めんこの遊び方は基本的に二つ。①相手のメンコをひっくり返す。②「コバメン」(トブツケ、壁当て)。

メンチ 新編埼玉県史 別編2・民俗2 1986年3月 547頁 執筆:斎藤修平さん
   メンチ
 店で購入したメンチ(メンコ)を幾つかの方法で取り合う遊び。まず、相手によって「本メン」で行うか「貸しメン」で行うかが決定される。本メンは友だち同士の間で、貸しメンは兄弟同士で行われるのが一般的であった。本メンは勝負の結果、実際にメンチの所有権が移るが、貸メンは勝負(遊び)そのものを楽しむだけでメンチの所有権は変化しない。
 遊び方は基本的に二種類しかなかった。一つは地面に置かれた相手のメンチを自分のメンチでひっくり返す遊びで、もう一つは、メンチを戸袋などにぶつけて、どのくらいはね返ってくるかを競うコバメンという遊びである。前者の遊びは、ハンテンカゼ(着物の袖を振って起こす風)を利用したり、相手のメンチの横に自分の足を置いて「壁」を作って相手のメンチをひっくり返しやすくしたり工夫した。また一度に相手のメンチを二枚ひっくり返したメンチを「二丁取ったメン」と名付けて得意がった。さらに、メンチには「厚メン」と「薄メン」があって、薄メンで厚メンをひっくり返すことも大きな楽しみであった。
 このほかコバメンの一種だが、メンチを壁にくっつけて、どちらが後に落ちるかを競う方法もあった。メンチは、みかん箱にいっぱいためて大切にしたが、勝ったメンチを友だちに、店で売るより安く売って小遣いにしたこともよくあった(日高町粟坪)。
    本メン 貸しメン 厚メン 薄メン 二丁取ったメン