岩殿満喫クラブ 岩殿 Day by Day

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比企の川づくり協議会

『科学』特集・河川氾濫の備えを考える 1月15日

『科学』第89巻第12号(岩波書店、2019.12)は、河川氾濫の備えを考えるを特集し、石崎勝義「堤防をめぐる不都合な真実 なぜ2015年鬼怒川堤防決壊は起きたか?」、まさのあつこ「千曲川決壊はなぜ起きたのか」、牧田寛「ダム治水と肱川大水害」、鈴木康弘「激甚災害に備えるハザードマップ そもそも誰が何のために作るか」を掲載しています。
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  隠されている「堤防強化」、放置されている「堤防沈下」
  堤防の効用の限界
  堤防の決壊を防ぐ技術の発想
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   福岡正巳氏の治水観
   福岡正巳氏の堤防観
   大型実験による耐越水堤防の開発研究
   耐越水堤防の原型が生まれた
  国を免責する水害裁判判決
   下館河川事務所長の「神話」発言
   国の責任を問わない大東水害最高裁判決
   近藤徹氏の「証言」
   長良川水害判決 堤防決壊まで国を免責
   河川技術者の「安心」
  河川管理施設等構造令の改正
  地方建設局で進んだ堤防強化の実用化研究
   加古川の堤防強化
   堤防強化対策委員会
   新しく開発された技術
    (1)裏のり尻の保護工:かごマットの登場
    (2)ドレーン工の開発
   アーマー・レビーの誕生
  現場で進んだ堤防強化の実施
   (1)石狩川水系美瑛川、4.6㎞
   (2)那珂川、9.0㎞
   (3)雲出川、1.1㎞
   (4)江の川水系、馬洗川、0.8㎞
  堤防強化整備事業(フロンティア堤防)の発足
   福田昌史氏の認識
   河川技術者水木靖彦氏の想い
   河川堤防設計指針第3稿
  政府が凍結し続ける堤防強化
   フロンティア堤防はなぜ中止になったか
   淀川水系流域委員会が堤防強化を提案
   近畿地方整備局の変身
  偽りの「コンクリート・アスファルト三面張り」
  土木学会の奇妙な報告書
   諮問内容が結論を誘導
   事実を調べないで結論
   専門家は報告書内容に得心していたか
   補足 スーパー堤防の耐越水効果への疑問には賛成だ
  起こるべくして起きた鬼怒川水害
   河川管理責任を問う裁判の提起
   氾濫が放置された若宮戸
   堤防の沈下が放置された上三坂
   堤防をめぐる社会通念の変化
  堤防の沈下
   鬼怒川・上三坂地区の堤防沈下の実際
   堤防沈下の原因
    (1)堤体自身の収縮
    (2)地盤の地下水くみ上げによる収縮
    (3)地盤の収縮 圧密沈下
   上三坂地区の堤防の沈下原因
    (1)鬼怒川の改修と上三坂堤防沈下の関係
    (2)上三坂地点の地盤
   堤防強化における堤防沈下の問題
   堤防の高さ管理を提唱した河川工学者
  堤防の設計思想を見直す
  補足 堤防の設計思想を見直す発言の例
   (1)大石久和氏(前木学会会長)
   (2)中尾忠彦氏(元土木研究所河川部長)
   (3)末次忠治氏(山梨大学大学院教授)
   (4)常田賢一氏(土木研究センター理事長)
   (5)福岡賢正氏(前毎日新聞熊本支局記者)
   (6)小池俊雄氏(東京大学名誉教授,現土木研究所水災害・リスクマネジメント国際センター(ICHARM)センター長)


こちら特報部「突然消えた堤防強化策 鬼怒川決壊きょう1年」1)(2)(『東京新聞』2016.09.10) (水源開発問題全国連絡会HPから)
東京新聞茨城版石崎インタヴューPK2019110602100077_size0

※「台風19号強化予定堤防、10カ所決壊 危険は認識も整備遅れ」(『東京新聞』2019.11.27)
東京新聞20191127越水による決壊のイメージ

「越水に対する耐久性の高い堤防」への想い(水木靖彦、20120417)「越水に対する耐久性の高い堤防」への想い(水木靖彦、20120417)02
「越水に対する耐久性の高い堤防」への想い(水木靖彦)_01

水木靖彦『洪水の話』(PDF)
洪水の話(水木靖彦)

洪水の話(水木靖彦)_01
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梶原健嗣「過大な基本高水と河川の管理瑕疵 大東基準が生みだす、「無責任の穴」(『経済地理学年報』64巻、2018年)

中島政希『崩壊マニフェスト』 1月14日

中島政希『崩壊マニフェスト』(平凡社、2012年)を読みました。
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中島政希『崩壊マニフェスト』目次
まえがき
第1章 マニフェスト崩壊劇の序章
  平均的保守政治家のダム認識
  誰も知らなかった建設計画
  「倉渕ダム」反対運動に出会う
  知事との黙約
  代替案は「権威ある」もので
  高まる民主党内の軋轢と髙﨑市長選挙
  建設凍結決定
  「八ッ場ダムへ」の躊躇
  市民運動から政治運動へ
  マニフェストで問う
第2章 この国にとってダムとは何か
 1、八ッ場ダム計画とは
  ダムを造り続けるわけ
  カスリーン台風の再襲に備える?
  時代が要請したダム建設
  進まない八ッ場ダム
  反対運動と住民の分裂
  「国」とはいったい誰なのか
 2、疑わしい治水能力
  近代日本の治水思想
  基本高水とは
  八ッ場ダムの洪水調節機能
  八ッ場ダムは治水の役に立たない
 3、偽りの渇水
  利水面での検討
  過大な水需要予測
  画期的な大阪府の水需要予測
  「東京都の水は余っている」
  暫定水利権とは何か
  暫定水利権を安定水利権に代える
 4、後世への禍根
  八ッ場ダムに突然浮上した発電計画
  ダムは観光に役立つのか
  逃れられない堆砂問題
  失われた白砂青松
  ダムに流れ込む大量の砒素
  地滑り、代替地の危険性
第3章 新政権の挑戦と失敗
  新大臣が自ら閉ざした道
  党政府一体化の誤算
  推進派の論理
  地域問題に後退させた愚
  地元の声とは何か
  政務三役の過信
  湖面一号橋の攻防
  現実主義の陥穽
  参院選での敗北
  志の後退
  「官僚たちの八ッ場」
第4章 新旧治水思想の相克
 1、公共事業改革は政権獲得の手段だったのか
  民主党の公共事業政策の変遷
  公共工事受難の時代へ
  諫早湾干拓と中海干拓
  対立軸となった公共事業政策
  「公共事業コントロール法」と「緑のダム構想」
  自民党の柔軟性
 2、新しい治水思想とは何か
  膨大な負荷と負担
  水を完全に封じ込めることはできない
  頻発するゲリラ豪雨と内水被害
  国民が納得できる説明と試みを
  改正河川法の精神
 3、結論ありきの再検証
  建設主体による検証という茶番
  関東地方整備局による治水代替案の問題点
  架空の予測とコストの無視
 4、「政」「官」「業」「学」「報」ペンダゴンの癒着
  それでも跋扈する天下りと談合
  あきれた「新解釈」
  国交省の地方支配
  五者もたれ合いに支えられて
第5章 最後の戦い
  官僚出身大臣の登場
  分科会の迷走
  民主党国土交通部門会議の「意見」
  政調会長の抵抗
  官房長官の裁定の怪
  最後の会議
  離党届提出
第6章 「政党政治」に明日はあるのか
  原子力ムラと河川ムラの同根
  政権交代と価値感の相克
  戦わずして敗れた
  官権政治
  失敗した「再分配構造の転換」
  「行革なければ増税なし」は日本の政治文化
  民主党の自民党化の帰結
あとがき
解説 科学者として共感させられた「脱ダム戦記」 大熊孝

八ッ場[やんば]ダム完成を3月に控え長野原町、YouTubeに「ふるさと、八ッ場」を公開(2020.01.06)
 「ふるさと、八ッ場」(Full、14分23秒)
 
 「ふるさと、八ッ場」(短縮版、3分3秒)
 

台風第19号における利根川上流ダム群の治水効果
   国土交通省関東地方整備局河川部記者発表(2019.11.05)・資料(PDF)
台風第19号における利根川上流ダム群※の治水効果(速報)
 ~利根川本川(八斗島地点)の水位を約1メートル低下~
台風第19号では、利根川上流ダム群※で約1.45億立方メートルの洪水を貯留しました。
この度、この貯留による利根川本川(八斗島地点(群馬県伊勢崎市))の水位低下量を算出したのでお知らせします。
※利根川上流ダム群:矢木沢ダム、奈良俣ダム、藤原ダム、相俣ダム、薗原ダム、下久保ダム、試験湛水中の八ッ場ダム

・観測最高水位 約4.1メートル(利根川上流ダム群※で貯留)
・計算最高水位 約5.1メートル(全ての利根川上流ダム群※が無い場合を仮定し、算出)
水位低下量 約1メートル
本資料の数値等は速報値であるため、今後の調査等で変わる可能性があります。

利根川水系の八ツ場ダムは、来年[2020年]3月完成の予定で10月1日から試験湛水が行われているが、今回の台風19号により、貯水量が一挙に増加した。八ツ場ダムの貯水量が急増したことで、「台風19号では利根川の堤防が決壊寸前になった。決壊による大惨事を防いだのは八ツ場ダムの洪水調節効果があったからだ」という話がネットで飛び交っている。10月16日の参議院予算委員会でも、赤羽一嘉国土交通大臣が試験湛水中の八ツ場ダムが下流の利根川での大きな氾濫を防ぐのに役立ったとの認識を示した。
しかし、それは本当のことなのか。現時点で国交省が明らかにしているデータに基づいて検証することにする。

八ツ場ダムの洪水位低下効果は利根川中流部で17㎝程度
10月13日未明に避難勧告が出た埼玉県加須市付近の利根川中流部についてみる。
本洪水で利根川中流部の水位は確かにかなり上昇したが、決壊寸前という危機的な状況ではなかった。加須市に近い利根川中流部・栗橋地点(久喜市)の本洪水の水位変化を見ると、最高水位は9.67m(観測所の基準面からの高さ)まで上昇し、計画高水位9.90mに近づいたが、利根川本川は堤防の余裕高が2mあって、堤防高は計画高水位より2m高いので、まだ十分な余裕があった。なお、栗橋地点の氾濫危険水位は8.9mで、計画高水位より1m低いが、これは避難に要する時間などを考慮した水位であり、実際の氾濫の危険度はその時の最高水位と堤防高との差で判断すべきである。

八ツ場ダムの治水効果については2011年に国交省が八ツ場ダム事業の検証時に行った詳細な計算結果がある。それによれば、栗橋に近い地点での洪水最大流量の削減率は10洪水の平均で50年に1回から100年に1回の洪水規模では3%程度である。本洪水はこの程度の規模であったと考えられる。
本洪水では栗橋地点の最大流量はどれ位だったのか。栗橋地点の最近8年間の水位流量データから水位流量関係式をつくり、それを使って今回の最高水位9.67mから今回の最大流量を推測すると、約11,700㎥/秒となる。八ツ場ダムによる最大流量削減率を3%として、この流量を97%で割ると、12,060㎥/秒になる。八ツ場ダムの効果がなければ、この程度の最大流量になっていたことになる。

