みんな電力株式会社が運営するウェブサイト『ENECT(エネクト)』の「ひと(PEOPLE INTERVIEW))」に掲載されている江守正多さんと上田マリノさんの対話「コロナと気候変動、その共通点と相違点」(全3回)。第2回は2020年4月22日公開されました。
「コロナ対策である「接触削減」や「ステイホーム」の根底にあるのは、「我慢」という姿勢。しかし気候変動対策の本質はそうではないはず。CO2排出をより抑制することの理解で大切なのは、それがとても「前向きな社会システムのアップデート」にあること。ではそれには、広くあらゆる人に問題について語りかけることが有効なのか、または狙いを定め、ピンポイントの啓蒙活動が必要か。」以下は江守さんの発言部分から引用(アンダーラインは引用者)。
 最近BBCやガーディアンで紹介された論文[FUTURE By David Robson 14th May 2019]で、「社会の3.5%の人が参加すると、ムーヴメントは成功する」、「社会を変えることができる」というものがあります。
 逆に言うと問題は、「どうやって本質的な関心を持つ人を社会の中で3.5%つくるか」ということなのです。みんながちょっとずつ関心を持ち、ちょっとずつ省エネしたりプラスチックを使わないようにしても、この問題は本質的に解決されません。
 「本質的な関心を持つ人」というのは、例えば「気候変動が本当に、自分や大切な人の生命に関わるような脅威である」とすごく思った人。あるいは、「気候変動は将来世代や途上国の人々を、その人たちが全然CO2を出していないのにすごく苦しめるから、倫理的に許せない」と強く思った人。または、「気候変動を何とかするため、脱炭素化のためなら人生を賭けてその仕事をしよう」と思った人という、とにかく強烈なコミットメントを気候変動に持てる人口が3.5%になれば、社会は変わるんじゃないかと思うんです。
 例えばアメリカを見ていると、環境に特にアンテナを立てて強い発信をしているレオナルド・ディカプリオみたいな人がいます。またはイギリスでも、エクスティンクション・リベリオン[Extinction Rebellion、略称:XR]のデモで著名人が逮捕されたり、欧米ではそういうことがあります。でもそれは日本にはない。政治家も、そこまで強い関心を持っている方というのは、いるかどうかもわからない。
 環境NGOにそういう人はいますが、そもそも社会にあまり存在を知られていないし、知られていたとしても「自分とは関係のない、極端な考えの人たち」という風に思われてしまうんじゃないかということで、日本ではあまり広がっていません。
 去年はスウェーデンのグレタさんが広く知られましたが、学生のムーヴメントが起きて、世界で約700万人がグローバル・ストライキに参加したといいます。そのうちドイツでは百数十万人が参加したとのことで、それはドイツ人口の2%に近くて、3.5%も視野に入ってきます。
 対して日本では、参加者は5000人でした。全然足りてない(笑)。
 ですから3.5%の人たちがもし関心を持つと、政治システムに働きかけるでしょうし、経済システムに対しても然りで、そのことで制度やシステムが変わるでしょう。そうすると残りの96.5%の人たちは、別にそんなことに関心を持たなくても、仕組みが変わっちゃったので、もう勝手にC02を減らすしかなくなります。
 すべての電力会社が再エネ100%になれば、再エネを使う以外はなくなります。車も電気自動車しか売っていなければそれを買うことになるし、家を建てようと思ってZEH[ゼロ・エネルギー・ハウス]しかなければ、ZEHを建てることになります。
 そして、そういう社会システムにするために積極的に後押しをする、「本質的な興味を持った人」がある程度必要ということです。最近僕は、じゃあ「そこを目指すべきじゃないか」ということを考えています。
気候変動の話は単に「クリーンなエネルギーを使おう」でもなく、本質的な変化のためには、むしろそれとは関係のない。
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