題シンポジウム(茅野市民館、2018.10.08)(YouTube
基調講演 :高田宏臣「現代土木の限界と災害、大地環境の仕組みから、メガソーラーの問題を診る」、梶山正三「メガソーラーをやっつけろ!~闘う住民のための十訓~」、
佐久祐司「FI T法の何が問題か」等の講演資料は、『全国メガソーラー問題シンポジウム』の「報告 」タブからダウンロードできます。

上田市民エネルギー・FoE Japan共催『ソーラー開発問題と市民・地域エネルギーを考える公開勉強会(上田市中央公民館、2016.09.23)
・茅野恒秀「全国、長野県の自然エネルギー開発問題の概要
・長野県環境部「太陽光発電を適正に推進するための市町村対応マニュア ル」(2016.06)
・上田市「開発規制ガイドライン
 ・藤川まゆみ(NPO法人上田市民エネルギー)「上田市発全国発信 市民共同設置「相乗りくん」の可能性
・吉田明子(FoE Japan)「電力自由化、私たちの選択

※追加資料(2019.01.15)※
サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル
   地域の足もとから、持続可能な自立共生社会を目指して
  ●環境新聞連載:「再生可能エネルギーと地域再生」より、10回目
    「上田市の再生可能エネルギーと地域づくり(1)」(2017.03.17)
  ●環境新聞連載:「再生可能エネルギーと地域再生」より、11回目

『科学』2018年10月号特集「再エネ:地域社会の再生へ」 1月8日

『科学』88巻10号(岩波書店、2018年10月)は、「再エネ:地域社会の再生」が特集されていました。
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安田陽「再生可能エネルギーがもたらす便益とは」
  便益という概念の不在
  我々のシステムは完璧だろうか?
  外部コスト、またの名を、隠れたコスト
  再び、再エネの便益とはなにか
  倫理と経済学
  結びに:地域経済への貢献

※『日本経済新聞』連載「やさしい経済学」電子版
 安田陽「地域分散型エネルギーと地産地消」
 (1) エネルギー自治の時代 2019/1/4
 (2) 電力の「鎖国」は非効率 2019/1/7
 (3)蓄電池設置は高コストに 2019/1/8
 (4)安易な防災目的、負の遺産にも  2019/1/9

京都大学大学院再生可能エネルギー経済学講座
 安田陽「エビデンスベースなエネルギー論争のために

中山琢夫「再エネが農村地域にもたらす経済的な力」
  持続可能な地域の発展に向けて
  地域付加価値分析とは
  岡山県西粟倉村における事例と分析
   (1)小水力発電所
   (2)バイオマス熱供給事業
  まとめ

※中山琢夫「生態系サービスの市場化をとおした中山間地域経済の自立についての研究

田中信一郎「地域を元気にする再エネ -長野県の事例からー 」
  地域主導型を促進する再エネ普及方針
  地域主導型を促進する政策
  地域主導型の事例
   おひさま進歩エネルギー株式会社(飯田市)
   上田市民エネルギー(上田市)
   まめってぇ鬼無里/自然エネルギー信州ネット(長野市)
  再エネ100%地域を目指して
  [まとめ]
   (1)持続可能な地域を目指すことの地域全体での理解の深化
   (2)人口減少を見据えてのインフラの長期的・効率的な利用
   (3)国内外の先進的な知見の積極導入とネットワーク化

地域政策デザインオフィス掲載メディア

※田中信一郎「エネルギーで地域経済を創生する

丸山康司「再生可能エネルギーの導入と地域の合意形成 -課題と実践ー 」
  再生可能エネルギーのもたらす社会的課題
  再生可能エネルギー利用における個と全体の緊張
  〈被害〉の曖昧さと合意の可能性
  社会的摩擦を招きやすい日本の現状
  合意形成を促す社会的仕組み
  社会の豊かさを実現するために

※丸山康司「環境影響評価法を巡る最近の動向

山下紀明「地域で太陽光発電を進めるために地域トラブル事例から学ぶ
  急速に拡大する太陽光発電
  太陽光の地域トラブル事例の全体像
   メディアでの地域トラブル報道状況
   全国自治体アンケートから見る地域トラブル
   国および地方自治体の制度の概況
  具体的な事例と教訓
   諏訪市・茅野市にまたがる地域トラブル
   富士見町での「冷静な撤退」
   長野県の制度的対応
   伊東市での地域トラブルの行方
   中小規模事業の地域トラブル
   ソーラーシェアリングへの懸念
  地域の受容性を高める地域主導型再エネ事業
   福島・冨岡復興ソーラー
   新潟・「おらって」の官民協働ソーラー
   広がるご当地エネルギー
  教訓を活かす
   地域トラブル事例からの教訓
   地域トラブルを減らしていくために

※山下紀明「メガソーラー開発に伴うトラブル事例と制度的対応策について
      (環境エネルギー政策研究所ISEP 2016.03.01)
 1. 問題関心
  メガソーラー事業の急拡大
  顕在化するトラブル
 2. 既往研究
 3. トラブル事例の整理
  トラブルの理由
  トラブルの発生地域
  開発主体の所在地
  トラブル事例の事業規模
  その後の経過
 4. トラブル事例への政策的対応
  具体的な対応事例
  4つの制度的対応策
①今後の開発計画に対し、既存の景観条例や自然保護条例を改定または新設し、メガソーラーの開発を直接的に抑制する規制的手法
②環境アセスメント条例の改定を通して、一定規模以上のメガソーラーの建設に対する調査や住民説明会の開催を義務付ける手続的義務による手法
③条例の制定やガイドラインの設置などにより数 MW 以下のメガソーラーの建設予定を事前に届出を義務付ける手続的義務による手法
④事業者との協定や交渉を通じて開発の影響を軽減する、代替措置を講ずる、住民との丁寧な合意形成を促すなど、行政指導を通じた自主的手法
  国、地域の双方からの予防的アプローチの必要性
  トラブル対策だけでなく、望ましいあり方への議論を
 5. まとめ

千葉恒久「ドイツの風力発電を支える計画制度」
  風車をどこに立てるのか
  地元住民の受容

※千葉恒久「欧州における地域・市民主導の低炭素社会づくり ~なぜ市民が主役なのか?」(2015年2月10日講演

市川大悟「再生可能エネルギー普及に、なぜ、いまゾーニングが必要か?」
  国内でも取り組みの兆し、いま注目されるゾーニングとは
  ゾーニングが必要となる理由
   トラブルが散見されるなか急増する再エネ計画
   環境アセスメントでの対応の難しさ
  ゾーニング普及への課題
  結びに

※市川大悟「自然エネルギー100%を実現する「要」 − 環境配慮の大切さについて考える」(自然エネルギー100%プラットフォーム

※WWFジャパン 気候変動・エネルギーグループ「自治体で進める地域協同でのゾーニングのすすめ ―地域環境と調和した 自然エネルギーの普及に向けて」(2017年11月)
はじめに
第1章 ゾーニングとはなにか?
 1-1 ゾーニングについて
 1-2 ゾーニングの国内外事例
 1-3 国内のゾーニングに向けた動き
第2 章 なぜいまゾーニングなのか?
 2-1 再生可能エネルギーへの期待
 2-2 期待される再エネ普及の規模感
 2-3 普及にともなう地域課題
 2-4 ゾーニングの必要性
第3 章 ゾーニングの実例紹介
 プロセス 1 検討体制の構築
 プロセス 2 協定書の締結
 プロセス 3 ゾーニングの進め方の検討[手法検討]
 プロセス 4 ゾーニングの実検討[影響項目の設定]
 プロセス 5 ゾーニングの実検討[各項目の評価]
 プロセス 6 ゾーニングの実検討[最終評価]
 プロセス 7 公表方法の検討
第4 章 今後の課題
 1 本ゾーニングにおける課題点
 2 ゾーニングの各地での普及の課題
おわりに
脚注・参考文献
※追加資料(2019.01.15)※
※『100%再生可能エネルギー地域のブログ』(滝川薫・田代かおる・近江まどか・池田憲昭・村上敦)ヨーロッパの各国、ドイツ、スイス、オーストリア、デンマーク、イタリアにおける再生可能エネルギー(新エネルギー、自然エネルギー)によって自立を目指す地域や自治体を紹介した本をより詳細に知るためのページ
※『滝川薫の未来日記
※『ドイツ・フライブルク市から地球環境を考える 村上敦

太陽光発電主力電源化に暗雲 1月7日

2018年9~10月に『週刊東洋経済』に3回連載された「主力電源化に暗雲」(岡田広行)を読みました。昨年12月2日の記事「森林を脅かす太陽光発電を考える」講演会に参加①「〃」②に関わるものです。
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●「第1回 太陽光発電の落とし穴」2018/09/15
集中豪雨で設備の損壊事故が続発し、ずさんな開発で住民とのトラブルが相次ぐ。大量導入が進む太陽光発電で何が起きているのか。

不十分な立地規制 災害に弱い設備も/安全に配慮欠くと民事訴訟で敗訴も/発電事業者の多くが電気安全の認識欠く
豪雨で太陽光パネル崩落 タイナビ電力「タイナビ姫路発電所」/地盤ごと崩落 DMM.com「姫路藤原発電所」/太陽光発電が突出して拡大 -再生可能エネルギーの累積導入量-/出力規模に応じて規制が異なる -太陽光発電設備に関する保安規制の状況/さくが設置されていない小規模発電所(山梨県笛吹市)/最大40度の急斜面に設置された太陽光発電所(山梨県甲州市)/件数で50キロワット未満が大半 -太陽光発電設備の導入状況(2017年12月末)/将来、放置・不法投棄のおそれも -産廃・リサイクル費用を確保している太陽光発電事業者の割合

長野・山梨現地ルポ 森が伐られ突然の着工 乱開発が住民を脅かす
造林の届出で伐採 裏で発電所建設を準備/手続きを経ずに着工 住民の怒りが爆発/FIT法違反の数々 規制強化の流れに/住民とのトラブルを招いた開発 長野県富士見町/小規模ソーラー乱立で“電柱銀座に” 山梨県北杜市/改正FIT事業法違反の施設があちこちに(山梨県北杜市) さくなし/さく標識なし/さくなし(ロープ不可)

INTERVIEW 「法違反には厳正に対処する」(経済産業省新エネルギー課長)

●「第2回 シャープ製パネルで相次ぐ火災事故の深層」2018/09/22
火災多発の背景には、設計不良があると専門家は指摘する。しかしシャープは「原因が特定できない」とし、製品リコールに否定的だ。

積水ハウスが施工した屋根材一体型で表面化/メーカー任せにせず安全対策の実行を
シャープ製品で火災事故報告が目立つ -住宅用太陽電池モジュールに関連した火災事故情報-/数センチ被さっていただけだが…

専門家に聞く シャープ製火災多発の技術的背景
火災を多発させる3つの複合要因/屋根材一体型が建物への延焼を招く シャープ製が出火する3つの要因/はんだ緩みを機に激しく発熱 -太陽電池セルの拡大図-

●「第3回 表面化し始めた品質保証問題 根拠が薄い長期性能保証」2018/10/06
太陽光発電所で初期不良問題が相次いで表面化。パネルメーカーの長期性能保証はセールストークの色彩が強く、根拠が不十分だ。

容易でない無償交換 メーカー任せが裏目に/長期信頼性を欠いた部材が広く使用される
2割以上で目視により不具合を確認 -太陽電池モジュールの部位別不具合現象- セルの接続不良/バックシートの亀裂/出力低下にはさまざまな要因がある -結晶シリコン太陽電池モジュールの稼働期間と出力低下要因の関係-/「長期信頼性」と「設計および製造プロセス」が低い傾向

安全を軽んじた普及の弊害
発電効率やコストを最優先

太陽光パネル用語解説
パワーコンディショナー/太陽電池モジュール/太陽電池セル/インターコネクター/バックシート/バイパス回路

※※追加資料※※
  (アゴラ研究所『GEPR』記事)

※「太陽光発電事業の環境保全対策に関する自治体の取組事例集」(環境省、2016年4月)

※『太陽光発電所を売却するためのWEBマガジン

マツ枯れの仕組みと防除③ 1月3日

森林被害対策シリーズ  No.1 「松くい虫」の防除戦略  マツ材線虫病の機構と防除』(独立行政法人 森林総合研究所、2006年)を再読しました。市民の森保全クラブ会員必読です。

松枯れは線虫と昆虫が共同して引き起こす病気です。その仕組みは以下の通りです(冒頭の番号は下図と対応しています)。
1)5~7月にマツノマダラカミキリ成虫がマツノザイセンチュウ(線虫)を体内に入れて(主に気管の中)前年に枯れたマツから脱出。
2)カミキリ成虫は生きたマツの枝をかじって栄養摂取。この傷から線虫が樹体内に侵入。
3)侵入後、線虫はマツの樹脂道(ヤニの通り道)を通って樹体全体に広がり、マツの細胞から栄養を摂取。線虫の活動にともなって、水(木部樹液)の通路である仮道管から水分が抜けて無くなり、樹液が上昇できなくなる。感染後1〜2ヶ月で、水不足のため葉が変色し、樹幹内で線虫が増殖。  
4)カミキリ成虫は枯死したマツが放つ匂いに引かれ、枯損マツの樹幹に産卵。10日ほどで孵化して幼虫になる。
5)夏から秋にかけてマツ林で枯損が目立つようになる。
6)カミキリ幼虫は枯死したマツの樹皮下を食害して成長。
7)十分に食べた幼虫は材内にもぐり、蛹室を作り、翌年春に蛹になる。
8)材内にいた線虫は蛹室に集まり、カミキリ成虫の気門(空気を取り入れるために体表にある穴)に入り込み、カミキリとともに材の外へと旅立つ。
松枯れの仕組み

  松枯れを防除しなければマツ林は消滅
松枯れを引き起こすマツノザイセンチュウは北アメリカから侵入した侵入生物で市民の森に植林されたアメリカ原産のテーダマツは抵抗性が強いが、日本の在来種のアカマツは致命的に弱い。マツノマダラカミキリは日本在来の昆虫であるが、マツノザイセンチュウが侵入する以前は枯木や枯枝が少なかったので、マツノマダラカミキリの繁殖できる資源が少なく、虫の密度が低かった。マツノザイセンチュウが侵入後、マツノマダラカミキリがマツノザイセンチュウと結びづき、枯れ木が増えたため、繁殖を妨げるものがなくなり、爆発的に増える条件が整った。放置すれば被害は広がるのみ。マツ林を守るには人間による制御が必要!!


