『朝日新聞』埼玉版(1986年2月16日)の記事です。記事にある農水省林業試験場が管理していた国有林が東松山市の市民の森です。

守られた自然100選 鳩山町の「宮山台の森」
 住民の声実り計画変更
  工業用地60ヘクタールに縮小
   残る30ヘクタールを緑地で保存

 比企郡鳩山町の旧宮山台国有林と周辺の山林計90ヘクタールを工業団地化する町の計画に住民が反対していた問題は、同町が県と協議した結果、開発地域を60ヘクタールに縮小することで15日までに一応の決着がついた。同町は3月議会で承認を受けることにしているが、森林保全を訴え続けてきた住民の声が計画変更につながった形だ。鳩山町は58年[1983年]暮れ、宮山台国有林払い下げを土台に、周辺一帯に工場を誘致しようと構想を立て、将来の土地利用を定めた同町第2次総合振興計画で、この一帯を「レクリエーション緑地地域」から「工業地域」に変更する改定案作りを進めた。

 これに対し、同地域に隣接する鳩山ニュータウンの住民などから「貴重な緑を残してほしい」と反対の声が出て、昨年12月には改定案作りに住民の参加を求める条例の制定請求も行われたが否決された。また、朝日新聞社と県などが主催した「埼玉の自然100選」では、住民が「宮山台の森」に38万票近くを投じた。その後、同国有林は日立製作所に払い下げられ、日立は緑を生かした研究所建設を公表している。
 振興計画の改定案をめぐる県との協議で手直しされた点は、町が90ヘクタールとした工業地域を、日立製作所が買った宮山台の森約40ヘクタールと農水省林業試験場敷地約7ヘクタールなど計60ヘクタールに縮小、残りはレクリエーション緑地地域のまま保全するというもの。
 県地方課では「90ヘクタールをいっぺんに工業地域にするのは無理で、地理的に言っても工場誘致は難しい。今は緑地を保全をして、宮山台の開発の結果を見る方が良い。結果として町民の意見がかなり反映された案になっていると思う」と言っている。また、反対運動をしてきた鳩山町住民集会実行委メンバーの竹林信明さんは「私たちの声を県も無視できなくなったということで、大変うれしい。今後は日立の研究所が緑を十分生かしたものになるか、レクリエーション緑地地域とされた部分がまた工業地域に変更されたりしないか、監視を続けて行きたい」と語っている。

 宮崎得一鳩山町長の話 今回の手直しが一歩後退とは思っていない。町としては今回工業地域とされる部分を第一期、第2期の開発地域と考え、縮小された部分は第3期の開発として、第3次総合振興計画での改訂を図りたい。
  『朝日新聞』埼玉版(1986年2月16日)