2020年1月26日、第2回荒川河川整備計画有識者会議第8回埼玉県河川整備計画策定専門会議と合同で開催されました。

第2回荒川河川整備計画有識者会議(第8回埼玉県河川整備計画策定専門会議)資料
 資料-1 埼玉県管理河川における河川整備計画の点検について[資料①]
 資料-2 荒川の現状[資料②]
 資料-3 荒川水系河川整備計画 (変更)(骨子)[資料③]
 参考資料-1 入間川流域緊急治水対策プロジェクト【中間とりまとめ】[資料④]

荒川の現状(国土交通省関東地方整備局、2020年1月26日)
・1.流域の諸元、降雨・地形特性等(荒川水系)
■我が国の政治・経済の中枢機能を有する首都東京を貫通している。
■流域の土地利用の約3割が市街地であり、流域の資産は188兆円に及んでいる。
■河口から22k区間は、明治時代に整備着手し、昭和5年に完成した人工放水路である。
◆流域及び氾濫域の諸元
  流域面積(集水面積):約2,940km2
  幹川流路延長:約173km(放水路延長:約22km)
  浸水想定区域面積:約1,100km2
  浸水想定区域人口:約540万人
  流域内人口:約976万人
  流域人口密度:約3,300人/km2
  流域内市区町村:77市区町村
◆土地利用
 ・流域の土地利用は44%が森林であり、市街地が33%を占める
 ・流域内の資産は約188兆円(関東地方全体の約33%)に上る
             (※関東地方全体の資産額は約564兆)
◆地形特性
 ・流域の43%は山地、36%は台地・丘陵、21%は低地寄居付近を扇頂部とする扇状地が熊谷市付近まで広がる
 ・北側に位置する大宮台地と南側に位置する武蔵野台地の間を縫うように沖積地が広がる
◆降雨特性
 ・流域の年平均降水量は約1,400mmであり、全国平均の約1,700mmと比べ少ない
 ・流域の中下流部は少雨傾向、上流部は多雨傾向
◆河道特性
 ・荒川本川は、中流部に大きな高水敷を有し、最大で2.5kmの川幅。22kから下流の放水路区間は約0.5kの川幅
 ・寄居までの上流部では、1/10~1/400の急勾配、寄居から秋ヶ瀬までの中流部では1/400~1/5,000、秋ヶ瀬から河口までの下流部(感潮域)では1/5,000~1/10,000
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・2.主な洪水とこれまでの治水対策(荒川水系)
■明治43年[1910年]の洪水を契機に、翌44年に「荒川改修計画」(計画高水流量4,170m3/s(岩淵))を策定した。大正7年[1918年]に「荒川上流改修計画」(計画高水流量5,570m3/s(寄居))を策定した。
■たび重なる計画流量以上の洪水の発生や隅田川沿川の都市化の進展を踏まえ、昭和48年[1973年]に工事実施基本計画を改定した(基本高水流量14,800m3/s(岩淵)、計画高水流量7,000m3/s(岩淵)、隅田川への分派0m3/s)。
■平成9年[1997年]の河川法の改正に伴い、平成19年3月に河川整備基本方針を策定した(基本高水流量14,800m3/s(岩淵)、計画高水流量7,000m3/s(寄居、岩淵)、7,700m3/s(小名木))。
 ・主な洪水と治水対策
 ・明治43年6月洪水(台風)
 ・昭和22年9月洪水(カスリーン台風)
 ・平成11年8月洪水(熱帯性低気圧)
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・3.河川整備基本方針の概要(荒川水系)
■荒川下流部の治水安全度の着実な向上を図るため、河川整備基本方針に従い、河道内調節池など洪水調節施設の整備を重点的かつ計画的に進めることを基本とするとともに、本支川の築堤・掘削及び局部的な改修を、上下流・本支川・左右岸バランス、緊急性等を踏まえながら適宜実施していく。
◆河川整備基本方針
 ・河川整備基本方針の計画規模は、1/200である。(ただし寄居上流及び支川は1/100)