この流量に対応する水位を上記の水位流量関係式から求めると、9.84mである。実績の9.67mより17㎝高くなるが、さほど大きな数字ではない。八ツ場ダムがなくても堤防高と洪水最高水位の差は2m以上あったことになる。したがって、本洪水で八ツ場ダムがなく、水位が上がったとしても、利根川中流部が氾濫する状況ではなかったのである。

河床の掘削で計画河道の維持に努める方がはるかに重要
利根川の水位が計画高水位の近くまで上昇した理由の一つとして、適宜実施すべき河床掘削作業が十分に行われず、そのために利根川中流部の河床が上昇してきているという問題がある。
国交省が定めている利根川河川整備計画では、計画高水位9.9mに対応する河道目標流量は14,000㎥/秒であり、今回の洪水は水位は計画高水位に近いが、流量は河道目標流量より約2,300㎥/秒も小さい。このことは、利根川上流から流れ込んでくる土砂によって中流部の河床が上昇して、流下能力が低下してきていることを意味する。河川整備計画に沿った河床面が維持されていれば、上述の水位流量関係式から計算すると、今回の洪水ピーク水位は70㎝程度下がっていたと推測される。八ツ場ダムの小さな治水効果を期待するよりも、河床掘削を適宜行って河床面の維持に努めることの方がはるかに重要である。

利根川の上流部と下流部の状況は
以上、利根川中流部についてみたが、本洪水では利根川の上流部と下流部の状況はどうであったのか。利根川は八斗島(群馬県伊勢崎市)より上が上流部で、この付近で丘陵部から平野部に変わるが、八斗島地点の本洪水の水位変化を見ると、最高水位と堤防高の差が上述の栗橋地点より大きく、上流部は中流部より安全度が高く、氾濫の危険を心配する状況ではなかった。

一方、利根川下流部では10月13日午前10時頃から水位が徐々に上昇し、河口に位置する銚子市では、支流の水が利根川に流れ込めずに逆流し、付近の農地や住宅の周辺で浸水に見舞われるところがあった。八ツ場ダムと利根川下流部の水位との関係は中流部よりもっと希薄である。八ツ場ダムの洪水調節効果は下流に行くほど小さくなる。
前述の国交省の計算では下流部の取手地点(茨城県)での八ツ場ダムの洪水最大流量の削減率は1%程度であり、最下流の銚子ではもっと小さくなるから、今回、浸水したところは八ツ場ダムがあろうがなかろうが、浸水を避けることができなかった。浸水は支川の堤防が低いことによるのではないだろうか。
なお、東京都は利根川中流から分岐した江戸川の下流にあるので、八ツ場ダムの治水効果はほとんど受けない場所に位置している。

ダムの治水効果は下流に行くほど減衰
ダムの洪水調節効果はダムから下流へ流れるにつれて次第に小さくなる。他の支川から洪水が流入し、河道で洪水が貯留されることにより、ダムによる洪水ピーク削減効果は次第に減衰していく。
2015年9月の豪雨で鬼怒川が下流部で大きく氾濫し、甚大な被害が発生した。茨城県常総市の浸水面積は約40㎢にも及び、その後の関連死も含めると、死者は14人になった。鬼怒川上流には国土交通省が建設した四つの大規模ダム、五十里ダム、川俣ダム、川治ダム、湯西川ダムがある。その洪水調節容量は合計12,530万㎥もあるので、鬼怒川はダムで洪水調節さえすれば、ほとんどの洪水は氾濫を防止できるとされていた河川であったが、下流部で堤防が決壊し、大規模な溢水があって凄まじい氾濫被害をもたらした。
この鬼怒川水害では4ダムでそれぞれルール通りの洪水調節が行われ、ダム地点では洪水ピークの削減量が2,000㎥/秒以上もあった。しかし、下流ではその効果は大きく減衰した。下流の水海道地点(茨城県常総市)では、洪水ピークの削減量はわずか200㎥/秒程度しかなく、ダムの効果は約1/10に減衰していた。

このようにダムの洪水調節効果は下流に行くほど減衰していくものであるから、ダムでは中下流域の住民の安全を守ることができないのである。

本格運用されていれば、今回の豪雨で緊急放流を行う事態に
本洪水の八ツ場ダムについては重要な問題がある。関東地方整備局の発表によれば、本洪水で八ツ場ダムが貯留した水量は7500万㎥である。八ツ場ダムの洪水調節容量は6500万㎥であるから、1000万㎥も上回っていた。

八ツ場ダムの貯水池容量の内訳は下の方から計画堆砂容量1750万㎥、洪水期利水容量2500万㎥、洪水調節容量6500万㎥で、総貯水容量は10750万㎥である。貯水池の運用で使う有効貯水容量は、堆砂容量より上の部分で、9000万㎥である。ダム放流水の取水口は計画堆砂容量の上にある。
本洪水では八ツ場ダムの試験湛水の初期にあったので、堆砂容量の上端よりかなり低い水位からスタートしたので、本格運用では使うことができない計画堆砂容量の約1/3を使い、さらに、利水のために貯水しておかなければならない洪水期利水容量2500万㎥も使って、7500万㎥の洪水貯留が行われた。

本格運用で使える洪水貯水容量は6500万㎥であるから、今回の豪雨で八ツ場ダムが本格運用されていれば、満杯になり、緊急放流、すなわち、流入水をそのまま放流しなければならない事態に陥っていた。
今年の台風19号では全国で6基のダムで緊急放流が行われ、ダム下流域では避難が呼びかけられた。2018年7月の西日本豪雨では愛媛県・肱川の野村ダムと鹿野川ダムで緊急放流が行われて、西予市と大洲市で大氾濫が起き、凄まじい被害をもたらした。今年の台風19号の6ダムの緊急放流は時間が短かったので、事なきを得たが、雨が降り続き、緊急放流が長引いていたら、どうなっていたかわからない。

ダム下流で、ダムに比較的近いところはダムの洪水調節を前提とした河道になっているので、ダムが調節機能を失って緊急放流を行えば、氾濫の危険性が高まる。
八ツ場ダムも本豪雨で本格運用されていれば、このような緊急放流が行われていたのである。

以上のとおり、本豪雨で八ツ場ダムがあったので、利根川が助かったという話は事実を踏まえないフェイクニュースに過ぎないのである。

必要性を喪失した八ツ場ダムが来年3月末に完成予定
八ツ場ダムは今年中に試験湛水を終えて、来年[2020年]3月末に完成する予定であるが、貯水池周辺の地質が脆弱な八ツ場ダムは試験湛水後半の貯水位低下で地すべりが起きる可能性があるので、先行きはまだわからない。

八ツ場ダムはダム建設事業費が5320億円で、水源地域対策特別措置法事業、水源地域対策基金事業を含めると、総事業費が約6500億円にもなる巨大事業である。
八ツ場ダムの建設目的は①利根川の洪水調節、②水道用水・工業用水の開発、③吾妻川の流量維持、④水力発電であるが、③と④は付随的なものである。

①の洪水調節については上述の通り、本豪雨でも八ツ場ダムは治水効果が小さく、利根川の治水対策として意味を持たなかった。利根川の治水対策として必要なことは河床掘削を随時行って河道の維持に努めること、堤防高不足箇所の堤防整備を着実に実施することである。

②については首都圏の水道用水、工業用水の需要が減少の一途をたどっている。水道用水は1990年代前半でピークとなり、その後はほぼ減少し続けるようになった。首都圏6都県の上水道の一日最大給水量は、2017年度にはピーク時1992年度の84%まで低下している。これは節水型機器の普及等によって一人当たりの水道用水が減ってきたことによるものであるが、今後は首都圏全体の人口も減少傾向に向かうので、水道用水の需要がさらに縮小していくことは必至である。これからは水需要の減少に伴って、水余りがますます顕著になっていくのであるから、八ツ場ダムによる新規の水源開発は今や不要となっている。

八ツ場ダムの計画が具体化したのは1960年代中頃のことで、半世紀以上かけて完成の運びになっているが、八ツ場ダムの必要性は治水利水の両面で失われているのである。
八ツ場ダムの総事業費は上述の通り、約6500億円にもなるが、もし八ツ場ダムを造らず、この費用を使って利根川本川支川の河道整備を進めていれば、利根川流域全体の治水安全度は飛躍的に高まっていたに違いない。

田中康夫「脱ダム政策の哲学と実践~やめればいいのではなく、新しい治水のあり方を示す~(『都市問題』100-12、2009.12)(PDF)民主党政権はマニフェストに従い、八ツ場ダムと川辺川ダムの中止を表明した。しかしそこにはダムについての哲学も歴史観も示されず、新しい治水のあり方も示されていない。金が地方から中央に環流してしまうダム/日本の河川工学は科学ではない/ダム建設に40年も50年もかかる理由/ダムと橋とトンネルの秘密/国内の本当の安全保障は水の保全/脱ダム政策の実際

最後に民主党政権と八ッ場ダムに関して言えば、もっときちんとしたプレゼンテーション(説明)が必要です。市民運動家の段階ではいいでしょうが、政権を担う立場になった民主党の八ッ場ダムへの対応は、利権のためではなく県民のための執行権者として私が行ってきた脱ダムとは、ずいぶん違う哲学と方策のもとでなさっているのではないか。その意味でも不安と期待を抱いておりますということです。(18頁)

田中康夫「しなやかな是々非々 水害は『脱ダム』のせいなのか!? 田中康夫の実践的『治水・治山』原論(『サンデー毎日』2019.11.17)(PDF)>田中康夫公式サイト( http://tanakayasuo.me/river

鞍掛山散策路下見 8月26日

29日のイベントに向けて再度、鞍掛山散策路の下見をしました。
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ハグロトンボの雌(♀、カワトンボ科)
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都幾川親水護岸・鞍掛山展望広場の除草 8月22日

入山谷津の植物調査を中断して、午後、一昨日に続いて、「あつまれ!くらかけっこ!」フィールドの下見を6名でしました。要望していた都幾川右岸の親水護岸、鞍掛山散策路の階段、展望広場の草刈機での除草がされていました。迅速な対応ありがとうございます。崖のイワタバコやつる性植物が観察しやすくなり、山頂からの北西~東北東の視界が拡大しています。
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鞍掛山展望広場の下見 8月20日

