能條歩『自然体験教育ブックレット② あなたにもできる! 環境教育・ESD』(NPO法人北海道自然体験活動サポートセンター、2017年)の第1章を読みました。

はじめに
・3つの公平
・SDGsからのバックキャスティング
・3つのレベルの生物多様性と4つの危機
・人知を超えた時空概念
・“循環型社会”
の5つの視座のいずれかに関連付けて授業や活動を実施すれば、それは環境教育

~この本をお読みになる方ヘ~
視座とは
①3つの公平 世代内・世代間・種間の公平
②3つのレベルの生物多様性と4つの危機 遺伝子・種・生態系の多様性とそれらを脅かす危機
③“循環型社会” 生態系の循環システムをかく乱しない自然と調和した社会
④SDGsからのバックキャスティング
 持続可能な未来づくりに向けて2030年までに解決しようと国際合議した課題からの目標設定
⑤人知を超えた時空概念 畏敬の念とそれにつながる自然のスケール感
という「自然や環境を考える時のものの見方」のこと


第1章 持続可能な未来のための教育
 第1の視座 3つの公平
  1-1 持続可能な未来のための教育(ESD)とは?
●「持続可能な開発」は、将来の世代のニーズを満たす能力を損なうことなく、現在の世代のニーズを満たすような社会づくりのこと
●そのために、「環境の保全」(前提)「経済の開発」(手段)「社会の発展」(目的)を調和の下に進めていくことが必要
●取組にあたっては、「環境保全や資源の過剰利用の抑制の視点」「貧困の克服」「保健衛生の確保」「質の高い教育」「性・人種による差別の克服」等への配慮が必要
●一人ひとりが、世界の人々や将来世代、また環境との関係性の中で生きていることを認識し、行動を変革することで「持続可能な開発」を目指すための教育がESD
●ESDの目標は、「すべての人が質の高い教育の恩恵を享受し、持続可能な開発のために求められる原則、価値観、及び行動が、あらゆる教育や学びの場に取り込まれ、環境、経済、社会の面において持続可能な将来が実現できるような行動の変革をもたらすこと」
「ESDは特定の教育内容を指すものではなく、さまざまな活動によって到達すべき共通のゴールや理念である」(10頁)

  1-2 持続可能性と3つの公平
   環境(配慮)行動のための指針
①世代内の公平:いわゆる南北問題のような、現代に生きる同じ世代の中にある不公平を解消することにつながるか
②世代間の公平:将来世代と現在の私たちを比較して、将来世代に不利益をもたらすことはないか
③種間の公平:ヒト以外の生物に対して著しい不公平を生じさせることにつながらないか
   例:第1の視点からみた原子力発電と3つの公平
     ①世代内で公平か? ②世代間で公平か? ③種間で公平か?
     安全に稼動できるかどうかという尺度だけで判断してはいけない(15頁)

 第2の視座 3つのレベルの生物多様性と4つの危機
  1-3 “生態系”とは?
   “自然”と“環境”と“生態系”
   “生態系”を理解するために
    自然…ヒトの意志とは関係なく存在するモノや状態の全体像のこと
    環境…私たちと応答的関係(つながりや関係性)があると意識されているモノや状態のこと
    生態系…「物質やエネルギーが循環しているまとまり」という「動的な状態」のこと

  1-4 生物多様性とは?
   5つの基本戦略(「生物多様性国家2012-2020」)
    ①生物多様性を社会に浸透させる
    ②地域における人と自然の関係を見直し・再構築する
    ③森・里・川・海のつながりを確保する
    ④地球規模の視野を持って行動する
    ⑤科学的基盤を強化し、政策に結びつける
   3つのレベルの生物多様性と4つの危機
    遺伝子の多様性 種の多様性 生態系の多様性

   4つの危機
第1の危機:人間活動や開発が直接的にもたらす種の減少、絶滅、あるいは生態系の破壊、分断、劣化を通じた生息・生育空間の縮小、消失など
第2の危機:生活様式・産業構造の変化、人口減少など社会経済の変化に伴い、自然に対する人間の働きかけが縮小撤退することによる里地里山などの環境の質の変化、種の減少や生息・生育状況の変化など
第3の危機:外来種や化学物質など人為的に持ち込まれたものによる生態系のかく乱
第4の危機:地球温暖化によってもたらされる種の生息・生育地の縮小、消失等の影響

 第3の視座 “循環型社会”
  1-5 再生可能か不可能か~素材(資源)とエネルギーの選び方~
   “循環型社会”(天然資源の消費の抑制を図り、もって環境負荷の低減を図る社会)
「“大量生産・大量消費・大量廃棄”型の経済社会から脱却し、生産から流通、消費、廃棄に至るまで物質の効率的な利用やリサイクルを進めることにより、資源の消費が抑制され、環境への負荷が少ない“循環型社会”を形成する」(環境省「循環型社会形成推進基本法(2000年)の趣旨」)

「天然資源の消費の抑制を図り、もって環境負荷の低減を図る社会」(環境省「環境・循環型社会・生物多様性白書」)

   再生可能か不可能か
    再生可能エネルギー:「太陽・地球物理学的・生物学的な源に由来し、自然界によって利用する以上の速度で補充されるエネルギー全般」(IPCC「再生可能エネルギーと気候変動に関する特別報告書」)

   3R
    Reduce(優先度1)廃棄物の発生抑制(ゴミになるものを生み出さない)
    Reuse(優先度2)資源や製品を再利用する
    Recycleマテリアル・ケミカル(優先度3)
     再使用が不可能なものを原料として再生利用
    Recycleサーマル(優先度4)
     再使用が不可能で原料としての再生利用も不可能なものを焼却して熱エネルギー源として利用
    埋立処分(廃棄物) 最終処分(適正処分)これ以上の使用が不可能となり循環から外れたもの
……生態系から人の社会に持ち込まれたものは、いずれ社会の循環の枠の中から出て行きますが、その際には生態系の循環をかく乱しないようにしなければいけません。また、生態系のかく乱が予測される不要物質については「生態系からも人間社会からも隔離して管理する」ようにしなければなりません。物質やエネルギーを生態系から過剰に取り込むことは、すなわち排出したり隔離したりしなければいけない物質を生み出す可能性を高めることにつながります。ここに、資源を社会に取り込む段階でのReduceがもっとも重要である理由があります。「持続可能な社会作り」を考える時には、社会の中でのモノの循環だけをイメージするのではなく、生態系も含めた範囲で負荷をかけない循環を成立させる「真の循環型社会」を考えなければいけないのです。(30~31頁)

  1-6 ライフスタイルの転換~「地球にやさしい」ってどんなこと?~
   NeedsとWantsの区別
    必要不可欠なもの=Needs
    (生活の質を下げないために)あると嬉しいもの=Wants
    Wantsにあたるものを、「どうしてもなければいけないか?」と見直してみる

   ライフスタイルの転換
    「地球にやさしい」=「自然の循環と調和する行動」
    「再生可能か不可能か」
    「リサイクル可能か不可能か」
    「NeedsかWantsか」
エネルギーや資源の消費量を減らしたり、自然の循環をかく乱しないようにしたりすることへの理解を深めて行動につなげる活動は環境教育(ESD)であり、持続可能な社会づくりのための教育である(35頁)