  マツ枯れ防除の基本戦略
   ①マツノマダラカミキリまたはマツノザイセンチュウを絶滅させる
これが可能なのは、島嶼など、周囲から隔離された場所だけです。鹿児島県沖永良部島で実証例があります。周辺に被害マツ林がある場合やマツ枯損木の移動(持ち込み)が考えられる場所では、不可能
   ②マツ林を抵抗性の強い品種に変換する
抵抗性家系でも感染して枯れることはあるものの、苗木を積極的に植栽すると将来の被害を減らすことができる
   ③マツノマダラカミキリの増殖率を抑える
天敵として、菌類、センチュウ、クモ、ダニ、昆虫、鳥類など多くが知られていますが、マツノマダラカミキリの数をコンスタントに制御できる有効な天敵は見つかっていない
   ④予防散布や伐倒駆除を継続することにより微害を維持する
被害量が少ない場合、微害に維持するための費用はそれほど多くかからない。狭い地域ならば予算的にも、防除労力、枯損木探査の確実性等からみても可能

現状では④の方法、また条件の整った場所では①が実現可能。②は長期的な防除費用や薬剤の使用を減らせる点で今後はより重要になると考えられる。③についてはいまのところ有効な方法はない。[「マツノマダラカミキリを振動で寄せ付けない方法」が③でしょうか]

  防除手順の実際
   微害(林野庁では枯損率が1%以下の場合を指す)を維持する
   手順1:「保全するマツ林」の決定
   手順2:現在の被害量を微害に誘導
   手順3:微害の維持
    ①周辺マツ林の樹種転換
    ②保全するマツ林における徹底的な駆除
     ●すべての枯損木を見つける
     ●見つけた枯損木は、すべて駆除対象とする
     ●駆除対象の枯損木からマツノマダラカミキリをすべて殺虫
    ③保全するマツ林の成立本数の確保
     予防散布だけで被害がゼロになった例はない
予防散布と伐倒駆除(薬剤散布)の組み合わせだけでは被害量を減らせることは難しく、枯損木の焼却やチップ化による特別伐倒駆除との併用が被害を減少させるにあたって効果的

  個別防除法 ①予防散布

  個別防除法 ②伐倒木の処理
   焼却
   破砕(チップ化)
   燻蒸
   薬剤処理

  個別防除法 ③効果を上げるには
   枯損木の見落とし対策
   駆除残し対策
   駆除率を上げる

  戦略を実行する手順
   実施前
   1年目-5年
   5年目以降
   周辺マツ林の取り扱いの重要性

  防除の成功例


マツ枯れの仕組みと防除② 1月2日

神戸大学大学院農学研究科黒田慶子教授の『マツの材線虫病』。

松食い虫や松枯れと呼ばれる現象の実体は、マツ材線虫病という伝染病である。北米からの侵入病害で、日本原産のアカマツ・クロマツは感受性が高く、感染すると大半が枯れる。過去の記録から、1905年に長崎で起こった集団枯死が最初の被害と推定されている。マツノザイセンチュウが病原体であることを徳重と清原(1971)が発見し、それから30年以上の研究を経て、発病および萎凋のメカニズムは、かなり細部まで説明できるようになった。近年では、抵抗性のアカマツやクロマツが選抜され、苗木の生産が行われている。しかし、「発病メカニズムは全然わかっていない」という誤解や、「線虫が枯らしているのではない」と、強く主張される場合が依然としてあり、防除推進の妨げともなっている。
発病のメカニズムについて基本的な事柄が理解されていれば、マツ枯れの防除はより効果的に実行できる。また、薬剤使用についても正確な判断が可能となる。
線虫はマツの柔細胞類の内容物を酵素分解して吸収するが、発病前の早い段階では摂食によって壊死[えし]する細胞はごく僅かであり、マツの組織を食い荒らして枯らすのではない。
「気体による通道阻害」が明らかになるまで、枯損理由は「線虫や松ヤニが仮道管や樹脂道に詰まるため」と説明されていた。まだこの説で説明されている事例がある。
 なお、材線虫病で枯れたマツの材に糸状菌類(カビ)が繁殖しているため、糸状菌を萎凋の原因とする説もあったが、糸状菌類単独でマツ枯れを起こすという説は否定された。
  感染から枯死までのプロセス 仮道管の排水
感染から枯死までのプロセス

なお、毒素で枯れるという説もあるが、樹木の細胞を多量に壊死させ枯死に至らせる毒性物質は発見されていない。「未知の物質」程度の意味合いで「毒素」という言葉が用いられて、誤解をまねくことがある。
  抵抗性のマツ
   1)抵抗性種の特徴
病原線虫とのつきあいがたった100年間という日本産のアカマツやクロマツは感受性が非常に高く、接種実験では70~90%が枯れる。一方、北米原産のテーダマツやストローブマツは抵抗性が高く、感受性により枯れる率が低い。ただし、100%枯れないわけではない。テーダマツでは、線虫はマツ組織に感染(侵入)できるが、樹幹内での移動は不活発で、増殖できない。仮道管の排水現象は局部的に起こるが、樹液流動は持続するので枯れにくいという結果が出ている。抵抗性発現のメカニズムとしては、線虫の移動阻害と増殖阻害の二つが考えられる。線虫の活動を妨げるような化学物質が組織に含まれている可能性はあるが、まだ検出されていない。
   抵抗性マツの利用に関する今後の課題
マツは10年生ぐらい成長するとマツ材線虫病に罹病しやすくなる。植栽地で罹病率調査を実施する必要があるが、単なる「枯死率調査」ではなく、材線虫病による枯死かどうか確認しなければ、有用なデータとはならない。
※池田武文「キャビテーションとエンボリズム ―渇きのシグナル―
    (シリーズ 森をはかる その8 『森林科学』24巻、1998年10月)

   樹木をめぐる水移動とキャビテーション[空洞現象]
樹木をめぐる水移動とキャビテーションの検出
   エンボリズム[通道(通導)阻害]の形成メカニズム
エンボリズムの形成メカニズム

※黒田宏之「マツ枯損防止のための新戦略構築」(『木材研究・資料』第35号、1999年)
    材線虫病に対するマツの抵抗性
材線虫病に対するマツの抵抗性
     抵抗性の強さ A>B>C>D
     アカマツC クロマツD テーダマツA

マツ枯れの仕組みと防除① 12月31日


マツを守る
  1.なぜマツを守るのか
  マツを守る6つの意義
 2.マツと人とのつながり
  日本の原風景
 3.マツが危ない
  海岸林の消失・衰退
  マツ枯れの推移
 4.マツ枯れの正体
  マツ材線虫病発生の謎
  発生のメカニズム
 5.マツ枯れ対策
  マツ材線虫病の診断
   ・樹脂の出方による診断 
   ・葉の枯れ方による診断 
  マツノマダラカミキリの駆除
   物理的・科学的駆除
    ①焼却駆除
切り倒した被害マツを焼却駆除
材の表面から内側に1㎝程度炭化させる
土壌が加熱されるとつちくらげ病の地中の休眠胞子が活動を始める引き金となるので、焼却はマツ林の外で行う
    ②破砕(チップ化)処理
材に潜り込んだ幼虫や蛹の大きさから、チップ材片の暑さは規則で6㎜以下
幼虫は2㎝ほどの細い枝にも潜り込んでいるので、細い枝も残さず破砕
    ③土中処理
切り倒した被害マツを土の中に埋めて処理
地下15㎝以上の深さに埋めて土をかける
    ④薬剤散布
切り倒した被害マツの枝を払い、幹を玉切りにして駆除薬剤を散布
「秋期駆除」(~10月末頃)幼虫が樹皮下にいるか、穿入孔道を掘っている
「冬期駆除」(10月末~3月末)
「春期駆除(3月末以降)成虫が羽化脱出するまでに
    ⑤くん蒸剤処理
縦1m横2.5m程度を浅く掘り、被害マツの切り払った枝を下に敷き、その上に玉切りした幹を高さ90㎝ほどに積み重ね、全体をビニールシートで密閉し、薬剤を用いてくん蒸、7日間放置して処理
  生物的駆除
   ①天敵微生物(カビの1種ボーベリア菌をマツノマダラカミキリの幼虫に感染させる)
   ②天敵昆虫(オオコクヌスト、サビマダラオオホソカタムシが有望)
   ③天敵鳥類(キツツキ類)
  6.マツ材線虫病の予防
   マツノマダラカミキリの成虫を退治すること
空中散布(航空機を利用する特別防除)
貴重な野生動植物の生息地又は生育地や周辺に病院や学校、水源などがある森林ではできない。また、住宅、公園、レクリエーション施設、水道、鉄道等の周辺の森林やタバコや桑、お茶などの栽培地、畜産、養蜂、かいこなどに影響が及ぶおそれがある場合、水産生物、漁場、保護水面などのある場合などについても、地域住民からの要望があり、かつ、地域住民等関係者の意向を十分確認でき、これらの環境に悪影響を及ぼさないよう安全かつ適切な防止対策を講ずることができなければ特別防除という手法はできない。
地上散布(ポンプや送風散布装置、スプリンクラーなど)
  7.抵抗性マツの利用と樹種転換
抵抗性マツの利用
 マツノザイセンチュウが樹体内に侵入しても枯れないマツ
樹種転換
 しっかりと守る必要があるマツ林の周辺にあり、そのマツ林へ病気をうつす恐れのあるマツを取り除いて、広葉樹などの林に変えること。
 マツノマダラカミキリは、2km以上はなれているマツ林にはほとんど移動できないことがわかっている。
  8.マツ林の手入れ
・手入れされたマツ林は、枯れるマツの本数が少ない。
・マツ林をきれいにして、そこに生えているマツを健康に育てることにより、被害を少なくしようとするもの。
・燃料が薪や炭から石油やガスに代わるとマツ林は放置され荒れるにまかされてきた。そのため、マツ林には草やほかの樹が生えて藪化、枯れたマツの樹もそのまま放置されることが多く、マツノザイセンチュウを運んで病気をひろげるマツノマダラカミキリの大発生源となって、病気がひろがった。
  昔から行われている松葉かきや下草刈りなどを続けているマツ林では、それをやめてしまったマツ林に比べ、枯れるマツの本数が少ないことがわかってきた。
 マツ林の手入れとマツ材線虫病の被害の関係は、まだはっきりとした答えをだすことはできないが、これからの研究によってマツ材線虫病に負けない強いマツ林を育てていくマツ林手入れの方法が見つかることが期待される。