29日に開かれる「あつまれ!くらかけっこ!」(東松山市主催、野外体験学習)で川遊び前に利用する都幾川親水護岸~鞍掛山展望広場の下見を、渡部さんと環境保全課の小林さん、宮尾さんとしました。
展望広場(標高83m強)からおよそ50m崖下を流れている都幾川がどの程度見えるのか、さらに、北西~東北東方向に見えている建物・施設を双眼鏡・望遠鏡で調べ、展望広場の手摺柵沿いで視界を妨げている低木・草本類を高枝切狭・太枝切狭で除去しました。イベント前日までに再度、草刈りが実施される予定です。
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都幾川左岸では、月田橋に下りてくる埼玉県道172号大野東松山線、上唐子ホタルの里、浄空院、丸木美術館、松山台地上では国立女性教育会館~東松山工業団地西半分の工場・倉庫、遠方では、比企丘陵の花見台工業団地(嵐山町)~二ノ宮山展望塔(滑川町伊古、二ノ宮山標高131.8m、展望塔23.7m、展望台21.0m)~滑川町配水場(滑川町羽尾)のタンクを確かめました。
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①丸木美術館、②浄空院、③シーバロジスティクスジャパン東松山ディストリビューションセンター、④ビックカメラ東松山センター、⑤鞍掛橋(冠水橋)、⑥鞍掛堰

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⑦月田橋、⑧学校橋、⑨国立女性教育会館、⑩嵐山町立菅谷中学校

帰りは往路を戻らず反時計回りに鞍掛山散策路を下りて、くらかけ清流の郷に至るルートとしました。
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「持続性ある実践的多自然川づくりに向けて」提言(2017) 1月12日

12月8日に見学したエコプロ2018国土交通省国土技術政策総合研究所(NILIM)のブースで入手した『国総研レポート2018』に河川研究部長・天野邦彦さんの「河川環境の整備と保全のこれから」が掲載されていて、1997年に河川法が改正されて20年が過ぎ、2017年6月に河川法改正20年 多自然川づくり推進委員会提言持続性ある実践的多自然川づくりに向けてがとりまとめられたことを知り,、『提言』を国交省HPからダウンロードして読んでみました。

天野邦彦「河川環境の整備と保全のこれから」
1.はじめに
河川法の改正で「河川環境の整備と保全」が追加される(1997年)。
河川法改正20年 多自然川づくり推進委員会の提言「持続性ある実践的多自然川づくりに向けて」がとりまとめられる(2017年6月)。

2.多自然川づくり
・1990年、多自然型川づくりが始まる
・2006年、「多自然川づくり基本指針」通知
「多自然川づくり」は、「河川全体の自然の営みを視野に入れ、地域の暮らしや歴史・文化との調和にも配慮し、河川が本来有している生物の生息・生育・繁殖環境及び多様な河川景観を保全・創出するために、河川管理を行うこと」と定義。
・今回の「提言」では、多自然川づくりの5課題と対応方針を提示
 ①河川環境の目標設定
 ②具体的技術と調査から維持管理までの取り組み過程
 ③人材育成と普及啓発
 ④持続可能な多自然川づくり
 ⑤日本の河川環境の将来像の想定
提言に示された課題への対応方針は、多自然川づくりを進める上での、具体的な手法を提示するというよりは、大きな方向性を示す形をとっている。このような形をとっていることが、多自然川づくり、ひいては河川環境の整備と保全を考える上での難しさを示している。

3.河川環境の整備と保全のこれから
(1)河川環境は流域の空間スケールと長期の時間スケールでも見る
河川環境の整備・保全を検討する際には、河川のみでなく周辺環境も含めて適切な時空間スケールで状況を評価し、河川環境変化の駆動力をしっかりと見極めた上で整備・保全の実施へとつなげる必要がある。
(2)多元的な河川環境評価に向けたデータ利用
河川環境の評価を試みる場合、比較的指標化しやすい物理的環境要素だけでも、河道形状、流況、水質、流砂のように多元的で、これらの組み合わせは無数にある。さらに、生物的環境要素(動植物相、生態系)は、指標化できたとしても定量化が困難な場合が多い。これらのことから、河川環境に関しては、目標設定どころか、評価自体が容易なことではない。このため、河川環境の評価手法の向上が強く望まれる。……
(3)治水事業こそ河川環境整備の機会
河道形状、流況、水質、流砂といった河川環境を規定する物理的環境要素は、治水のための河川整備や管理においてもその設定が重要となる要素である。治水上安全な川にするための河道改修や治水施設の整備は、物理的環境要素の改変を伴うことが多いため、河川環境の整備や保全と対立するものと捉えられがちである。しかし、改修後の河道状況が、環境面においても好ましいもので、なおかつ維持管理労力が少なくてすめば、最適な環境整備になる。……河川の周辺環境も含めて、治水のための河川整備は、環境整備につなげることが可能である。

4.おわりに
治水安全度の向上のために今後も河川改修が進められるが、その際には河川ごとに、中長期的な視点から、河川環境整備・保全に資するとともに維持管理が容易な改修方法を順応的に確立していくことで、「多自然川づくり基本方針」が目指す河川管理が可能となるだろう。

国土交通省では、2016年12月に委員会(学識委員:山岸哲(委員長)、池内幸司、高村典子、谷田一三、辻本哲郎、中村太士、百武ひろ子)を設置し、生物の生息・生育・繁殖環境と多様な河川景観の保全・創出を行う「多自然川づくり」のこれまでの成果等をレビューし、今後の方向性について5回の委員会で検討し、17年6月「提言」がとりまとめられた。今後はこの提言を踏まえ、河川環境の整備と保全のため「持続性ある実践的な多自然川づくり」を推進する。

提言は、大きく2つの視点からとりまとめられている。
○「実践・現場視点」常に現場視点で考え、河川環境の整備と保全を現場で徹底し、順応的に挑戦し続けるべきであること
○「持続性・将来性」日常的な河川管理の中で様々な工夫を凝らして河川環境の整備と保全を徹底し、地域社会との関わりを深めていくこと

この2つの視点をもとに、以下の7項目について対応方針が示された。①目標の設定、②技術の向上・一連の取り組み過程の徹底、③人材の育成・普及啓発、④日常的な環境への取り組みの徹底、⑤持続可能な川づくりのための地域連携の強化、⑥変化を踏まえた将来の河川像の検討、⑦国際社会への貢献。

2006年の多自然川づくり基本指針により、多自然川づくりは普遍的な川づくりであるとして全国に展開され、様々な取り組みがこの10年で拡大してきたが、その一方で、整理すべき課題も多く存在
実践・現場視点:いかに現場で多自然川づくりを進め、定着させていくのかを、常に「現場視点」で考え、河川環境の整備と保全が現場で徹底されるようにすることが重要。あわせて、自然環境には不確実性があるため、得られた結果を貴重な知見・経験として次の取り組みに活かしていくことが重要であり、そのための課題解決に向けて順応的に挑戦し続けるべき。
「持続性ある実践的多自然川づくりに向けて」実践・現場視点

持続性・将来性:日常的な河川管理の中で、まずは自然の営力を活用した効率的な管理を第一に考え、これのみによることができない場合に、様々な工夫を凝らした河川環境の整備と保全を徹底していくことが重要。加えて、将来へ向けた持続性を高めるために、地域社会との関わりを深め、更には、気候変動などの河川の環境を取り巻く将来的な変化も見据えつつ、日本の原風景である美しい川を引き継いでいくための、川と人との持続的な関わりのあり方について検討を続けるべき。
「持続性ある実践的多自然川づくりに向けて」持続性・将来性

目次
1.はじめに

2.多自然川づくりの現状
 (1)前回提言への対応状況
 (2)河川環境のマクロ評価

3.多自然川づくりの課題
 (1)目標の設定
 (2)技術と取り組み過程
 (3)人材の育成・普及啓発
 (4)持続可能な多自然川づくり
 (5)日本の河川環境の将来像

4.対応方針
 (1)目標の設定
  ①環境目標設定の手法確立と実践展開
 各河川の河川環境の目標設定に向けて、まずは、河川生態系の観点について、「良好な状態にある生物の生育、生息、繁殖環境を保全するとともに、そのような状態に無い河川の環境についてはできる限り向上させる」という目標設定の考え方を基本として、河川の環境を評価する手法を具体化する。
  ②生態系ネットワーク形成の推進
 (2)技術の向上・一連の取り組み過程の徹底
  ①多自然川づくりの技術的なレベルアップ
  ②多自然川づくりの一連の取り組み過程の徹底
  ③多自然川づくりが河川生態系へもたらす変化の把握
  ④多様な分野の学識者等との連携推進
  ⑤技術等の開発
 (3)人材の育成・普及啓発
  ①人材の育成
  ②多自然川づくりアドバイザーの養成
  ③多自然川づくりの普及・啓発
 多自然川づくりが地域で広く認知され、地域の将来にとって大切な価値を生むものであると理解され、社会から求められるものとなることが重要である。そのために、多自然川づくりの基本的な考え方や治水・環境両面の役割と効果について、広く一般の市民に浸透させるためのわかりやすい説明を工夫し、発信する内容や対象などに応じ、現地における表示なども含め、様々な手段を用いて周知を図る。
 川をフィールドとして活動している市民団体等と連携し、市民が継続的に川に親しみを持ち、生き物と触れ合い、地域の歴史や文化を含めた川そのものや川の景観等について学び、理解した上で、市民目線で多自然川づくりに積極的に関わっていくための河川環境教育やその普及・啓発を推進する。
 また、次世代を担う子供たちが川により親しめるよう、河川環境教育の一環として、子供自らが川の自然を調査・研究し、その優れた成果を表彰するなど、子供のやる気を上手に引き出すための仕組みを構築する。
 (4)日常的な環境への取り組みの徹底
  ①河川管理における環境への適切な取り組みの着実な実施
  ②戦略的な多自然川づくり
 (5)持続可能な川づくりのための地域連携の強化
  ①地域社会が支える川づくり
  ②流域住民と一体となった生態系ネットワーク形成
 (6)変化を踏まえた将来の河川像の検討
  ①気候変動や人口減少などの河川を取り巻く状況の変化等の分析
  ②100年後を見据えた人と河川の持続的な関わりのあり方の検討

別紙 河川環境に関する施策等の変遷

『あつまれ! くらかけっこ!』支援 8月23日

くらかけ清流の郷バーベキュー場で開催された『あつまれ! くらかけっこ!』を比企の川づくり協議会のメンバーで支援しました。東松山市主催の行事で市内の小学生と保護者80名が参加し、生け簀で捕まえたマスを子どもたちがさばき、炭火焼きして食べました。
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市民スタッフが担当したミニ水族館は昨日仕掛けたもんどり網などが不漁で大物がとれず残念でしたが、参加者は渡辺さんの話を熱心に聴いていました。
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川遊びは2班に分かれて実施しました。たも網を使ったガサガサも小さなエビがとれる程度でしたが、ライフジャケットを着用して川の水に体を浮かしてみる体験は初めてのこどもこわがらずにできました。終了時に強い俄雨がありましたが短時間であがり、片付も無事にできました。

玉淀ダム 7月29日

六堰頭首工からさらに上流の寄居町にある玉淀ダムです。一昨年の8月30日以来、久し振りです。玉淀ダムの様子は埼玉中央漁協寄居支部のHPの現在の河川状況(荒川玉淀)」で見られます(2015年9月9日2016年8月30日2017年10月23日はゲート全開、今日)。ダム全開放は2015年の前は2007年9月7日だそうです。15・16・17年と3年連続なのは異常なのでしょうか。
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今回はゲートの上を歩いて対岸に渡ってみました。ダムには流れてきたゴミがたまっていました。
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大里用水六堰頭首工 7月29日

