自然たんけん⑮『ドングリ』(七尾純 構成・文 佐藤有恒 指導、国土社、1986年)を読みました。京都科学読み物研究会編『本から自然へ 自然から本へ ~子どもと楽しむ生きものの世界~』(連合出版、2008年)で紹介されている本です。

七尾純『ドングリ』目次
どんぐりがみのって
どんぐりのいろいろ
どんぐりをおとして
冬を越して


 芽ぶきの季節
  雑木林にいった日・いったところ
  見つけた花の○に色をぬりましょう
 雑木林は人工林
 お花とめ花
 風のたすけをかりて
  ためしてごらん・よくみてごらん[雄花]
  よく見てごらん・たしかめてみよう


 いっぱいに葉をひろげて
 木の一日
  どんな虫がくるかな? 見つけたら○に色をぬろう(日中・夜間)
 そだつ小さなドングリ[コナラとクヌギの比較]
 ドングリは実? たね?
  はかってごらん
  ためしてごらん
 葉やドングリを食べて
  オトシブミのゆりかごをさがそう
  ドングリを切ってみよう
  虫こぶをさがそう
  虫こぶを、見たとおりの大きさに、スケッチしよう
  虫こぶの大きさをはかろう


 ドングリの成長
 ドングリを切る
  ドングリをスケッチしよう
 クヌギは2年がかりで
 ドングリの成熟
 おちるひみつ
  ためしてみよう・よく見てごらん


 落ち葉にまもられて
 ドングリのひみつ
  そだててみよう
 冬の雑木林
 ●落葉のなかの虫たち
   フユシャクのかんさつ
   落葉をめくってみよう
   しげみをのぞいてみよう
   木のくぼみやすきまをのぞいてみよう

あとがき

あとがき
 太平洋戦争が終わりに近づいたころ、日本はとても貧しい生活をしいられていました。ほとんどの若者が戦争にかりだされていったので、田畑を耕すにも人手が足りず、少ししか食料を収穫することができなかったからです。
 そんなとき、四季折々にゆたかな食べ物をそなえてくれたのが雑木林です。雪解けにはタラの芽、ノビルの芽、春にはカタクリ、ワラビ、ゼンマイなどなど、細縄であんだカゴを背負って、雑木林を歩きまわったものでした。
 夏がくると雑木林は、ひもじさをわすれさせてくれるほどの楽しみをあたえてくれました。虫とりです。まだ暗いうちに起きだして、秘密の樹液の泉にでかけたものでした。
 そして秋はキノコ狩りやドングリひろい。キノコ狩りはお年寄りの役目、ドングリひろいは子どもの役目。兵隊さんに送る食料として、トラック3台分もひろわなければなりません。「こんなもの食べられるべかなあ……」といぶかりながらも、何日も雑木林をはいまわったものでした。そしてごほうびはキノコ汁。
 こんな思い出がしみついているせいか、大人になった今でもときどき雑木林を訪れないと気がやすまりません。しかしざんねんなことに、雑木林がつぎつぎに姿を消しています。人々の暮しが雑木林に依存しなくなったせいで、自然のゆたかさがかえりみられなくなったからでしょう。
 雑木林は2次林、つまり人間が自然と助け合って暮らした記念樹です。雑木林は今でも、人間が自然の一員として守らなければんらないルールを教えてくれます。わずかに残された雑木林に足を踏み入れるたびに、私の耳に木々のささやきが聴こえてくるようです。「これでいいのですか?」      七尾純