『埼玉新聞』1986年11月12日)に掲載された市民の森用地取得に関わる記事です。

東松山 国有林32ヘクタール 市が取得へ
  岩殿地区 森林公園を建設
   約14億円で購入 来月にも売買契約

 東松山市(芝崎亨市長)は十一日、林野庁の所有する同市岩殿地区の国有林約三十二ヘクタールを約十四億円で購入する計画であることを明らかにした。早ければ来月中旬にも国と同市との間で売買契約が成立するが、県内の市町村が、払い下げられる大規模な国有林を取得するケースは珍しい。同市は当面、購入する国有林を「物見山森林公園」(仮称)として整備するが、貴重な緑地帯だけに長期的な視野から市民の公共財産として有効利用を図る方針。

 東松山市が購入する国有林は、東武東上線高坂駅から西南約四・五キロの岩殿観音で知られる比企丘陵地帯三一・八ヘクタール。同地区は県営こども動物自然公園、東京電機大、大東文化大、地球観測センターなど多くの公共施設が接近している。一部は県立比企丘陵自然公園に入る。購入価格は十三億七千九百三十万円。
 同市が国に対し購入目的として提示した整備計画書(三カ年計画)によると、自然環境を保全しながら、「物見山森林公園」として整備する。園内には展望台とあずま屋を建設、総延長約四・五キロの散策路を設置する。また、沢の一部をせきとめ、親水池を造るほか、山桜が観賞できる「春の森」(仮称)、バードウォッチングが楽しめる「小鳥の森」(同)などを設ける。
 今回の国有林払い下げについて東京営林局は、同地区がアカマツ林で粘土質のため林業地として生産性に乏しいことを挙げている。が、背後には苦しい林野庁の財政を売却によって補てんする目的が強い。
 しかし、同市にとっては首都圏に残された貴重な緑地帯を手にいれたわけで、購入価格も昨年十二月、隣接する鳩山町内の宮山台国有林約四十ヘクタールが三十二億円で日立製作所に売却されたケースに比べ破格の安さ。
 また、同市は比企広域(一市六町三村)の中核都市。比企広域市町村圏協議会は本年度、二十一世紀の同地区の開発指針となる「ハイタウン・比企21構想」を打ち出し、森林資源を土台とした森林文化都市の創出を目指している。このため同市は当面、森林公園として自然を保護、広域的な視野に立った国有林の有効利用を練る方針。
 国との正式な売買契約は、十二月二十日前後の見込み。

 活用計画も考えたい 芝崎亨・東松山市長の話
購入する国有林は、宅地化などで少なくなった市内に残る貴重な緑地。市民の夢を買ったつもりだ。森林公園としてまず整備するが、次の時代に残る有効な活用計画も今後は、考えていきたい。(『埼玉新聞』1986年11月12日)