午後2時頃の荒川の大里用水六堰頭首工(ろくぜきとうしゅこう)です。一昨年(2016)8月30日の台風10号による大増水ほどではありません。
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大里用水六堰頭首工とは
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川のボランティア体験講座 5月12日

高坂丘陵市民活動センターと児沢で行われた『川のボランティア体験講座』(埼玉県水環境課・市民団体共同主催)に参加しました。歩きながらの生きもの観察の講師は東松山自然倶楽部(ネイチャークラブ)の金子さん、池田さん、児沢のビオトープ池での水生生物観察は川の博物館の藤田さんでした。ビオトープ池にいるエビで「ヌマエビ」だと思いこんでいたものは、外来ヌマエビ類であることなど知りました。
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児沢探検隊の田んぼは代かきをしていて、三本さんから田んぼのお話しをききました。



魚をふやそうシンポジウム 10月14日

嵐山町の国立女性教育会館で10時から開催された比企の川づくり協議会主催『魚をふやそうシンポジウム』に参加しました。基調講演は、丸山隆さんでした。
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埼玉県漁業協同組合連合会(ブログ)

ゴマダラチョウの抜け殻 9月21日

滑川町羽尾の市野川高橋地区で岡本さんの植物調査のお手伝い。エノキに羽化したゴマダラチョウの抜け殻がありました。
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中村智幸『イワナをもっと増やしたい』 9月7日

中村智幸さんの『イワナをもっと増やしたい 「幻の魚」を守り、育て、利用する新しい方法』(フライの雑誌社、2007年12月)の目次です。

 第1章 不思議な魚、イワナ
 第2章 「幻の魚」イワナのプロフィール
 第3章 イワナ研究のフィールドワーク
 第4章 イワナの姿かたちは川や支流ごとに違う
 第5章 謎多きイワナの暮らし(1) 年齢の調べ方、成長、成熟、寿命
 第6章 謎多きイワナの暮らし(2) イワナはいつ、どれくらい移動するのか
 第7章 天然のイワナを守る
 第8章 イワナの種川を残し、守る
 第9章 イワナが産卵床をつくる場所の条件とは何か
 第10章 イワナの人工産卵場のつくり方
 第11章 イワナを守りつつ利用する新しい方法―イワナとヒトの未来
 おわりに
第7章~第11章は、
 第7章 天然のイワナを守る
  それぞれの川固有のイワナを保護する
  「聞き取り調査法」で天然魚の生息分布を推定する
  鬼怒川支流での天然魚の聞き取り調査例
  天然魚は支流の滝や堰堤上流の狭い範囲に生息している 養殖魚を放流すると天然のイワナがいなくなる
  なぜ天然魚を残さなくてはいけないのか?
  漁業法で定められた増殖義務が安易な放流につながった
  放流だけが魚の増殖ではない。漁場管理こそが重要
  保護水面に指定すれば天然魚を守れるか
  今となれば、あえて魚道をつくらないほうがいい堰堤もある
  天然魚が生息している水域の堰堤には、魚道を付ける
  遺伝子解析によって天然魚かどうか判別できそうだ
  遺伝子解析の具体的な手順とは
  できるだけ多くの川で天然魚の分布を調査したほうがよい

 第8章 イワナの種川を残し、守る
  イワナの産卵床は支流に多い
  たくさんのイワナが支流に産卵のために遡上する
  なぜイワナは支流で産卵するのか
  これまで「種川の条件」に関する研究は行われてこなかった
  イワナが産卵遡上する支流の環境条件とは
  産卵床は本流の遡上阻害物の下流に流入する支流や、遡上できる距離が長い支流ほど多い
  イワナの産卵保護のための河川管理方法
  釣り人や漁協にも、できることがある
  「産卵数の多い支流」より「繁殖に適した支流」の条件探しが大切
  禁漁にすると本当にイワナは増えるのか?
  禁漁河川で5年にわたり個体数を調査した
  そして、イワナは、増えた

 第9章 イワナが産卵床をつくる場所の条件とは何か
  産卵場所の細かい環境条件を調べる
  イワナとヤマメでは産卵場所の条件が少し違う
  ヤマメにくらべてイワナはいろいろな場所で産卵できる

 第10章 イワナの人工産卵場のつくり方
  魚の増殖方法は大きく三つ
  なぜ人工産卵場を造成するのか?
  はじめての造成実験
  人工産卵場の造成はそれほどむずかしくない
  造成した人工産卵場で多くのイワナが産卵した
  そして、産みつけられた卵はふ化した
  人工産卵場の造成技術の改良はじめての造成から10年が経過
  人工産卵場をつくるのに適した川の条件がある
  人工産卵場のつくり方の実際
  人工産卵場の耐久性、周囲の景観との調和
  人工産卵場造成のハウ・ツービデオがある
  河川管理者の許可は必要か?
  造成費用はいくらかかるのか?
  一か所あたりの造成費用は31,500円から 42,000円
  もっと安く造成する方法がある
  人工産卵場の増殖効果と、養殖イワナとの金銭的比較
  人工産卵場には天然魚や野生魚の産卵を助ける働きがある
  人工産卵場の造成は子どもの環境教育にも役立つ
  人工産卵場の造成はあくまで「次善の策」にすぎない

 第11章 イワナを守りつつ利用する新しい方法 イワナとヒトの未来
  川をゾーニングして、イワナを守りつつ、釣りを楽しむ
  新しいゾーニングを提案します
  川を釣りで高度利用する具体例のあれこれ
  放流方法の違いによるゾーニング
  群馬県の上野村漁協さんのゾーニング管理
  長野県の志賀高原漁協さんのゾーニング管理
  イワナを、守り、増やし、釣りに利用する方法は、たくさんある
  水源の森林を保全している漁協さんもいる

日本魚類学会自然保護委員会(HP) 開催したシンポジウム

工事用重機によるウグイの人工産卵場造成(埼玉県HP)

群馬県水産試験場『水試だより』45号(群馬県HP)
  【特集】放射性セシウムが群馬県に生息する魚類に与えた影響
  【水産行政から】温水性魚類を中心とした人工産卵床のつくり方
  【人工産卵床の主な長所と短所】
    【コイ・フナ、ウグイの人工産卵床のつくり方および留意点】
    【人工産卵床のつくる際の注意点】

※「日本で鯉放流が問題であるという事実がようやく大手マスコミで報道される」(『緩いロゴスblog』2017.05.18)

※「オイカワの産卵床造成と保護」(『入間漁協の活動報告』2016.07.17)

※「魚類資源保護のための石倉設置」(『岩殿満喫クラブ 岩殿 Day by Day』2016.05.17)

※「すみ場地図を基礎にしておこなう生態系保全の方式」(1)、(2)、(3) 
   櫻井善雄さん『水辺の環境学④ 新しい段階へ』紹介
    『岩殿満喫クラブ 岩殿 Day by Day』(2016.07.31)

※「槻川をきれいにする会 保育園児がウグイを放流(更新) 2011年6月
※「嵐山釣友会「釣り大会」 1953年9月」(『菅谷村【現嵐山町】報道』37号、1953年9月)
※「嵐山釣友会「釣り大会」 1954年9月」(『菅谷村【現嵐山町】報道』50号、1954年9月)
    『GO! GO! 嵐山3 嵐山ふるさと塾・チーム嵐山

樹木調査手伝い 9月4日

9月23日に計画されている市野川水系の会イン滑川町(代表:木村さん)のイベントの準備で、岡本さんの樹木調査のお手伝いをしました。キツネノカミソリの群生地で、ハルニレの大木があります。
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 市野川高橋上流の風景

※高橋周辺は2012年頃(ブログ『GO! GO! 嵐山3』)とは大きく変わりました。

※2014年8月10日のキツネノカミソリ鑑賞会の記事

新宿小3年生の校外授業支援 7月14日

東松山市立新宿小学校3年生の校外授業「市野川探検隊〈水辺観察会〉」に参加しました。雨雲が市内を横断し、パラパラと雨が降りましたがすぐに止みました。子どもたちは全員ライフジャケットをつけ、川遊びを楽しんでいました。
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巌窟ホテル、岩室観音堂が背景です。

新宿小6年生の理科総合授業支援 7月6日

新宿小学校6年生の理科総合授業を支援し、市野川右岸、旧流れ川橋高水敷内で、前日に仕掛けた魚採り網、もんどり網を引き上げ川の生きもの調査、体育館でパックテスト(COD)を使って市野川、滑川、都幾川の水質判定をしました。
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河川見学会 6月24日

比企の川づくり協議会主催第17回河川見学会に参加しました。「川のまるごと再生事業とくらかけ清流の郷の、まちづくり」をテーマに唐子地区市民、東松山市役所都市計画課、環境保全課、埼玉県事務所(河川砂防部)職員など多数の参加者があり盛況でした。
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市野川・滑川・都幾川の水質調査 6月3日

比企の川づくり協議会の水質調査に参加しました。測定結果は、NPO法人荒川流域ネットワークの2017年度荒川流域水質一斉調査(身近な水環境の全国一斉調査)にまとめられます。調査地点10箇所は昨年と同じ場所です(滑川下流1箇所、月中川1箇所、市野川下流4箇所、都幾川下流4箇所)。採水地点で気温、水温、におい、にごりの有無を判定し、くらかけ清流の郷の四阿でペットボトルに採水してきた水のCOD(Chemical Oxygen Demand、化学的酸素要求量、化学的酸素消費量、値が大きいほど水中の有機物が多いことを示す)、EC(Electric Conductivity、電気伝導度、電気伝導率、もともと伝導率の低い水が汚染されると伝導率が上昇する)を測定しました。
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矢来堰の復旧工事(続報) 3月22日

19日の続報です。工事が終わったのでしょうか。重機が水中ポンプを運びだしていました。ゲートがひき上げられて矢来用水に都幾川から水が流れていました。
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都幾川矢来堰の復旧工事 3月19日

昨年8月29日、台風10号による洪水で堰堤の中央部の蛇籠が10mにわたって壊れた矢来堰の工事が行われています。毎日、都幾川上流にかかる唐子橋を車で渡る時に、横目でチラッと見ていますが、今日は左岸まで行ってみました。
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※ブログ『GO! GO! 嵐山 3』の2010~12年の写真「矢来用水堰を含む記事

越辺川・都幾川に自然遡上のアユを復活させるために 3月12日

3月12日(日曜日)、NPO法人荒川流域ネットワーク主催「第21回荒川流域再生シンポジウム -越辺川・都幾川に自然遡上のアユを復活させるために-」が国立女性教育会館(嵐山町菅谷728)で開催されます。

第21回 荒川流域再生シンポジウム
 ~越辺川・都幾川に自然遡上のアユを復活させるために~
日時:2017年3月12日(日)12:30開場 13:00開始

会場:国立女性教育会館大会議室

開催内容:

