物置の片付けをしたら北村製作所のジズライザー(刈払機用安定板)があったので、岩殿の田んぼの畦まわりの草刈りをしてみました。雑草を地際で刈ると斑点米カメムシが好む成長点の低いイネ科雑草のみが再生するので、ある程度の高い位置(10~15㎝)で畦草を刈り、刈り残した茎でイネ科雑草の成長を抑制し、害虫を捕食するクモ・カエルを増やす。「刈る回数は従来と同じで3年続けると広葉雑草が増え、イネ科雑草が激減。斑点米カメムシも減る」(農文協のDVD)。
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ジズライザーのパッケージの説明「草丈抑制で高く刈っても作業回数減少※」
草丈5㎝を残す高刈りだとすぐに雑草がのびる心配がありますが、実際は高刈りで摘芯された広葉雑草は横に枝を伸ばします。地面を這ってのびる被覆性植物も増えるので心配するほど草丈の伸張は問題にならず、高刈りはほどよく日陰をつくるので雑草の成長を抑制します。
※効果が出ない場所としては「①イネ科雑草のみで構成された場所」「②広葉の強害雑草(セイタカアワダチ草、アマリカセンダン草)などが繁殖した場所」になります。


※稲垣栄洋・丹野夕輝・山下雅幸・済木千恵子・松野和夫・市原実「高刈りによるイネ科雑草と斑点米カメムシの抑制」(『農業技術体系作物編』追録33(農文協、2012年)1077~1081頁
 はじめに
 草刈り作業による斑点米カメムシの増加
 高刈りによるイネ科雑草の抑制
  (1)イネ科雑草の抑制効果
  (2)耕作放棄地管理への活用
  (3)作業の安全性の点からの高刈りの評価
 高刈りの注意点
 高刈りによる植物の多様性の保全
 普及へ向けた課題と検討
  (1)高刈りの効果を高める条件の解析
  (2)群落高の抑制条件の解析
  (3)高刈りに対する合意形成
これまで見てきたように、高刈りは、斑点米カメムシの寄主植物の抑制や、在来野草の多様性保全、作業の安全性の点から優れた方法である。しかしながら、高刈りには重大な欠点がある。それは、刈り終わったときの見た目に草が残り、刈った感じがしないということである。そのため、作業後の達成感に欠けることや、近隣の方の目が気になる点が問題となる。特に日本の農業技術は、きめ細かい管理を行う点で優れていることから、草を残す方法は心情として受け入れにくい面もある。技術の普及にあたっては、高刈りが雑草管理、害虫管理のための合理的作業の1つであることを周知していく必要があるだろう。欧州では天敵の保全や生物多様性の保全を目的とした草地を農地周辺に維持し、草刈り回数を減らしたり、草刈り時期を遅らせたりする取り組みが行われている。そのような草地では、天敵や生物のための管理であることを市民や消費者に説明するための看板が立てられていることも多い。高刈りの普及にあたっても、高刈りが斑点米カメムシの防除や多様性保全のための方法であることを掲示することが一方策となるかもしれない。畦畔の雑草管理は、昔から主に草刈りによって行われてきた。しかしながら、昔は鎌で草刈りが行われていたのに対して、現代では主に肩掛け式刈り払い機が用いられる。おそらく鎌による草刈りは、地面の際で刈ることはできず、必然的にやや高い位置での草刈りになっていたのではないだろうか。これに対して刈り払い機による作業は、土を削るほどの低い位置での草刈り作業が可能となる。そして、このような刈り払い機による草刈り作業は、草一本残すことなく、気持ちよく草刈りができる代わりに、過度な草刈り圧によっては結果的にイネ科雑草の蔓延を引き起こすことが懸念される。そのため、刈り払い機による草刈り作業の普及は、斑点米カメムシの被害を拡大させてきた一要因となっていることも示唆される。「高刈り」というと奇妙な草刈りのように感じるかも知れないが、それは新しい技術ではなく、もしかすると、鎌で刈っていた昔の草刈り圧を再現することと捉えるべきなのかもしれない。これまで見てきたように、草刈りという単純な作業においても、適切な畦畔植生への働きかけが重要となる。今後、雑草をやみくもに排除するのではなく、知見を蓄積し、生態系管理という視点で、合理的に雑草や害虫を管理していくことを検討していく必要があるだろう。
. 参考文献

※研究究成果・害虫の発生を防ぐ畦畔管理1「草刈りは、やりすぎに注意 -草刈り高が問題雑草の発生に及ぼす影響-」(稲垣栄洋)
あぜや雑草地の草刈りは、雑草や害虫の発生を抑える上で重要な作業である。ところが、調査してみると草刈りをすることによって、かえって田んぼの害虫である斑点米カメムシが増加してしまう例が見られた。雑草や害虫を抑えるはずの草刈りによって、どうして害虫が増えてしまったのだろうか?
  稲垣「雑草学の視点から害虫防除を考える」7_12
※澁谷知子「畦畔等圃場周辺の省力的雑草管理に向けた課題と展望」(2018年度関東地域マッチングフォーラム『水田畦畔・圃場周辺の雑草管理の省力化』講演要旨集、2018年12月)
 畦畔は適期に雑草を管理することによって、その機能を維持している。しかし、慣行で行われている雑草管理は主として刈り払い機によるもので、夏季を中心に数回行われる作業は重労働であり、危険を伴う。生産者の高齢化や担い手不足に伴い、生産の場ではない畦畔の雑草管理の負担はますます大きくなっている。
 適期に管理ができず、畦畔で雑草が繁茂すると、雑草の種類によっては、圃場内に侵入したり、病害虫のすみかとなったりして、直接的あるいは間接的に農業生産現場に様々な害をもたらす。さらに、用水路や農道の周辺などでは、大豆圃場などに侵入すると防除困難な雑草が繁茂している所も多く、圃場周辺から圃場内への侵入を防止する必要がある。このような場所は地域全体で管理していく必要がある。
 このような状況の中、畦畔や圃場周辺の雑草管理の省力化は関係者の連携を密にして解決すべき重要な課題である。本講演では、雑草管理作業の現状や雑草発生実態を紹介し、雑草管理の問題点と基本的な考え方を整理するとともに今後の省力的雑草管理のあり方について考えたい。

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