マツノマダラカミキリを振動で寄りつかせない方法 12月28日

12月23日の『朝日新聞』夕刊に「ブルブル木揺らし…松枯れ害虫優しく撃退 天敵と勘違い」という記事が掲載されていました。
 松枯れを引き起こすのにかかわる「マツノマダラカミキリ」を駆除する新たな方法を、森林総合研究所(茨城県つくば市)などのグループが開発した。鳥や動物などの天敵が歩く時の振動をまねて松の幹を揺らすと逃げ出すという。殺虫剤を使わない環境に優しい方法だ。
 研究所の高梨琢磨・主任研究員によると、マツノマダラカミキリは1秒間に100回程度の振動にとても敏感だという。6本の足の太ももに木から伝わってくる振動を感じる感覚器官があり、天敵のキツツキなどが近づくと感じる。
 研究チームは数年前から、この振動を与える円筒形の装置(直径約5センチ、長さ約20センチ)を国内メーカーと開発してきた。松の幹にベルトをつけ、カミキリ10匹の様子を調べた。
 2時間後、装置を取り付けなかった幹にはカミキリはそのままいたが、取り付けた幹では平均4割が逃げた。また、松の丸太に一晩メス6匹をつけたところ、振動を与えなかった丸太には産卵したが、振動を与えると全く産卵しなかった。
 カミキリが松の樹皮を食べると、そこからカミキリ体内にいた線虫が侵入し、根からの水を通す管を詰まらせて松枯れが起きる。被害は全国に広がっている。殺虫剤でカミキリを駆除する対策が主流だが、環境への影響が心配されている。
 高梨さんは「松1本に装置1個で十分な効果があり、市街地の公園などでも安心して使える。数年以内に安価で小型な装置を実用化させたい」と話す。振動による駆除法はトマトの害虫「コナジラミ」などにも効くとみて、開発を進めている。(三嶋伸一)
         [朝日新聞DIGITAL 2018年12月23日08時48分
ネットで検索してみると、11月10日に共同通信社が「松の害虫、振動で寄りつかせず 薬剤減らす対策に新手法」を配信し、『沖縄タイムス』、『京都新聞』、『佐賀新聞』など地域紙が記事を転載し、『毎日新聞』は11月22日に「森林総合研究所 小刻みの振動、松の害虫回避 新手法開発」をデジタル版に掲載していました。松枯れの原因として記事にある「根からの水を通す管を詰まらせて」とか「松が水を吸えなくなる」とかの説明でよいのでしょうか。松枯れ病は「マツの体内で線虫(マツノザイセンチュウ)が増殖し、水を運ぶ仮道管に障害が起こることで、マツが枯れてしまう」病気ですが、そのメカニズムについて再度、学習してみたいと思いました。

マツノマダラカミキリを寄せ付けないで産卵を抑制して増殖率を抑える新手法
農薬を散布することでカミキリを駆除する方法は、周囲の生物にも影響を与え、生態系を破壊してしまうことが懸念されています。そこで森林総合研究所の高梨琢磨さんたちが着目したのが、カミキリがマツの木に伝わる天敵の振動を察知して逃げるという行動です。カミキリが脚にある感覚受容器で振動を感知して不動化するメカニズムが明らかになり、天敵が発する振動をマツに与えることでカミキリを駆除する小型の振動発生装置を数年間かけて国内メーカーと開発、実用化の目途が立ったようです。


※日本木材学会 組織と材質研究会 2014年秋季シンポジウム『樹木と昆虫のインタラクション ̶ 樹幹加害の多面的理解ー 』(2014年9月18日)

荻上チキ Session-22(TBSラジオ)の2014年10月放送「積水化学の自然に学ぶものづくり」(ゲスト:高梨琢磨さん)①「超音波とはどういうものなのか」、②「なぜ、昆虫が振動・超音波を発するのか?」、③「松枯れを起こす害虫マツノマダラカミキリ」、④「虫よけ技術の秘密兵器」

※森林総合研究所研究成果2017年紹介「振動でカミキリムシが不動化するメカニズムを解明

「林業に新規参入する労働者に係る労働災害防止対策推進事業」報告書目次 12月27日

2013年度厚生労働省委託事業「林業に新規参入する労働者に係る労働災害防止対策推進事業」報告書』(株式会社森林環境リアライズ、2014年3月)は全7章、本文127頁ですが、イラスト・写真類も多数掲載されて読みやすい報告書です。「第5章 実地検証後の報告書」(84~110頁)については節・項・目まで詳細な目次を紹介しています。
 なお、前年に発行された『林業に新規参入する労働者のための安全な作業のテキスト』、『安全作業に必要な作業計画の作成支援』(株式会社森林環境リアライズ、2013年1月)は、株式会社森林環境リアライズHPの「[厚生労働省委託事業]林業に新規参入する労働者に係る労働災害防止対策推進事業」ページの「林業に新規参入する労働者のための「安全な作業のテキスト」及び「安全な作業に必要な作業計画書の作成支援」についてからダウンロードできるのであわせて目を通してもらいたいと思います。
平成25年度厚生労働省委託事業報告書表紙
まえがき
 森林林業における労働災害の発生状況は、中長期的にみると減少傾向にあるものの、他産業に比べると発生率が高い水準で推移しており、災害の程度も死亡災害など重篤な災害の割合が高い状況にある。また、長引く木材価格の低迷の中で生産活動による利益を上げるため、コスト低減や高い労働生産性を求めるあまり、安全対策が十分講じられず労働災害の危険性が高まりかねない状況にある。
 近年の死亡災害の内訳をみると、①間伐作業中における災害、②不適切な方法による「かかり木」処理中における災害、③複数の林業労働者の近接作業が原因の災害が多くなっている。また、林業機械の普及等により、車両系の林業機械の転倒、転落や周囲の労働者を巻き込む災害が多発している。
 本事業は、林業に新規参入する労働者に係る労働災害防止対策推進事業の一環として、安全性能の高い保護具着用の徹底等の諸外国の先進的な林業労働災害防止対策の調査・検討と、検討結果に基づく対策の実地検証の実施により、林業における労働災害防止対策の推進をはかることを目的に取りまとめた。
章立て
1. 事業の概要
2. 事業の実施計画
3. 先進的な林業労働災害防止対策の検討
4. 検討結果に基づく対策の実地検証
5. 実地検証後の報告書
6. 留意事項およびその他
7. 林業機械等の検討課題の抽出と検討方針等について

詳細目次
1. 事業の概要
 1 . 1 事業の目的と内容
2. 事業の実施計画
 2 . 1 事業の実施方針等
 2 . 2 事業項目等
 2 . 3 各項目の実施内容
 2 . 4 事業実施に伴う提案事項
3. 先進的な林業労働災害防止対策の検討
 3 . 1 林業作業に伴う安全な服装と保護具
 3 . 2 チェーンソーによる安全な伐木作業指針
 3 . 3 かかり木処理作業
 3 . 4 集材作業
 3 . 5 林業労働災害防止対策検討委員会
4. 検討結果に基づく対策の実地検証
 4 . 1 実地検証対象事業場の選定
 4 . 2 実地検証用調査票作成
 4 . 3 実地検証の実施
  1) 実地検証事業場の事業規模等
  2) 実地検証事業場の林況等
  3) 実地検証事業場の作業システム等
  4) 実地検証概況
 4 . 4 実地検証結果
  1) 安全な服装と防護具の装備
  2) 手工具の管理とチェーンソーの大きさ等
  3) 伐木作業に伴う安全確保およびチェーンソー取り扱いの基本
  4) 欧州等の安全な伐木方法の取組み
  5) 造材作業に伴う安全確保および枝払いの基本
  6) かかり木処理作業の実態

5. 実地検証後の報告書[84~110頁]
 5 . 1 安全な作業の基本
  1)林業作業に伴う安全な服装と保護具の装着
   (1)作業用衣服
   (2)防護・防振手袋
   (3)安全靴等
   (4)チェーンソー等林業作業のための防護衣等
   (5)保護帽・保護網・保護眼鏡および防音保護具
    参考:保護具の性能と切断に関する保護性クラス

  2)手工具の管理と使用方法
   (1)手工具の種類と主な作業項目
   (2)林業機械・器具の種類と主な作業項目
   (3)機械・器具の整理整頓と点検整備
   (4)安全な持ち運びと現場における管理
    参考:クサビの種類
    参考:トビ・ツルの使い方

 5 . 2 伐木・造材作業
  1)伐木作業に伴う安全の確保
   (1)伐木作業前の準備
   (2)伐木作業に伴う立入り禁止区域および伐木者の退避

  2)チェーンソー取り扱いの基本
   (1)チェーンソー作業時の立入禁止区域
   (2)チェーンソー取り扱いの基本

  3)伐木作業の基本
   (1)受け口切り
   (2)追い口切り
   (3)クサビの打ち込み
   (4)つるを適切につくる
   (5)伐木

  4)先進的なチェーンソー伐木技術の取り組み
   (新規就労者の安全なチェーンソーによる伐木技術)
   (1)取り組みの目的
 ① チェーンソー用防護ズボンの安全性は、ガイドバーが長いと防護クラスに対応した安全性は保障されない。このため、ガイドバー45cm 程度のチェーンソーで伐木する技術の体系化が必要である。
 ② 日本国内ではクラス1(最低限の性能)の防護ズボンが広く普及しているため、ガイドバー45cm 程度のチェーンソーの使用が望ましい。
 ③ ガイドバーが短く重量が軽いチェーンソーは、取り扱いやすく安全な作業が行える。また、重量が軽い出力3.5kW程度のチェーンソーは、燃料消費が少ないので手持ち資材も軽いなど労働負荷の観点からも、ガイドバーが短いチェーンソーの使用が望まれる。
 ④ 特に、新規就労者はチェーンソーの取り扱いは未熟のため、取り扱いやすいガイドバーの短いチェーンソーの使用が望ましい。
   (2)20 ㎝以上の伐木の一般的な伐木方法(オリエンテーションカット)
 オリエンテーションカットは、近年、ヨーロッパの林業専門作業員の伐木方法のスタンダードとして指導教育される方法である。受け口、つる幅・高さ、追い口切りの基本は、国内の基準と同様である。
 伐木方法の特徴は、伐木の安全作業を向上させるため、伐木方向づけ(オリエンテーション)を確実にするために、【①受け口の直角方向の側面を切り落として、つる面と側面を四角に整形して伐木する。】【②つるの幅と高さを厳守させるために、切り落とした側面につる幅と高さを木材チョークなどで(熟練者はチェーンソーの刃を使用)印をつけて、その目印を基準に伐木する。】
 なお、側面の切り落としは、国内の一般的な根張り切り(根元切り・斧目)に類似するが、オリエンテーションカットは、つる幅と高さを基準に幹部を四角に整形する作業であり、根張り切りとは異なる方法である。
   (3)伐木径直径約20 ㎝以下の場合(オープンフェイスノッチカット)
 オープンフェイスノッチカットは、ヨーロッパや北欧における小径木(胸高直径20cm以下)の伐木方法として広く普及する。国内の小径木の切捨て間伐等の伐木は、簡易な受け口を取り、一気に伐木することが多い。このため、かかり木の発生が多く、径級が細いことから、投げ倒し(あびせ倒し)や元玉切りを安易に行うことが散見され、重大事故の招く要因となっている。
 オープンフェイスノッチカットの特徴は、伐木時に人が押してコントロールできる20cm 以下の径級の立木のかかり木を避けるため、正しい伐木方向に倒すことを目的とした技術である。
 なお、オープンフェイスノッチカット(広角受け口)は、「伐木造林業務従事者必携-安全衛生教育用テキスト-(林業・木材製造業労働災害防止協会)」により、伝統的受け口伐木方法より安全度が高く、高い精度で伐木方向が決まる。また、元口の跳ね上がりと制御不能な動きを減らすことが出来ると紹介される伐木方法である。
   (4)腐朽木の伐木
 伐根部分が腐朽している木および凍裂などの被害木の伐木は、つるやクサビが均一に機能せず伐木方向が変化したり、伐木中に幹が裂けたりして非常に危険である。

   (5)伐木に伴う安全作業のまとめ

  5)造材作業の基本
   (1)造材作業に伴う安全の確保
   (2)枝払い作業の基本【大径木および太い枝の樹種(広葉樹)の場合】
   (3)枝払い作業の基本【小径木および細い枝の樹種(針葉樹)の場合】

  6)玉切り作業の基本
   (1)作業の基本
   (2)片持ち材、橋状の材の玉切り
   (3)クサビの使用例
   (4)小径木の玉切り方法
   (5)中~大径木の玉切り方法

 5 . 3 かかり木処理作業
 かかり木の処理は伐木作業の中でもっとも危険な作業である。かかり木処理については「かかり木の処理の作業における労働災害防止のためのガイドライン」を基本にして、事前に適切な処理方法を学び、適切な機械器具を使用して処理する。
  1)安全なかかり木処理作業
   (1)事前調査と準備
   (2)確実な合図と退避
   (3)適切な処理方法
    参考:欧州のかかり木処理方法

  2)かかり木処理の禁止事項
   (1)かかられている木の伐木の禁止
   (2)投げ倒し(あびせ倒し)は禁止
   (3)かかっている木の元玉切りは禁止
   (4)かかっている木の肩担ぎは禁止
   (5)かかられている木の枝切りは禁止

  3)止むを得ない場合の危険区域の設定
(1)かかり木が発生した場合は、できるだけ速やかに処理する。
(2)やむを得ず放置する場合は、危険区域に他の作業者が立ち入らないよう、標識の掲示、縄張りなどの立入禁止の措置を行う。
 5 . 4 集材作業
  1)架線集材
   (1)作業開始前の点検
   (2)安全な荷かけの方法