活動報告①2016年度の菅間堰魚道の標識アユ遡上調査についての結果報告
 報告者:金澤光(埼玉県環境科学国際センター自然環境担当主任専門員)

活動報告②新河岸川水系におけるアユの生息調査報告と秋ヶ瀬堰の仔アユ流下誘導案
 報告者:佐藤正康(埼玉南部漁業協同組合朝霞支部長)

活動報告③2016年度の荒川流域一斉水質調査の結果報告とGoogle マップを使った情報の共有化
 報告者:渡邉勇(荒川流域ネットワーク水質担当理事)

事業報告④「川の国埼玉はつらつプロジェクト」での魚道設置事業について
 報告者:埼玉県東松山農林振興センター事業担当

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 越辺川・都幾川の遡上環境改善の協力体制について ほか

16:30 終了

共催団体: NPO 法人荒川クリーンエイド・フォーラム/ NPO 法人熊谷の環境を考える連絡協議会/NPO 法人さやま環境市民ネットワーク/ NPO 法人荒川の自然を守る会/鴻巣の環境を考える会/鶴ヶ島の自然を守る会/新河岸川水系水環境連絡会/認定NPO 法人ふるさと東京を考える実行委員会/比企の川づくり協議会/入間川ビオトープネットワーク研究会・NPO 法人比企自然学校/市野川水系の会イン滑川/児沢探検隊/もりんど 

後援:国土交通省荒川上流河川事務所

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レンガ造りの前吐樋管 1月9日

前樋管の上流右岸にあるレンガ造りの水門です。上用水の水位が上昇して前樋管の通水能力を越えた時、樋管入口の鋼製ゲート(A)を上げます。水は矢来門樋󠄀の下流左岸にある上がヒンジで固定された板(フラッグゲート)の樋管出口(B)を通り、下流の矢来用水に排水されます。
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前樋管についてもフカダソフトさんの『気まぐれ写真館』の「前吐樋管」を閲覧して下さい。

 土木学会では、幕末以降、西洋の近代土木技術が導入されてから第二次世界大戦頃までにつくられた土木施設のうち、現存しているものを近代土木遺産と定義し、全国調査を行っています。その結果、全国で約2,300件が確認され、それらをまとめた「日本の近代土木遺産-現存する重要な土木構造物2000選-」が2001年に、『日本の近代土木遺産(改訂版) 現存する重要な土木構造物2800選』が2005年に出版され、その後も毎年、推薦および一般公募により、年間20件程度の推奨土木遺産を選出されています。例えば2010年には幸手市の権現堂川用水樋管群が選ばれています。東松山市内にあるレンガ造りの水門群も近代土木遺産として保全されていくことを願っています。

竹林征三、島谷幸宏、天野邦彦 「歴史的土木文化遺産の評価と保存の考え方」 (『土木史研究』15、1995年、289-298頁)

宍戸勇気、深堀清隆、窪田陽一、三ツ畑紀子 「埼玉県に現存する煉瓦水門の景観特性と歴史的印象」( 『土木史研究』26、2006年、267-274頁)



レンガ造りの前樋管 1月8日

都幾川の左岸を流れる上用水の前樋管。矢来門樋󠄀に隣接してあります。1903年に造られたレンガ製の通水施設。
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上用水は都幾川の矢来堰に至る通路の下を通り、下流の堰で2方向に分水されます。
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※前樋管についてもフカダソフトさんの『気まぐれ写真館』の「前樋管」を閲覧して下さい。

※埼玉県のレンガ造りの水門に関わる資料は、『気まぐれ写真館』の「埼玉県の煉瓦水門」サイトの「参考文献」からたどれます。リストにある是永定美さんの論文は、公益社団法人土木学会HPの論文30万件を収録している土木学会学術論文等公開ページの「土木史研究講演集」から閲覧できます。

是永定美「関東地方の煉瓦造水門に関する研究-分布ならびに明冶30年代初頭の設計書-」(『土木史研究』15、1995年、499-510頁)

是永定美「関東地方における煉瓦造水門の研究」(『土木史研究』16、1996年、491-506頁)

是永定美「明治期埼玉県の煉瓦造・石造水門建設史」(『土木史研究』17、1997年、37-48頁)

是永定美「関東地方の煉瓦造水門建設史-土木技師笠井愛次郎と井上二郎-」(『土木史研究』18、1998年、287-302頁)

是永定美「関東地方の煉瓦造水門建設史-煉瓦造「備前渠樋管」と官営「富岡製糸場」の関係-」(『土木史研究』19、1999年、261-270頁)

レンガ造りの矢来門樋󠄀 1月6日

都幾川の上用水堰から取水する上用水路のレンガ製の排水施設で1903年に造られました。川表側の木製のスィングゲートを抜けて、矢来用水に排水されます。
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矢来門樋󠄀については、フカダソフトさんの『気まぐれ写真館』の「矢来門樋󠄀」を閲覧して下さい。
気まぐれ写真館』は埼玉県を流れる河川についてネットで調べようとした時にまず閲覧すべきサイトです。
「埼玉県の煉瓦水門」のサイトは300頁弱の記事量があるので、「サイトの構成」のページをまず訪問することをおすすめします。「埼玉県の煉瓦水門~ レンガ造りの樋門・樋管・堰(市町村別の分布)」もあります。

レンガ造りの宮裏両樋(茨城県下妻市) 1月4日

茨城県下妻市本宗道(ほんそうどう)の宗任神社(むねとうじんじゃ)の裏手にあります。鬼怒川左岸の栃木県真岡市上江連を水源とし、鬼怒川と小貝川に挟まれた地域の灌漑用として設けられた江連用水(えづれようすい)の旧分水施設で、1900年(明治33)にレンガ造りへ改築されました。江連用水の流路が変更されたため現在は使用されていません。
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千代川村生活史・迅速図千代川村生活史・本宗道1
左:本宗道村迅速図(1883年) 右:現況図
迅速図の「宮」の字の南にある橋(宮前橋)は1878年に架設
『村史 千代川村生活史』第2巻地誌(1997年)より

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2015年3月に国の有形文化財に、16年10月に土木学会選奨土木遺産に登録されました。
東松山市にも、レンガ造りの水門(永傳樋管、高畑樋管、奈目曽樋管、矢来門樋、前吐樋管、前樋管、三原樋管、四反田樋管、小剣樋管、鎌田樋管)が残っています。

『技術者のための魚道ガイドライン』(コロナ社) 1月3日

NPO法人 北海道魚道研究会 編・安田陽一著『技術者のための魚道ガイドライン 魚道構造と周辺の流れからわかること』(コロナ社、2011年10月)

【目次】
1. 魚道整備における基本事項
 1.1 魚道整備前に必要な情報・内容
 1.2 魚道設計・施工の考え方
  1.2.1 魚道設計をするときの考え方
  1.2.2 魚道整備の施工の考え方
 1.3 魚道整備後の評価の方法
2. 魚道の施工上の留意事項
 2.1 仮設工事
 2.2 工事現場周辺の河川環境への配慮
 2.3 埋め戻しの留意点
3. 魚道施工後の調査・検証
 3.1 魚道下流側での環境確認
 3.2 魚道内の水理環境の確認
 3.3 魚道周辺の水理環境の確認
 3.4 魚道以外からの降河環境の確認
 3.5 魚道を利用する魚種の確認
 3.6 洪水後の魚道および魚道周辺の状況把握
 3.7 魚道維持・管理環境の把握
4. 既存の魚道のポイント
 4.1 魚道形式・魚道構造
  4.1.1 プール式魚道
   〔1〕プール式矩形断面型魚道
   〔2〕アイスハーバー型魚道 
   〔3〕バーチカルスロット式魚道
   〔4〕ハーフコーン型魚道
   〔5〕傾斜隔壁型魚道
   〔6〕人工岩(擬岩ブロック)による魚道
   〔7〕コンクリートブロック型魚道
   〔8〕台形断面型魚道
  4.1.2 水路式魚道・ストリーム型魚道
   〔1〕デニール式魚道
   〔2〕舟通し型魚道
   〔3〕ブロック式魚道
  4.1.3 自然石を利用した魚道
   〔1〕自然渓流型魚道
   〔2〕アーチ式魚道
   〔3〕粗石ブロック型魚道
   〔4〕階段状魚道
   〔5〕その他の魚道
 4.2 魚道設置形式
  4.2.1 引き込み型魚道
  4.2.2 張り出し型魚道
  4.2.3 張り出し,引き込み構造の中間型魚道
  4.2.4 折り返し型魚道
  4.2.5 バイパス式魚道
  4.2.6 らせん型魚道
 4.3 魚道周辺設備・魚道附帯設備
  4.3.1 スクリーン
  4.3.2 余水吐き・オリフィス板・流入口
  4.3.3 水制工
  4.3.4 流量制御施設
 〈参考資料〉
  1. 魚道の構造
  2. 魚道構造・魚道形式
5. 魚道新設のためのガイドライン
 5.1 事前調査の内容
  5.1.1 既設の河川横断工作物周辺の河川流況
   〔1〕通常時の流況
   〔2〕洪水時の流況
  5.1.2 河川横断工作物周辺の河床形態
   〔1〕河川横断工作物周辺の河床の縦横断勾配
   〔2〕河川横断工作物周辺の河床物質・状況
  5.1.3 河川の水質・濁り
   〔1〕渇水時の水質
   〔2〕平水時の水質・濁り
   〔3〕豊水時(融雪時を含む)の濁り
  5.1.4 水生生物の生態環境調査
   〔1〕対象河川に生息する水生生物
   〔2〕水生生物の生息環境
   〔3〕水生生物の産卵環境
   〔4〕水生生物の移動環境
  5.1.5 河川周辺の環境
   〔1〕魚道設置予定地周辺の土砂生産源の有無
   〔2〕魚道設置予定地周辺の渓畔林,河畔林の分布状況
   〔3〕魚道設置予定地周辺の人工構造物の実態調査
  5.1.6 魚道整備の価値判断
   〔1〕魚道整備の必要性がないと判断できる場合
   〔2〕魚道整備の必要性があると判断できる場合
 5.2 魚道設計に必要な情報
  5.2.1 魚道設置位置
  5.2.2 魚道形式の選択
  5.2.3 魚道規模(魚道幅,魚道長)
  5.2.4 魚道内への流入量
  5.2.5 魚道流入口・魚道流出口
   〔1〕魚道流入口での配慮事項
   〔2〕魚道流出口での配慮事項
  5.2.6 魚道側壁および導流壁
   〔1〕側壁の配慮事項
   〔2〕導流壁の配慮事項
  5.2.7 降河対策
   〔1〕魚道内の対策
   〔2〕魚道外の対策
  5.2.8 新設の河川横断工作物周辺の流況の推定
   〔1〕通常時の流況
   〔2〕洪水時の流況
  5.2.9 迷入対策
  5.2.10 魚道の維持管理施設
 魚道新設設計フローチャート
6. 魚道改良のためのガイドライン
 6.1 事前調査の内容
  6.1.1 魚道が設置された河川横断工作物周辺の流況
   〔1〕通常時の流況
   〔2〕洪水時の流況
  6.1.2 河川横断工作物周辺の河床形態
  6.1.3 河川の水質・濁り
  6.1.4 水生生物の生態環境調査
  6.1.5 河川周辺の環境
  6.1.6 魚道改良整備の価値判断
 6.2 魚道設計に必要な情報
  6.2.1 魚道設置位置
  6.2.2 魚道形式の選択
  6.2.3 魚道規模(魚道幅,魚道長)
  6.2.4 魚道内への流入量
  6.2.5 魚道流入口・魚道流出口
   〔1〕魚道流入口での配慮事項
   〔2〕魚道流出口での配慮事項
  6.2.6 魚道側壁および導流壁
   〔1〕側壁の配慮事項
   〔2〕導流壁の配慮事項
  6.2.7 降河対策,洪水流の減勢対策,迷入対策
  6.2.8 魚道の維持管理施設
 魚道改良設計フローチャート
引用・参考文献
索引