 ・岩淵地点の基本高水ピーク流量は14,800m3/sであるが、下流部は感潮区間でもあるため掘削により確保できる流量は7,000m3/s(計画高水流量)であり、残り7,800m3/sを洪水調節施設で対応する。
 →上流では、既設洪水調節施設の再開発や総合的な管理等により治水機能の向上を図る。中流では、広大な高水敷が有する遊水機能を活かした洪水調節施設を整備する。
 ・沿川には、人口・資産が集積しており、引堤及びH.W.L.を上げることは現実的でない。
 →高水敷利用に配慮しつつ、河道掘削、築堤、樹木伐採で対応する。
◆河川整備基本方針の計画流量配分図
◆上流部での洪水調節
 ・上流では、二瀬ダム、浦山ダム、滝沢ダム等により洪水調節を実施
◆中流部での洪水調節
 ・中流では河道の遊水機能等を活かした洪水調節施設(調節池)により対応
◆中流河道における対応
 ・河道掘削及び築堤により、流下能力の向上及び水位低下を図る。
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・4.現行河川整備計画の概要(荒川水系)
■過去の水害の発生状況、流域の重要性やこれまでの整備状況など、荒川水系の治水対策として計画対象期間内に達成すべき整備水準、河川整備基本方針で定めた最終目標に向けた段階的な整備なども含めて総合的に勘案し、実施していく。
■我が国の社会経済活動の中枢を担う東京都及び埼玉県を貫流する荒川の氾濫域には、人口・資産が高度に集積していることから、荒川の重要性を考慮して、戦後最大洪水である昭和22年9月洪水(カスリーン台風)と同規模の洪水が発生しても災害の発生の防止を図る。
■支川入間川については、近年の洪水で大規模な浸水被害をもたらした平成11年8月洪水[1999年]が再び発生しても災害の発生の防止を図る。高潮に対しては、荒川河口から堀切(ほりきり)橋下流端までの区間において、伊勢湾台風と同規模の台風が東京湾に最も被害をもたらすコースを進んだ場合に発生すると想定される高潮による災害の発生の防止を図る。
■計画規模を上回る洪水や整備途上において施設能力を上回る洪水等が発生した場合においても、人命・資産・社会経済の被害をできる限り軽減することを目標とし、施設の運用、構造、整備手順等を工夫するとともに、想定し得る最大規模までの様々な外力に対する災害リスク情報と危機感を地域社会と共有し、関係機関と連携して、的確な避難、円滑な応急活動、事業継続等のための備えの充実、災害リスクを考慮したまちづくり・地域づくりの促進を図ることにより、危機管理型ハード対策とソフト対策を一体的・計画的に推進し、想定し得る最大規模の洪水等が発生した場合においても、人命・資産・社会経済の被害をできる限り軽減できるよう努める。
◆河川整備計画の計画流量配分図
 <本川>
 ・荒川本川の河川改修については、戦後最大洪水である昭和22年9月洪水(カスリーン台風)と同規模の洪水を計画高水位以下で安全に流下させることとし、河川整備計画の目標流量を基準地点岩淵において11,900m3/sとし、このうち、河道では計画高水位以下の水位で6,200m3/sを安全に流下させる。
 <支川>
 ・現行河川整備計画は、支川入間川においては近年の洪水で大規模な浸水被害をもたらした平成11年8月洪水が再び発生しても災害の発生の防止を図ることとしている。
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・4.現行河川整備計画の概要(荒川水系)
事業箇所位置図
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・5.整備計画策定後(2016年3月)以降の整備状況 <荒川上流部、入間川等支川>(荒川水系)
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・5.整備計画策定後(2016年3月)以降の整備状況<荒川下流部>(荒川水系)
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・6.治水の現状<①堤防の整備状況>(荒川水系)