  2)安全な荷かけ・荷はずし作業の方法
(1)架線集材作業では合図と退避が必須条件で、指差し呼称して運転者に合図する。
(2)張力がかかっているときのロープの内角作業は行わない。
(3)同一斜面の上下作業は行わない。半地引き集材では斜面上部から、転石・切り捨てられた端材などが落下するため注意する。
(4)引戻索の台付け索が切れた場合、ワイヤーはバネのように跳ねて転石・枝・切り捨てられた端材を跳ね飛ばすので注意する。
(5)ロージングブロックが停止してから荷かけを行う。
(6)荷の巻上げ後、すぐに主索の直下に入らない。また、主索の下の荷の落下などのおそれのある箇所では作業しない。
  3)車両系集材
   (1)作業開始前の点検
   (2)安全な荷かけ作業の方法
   (3)無理な荷かけはしない
   (4)集材作業の注意事項
   (5)荷かけ作業の禁止事項
    参考:チェーンおよび可動式チョーカーフック

6. 留意事項およびその他
 6 . 1 事業効果の把握
  1) アンケート様式
  2) アンケート結果

7. 林業機械等の検討課題の抽出と検討方針等について
 7 . 1 林業機械の安全基準及び安全な作業
 7 . 2 伐木、造材等の見直しについて
 7 . 3 路網整備関係の安全作業
 7 . 4 木質バイオマス燃料生産機械の安全基準および安全な作業について
 7 . 5 林業機械等の検討課題のロードマップ

※『東京都保全地域保全活動ガイドライン=東京の自然環境を次世代に伝えるために=』(1918年)をはじめ、里山保全活動や作業に関わるガイド、マニュアル類は自治体から種々発行されています。森づくり安全技術・技能全国推進協議会からは『森づくり安全技術マニュアル』(基本編・動力機械編・応用作業編・指導編)が発行されており、1冊2,000円の寄付で入手できます。
 市民の森保全クラブの現場作業はチームで行っています。チェンソー、刈払機を使っている、使っていないにかかわらず、全会員が「無理なく・楽しく・安全に」里山保全活動が続けられるように、これらのテキストを自習するとともに集団で研修する機会を設けて認識を深め、現場活動で体得していきたいと思います。
※「保全作業の安全確保」(2018年12月22日記事)


平田美紗子『人to木』 12月13日

林業漫画『お山ん画』、樹木漫画『りん子の絵日記』に続いて平田美紗子さんの『人to木 人と木をつなぐ仕事』(林野庁林野図書資料館発行)を読みました。いずれも林野庁の「イベント情報」のページからダウンロードして読むことができます。
人と木event-17

人to木』目次
1.木地師
2.原木しいたけ栽培
3.炭焼き 
 人to炭(里山の萌芽更新、暮らしの中の炭、BBQと炭、備長炭と花火)
4.紙漉き
5.林業
6.原木市場
7.製材
8.CLT
9.プレカット
10.工務店
巻末.林業作業説明図
1.植付
2.下刈り
3.除伐・つる切り
4.枝打ち
5.間伐
6.主伐
7.造材・搬出
8.地拵え

平田美紗子『お山ん画』・『リン子の絵日記』 12月10日

エコプロ2018の会場で手にした平田美紗子さんの林業漫画『お山ん画』と樹木漫画『りん子の絵日記』(林野庁林野図書資料館発行)。
PC100020

お山ん画』目次
1.山歩きの基本は足下から
2.コンテナ苗
3.注意動物
4.夏の林業作業 下刈りとつる切り
5.鹿害と向き合う
6.魅惑のきのこワールド
7.きのこは贈り物
8.炭焼き
9.間伐しよう
10.冬の山を行く
11.スプリングエフェメラル
12.CLT工法
13.伐木チャンピオンシップ
14.ツキ板[突板]

リン子の絵日記』目次
1.サクラ、2.コナラ、3.カエデ、4.スギ、5.ヒノキ、6.マツ、7.クスノキ、8.ヤマモモ、9.イチョウ、10.ケヤキ、11.トチノキ、12.シラカンバ、13.ツバキ、14.ヒイラギ、15.スダジイ、16.キリ、17.シュロ、18.ウメ、19.フジ、20.アオキ、21.サンショウ、22.ツツジ、23.ユズ、24.クワ、25.クヌギ、26.カキノキ、27.エノキ、28.ソテツ、29.ブナ、30.カシワ

能條歩『あなたにもできる! 環境教育・ESD』 12月6日

能條歩『自然体験教育ブックレット② あなたにもできる! 環境教育・ESD』(NPO法人北海道自然体験活動サポートセンター、2017年)の第1章を読みました。

はじめに
・3つの公平
・SDGsからのバックキャスティング
・3つのレベルの生物多様性と4つの危機
・人知を超えた時空概念
・“循環型社会”
の5つの視座のいずれかに関連付けて授業や活動を実施すれば、それは環境教育

~この本をお読みになる方ヘ~
視座とは
①3つの公平 世代内・世代間・種間の公平
②3つのレベルの生物多様性と4つの危機 遺伝子・種・生態系の多様性とそれらを脅かす危機
③“循環型社会” 生態系の循環システムをかく乱しない自然と調和した社会
④SDGsからのバックキャスティング
 持続可能な未来づくりに向けて2030年までに解決しようと国際合議した課題からの目標設定
⑤人知を超えた時空概念 畏敬の念とそれにつながる自然のスケール感
という「自然や環境を考える時のものの見方」のこと


第1章 持続可能な未来のための教育
 第1の視座 3つの公平
  1-1 持続可能な未来のための教育(ESD)とは?
●「持続可能な開発」は、将来の世代のニーズを満たす能力を損なうことなく、現在の世代のニーズを満たすような社会づくりのこと
●そのために、「環境の保全」(前提)「経済の開発」(手段)「社会の発展」(目的)を調和の下に進めていくことが必要
●取組にあたっては、「環境保全や資源の過剰利用の抑制の視点」「貧困の克服」「保健衛生の確保」「質の高い教育」「性・人種による差別の克服」等への配慮が必要
●一人ひとりが、世界の人々や将来世代、また環境との関係性の中で生きていることを認識し、行動を変革することで「持続可能な開発」を目指すための教育がESD
●ESDの目標は、「すべての人が質の高い教育の恩恵を享受し、持続可能な開発のために求められる原則、価値観、及び行動が、あらゆる教育や学びの場に取り込まれ、環境、経済、社会の面において持続可能な将来が実現できるような行動の変革をもたらすこと」
「ESDは特定の教育内容を指すものではなく、さまざまな活動によって到達すべき共通のゴールや理念である」(10頁)

  1-2 持続可能性と3つの公平
   環境(配慮)行動のための指針
①世代内の公平:いわゆる南北問題のような、現代に生きる同じ世代の中にある不公平を解消することにつながるか
②世代間の公平:将来世代と現在の私たちを比較して、将来世代に不利益をもたらすことはないか
③種間の公平:ヒト以外の生物に対して著しい不公平を生じさせることにつながらないか
   例:第1の視点からみた原子力発電と3つの公平
     ①世代内で公平か? ②世代間で公平か? ③種間で公平か?
     安全に稼動できるかどうかという尺度だけで判断してはいけない(15頁)

 第2の視座 3つのレベルの生物多様性と4つの危機
  1-3 “生態系”とは?
   “自然”と“環境”と“生態系”
   “生態系”を理解するために
    自然…ヒトの意志とは関係なく存在するモノや状態の全体像のこと
    環境…私たちと応答的関係(つながりや関係性)があると意識されているモノや状態のこと
    生態系…「物質やエネルギーが循環しているまとまり」という「動的な状態」のこと

  1-4 生物多様性とは?
   5つの基本戦略(「生物多様性国家2012-2020」)
    ①生物多様性を社会に浸透させる
    ②地域における人と自然の関係を見直し・再構築する
    ③森・里・川・海のつながりを確保する
    ④地球規模の視野を持って行動する
    ⑤科学的基盤を強化し、政策に結びつける
   3つのレベルの生物多様性と4つの危機
    遺伝子の多様性 種の多様性 生態系の多様性

   4つの危機
第1の危機:人間活動や開発が直接的にもたらす種の減少、絶滅、あるいは生態系の破壊、分断、劣化を通じた生息・生育空間の縮小、消失など
第2の危機:生活様式・産業構造の変化、人口減少など社会経済の変化に伴い、自然に対する人間の働きかけが縮小撤退することによる里地里山などの環境の質の変化、種の減少や生息・生育状況の変化など
第3の危機:外来種や化学物質など人為的に持ち込まれたものによる生態系のかく乱
第4の危機:地球温暖化によってもたらされる種の生息・生育地の縮小、消失等の影響

 第3の視座 “循環型社会”
  1-5 再生可能か不可能か~素材(資源)とエネルギーの選び方~
   “循環型社会”(天然資源の消費の抑制を図り、もって環境負荷の低減を図る社会)
「“大量生産・大量消費・大量廃棄”型の経済社会から脱却し、生産から流通、消費、廃棄に至るまで物質の効率的な利用やリサイクルを進めることにより、資源の消費が抑制され、環境への負荷が少ない“循環型社会”を形成する」(環境省「循環型社会形成推進基本法(2000年)の趣旨」)

「天然資源の消費の抑制を図り、もって環境負荷の低減を図る社会」(環境省「環境・循環型社会・生物多様性白書」)

   再生可能か不可能か
    再生可能エネルギー:「太陽・地球物理学的・生物学的な源に由来し、自然界によって利用する以上の速度で補充されるエネルギー全般」(IPCC「再生可能エネルギーと気候変動に関する特別報告書」)

   3R
    Reduce(優先度1)廃棄物の発生抑制(ゴミになるものを生み出さない)
    Reuse(優先度2)資源や製品を再利用する
    Recycleマテリアル・ケミカル(優先度3)
     再使用が不可能なものを原料として再生利用
    Recycleサーマル(優先度4)
     再使用が不可能で原料としての再生利用も不可能なものを焼却して熱エネルギー源として利用
    埋立処分(廃棄物) 最終処分(適正処分)これ以上の使用が不可能となり循環から外れたもの
……生態系から人の社会に持ち込まれたものは、いずれ社会の循環の枠の中から出て行きますが、その際には生態系の循環をかく乱しないようにしなければいけません。また、生態系のかく乱が予測される不要物質については「生態系からも人間社会からも隔離して管理する」ようにしなければなりません。物質やエネルギーを生態系から過剰に取り込むことは、すなわち排出したり隔離したりしなければいけない物質を生み出す可能性を高めることにつながります。ここに、資源を社会に取り込む段階でのReduceがもっとも重要である理由があります。「持続可能な社会作り」を考える時には、社会の中でのモノの循環だけをイメージするのではなく、生態系も含めた範囲で負荷をかけない循環を成立させる「真の循環型社会」を考えなければいけないのです。(30~31頁)

  1-6 ライフスタイルの転換~「地球にやさしい」ってどんなこと?~
   NeedsとWantsの区別
    必要不可欠なもの=Needs
    (生活の質を下げないために)あると嬉しいもの=Wants
    Wantsにあたるものを、「どうしてもなければいけないか?」と見直してみる

   ライフスタイルの転換
    「地球にやさしい」=「自然の循環と調和する行動」
    「再生可能か不可能か」
    「リサイクル可能か不可能か」
    「NeedsかWantsか」
エネルギーや資源の消費量を減らしたり、自然の循環をかく乱しないようにしたりすることへの理解を深めて行動につなげる活動は環境教育(ESD)であり、持続可能な社会づくりのための教育である(35頁)

「森林を脅かす太陽光発電を考える」講演会に参加② 12月2日

埼玉県生態系保護協会東松山・鳩山・滑川支部主催『森林を脅かす太陽光発電を考える ―遊休地・休耕地・山林の活用法― 』に参加①の続きです。

第1部講演:辻村千尋氏(日本自然保護協会保護室室長)「急増するメガソーラー問題」
・各地でメガソーラー開発が軋轢を生んでいる
・現状では太陽光発電事業は環境影響評価法の対象事業となっていないので、環境アセスをする必要がない。
・自治体独自で太陽光発電事業を環境アセスの対象とする条例をつくっているところもあるが、国と同様に対象としていない自治体も多くある。
・もともと森林だった場所を太陽光発電のために皆伐して違う環境に変化させることは、本来、地球温暖化という生物多様性への危機に対しての対策のはずであったものが、開発という行為による生物多様性への新たな危機になってしまうという本末転倒の事態を生み出している。
・メガソーラー開発は、環境影響評価法の対象とするべきである。日本自然保護協会は環境影響法の抜本的改正が必要だと考え、環境省や立法府への働きかけを行っているが、すぐには実現できない。
・そこで、自治体に対して、開発に際しての地域住民との合意形成プロセスを義務化する条例を制定するよう働きかけをすることを提案する。
(出席者に配布された『自然保護』№566、2018年11・12月号掲載辻村「急増するメガソーラー問題」から)

第2部講演:中安直子(日本ナショナル・トラスト協会総務部長)「ナショナル・トラスト運動」
・アマミノクロウサギ・トラストについて
  アマミノクロウサギ・トラスト・キャンペーン経過報告その1
  アマミノクロウサギを守る特別キャンペーン 目標達成!