本書で用いたおもな用語の説明
◆稚魚 (略)
魚道流出口魚道流入口
 これまでの魚道に関する文献の多くは、魚道の下流端を「(魚道)入口」、上流端を「(魚道)出口」としている。しかしながら、これはあくまでも魚類などの遡上行動を前提とした呼び方であろうと考える。本書では、魚類などの降河対策をも重視して相当な紙幅を割いている。降河魚を対象とした場合は、従来からの名称とは逆の表記となってきわめて不都合である。このため、本書では「水の流れ」を基本にして、従来からの魚道入口を魚道流出口、従来からの魚道出口を魚道流入口と表現している。
◆礫 (略)
◆改良、改善
 本書では、構造を良くする場合は改良、環境(状態)を良くする場合は改善と表現している。
◆島嶼部 (略)

※農林水産省農村振興局整備部設計課監修『「頭首工」の魚道設計指針 よりよき設計のために』(公益社団法人 農業農村工学会発行、2014年3月)では、魚道上り口魚道下り口
1.3 魚道の定義
 魚道とは、魚類等の移動に支障があるような場合、移動を容易にするために造られた施設の総称であり、魚道本体(魚道上り口(のぼりぐち)から下り口(おりぐち)まで及び附帯施設から構成される。
 なお、魚道上り口とは遡上する魚類等の入口、すなわち魚道の下流端のことであり、魚道下り口とは降下する魚類等の入口で魚道の最上流端のことである。(1頁)
矢来堰・中山堰・出丸堰見学 11月26日

埼玉県川の再生交流会(2017年2月4日) 12月22日

埼玉県主催で川の再生活動を行っている市民の交流を深めていくための「川の再生交流~流域でつながる 次世代とつなげる~」が、2017年2月4日(土曜日、10時30分~16時)、さいたま市民会館うらわ(さいたま市浦和区仲町2-10-22、JR浦和駅西口から徒歩7分)で開催されます。

【午前の部】
◆受付開始 10時00分
◆10時30分~12時15分(場:ホール) (司:埼玉県立浦和第一女子高等学校 アナウンス部)
 ○オープニングコーラス(埼玉県立松山女子高等学校 音楽部)
 ○活動事例発表 (学校法人佐藤栄学園栄東高等学校 理科研究部)
 ○国・県と地域の連携
①川のまるごと再生プロジェクト、水辺再生100プラン事業の報告 (県土整備部水辺再生課/埼玉県河川環境団体連絡協議
②荒川の再生事業と川の国応援団、埼河連の連携(三ッ又沼ビオトープと荒川太郎右衛門地区自然再生協議) (国土交通省荒川上流河川事務所/荒川の自然を守る

【午後の部】
◆13時30分~15時30分(場:各集室)
 ○分科(事例発表・意見交換等)
第1分科:綾瀬川・芝川流域分科
 テーマ<清掃活動、学習活動、水質改善排水マナー、お楽しみイベント>
第2分科:中川・古利根川流域分科
 テーマ<流域の川づくり、美化活動、農水路保全、環境学習>
第3分科:元荒川流域分科
 テーマ<美化活動、魚の保全、歴史をつなぐネットワークづくり>
第4分科:新河岸川流域分科
 テーマ<湧水を生かした川づくり、河畔林の保全、アユの川のモデルに>
第5分科:不老川流域分科
 テーマ<30年の活動を振り返る、文化と歴史をつなぐまちづくり、新しいネットワーク>
第6分科:北部・西部(比企・秩父・本庄)流域分科
 テーマ<川づくりと環境保全(自然と心を結ぶ川づくり)>
第7分科:学生交流分科
 テーマ<水辺(水辺をフィールドに様々な活動をしている学生主体の分科)>
◆15時45分~16時00分(場:ホール)
 ○まとめ
 ○閉
埼玉県河川交流会(20170204)_ページ_1埼玉県河川交流会(20170204)_ページ_2

矢来堰・中山堰・出丸堰見学 11月26日

比企の川づくり協議会の第16回河川見学会に参加しました。埼玉県が2008年から実施したみどりと川の再生事業が、今年から川の国埼玉はつらつプロジェクト推進事業となりました。今年度は、魚道整備及び工事に伴う「調査・設計・測量」が、矢来堰(都幾川)、中山堰・出丸堰(越辺川)で実施されるので、行政・地域住民・漁協・市民団体が一緒に見学しよういう企画です。

東松山市民文化センター玄関前集合
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矢来堰(左岸から見学)
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右岸から前日25日撮影
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※HP『きまぐれ旅写真館』さんの記事「都幾川の斜め堰

※BLOG『GO! GO! 嵐山 3』の2010~12年の写真「矢来用水堰を含む記事

中山堰
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※HP『きまぐれ旅写真館』さんの記事「越辺川-赤尾落合橋の周辺

※BLOG『GO! GO! 嵐山 3』の「中山堰・天神橋(越辺川)2010年10月

※当ブログの「空から見た越辺川1 中山堰 2016年2月

出丸堰
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※HP『きまぐれ旅写真館』さんの記事「八幡橋の詳細

※BLOG『GO! GO! 嵐山 3』の「空から見た川島町35 八幡橋・出丸堰 2011年5月

午後は市民文化センターで意見交換会
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当日の詳細は比企の川づくり協議会のホームページ記事をご覧ください。


市野川にモンドリ網をしかける 11月10日

比企の川づくり協議会は12日(土曜日)に吉見の百穴前で開催される第13回ふれあい市野川クリーンアップ作戦で川の生物展示を担当しています。渡辺さん、山本さんと生きもの採取のため、百穴前にモンドリ網、定置網をしかけました。
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当日の記事は比企の川づくり協議会HP

昼食に立ち寄ったいなほてらす(東松山農産物直売所)にたくさんの案山子が展示されていました。
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第11回野本かかし祭りコンテストで話題賞になった野本地区民生児童委員協議会の「Mr.トランプ」。

宮ヶ谷戸前堰(都幾川) 9月17日

台風9号による8月22日の洪水、その後の降雨による増水で宮ヶ谷戸前堰の堰下は河床の洗掘が一挙に進んだようです。
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左岸の護岸破損箇所には大型土のうが置かれています。

6月18日、8月23日の写真

※8月、9月の降水量(ときがわ町)
8月2日8.0㎜、3日2.5㎜、16日12.0㎜、17日5.0㎜、18日8.0㎜、19日24.0㎜、20日19.5㎜、21日0.5㎜、22日211.0㎜、23日0.5㎜、24日0.5㎜、27日61.5㎜、28日15.0㎜、29日42.0㎜、30日37.5㎜。
9月2日0.5㎜、3日5.5㎜、4日24.5㎜、7日4.0㎜、8日13.0㎜、12日19.0㎜、13日42.0㎜、14日1.5㎜、15日1.5㎜、16日3.5㎜。



ときがわ町花菖蒲園前飛び石工周辺生きもの調査 9月17日

ときがわ町玉川の花菖蒲園と玉川小学校の間を流れる都幾川の飛び石工周辺の生きもの調査(比企の川づくり協議会)に参加しました。
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調査の概要については、比企の川づくり協議会HPの記事で確認して下さい。

「川とそこにすむ生物を見る」目次 9月14日

リバーフロント整備センター編著『まちと水辺に豊かな自然をⅡ 多自然型川づくりを考える』(山海堂 1992.3)の第Ⅰ編の目次です。
まちと水辺に豊かな自然をカバー

Ⅰ.川とそこにすむ生物を見る

 1.川を見
  川の形を見る
  ●流れ下る川の姿
  ●川の流れの作用
  ●河床の変動を知る
  ●河床の姿をみる
  ●ミクロな川の姿
  (コラム)わが国の河川特性

  瀬と淵を見る
  ●自然の川には瀬と淵がある
  ●河川生態学から見た瀬・淵の類型
  ●砂州と瀬・淵

  水環境を見る
  ●流れる川の水を見る
  ●水量を知る
  ●水質を知る
  (コラム)正常流量と環境基準

 2.川にすむ生物を見る
  川にすむ生物
  (コラム)植物・動物
  (コラム)川にすむ生物の調査法

  川の魚
  ●川の魚の分類
  ●分布
  ●川の魚の生活
   (1)生活のサイクル
   (2)餌のとり方
   (3)産卵
   (4)休息・避難場所など
  ●魚に必要な川の環境

  川の植物
  ●川の植物群落の分類
   (1)群落の区分
   (2)植生の分類
  ●群落の分布と環境
   (1)自然植生の成立ち
   (2)半自然植生の成立ち
   (3)帰化植物群落の成立ち
  ●植生に必要な河川環境

  川の鳥
  ●川の鳥の分類
  ●分布
  ●川の鳥の生活
   (1)生活のサイクル
   (2)餌のとり方
   (3)繁殖
   (4)ねぐら(塒)
  ●鳥に必要な川の環境

  その他の川の動物
  ●分類
   (1)水中の動物
   (2)川辺の動物
  ●その他の川の動物の生活
   (1)生活のサイクル
   (2)餌のとり方
   (3)繁殖
  ●その他の川の動物に必要な川の環境


Ⅱ.生物にやさしい川の姿/多自然型川づくりを考える

 1.多自然型川づくりの理念と背景
 2.海外における多自然型川づくり
  スイスやドイツにおける多自然型川づくり
  カナダにおける遡河回遊魚のための川づくり
 3.伝統的河川工法
 4.多自然型川づくりを考える
  (コラム)ビオトープ
  (コラム)河道内の樹木

Ⅲ.多自然型川づくりの事例

Ⅳ.多自然型川づくりを始めるにあたって

参考資料 スイスの多自然型河川工法

まちと水辺に豊かな自然を18頁

ぐんまの魚の生息環境を考える日本一のアユを取り戻す会 公式ホームページから)

  (1)ぐんまの魚の生息環境を考える
  (2)川の流量について
  (3)河川水の水質について
  (4)(5)河川水の水温について
  (6)瀬と淵について
  (7)淵と瀬を取り戻す
  (8)川岸を考える
  (9)河床を考える
  (10)ヤリタナゴの小溝
  (11)おわりに