■平成30年度末現在、堤防の完成延長は187.4㎞(約70%)、今後整備が必要な堤防延長は78.6㎞(約30%)である。
■下流部については、堤防の整備がほぼ完成しているが、一部、高潮堤区間、橋梁部等で断面不足の区間がある。
■中流部については、断面不足の箇所が多く、上下流のバランスを踏まえた整備が必要となっている。
■支川については、1999年の出水を契機に緊急的に行った事業により整備が進んだが、上流、樋管部等で断面不足の区間がある。
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・6.治水の現状<②洪水調節施設の整備状況>(荒川水系)
■荒川の基本高水ピーク流量は、基準地点岩淵において、14,800m3/sである。
■下流部の堤防高は概ね確保されており、既に橋梁、樋門等多くの構造物も完成している。堤防のかさ上げや引堤による社会的影響及び大幅な河道掘削による河川環境の改変や将来河道の維持を考慮し、同地点における確保可能な流量は7,000m3/sである。
■残り7,800m3/sを洪水調節施設で対応する必要がある。
◆洪水調節施設の整備状況
 ・洪水調節施設への依存率が52%(14,800m3/sに対し7,800m3/s)と非常に高い
 ・完成施設は、荒川第一調節池、二瀬ダム、浦山ダム、滝沢ダムの4箇所
 ・支川においては、国、水資源機構の洪水調節施設は無い
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・7.流域の現状 <治水の現状 河床変動、河床高の経年変化(支川)>(荒川水系)
■入間川では、下流部において河川改修による影響が見られる。
■都幾川では、3.6k~5.4k間において、昭和末期から平成10年代に実施された低水路の付け替え等が影響している。
■越辺川、小畔川、高麗川の河道は安定している。
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・7.流域の現状 <河川環境の概要(支川)①>(荒川水系)
■入間川等の支川は、連続して分布するヨシ・オギ群落や砂礫河原等多様な自然環境が形成されている。
■入間川、越辺川、都幾川等の支川のうち比較的大きな河川空間を有する場所では、公園、グラウンド、ビオトープなどで利用されている。
◆河川の区分と自然環境
◆支川における自然環境
 ・入間川等の支川は、連続して分布するヨシ・オギ群落や砂礫河原等多様な自然環境が形成されている。
 ・越辺川ビオトープは、流下能力確保のための掘削工事に際して整備された。
 ・浅羽ビオトープは、ふるさとの川整備事業の認定を受け整備され、現在は地元自治体や環境団体により良好な自然地として保全されている。
◆支川における利用状況
 ・入間川、越辺川、都幾川等の支川のうち比較的大きな河川空間を有する場所では、公園、グラウンド、ビオトープなどで利用されている。
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・7.流域の現状 <河川環境の概要(支川)②自然環境(湿性草地)支川>(荒川水系)
■荒川中流部及び支川では近年湿性草地の面積が減少傾向にある。特にヨシ群落は支川(入間川、越辺川、小畔川、都幾川、高麗川)で顕著に減少しており、オギ群落、カナムグラ群落、ヤナギ林等への遷移が進行している。
■湿性草地はオオヨシキリ等の鳥類やカヤネズミ等の哺乳類等の重要種の生育・生息・繁殖場として機能している。
◆ヨシ群落の変遷
◆植生群落別の重要種の確認地点数
 湿性草地(ヨシ、ツルヨシ、オギ)の確認地点数が多い
 重要種の生育・生息場としての価値が相対的に高い
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・8.令和元年10月洪水の概要及び被害状況(荒川水系)
■令和元年10月洪水[2019年]では、支川入間川流域への降雨量が多かった。
■荒川水系越辺川、都幾川では、今次洪水により河川水位が計画高水位を超過し、暫定堤防区間で決壊及び越水による外水氾濫が発生した。