※「地域自然資産区域における自然環境の保全及び持続可能な利用の推進に関する法律」(「地域自然資産法」、2015年4月1日施行)
地域自然資産区域における自然環境の保全及び持続可能な利用の推進に関する法律(平成27年法律85号)(以下「地域自然資産法」)は、地域における自然環境の保全や持続可能な利用の推進を図るため、入域料等の利用者による取組費用の負担や寄付金等による土地の取得等、民間資金を活用した地域の自発的な取組を促進することを目的として、議員立法によって平成26年6月25日に制定され、平成27年4月1日に施行されました。
この法律により、都道府県又は市町村は、協議会を設置し自然環境の保全及び持続可能な利用の推進に関する地域計画を作成することができ、その計画に基づいて、入域料等を経費として充てて行う「地域自然環境保全等事業」や、寄付金等による土地の取得等(自然環境トラスト活動)を促進する「自然環境トラスト活動促進事業」を行うことができます。
都道府県又は市町村が民間団体や土地の所有者等の多様な関係者と合意形成を図り、このような取組を進めることで、地域社会の健全な発展にもつなげていくことを目指しています。

※※日本ナショナル・トラスト協会「地域自然資産法」に関する意見書(2014年5月14日)
平成26年5月14日 自由民主党環境部会長 片山さつき様
「地域自然資産区域における自然環境の保全及び持続可能な利用の推進に関する法律案」に関する意見書
     公益社団法人日本ナショナル・トラスト協会会長池谷奉文
日本の自然環境保全に関する先生の多大なご貢献に、平素敬服しておりますことを、先ず述べさせていだきます。
さて本日は、公表されましたトラスト活動と関係がある標記法律案について、懸念する点があり、意見を述べさせていただきます。
わが国のトラスト活動は、1964年、鎌倉・鶴岡八幡宮の裏山に、宅地造成が計画されたことをきっかけとして、鎌倉市民が立ち上がり、土地確保のための募金活動を開始したのが始まりといえます。その後、知床や天神崎、小清水、柿田川などにおける活動に引き継がれ、現在では全国50以上の地域で、トラスト活動が展開されるに至っています。わが国のトラスト活動は、行政が先ず責任をもち「税金」で自然環境等の保全を行うべきところを、それが難しい場合に、市民が中心となって必死に「寄附金」を集め、持続可能な社会の創造に資するため、危機にある自然環境等を買い取り等により守ってきた取り組みということができます。
鎌倉の大佛次郎氏や天神崎の外山八郎氏をはじめ、地域で懸命にトラスト活動に取り組んできた先駆者の精神を忘れず、この大切なトラスト活動を進めていくことが、これまでの50年の歴史を振り返り、いま、改めてそれが私たちの重要な使命と考えます。
こうしたなか公表されました標記法律案ですが、地域にとって重要な自然環境については、他の社会資本同様に、まずは「税金」でその保全をしっかりして進めていくことを地方自治体に強く促すべきところを、逆に、市民等からの「寄附金」で保全していくことを地方自治体に促す法律となってしまっているなど、問題がいくつかあります。
この法律が制定されますと、長年にわたり努力してきた地方の各民間団体において、寄附金集め及び土地取得が困難となり、わが国における真の意味でのトラスト活動が阻害されるようになることが強く懸念されます。
このため、(公社)日本ナショナル・トラスト協会として、以下の通り意見を述べさせていただきます。
長年、トラスト活動に取り組んでまいりました私たちの意見をお汲み取りいただき、わが国のトラスト活動を推進する法律としていただきますよう、切にお願い申し上げます。

  記
1.トラスト活動とは、主として民間団体が行う活動であるという点を明確にすること
2.地方自治体に対して、他の社会資本同様に先ずは「税金」で、良好な自然環境の保全・再生(土地の取得を含む)に取り組むべきことを明確に示すこと
3.地方自治体に対してトラスト活動基金の設置をことさら促している第19条の規定を削除する、又は、
「自然環境トラスト活動基金」との名称を「地域自然資産区域基金」とすること
4.自然環境トラスト活動により取得した土地(良好な自然環境)については、人の利用よりも自然環境の保全・再生が優先されること、かつ、永久に保存されるものであることを明確に示すこと   以上

※※「朝日新聞「私の視点」に関する補足」(田中俊徳さんのブログ『熱帯京都』、2014年6月21日)
今日の朝日新聞朝刊「私の視点」に私のオピニオンが掲載されました。さる6月18日に成立した「地域自然資産区域における自然環境の保全及び持続可能な利用の推進に関する法律」(以下、自然資産法と呼びます)に対する批判です。この法律は入域料の徴収と自然環境トラスト活動の推進から構成され、後者については、すでに一部の自然保護団体から批判があり、最低限の修正が見られたので、入域料について懸念を表明しました。
新聞特有の字数制限・分かりやすさ優先といった制約から、十分に意を尽くせていない部分があるので、ここで補足します。
まず、掲載された本文の要点は次でした。
・自然資産法は規制がセットになっていないので、過剰利用や混雑といった問題を解決することができない。
・自然公園法の利用調整地区制度やエコツーリズム推進法の特定自然観光資源といった課金ができ、かつ、規制もセットになった優れた制度があるのだから、これらの活用を検討すべき(ただし下記で補足するように、手数料と入域料は少し性質が違います。また、厳密には、エコツーリズム推進法の特定自然観光資源に指定するだけでは課金はできず、条令の制定とセットでなければばなりません。これらは字数制限から加えることができませんでした)
・ただでさえ、日本の自然保護制度は多くの省庁にまたがって合意形成が困難な面があるのに、地方自治体が自然資産区域を定めて入域料の徴収を始めると、利害関係がさらに複雑化し、過剰利用をはじめとする諸問題に円滑に対応できない可能性がある。
・規制をともなわず、入域料の徴収のみが先走ると、財政難の自治体にとっては、利用促進のための制度になる可能性がある。
いくつか論点を補足したいと思います。
第一に、自然資産区域の指定が、当該区域の自然環境保全を行う資金の捻出を受益者負担で行うということを目的にしているのであれば、新たな法を作らずとも、地方税法に定められる「法定外目的税」という制度を使えば、事足りる話です。実際に、岐阜県の乗鞍環境保全税や渡嘉敷村の環境協力税などが条例によって定められています。また、法律に頼るまでもなく、現在、日本中で「協力金」や「募金」といった形で入域料が実質的に徴収されています。これら任意の入域料は、それなりに課題を抱えていますが、使途の柔軟性が高いという点では、自然資産法に定められる「入域料」よりもずっとましです。なぜ、あえて入域料徴収のための法律を作る必要があるのか、より詳細な説明が欲しいと思います。場合によっては、様々な主体の乱立による法定・非法定を問わない二重三重の徴収が生じる可能性もあります。
なお、自然公園法の利用調整地区制度によって課金できるのは「事務手数料」であり、自然資産法に定められる「入域料」とは性質が異なります。自然公園法の「事務手数料」は、その名の通り、入域にかかる事務手続きの諸費用にしか用いることができず(例えば人件費や印刷代)、登山道の整備やトイレの整備等に用いることは、現在の内閣法制局の解釈ではできないと言われています。この点において、自然資産法の「入域料」は、使途を定めない点に魅力があるわけです(ただし、繰り返す通り、現在各地で徴収されている協力金や環境協力税の方がずっと使途が自由)。
しかし、注意しなければいけないのは、自然公園法に定められる利用調整地区制度を導入している地域(知床五湖や西大台)の経験からすると、実のところ、人件費や印刷代など必要な経費を支払うと、もはや登山道の整備等に使えるお金はありません。例えば、西大台で徴収される手数料は1000円、知床五湖は500円ですが、前者は恒常的な赤字、後者も年度によって赤字になっています。
つまり、たとえ、他の地域が「入域料」なるものを徴収してみても、大方は人件費や必要経費に消えて、残っても雀の涙程度の可能性が高いと言えます。ということは、そもそも、入域料の徴収が実現されうるのは、「必要経費が賄えるだけの入込が期待できる場所」に限定されてしまい、そういう場所は、必然的に過剰利用のリスクを抱えているということになります。よって、規制を伴わない自然資産法に既存の制度を凌駕する利点を見出すことは難しいと言えます。
どうしても「法制化」する必要があるのであれば、順番としては、自然公園法で想定される「手数料」の解釈変更を検討することや、エコツーリズム推進法に自然資産法の要素を加味して、法改正することを検討すべきです。
ちなみにエコツーリズム推進法(エコツー法)の仕組みは大変複雑で、新聞では、字数制限のため「特定自然観光資源への指定」によって課金が可能という書き方をしましたが、厳密には、自治体が全体構想に沿って条例を制定することが必要です。2014年6月現在、特定自然観光資源への入込者制限と手数料徴収を定めた自治体の例はありませんが、沖縄県の慶良間諸島(渡嘉敷村及び座間味村)が条例策定に向けて合意形成を行っています。過去には、鹿児島県の屋久島で全体構想の策定まで行きましたが、縄文杉ルートへの入込者数を制限するための条例案が2011年に屋久島町議会で「全会一致で否決」された過去があります。
なぜ、エコツーリズム推進法による規制が、あまり利用されないかについては、別途論文を書きたいと思っていますが、根本的には、観光利益に依存している地方自治体が事務局となって、観光利益の抑制につながる規制を行うことは実質的に困難であることが挙げられます。実際に、屋久島で、規制案が「全会一致で否決」された理由は、観光利益の問題でした。
気候変動の国際交渉において、気候変動が地球益なのに対して、経済発展という国益が合意形成を阻害します。これと同様に、自然保護は地球レベルないし国レベルの利益を体現しているのに対して、自治体は、自治体の経済発展を追求する傾向にあるので、自治体がイニシアティブをとることが自然保護レベルの向上に貢献しないことが往々にしてあるという点には注意が必要です。近年は、地方自治体から先進的な取り組みを見せることもあるので、一概には言えませんが、自然保護の古典を考えれば、国-自治体は、そうした利害関係にあることを肝に銘じるべきです。
次に、「受益者負担」という考え方そのものは、社会保障費の増大に苦しむ現在の日本では支持されやすいと思いますが、「自然保護」の根本的な性質についても知っておく必要があります。元来、自然保護は、市場ベースでは十分に保全が達成されない性質の自然環境を公共財として政府が保護することからスタートしています。一方、日本では、「自然はタダ」といった考え方が強く、政府もしっかりと保護をしてきませんでした。私が日本の国立公園制度を「弱い地域制」と指摘した2012年論文では、国立公園にかかる予算や人員、権限を他国と比較して、いかに日本が国立公園制度や自然保護制度に資源を割いていないかを論じています。
また、韓国が国立公園の入園料を2007年に廃止したように「受益者負担」という考え方は、必ずしも国際的なスタンダードではありません。図書館で本を借りることが無料であるように、美しい自然を享受する権利は、国民に等しくあるべきで、そのためには、市場ベースで解決できる話ばかりではないという意見もあることを知ってほしいと思います。例えば、入域料の設定によって、経済的弱者(特に若者)が自然を享受する機会を逸する可能性を考慮する必要もあります。
蛇足ですが、日本では、環境省当局を含め、自然保護(私が「自然保護」という場合、「自然と人間の関係性の保全」というニュアンスで使っています)と真剣に向き合ってきたか疑問に思うことが多いです。例えば、アメリカでは、1920年代にGetPeopleVisittheParksというキャンペーンを行い、実際に国民に国立公園の自然を見てもらおうと考えました。そうすることで、「自然保護に対する公共の支持基盤」を醸成することを目指したのです。ダムや道路など、開発が怒涛の勢いで進む時代にあって、大変先見性のある取組でした。結果的に、「国立公園はアメリカが開発したもっとも素晴らしいアイディア」と呼ばれ、世界遺産条約の制定などにつながります。しかし、日本の当局が、自然環境保全の政策優先度を高めるような積極的な取り組みを行ってきたとは言い難いです(少なくとも「効果的な政策」という意味では)。日本では公共事業利益に見られるように「鉄の三角形」が形成されましたが、自然環境を守るための「緑の三角形」が形成されても良かったはずです。
日本ほど豊かな自然環境を有する国はなかなかありません。あまりに豊富であったため、そのありがたみが分かっていない面もあるかもしれません。だからこそ、いざ過剰利用や資金不足といった自然保護の問題が見え始めると、すぐにそれを「個人的な」問題にすり替えてしまう。そうではなく、この豊かな自然を守ることは、国益の最たるものであり、そこに必要な税金を投入することは不可欠なことだという論理が共有されていないように思えます。例えば、日本の国立公園事業予算は、アメリカの4%程度に過ぎません。日本で公共事業に用いられる1%で結構です(昨年の公共事業予算は約6兆円)。それを自然環境保全や文化保全に使うことはできないでしょうか。これには国民の声が必要です。
(実は、この部分は、強く主張したかったのですが、字数制限と分かりやすさのために削除しました。朝日新聞の担当の方には、今や、福祉も教育も「もっと税金が必要」と言っている。同じような議論になってしまうと面白くない、とご指摘をいただきました。なるほど視野が狭かったと思いつつ、やはり、日本はもっと自然環境保全や文化保全にお金を使うべきだと思っています。公共事業のように1兆円単位の話をしているわけではありません。100億円程度でいいのです)
最後に、そもそも、自然資産法が想定している「受益者」とは何を指して言っているのでしょうか。実際にそこに行った人が「受益者」というのは、経済学的に言えば「間接的利用価値」を享受した人を指しているにすぎません。「受益」には、実際には行っていないけれど得られる「非利用価値」や将来世代の「オプション価値」も含まれるはずです。今日も日本の美しい自然が、盗掘や密猟から守られているという安心(日本では絶滅危惧種がネットで売買されるなど、盗掘が大問題になっています)であったり、テレビを通じて美しい風景を鑑賞できるという喜びであったり、私たちの子々孫々も、この美しい自然を享受できる、という安心は、国益に関する重要なことです。
にも関わらず、訳の分からない事業には湯水のようにお金をつぎ込み、肝心な自然環境や文化の保全にお金をかけない、そして、いざ問題となれば「受益者負担」と言うのは問題です(この場合の「受益者」は相当範囲が狭いです)。
自然資産法に関係されている議員の方々は、おそらく自然保護や文化保全に関心の高い方々が多いと思います。だからこそ、この法律を制定する前にやるべきことがたくさんあったはずです。自然や文化が大切だというならば、安易な方向に走るのではなく、より本質的な議論をしないといけないと思います。