水野信彦『魚にやさしい川のかたち』目次

比企の川づくり協議会は、週末17日(土曜日)9時~「都幾まるごと再生事業整備後生き物調査」をときがわ町玉花菖園前の都幾川で実施します。河川改修や洪水によって淵や川原、生きものの生息環境がどう変わったのかなど調べます。今日は秋雨で農作業はお休みして水野信彦『魚にやさしい川のかたち』(信山社, 1995.11)を読んでみました。
魚にやさしい川のかたち

 魚にやさしい川のかたち 水野信彦著
1.瀬と淵
 1.1 淵と瀬は夫婦
 1.2 夫婦は一心同体
 1.3 淵の現状と漁場価値
2.淵の水深の重要性
 2.1 淵を消失させる理由
 2.2 淵の保全策
3.淵の水深の重要性
 3.1 深い淀みと浅い淀み
 3.2 トロを淵に変える
 3.3 淵と早瀬の一体性など
4.淵の型およびR型の淵
 4.1 淵のいろいろな型
 4.2 R型の淵と大石の除去
 4.3 巨石の投入事業A
 4.4 巨石の投入事業B
5.S型の淵と魚
 5.1 S型の淵と床止めの堰堤
 5.2 魚道は不要
6.堰堤とS型の淵の活用
 6.1 長野県農具川の例
 6.2 高知県新別川の例
 6.3 欧米での例
7.堰の平面図と流れの関係
 7.1 堰の平面形と流れの関係
 7.2 島根県髙津川の例
8,川岸の形と護岸
 8.1 三方護岸
 8.2 用水路の三方護岸
 8.3 用水路での問題点
 8.4 急勾配河川での三方護岸
9.側方護岸の魚巣ブロック
 9.1 側方護岸の漁業被害
 9.2 河道と護岸
 9.3 魚巣ブロック
10.木と石の護岸
 10.1 木と石の護岸
 10.2 近自然河川改修法
 10.3 樹木の効用
11.魚の移動と魚道
 11.1 川魚は移動する
 11.2 魚道を不要にする工夫
12.魚道の問題点
 12.1 アユのためだけでない魚道
 12.2 魚道の前後の問題
13.おわりに
 13.1 欧米の河川改善
 13.2 欧米と日本との相違

資料(Ⅰ)淵の造成と漁場
資料(Ⅱ)河川改修の影響予測
資料(Ⅲ)魚類調査
資料(Ⅳ)淡水魚の生態
資料(Ⅴ)淀川下流域の水質汚濁と魚類の分布
 8月23日午後4時半頃の現場(前の日は台風9号が通過。ときがわ町の降水量は211.0㎜)
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玉淀ダムはゲート全開放(荒川・寄居町) 8月30日

台風10号の降雨で玉淀ダムはダムゲートを全開放していました(折原橋、荒川左岸から30日18時頃撮影)。ダム全開放は昨年2015年9月9日以来です。その前の全開放は2007年9月7日、首都圏を直撃して東日本を縦断した台風9号の増水の時だそうです。
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玉淀ダム(埼玉県HP)

玉淀ダム全開放埼玉中央漁協 寄居支部HP

洪水の大里用水六堰頭首工(荒川・重忠橋) 8月30日

大里用水六堰頭首工(ろくせきとうしゅこう)を荒川左岸(深谷市永田)から撮影しました。台風10号の影響で大増水しています。
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六堰頭首工って何?埼玉県HP

※デジブック『なるほど!大里用水』

大里用水土地改良区HP

台風後の都幾川(和田橋下流) 8月23日

6月18日、比企の川づくり協議会で見学・調査した都幾川飛び石など施工区間の台風9号通過後1日の写真です。左岸から撮影しました。

 8月23日
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 6月18日
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※埼玉県の「川のまるごと再生プロジェクト」により整備された「ときがわ水辺の道」の散策には、ときがわ町役場建設環境課発行のリーフレットを携行すると便利です。
ときがわ水辺の道

台風後の都幾川(新玉川橋下流) 8月23日

6月18日、比企の川づくり協議会で見学・調査した都幾川飛び石など施工区間の台風9号通過後1日の写真です。右岸から撮影しました。

 8月23日
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 6月18日
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台風後の都幾川(宮ヶ谷戸前堰下流) 8月23日

6月18日、比企の川づくり協議会で見学・調査した都幾川飛び石など施工区間の台風9号通過後1日の写真です。右岸から撮影しました。

 8月23日
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 6月18日
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台風後の都幾川(宮ヶ谷戸前堰) 8月23日

6月18日、比企の川づくり協議会で見学・調査した都幾川飛び石など施工区間の台風9号通過後1日の写真です。右岸から撮影しました。左岸の護岸が破損しています。
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 8月23日
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 6月18日
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台風後の都幾川(店下堰下流) 8月23日

6月18日、比企の川づくり協議会で見学・調査した都幾川飛び石など施工区間の台風9号通過後1日の写真です。左岸から撮影しました。

 8月23日
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 6月18日
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台風後の槻川(秩父東小学校前) 8月23日

7月31日、比企の川づくり協議会で見学・調査した槻川の飛び石など施工区間の台風9号通過後1日の写真です。左岸から撮影しました。

 8月23日
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 7月31日
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台風後の槻川(切通橋下流の流れ橋) 8月23日

7月31日、比企の川づくり協議会で見学・調査した槻川の飛び石・河川横断構造物など施工区間の台風9号通過後1日の写真です。右岸から撮影しました。上流に旧流れ橋があります。橋桁は大水になると橋脚からはずれて流されますがロープで繋留されていて復旧が容易です。

 8月23日
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 7月31日
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台風後の槻川(下里割谷橋下流) 8月23日

7月31日、比企の川づくり協議会で見学・調査した槻川の飛び石施工区間の台風9号通過後1日の写真です。左岸から撮影しました。対岸に北向不動があります。

 8月23日
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 7月31日
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境川上流の蛇行流路を見学 8月8日

町田市(東京都)と相模原市(神奈川県)の境を流れる境川上流部の蛇行流路を見学しました。
多自然川づくりの参考事例、多自然型工法として紹介されている場所です。
境川(多自然川づくり参考事例集10)境川(多自然川づくり参考事例集11)多自然型工法

相模原市立宮上小学校北側は川幅が広く川原やワンドがあり、こどもが川に入って遊んでいました。
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写真7・8・9が宮上小北側です。
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写真4・5の蛇行部分
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この地域の境川の河道の航空写真はヤフーマップがおすすめです。


蛇行部分は上流の西側、地図を左に移動してください。

多自然型川づくりの事例:境川(相模原市)

多自然川づくりの事例としてとりあげられることが多い境川は、東京都、神奈川県を流れ相模湾に注ぐ2級河川です。上流部は概ね東京都と神奈川県の境を流れており、かつての武藏国と相模国との国境を流れることから境川、八王子街道(大山街道、国道16号線))が境川をわたる橋は両国橋、橋の南側にある宿は橋本(相模原市緑区橋本地区)と命名されています。

島谷幸宏『河川環境の保全と復元 多自然型川づくりの実際』(鹿島出版会、2000年)は多自然川づくり分野の基本図書です。
1
「第4章保全・復元の際の基本的考え方」にのコラムで川の蛇行部と河畔林を残すことができた例として境川が取り上げられています。

 コラム6 治水計画と自然環境保全の例(境川)
 現在の環境が良好な場合は、その環境をどのようにして保全するのかが重要となる。河岸に河畔林が残っている境川を例に考えてみたい。境川は神奈川県と東京都の境界の洪積台地上を開削して流れる、神奈川県が管理する掘込み河川である。以前は相当の区間で河畔林があったが、現状では2㎞の区間のみが河畔林が存在する区間になっている。また大きな蛇行部が存在することも特徴である。この河畔林の保全をめぐって、河畔林管理者である神奈川県と境川の斜面緑地を守る会の間で議論がなされた。当所の計画案は計画流下能力60立米/秒を確保するために河道を直線化し、断面の拡幅、護岸を設置する計画であった(図4-1)
 当所の改修計画のインパクトとしては、河畔林やニリンソウなどの林床植物の生育地になっている天然河岸の消失、魚類のハビタットとしての重要な湾曲部の喪失かあげられる。これらのインパクトは、河畔林からの落ち葉や落下昆虫など餌物質を減らすことにもつながり、エネルギーフローにも影響を与える。また河畔林の伐採は、光環境を変え林床植物に影響を与える。元凶の環境が良好なときのインパクト軽減策としては、回避、低減が基本である。境川では、なるべく蛇行部や河畔林を残すことを基本に、いくつかの代替案に対して流下能力の詳細な検討がなされ、天然河岸の強度がどのくらいあるかを調べるためのボーリング調査が行われ、蛇行部分がほとんど残ることになった(図4-3)。一部河畔林が伐採される林床植物は移植されることとなったが、河川沿いの樹林地の樹木を間引き光環境を改善してから移植することとなった。(39~40頁)
図4-1 当初案(河道の直線化、断面の拡幅、護岸の設置により、天然河川の湾曲部が消滅する)
図4-2 ショートカット案
図4-3 決定案(川の蛇行と河畔林を残すことができた。黒い部分が拡幅する部分)
2

境川は図の右側から左側に流れ、右側に国道16号線、両国橋、中央の蛇行部に計画された「管理橋」は現在、「横町橋」となっています。
7

「多自然型川づくり」は型がとれて現在は「多自然川づくり」となり、『多自然かわづくりポイントブックⅢ 中小河川に関する河道計画の技術基準;解説 川の営みを活かした川づくり ~河道計画の基本から水際部の設計まで~ 』(日本河川協会、2011年)で、境川は18、29、30、55、97頁などでとりあげられています。

NPO法人境川の斜面緑地を守る会のホームページ

不自然型川づくりがみられる理由 8月1日

桜井善雄さんの『水辺の環境学④ 新しい段階へ』 (2002年)の「第2章新しい仕事」の「多自然型川づくりの道程」(81~85頁)からです。

 わが国の河川は、その自然性と社会性からみて実に多様である。したがって生きもののためにせよ、地域社会のためにせよ、その川の環境の特性を生かした整備をおこなうには、かなり高度の知識とセンスが必要である。このような事業が始まってもう10年以上も経過するのに、いまだに上記[土砂で埋まった魚道、渓流の脇に渓流をまねた水路、ホタルが住めないホタル水路、埋まった人工ワンド、浮遊物がたまって腐敗したワンド]]の類いの不自然型川づくりがみられる理由としては、

①担当者の交代が頻繁過ぎて対象水域の特性の理解が不十分のまま、計画が民間業者まかせになりやすい
②対象河川についての生態学的情報が不十分か、またはあっても活用されず、さらに生態の専門家の一貫した協力がない
③理にかなった事業から予算が決まるのではなく、予算が事業の規模・内容を決めることもある
④生態学や川の自然の法則からみて、その場所にとって必然性のある計画や工法を選ぶのではなく、自然らしく見せたいという思いつきが先に立つ

