本日の「ボランティア活動助成セミナー2018」は、NPO法人森づくりフォーラムが共催です。
話題提供として「森林ボランティアの進化と変化 -森林づくり活動実態調査・分析結果と今後-」(筑波大学大学院 ・富井久義さん)、「森林ボランティアの未来」(NPO法人よこはま里山研究所・松村正治さん)がありました。
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「森林づくり活動実態調査は1997年から3年ごとに継続され、森林整備活動を行っている団体・活動規模の推移と時々の活動団体の有する課題と必要な支援は何なのかを明らかにしてきました。
2015年調査は林野庁補助事業として森づくりフォーラムが全国3005団体に調査票を送り、1232団体から有効回答がありました。この調査の結果と分析については、『森から人へ、人から森へ ~森づくりの活動の今とこれから~』(「森づくり政策」市民研究会、2015年3月)、『森づくり活動の一歩先をめざして』(NPO法人森づくりフォーラム、2017年2月)で確認して下さい。

団体タイプ別の会員年齢構成比(%)
70代が多い「大都市型」、「都市近郊型」(退職者が中心となって団体運営)、50代が多い「農山村型」、「漁業者団体」(地域活動の一環?)、若い人が多い事業体(企業のCSR活動など)
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60代、70代中心メンバーで、50代は「若い人」、40代はまれでは、この先10年たつとどうなっているのでしょうか?
【活動団体の類型については、任意団体とNPOは便宜的に所在地が大都市にある団体を「大都市型」(125団体、10%)、大都市以外の市にある団体を「都市近郊型」(621団体、50%)、町村にある団体を「農山村型」(2013団体、16%)とし,活動目的に「魚付き林の整備・漁場の保全」を挙げる団体を「漁業者団体」(54団体、4%)、その他の事業体(企業など)を「事業体」(129団体、10%)、財団法人、社団法人などを「その他」(100団体、8%)にしています。】

テーマ別セッショントーク「躍動する団体に共通するポテンシャルとは!?」を3つのテーマに分かれて実施しました。3テーマは①次世代に継ぐ森林づくりのための「企業と地域の連携」(ファシリテーター&話題提供:森の健康診断出前隊・丹羽健司さん)、②次世代に継ぐ森林づくりのための「後継者育成と持続的な取り組み」(ファシリテーター:認定NPO法人JUON(樹恩)鹿住貴之さん、話題提供:NPO法人いわきの森に親しむ会・松崎和敬さん)、③次世代に継ぐ森林づくりのための「新規参加者を獲得するためのポイント」(ファシリテーター:NPO法人よこはま里山研究所・松村正治さん、話題提供:多摩の森・大自然塾 鳩ノ巣協議会・小島圭二さん)です。
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森林ボランティア団体等が共通して抱える4つの課題をクリアするためのポイントやヒント
   (『森林・里山と人がつながる社会をめざして 次世代につなぐプロジェクトの運営と組織づくり』20~23頁)
①新規会員・参加者の確保
・参加してもらうための入り口を広げる
  “参加しやすさ”の訴求
・参加者自身のやりたいことが実現できる場にする
  主体的に関わってもらうように促していく
・参加者の声を聴き、ニーズに対応する
  できるだけ直接的な対話を通じて聞き出す
・やりっぱなしにしない。どうだったか、改善することは何かを皆で議論する
  活動に関わった者全員でふりかえり、次に反映あるいは改善することを明確にする
・参加者と楽しかったことを共有する
  参加者を含めて皆で共有する
・実際に参加した人の声で広報する
  実際に参加した人の声に乗せて広報していく(口コミ)
・有償スタッフとして参加してもらう

②継続的な活動
・地域のニーズに対応する
  地域住民や行政等のニーズがあるのであれば、それらを受け入れる
・「やりたいこと」を実現するための組織をつくる
  必要であれば組織のあり方を改善できるしくみやルールをつくる
・活動の場に“学べる”をプラス
  あらたな気づきや、あらたな自分の可能性を発見できる学びの機会
・活動資金を確保する
  受託業務や助成金を活用するにあたっては情報収集と、行政・企業等とのネットワークづくりも重要なタスクとして捉える
・参加者が“楽しい”と実感できる活動にする
  皆“楽しかった”と実感できる活動にすることを目指す
・「やりたいこと」を確認する
  そもそもボランティア団体は、共通の「やりたいこと」を持った人たちが集まっているのであり、それが何であるのかということを定期的に確認して忘れないということが大切
・活動のゴールや期限を決めて、終了したら一旦やめる
  活動のゴールや期限を決めて取り組みそれが達成した時点で一旦やめて、その活動の成果や結果を評価する

③後継者育成
・参加者に自分の居場所を見つけてもらう
  自分の居場所(心地よいと思える場所や空間、時間等)
・思想や価値観を押し付けない
  活動経験の豊かな人や年配者の思想や価値観を若手や中堅で頑張っている人に押し付けてはダメ
・活動の場であると同時に教育の場にする
  自分探しの場、あらたな成長の場
・多様な参加理由、ニーズを理解する
  日頃から良いコミュニケーションを図っておく
・「やってみない?」という新たな可能性の扉を開く声がけが必要
  参加者それぞれのの魅力や才能等を見つけ出したら、その人の新たな可能性を広げる動機付けとして声がけをする
・活動のビジョンは崩さない
  活動のビジョンが明確かつ揺るぎないからこそ共感する参加者が増え、またその中で自分がやりたいことが定まっていく
・期待しすぎない
  何が何でも後継者を育成すると意気込まない

④他団体、自治体・企業との連携
・共に汗をかくことが連携
  共に汗をかいて互いのビジョンを達成していく
・多様な主体者と連携することで活動を広げ深める
  様々な知恵や技術が融合されて活動が広域に広がったり、深まったりする
・WIN-WINの関係を共有
  関係する団体それぞれのメリットとデメリットを検証し、事前に相互で共有しておく
・連携する相手とは対等な関係を維持することが重要
・つなぎ役になるということもある
  自分たちの活動に参加してもらうだけでなく、他の活動に参加したい人と別の活動を行っている人や地域をつなぐプラットホームになる