※※「トラスト活動に行政介入?」(『読売オンライン』2014年07月20日)
自然資産区域法 民間団体が懸念
地域の貴重な自然環境を保全するため、自治体が入域料を徴収することを認める自然資産区域法が6月、国会で成立した。
同法では、保全活動の一環として土地の取得・管理を行う「自然環境トラスト活動」を支援する基金の設立も認めたが、市民レベルで土地取得を進めるナショナル・トラスト運動の推進団体には「行政の介入で逆に活動が阻害される」という懸念が広がっており、今後、論議になりそうだ。
市民運動がモデル
超党派の議員立法で成立した同法では、自治体が、環境保全を図る上で重要な区域を「地域自然資産区域」に指定。区域内の土地を取得する「自然環境トラスト活動」を推進し、財政面で活動を支援する基金を設置できると規定した。
法律では基金の使途は明示されず、同様のトラスト活動を行う既存の民間団体は「自治体が自分たちのためだけに基金を使い、民間の活動が困難になる」と不安視する。民間団体を束ねる「日本ナショナル・トラスト協会」が法案審議に際し、「トラスト活動は主として民間団体が行う、という点を法律で示すべきだ」とする意見書を与野党に提出するなど、反発は強い。
一方、同法を所管する環境省は「自治体の性悪説に立てば民間団体の懸念は理解できるが、法律にそこまでの意図はない」と話し、議論はかみ合っていない。
柿田川の教訓
そもそも同法の仕組みは、19世紀に英国で始まったナショナル・トラスト運動がモデル。寄付を集めて土地を買い取り、自然環境や建造物などを保全・管理する市民運動で、国内では天神崎(和歌山県)や鎌倉の運動で知られる。
静岡県清水町で活動する公益財団法人「柿田川みどりのトラスト」会長の漆畑信昭さん(78)は実体験を踏まえ、「行政と土地買収が競合すると、民間は不利だ」と話す。
同町に流れる柿田川は、川底から湧き出す富士山系の地下湧水を水源とする清流で、貴重な動植物の宝庫だ。しかし、周辺の宅地化が進み、1987年には河畔の原生林が伐採されるなど、危機的な状況に陥った。
地元住民らは、開発から自然を守ろうとトラスト団体を設立。88年から始めた河畔の土地取得活動で、2872平方メートルを買収したほか、1379平方メートルを借り上げた。
だが、柿田川に全国から観光客が訪れるようになると、町は都市公園化を計画。公金で土地取得を進め、遊歩道などの整備を進めようとした。市民側は土地取得を続けて対抗しようとしたが、地権者が町に土地を売却すれば、民間と違って税金がかからないため、土地取得は困難を極めた。
市民側は「行政のトラスト潰しだ」とマスコミを通じて世論に訴え、「ありのままの自然を残すことに価値がある」と町側を説得。その結果、町は取得地のほとんどを保護すると約束し、市民の憩いの場として保全に協力することになった。
資金先細りの恐れ
自治体によるトラスト活動を奨励する新法について、漆畑さんは「行政が新法を利用して土地を確保すれば、首長の意思一つで、開発を許してしまう」と懸念する。
同様の声は、日本ナショナル・トラスト協会に複数寄せられる。関健志事務局長は、「自治体のトラスト活動基金についての懸念が多い」と指摘する。民間団体はわずかな寄付金や募金頼みで、行政の看板を掲げた基金に寄付金が集中し、資金が先細りする恐れを抱いているという。
ただし新法では、自治体が自然資産区域を指定する際、住民や有識者、民間団体などと協議することになっている。トラスト活動に関するルールも今後、同省などが検討する国の基本方針に基づくよう定められている。同省自然環境局では「基金の活用方法など、民間団体からも意見を聞き、よりよい法制度になるよう調整する」と話している。(稲村雄輝)
自然資産区域法の骨子
▽風景地や名勝地など、自然環境の保全を図る上で特に重要な土地を「地域自然資産区域」とする
▽自然資産区域で徴収した入域料を環境保全費に充てることができる
▽環境保全のための土地取得を「自然環境トラスト活動」と定義
▽自治体はトラスト活動促進経費に充てる「自然環境トラスト活動基金」を設けることができる
▽国は自然資産区域での環境保全推進に関する基本方針を定める

「森林を脅かす太陽光発電を考える」講演会に参加① 12月2日

鳩山町今宿コミュニティセンターで開かれた埼玉県生態系保護協会東松山・鳩山・滑川支部主催『森林を脅かす太陽光発電を考える ―遊休地・休耕地・山林の活用法― 』に参加しました。
181202太陽光発電講演会ポスター181202太陽光発電講演会開催趣旨

開催趣旨と参加呼びかけ
野山や森林など自然を大きく切り捨てるメガソーラー発電設置事業は、地球温暖化防止を謳ったエコエネルギーなどではなく、むしろ環境破壊行為でしかないということを皆さんはご存知でしょうか。単に景観を損ねるだけではありません。沢山の種類の生き物達がそれぞれ生き抜くために必要な環境は、実に多種多様です。また、自然はそこに息づく生命にとってだけでなく、自然体験が私達人間の健全な心と体を育む上で無くてはならない存在であるということも、近年よく言われているところです。多様性に富んだ自然環境を守り、子供達に受け継いでいく責任が、私達にはあるのです。
しかしながらその一方で、広い土地を持て余している地主さんにとって、税金や土地の管理は大きな負担となっています。そのためメガソーラーに手を出そうとお考えのあなた、ちょっとお待ちください!メガソーラー発電には、まだ他にも想像以上に大きな問題点が隠されているのです。ぜひお話しを聞きにいらしてください。また、メガソーラー以外で対処する方法などのお話しをしていただける専門家の先生もお呼びしています。ぜひお誘いあわせの上、お越しください。手遅れになる前に!
会場で配布された「講演会開催趣旨について」から(資料追加)
埼玉県内の太陽光発電設置要綱を作った自治体
県北地区:秩父市、長瀞町、皆野町、小鹿野町、美里町、寄居町
県西地区:日高市、横瀬町
比企周辺:小川町、嵐山町、滑川町、鳩山町、東松山市、坂戸市
県東部地区:蓮田市、羽生市

鳩山町の太陽光発電設置要綱(2018年4月1日施行)
別表:設置するのに適当でない区域
1.不法投棄、最終処分等により廃棄物が残置されている場所(廃棄物の処理及び清掃に関する法律):再生可能エネルギー発電施設を設置することで、当該廃棄物を適正処理することが相当困難であるとともに、周辺の地下水等生活環境に支障を生じるおそれがある。
2.農用地区域内の農地、甲種農地、第1種農地(農地法):優良農地を確保するため、転用が厳しく制限されている。
3.農用地区域内の農地・採草放牧地(農業振興地域の整備に関する法律):優良農地を確保するため、転用が厳しく制限されている。
4.保安林(森林法):水源の涵養、土砂流出の防備、土砂崩壊の防備、その他災害の防備や生活環境保全・形成等の目的を達成するために指定された区域であり、立木の伐採や土地の形状変更等が厳しく規制されている。
5.河川区域、河川保全区域、河川予定地(河川法):出水時に流下阻害発生のおそれがあるとともに、河川管理施設を損傷させるおそれがある。
6.急傾斜地崩壊危険区域(急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律:)崩壊のおそれのある急傾斜地(30度以上)で、崩壊により相当数の居住者等に危害が生じるおそれのあるもの及びその隣接地のうち、当該急傾斜地の崩壊が助長され、又は誘発されるおそれがないよう、一定行為を制限している区域であり、他のエリアに比べて災害発生により地域住民の財産・生命等脅かすリスクが高い。
7.土砂災害警戒区域(土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律):急傾斜地の崩壊等が発生した場合に、住民等の生命又は身体に危害が生ずるおそれがあり、土砂災害を防止するために警戒避難体制を特に整備する区域であり、他のエリアに比べて災害発生により地域住民の財産・生命等脅かすリスクが高い。
8.重要文化財、国指定史跡、名勝、天然記念物等(文化財保護法):復元が不可能な国民共有財産であり、適切な保護管理措置がとられている。
9.県指定有形文化財、県指定有形民俗文化財、県指定史跡名勝天然記念物、県指定史跡(埼玉県文化財保護条例):復元が不可能な県民の共有財産であり、適切な保護管理措置がとられている。
10.町指定有形文化財、町指定民俗文化財及び町指定史跡、町指定名勝、町指定天然記念物(鳩山町文化財保護条例):復元が不可能な町民の共有財産であり、適切な保護管理措置がとられている。
11.埼玉県オオタカ等保護指針に基づき事業者に対し配慮を求める区域(埼玉県オオタカ等保護指針):希少であるオオタカを保護することにより、地域の生態系を維持し生物多様性を保全する(営巣地の半径1.5㎞以内は事業者に配慮を求める)。

比較:「東松山市太陽光発電施設の設置に関するガイドライン」(2018年10月1日施行)別表2(設置するのに適当でないエリア)から(理由は略)
1. 不法投棄等により廃棄物が残置されている場所(廃棄物の処理及び清掃に関 する法律)
2. 鳥獣保護区特別保護区(鳥獣の保護及び管理並びに 狩猟の適正化に関する法律)
3.甲種農地・採草放牧地・第1種農地・採草放牧地(農地法)
4. 農用地区区域内の農地・採草放牧地(農業振興地域の整備に関する法律)
5.域、河川保全区域、河川予定地(河川法)
6.災害警戒区域(土砂災害防止法)
7.文化財、国指定史跡、名勝、天然記念物等(文化財保護法)
9.県指定有形文化財、県指定有形民俗文化財、県指定史跡名勝天然記念物、県指定旧跡(埼玉県文化財保護条例)
・要綱にオオタカに関する規定を設けているのは鳩山町のみ。
・鳩山町は、ほぼ全域にオオタカが営巣。太陽光発電施設設置可能な場所はない(営巣地半径400m以内は×)。

熊井の森の希少動植物

太陽光発電の新聞折り込み勧誘チラシが2017年4月頃から毎月は入るようになった。18年10月は毎週入る。

鳩山町大豆戸[まめと]太陽光発電施設開発。18年4月に住民の間で開発計画が噂となる。毎年営巣しているオオタカの高利用域に入っているが、事業者は計画をすすめている(工事期間:12月3日~19年6月28日)。オオタカの繁殖期に重なる。

埼玉県環境アセスメント要件。太陽光発電施設は20㏊以上。

太陽光発電事業環境保全対策先進自治体
 ・札幌市:環境保全・緑地保全に関する条例
   1000㎡以上が対象。里山地域では敷地境界から10m幅の緑地を配置する。
   里山では敷地の30%~50%の樹林を残すこと。
 ・さいたま市:環境影響評価条例
   開発面積1㏊(10000㎡)以上は環境アセスメント対象。

「⑧日本では、山林を価値のないものとして認識されていることが多い。人が生きていく上で生物多様性は必要不可欠で、持続可能な社会づくりに最重要であるという認識は世界の潮流。欧米のみならず、中国や韓国、東南アジア諸国にも遅れをとっている日本。それを、幸いにも世界に誇れる自然環境が残っている鳩山町をはじめとした比企地域で、住民自らが考えて自然を残したまま進める地域づくりのきっかけにしたいと考えています。」


