今日は、児沢の下の田んぼで田んぼの学校・教室の稲刈りを実施する予定でしたが、台風による降雨が予報されていたので、28日までに中止の連絡をいけぶくろ自然クラブとTOTOの皆さんにしました。

岩田好宏さんの『植物誌入門 多様性と生態』(緑風出版、2010年9月)「第2章 植物の光をめぐる争い」を読みました。岩殿D地区の下の段と上の段、岩殿F地区の上の段はセイタカアワダチソウの群落があります。この部分は土壌が常時湿気っていることはないので作付けが可能とみていますが、当面、セイタカアワダチソウの群落の拡大を抑止するために適切な時期に草刈りをしながら、モニタリングをしていくるつもりです。

 『植物誌入門 多様性と生態』第2章植物の光をめぐる争い目次
1、植物の基本構造 植物群落の生産構造
   門司・佐伯研究との出会い
   植物の基本構造 生産構造
   なぜ生産構造図というか
2、相対照度から生産構図を描く試み
   相対照度と積算葉量
   パイプモデル説
3、生産構造図から物質経済を読み取る
   数学モデル
   積み上げ方式
4、生活の基礎としての物質経済
   草原・森林の葉面積密度
   植物の経済生活を具体的にみる
5、植物の光をめぐる争い
   なかま争い
 セイタカアワダチソウは、地中に横に伸びている茎があり、そこから枝のように地上茎を垂直に伸ばして生育します。地上の茎はたがいの間隔を広くとっていませんから、密集した群落をつくります。また2mをこえる茎を伸ばしても、花期をむかえるまでは枝分かれしません。この地上の葉のついた茎は一本の個体のようにみえますが、地中の横走り茎でたがいにつながっていますので、個体ということはできません。当然のことながら最初の生育の時には前年に合成されて地中茎に蓄えられた栄養物資が利用されます。ですから地中の茎とそこから出ている地上部全体が一つの個体です。地上に出ているものは、その個体の部分ということになります。地上に出ているものは一つの個体ではありませんが、個体のような形態をして、後で紹介しますように、たがいに争いをしますので、便宜上、「地上個」というように呼ぶことにします。(68頁)
   なかま争いはあった
   争いに勝つのも生活がきびしい
   争いの過程を調べる
   茎の太さの意味
   なかま争いの結果と優劣を決める要因
 セイタカアワダチソウのなかま争いは、生きものにとってもっともきびしい、生きるか死ぬかという結果を生みだしました。調査結果の範囲でいいますと、第1回の調査日であった5月1日の時は、争いはさほどひどくありませんでしたが、つぎの1ヶ月も経たない5月27日までの間では発生していたと予想できます。この間に、あとから芽を出して生まれてきたものが多くあって、数のうえで読み取ることができませんでしたが、その一方で、すでに枯れ死んだものがいたと思われます。その後さらに1ヶ月経ったところでは、明らかに地上個数が減少し、それからさらに1ヶ月近い間に、減少はさらにはげしくなりました。7月9日から8月4日の間に半数以上のものが消えていました。
 もう一つ、生き残っているもののなかには、背丈がさほど低くないのにやせ細っているものが、多数みられました。それはさらに争いが続けば、まちがいなく枯れ死ぬという危機のなかにあるものたちです。
 こうした優劣の差別がどこから生まれたのかという理由も、つぎのようなこととわかりました。
 (a)冬越ししたあとの地上個の大きさのちがい
 (b)冬越ししたものと地中茎からのちに生育を始めたものとのちがい
 (c)以上の二つのことが原因しながら、光をめぐる争いに勝ったものと敗れたものとのちがい
 (d)地中茎から出た地上茎の太さのちがい (78~79頁)
おわりに
   環境が異なれば物質経済も変わる

生育地特性で草本を分類して、それぞれのグループがどこに生育しているかをマッピングし、それに応じて目標植生と管理のレベルを変える