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・9.河川整備計画の点検結果(荒川水系)
2016年3月 荒川水系河川整備計画 策定
 2019年12月 第1回荒川河川整備計画有識者会議 荒川水系河川整備計画 点検
社会情勢の変化(近年の洪水等による災害の発生の状況等)
■今回洪水において、荒川水系入間川の菅間地点(主要地点)では、現行整備計画目標構図(1999年8月)における流量を上回った。
●今回洪水では3日雨量(流域平均)417㎜を記録し、1999年8月洪水における418㎜と同等規模の降雨量であった。
●また、最大流量約4100m3/sを記録し、1999年8月洪水における約3300m3/sを上回った。
河川整備の進捗・実施状況
■河川改修事業を継続して実施中である。
 ・令和元年10月台風19号の被害状況等を踏まえ、河川整備計画目標流量を上回った支川入間川流域における新しい治水計画検討の必要がある。
 ・荒川本川においては、整備計画に定められた河川整備を継続して実施する必要がある。
 2020年1月 第2回荒川河川整備計画有識者会議
■荒川水系河川整備計画における支川入間川流域について、変更に向けた検討を行う。
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・10.参考:近年の大規模水害を踏まえた治水対策に関する動向<減災・危機管理対策>(荒川水系)
■国土交通省では、2015年9月の関東・東北豪雨を踏まえ、洪水による氾濫が発生することを前提として、社会全体でこれに備える「水防災意識社会」を再構築するため、「水防災意識社会 再構築ビジョン」として、全ての直轄河川とその沿川市町村(109水系、730市町村)において、2020年度目途に水防災意識社会を再構築する取組を行うこととした。
■「洪水氾濫を未然に防ぐ対策」としては、浸透に対する安全性を確保するための対策や、「危機管理型ハード対策」として、決壊までの時間を少しでも引き延ばすよう、堤防構造を工夫する対策などを重点的に実施する。
■また、住民が自らリスクを察知し主体的に避難できるよう、より実効性のある「住民目線のソフト対策」へ転換し、重点的に実施する。
関東・東北豪雨を踏まえ、新たに「水防災意識社会、再構築ビジョン」として、全ての直轄河川とその沿川市町村(109水系、730市町村)において、2020年度目途に水防災意識社会を再構築する取組を行う。
<ソフト対策>・住民自らリスクを察知し主体的に避難できるよう、より実効性のある「住民目線のソフト対策」へ転換し、2016年出水期まを目途に重点的に実施。
<ハード対策>・「洪水氾濫を未然に防ぐ対策」に加え、氾濫が発生した場合にも被害を軽減する「危機管理型ハード対策」を導入し、2020年度を目途に実施。
主な対策 各地域において、河川管理者・都道府県・市町村等からなる協議会を新たに設置して減災のための目標を共有し、ハード・ソフト対策を一体的・計画的に推進する。
<洪水氾濫を未然に防ぐ対策>
 ○優先的に整備が必要な区間において、堤防のかさ上げや浸透対策などを実施
<危機管理型ハード対策>
 ○越水等が発生した場合でも決壊までの時間を少しでも引き延ばすよう堤防構造を工夫する対策の推進
<住民目線のソフト対策>
 ○住民等の行動につながるリスク情報の周知
  ・立ち退き避難が必要な家屋倒壊等氾濫想定区域等の公表
  ・住民のとるべき行動を分かりやすく示したハザードマップの改良
 ○事前の行動計画作成、訓練の促進
  ・タイムラインの策定
 ○避難行動のきっかけとなる情報をリアルタイムで提供
  ・水位計やライブカメラの設置
  ・スマホ等によるプッシュ型の洪水予報等の提供
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・10.参考:近年の大規模水害を踏まえた治水対策に関する動向<減災対策協議会の設立・開催>(荒川水系)
■減災対策協議会の設立・開催状況