市民のための環境公開講座聴講 11月20日

日本環境教育フォーラム・損保ジャパン日本興亜環境財団・損害保険ジャパン日本興亜株式会社共催の「市民のための環境公開講座」(全9回)の8回目、『持続可能な社会の実現をめざして イオンの挑戦』を聴講しました。講師はイオングループ環境・社会貢献部の金丸治子さんです。
1.イオンの概要、サステイナビリティ基本方針
2.環境重点課題 3つの挑戦
●チャレンジ1 脱炭素長期ビジョン2050
 店舗、商品・流通、お客さまとともに
●チャレンジ2 持続可能な調達方針・2020年目標(2017年4月発表)
農産物
・プライベートブランドは、GFSIベースの適正農業規範(GAP)管理の100%実施をめざす
・オーガニック農産物の売上構成比5%をめざす
畜産物
・プライベートブランドは、GFSIベースの食品安全マネジメントシステム(FSMS)または、適正農業規範(GAP)による管理の100%実施をめざす
水産物
・連結対象のGMS、SM企業で、MSC、ASC流通・加工認証(CoC)の100%取得をめざす
・主要な全魚種で、持続可能な裏付けのあるプライベートブランドを提供する
紙・パルプ・木材
・主要なカテゴリーのプライベートブランドについて、持続可能な認証(FSI認証等)原料の100%利用をめざす
パーム油
・プライベートブランドは、持続可能な認証(RSPO等)原料の100%利用をめざす
●チャレンジ3 食品廃棄物削減・資源循環モデル構築
・食品廃棄物を20205年までに半減
・(単に廃棄するのではなく資源として活用できるよう)食品資源循環モデルの構築
3.持続的な取り組み ~これまでも・これからも
・イオンの植樹活動
ふるさとの森づくり(店舗)
森の循環プログラム 植える・育てる・活かす
東北復興ふるさとの森づくり
※藤田香『SDGsとESG時代の生物多様性・自然資本経営』(日経BP社、2017年)
企業の社会的活動(CSR)報告書の読みかたCSR図書館.net
AEON Report 2017

『人と自然をつなぐ教育Ⅱ -自然体験教育の実践-』 11月19日

能條歩編『人と自然をつなぐ教育Ⅱ -自然体験教育の実践-』(NPO法人北海道自然体験活動サポートセンター、2015年)を読みました。「自然体験活動」を実践している方や関心のある皆さんには購入をお勧めします(1,080円)。

能條歩編『人と自然をつなぐ教育Ⅱ -自然体験教育の実践-』目次
はじめに
第1章 自然を読み解こう ~「自然解説」から「自然が先生」へ~
  1.モノの名前を知る=自然を知る?
 「自然について学ぶ」あるいは「自然の中で学ぶ」という活動には、多かれ少なかれ「自然のしくみやなりたち」「自然の利用・活用」などについての解説的な時間が含まれます。解説的な時間そのものが目的になっている場合もそうでない場合もありますが、従来の自然解説(自然ガイド)には「総花的な単なる知識や名称の羅列にすぎない」「分類学的な側面だけにとどまり、事前の事象どうし、あるいは自然事象と自分(人)との関係性がわからない」「自然との関係性において紡がれてきた文化や歴史的側面が見えない」などの反省がありました。
 例えば、森林散策という自然体験教育を企画するような場合を考えてみましょう。せっかく季節や土地柄といったその場所で体験できる自然との関わりを重要視するといる視座を持っていても、企画内容が動植物の名前や特徴を羅列的に紹介するような「単なる自然観察」になっていないでしょうか。こうした解説は新しい知識の獲得には繋がるものの、悪く言えば指導者の「知識のひけらかし」や「知識の切り売り」だけになりかねませんので、こういう学習が好きな人以外にとっては「押し付け」になってしまい、むしろ自然への興味が失われる場合もあります。いろいろな体験型ツアーに参加する人たちへのアンケートの結果をみると、こうした学習体験型ツアーに参加している人たちは、「ガイドしてくれる人に知識や経験の豊富さを期待してはいるものの、高度の知識の習得は望んでいない」ように読みとれます。その一方で、「語り口のユーモラスさや専門的で面白い情報の提供」にはかなりの期待があり、そうしたことの充実による「楽しい体験」を期待していると考えられます。これらのことから、体験型ツアーのような学習に参加してくる人は、必ずしもたくさんの知識を「教えられること」を望んでいるわけではなく、専門的な内容に基づく“面白さ”を求めているように見えます。では、この“面白さ”とはどのようなコトなのでしょうか。……

   コラム①ゲシュタルト転換
  2.インタープリテーションとは
 前述のように、自然体験教育が「これは○○です。こんな分類的特徴があり、▽▽とはこの点が違います」といった、生物の分類や特徴を羅列的に説明する“自然解説”に偏っていたという反省から、インタープリテーション(以下IPと表記)という教育方法の有効性が指摘されるようになって、もうずいぶん長い年月がすぎました。IPはもともとは“通訳”・“解釈”などの意味ですが、自然体験教育や環境教育の領域では、「個別の名前を知ったり特徴を覚えたりするだけでは見えてこない、自然の事象のもつ背景や意味合いなどを感じとること、いわばコトバを持たない自然が私たちに語りかける価値や文化を学ぶような活動やその技能」を指します。……今日では、「環境保全地域、公園、博物館など、社会教育の場における持続可能な社会づくりのための教育的コミュニケーション」で「参加者の興味や関心を引き出しながら、ものごとの背後にある本質に迫ろうとする、体験を重視した教育活動」と説明されています。このように社会教育に限定した教育活動としてIPを紹介する場合もありますが、本書では学校教育も含めて、自然と人をつなぐ教育活動における解説活動をIPと呼ぶことにします。

  3.インタープリテーションの原則
  4.興味を起こさせる・意味を伝える ~発問の工夫~
   コラム②和名と学名
  5.インタープリテーションのプランニング
   コラム③太陽ばんざい
  6.インタープリテーションに必要な自然についての知識
   コラム④特殊化と進化
第2章 自然体験教育アクティビティ事例集&知識のセルフチェックリスト集
  1.雨天や地域の自然・文化を活かす実践
     自然体験教育アクティビティ事例集
   コラム⑤幽霊と妖怪
  2.読み解きのためのセルフトレーニング
     知識のセルフチェックリスト集
第3章 自然への配慮 ~畏敬の念と環境倫理の教育~
  1.自然への畏敬の念はどうやったら育めるか?
  2.自然の中にある共通性
  3.科学の限界
   コラム⑥木のシルエット
  4.自然との一体感と自然への畏敬の念
   コラム⑦気配・・・
  5.自然への配慮と体験活動-Leave No Trace 実践例-
  6.LNT誕生の背景と歴史
  7.LNTの7原則
   コラム⑧LNT講習会のタイプと内容
  8.日本におけるLNT
   コラム⑨直火禁止!
第4章 自然との距離を縮めるネイチャークラフト ~教育の方法と実践例~
  1.自然体験教育の切り札 ~ネイチャークラフト~
  2.クラフト指導の心得
  3.テーマの設定
  4.評価と励まし
     ネイチャークラフト実践例
第5章 体験を学びに ~参加型授業・自然体験ワークショップ運営法~
  1.行動主体を育てる教育
  2.学習のながれ
   コラム⑩「ふりかえり」と「わかちあい」
  3.参加型学習実践例
   コラム⑪這い回る経験主義
第6章 資料から実践へ ~情報の読みこなしから活用へ~
  1.身近な自然での野遊び実践
  2.地域の中での自然体験教育プログラム
  3.計画時に活用した地域の資料
  4.地域の活動から生まれた新たな資料
   コラム⑫数えきれない数って?
第7章 安全管理と応急手当 ~危険への予知・回避・対策~
  1.自然体験教育で最も大切なこと
  2.安全管理の基本
  3.危険予知トレーニング
  4.ファーストエイド
   コラム⑬感覚をとぎすまそう!
  5.現場の安全、DOTS と SAMPLE
  6.手当てと RICE
  7.身近な病気や怪我
  8.安全管理体制&セルフチェックリスト
おわりに
※能條歩『自然体験活動を学校で』(2009年)(印刷用pdf.-26.2Mb)(閲覧用pdf.-1.6Mb)
   (NPO法人北海道自然体験活動サポートセンター関連資料データベースより)

徳永桂子『日本どんぐり大図鑑』 11月15日

徳永桂子『日本どんぐり大図鑑』(偕成社、2004年)を読みました。京都科学読み物研究会編『本から自然へ 自然から本へ ~子どもと楽しむ生きものの世界~』(連合出版、2008年)で紹介されている本です。

徳永桂子『日本どんぐり大図鑑』目次
まえがき
一年じゅう緑の葉をつけるどんぐりの木(常緑樹)
 ウバメガシのなかま
  ウバメガシ
  チリメンガシ
 カシのなかま
  アラカシ
  アマミアラカシ
  シラカシ
  ウラジロガシ
  オキナワウラジロガシ
  アカガシ
  ツクバネガシ
  オオツクバネガシ
  ハナガガシ
  イチイガシ
 シイのなかま
  スダジイ
  オキナワジイ
  ツブラジイ
 マテバシイのなかま
  シリブカガシ
  マテバシイ
冬に葉を落とすどんぐりの木(落葉樹)
 ナラのなかま
  コナラ
  テリハコナラ
  ミズナラ
  ミヤマナラ
  モンゴリナラ
  ナラガシワ
 クヌギのなかま
  クヌギ
  アベマキ
 カシワのなかま
  カシワ
 クリのなかま
  クリ
 ブナのなかま
  ブナ
  イヌブナ
外国産のどんぐりの木
 ヨーロッパ~アジアのどんぐり
  イングリッシュッオーク
  セイヨウヒイラギガシ
  ロタンディフォリアガシ
  コルクオーク
  ロイコトリコフォラガシ
 北アメリカのどんぐり
  レッドオーク
  バーオーク
  ピンオーク
  ホワイトオーク
  バレーオーク
解説
 1 「どんぐり」って、どんな木?
 2 「どんぐり」と「お皿」
 3 日本のどんぐり、世界のどんぐり
 4 ブナ科は日本の自然林を代表する樹木
 5 植生遷移とブナ科樹木
 6 どんぐりの繁殖戦略
 7 ブナ科の樹木を食べる昆虫たち
 8 どんぐりの木を土に返す生き物たち
 9 ブナ帯文化と照葉樹林文化
 10 どんぐりの木とわたしたちの生活
どんぐりの大きさくらべ
用語解説
英文解説
和名さくいん・学名さくいん

前見返し どんぐりの木の見分け方(常緑樹)
後ろ見返し どんぐりの木の見分け方(落葉樹)
※渡部さんに紹介された資料です。
自然観察指導員・北岡昭彦さんの「これは何の木のドングリ?」(『自然保護』535号、2013年10月)

いわさゆうこ『どんぐり見聞録』 11月14日

いわさゆうこさんの『どんぐり見聞録』(山と渓谷社、2006年)を読みました。京都科学読み物研究会編『本から自然へ 自然から本へ ~子どもと楽しむ生きものの世界~』(連合出版、2008年)で紹介されている本です。

