法政大学地域研究センターの田中充、白井信雄 、馬場健司編著『ゼロから始める 暮らしに生かす再生可能エネルギー入門』(家の光協会、2014年8月)を読みました。

はじめに(田中充)

第1章 エネルギーの基本と再生可能エネルギーの仕組み
●エネルギーの基本を知る
 1 エネルギーって何? ~その源を探る~
  化石燃料に依存する現代社会
  私たちが利用する多くのエネルギーの源は太陽
  エネルギーの多くは、加工しないと使えない
  「エネルギー転換」で利便性が高まる
 2 再生可能エネルギーって何?
  新エネルギーは日本独自の分類
  「再生可能」という言葉が意味すること
 3 再生可能エネルギーのメリット
  再生可能エネルギーはCO2排出が少ない
  エネルギー資源を自給できるというメリットも
  分散するエネルギーであることの強み
 4 日本が抱えるエネルギー事情
  石油由来のエネルギーが4割以上を占める
  増え続ける1人当たりのエネルギー消費量
  再生可能エネルギーの割合が増えつつある一方で……
●エネルギーの歴史を知る
 5 人類とエネルギーの歴史
  人類は誕生以来、再生可能エネルギーを利用してきた
  石炭の利用が急速に広がった近代
  石炭主流の時代から再生可能エネルギーの時代へ
 6 オイルショックと再生可能エネルギー
  1970年代に起きた2度のオイルショック
  石油代替として再生可能エネルギーの技術開発がスタート
  形成され始めた再生可能エネルギーの市場
 7 2つの危機に果たす再生可能エネルギーの役割
  日本社会に忍び寄る「外からの危機」とは?
  生活基盤を揺るがす「内なる危機」
  地球温暖化防止とエネルギ-の安全保障に貢献する
  地域活性化につなげて「内なる危機」を回避する
●電力供給の仕組みを知る
 8 発電を行う事業者は大きく4種類
  送電網ネットワークを持つのは、一般電気事業者だけ
 9 発電と送電の基本的な仕組み
  日本の電力供給の9割は、火力発電
  使う分だけ発電して、ロスなく送電する
  再生可能エネルギーは、発電量のコントロールが難しい
 10 固定価格買取制度って何?
  全国の自治体に広がる再生可能エネルギー条例
  固定価格買取制度の対象となる電力の特徴とは?
●再生可能エネルギーの技術を知る
 11 太陽光発電って何?
  太陽光を直接、電気に変換
  電卓から人工衛星まで
  太陽エネルギーは無限だが、発電効率が悪い
 12 太陽熱利用って何?
  太陽光は、熱エネルギーとしても利用する
  熱源には熱エネルギーを使った方が、断然効率的
 13 風力発電って何?
  巨大なブレードの回転で発電
  風車の大型化が進む
  ウィンドファームが増加中
  騒音や低周波が問題に
 14 小水力発電って何?
  流れ落ちる壬子ルギーで発電
  多彩な種類の水車
  小水力発電の仕組み
  エネルギー変換効率が高い
 15 バイオマス発電・熱利用って何?
  日常生活の中にある、さまざまなバイオマス
  発電と熱利用を同時に行える
  発酵により発生させたバイオガスを利用する
  エネルギー出力の調整が容易
 16 地熱発電・地熱利用って何?
  地中の蒸気でタービンを回す
  発電後の蒸気は暖房にも利用可能
  温泉熱発電が始まる
  注目を集める地中熱利用システム