■水防災意識社会 再構築ビジョン」を実現させるため、河川管理者、気象台、県、市町村等関係機関で構成される減災対策協議会を2016年5月に設立し、減災のための取組方針を定めるとともに、関係機関が連携、協力しながら、ハード対策とソフト対策を一体的、計画的に推進してきた。
■荒川水系(埼玉県域)大規模氾濫に関する減災対策協議会
 ・2016年5月31日 第1回協議会を実施(協議会の設立)
 ・2016年9月28日 第2回協議会を実施(取組方針の決定)
 ・2017年6月1日 第3回協議会を実施(取組状況の報告)
 ・2018年5月22日 第4回協議会を実施(取組状況の報告)
 ・2019年5月27日 第5回協議会を実施(取組状況の報告)
 ・2019年11月12日、14日 第6回協議会を実施(台風第19号被害を受けた規約改正、部会規約(案)
■取組方針の目標
荒川水系(埼玉県域)の大規模水害に対し、「逃げ遅れゼロ」、「社会経済被害の最小化」を目指す。
※大規模水害:想定し得る最大規模の降雨に伴う洪水氾濫による被害
※逃げ遅れゼロ:避難行動が遅れ人命にかかわるような逃げ遅れをなくす
※社会経済被害の最小化:大規模水害による社会経済被害を軽減し、早期に経済活動を再開できる状態
■上記目標達成に向けた重点的な取組
洪水を河川内で安全に流す対策などのハード対策に加え、荒川水系(埼玉県域)において、以下の項目を3本柱とした取組を実施。
1.逃げ遅れゼロに向けた迅速かつ的確な避難行動のための取組
2.洪水氾濫による被害の軽減、避難時間の確保のための水防活動等の取組
3.一刻も早い生活再建及び社会経済活動の回復を可能とするための排水活動の取組
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・10.参考:近年の大規模水害を踏まえた治水対策に関する動向<今後の治水対策>(荒川水系)
「大規模広域豪雨を踏まえた水災害対策のあり方について ~複合的な災害にも多層的に備える緊急対策~」答申(2018年12月)
2018年12月に「大規模広域豪雨を踏まえた水災害対策のあり方について」の答申がとりまとめられ、多層的な対策を一体的に取り組み、「水防災意識社会」の再構築を加速することが求められた。
■また、2019年10月に「気候変動を踏まえた治水計画のあり方」が提言され、各種の治水対策を組み合わせていくことが求められた。
「気候変動を踏まえた治水計画のあり方提言」(2019年10月)
【水災害対策の考え方】
■水防災意識社会の再構築する取り組みをさらに強化するため、次の対策を図る。
 ・気候変動により増大する将来の水災害リスクを徹底的に分析し、分かりやすく地域社会と共有し、社会全体で水災害リスクを低減する取組を強化
 ・河川整備のハード整備を充実し、早期に目標とする治水安全度の達成を目指すとともに、水災害リスクを考慮した土地利用や、流域が一体となった治水対策等を組合せ
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・10.参考:近年の大規模水害を踏まえた治水対策に関する動向<既存ダムの洪水調節機能の強化>(荒川水系)
既存ダムの洪水調節機能の強化に向けた基本方針
既存ダムの洪水調節機能強化に向けた検討会議(2019.12.12)
■2019年12月に「既存ダムの洪水調節機能強化に向けた基本方針」がとりまとめられ、水害の激甚化等を勘案し、緊急時において既存ダムの有効貯水容量を洪水調節に最大限活用できるよう、関係機関との連携の下、速やかに必要な措置を講じることが求められた。
 ・荒川水系における既存ダム(二瀬、浦山、滝沢、有間、合角、玉淀、大洞)
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・10.参考:近年の大規模水害を踏まえた治水対策に関する動向<減災対策部会による治水対策の更なる推進>(荒川水系)
減災対策部会の設置・検討状況
■令和元年台風第19号により荒川流域において大規模な浸水被害が発生したことを踏まえ、減災対策協議会の派生部会として入間川流域部会を設置し、今後の治水対策の方向性を検討する。
