起こしっこ、飛ばしっこ、イッスンコ、ナマリ。勝負のルールは集団により異なる。

めんこ遊び 小川町の歴史 別編 民俗編 2001年 708頁~709頁 執筆:山口槌男さん
 めんこを、「パーコシ」とか「ドン」と呼んだ。めんこには、丸型と長四角の二種類がある。武者、軍人、野球選手、力士などの絵が描かれていた。このめんこの裏に更に厚紙を貼ったり、ろうで煮て堅くし、強いめんこにした。
 強い子とやるんじゃないよ、とか、小さい子のを取り上げるんじゃないよ、などと親によく言われたものだが、勝負には「ほんこ」と「うそっこ」があり、やたらに取り上げることはしなかった。
 また昔は、弟妹を子守りながら遊ぶ子も多かったので、小さい子も仲間に入れて遊んでやった。勿論小さい子はみそっかすで、勝負の対象外にした。
 ○ 起こしっこ 地面に置いためんこに、自分のめんこを叩きつけて、相手のめんこを裏返せば勝ち、着ているはんてんの裾であおって風を送る技など工夫した。
 起こしっこは、めんこ遊びのメーンだった。
 ○ 飛ばしっこ 今の10円硬貨くらいの小型のめんこを、親指と人差し指の腹で水平にはさみ、強く押すと飛び出す。この飛んだ距離を競う。勝てば相手のめんこが取れる。
 また、縁台の隅にめんこの片端をはみ出させて置き、はみ出した部分を指で上から叩き、遠くへ飛ばしっこをする。そのほか縁台の端に置き、横なぐりにはじいて飛ばすやりかたもある。
 ○イッスンコ 丸型のめんこを戸板、戸袋などに打ち付け、地面に落ちためんこが、相手のそばに落ち、二本の指で二枚が押さえられれば勝ち。
 ○ ナマリ これはメンコではないがよく似た遊びである。今の十円玉よりやや小さめの金属片を、一銭で10枚売っていた。これをナマリと呼んでいた。
 地面に直径50センチメートルくらいの円を描き、それぞれ円の中にナマリ一枚ずつ置く。相手のナマリにうちつけて円の外に出せば勝ち。
 学校で、他地区のがき大将に「ほんこ」を申し込まれると断りきれないで取られてしまうこともあった。  (高見)【たかみ、小川町の八和田地区】

めんこのルール ウィキペディアより
もっとも典型的な遊び方である「起こし」のルールは以下の通りである。
 1.地面にめんこを置く
 2.別の者が別のめんこを叩き付ける
多くの場合、以上の競技手順は同じだが、あらかじめ地面に置かれた方の所有権の移転に関わる勝敗の決め方が、地方や集団によって異なる。所有権の移転がなされる場合の代表例を以下に列挙する。
 ・あらかじめ地面に置かれためんこが「裏返る」。
 ・あらかじめ地面に置かれためんこの「下を通過する」。
 ・あらかじめ地面に置かれためんこが、規定の範囲(枠で囲った範囲など)よりも「外に出る」。
地面に置くめんこの枚数は1枚の場合もあるが、複数の参加者が1人1枚、または、参加者1人2枚など、様々である。
また、めんこの大きさに大小があり、子供にとって欲しい図柄が異なるので、自分の欲に任せて明らかに不当なルールを適宜つける例が横行する。取り上げられためんこは返してもらえない(所有権が移転する)ので、真剣に遊ぶ要素がある。
雨に濡れると柔らかくなるので、蝋を塗りつけるという「強度保持」をする一方、裏返りにくくするためぐにゃぐにゃにするなど、めんこの性能を変化させたりする。
この他にも他のカードゲームと類似した遊び方である「積み」や「抜き」、「落とし」、また物理的な遊び方として「壁当て」や「滑り」などがある。