第2章 再生可能エネルギーを暮らしに取り入れる
 1 再生可能エネルギーへの3つの関わり方
   ・再生可能エネルギーをつくる
   ・再生可能エネルギーを使う
   ・再生可能エネルギーを生かした地域づくりに参加する
●再生可能エネルギーをつくる
 2 設備を設置する前に確認したい6つのポイント
   ・目的、種類、方法、妥当性、経済性、リスク
 3 太陽光発電の設備を設置する
  設備費用は安くなってきている
  大型発電所8・5基分の電力が発電可能
  設置業者、メーカー選びがポイント
 4 太陽熱利用の設備を設置する
  エネルギー効率がよく、見直される太陽熱
  狭い面積でも設置が可能
  住宅の断熱性や気密性を高める工夫も必要
 5 薪ストーブ・ペレットストーブを設置する
  まずは、地域内で燃料を入手できるかを調べる
  赤外線効果でじんわりと暖まる
  薪ストーブとペレットストーブの特徴
コラム ペレットストーブと暮らす(松田直子)
  ペレットストーブで京都の森を守る
 6市民共同発電事業に出資する
  出資によって間接的に発電に関われる
  市民協働発電事業への3つの参加方法
  ・寄付型、出資型、購入型
  「出資型の参加」が増えている
  気軽に出資でき、特典もつく静岡市の取り組み
  ソーラーパネルを設置したい人と、屋根を持つ人とが「相乗り」
 7 自治体の公募債に出資する
  地方自治体が募集する公募債を活用する
  市民は、再生可能エネルギーの事業自体に興味がある
コラム ドイツでの市民共同発電事業(杉山範子)
  電気だけでなく「熱」も供給
●再生可能エネルギーを使う
 8 「グリーン電力」を購入する
  新電力の「グリーン電力」を購入」
  東日本大震災をきっかけに注目を集める
  新電力が発電した電気でも、グリーン電力は多くない
  「グリーン電力証書」を購入する
  起業によるグリーン電力証書の活用
 9 再生可能エネルギーを使った製品・サービスを購入する
  グリーン電力証書を活用した製品やサービス
  カーボン・オフセット商品を購入する
  再生可能エネルギーを活用した施設を利用する
 10 スマートハウスで「賢く」暮らす
  スマートハウスの3つの「賢さ」
   ・①エネルギーの供給体制が多様
   ・②消費電力を賢く減らせる
   ・③効率良く、供給と消費の調整ができる
  スマートハウスが普及するための課題とは?
コラム 再生可能エネルギーは家計も助ける(松本明)
 11 自然の風、光、熱を生かす暮らし方
  大がかりな装置のいらないパッシブなエネルギー利用
  日本の伝統家屋では、パッシブなエネルギー利用をしてきた
  現代の住宅でもパッシブなエネルギー利用ができる
   ・自然光、太陽光、太陽熱のいずれの場合も、開口部(窓)を、うまく配置することがポイント
  こんなパッシブなエネルギー利用もある
 12 過ごしやすいように居場所を変える
  居場所を変えることもパッシブなエネルギー利用
  涼を求め、街に出よう
  夏と冬で住む地域を変える
  夏を涼しく過ごすシェアハウス
コラム 週末は八ヶ岳山麓で暮らす(中島恵理)
●地域づくりに参加する
 13 「環境アセスメント」に参加する
  再生可能エネルギーは環境にやさしい?
  「環境アセスメント」とは何か?
  住民が意見を伝える機会は3回
   ・配慮書、方法書、準備書→評価書へ
  リスクを知り、合意を形成する必要性
 14 「ルールづくり」に積極的に関わる
  共有の資源を地域づくりに生かす取り組み
  農山漁村との調和に向けた対話の場づくりが進む
  長期的な視点に立った再生可能エネルギーの導入を
コラム 海外における電力事業の公営化の動き(杉山範子)
  ドイツ国内で広がる公営化の動き
 15 自分に合った再生可能エネルギーとの関わり方
  再生可能エネルギーとの関わり方を分類する
  多くの人は、けっして経済的便益だけで判断していない
コラム “化石燃料ゼロ”を実現した体験交流施設(平澤和人)

第3章 再生可能エネルギーの未来を考える
 1 これから注目される新技術 ~洋上風力と波力~
  騒音や低周波音の問題が少ない洋上風力発電
  じつは長い歴史のある波力発電
  技術開発と普及のために、どれだけのコストをかけられるか?
 2 電力自由化はこれからどうなる?
  3段階で進む電力制度改革
  一般家庭でも自由に電力会社を選べるようになる
  発送電分離で競争が活発になる?
  電力自由化により再生可能エネルギーの普及が進むか?
  私たちは選択を迫られている
 3 スマートコミュニティで暮らす未来
  スマートハウスをネットワークでつなぐ
  2030年のスマートコミュニティ
  未来へ向けて進められる実証実験
 4 再生可能エネルギーへの関わり方が未来を決める
  エネルギーをみずからつくり、利用するという発想
  再生可能エネルギーを暮らしに生かす2つのスタイル
  「どらえもん」型の未来と「サツキとメイ」型の未来
   ・高度技術型社会と自然共生型社会

インデックス

参考文献