■本部会では、「地域が連携し、多重防御治水により社会経済被害の最小化を目指す」を目標に『入間川流域緊急治水対策プロジェクト』を取りまとめ、これに沿って、被害軽減に資する総合的な治水対策や防災・減災に向けた更なる取り組みの推進を図る。
入間川流域部
2019年12月11日 第1回部会を実施(今般洪水の課題と対応について)
2019年12月24日 第2回部会を実施入間川流域緊急治水対策プロジェクト【中間とりまとめ】(案)
■概ね5年間で達成すべき目標
2019年10月台風で明らかになった課題に対処するため、「入間川流域緊急治水対策プロジェクト」に基づき、地域が連携を図りながら具体化に向けた検討及び実践を行うことにより、多重防御治水による社会経済被害の最小化を目指す
■目標に向けた2本柱
上記目標の達成に向け、「多重防御治水の推進」に加え、「減災に向けた更なる取り組みの推進」により浸水被害の軽減と地域防災力の構築を推進する。
1.多重防御治水の推進
2.減災に向けた更なる取り組みの推進
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・10.参考:近年の大規模水害を踏まえた治水対策に関する動向<緊急治水対策プロジェクト(中間とりまとめ)>(荒川水系)
入間川流域緊急治水対策プロジェクト【中間とりまとめ】(2019年12月26日発表)
 ~地域が連携し、多重防御治水により、社会経済被害の最小化を目指す~
 川越市・東松山市・坂戸市・川島町・埼玉県・気象庁熊谷地方気象台・荒川上流河川事務所
 令和元年台風第19号において甚大な被害が発生した荒川水系入間川流域における今後の治水対策の方向性として、関係機関が連携し「入間川流域緊急治水対策プロジェクト【中間とりまとめ】」をとりまとめました。引き続き、具体化に向けた検討を行ってまいります。
①多重防御治水の推進(関東流治水システムの踏襲)
現状(before)
・直轄ダム、遊水地なし
・主に河道で洪水を処理
今後(after)
河道の流下能力の向上、遊水機能の確保・向上、
土地利用・住まい方の工夫を組み合わせ対応
【参考】『多重防御治水』とは地域と連携し、
 ①河道の流下能力の向上による、あふれさせない対策
 ②遊水機能の確保・向上による、計画的に流域にためる対策
 ③土地利用・住まい方の工夫による、家屋浸水を発生させない対策が三位一体となって社会経済被害の最小化を目指す治水対策
三位一体の対策
   1.河道 河道の流下能力の向上
     ○河道内の土砂掘削、樹木伐採による水位低減
     ○堤防整備(掘削土を活用
   2.遊水機能の確保・向上
     ○地形や現状の土地利用等を考慮した遊水池の整備
     ※外水(国管理河川・県管理河川など)、内水の両方に対応する遊水池((仮称)ハイブリッド型遊水池)を検討
   3.土地利用・住まい方の工夫
     ○浸水が想定される区域の土地利用制限(災害危険区域の設定等)
     ○家屋移転、住宅の嵩上げ(防災集団移転促進事業等)
     ○高台整備(避難場所等に活用)
     ○土地利用に応じた内水対策の検討
     ※各地域の特性に合わせてメニューを検討
②減災に向けた更なる取組の推進
<課題>
同時多発的な被害発生により、情報が膨大となり、状況把握・情報伝達・避難行動が円滑に進まない
<今後の方向性>
関係機関等が連携し、円滑な水防・避難行動のための体制等の充実化を図る
<主な取組メニュー>
○重要度に応じた情報の伝達方法の選択及び防災情報の共有化のための取組
 ■自治体との光ケーブル接続
 ■氾濫を監視する機器の開発・整備
 ■危機管理型水位計、簡易型河川監視カメラの設置
○関係機関が連携した水害に対する事前準備のための取組
 ■タイムラインの改善
 ■他機関・民間施設を含めた避難場所の確保
 ■講習会等によるマイ・タイムライン普及促進
 ■広域避難計画の検討
 ■緊急排水作業の準備計画策定と訓練実施
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