 また地方の市町村などでしばしば聞くことであるが、

⑤首長や議員などの有力者が、思いつきや地元への点数稼ぎのために、担当者としては無視することができない素人考えの口出しをし、時には圧力をかける
⑥その事業を遂行するために、地域や水路の利用権をもつ関係団体からの不合理な意見を取り入れざるをえないこともある

等々があげられるように思う。(84~85頁、強調は引用者)

川の環境民主主義 8月1日

桜井善雄さんの『水辺の環境学④ 新しい段階へ』 (2002年)の「第1章新しい視点を」の「川の環境民主主義(33~37頁)からです。

 ついひと昔前まで、ごく身近な不都合でもない限り、人びとは川の改修や管理について、積極的な意見をもつことも言うこともなく、すべて管理者すなわち御上まかせであった。しかし近年になって国海外の環境問題の激化を反映して、わが国でも、川の自然環境を守ろうという意識が急速に高まり、そのような時代の背景の中で、河川管理に住民の意見を反映させるという条項が、新しい河川法[1997年改正]に盛り込まれた。
 前の節[「脱ダム宣言」]で環境民主主義という言葉を使ったが、最近の関連した出来事[2000年吉野川第十堰の可動堰化の是非を問うた住民投票]をめぐって、このことをもう一度考えてみたいと思う。(33頁)

 したがって、この種の事業の可否に関する民主的な判断には、河川管理者と住民が、洪水による災害の可能性とその防御に関する情報と理論を共有し、その対応策をさまざまな選択肢の中から選ぶ過程が、どうしても必要である。このような過程は、新しい河川管理計画の検討に意識的に取り入れられるべきものであり、本来それは、河川管理者と住民の間に置かれた白紙から出発し検討されるものであるから、そこに討論はあっても、根本的な対立は原則としてありえないはずである。
 とはいえ、どんな水系でも、環境保全との折り合いを模索しながら総合的な治水・利水計画を立てるには、かなりの専門的な知識と基礎データが必要である。ここでは、住民がそれをすべて理解しなければならないと言っているのではない。河川管理者には、このことについて十分かみ砕いて説明する責任があるし、住民もまた客観的な立場にある専門家の協力をえて、積極的に理解につとめ、それにもとづいて地域の河川管理計画の策定に参加し、発言してゆくのでなければならない。説明が不十分な一方的な押しつけや思い込みの強い狭量な発言は、このような双方の努力を撹乱し妨げこそすれ、貢献するところは極めて少ない。最初から白か黒かの立場にこだわった議論ではなく、そこには民主的な討論を通じて合理的な折り合い点を見つけ出す、大乗的な議論がなければならない。
 民主主義は、国民すべての主権の保証と、社会の意思決定への平等な参加が保障される社会のあり方であり、当然一方では義務の自覚が求められる。環境民主主義もその埒外(らちがい)にはない。(34~36頁、強調は引用者)

 さらにもう一歩踏み込んで考えなければならない大切な問題がある。それは、河川管理という目的が明白な事業に対して、なぜ、場合によっては、見当違いな批判や反対が生まれるのか、ということである。
 わが国の公共事業や国際協力事業には、嘆(なげ)かわしいことに、いまだに手を変え品を変えた政治家と業界の癒着と汚職が跡を絶たない。そのことが、公共事業全般について、心ある国民に不信を抱かせる原因になっており、その不信が必要な河川事業に対しても人びとを反対運動に駆り立て、共通の課題であるべきはずの事業そのものについての、もっとも本質的な対話と議論を妨げているのではないだろうか。目の前の現象に惑わされずに物事の本質を見抜く、より広くより深い思考が、今私たちに求められているように思う。(37頁、強調は引用者)

環境民主主義を育てる「政策」 8月1日

桜井善雄さんの『水辺の環境学④ 新しい段階へ』 (2002年)の「第1章新しい視点を」の「脱ダム宣言」(22~32頁)からです。

 わが国の地質、地形、気候、土地利用(国民生活、産業、社会資本などの立地)等の欧米諸国とは著しく異なった特性を考えると、洪水に対する対応の仕方には、画一的でなく、水系あるいは地域ごとに個性があるのは当然です。その地域に降った雨のどれだけが流出するか、それは雨の強度と継続時間によってどう変わるか(これについては、地球温暖化のために降雨が時間的および地域的に集中する傾向が表れ始めていることも考慮する必要がありましょう)。それによってどの程度の高水(こうすい)がどんな頻度で予測されるか[基本高水]。当面それをどの程度まで防ぐ必要があるか。その高水を現在の河道で排除できないならば、その水系と流域にどんな対応の仕方が考えられるか-河道の拡幅か、掘り下げか、堤防の嵩(かさ)上げ補強か。それらがいずれも不可能なら、洪水のピークを下げるための遊水池や調節池の設置はどうなのか。また、洪水調節に加えて水資源や電力も得られる多目的ダムの建設を選ぶのか。もし多目的ダムとするならば、そこに安易な選択はないか、水資源や電力の開発を需要の単純なトレンド主義で考えていないか。さらにダムそのものの安全性や、ダムという巨大な人工構造物の建設が、当然周辺の自然環境や社会環境に与えるであろう影響について問題はないか。あるとすればその代償的な解決の方策はあるか。そして考えられるすべての方式について、費用に対する総合的な効果はどうか、等々の諸問題を、基礎になる資料と数値と検討のプロセスを公開し、時間がかかりまた煩(わずら)わしくても、最初から広く住民の意見を聴き、それを反映させながら検討して、社会全体の共同責任において結論を求めてゆく方式をとることが望ましいのではないでしょうか。(26~27頁)

 しかし忘れてならないのは、このような仕事にはかなりの専門的な知識と長い間の経験の集積が必要であって、簡単にフィーリングで決められるような問題ではないということです。住民参加を形骸化させないためにも、基礎データの提供だけでなく、並行してそのような知識の啓発と支援は欠くことが出来ません。
 このような過程を踏むことによって、住民ははじめて自分自身の安全と、完璧には避けることができない自然の脅威に対する対応の仕方について、主体的に考える姿勢をもつことができ、環境全般の管理に対する行政まかせ、御上まかせでない責任感も生まれると思うのです。それこそが環境民主主義を育てる政策であると、私は考えます。(27~28頁、強調は引用者)

※基本高水(こうすい、たかみず):洪水防止計画を立てる際の基本となる高水のこと。その水系の過去の高水の実績、対象地域の重要度、経済効果などを総合的に考慮して決められる。これにもとづいてさまざまな選択肢の中から洪水の被害を防ぐ具体的な対策が選定される。

すみ場地図を基礎にしておこなう生態系保全の方式 3/3 7月31日

すみ場地図の作成と活用
 さて、実際の作業の場面では、まず一方で、対象地域とその周辺の必要とする範囲について動植物相の調査を実施し、そのリストから注目すべき種と群集を抽出する。そして他方で、表①に示したようなすみ場の階層のハビタットないしビオトープのレベルのすみ場に着目して現地の踏査をおこない、その結果を地図上に落として“すみ場地図(ハビタットマップ)”を作成し、それぞれのすみ場について生活史および季節全般にわたる上記の注目種および群集の利用との関係を整理しておく。なお、注目すべき植物の種の限られた生息場所や注目すべき動物の種の産卵場所、営巣場所などのような重要なすみ場については、マイクロハビタットのレベルについても地図の中に記入する。
 次に、このようなすみ場地図と事業の計画図を重ねあわせ、その事業を実施した場合、すみ場を消失させるかあるいは劣化させることによって、対象地域に生息する生物種および群集に与える影響を検討・予測する。そしてその影響が容認できる範囲であれば問題はないが、好ましくないと判断される場合には、くりかえして計画の見直しをおこない、その事業計画と対象地域に生息する生物種、群集、ないしは対象地域の生態系の保全との折り合い点を見つけ出すのである。前述のようにこの見直しの結果には、その事業計画の大幅な変更ないしは中止も含まれていなければならない。
 以上にあらましを述べたような、事業の対象となる地域とその周辺地域について作成されたすみ場地図を基礎にしておこなう生態系保全の方式は、河川、湖沼、湿地などに限らず、生息環境保全一般に広く活用できるものである。このような方式を、野生生物の生息環境に影響をおよぼす多くの事業に活用することが望まれる。(20~21頁、強調は引用者)
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すみ場地図を基礎にしておこなう生態系保全の方式 2/3 7月31日

土木と生態が一緒に仕事をするテーブルづくり
 ここでいう“テーブル”には二つの意味がある。一つは河川事業をおこなう土木分野の人々と野生生物の保護を任務とする生態分野の人びとが一緒に仕事をするための、文字通りのテーブル(机)のことであり、もう一つは、両者が同じカテゴリーに属する情報を交換し共有するための、図あるいは表などに整理された資料のことである。すなわち、このような二つのテーブルを共有し、次項で述べるような作業を共同でおこなうことによって、土木事業(ここでは河川管理事業)を担当する専門家と生態分野の専門家が、知恵を出しあい、協力して、効果的な生息環境の保全を考えた河川事業(計画・工事・管理)をすすめるための条件づくりが、はじめて具体的に可能になるのである。
 河川事業は、治水や利水のための目的に応じて、川や湖の一定の広がりをもった特定の場所で、特定の季節に、地形を改変し、何らかの人工的な構造物を設け、場合によっては流量、流速、水位、あるいはそれらの時間的な変動に変化を与える仕事である。つまりその計画にかかわる情報は、特定された場所と、その場所における面積、構造、機能、質、および季節にかかわるものである。
 その事業に関連して、対象地域の野生生物の保護と保全を考える場合、そこに生息する動植物の種のリストが提示され、貴重種や重要種が指摘されるだけで、それらのすみ場の特性や正存に必要な環境条件に関する情報がともなわないならば、野生生物の生態を専門としない河川の管理者としては、効果のある対策を考えることはできない。この場合、野生生物の生息場所、生息環境にかかわる情報もまた、さきに述べたように、特定の場所と、その場所における面積、構造、機能、質、および季節(すべての野生生物の生活は季節と強い関係をもっている)にかかわる情報にほかならない。
 このような、同じカテゴリーに属する情報、いいかえれば共通の言葉で表現された情報を、土木と生態の両分野から一つのテーブルの上に提出し、重ねあわせることによって、はじめてその事業と野生生物の生息環境保全にかかわる問題点や合理的な両立点を探る議論ができることになる。
 すなわち、その事業を初期計画どおりにおこなった場合には、その場所に本来存在したすみ場の何が失われ、野生生物のいかなる種あるいは群集の生存にどの程度の損傷を与えるか、また、影響が予想される場合、それをどのような戦略(その事業の計画の見直し)あるいは戦術(設計や工法の見直し)によって回避ありいは代償できるか、あるいはさらに事業計画そのものを根底的に見直すべきか、等々の対応策が、共通のテーブルの上で、具体的に論議できるのである。
 以上のような仕組みを要約すれば、図④のようになる。(17~19頁、強調は引用者)
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