井手英策・宇野重規・坂井 豊貴・松沢裕作『大人のための社会科 …未来を語るために』(有斐閣、2017年9月)を読んで、その後財政社会学者の井出さんの著作を何冊か読みました。
ウェブサービスにパラ活ラボ提供の「ノイズレスサーチ」(http://pasokatu.com/nsearch#gsc.tab=0)があって、グーグルのカスタム検索機能を利用して、NAVERまとめ等まとめサイトやアマゾン、楽天市場など通販サイト、Yahoo知恵袋などQ&Aサイトなど不要な情報が多いサイトを検索結果から除外して表示します。通常の検索では埋もれている情報を見つけるのに便利です。ノイズレスサーチで「分断社会・日本」を検索してみてください。なぜ日本社会は分断されているのか、その処方箋、分断を超える突破口はどこにあるのかなど、井手さんの回答がわかります。

『財政から読みとく日本社会 …君たちの未来のために』(岩波ジュニア新書848、2017年3月)
はじめに

第1章 財政のレンズをとおして社会を透視しよう
 必要が生み出した財政/社会を映し出す鏡としての財政/特徴その一 小さくて信用されない政府/特徴その二 かたよった社会保障/特徴その三 公共投資が大好きな日本/特徴その四 農業に関心をうしなった国民?/特徴その五 教育への投資が少ない/特徴その六 税金は安いのに痛みは大きい/特徴その七 融通がきかない予算/社会をつくりながら社会を知る

第2章 小さな政府はどのようにつくられたか
 政府が小さいということ/望ましい大きさを決めることのむつかしさ/インフレーションが生んだ「総額に気をつかう財政」/生き残った戦争中のことば/「勤労国家」と「自己責任の財政」/貯金をエンジンとした日本経済/低成長と公共事業の急増/ 「総額に気をつかう財政」とシーリング予算/自助・共助・公助の社会/なぜ財政は変わらなかったのか/経済の長期停滞と財政危機

第3章 成長しなければ不安になる社会
 社会保険ってなに?/現金給付と現物給付がまざった社会保険/日本の医療と介護/お父さんやお母さんたちの苦労/家族への現金給付への反対/家族を大事にする/貧弱な障がい者給付/障がいの問題は自分の問題だ/生活保護とうたがう気持ち/勤労国家と僕たちの社会保障制度/小さな政府をささえる条件が消える

第4章 公共投資にたよった日本社会の限界
 荒廃から立ちなおるための公共投資/農業経営の効率化への動き/公共投資が公共投資を呼ぶ/公共投資と人の動き/コミュニティがささえた小さな政府/公共投資と族議員政治/族議員政治の根っこにあった日本社会の分断/公共投資の激減と建設業の衰退/農業も衰退した/公共投資の削減が生み出す新しいコスト/公共投資にたよらない社会を考える

第5章 柔軟で厚みのある社会をささえる教育
 少なすぎる日本の公的教育支出/生活が苦しくなり、子どもをあきらめる/おかしな教育の格差/なぜ公的な支出が少ないのか/奨学金問題/教育と経済成長/貧しくなった日本人/就学前教育の重要性/国際的な日本経済の地位/教育よりも経済が大事な日本人/よりよい社会のための教育

第6章 税の痛みが大きな社会をつくりかえる
 増税のむつかしい国/毎年のようにくりかえされた所得減税/増税でサービスを改善する経験がなかった日本人/大きく変わった社会/余裕をなくしてしまった日本人/社会保障・税一体改革の意味/お年寄りも困っている/ 「袋だたきの政治」/人間を信頼できない社会と自己責任/税制と民主主義

第7章 「君たち」が「君たちの次の世代」とつながるために
 「勤労国家」によるみごとな統治/経済成長という土台がくずれる/逆回転をはじめた「勤労国家」/相手を仲間ではなく他人と思う社会/小田原市の小さな物語/「何がちがうか」ではなく「何が同じか」を考える/ 「私」と「私たち」のちがい/現物給付をみんなに配る/「だれもが受益者」という財政戦略/格差が大きくならないか/現金給付と現物給付の決定的なちがい/重税国家ではない/経済の時代から人間の時代へ

あとがき