いわさゆうこ『どんぐり見聞録』目次
どんぐりと出会う-序にかえて
見る
 いろいろあるどんぐり
  ●どんぐりはブナ科の木の実
  ●どんぐりの背くらべ
  ●殻斗の違い
  ●どんぐりのからだ
 どんぐりの発芽に立ち会う-アカガシ、ミズナラ、ナラガシワなど
  ●アカガシとトキの赤ちゃん
  ●どんぐりの発芽
  ●のんびり発芽する常緑樹のどんぐり
  ●どんぐりを植えるときの注意点
 シイの木はわが家の守り神だった-スダジイ、ツブラジイ
  ●臭う花、匂う花
  ●寝ころぶと見えたもの
  ●伊豆大島のスダジイ
  ●花のたくらみ
 木の下ウォッチング-クヌギ、コナラなど
  ●下を向いて歩こう
  ●木の落とし物
  ●カラスの好物、スズメの好物
  ●ふり落とされる未熟な実
 どんぐり穴のあるじ-コナラ、クヌギ、クリなど
  ●ゾウムシのいろいろ
  ●ハイイロチョッキリとシギゾウムシ
  ●ハイイロチョッキリが枝を切り落とすわけ
  ●どんぐりのメッセージ
 どんぐりをまくのはだれ?-クヌギなど
  ●どんぐり好きな鳥は?
  ●どんぐり好きの動物は?
  ●どんぐりの海
  ●昨日の敵は今日の友、今日の友は明日の敵
 花は春とはかぎらない-シリブカガシ
  ●冬に花を咲かせる樹木たち
  ●シリブカガシとの出会い
  ●落下のときは親離れのとき?
 カシワは枯れ葉を離さない-カシワ
  ●冬でも葉が落ちないカシワ
  ●枯れ葉をつけてても、木が枯れるわけではない
  ●カシワの葉
 鳥と木の実とアカガシと
  ●ピラカンサの食べごろは?
  ●種子を守るために
  ●コゲラとアカガシ
  ●高尾山のどんぐりを運ぶのは?
 オータム、そして冬芽-コナラ、クヌギ、アラカシ、シラカシなど
  ●オータムがやってきた
  ●いろいろな冬芽
 マテバシイくん北上中-マテバシイ
  ●めざましい生長ぶり
  ●都市部を北上中
  ●マテバシイの季節
 炭の王様ウバメガシ-ウバメガシ
  ●備長炭はなんの木?
    備後屋長右衛門→備長
  ●松のように見えたウバメガシ
  ●ウバメって姥目、姥芽?
歩く
 絶滅危惧種ハナガガシ-ハナガガシ
  ●林試の森公園
  ●春のどんぐり
  ●芽を出せ! ハナガガシ
 初夏に落ち葉の高尾山を歩く-ウラジロガシ、シラカシ、アカガシ
  ●常緑樹だって落葉する
  ●葉の裏が白いのは?
 ハラハラドキドキの上水べり散策-シラカシ
  ●消えた赤い実
  ●丸裸になったシラカシ
  ●負けない、シラカシ
 日本一のどんぐりに会いに-オオウラジロガシ、アマミアラカシ
  ●オキナワウラジロガシに会える場所
  ●いざ、石垣島のバンナ森林公園へ
  ●発芽を楽しみに
 大きなクヌギのある家-クヌギ
  ●クヌギの木を訪ねて
  ●落葉の楽園
  ●クヌギの木に集まるものは?
  ●クヌギが私を呼んだ
 トトロの森を子どものワタシと歩く-コナラ
  ●きっかけは、どんぐり
  ●冬の雑木林
  ●幻は子どものワタシ
  ●歩こ、歩こ、私は元気
 まぎらわしいものたち-ナラガシワ、オオツクバネガシ、アベマキ
  ●京都府立植物園のナラガシワ
  ●片倉城跡公園のオオツクバネガシ
  ●クヌギのそっくりさん、アベマキ
 神宮の森のイチイガシに会いにいく-イチイガシ
  ●人工の森
  ●明かり係の木
  ●せつなる母の祈り
 イヌブナとブナの春の芽生え-ブナ、イヌブナ
  ●かいわれ大根の親分
  ●殻を持ち上げて発芽する
  ●ブナの芽生え
  ●春の妖精たち
 どんぐりの花追い-ブナ、クヌギ、コナラなど
  ●風媒花の観察
  ●高い木の花を観察するには
  ●ブナの花追い
  ●クマは春のブナの花数で凶作を知る?
 公園で見る外国からきたどんぐり-ピンオーク、レッドオーク、ヨーロッパナラ
  ●ピンオーク
  ●レッドオーク
  ●ヨーロッパナラ
食べる
 柏ってだあれ?-カシワ
  ●柏餅の葉もいろいろ
  ●葉っぱのごちそう
  ●カシワの不思議
  ●つまりカシワとは
 東北で復活したどんぐり食-コナラ
  ●どんぐり干しの記憶
  ●しだみのはな
 どんぐりコーヒーはおいしいか?-コナラ、クヌギ、マテバシイ、スダジイ
  ●どんぐりの早稲ってあるの?
  ●どんぐりコーヒーの下ごしらえ
  ●どんぐりコーヒーってどんな味?
  ●元祖どんぐりコーヒー
  ●試飲は続く
  ●夢のどんぐり産業
 おいしいシイの実-スダジイ、ツブラジイ、オキナワジイなど
  ●浄化水場のシイの実
  ●ところ変われば
  ●つぶらなツブラジイ
  ●トゲトゲ殻斗のシイ
  ●シイの実を楽しむ
  ●どんぐり酒
 縄文人の食材①クリ-クリ、イチイガシ、シリブカガシなど
  ●クリと縄文人
  ●カチグリ、オシグリ、スナグリ
  ●甘栗と生食できるどんぐりたち
 縄文人の食材②どんぐり-マテバシイ、イチイガシなど
  ●アク抜きの技術と縄文人
  ●下宅部遺跡
  ●どんぐりの貯蔵穴
  ●どんぐりでつくる縄文クッキー
 九州に見るどんぐり食を訪ねて-アラカシ、イチイガシ
  ●かしの実だんご
  ●婦人会の名物会長さん
  ●いちごんにゃくのつくり方
  ●持ちきれないほどのいただきもの
 どんぐり汁粉で今年もよろしく-コナラ
  ●野田村のしだみだんご
  ●野田村のどんぐりの渋抜きは
  ●どんぐりあんに挑戦
  ●どんぐり汁粉
  ●雪の下で
遊ぶ
 木の実拾いにはご用心
  ●台風の落としもの
  ●ぎんなん拾いにはご用心
  ●落ちたては重い
  ●どんぐり拾い道
  ●マテバシイの使い道
 染めのルーツはツルバミ染め?
  ●植物の薬効と布
  ●染料に使われたクヌギ
  ●どんぐりだんご
  ●どんぐり染め
  ●染めのヒント
 どんぐり展のすすめ
  ●大どんぐり展
  ●どんぐり虫の憂欝
  ●案ずるよりも……
 どんぐり炭を作ろう
  ●懐かしい匂い
  ●日本の炭
  ●どんぐりで炭を作ってみよう
  ●家でもできるどんぐり炭の作り方
  ●木の実炭アート
 作って遊ぼう、どんぐり工作
  ●Iさんのどんぐり人形
  ●どんぐりゴマとやじろべえ
  ●どんぐりで作る森の楽隊
  ●ファンタジックな生きもの
  ●どんぐり時計
  ●どんぐりで作るミニミュージアム
 どんぐりマニアの整理術
  ●集めたどんぐりの収納保存は?
  ●写真を撮る、ファイルする
  ●葉っぱのフロッタージュ
あれやこれや
 どんぐりの名前と由来
  ●どんぐりはまるいもの?
  ●だめなクリだから、どんぐり
  ●ブナ(橅)とイヌブナ(犬橅)
  ●どんぐりたちの名前と由来
 困窮を極めたあのころのどんぐり
  ●イナゴとり
  ●戦時中のどんぐり
  ●いまや困窮とは?
  ●普及しなかった、どんぐり粉
  ●木の実や種を握りしめ、動物園へ
 どんぐりの歌より
  ●どんぐりの歌は宮城県生まれ?
  ●歌い継がれている三番
  ●もうひとつの続きの歌詞
  ●西の金子みすゞ、北のスズキヘキ
 文学の中のどんぐり
  ●寺田寅彦の『團栗』
  ●昭和天皇の歌
  ●小林一茶
  ●どんぐりに託すもの
 縄文クッキーがうそなんて
  ●幻の縄文クッキー
 それは新聞によってもたらされた。記事のタイトルは「小・中学校で人気の縄文クッキー作り」「科学的根拠に強い疑問」とある。私は、むさぼるように読み進んだ。
 帯広畜産大学の中野益男教授は、山形県押出遺跡[おんだしいせき]から出土した縄文時代前期(約5000年前)の縄文クッキーに残された脂肪酸(残留脂肪酸)を分析し、「クリ・クルミの粉に、シカ・イノシシ・野鳥の肉・イノシシの骨髄と血液・野鳥の卵をまぜ、食塩で調味し、野菜酵母を加えて発酵させていた」と発表したが、この分析結果には化学的根拠がなく、そのうえ、これらの誤った知識が教育の場に広まってしまったことを憂う内容だった。(243~244頁)[新聞記事は下の※のリンクからご覧ください]
  ●鵜呑みは時として
  ●縄文クッキーから学ぶもの
  ●ふたつの仮説
  ●想像力と創造力が解決する
 エコロジーの使者
  ●豚とどんぐり
  ●どんぐりが旗印
  ●どんぐりの別の顔
あとがき
どんぐり本
参考文献
綴じ込み付録-どんぐり絵巻
●この本に出てくるブナ科の木の実たち 13頁
●どんぐりのからだと名称 14頁
●どんぐりからどんぐり粉をとる 143頁
●しだみのはなの作り方 143頁
●どんぐりコーヒーの作り方 149頁
●どんぐりクッキーの作り方 165頁
●いちごんにゃくの作り方 171頁
●どんぐり汁粉の作り方 177頁
●どんぐりで染めてみよう 192頁
●木の実の炭を作ってみよう 205頁
●葉っぱのフロッタージュ 216頁
●植物をスケッチする 216頁

2003年3月7日『朝日新聞』夕刊文化欄の記事「小・中学校で人気の縄文クッキー作り 科学的根拠に強い疑問」 「誤り」の流布 今後に活かせ 岡安光彦(アークビジョン代表・考古学者)

盛口満『ドングリの謎-拾って、食べて、考えた-』 11月12日

盛口満『ドングリの謎-拾って、食べて、考えた-』(どうぶつ社、2001年)のちくま文庫版(筑摩書房、2011年)を読みました。京都科学読み物研究会編『本から自然へ 自然から本へ ~子どもと楽しむ生きものの世界~』(連合出版、2008年)で紹介されている本です。

盛口満『ドングリの謎-拾って、食べて、考えた-』目次
パート1 拾いながら、考えたこと
 夢かなう
 子供の頃からドングリ拾い
 将来、何になりたいか
 ボルネオへ
 キナバル国立公園へ
 寂しく過ごした最初の夜
 僕を不安にさせたもの
 高い木に登るには
 はるかに高い木の上の営み
 ぐらぐらゆれる吊り橋の上で
 熱帯の森を実感
 世界最大の花を見る
 世界最大級のドングリ拾い
 ドングリって何なんだ?
 ドングリという木はあるか、ないか?
 ドングリの「定義」
  ブナ科全体?
  コナラ属、マテバシイ属、ブナ属?
  コナラ属、マテバシイ属、シイ属?
  コナラ属、マテバシイ属?[著者○]
  コナラ属だけ?
 大ナラ小ナラ
 堂々の巨大ドングリ
 はなはだしい“本末転倒”
 ドングリは果実か種子か?
 果実のようなタネもある
 タネのような果実もある
 石のように堅い果実
 イガとハカマは同じもの
 登山で見つけた奇妙なドングリ
 舌を巻くがんじょうさ
 ドングリの虫
 ハイイロチョッキリ
 コナラシギゾウムシ
 “同じような生活”をしていると
 弱点を見逃すな
 納得いかない変な写真
 “無敵”のように思えるけれど
 我が身を犠牲にすることもある
 ヤマアラシを味方につける
 砂漠で拾ったドングリのこと
 ドングリは英語でエイコン
  The Life of an Oak: An Intimate Portrait by Glenn Keator
 ドングリに“故郷”を思う

パート2 食べながら、考えたこと
 マテバシイのドングリを食べる
 クッキーやキントン作り
 渋いものと渋くないもの
 “旬”の味覚
 虫がつくもの、つかないもの
 ロウソクも作ってみたが
 食べてほしい相手のために
 渋抜きをどうするか
 クズ湯、ゼリー、コンニャク、トウフ
 クレープ作りは美事に失敗
 もう一工夫してみたら
 いろんな種類を試食する
 元祖縄文クッキング
 できる年とできない年
 七年間の意外な結実
 当たらなかった僕の予想
 豊作年と不作年
 花の咲かない年がある
 いっせいに花が咲く時
 なぜ、どのようにして、それが起こるか
 生きるための知恵くらべ
 一方的な“勝ち”はない
 見渡せば、不規則でまちまち
 毎年拾えるマテバシイ
 ドングリの花
 虫媒花と風媒花
 幻のカクミガシ
 三角形の果実が三つ
 それはブナ科のシーラカンス
 一軒長屋に三人住まい
 一つの実には一つの種
 アカネズミ現る
 彼らをその気にさせる大きさ
 存在の秘密の鍵
 もう一つ不思議なこと
 見方を変えれば“はずれ者”
 矛盾の中にバランスを

パート3 そして結局、こうなった
 西表島へ
 日本最大のドングリ拾い
 南の島に分布する
 遠い遠い昔のできごと
 ドングリコロコロ……川の中
 マテバシイは“心のふるさと”
 名前の由来
 目的は食べること
 今どきの17歳の女の子
 ささやかな予期せぬ出会い
 食べる人と食べさせる人
 一時代昔の話
 それは当時の日常食
 えんぴつの味がする
 様々な渋抜き法
 アイヌ人のドングリ料理
 渋さがうまい!
 命がけで拾ったもの
 僕を呼ぶ遠い声
 鳩間節
 ハマグリとドングリと
 その詩の背景にあるもの
 沖縄が呼んでいる
 迷いに迷って出した結論
 そして結局、こうなった

 最後に一言
 文庫版あとがき
 解説 チチ松村
※盛口満『ひろった・あつめた ぼくのドングリ図鑑 -ちしきのポケット 12』(岩崎書店、2010年)
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